エレコム(6750)
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2012年 5月 18日時点
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直近更新内容
概略
2012年5月7日、エレコム株式会社は2012年3月期通期決算を発表した。
(決算短信へのリンクはこちら、2012年3月期通期決算の項目へのリンクはこちら)
2012年3月28日、同社は、2012年3月期通期会社予想の上方修正と欧州子会社再編を発表した。
(会社予想修正のリリース文へのリンクはこちら、欧州子会社再編のリリース文へのリンクはこちら)
2012年3月期通期会社予想
- 売上高:62,000百万円(前回予想58,000百万円)
- 営業利益:6,850百万円(同6,225百万円)
- 経常利益:6,100百万円(同5,800百万円)
- 当期純利益:3,150百万円(同2,950百万円)
修正理由
- 売上高:モバイルケースをはじめとするスマートフォン向け製品販売が好調に推移したことに加え、テレビ録画用の外付ハードディスクドライブ製品及び家庭用の無線LAN製品の販売が想定を上回って推移したため
- 営業利益:売上高の増加による
- 経常利益:売上高の増加に伴う売上割引の増加及び2012年3月末に向けての円安進行で為替差損計上が見込まれるも、営業増益影響がそうした減益要因を上回る
- 当期純利益:次の1)~3)の要因による。1)経常利益の増額修正(プラス要因)、2)ednetグループ各社の解散及び精算を決定し損失が確定したことにより、法人税等調整額の減少1,400百万円が見込まれるため(プラス要因)、3)ednetグループの解散及び精算に伴う事業整理損失(特別損失)658百万円の計上、一部のソフトウェアの利用を取りやめたことによる特別損失216百万円の計上(マイナス要因)
欧州子会社再編
同社は、2012年3月28日開催の取締役会にて、欧州子会社ednetグループ(ednet GmbH、ednet AG、ednet Nederland B.V.)を解散及び精算することを決議したと発表。一方で、新たに同社が100%出資する子会社ELECOM Europe GmbHを2012年4月中旬に設立する予定としている。
1)ednetグループの業績不振を鑑み、ednetブランド製品の販売を取りやめること、2)同社ブランド製品の取扱いに専念することにより欧州における同社ブランドのさらなる認知度向上を図ること、3)2)の際、従来の小売店に直接販売する形態から、代理店を通じての取引、あるいはWEB販売に転換することにより、子会社の運営コストを抑えて収益改善を図ること、などが上記欧州子会社再編の狙いのようだ。
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業績動向
四半期業績動向
2012年3月期通期実績
2012年5月7日、同社は2012年3月期通期決算を発表した。
売上高は前年比19.6%増の62,547百万円、営業利益は同18.3%増の6,806百万円、経常利益は同14.2%増の6,130百万円であった。
特別損失として1,207百万円を計上した。主な内訳は、1)持分法適用関連会社である株式会社イデアインターナショナルの財政状態を鑑み、イデアインターナショナル社から引き受けた転換社債型新株予約権付社債400百万円の全額を貸倒引当金繰入額として処理、2)ソフトウェア等の固定資産除却損233百万円、3)ednet GmbH等欧州子会社3社を解散及び精算することを決議したことに伴う事業整理損563百万円、などである。ただし、欧州子会社3社の精算による損失が確定され、将来の法人税等が減少する見込みとなり、法人税等調整額が1,378百万円が減少したことから、当期純利益は同19.3%増の3,313百万円となった。
品目別の概況は同社によれば以下の通り。
- サプライ:売上高21,737百万円(前年比22.2%増)
モバイルケース等のスマートフォン向け関連製品が順調に売上を伸ばしたことが寄与した。
- ストレージ・メモリ:売上高11,278百万円(同55.0%増)
テレビ録画に対応したLaCieブランドのストレージ製品等の売上が順調であったこと、2011年7月に設立したハギワラソリューション株式会社が2011年8月からメモリ製品の取扱いを開始したこと等が寄与。
- IOデバイス:売上高6,173百万円(同6.8%減)
マウスを中心とした新製品の投入は堅調に推移したが、その他入力機器の競合他社との価格競争が影響し、減収となった。
- デジタルホーム:売上高15,256百万円(同9.3%増)
地上デジタル放送対応テレビ及びスマートフォン向けのAV関連製品やネットワーク製品、Bluetooth対応製品が順調に販売を伸ばしたことから増収となった。
- その他:8,101百万円(同21.5%増)
その他パソコン関連製品の販売は堅調に推移し、スマートフォン用充電池、LED照明等の新規カテゴリ製品の投入 が進んだ。
スマートフォン関連製品の売上高(サプライ及びデジタルホームに計上)は11,906百万円と2011年3月期の4,919百万円より大きく伸長した。スマートフォン関連製品の売上高については、各会計期間をみても、第1四半期:2,355百万円、第2四半期:2,730百万円、第3四半期:3,364百万円、第4四半期:3,456百万円と期を追う毎に増加傾向にある。同社は、スマートフォン関連製品の通期売上計画を当初約8,000百万円としていたが、実績は大きく上振れた。
貸借対照表に関して補足すれば、短期借入金が2012年3月期末で300百万円と2011年3月期末の10,507百万円から大幅に減少した。同社によれば、これは2011年3月期末に震災後に積み増した流動性資金を減少させたことによるものであり、現預金残高も2012年3月期末で8,889百万円と2011年3月末の16,206百万円より減少している。
2012年3月期第3四半期実績
2012年2月6日、同社は2012年3月期第3四半期の決算を発表した。通期会社予想の変更はない。
第3四半期累計期間の売上高は前年比21.4%増の46,483百万円、営業利益は同26.6%増の5,494百万円、経常利益は同26.7%増の5,099百万円であった。純利益は同6.4%増の2,128百万円に留まったが、これは株式会社イデアインターナショナルの財政状態を鑑み、イデアインターナショナル社から引き受けた転換社債型新株予約権付社債400百万円に対し400百万円を貸倒引当金繰入額として特別損失に計上したためである(特別損失合計は413百万円)。
売上高を品目別にみると、サプライが前年比24.0%増の16,404百万円、ストレージ・メモリが同54.1%増の8,013百万円、デジタルホームが同13.3%増の11,619百万円であった。前年比6.1%減の4,608百万円となったIOデバイスを除いて好調に推移した。
同社は好調の要因として、サプライはスマートフォン用アクセサリ関連製品が好調であったこと、ストレージ・メモリはLaCieブランドのストレージ製品等の売上が順調であったことやUSB3.0規格に対応したストレージ製品を発売したこと、デジタルホームは地上デジタル放送対応テレビ及びスマートフォン向けのAV関連製品やネットワーク製品、Bluetooth対応製品等が順調であったことを指摘している。一方、IOデバイスは入力機器での競合激化が続いている模様だ。
同社は当初、タイの洪水によるストレージの部材調達(HDD調達)への影響を懸念していたが、無事に調達を行うことができたほか、品薄による価格上昇の恩恵を享受することができた模様だ。また、デジタルホームは「AVD」がエコポイントによる特需が前年あった反動やiPhoneの台頭によるiPod等携帯用音楽プレーや周辺機器の需要減などの影響を受けた一方、「ネットワーク」が好調であったとのことだ。同社はストレージ及びネットワークを強化している最中だが、これらは着実にシェアを上げつつある。
ストレージに関し、価格の反動減が懸念されるところではあるが、2012年2月時点で価格は安定している様子だ。
第3四半期累計期間におけるスマートフォン関連製品の売上高(サプライ及びデジタルホームに計上)は8,450百万円と2011年3月期第3四半期累計期間の2,905百万円より大きく伸長している。スマートフォン関連製品の売上高については、各会計期間をみても、第1四半期:2,355百万円、第2四半期:2,730百万円、第3四半期:3,364百万円と期を追う毎に増加傾向にある。同社は、スマートフォン関連製品の通期売上計画を当初約8,000百万円としていたが、第3四半期累計期間でこの数値を既にクリアした格好。また、スマートフォン関連製品に関しては、携帯の新機種発売時の需要がピークとなり、その後需要が低下傾向を辿るため、在庫コントロールが難しいとされるが、在庫は適切にコントロールされているようだ。
以上のように、好調な業績ではあるが、欧州子会社ednet GmbH社の営業損失は継続している(所在地別実績でみて「欧州」は2012年第3四半期累計期間で売上高871百万円、営業損失284百万円)。今後の対応が望まれるところだ。
2012年3月期第2四半期実績
2011年11月7日、同社は2012年3月期第2四半期の決算を発表した。同社は2011年10月28日に2012年3月期第2四半期累計期間の会社予想の修正を発表済である。
第2四半期累計期間の売上高は前年比23.6%増の28,884百万円、営業利益は同47.7%増の2,980百万円、経常利益は同48.3%増の2,755百万円であった。四半期純利益は同17.0%増の978百万円に留まったが、これは株式会社イデアインターナショナルの財政状態を鑑み、イデアインターナショナル社から引き受けた転換社債型新株予約権付社債400百万円に対し400百万円を貸倒引当金繰入額として特別損失に計上したためである(特別損失合計は411百万円)。
売上高を品目別にみると、サプライが前年比26.1%増の9,789百万円、ストレージ・メモリが同46.1%増の4,813百万円、デジタルホームが同22.8%増の7,415百万円であった。前年比6.9%減の3,026百万円となったIOデバイスを除いて好調に推移した。
同社は好調の要因として、サプライはスマートフォン関連製品が好調であったこと、ストレージ・メモリはLaCieブランドのストレージ製品等の売上が順調であったことやUSB3.0規格に対応したストレージ製品を発売したこと、デジタルホームはAV関連製品やネットワーク製品、Bluetooth関連製品等が順調であったことを指摘している。一方、IOデバイスは入力機器での競合激化が続いている模様だ。同社によれば、スマートフォン関連製品の売上高(サプライ及びデジタルホームに計上)は5,086百万円と2011年3月期第2四半期累計期間の1,578百万円より大きく伸長しているとのことである。
2012年3月期第1四半期実績
2011年8月9日、同社は2012年3月期第1四半期の決算を発表した。
売上高は前年比21.0%増の14,537百万円、営業利益は同26.9%増の1,514百万円、経常利益は同25.7%増の1,397百万円であった。
売上高を品目別にみると、サプライが前年比20.0%増の4,734百万円、ストレージ・メモリが同40.6%増の2,298百万円、デジタルホームが同29.3%増の4,041百万円であり、前年比10.6%減の1,546百万円となったIOデバイスを除いて好調に推移した。
同社は好調の要因として、サプライはスマートフォン関連製品が好調であったこと、ストレージ・メモリはLaCieブランドのストレージ製品等の売上が順調であったこと、デジタルホームはAV関連製品及びネットワーク製品、Bluetooth関連製品等が順調であったことを指摘している。一方、IOデバイスは入力機器での競合激化が続いている模様だ。同社によれば、スマートフォン関連製品の売上高(サプライ及びデジタルホームに計上)は2,355百万円と2011年3月期第1四半期の722百万円より大きく伸長、計画を上回るペースで推移しているとのことである。
四半期純利益は前年比1.5%増の486百万円に留まった。これは株式会社イデアインターナショナルの財政状態を鑑み、イデアインターナショナル社から引き受けた転換社債型新株予約権付社債400百万円に対し200百万円を貸倒引当金繰入額として特別損失に計上したためである(特別損失合計は204百万円)。
2013年3月期の見通し
売上高は前年比5.5%増の66,000百万円の計画。製品別の内訳は、以下のようになっている。
- サプライ:22,907百万円(前年比5.4%増)
- ストレージ・メモリ:13,314百万円(同18.1%増)
- IOデバイス:5,732百万円(同7.1%減)
- デジタルホーム:15,558百万円(同2.0%増)
- その他:8,487百万円(同4.8%増)
中長期展望
同社は中期経営計画を公表していない。ただし、中長期的な数値目標として、売上高1,000憶円の達成を掲げている(2011年3月期年次報告書で葉田社長が言及)。利益率に関しては特に言及がなされていないが、仮に経常利益率が2011年3月期と同水準の約10%であるとすれば、その際の経常利益は100億円となろう。
同社は、スマートフォン、ストレージ、デジタルホームを牽引役としてみているほか、複数の新規ビジネスを立ち上げ、そのうち幾つかが寄与することを期待していると述べている。
新規事業の具体的な事例の一つが、ハギワラソリューションズ株式会社の再建の模様であり、製品ラインナップの拡充やエレコムの調達ルートを活用した仕入れコストの低減などによって、収益を改善させることを企図している。
海外に関しては、より長いタームを視野に据えた展開を計画しているようであり、売上高1,000憶円の目標達成は国内中心に実現することを念頭に置いているものと思われる。
事業内容
ビジネス
SR社の認識では、同社はPC・AV・タブレット(スマートフォン・電子書籍)関連製品のファブレスメーカーである。ちなみに、同社の葉田社長は自社のことをマンマシン・インターフェースのソリューションを提供する会社と位置付けている。
マンマシン・インターフェースとは、人と機器の間で情報のやりとりを行う際に情報伝達の仲介を行う機器やコンピュータプログラムの総称であり、例として、パソコンの入力用マンマシン・インターフェースとしては、キーボードやタブレット、マウスなどが、出力用マンマシン・インターフェースとしては、ディスプレイ、プリンター、スピーカー、等が挙げられる。
製品セグメント
同社の製品セグメントは4つに分けられて開示されている。各セグメントの取扱商材の例としては下記のようなものが挙げられる。
- 1)サプライ
- 印刷用の用紙やインク、クリーナー等の消耗品。PCケースやバッグ、ラック、マウスパッド、スマートフォン関連のアクセサリ等。
- 2)ストレージ・メモリ
- 外付HDD(ハードディスクドライブ)やNAS等の「ストレージ」、USBメモリやメモリモジュール、デジタルカメラや携帯電話用カードメモリ等の「メモリ」。
- 3)IOデバイス(Input-Outputデバイス)
- マウスやキーボード(Bluetoothキーボードはサプライに含まれる)、テンキーを中心としたPC周辺製品が中心。
- 4)デジタルホーム
- 「AVD(Audio Visual Digital)」と「ネットワーク」に分けられる。「AVD」はポータブルオーディオのヘッドフォンやAVアクセサリ、デジタル家電向け周辺製品などで構成されている。「ネットワーク」は無線LAN、LANアダプタ、スイッチングハブなどPC環境の充実に必要なネットワーク機能を支える製品分野である。
- 5)その他
- ケーブルやモニター等が含まれる。
相対的な位置付けとして、同社はPCサプライ(「サプライ事業」)、PC周辺機器メーカー(「IOデバイス事業」)では国内トップクラスのシェアを誇っている。また、次の柱としてストレージ(主に外付けHDD)やネットワーク(主に無線LAN)にも注力している(外付けHDD、無線LANのシェアは「競合環境」を参照)。
2012年3月期実績でみて、売上構成比が最も高いのはサプライで34.8%、次いでデジタルホームで24.4%となっている。一方、ストレージ・メモリの売上構成比は18.0%に留まる。この理由の一つとして、同社はストレージ・メモリ事業分野で元々後発であったが、1990年代半ばに在庫コントロールに失敗し、一度撤退した経緯が挙げられる。2000年代半ばに再び参入したが、相対的に業界内でシェアが低い。IOデバイスは同社が創業時より手掛ける事業だが、市場が成熟していることもあって売上構成比は9.9%と相対的には低い。
同社は製品セグメント毎の売上総利益率を開示していないが、同社はサプライとIOデバイスの売上総利益率が相対的に高く、ストレージ・メモリとデジタルホームの売上総利益率が相対的に低いと述べている。サプライは消耗品の性質が強いため、不況期でも需要が底堅く推移する上、単価の下落率も低いため、キャッシュカウな事業になっているものとSR社は推測している。
スマートフォン関連製品
日本では2010年後半よりスマートフォン人気が広がり始めた感がある。それに対し、同社は、スマートフォン関連製品(タブレット端末関連製品を含む)として、ケース、保護フィルム、ワイヤレス対応イヤホン、充電器、キーボードなどを手掛けている。こうした製品群は製品セグメントでいえば1)サプライ、4)デジタルホームに分けて計上されている。同社は2012年3月期のこれらスマートフォン関連製品の売上高構成比は約19%(11,906百万円)であったと述べている。
ちなみに、同社によればこうしたスマートフォン関連製品は、新機種発売直後に需要のピークを迎える極めて短い製品寿命が特徴であるという。従って、通信キャリアとのネットワークや商品開発力、在庫管理能力の巧拙などが問われる分野といえよう。
サプライチェーン
同社はファブレスメーカー(fabless:fablication facility less)、つまり製品の企画設計や開発は行うが、製品製造のための自社工場は所有していない。製造自体は生産提携工場に委託し、製品はOEM供給を受ける形で調達し、エレコムブランドの製品として販売している。
同社は概ね約7,000から10,000アイテムを取り扱っている。また、年間2,000アイテム以上を上市している(いずれも2011年3月期)。
- 製造
同社の調達は約45%が海外の受託生産業者からの調達であり、委託生産先は中国メーカーが約76%、台湾メーカーが約22%である。残り約55%は日系商社経由の輸入である。
海外の受託生産業者からの調達はドル建てであり、円・ドルレートの変動影響を受ける。もっとも、同社業績への影響は同社の価格転嫁の仕方、為替予約状況にもよるので、円高イコール業績に好影響とは一概に断じることはできない。
- サプライチェーン
- 出所:同社資料より作成
- 物流
物流センターは国内では、東日本物流センター(東京都江東区)、西日本物流センター(大阪市西淀川区)の2つを構える。同社の場合、取引先からの追加発注の際には、EDIで自動受発注をする仕組みが既に出来上がっており、各顧客別に商品の種類、数量、納期毎に発注のほぼ翌日には納入される。また、海外では、中国塩田港保税物流園区に国際物流の中核拠点をめざした物流拠点を構える。協力工場で生産された製品は、ここから直接海外に配送される。
- マーケティング
販売チャネルは概ね4つ。1)家電量販店を中心にドラッグストア、雑貨店等で構成される「量販ルート」、2)OA商社やSIer(システム・インテグレーター)などの「法人ルート」、3)カタログ・WEBなどの「通販ルート」、4)海外子会社等を通じた「海外ルート」である。同社は自社店舗を有していない。国内でみれば、「量販ルート」の構成比が約70%、「法人ルート」が同20%、「通販ルート」が同10%である。
同社にとって、最も販売構成比の高い顧客は株式会社ヤマダ電機(東証1部9831)であり、売上高構成比で16.9%を占める(2011年3月期)。
- 提案営業による棚管理
- 出所:同社資料より作成
同社が強みの一つとして掲げているのは「営業力」であり、量販店等に対して、「点(商品単品)」を売るのではなく、「面(売り場)」の提案を行っている。すなわち、量販店から売り場スペースを任されて、什器のタイプから商品配置などを同社の営業スタッフが提案している。営業スタッフは、顧客から情報を開発担当者にフィードバックし、次の商品開発に貢献する役割も果たしている。
同社は国内16ヵ所に営業拠点を持ち、営業スタッフ(臨時従業員含む)約500名を各拠点に配置して、日本全国の家電量販店や法人顧客をカバーしている。
- 開発体制
同社は開発部門において、新製品のコンセプトやデザインの開発に取り組んでいる。同社の開発部門には約50名が在籍している(2011年3月末)。
同社が商品開発の際に重視している項目の1つが、デザインである。デザインに関しては、葉田社長のこだわりもあって、創業時より重視しているとのことである。具体的な事例として、1988年に当時角型マウスが主流であった中、同社がたまご型マウスを投入したことが挙げられる。また、2006年に色としては白と黒の2色が主流のイヤホン市場に、女性に特化したイヤホンを投入したのも同社である。デザインは社内の開発部隊で専ら手掛けているが、社外デザイナーに依頼することもある。
同社によれば、商品開発から店頭に商品が並ぶまでに要する期間は、製品によっては1ヵ月未満と短い。例えば、同社がスマートフォン関連商品の需要が高まると確信したのは2010年末とのことだが、本格的に商品開発を手掛けてからわずか数ヵ月にもかかわらず、2011年3月期にスマートフォン関連商品の売上高として約50億円を計上した実績は同社の機動的な対応を物語っている。
- サポートセンター
サポートセンターは札幌にあり、同社によれば365日、土日・祝日も含めて1日2,000件以上の問い合わせに対応しているとのことである。
- 在庫管理
PC 周辺機器市場は技術革新のスピードが速く、製品のライフサイクルが短い。そのため、在庫品の陳腐化リスクが大きく、同社ではリスク低減のため、経験則と実勢をもとに毎月廃棄処分を行い、四半期ごとに所定の評価減を実施している。
究極的なSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)を構築する上での課題は、取引先の在庫状況の正確な把握であると同社は述べている。すなわち、同社が取引先に対して売った製品の動向はほぼ完全に把握できるが、取引先のPOSデータの入手なしに、取引先の商品在庫の動向を精緻に把握するのは困難である。2011年10月時点で、同社はこうした課題解決の手段を探っているとコメントしている。
同社の棚卸資産回転期間は2012年3月期で1.5ヵ月。同社は、スマートフォン関連製品を強化やストレージ等で機会損失を抑えるために厚めに在庫を確保しているとコメントしている。
主な提携先
- 仏LaCie S.A.
同社は2009年10月に仏LaCie S.A.とストレージ事業の事業提携を締結。2010年1月よりLaCie社の商品(LaCieブランド)の日本における独占販売を開始している(LaCie社は日本法人を閉鎖)。LaCie社はストレージ専業メーカーであり、ハードウェア・ソフトウェアの技術者を自社に有し、すべての製品の開発・デザインをパリのデザインセンターで行っている。世界で3,000万人以上のユーザーを抱え、外付HDDメーカーとしては世界で3本の指に入っている。
同社にとっての狙いは、LaCieのスケールメリットを活かし安く仕入れること、製品ラインナップの拡充を計れること、などを通じて、他社に後れをとっていたストレージの梃入れを図ることなどであった。一方、LaCie社にとってのメリットとして、同社の営業基盤を活用して日本市場に自社製品を送り込むことができるという点が考えられる。LaCie社が日本のメーカーの中で同社を提携先として選択した理由は、同社によれば、エレコムの商品デザイン重視の姿勢など両社の方針に共通点があったためとのことである。
同社はそれまで、ストレージの仕入を子会社のロジテック社から行っていたが、上記事業提携後は、専らLaCie社より行っている。これによって仕入価格がそれまでより約3割程度抑制された模様だ。同社はこれによって、競合他社と伍していけるだけの価格競争力を手に入れたと述べている。
海外事業
欧州:ednet GmbH社、韓国:ELECOM KOREA、中国:宜麗客(上海)貿易有限公司と各拠点に子会社を有する。また、シンガポールに、シンガポールのSouth Sea Enterprise Pte. Ltd.と共同出資による合弁会社を設立している。
上図は所在地別の収益を示しているが、収益の大半は日本で計上しており、2012年3月期の時点で、欧州(内訳はドイツ、オランダ、スイス、オーストリア、ベルギー)は営業赤字、その他(内訳は韓国、中国)の営業利益は僅少に留まっている。
主なグループ企業
- ハギワラソリューションズ株式会社
同社は2011年7月、民事再生手続き中であった株式会社ハギワラシスコム株式会社の事業の一部譲受し、「ハギワラソリューションズ」として事業再生に取り組んでいる。譲り受けた事業は、産業機器向けストレージの製造・販売(アミューズメント向けを除く)、コンシューマ向けフラッシュメモリ製品の製造・販売の一部、及び製造装置等に関する機器管理サービス事業の一部である。
同社はハギワラシスコムのSDカード、フラッシュメモリに関する技術力や開発力、販売網をエレコムグループで活用することで事業が発展すると判断したと述べている。
- ロジテック株式会社(連結子会社、出資比率100%)
同社が2004年に株式を取得、子会社化した企業。無線LAN事業に力を入れている。ちなみに、スイスのLogitech International S.A.とは無関係である。
- ELECOM Europe GmbH(連結子会社、出資比率100%)
エレコムブランドのPCサプライ、AV関連製品を中心に欧州地域において拡販を図っている。
- 宜麗客(上海)貿易有限公司(連結子会社、出資比率100%)
- ELECOM KOREA CO .,LTD. (連結子会社、出資比率100%)
- 株式会社イデアインターナショナル(JASDAQ3140、持分法適用会社、出資比率19.7%)
同社は、2010年8月にイデアインターナショナル社が実施した第三者割当増資(約1億円)及び転換社債型新株予約権(発行価額総額は4億円)を引き受けた。イデアインターナショナル社は家電・インテリア雑貨の企画・開発・販売を行っている。
収益性分析
上図は株式会社メルコホールディングス(東証1部6676、ブランドはBuffalo)、株式会社アイ・オー・データ機器(JASDAQ6916)と同社の収益性を比較している。同社の特徴としては、売上総利益率が他の2社よりも高く、売上高販売管理費率を吸収した上で、高い営業利益率に結びついている点といえよう。
SR社は、売上高総利益率の相違として、製品ポートフォリオの違いや収益管理手法等が要因ではないかと考える。製品ポートフォリオの違いとして、同社はサプライ品やPC周辺機器で高いシェアを誇るのに対し、他の2社はストレージ、メモリ、ネットワーク関連製品の構成比が高い。また、単純な横比較は難しいが、同社は経営管理面で、製品・顧客毎に限界利益を管理する手法を取っている。同社はこの分析のために2008年経営管理システムを導入しており、全社的に管理、家電量販店との交渉等に用いている。
SW(Strengths, Weaknesses)分析
強み(Strengths)
- 変化への対応力:同社は、世の中のトレンドを読み、そのトレンドに向けて社内の体制整備を行い、製品ポートフォリオを時代に合わせて変化させている。具体的にいえば、2011年3月期の同社の好決算はPC市場対応からスマートフォン市場及びデジタルホーム市場対応に製品ポートフォリオを変化させ、それがうまくいった結果である。
- 営業力の強さ:同社の国内市場における強みは、その強力な営業力で国内販売店を「面」で抑えている点にあるものと思われる。すなわち、同社の営業スタッフは取引先の販売店に対し、売り場スペースの提案を行うことによって、販売店の手間暇を代行し、販売店にとっての同社の存在意義をより高く、他社では代替しにくい存在にしているといえるかもしれない。また、強力な営業網の存在によって、新製品開発が他社に多少遅れても、後から挽回できるという側面もあるだろう。
- 複数の製品分野における高いシェア:同社はPC周辺製品、PCサプライ、スマートフォン関連製品など複数の製品で高いシェアを有している。従って、顧客と密にコンタクトを取ることにより、他社に先駆けて需要動向を察知し、攻めの商品開発を行うことができる。
弱み(Weaknesses)
- 海外事業の収益性の低さ:海外で成功していない点については同社自身も認めている。同社はこの理由として、同社が日本市場で成功した要因の一つである「強力な営業力」が海外では活用できない点を指摘している。このための打開策として、海外で売れるような製品企画や現地企業との合弁企業の設立などを試みているが、明確な収益寄与は今のところ見えてきてはいない。
- ブランドイメージの希薄さ:SR社の印象では、エレコムブランドはそのシェアの高さに比べてさほど浸透していない。同社はその理由として、エレコムブランドに固定したイメージが付くと、品揃えの自由さという面から制約が生じてしまうからだと述べている。確かに強烈なブランドイメージは柔軟性を損ねる可能性は残るものの、世界的にみて、強烈なブランドイメージと同時に時代に合わせた変化を実現してきた企業は多数存在する。そのため、同社がより高みをめざす上では、ブランドイメージを構築するのも一案とSR社は考える。
- 社長への依存:上記強みである「変化への対応力」を生んでいるのは、トレンドを読み、社内の体制をそれに向けて整備すべく号令をかける役割を果たしている葉田社長に負うところが大きいとSR社は考える。逆にいえば、同社が長期に渡り強みを持続できるか否かを占う上では、葉田社長の後継者に適切な人物がいるかどうかが重要といえよう。葉田社長(1953年10月生まれ)は65歳までは現職を続ける意図を示しており、それまで時間のゆとりはある。しかし、バトンタッチはスムーズに行うに越したことはない。
市場とバリューチェーン
マーケット概略
同社はマンマシン・インターフェースを手掛けており、「マシン」の変化とともに、取扱商材を変化させている。同社はパソコンデスクからビジネスをスタートし、その後マウスやキーボードなどパソコン周辺機器を中心に展開、2006年に上場するまで、同社の収益はパソコン市場の拡大とともに成長してきた。
しかし、パソコン市場の飽和の次に訪れたホームネットワーク機器やスマートフォン、タブレットPC関連製品の拡大を受けて、製品ラインナップのシフトを実現しており、2011年3月期には売上高、営業利益ともに過去最高水準を達成している。その意味において、同社をみる際に重要なのは、特定の「マシン」の市場動向というよりも、今後伸びるであろう「マシン」のトレンドを同社が読んだ上で、それに沿った製品群を提供できているかという点にあるといえるだろう。
参入障壁
一見すると、参入障壁が低いように思われる。しかし、市場として初期の段階では多数の企業が存在しても、その後、淘汰され数社だけメジャープレイヤーが残っているというのが現状であり、その最たる例がPC市場関連製品である。
今後の新規参入を考慮に入れた際、一朝一夕で築くのが難しいのは、同社のもつ顧客とのネットワークであろう。同社は「点」ではなく、「面」の提案を行うことによって、家電量販店を始めとした小売店の手間暇を代行しており、小売店にとって同社の存在感は大きい。また、元々同社と同じような事業を営む企業は多数あったが、多くの企業が淘汰され、同社が生き残ってきた一因は在庫コントロールの厳格さであると同社は述べている。
一方、市場の立ち上がり時期においては、スマートフォン関連製品のように多数の企業が存在している。しかし、時間を経るにつれ、上記のような障壁を乗り越えられずに、優勝劣敗が明らかになっていくというのが同社の見方である。
競合環境
同社の競合先は、メルコHD社、アイ・オー・データ機器社、サンワサプライ株式会社(非上場)などである。
収益性分析等も踏まえたSR社の認識では、ビジネスモデルが同社と近いのはサンワサプライ社であり、メルコHD社と同社のビジネスモデルが重なるのはストレージ・メモリ事業等の一部に限られている。また、メルコHD社とアイ・オー・データ機器社のビジネスモデルが相対的には近いとの印象を受けている。ここでいうビジネスモデルの相違とは、基本的にサプライ品を大々的に手掛けているか否かという点、ファブレスメーカーかより商社に近いビジネスかといったサプライチェーンの違いをさしてのものである。
- ストレージとネットワーク
同社が現在シェア拡大に注力しているストレージやネットワークに関しては、メルコHD社やアイ・オー・データ機器社が相対的に高いシェアを誇る。例えば、BCNランキング(2010年4月~2011年3月、株式会社BCNが発表)によれば、外付HDDではメルコHD社のシェアが46.7%、アイ・オー・データ社のシェアが44.6%であるのに対し、同社(LaCieブランド)は2.8%に留まる。同社は、この点について、同社が後発であったことに加え、ストレージやネットワークがデザインで差別化し難い分野であることを理由に挙げている。
もっとも、外付HDDの同社のシェアは足下で急激に向上、15から20%まで高まってきたとのことだ(2011年10月時点)。同社はこうしたシェアアップの背景として、LaCie社の独占販売を行うことにより価格競争力が増したこと、2011年2月よりシャープ株式会社(東証1部6753)と共同で家電量販店の売場で共同キャンペーンを実施していることが功を奏したと述べている。
ネットワークの無線LANに関していえば、BCNランキング(同上)でメルコHD社のシェアが49.3%と圧倒的である。一方、同社は1年ほど前までは低位にあったシェアを急激に高めているとのことであり、約20%程度のシェアを直近では有しているようだ(2011年10月時点)。同社はこうしたシェアアップの背景として、販売店での販促活動やアフターサービスを充実させるなどの施策を指摘している。つまり、同社は無線LANがコモディティ化するなか、こうした積極的な営業施策がシェアアップにつながったとみている。
- サプライ、PC周辺機器
一方、サプライ品、PC周辺機器において同社は相対的に高いシェアを誇る。全国量販店のPOSデータを集計し、パソコン・デジタル家電製品の年間販売台数第1位の製品を提供した企業を表彰する「BCN AWARD」において、同社は以下の受賞を達成している。マウス、USBなどは11年連続でシェア1位となっているが、近年においては、PCカメラ(周辺機器)、カードリーダなどの分野においてもシェア1位となっていることがわかる。
- スマートフォン関連製品
2011年10月時点で、スマートフォンの周辺製品を手掛ける業者は多数ある。スマートフォン関連製品の市場は、1)スマートフォン用のケース・液晶保護フィルムなどサプライ、2)Bluetooth、ネットワーク、入力機器など周辺機器と大きく2つに分けられるが、同社はサプライで売上規模がNo.1の企業である。
同社はサプライのNo.1企業であるため、他社に先駆けて需要動向を察知し、新商品の開発、市場投入を行うというアドバンテージがあるといえよう。同社はこうしたアドバンテージや在庫コントロールの巧拙によって、向こう2-3年で同社の優位性は更に増し、他の業者の淘汰が進むとみている。
経営戦略
同社の戦略は、マンマシン・インターフェースに特化した上で、時代の変化、トレンドの変化を読みながら自らの体制、製品ポートフォリオを変化させて続けていく点にあると葉田社長は述べている。
また、葉田社長が自社の強みとして指摘しているのが、「デザイン力」、「営業力」、「調達力」の3点。つまり、この3つの力が土台となっていることが同社の変化を支えているともとれる。
葉田社長は、同社にとって、1986年の創業から2010年までを第1期、パソコンの時代だったとすると、2010年から2011年8月までは第2期、スマートフォン、タブレットPCの時代であり、今後を第3期と表現している。そして、第3期において、国内における新たな事業分野、海外事業など新しい成長因子を見つけたいとコメントしている。
その他情報
沿革
同社は1986年に家電量販店向けのOA家具メーカーとして現社長の葉田氏が大阪市で創業した。葉田氏は元々製材工場にて務め、当時のトンネル工法ではトンネルを掘る際の土砂崩れを防ぐために必要とされた製材の販売を行っていた。しかし、その後トンネルの工法が変わり、製材が不要になる体験をした。その時の体験を元に、「会社は一つのドメインに縛られていたらダメで常に変化し続けないといけないという、エレコム社の有り方に生きている」と同氏は述べている。
同社は、当初パソコンデスクの販売からスタートし、OAアクセサリ、マウス、LANなどに取扱商材を広げて行った。創業直後より、北海道から九州まで日本各地に営業所をつくり、地域密着の営業を行っていたが、それが同社の強みの一つである営業力の構築に生きたと同社はコメントしている。
一方、海外ではこうした営業力を活かせず、苦戦してきた。1991年と1999年には北米へ進出、2003年には英国に進出したが、いずれも業績が伸びず撤退を余儀なくされている。創業20年目の2006年11月にジャスダック証券取引所に上場。上場により市場から資金調達を行い、2007年2月にはパソコン関連製品メーカーのednet GmbH(ドイツ)を買収、グループ企業とした。しかし、国内での着実な成長と海外での苦戦という構図はその後も続いているように思われる。
ニュース&トピックス
2012年2月
2012年2月6日、同社は2012年3月期第3四半期決算及び2012年3月期期末配当予想の上方修正(記念配当)を発表した。
配当予想の修正に関し、同社は当事業年度で創業25周年を迎えるため、2012年3月期期末配当金予想について、1株当たり12円の普通配当に記念配当5円を加え、1株当たり17円に修正するとしている。2012年3月期第2四半期末の配当金13円と合せて、2012年3月期年間配当金予想は30円(前回予想:25円)となる。
大株主
有限会社サンズ、株式会社ジャスティンとは葉田社長の資産管理会社である。これら資産管理会社も含めた葉田氏の持分は合計67.7%となる。
株主還元
同社は配当方針として、連結配当性向20%以上を目標としている。











