エン・ジャパン(4849)
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2012年 5月 18日時点
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直近更新内容
概略
2012年5月10日、エン・ジャパン株式会社は2012年3月期通期決算を発表した。
(決算短信へのリンクはこちら、2012年3月期通期決算の項目へのリンクはこちら)
2012年4月27日、同社は2012年3月期通期会社業績予想の修正、配当予想の増額修正を発表した。
(会社業績予想修正のリリース文へのリンクはこちら、配当予想修正のリリース文へのリンクはこちら)
会社予想の修正内容は下記の通りである。
2012年3月期通期
- 売上高:15,687百万円(前回予想:15,580百万円)
- 営業利益:3,047百万円(同2,985百万円)
- 経常利益:2,884百万円(同2,857百万円)
- 当期純利益:1,135百万円(同1,403百万円)
同社は、人材採用ニーズの高まりにより、業績が堅調に推移したことから売上高、営業利益、経常利益は前回予想を上回る見込みとしている。
一方、結婚式場情報サイト「エン・ウエディング」は、事業の撤退を決定。また、経営人事戦略システム「FINE」について、事業を関係会社に移管することとしたとのことだ。これらによって、減損損失136百万円を計上する見込み。また、総合求人情報サイト「[en]チャレンジ!はた☆らく」の2012年3月期、2013年3月期以降の業績見通しを勘案し、減損損失244百万円を計上することとしたとしている。これらの理由により、特別損失として計687百万円を計上、当期純利益は上記数値の通り下方修正された。
配当予想は、1株当たり配当金(期末)予想が従来の1,825円から1,850円へと増額修正された。増額修正の理由として、上記の通り、本業が好調であること、2012年3月期に大きな投資案件がなかったことを同社は指摘している。
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業績動向
四半期業績動向
2012年3月期通期実績
2012年5月10日、同社は2012年3月期通期決算を発表した。
売上高は15,687百万円(前年比21.7%増)、営業利益は3,047百万円(同33.6%増)、経常利益は2,884百万円(同27.4%増)、当期純利益は1,135百万円(同8.4%増)であった(注)。
- 注:前年比は2010年1月-2011年3月実績との比較、以下同様。
売上高は前年同期より2,800百万円の増加となったが、そのうち約1,660百万円についてはエンワールド・ジャパン株式会社(en world Japan K.K.、以下EWJ社、旧ウォールストリートアソシエイツ株式会社)を2010年9月より新たに連結化したことなどが寄与している。ただし、それを除いても「[en]社会人の転職情報」が前年同期より約700百万円増となるなど、既存事業が好調であったことも寄与した。「[en]社会人の転職情報」の増収にはサーチ型採用ソリューション(成果報酬型求人広告)も寄与している。
各事業の概要(2012年3月期通期)は以下のようになる。
中途採用事業:売上高13,617百万円(前年比22.8%増)、営業利益3,637百万円(同7.8%増)
新卒採用事業:売上高1,614百万円(前年比17.5%増)、営業損失197百万円(前年同期は474百万円の営業損失)
教育・評価事業:売上高303百万円(前年比4.0%減)、営業損失37百万円(前年同期は13百万円の営業損失)
その他事業:売上高152百万円(前年比92.4%増)、営業損失356百万円(前年同期は606百万円の営業損失)
2012年3月期第4四半期実績
2012年2月9日、同社は2012年3月期第4四半期の決算及び会社予想(2012年3月期第4四半期累計期間、通期)の修正を発表した。
2012年3月期第4四半期累計期間の売上高は12,357百万円(前年比23.7%増)、営業利益は2,587百万円(同45.8%増)、経常利益は2,447百万円(同35.7%増)、四半期純利益は1,185百万円(同35.4%増)であった。
売上高は前年同期より2,365百万円の増加となったが、そのうち約1,530百万円についてはWSA社を2010年9月より新たに連結化したことなどが寄与している。ただし、それを除いても「[en]社会人の転職情報」が前年同期より約590百万円増となるなど、既存事業が好調であったことも寄与した。「[en]社会人の転職情報」の増収にはサーチ型採用ソリューション(成果報酬型求人広告)も寄与している。
会社予想との比較では、売上高はほぼ会社予想並みの実績であったが、広告宣伝費・販売促進費、人件費等を始めとした費用が計画を下回った結果、営業利益は会社予想を10.9%(254百万円)上回った。
2012年3月期第4四半期会計期間に関していえば、売上高実績は3,455百万円でありほぼ計画並み、一方営業利益は906百万円と計画を250百万円程度上回った格好だ。
同社は市場環境について、企業の人材採用意欲は引き続き高い状態が続いたとしている。特に、各就業形態において、SNS、スマートフォン関連の募集が旺盛だったほか、グローバル展開を加速する企業が増加傾向にあることから、バイリンガル及びハイクラスの求人案件が増加したとのことだ。
売上高の内訳に関していえば、「[en]社会人の転職情報」が計画を下回ったものの、「[en]学生の就職情報」や「WSA社」が計画を上回った格好。
「[en]社会人の転職情報」に関していえば、組織変更やサイトリニューアルの実施により、一時的に営業効率が低下した模様。同社は2011年10月に、これまでの商品毎の組織形態を顧客毎の組織形態に改め、同一顧客に対してクロスセリングをより進めやすい体制を整えている。また、サイトリニューアルに関しては、2011年12月19日にリニューアルを実施。業界初となる「あなたを求める企業」コーナーを新設し、各求職者に興味を持っている企業を一覧で表示できるようにするなど、今まで以上に求職者と求人企業のマッチングにこだわるサイトにしたとのことである。上記営業効率の低下に関しては、2012年に入り、既に解消されたと同社は述べている。
「[en]学生の就職情報」に関していえば、2013年3月卒業予定学生の採用活動の開始は例年より2ヵ月遅い12月となったが、ターゲットとする中堅・中小・ベンチャー企業の採用意欲は昨年並みであったことなどから、計画を上回ったとのことである。
営業利益に関しては、広告宣伝を効率的に行えたことなど費用が計画を下回ったことによって、計画を上回る実績となった。
同社によれば各事業の概要(2012年3月期第4四半期累計期間)は以下のようになる。
中途採用事業:売上高10,740百万円(前年比26.0%増)、営業利益3,075百万円(同16.6%増)
- 「[en]社会人の転職情報」:サーチ型採用ソリューションの掲載件数が前年比159.7%増となるなど順調に推移
- WSA社:企業におけるグローバル人材の採用意欲が高く、ニーズに即した人材を紹介できたことから計画を上回る売上高となった売上高は前年比4.7%増の2,250百万円、営業利益は同1.5%減の406百万円であった
- [en]派遣のお仕事情報:スマートフォン関連の派遣スタッフ(販売職種中心)の旺盛な採用ニーズに牽引され、掲載件数の緩やかな回復傾向が続いた
- [en]転職コンサルタント:第4四半期会計期間に売上高が13四半期ぶりに前年同期を上回った
- [en]チャレンジ!はた☆らく:マーケットの需要が回復傾向にあること等により堅調に推移
新卒採用事業:売上高1,262百万円(前年比12.4%増)、営業損失170百万円(前年同期は363百万円の営業損失)
教育・評価事業:売上高241百万円(前年比17.3%減)、営業損失24百万円(前年同期は6百万円の営業利益)
その他事業:売上高112百万円(前年比112.4%増)、営業損失294百万円(前年同期は504百万円の営業損失)
同社は上記結果を踏まえ、2012年3月期通期予想を下記の通り上方修正した。なお、当期純利益についても前回予想より上方修正が行われているが、税制改正による実効税率の変更等により、増加率は営業利益及び経常利益よりも小幅に留まっている。
2012年3月期通期の会社予想
- 売上高:15,580百万円(据え置き)
- 営業利益:2,985百万円(前回予想2,780百万円)
- 経常利益:2,857百万円(同2,685百万円)
- 純利益:1,403百万円(同1,384百万円)
注:上記前年比は2010年1月から12月までとの比較
2012年3月期第3四半期実績
2011年11月10日、同社は2012年3月期第3四半期の決算及び会社予想(2012年3月期第4四半期累計期間、通期)の修正を発表した。
2012年3月期第3四半期累計期間の売上高は8,902百万円(前年比34.3%増)、営業利益は1,680百万円(同99.5%増)、経常利益は1,533百万円(同76.4%増)、四半期純利益は687百万円(同68.1%増)であった。
売上高は前年同期より2,271百万円の増加となったが、そのうち約1,520百万円についてはWSA社を2010年9月より新たに連結化したことなどが寄与している。ただし、それを除いても「[en]社会人の転職情報」が前年同期より約580百万円増となるなど、既存事業が好調であったことも寄与した。「[en]社会人の転職情報」の増収にはサーチ型採用ソリューション(成果報酬型求人広告)も寄与している。
2012年3月期第3四半期会計期間の売上高は3,162百万円(前年比31.2%増)、営業利益は717百万円(同96.7%増)であり、会社予想の売上高3,070百万円、営業利益500百万円を上回った。同社によれば、業界環境としては、景気の先行きに不透明感はあるものの、企業の人材採用意欲は夏以降も衰えはみえず、求人倍率も改善傾向が続いているとのことである。その上で、中途採用事業が引き続き堅調に推移。特に「[en]社会人の転職情報」やウォールストリートアソシエイツ株式会社(以下、WSA社)が計画を上回る好調な実績となったことが売上高において計画を上回った背景として挙げられる。また、営業利益に関しては、そうした売上高の上振れに加え、一部経費の使用が後ずれしたことにより、計画を上回る結果になったとのことである。
同社によれば、各事業の概要(2012年3月期第3四半期累計期間)は以下のようになる。
中途採用事業:売上高8,022百万円(前年比36.9%増)、営業利益2,357百万円(同31.4%増)
- 「[en]社会人の転職情報」:中途採用ニーズの回復を受け、掲載件数は前年比8.9%増。サーチ型採用ソリューションの掲載件数は前年比176.3%増
- WSA社:外資系企業の旺盛な採用意欲が継続し、堅調に推移
- [en]派遣のお仕事情報:掲載事業所数にも改善がみられ、緩やかな回復が継続
- [en]転職コンサルタント:人材紹介マーケット全体としては回復基調にあるものの、一部の大手人材紹介会社に案件が集中しており、同社の主な顧客である中小の人材紹介会社は依然として厳しい状態が継続
- [en]チャレンジ!はた☆らく:マーケットの需要が回復傾向にあることに加え、営業効率化を推進したことにより、好調に推移
新卒採用事業:売上高620百万円(前年比18.0%増)、営業損失418百万円(前年同期は557百万円の営業損失)
教育・評価事業:売上高176百万円(前年比19.0%減)、営業損失24百万円(前年同期は12百万円の営業利益)
その他事業:売上高83百万円(前年比213.5%増)、営業損失234百万円(前年同期は407百万円の営業損失)
同社は第3四半期累計期間の実績が計画を上回る結果となったことから、第4四半期累計期間の会社予想を前回予想よりも微増としたとコメント。一方、今後の経済情勢が不透明であることから、売上高及び営業利益の通期会社予想は変更していないとしている。もっとも、2011年11月中旬時点で、そうした景気失速懸念の影響が同社のビジネスには顕在化していない模様であり、引き続き良好な業界環境は続いているとのことである。
なお、通期会社予想の経常利益及び当期純利益については、財団設立等により営業外費用が前回予想よりも増加する見通しとなったため、微減としたとのことである。
2012年3月期第4四半期累計期間の会社予想
- 売上高:12,308百万円(前回予想12,240百万円)
- 営業利益:2,333百万円(同2,200百万円)
- 経常利益:2,207百万円(同2,131百万円)
- 純利益:1,120百万円(同1,080百万円)
2012年3月期通期の会社予想
- 売上高:15,580百万円(据え置き)
- 営業利益:2,780百万円(据え置き)
- 経常利益:2,685百万円(前回予想2,732百万円)
- 純利益:1,384百万円(同1,420百万円)
2012年3月期第2四半期実績
2011年8月11日、同社は2012年3月期第2四半期の決算を発表した。
2012年3月期第2四半期累計期間の売上高は5,740百万円、営業利益は963百万円、四半期純利益は452百万円であった。参考までに、前年同期の個別業績と比較すれば、売上高は前年比36.0%増、営業利益は同101.6%増、四半期純利益は同99.7%増となった。
売上高は前年同期より1,519百万円の増加となったが、そのうち1,011百万円についてはWSA社を2010年9月より新たに連結化したことが寄与している。ただし、それを除いても「[en]社会人の転職情報」が前年同期より384百万円増となるなど、既存事業が好調であったことも寄与した。「[en]社会人の転職情報」の増収にはサーチ型採用ソリューション(成果報酬型求人広告)も寄与しており、サーチ型採用ソリューションによる入社人数は2012年3月期第2四半期累計期間だけで、2010年12月期通期実績の2倍以上となるなど、成果が上がってきている。
営業利益は、堅調な売上高、経費削減および一部経費の使用が第3四半期以降に後ずれしたことなどから大幅増益となった。
2012年3月期第1四半期実績
2011年5月12日、同社は2012年3月期第1四半期の決算を発表した。
2012年3月期第1四半期の売上高は2,896百万円、営業利益は505百万円、四半期純利益は172百万円であった。参考までに前年同期の個別業績と比較すると、売上高は前年比36.7%増、営業利益は同55.0%増、四半期純利益は同16.3%増であった。
売上高は前年同期より778百万円の増加となったが、そのうち482百万円についてはWSA社を2010年9月より新規連結化したことが寄与している。しかし、それ以外にも「[en]社会人の転職情報」が前年同期より216百万円増となるなど求人情報サイトは5サイト中4サイトが前年同期を上回る結果であり、既存事業が好調であったことも寄与した。
営業利益は売上高が好調に推移したことや東京オフィスの移転により地代家賃が減少したことなどにより大幅な増益となった。四半期純利益が前年比16.3%増に留まるなど、増益率が営業利益と比較すると低いがこれは、子会社設立費用や固定資産除却損などで合計146百万円の特別損失を計上しているためである。
2013年3月期の見通し
中長期展望
同社は中期経営計画にて、2014年3月期の売上高24,270百万円、営業利益4,500百万円を目標としている。
SR社の理解では、同社の中期経営計画における注力事項は、1)既存事業の強化、2)人材事業分野(中途採用事業、新卒採用事業)における新規展開、3)人材事業分野以外の早期育成、等である。
1)既存事業の強化の一環として、同社は「[en]社会人の転職情報」サイトにおいてサーチ型採用ソリューション(「ビジネス」の項を参照、求人広告の成功報酬モデル)を導入、新たな商品として伸ばしている最中にある。リーマンショック後、企業の採用基準が厳格化する中、同商品に対するニーズは高まりつつあるようである。これによって、これまで大手人材紹介業者(リクルートエージェント社、インテリジェンス社など)が主に手掛けてきた年収400万円以上600万円未満といったボリュームゾーンの求人案件及び求職者を獲得できれば、同社の成長に十分寄与するポテンシャルがあるものとSR社は考える(「経営戦略」の項を参照」)。
2)人材事業分野における新規展開とは、アジア・太平洋地域への展開や新規事業の立ち上げをさす。アジア・太平洋地域への展開としては、WSA社のビジネス基盤を活用して人材紹介事業を行うシンガポール拠点を開設したほか、2011年1月に「職縁人力資源(上海)有限公司」を設立し、人材紹介事業を行っている。また、中国の北京で求人広告サイトの運営(同社は2006年7月に中国のネット求人広告会社「英才網聯(北京)科技有限公司」に出資、出資比率49%で2012年3月期第2四半期より持分法適用会社)を行っている。 新規事業展開として、Facebookを活用した採用支援ツール「enTree Work(エントリーワーク)」の立ち上げやその他新サービスを検討中であるとしている。
3)人材事業分野以外の早期育成とは、「FINE」、「エン・ウエディング」などの収益化への取り組みである。2011年9月時点ではやや苦戦気味であり、計画値を見直し中とのことである。
事業内容
ビジネス
同社は、インターネット上での各種求人広告サイトの運営を主力事業として展開している。インターネット求人広告のパイオニア的存在であると同時に、インターネット求人専業としては大手である。
セグメントは1)中途採用事業、2)新卒採用事業、3)教育・評価事業、4)その他事業の4つから構成されている。主力事業は、1)中途採用事業であり、同事業では4つの求人情報サイトを運営している。また、2)新卒採用事業では1つの求人情報サイトを運営している。
ビジネス・モデル
同社の顧客は、一般企業と人材関連企業(人材紹介会社、人材派遣会社)に大別される。
一般企業は、同社のサイト(「[en]社会人の転職情報」、「[en]チャレンジ!はた☆らく」、「[en]学生の就職情報」)を通じて直接求職者を募集する格好となる。同社は企業に対して求人広告を企画・提案し、インターネット上にある同社求人情報サイトの広告枠を販売している。一方、会員である求職者には無料で求人情報を提供している。
人材関連企業に対し、同社はインターネット上にある同社情報サイトの広告枠を販売し、会員である求職者には無料で人材関連会社と人材関連会社の有する求人情報を提供している。
一般企業の求人広告は同社が作成している。一方、人材関連企業の情報、人材関連企業が有する求人情報は人材関連企業が作成している。主力の「[en]社会人の転職情報」の広告は1クール=4週間掲載である。プランにより広告掲載料は異なるものの、求人広告はすべて同社が作成する。各サイトの広告掲載料の平均単価は、プランの販売構成比によって変動する。
同社は2010年3月より、「[en]社会人の転職情報」において、「サーチ型採用ソリューション」という求人広告の成功報酬モデルを開始している。サーチ型採用ソリューションは企業が求人広告を掲載し、実際に採用に至った際に、料金を徴収する仕組みである。
中途採用事業(2010年12月期連結売上構成比:85.3%、営業利益構成比:148.6%)
当該事業は大まかに、1)中途正社員、派遣社員およびアルバイト・パートの求人情報を掲載する各種サイトの運営、2)バイリンガル人材の人材紹介を行う、の2つに業務を分けることができる。従来は1)のみを手掛けていたが、2010年8月にウォールストリートアソシエイツ株式会社の株式を取得、連結子会社化したことで、2)の業務も手掛けることになった。
同社が当該事業で運営しているサイトは「[en]社会人の転職情報」、「[en]転職コンサルタント」、「[en]派遣のお仕事情報」、「[en]チャレンジ!はた☆らく」の4つのサイトである。
- [en]社会人の転職情報(2010年12月期連結売上構成比:43.1%)
求人情報や転職に関わる情報をインターネット上に掲載する総合転職情報サイト。業界第2位の規模を誇る(同社推定)。全社的な売上構成比が高く、同社の主力サイト的な位置付けとなっている。2011年6月末の時点で会員数は2,910千人である。 クライアントである一般企業には5つの基本プランが用意されている。5つの基本プランは、サービス内容に応じて料金が異なっており、顧客企業は5つの基本プランのうちのいずれかを(オプションの有無も含めて)選択することができる。
サイトは、求職者が単に求人を行っている企業を検索して応募をするといった活用方法だけではなく、求職者各人の希望就業条件に合致した新着求人情報をメール配信するサービスや、企業が求める「スキル」や「キャリア」を有する求職者の専用ページに求人情報を表示するマッチングシステム、スキルや経験を匿名公開している求職者に対して企業側からスカウトを行うことができるスカウト機能ななども有している。
上記、基本プランは、検索画面での掲載順位、追加インタビュー記事(詳細情報オプション)の有無、スカウト機能や新着求人情報メールなどの有無によって、5段階に分けている。一番上のプランと一番下のプランでは約90万円程度の差があり、サイトの平均単価は、クライアントがいずれの基本プランを選択するかによって変動する。
同社によれば、「[en]社会人の転職情報」の特徴は以下3つである。
1.同社の営業員が全ての情報を1社1社独自に取材・撮影していること
2.同社のコピーライターが求職者の立場に立った正直かつ詳細な求人情報を掲載していること
3.企業の雰囲気を伝えやすくするため、全情報に職場風景等の動画を掲載していること
求人広告に限らず、一般的に企業は顧客(当業界の場合、一般企業)をユーザー(当業界の場合、求職者)よりも優先しがちであるが、同社の場合は、どちらかといえばユーザー目線からサイトを作成している。営業社員が営業から取材(ヒアリングや写真や動画の撮影)、簡単な原稿の作成までを行い、コピーライターがその後、詳細な求人情報を作成するといった具合に役割分担がなされている。
サーチ型採用ソリューション
「[en]社会人の転職情報」で2010年3月よりスタートした求人広告の成功報酬モデル。同社は求人情報サイトの広告枠を企業に対して販売しているが、サーチ型採用ソリューションは企業が求人広告を掲載し、実際に採用に至った際に、料金を徴収する仕組みである。同社によれば、2008年のリーマンショック後に、ピンポイントで優秀な人材を採用したいとのニーズが高まるなか、サーチ型採用ソリューションに対するニーズは高まりつつあるという。同社にとって、当該商品の収益性は成約率(求職者が採用される確率)の高低によって変動することになり、成約率が高ければ、既存のビジネスよりも高い収益が確保され、成約率が低ければ、コスト負担が大きくなる。同社によれば、サーチ型採用ソリューションを提供することによる追加的コストは限定的とのことだが、現在の成約率には満足しておらず、更に上げていく必要があると述べている。
- [en]転職コンサルタント(2010年12月期連結売上構成比:8.4%)
日本最大の人材紹介会社の集合サイト(同社推定)。求職者は、特徴(業界・職種・分野・地域等)や求人情報から人材紹介会社を検索し、エントリーすることができる。また、転職活動中あるいは、転職活動を終えた後に、人材紹介会社に対する評価を行うことができる(求職者による人材紹介会社の5段階評価)ため、他の求職者はその評価を参考にすることができる。
人材紹介会社は、自らの顧客企業の求人情報を掲載、応募してきた求職者とコンタクトを取り、その後の求職者の転職活動に携わることができる。また、スキルや経験を匿名公開している求職者に対して人材紹会社がスカウトを行うことができる。
同サイトに掲載されている求人情報は、一般の求人広告としては掲載されない、人材紹介会社が企業から特命で募集を依頼された案件が多い。
2011年6月末の時点で会員数は660千人である。
- [en]派遣のお仕事情報(2010年12月期連結売上構成比:17.5%)
人材紹介会社の集合サイトであり、日本で第2位の規模を誇る(同社推定)。求職者は人材派遣会社に関する情報や求人情報を検索し、選択することができる。具体的には、求職者は、各社の登録拠点や得意分野から、自分に合った派遣会社を探し、自分がチェックをした派遣会社に一括で登録申し込みをすることができる。また、職種、勤務地、時給から自分にあった仕事情報を検索し、希望の仕事を紹介してくれる派遣会社に登録することができる。
2011年6月末の時点で会員数は780千人である。
- [en]チャレンジ!はた☆らく(2010年12月期連結売上構成比:8.2%)
アルバイト・派遣社員・正社員などの求人情報を掲載する総合求人情報サイト。同社は2010年12月にサイトをリニューアルし、それまでのアルバイトに加え、派遣社員や正社員などあらゆる雇用形態の求人情報を掲載するサイトとした。「チャレンジ」、「再チャレンジ」をテーマとした求人サイトとなっており、「既卒未就業者」、「女性求職者」向けの特設ページも設置している。
2011年6月末の時点で会員数は625千人である。
- ウォールストリートアソシエイツ社(以下WSA社)
同社が2010年8月に連結子会社化した人材紹介会社。1997年に設立された正社員および契約社員を対象にバイリンガル人材を企業に紹介する人材紹介会社。外資系企業やグローバルに展開する日系企業が主要顧客である。2010年4月期の実績は売上高1,859百万円、営業利益301百万円。
同社はWSA社買収の目的は海外展開を進展させるためとコメント。WSA社は外資系企業やグローバル展開する日系企業が主要顧客であることから、日本で築いたパイプを主要顧客の海外拠点においても活かせるのではないかとの考えに基づく。2011年9月時点でシンガポールオフィスを開設済み。他のエリア(他国)への展開も計画中とのことだ。
- enTree Work(エントリーワーク)
「enTree Work」は、2011年5月より提供しているソーシャルリクルーティングツール。Facebook上での転職活動・採用活動を支援するFacebookアプリである。2011年9月時点では無償提供だが、同社は将来的には有料化をめざす方針である。
欧米では、LinkedInなどのビジネスSNS(ソーシャルネットワークサービス)を利用する採用手法が一般的となっており、日本国内においても、企業が求めるターゲット人材をより効率的に採用する手段として、SNSの活用ニーズが高まることも考えられる。こうした状況を背景に、SNSを活用した採用・転職活動サービスについて2011年1月から企画・検討を行ってきたという。
同社は、enTtree Workを活用することによって、求職者、採用企業に以下のようなメリットがあるとしている。
求職者
1.自身の人脈(Facebook上での知人とのネットワーク)を利用し、転職活動を行える
2.Facebook上で友人・知人の在籍企業および求人情報の表示が可能となる
3.在籍社員による企業評価の表示機能を有する
採用企業
1.自社の社員を通じて、社員の友人に直接アプローチすることが可能となる
2.Facebook上での求人情報の公開及び告知ができる
3.自社社員のFacebook上の友達の一覧表示及びアプローチが可能となる
(自社社員の友達の友達がenTree Workに登録している場合は、その人へのアプローチ可)
新卒採用事業(2010年12月期売上構成比:11.2%、営業損失364百万円)
大学生・大学院生向けの就職情報を掲載する求人情報サイト運営の他、求人企業の採用活動のサポートや適性テストの提供等を行っている。
- [en]学生の就職情報(2010年12月期連結売上構成比:10.1%)
中堅・中小・ベンチャー企業に特化した大学生・大学院生向けの就職情報サイト。同社は、2012年3月卒業学生向けサイトから、同業他社との差別化のために、大企業の求人情報を掲載せず、中堅・中小・ベンチャー企業の求人情報のみを掲載している。学生にも企業の特長が判断しやすいよう5つの観点(「人財育成力」、「独自性」、「収益力」、「社会貢献力」、「正直力」)について三ツ星評価で表示している。その他にも、求人企業の概要、待遇、仕事内容等の情報のみならず、同社独自企画の特集記事(「プロの仕事企画」)の掲載などが特徴となっている。
教育・評価事業(2010年12月期売上構成比:2.9%、営業利益構成比:0.3%)
社員研修や適性テストの開発、人事制度の構築などを行っている。
社員研修に関していえば、同社は「エンカレッジ」という名称の定額制研修サービスを提供している。「エンカレッジ」とは、入会金(105,000円)と月会費の支払い(従業員数に応じて31,500円~126,000円)のみで企業が希望する講座を好きなだけ受講することができる研修サービスである。講座数は約100であり、経営者向け、管理職向け、営業向け、若手社員向けなど各職種、ポジションに対応している。同社は対象顧客として従業員数で300名以下の企業を想定している。
その他事業(2010年12月期売上構成比:0.5%、営業損失505百万円)
人事トータル支援システム「FINE」の販売、結婚式情報サイト「エン・ウエディング」の運営を行っている。2008年のリーマンショックとその後の業績悪化を受けて、同社は中途採用事業、新卒採用事業が景気の影響を受けやすいことを改めて認識し、景気に対する影響を少しでも減らすことを目的に、新規事業を立ち上げている。
「FINE」は同社が2010年2月より営業開始した、クラウド型人事システム及び人事アウトソーシングサービスである。人事アウトソーシングには、給与計算の他、就業管理の催促や社員かの問合せ対応まで幅広い領域が含まれる。同社は出資先のラクラス株式会社(同社の出資比率は15.2%)から人事システム及び人事アウトソーシングサービスのOEM供給を受け、同社独自の戦略人事サービスを付加した上で、同社のブランドとして商品として提供している。顧客は、従業員1,000人以下の中堅中小企業をターゲットとしており、同社は対価として、導入費及び月額利用料を受け取ることになる。
「エン・ウエディング」は、2009年12月にオープンし、2010年4月より有料化を開始した結婚式情報サイトである。同社は結婚式場各社から広告掲載料を得ている一方、ユーザーには無料で情報を提供している。同社は、サイトの特徴として、「求人広告で培った詳細な情報提供」、「リーズナブルな広告掲載料」、「様々なプラン・スタイルから探す機能」などを挙げている。
なお、「エン・ウエディング」は事業開始以来、当初想定した事業計画との乖離が継続しているため、2012年6月末をもって事業から撤退することとなった。また、「FINE」は、2012年7月より事業を関係会社に移管することとなった。
SW(Strengths, Weaknesses)分析
強み(Strengths)
- マネジメントの革新性および決断力:同社はインターネット求人広告のパイオニアであり、インターネットでのサービス提供は1995年にまで遡る。同社はそれまでの紙媒体からインターネット媒体への変革を進めると同時に、競合企業の盲点を突くことによって、業界大手企業の地位を築いた。すなわち、同社はコアビジネスに集中し、同業他社よりも一歩先を行くことによって成長を遂げた。今後に関しても、越智代表取締役会長は大株主でもあり、継続的な企業価値向上に対するインセンティブは高いものと考えられる。
- 高い市場シェア:「競合環境」の項にも記載しているが、同社が気に掛けるべき競合先は1社だけといっても過言ではない。500万人強の会員と累計6万社の顧客を抱える(2011年9月時点)ことによって、同社は高い参入障壁を築いている。
- 高い財務健全性:大規模な設備投資が不要なビジネスである上、リーマンショック後においても一定の利益水準を維持してきた実績の積み重ねから同社の財務体質は強固である。無借金であり純資産比率は80%超、総資産の40%強を占める現預金を有する(2010年12月末)。また、2008年の金融危機を経て利益率は低下したが、それでもなお高い利益率を誇る。
弱み(Weaknesses)
- 景気変動リスクの高さ:同社が中途採用を対象とした求人広告市場の大手企業であること、紙媒体からネット媒体への移行も一巡しつつあることなどを踏まえれば、同社の業績は景気変動影響を受けやすいものと推測される。実際、同社の売上高の増減は日本の景気サイクルとほぼ一致している。同社もこうした景気変動リスクを抑制すべく、新規事業の立ち上げを試みてはいるが、収益寄与の本格化は未だ成し遂げられておらず、当面景気変動リスクが高い状態は続こう。
- 新規参入の脅威:諸々の参入障壁があり、ビジネスを確立することが難しい業界であることはSR社も認識している。しかし、利益率が高い業界であり、同社がかつて推し進めた紙媒体からインターネット媒体への変化と同様の業界構造転換を狙った企業の参入は今後も想定し得る。同社も、ソーシャルリクルーティングツールも提供してはいるが、媒体の変化によって、同社もビジネス・モデルの変革を迫られるかもしれない。
- 不透明な新規事業の成否:同社の現行のポジションを築く上で、プラスに寄与した「コアビジネスへの集中」、すなわち、日本における求人広告事業への集中は、逆にいえば、同社の専門性が特定分野に絞られていることであり、新規事業を立ち上げるに際しては、その専門性を限定的にしか活かせないことを意味するかもしれない。結婚式情報サイトがその典型例であり、2011年9月までのところ収益寄与は限定的である。同じように、海外展開に関しても、現地の情報や言語の問題などをクリアしなければならない。WSA社を軸に同社は海外展開を行っていこうとしているが、大々的に成功できるか否かは不透明である。
コスト分析
同社のコスト構造をエン・ジャパン社単体の数値を基に分析する(単体の数値は売上、営業利益ともに連結業績の大半を占める)。売上総利益率は82.3%から91.0%の間で推移している(2006年12月期から2010年12月期)。売上原価の内訳をみると、人件費(原稿制作費、つまりコピーライターなどの人件費)やサイト運用費(サーバー等の減価償却費及びサイト維持管理費)の占める比率が高く、売上原価は固定費的性質が強いといえよう。従って、売上総利益率の変動は、専ら売上高の増減に応じて決まるものとみられる。
営業利益率は12.3%から33.3%の間で推移している(2006年12月期から2010年12月期)。売上高販売費比率は2006年12月期、2007年12月期とほぼ同水準であった。というのも、同社は売上高の伸びと歩調を合わせ、人員の採用や広告宣伝費を積極的に投下してきたためだ。しかし、2008年12月期以降の売上減によって同社はそうした販売管理費の削減を迫られる。同社は2009年12月期に大規模な希望退職を実施、広告宣伝費も大幅に削減した。また、2010年12月期には地代家賃もカットした。こうした販売管理費のドラスティックな削減によって、営業利益率は以前の30%強の水準からは低下したものの、2008年12月期から2010年12月期の期間でも二桁を維持した。
同社の販売管理費の内訳をみていくと、人件費、広告宣伝費・販促費の占める比率が高い。
人件費は概ね同社の営業員等に対する給与手当や賞与であり、同社のビジネスにとっては重要な要素である。2007年12月期まで、需要が堅調であったこともあり、同社は若いやる気のある営業員を積極的に採用、売上、人件費ともに伸ばしてきた。しかし、需要が縮小する期間においては、人件費は固定費的な性格を持ち、利益率を低下させる。同社はこうした懸念を迅速な早期退職制度の実施等によって回避はしたが、広告の平均掲載単価の低下などによって、一人当たり売上高はピーク時から大幅に落ち込んだままである。
広告宣伝費・販促費は、構成比が高いが、変動費的性格が強く、コントロールが比較的しやすい側面はあろう。需要が強かったことや一人当たり売上高が高かったこともあり、2006年12月期の同費用は売上高の27.5%を占めていた。しかし、同社はその後同費用を売上高の20%程度に抑制、その程度が適度であろうと述べている。SR社はこの点について、寡占化された市場とはいえ、高いシェアを維持するために、相応の広告宣伝費が必要であるためと認識している。
SR社は、同社の追加的なコスト削減余地もある程度限られるのではないかとみている。広告宣伝費・販促費を売上高対比で更に低下させるのは、リクルート社など競合他社の存在を踏まえれば難しいだろう。また、人件費の絶対額を更に減らすのも、今後の同社の成長ポテンシャルに影響を与えるという点を踏まえれば、容易ではないものと思われる(同社の今後の成長戦略については「経営戦略」の項を参照)。
市場とバリューチェーン
マーケット概略
同社の業績をみる上で重要なのは、求人需要の動向である。企業による求人需要の増減に比例して同社の主たる収入源である求人広告も増減するためだ。また、同社にとってユーザーである求職者数の動向も、同社のサイトの価値をみる上で、あるいは同社が成功報酬型の料金設定の比率を高めようとするなかで重要といえるだろう。求職者数に対する求人数、いわゆる求人倍率が低いほど、企業の交渉力が高まり広告掲載料を下げようとするインセンティブが働くであろうし、求人倍率が高いほど、企業の交渉力が弱まり広告掲載料を下げるよりも確実に採用を確保しようというインセンティブが働くと考えられるためである。
出所:厚生労働省「一般職業紹介状況」よりSR社作成
有効求人数(新規求人数+前月から繰り越した求人数、新規学卒者除きパート含む)の推移を厚生労働省が発表している「一般職業紹介」からみると、2000年(暦年、以下同様)から2002年にかけてはITバブル崩壊とそれに伴う景気後退によって求人数は低迷を余儀なくされた。しかし、2003年から2007年にかけては第二次大戦後では最長の景気回復に、企業間で台頭した団塊世代の退職に伴う労働者不足への危機感が加わり、有効求人数は200万人台に達した。2006年の有効求人数229万人は日本経済史上、過去最高水準である。
しかし、その後の世界的金融経済危機を経て有効求人数は2009年には約131万人と1999年以来の水準にまで落ち込んだ。2009年年央を底に、求人数も戻りつつあるが、2011年7月時点で約160万人と本格回復には未だに至っていない。
参入障壁
インターネット媒体における求人広告、特に中途採用分野で、同社はブランドを築いており、当該市場においては、同社とリクルート社の2社で市場の大半を占めている。すなわち、ほぼ寡占化された市場への参入障壁は高いものと考えられる。ただし、今後、同社がかつてそれまでの紙媒体からインターネット媒体へと求人広告の変革を推進したように、インターネット媒体が新たな媒体に主役の座を明け渡すときがくるかもしれない。その際は、こうした参入障壁が通用しない可能性もある。
競合環境
人材ビジネス業界は「エージェント」と「メディア」に分類される。同社の競合である株式会社リクルートは「エージェント」、「メディア」のいずれも手掛けており、かつアルバイト、派遣社員や正社員などあらゆる雇用形態に対応している。
一方、同社の業務は子会社WSA社が一部、中途採用者向けの人材紹介業を行っているが、専ら「メディア」に特化してきた。そのため、人材派遣業や人材紹介業の他社は同社にとって競合先というよりは、むしろ顧客と位置付けられる([en]転職コンサルタント」、「[en]派遣のお仕事情報」)。
注:企業の掲載はアイウエオ順
出所:各種情報よりSR社作成
「メディア」のうち、同社が強みを有する正社員の中途採用を対象とした求人広告の分野において、同社はリクルート社に次いで2位である([en]社会人の転職情報)。SR社の理解では、リクルート社の強みは圧倒的なクライアント数とユーザー数、つまりボリュームである。一方、同社によれば、同社の強みは詳細な求人情報に示されるような情報の質(ユーザーを念頭に置いた詳細な情報など)である。中途求人広告市場は過去数年の競争激化や景気後退に伴う市場の縮小を経て、同社とリクルート社で寡占化が進んでいる。
同社は中途正社員以外にも、アルバイト・パートタイム・期間工、新卒採用なども強化しようとしているが、いずれの分野においてもリクルート社が立ちはだかっている。これは、人材ビジネス以外の「結婚式情報」においても同様である(リクルート社の結婚情報誌(およびウェブサイトの)ゼクシィが圧倒的な存在感を発揮している)。
経営戦略
同社がこれまで行ってきた戦略は、インターネットへと求人広告媒体のシフトを進め、それによって従来よりも「低価格」での求人広告を可能にすると同時に、「[en]社会人の転職情報」の求人情報に示されるような「質」の高い情報を提供するというものであった。「低価格」と「質」は一見、矛盾するようだが、インターネットへの媒体のシフトという一種のパラダイム転換が、この戦略を可能にしたとSR社はみている。インターネットへの媒体のシフトが起きる以前は、リクルート社によって独占的に価格が設定され、なおかつ紙媒体であるがためにコストもインターネットと比較すれば余分にかかったからだ(文量の増加や企業紹介ビデオを付録にすれば、更にコストが掛かる)。
2011年時点で概ねインターネット媒体への求人広告シフトは一巡した。こうした状況下で同社が推し進めて行こうとしているのは、「質」をより高めることによる独自性の発揮と「新たな収益源」の確立である。SR社は、インターネットへの媒体のシフトというシンプルだが強力な時流(同社がきっかけを創った時流ではあるが)に乗ってきたこれまでとは違い、やや難易度の高いフェーズに移行したという印象を受けている。
「質」をより高める具体的な策として同社が示しているのが、「入社後フォロー」や求人広告の成功報酬モデル「サーチ型採用ソリューション」である。
- 「入社後フォロー」は、文字通り採用に留まらず、求職者が企業で働き始めた後もフォローする仕組みをさすが、2011年9月時点で詳細は未定である(「[en]学生の就職情報」で入社後3年目までフォローする商品を、サイトと共にパッケージ化した「人間成長R宣言」を既に提供している)。SR社の認識では、これまで存在しなかった全く新しいサービスであり、確立できれば大いなる差別化要素となろう。しかし、同時に高いハードル(いかに入社後のユーザーにアクセスするか、企業がどれだけお金を支払うか)も想定し得るだけに、2011年9月時点では成否を判断し難いと判断している。
- 「サーチ型採用ソリューション」は余計な求人費用を抑制しつつ、ハイエンドな人材を採用したい企業を中心にニーズが強い模様。今後、同社が成約率の見極めなど営業員の能力をいかに洗練していくかが課題ではあろう。もっとも、顧客企業にとっての利便性や価格競争力を踏まえれば、ポテンシャルがあるとSR社は考えている。
「新たな収益源の確立」は人財事業分野における「アジア展開」と「新規事業の立ち上げ」、人財事業分野以外における「新規事業の収益化」に分けられる。
- 人材事業分野における「アジア展開」に関し、同社はWSA社を軸に進めて行く考え。WSA社が外資系企業やグローバル展開する日系企業と太いパイプを持つ点を踏まえれば、手堅い業績展望が期待できよう。
- 「新規事業の立ち上げ」には、同社がリリースしたソーシャルリクルーティングツール「enTtree Work」の事業化などを含む。現時点では未知数だが、同社の社運を左右するのはこの点かもしれない。
- 人財事業分野以外における「新規事業の収益化」についてはやや不透明といえよう。ただし、いずれの事業も手掛け始めて間もないことから、2011年9月時点で判断を下すのは時期尚早かもしれない。
その他情報
沿革
エン・ジャパン株式会社として設立されたのは2000年1月。しかし、実質的な創業は現代表取締役会長である、越智通勝氏が、1983年に株式会社日本ブレーンセンターを設立したときまで遡る。
日本ブレーンセンター社はリクルート社の代理店事業を中核事業として成長を遂げた。1983年当時、求人広告媒体の主流は新聞であったが、リクルート社が求人情報誌を始めたことによって、その後、求人広告媒体の主役の座は求人情報誌へと移行した。
日本ブレーンセンター社は1993年にリクルート社の代理店として関西で売上トップに躍り出る。その後、同社は1995年2月にデジタルメディア事業部を設立、同年7月に新卒・中途採用向け転職サイト「[縁]employment net」を立ち上げた。自らメディアを持つことを決断したわけだが、そのメディアとして当時黎明期であったインターネットに着目し、求人広告の媒体として選択。インターネットによる求人サイトの先駆けとなった。
同社によれば、その後5年間は成果もなかなか上がらず、暗中模索の日々が続いたが、その間、積極的な投資を継続したこともあって、2000年ぐらいからようやく花が咲き始めたとのことだ。ビジネスが軌道に乗り始めた理由の一つとして、Yahoo! JAPAN(ヤフー株式会社、東証1部4689)などのポータルサイトと提携を行うことによって、求職者数を拡大することができた点を同社は指摘している。2000年1月、日本ブレーンセンター社のデジタルメディア事業部が日本ブレーンセンター社より分離・独立し、エン・ジャパン社が設立された。
同社は、その後、2004年における日本ブレーンセンター社の統合・事業承継、ヤフー社との提携解消(ヤフー社はその後リクルート社と提携)などを経つつも、2007年まで順調な拡大を遂げた。SR社は、この間の同社の成長について、同社が強みと自ら述べている「求人広告の質」と低価格のインターネットサービスを武器に、業界最大手のリクルート社が主な収入源であった情報誌とのカニバリゼーションを恐れ、インターネットへの移行をためらうなか、間隙を突くことができた点が大きいとみている。また、求人広告媒体の主役が求人情報誌からインターネットへと移行しつつあったこと、景気拡大と団塊世代の定年退職に伴う求人の増加、なども同社にとってフォローになったとみている。
しかし、2007年を境に同社の業績は急激かつ大幅に悪化する。売上高は2007年12月期の22,686百万円をピークに2009年12月期には同10,209百万円と半分以下の水準にまで減少、2009年12月上期には同社の人員の約3割の希望退職を断行した。その後、業績は徐々に持ち直しつつあるが、同社は現中計期間を第2の創業期と位置付けており、既存事業の強化のほか、安定収益基盤の育成、新たな市場への進出(WSA社の買収、海外展開)などに取り組んでいる。
ニュース&トピックス
2012年2月
2012年2月9日、同社は2012年3月期第4四半期決算及び通期会社予想の上方修正を発表した。
2011年11月
2011年11月10日、同社は2012年3月期第3四半期決算及び会社予想(2012年3月期第4四半期累計期間、通期)の修正を発表した。
株主還元
連結配当性向30%程度を目安に配当を実施することを方針として掲げている。












