グランディハウス(8999)
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2012年 2月 5日時点
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直近更新内容
概略
2011年11月29日、グランディハウス株式会社は2011年12月6日をもって、東京証券取引所第一部銘柄に指定されることになったと発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
2011年11月7日、同社は2012年3月期第2四半期決算を発表した。
(決算短信へのリンクはこちら、2012年3月期第2四半期決算の項目へのリンクはこちら)
2011年10月31日、同社は2012年3月期第2四半期累計期間の会社予想の修正を発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
2012年3月期第2四半期累計期間の会社予想
- 売上高:15,174百万円(前回予想14,620百万円)
- 営業利益:820百万円(同790百万円)
- 経常利益:834百万円(同780百万円)
- 純利益:461百万円(同440百万円)
同社は上記修正の理由について、東日本大震災の影響で住宅等の受注が一時的に落ち込んだものの、その後は順調に推移したとコメント、例として、栃木県エリアの大型分譲地の受注が好調に推移したこと、新規進出エリアである(栃木県)県北地区での販売が進んできたこと、などを挙げている。一方、通期会社予想については、現時点での変更はないとしている。
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業績動向
四半期業績推移
2012年3月期第2四半期実績
2011年11月7日、同社は2012年3月期第2四半期決算を発表した。
2012年3月期第2四半期累計期間は、2011年3月期後半に拡大した新築住宅の営業エリア(栃木県の県北エリア、茨城県の県南エリア)における受注獲得などから売上高は前年比12.8%増の15,174百万円であった。売上総利益率は不動産販売事業の競合や資材価格高騰影響などから17.2%と前年同期の同18.6%から1.4%低下した格好だが、(固定費比率が高いと推測されるため)売上高販管費比率が11.8%と2011年3月期第2四半期累計期間の同12.8%から低下、営業利益は前年比4.9%増の820百万円であった。
事業毎の概況は以下の通りである。
- 不動産販売事業(売上高:14,010百万円(前年比12.8%増)、営業利益:696百万円(同4.2%増))
(新築住宅)
新規住宅販売は、既存エリアに加えて新規エリアの栃木県北部や茨城県南部で販売が進んだことで、販売棟数は前年同期より62棟増の454棟となり、売上高が前年比16.3%増の12,367百万円であった。
不動産販売事業の売上総利益率は低下したが、同社によれば、1)群馬エリアで競合によって販売価格が下がり基調であること、2)資材価格の高騰による原価上昇、などが要因である。
1)群馬エリアでの競合に関して補足すると、同社は開発部隊を自社に抱えており、自前で土地の仕入れを行うなど、その後の住宅販売に至るまで一気通貫体制を取っている。そのため、他社と違うターゲットゾーンを攻めることにより、競合を比較的避けることができていた。しかし、群馬エリアは比較的最近進出したエリアであるということもあって、開発体制を整えている最中にいえる。そのため、他のエリア等では避けることができている競合に巻き込まれたようだ。同社はこの点に関し、群馬エリアにおいても2011年春先より開発体制を整えることができたと述べており、商品の入れ替えが進む2012年3月期下期よりそうした競合は緩和するとみている(同社の場合、仕入から建物の完成まで平均7~8ヵ月を要する)。
2)資材価格高騰に関していえば、合板材の価格は高止まりしているが、集成材などその他資材価格は下げ基調に既に転じているとのことであり、下期に関しては特に懸念する必要はないと同社はコメントしている。
在庫に関していえば、完成済みの分譲土地在庫が2011年9月末で317区画と2011年3月末の453区画から大幅に減少している。同社はこの点について、完成後6ヵ月以上経った長期在庫の削減に取り組んだ成果が出たとしている。また、その一例として、大規模(100区画)案件には取り組まず、中規模(10区画~30区画)をメインにリスクを分散し、回転を高めることに注力している点を指摘している。
営業社員は2011年9月末で159人。2012年9月末までに180人まで増員する予定となっている。
(中古住宅)
中古住宅における販売棟数は前年同期より3棟増加の93棟となったことによって、売上高は前年比3.3%増の1,643百万円となった。計画が販売棟数100棟であったことを踏まえると、計画に対して売上が未達であったことになる。同社はこの要因について、同社が望むような物件の仕入が進まず、それが販売面に影響したと述べている。対策として、同社は仕入・商品企画の専門部署を設置するほか、在庫の積み増しを図ることを挙げている。
- 建築材料販売事業(売上高:1,021百万円(前年比14.0%増)、営業利益:31百万円(同137.2%増)
2011年3月期から遅れていた資材価格の値上がり分の販売価格への転嫁を進めるとともに、増設した生産設備の操業度の維持・向上のために積極的な営業活動を行った結果、増収増益となった。
- 不動産賃貸事業(売上高:142百万円(前年比1.2%増)、営業利益:93百万円(同6.4%増))
賃貸オフィス需要が引き続き低迷するなか、一部テナントの撤退等はあったものの、新規テナントを獲得したほか、駐車場代など管理費の削減に取り組んだと同社は述べている。
2012年3月期第1四半期実績
2011年8月3日、同社は2012年3月期第1四半期決算を発表した。
2011年3月期後半に拡大した新築住宅の営業エリア(栃木県の県北エリア、茨城県の県南エリア)における受注獲得などから売上高は前年比21.4%増の7,532百万円であった。売上総利益率は土地取得の際の競合や資材価格高騰影響などから17.3%と前年同期の同17.8%から0.5%低下した格好だが、(固定費比率が高いと推測されるため)売上高販管費比率が11.6%と2011年3月期第1四半期の同13.2%から低下、営業利益は前年比48.0%増の428百万円であった。
2012年3月期上期および通期の会社予想は期初予想が据え置かれた。
事業毎の概況は以下の通りである。
- 不動産販売事業(売上高:6,991百万円(前年比22.5%増)、営業利益:361百万円(前年比61.4%増))
新築住宅販売において、同社は2012年3月期通期平均で約70棟/月の受注獲得をめざしているが、2012年3月期第1四半期に関しては、若干想定を上回って推移したと述べている。同社は当初震災の影響から受注水準が落ち込むと想定していたが、営業エリアでいえば、栃木県および群馬県は震災発生から2週間程度で通常の受注水準に戻ったとのことだ。また、茨城県は震災影響が3県では最も大きかったことから相対的に受注水準が戻るのは遅れたが、計画並みであったと同社は説明している。
土地の取得の際の大手住宅メーカーとの競合や資材高騰影響から売上総利益率が前年同期より低下しているが、2011年3月期下期と比較すれば、売上総利益率も改善傾向にあるとのことである。
中古住宅販売に関しては、15~20棟/月程度の販売でほぼ計画通りであったとコメントしている。
- 建築材料販売事業(売上高:470百万円(前年比10.0%増)、営業利益;16百万円(前年比90.6%増)
同社は震災による合板材などの材料不足を懸念していたが、サプライチェーンの確保に取り組んだことなどによって5月中旬までにはそうした不安は解消したと述べている。また、断熱材がやや値上がりしたが、コストダウンで吸収できた模様だ。同社は2011年3月期下期に材料価格が高騰した影響を受けたが、2012年3月期に入って順調に製品価格への転嫁を進めることができているとコメントしている。
- 不動産賃貸事業(売上高:70百万円(前年比0.6%増)、営業利益:47百万円(前年比4.7%増)
北関東(栃木県、茨城県、群馬県)における賃貸オフィスの需要が低迷するなかで、管理費の削減に取り組んだことなどによって増益となった。
2012年3月期通期見通し
売上高が前年比7.4%増の29,250百万円、営業利益が前年比5.0%増の1,580百万円の会社予想であり、4期連続の増収増益が見込まれている。2012年3月期第2四半期累計実績の通期会社予想に対する進捗率は、売上高が51.9%、営業利益も51.9%であった。
不動産販売事業
売上高は前年比8.2%増の27,170百万円、営業利益は前年比1.0%増の1,330百万円の計画。うち新築住宅の売上高が前年比8.3%増の22,743百万円(棟数は前年比8.5%増の880棟)、中古住宅の売上高が前年比14.1%増の3,482百万円(棟数は前年比16.3%増の200棟)の見込みとなっている。2012年3月期第2四半期累計実績の通期会社予想に対する進捗率は、新築住宅売上高が52.1%、中古住宅売上高が48.1%、合計で51.6%であった。
新築住宅の売上高は、2011年3月期に新たに進出した栃木県の県北エリア、茨城県の県南エリア等の営業基盤を固め、受注増加に結び付けることが増収要因であるとのことだ。同社はこうした新規エリアへの進出によって対象市場規模が、栃木では11.9%、茨城では24.0%、それぞれ既存の対象市場規模よりも増加したと推定している。同社が栃木県県北に進出したのが2011年3月、茨城県県南に進出したのが2011年1月であるため、2012年3月期に関しては、ほぼ通期でこうした新規基盤の寄与があるものとみている模様だ。
新築住宅売上高の会社別(エリア別)の計画値としては、グランディハウス社(栃木が基盤)が前年比8.3%増の14,071百万円(棟数は前年比7.1%増の570棟)、茨城グランディハウス社が前年比5.6%増の5,724百万円(棟数は前年比9.9%増の200棟)、群馬グランディハウス社が前年比14.0%増の2,948百万円(棟数は前年比13.4%増の200棟)となっている。茨城グランディハウス社の計画は東日本大震災とその後の影響などを踏まえ、慎重な数値を予測したものと考えられる。
2012年3月期第2四半期累計実績の販売棟数は、グランディハウス社(栃木が基盤)が304棟、茨城グランディハウス社が100棟、群馬グランディハウス社が50棟の合計454棟であった。通期計画に対する進捗率でいうでいうと、グランディハウス社が51.5%、茨城グランディハウス社50.0%、群馬グランディハウス社45.5%、合計50.4%となっている。
中古住宅販売の売上高に関していえば、2011年3月期に群馬県太田市に出店した効果のほか、営業人員数の増加によって増収を図る模様である。
営業利益が前年比1.0%増に留まる計画だが、同社によれば、一部資材価格の高騰影響をみているほか、人件費、広告費など販売管理費の増加をみていることが要因であるという。
建築材料販売事業
売上高は前年比0.2%増の3,900百万円、営業利益は前年比212.5%増の50百万円の計画。同社によれば、資材価格高騰分の価格転嫁を急ぎ、業績の改善を図る方針であるという。
東日本大震災の影響
(短期的な影響)
同社によれば、2011年3月11日の震災発生直後は、ガソリンの不足による車での来場者減少などの影響もあって、受注件数が大幅に落ち込んだものの、3月下旬以降は震災前の受注水準に戻ったとのことである。4月、5月の受注に関しては、計画通り進捗していると述べている。
一方、同社がやや警戒しているのが、住宅の資材調達への影響だ。合板、断熱材などの住宅資材の工場は東日本大震災の被災地に多く立地しており、こうした資材の調達難や価格高騰が懸念されている。同社によれば、調達はほぼ通常通りに行えているとのことだ。一方調達価格は、合板など一部に値上がりした資材はあるが、価格も震災直後よりは落ち着いてきており、コストダウンなどで吸収可能な範囲に留まる見込みであるという。
(中長期的な影響)
同社は今回の東日本大震災を契機として、住宅購入者の志向がより「安心・安全」へとシフトしていくとみている。この点、同社が行っている分譲住宅販売の販売手法は建売だが、震災時に壊れた物件はなかったとのことで、耐震性を実際の地震を通じて立証する格好となった。同社は、こうした同社物件の耐震性が徐々に効果を発揮していくであろうとみている。
将来の展望
同社は中期経営目標の公表はしていないが、2014年3月期までに主力の新築住宅において販売棟数を1,000棟にするとしている。2012年3月期の会社予想である同900棟に対して11%増を見込んでいる格好になる。同社は売上の大半(約8割)を新築住宅販売が占めているため、単純に2012年3月期の会社予想に対して11%増になるとすると、2014年3月期の売上高は32,500百万円程度となろう。
営業利益に関していえば、同社が2012年3月期で注力しているような中規模物件を中心とした回転重視の販売を継続できるならば、2012年3月期の会社予想である営業利益率5.4%よりも高めることが可能であろうとSR社は考える。仮に営業利益率を1%上昇した6.4%と想定すれば、上記売上高を達成したときの営業利益は約2,000百万円となる。
同社は今後も引き続き、中核事業である分譲戸建住宅事業と中核市場である北関東に重点的に経営資源を投入するだろう。専門店のネットワークを活かした中古住宅販売は、同社の不動産・建築に関する専門知識を活用した上で中古住宅を取得・リフォームし、競争力の高い価格で販売するため、今後も成長が続くと思われる。また、同社は栃木を中心に、現在のブランド価値を活かしたリフォーム事業を拡大したいと考えている。
事業内容
概略
事業内容概略
同社の主力事業は、新築分譲住宅の建築・販売である(2011年3月期売上高全体の87.3%)。
その他の事業としては、中古住宅販売、住宅用のプレカット資材の製造と販売、マンション・テナントビル等の賃貸などが挙げられる。同社は、不動産販売、建築材料販売、不動産賃貸、と3つの事業セグメントで業績を公表している。不動産販売には、分譲用地および一戸建住宅の販売、中古住宅販売が含まれ、建築材料販売にはプレカット資材の製造・販売が含まれる。不動産賃貸では、住居・店舗物件の賃貸や駐車場管理などを行っている。
ビジネス
部門別事業内容
不動産販売
- 一戸建分譲住宅:同社の主力事業である。同社は、土地を取得し、同社が提案する標準タイプの規格分譲戸建住宅を建築・販売する。このような分譲住宅は平均的な所得者層を対象としており、ほとんどの場合が初めて住宅を購入する層である(詳細については下記「市場とバリューチェーン」を参照)。同社は、木造建築を専門としている。同社が手がける住宅の平均面積は110~125平方メートルで、建売住宅の平均価格は25.9百万円(2011年3月期)である。建物の大きさは、主に各立地条件によって異なる。所得分布が比較的均一であるため(特に若年層において)、初めて住宅を購入する顧客の所得水準はほぼ同じであり、与信プロファイルもほぼ同じとなる傾向にある。
もともと土地開発を中心に不動産業を展開していた同社は、品質の高さやオプションの豊富さで差別化を図ることに重きを置いていなかったといえよう。しかし、近年は、より差別化を重視したニッチなアプローチを進めるようになった。グランディハウスは設備や備品の品質を向上させ、数々のスタイルや設備オプションを提供するようになった。現在はDIYやバイク愛好者、ピアノ所有者などのための特別提案もある。このようなアプローチは、市場が飽和し長期低迷に陥っている住宅市場においても売上成長と収益性回復の一助となるだろう(詳細についてはマーケット概略および経営戦略を参照)。
土地取得から完成した住宅を顧客に引き渡すまでには通常約8ヵ月を要する。契約締結は多くが住宅完成後に行われるため、顧客は完成した住宅の「ウインドーショッピング」が可能である。顧客はこの時に、キッチン設備や造り付け家具、オプション機器などを選ぶ。住宅の引き渡し後、同社は10年間の住宅保険と5年間のシロアリ保険に加入し、引き渡しの3ヵ月後、1年後、そして2年後には顧客宅を訪問し、検査を行う。また、住宅ローンの申込みをはじめとする諸手続きに関するサポートも提供する。
- 注文住宅:同社は1996年に注文住宅事業に参入し、その後、分譲住宅を手がけるようになった。注文住宅は利益が出るものの、継続的な拡大は見込めない。同社は、国内大手住宅メーカーや地元の戸建住宅業者と競合している。
- 宅地販売:主要事業から派生した事業である。住宅販売よりも収益性や資産回転の点で宅地販売の方が魅力的であれば、造成地と分譲地のいずれの販売も行う。同社は2006年に宅地開発・販売を個別事業として成長させようと試みたことがあったが、現在この事業には特に重点を置いていない模様である。
- 中古住宅販売:同社にとっては新規事業であり、まだ同社の売上規模が小さいこともあって、成長率が高い。同社は中古住宅を探している顧客を取り込むため、地元における不動産販売のノウハウを活用している。日本の中古住宅市場は他国と比較すると大きく遅れているが、将来的には成長する可能性がある。同社は住宅を購入し、リフォームし、顧客に販売する。この一連の過程にほぼ3ヵ月を要する。同社によると、中古住宅と新築住宅の市場同士が競合することはほとんどない。中古住宅の買い手の多くは、勤務先や親族の家に近い物件にまず興味を示し、生活圏外の新築住宅は対象物件にはならない。同社の中古住宅の広告活動は、周辺2km半径内において最も集中的に展開されるというから、物件の中古住宅市場がいかに「地域密着型」であるかがわかる。新築住宅と中古住宅の買い手を区別するため、中古住宅は別ブランド(「住みかえ情報館」)を通じて販売されている。今後、同社にとってこの事業の重要性は高まるとSR社は考える。現在、中古住宅販売事業は栃木に限定されているが、将来的には市場拡大も検討されている。
建築材料販売
- プレカット工場で製造された建材の約半分は自社およびグループ内で使用される。顧客(大部分が中小の建築業者)に対して品質と価格のバランスが取れた資材を提供するプレカット事業は、今後も成長するだろう。もっとも、2011年3月期時点でグループ全体の収益に占める比率は低い。
不動産賃貸
- ビル賃貸および駐車場管理
主に宇都宮駅周辺でビルや駐車場を所有・管理している。
主要設備
北関東を中心に19営業拠点を構える。
ビジネスモデル
同社は、土地を取得し、一戸建分譲住宅を建設・販売している。また、広告や訪問セールスなどを通じて分譲企画を顧客に紹介する。顧客は近隣に住んでいることが多く、同社によれば顧客の以前住んでいた家が半径5km以内にあるケースが約80%であるという。顧客は、実際に建設された後の物件を訪れ選ぶ、もしくは、土地区画を選びそこに標準規格の住宅を建てる。同社は通常、住宅ローンについても顧客をサポートする。
同社によれば、一戸建分譲住宅(建売住宅)の平均販売価格は過去10年間を通じて安定しているという。同社の平均販売価格は2004年3月期には25.4百万円だったが、より高い年収層の顧客割合の増加により2011年3月期には26.3百万円とわずかに上昇している。ゆえに、売上高の変動は販売戸数の変化に連動する。同社は、平均的な所得者層の顧客をターゲットに、 無理のない手頃な価格帯(低価格ではない)の標準的住宅を提供している。
同社の事業は売上高総利益率が低く(2011年3月期は18.2%)回転重視で、変動費および準変動費の割合が高い。土地は準変動費である。土地はいったん購入したら、消化(売却)しなければならないが、経済情勢が厳しい時期でさえ在庫回転は1年未満(経営陣によれば平均8ヵ月)であり、在庫となる土地取得をコントロールすることはある程度可能である。一般的に、一戸建分譲住宅建築業者は、しばしば比較対象となるマンション開発業者よりも利益の変動が少なく、財務的に安定している。
2011年3月期データにおける同社の不動産売上原価(構成比順:括弧内は2010年3月期の数値)の主な項目は以下の通りである。
外注費: 69% (51%)
建材: 29% (18%)
土地取得費用: 37% (45%)
労務費: 6% (6%)
経費: 1% (1%)
(単体ベース:会社資料より抜粋)
同社経営陣によれば、栃木県内の分譲用地の価格は景気変動にも関わらず比較的安定しており、首都圏のような価格変動は見られないという。住宅1棟当たりのコストに占める土地取得コストの割合は、過去数年間で徐々に下がりつつある(地価に関する詳細については「マーケット概略」を参照)。大工などの外部請負業者に支払う外注費も安定しており、純粋な変動費といえよう。同社では、すべての現場の作業者の割り当てを見直すことにより効率性を高め、外注費の削減を図れると考えている。直接人件費および直接経費が占める割合は少ない。建材費は、2006年から2008年初めにかけて急速に上昇しコストを圧迫する要因となっていたが、2008年下半期の世界的な経済金融危機以降は正常化した。全般的に見て、今のところ売上粗利益率に影響する主因はたな卸資産回転率、即ち、いかに土地コストを迅速に消化できるかであると思われる。同社ビジネスは、競合他社との差別化を図りポジティブなブランドイメージを維持しながら、いかに迅速により多くの棟数を販売するかということである。
販売管理費のうち、最も高い構成比を占めるのが人件費(2011年3月期販売管理費の約58.7%)、次いで広告宣伝費(同11.4%)と続く。同社は、広告宣伝費について一部コントロールを試みているが、コストの大部分は固定費であると考えられる。人件費の削減は難しいと思われる。経営陣は、近年の厳しい能力給制度導入やコスト削減は度が過ぎたと感じている。これらの施策は、従業員の定着率や満足度に悪影響をもたらした。同社は現在、よりバランスがとれた魅力的な職場づくりを推進しているため、近い将来に人件費を削減することは考えにくい。実際、同社は2008年、従業員の基本給を全国平均に近い水準まで引き上げた。広告宣伝費は必要に応じて調整を行う。ちなみに、主要広告媒体はチラシである(広告宣伝費全体の約50%)。
その他の事業の収益全体への貢献度・影響度は軽微である。
収益性・財務指標
SW(Strengths, Weaknesses)分析
強み
一戸建分譲住宅事業は競争が激しく、大きく差別化を図るのは難しいが、同社が栃木県においてのメジャー・プレーヤーとしての地位を支えるいくつかの強みがあり、近隣の県における拡大にもこうした強みが活かせよう。
- 不動産開発と住宅建設のノウハウを併せ持つ: 同社は元々、不動産開発と土地取引を目的として創業されたため、土地の調達、資金調達、取引のタイミングなどに関する手腕に長けている。同社は、過去数年の厳しい事業環境下でも、不動産管理力を発揮し、経常損失は出していない。また、同社は建築・建設事業における15 年間の経験を活かし、高品質の住宅提供と同社1社で全プロセスの管理を行う。
- 地元のトップ企業:地元の中小競合企業と比較すると、同社は、地元の銀行からより安定した融資を得ており、消費者のブランド認知度も高い。全国の大手競合企業と比較すると、同社は、地元であることを強みに土地に関する情報に明るいため、顧客のニーズに対する理解度が高い。
- 独立性:全国規模の大手企業の傘下にはなく、より柔軟で起業家的な風土を持つ。経営陣は、大手企業にありがちなサラリーマン的メンタリティが低く、全国大手「住宅メーカー」(例:積水ハウス、ダイワハウス)または大手グループ企業傘下の建設会社(例:トヨタホーム)などに比べて、より継続的な成長に焦点を絞っていると思われる。
弱み
- 過去を見ると、同社はあまり商品開発に焦点を当てておらず、家のタイプや機器のオプションなどが限られていた。これによって、思い切ったディスカウントをする競合企業との差別化が難しくなった。好景気の頃は成功をおさめた同社のアプローチは、関東中央部を拠点とする競合他社、マンション開発業者、そして「ハウスメーカー」が栃木で価格競争を展開した際に裏目に出た。同社は、自社の商品や「お買い得」というメッセージだけではもう十分でないことに気付き、それ以来、同社はより多様かつコンセプトの明確な商品提供に尽力するようになった。ただし、「大手住宅メーカーほど品質は高くなく、低価格建設業者ほど安くはない」というイメージが弱みであるといえる。同社は、地元のニーズを理解し、全国規模の大手住宅ブランドに匹敵する品質でありながら魅力的な価格設定の、はじめてマイホームを購入する層に真の価値をもたらす商品を提供するニッチプレーヤーとなる努力を継続する必要がある。
- 規模。住宅メーカーなど全国規模の大手企業と比較して、資材調達におけるスケールメリットで劣る。
- ブランド認知度が十分でない。同社は、ブランディングに関して全国ネットを活用しづらい。そのため栃木以外に進出することが難しくなり、費用もかかる。
主要拠点
県別の売上構成比(不動産販売事業、2011年3月期)
- 栃木 – 59.8%
- 茨城 – 27.9%
- 群馬 – 11.4%
同社は現在、栃木、茨城、群馬、福島、千葉の5県で営業展開している。同社の中核市場は創業の地、栃木県である。戦略的に重要な市場である茨城と群馬の営業活動は、地域統括会社を通じて行い、栃木、福島、千葉の市場は、親会社が管轄する。
同社の売上の大半は栃木県である。茨城、群馬の二県は、人口動態および経済状況が栃木県と似ており、これらの市場で培った長年の経験もあるため、相応の成長が見込まれる。歴史の浅い同社にとり、これまでは栃木県内の開拓で十分に成長できた。そのため、隣県への進出は栃木県内開拓の二の次となり、茨城県、群馬県の売上構成比が低くとどまっているものと思われる。上場後、近隣県への拡大を積極的に進め始めたが、以下で言及する厳しい事業環境と収益性の急速な悪化により、経営陣は戦略の変更を余儀なくされた。茨城と群馬の支店数は限られていることから、SR社では、これらの地域の支店網と営業人員を徐々に拡充しさえすれば、将来の成長機会が生まれると考える。
グループ企業
企業集団は、2011年3月期時点において親会社および100%(完全)子会社5社により構成される。
茨城グランディハウス株式会社および群馬グランディハウス株式会社は中核地域統括会社であり、商圏別に水平分業を行う体制となっている。
「株式会社中古住宅情報館」(旧商号:株式会社住みかえ情報館)は、中古住宅販売を中心とした住みかえ関連事業を行う子会社である。
ゼネラルリブテック株式会社(旧商号:グランディプレカット株式会社)は、プレカット材などの建築部材メーカーである。
グランディリフォーム株式会社は、グループ内の「リフォーム」(中古住宅の改築)と住宅のアフターメンテナンスを行う。
グループ戦略
経営陣は将来の成功の鍵として地域戦略を強調する。地域子会社は独自性が強く、独立した地域統括会社として運営されている。これにより、地元のニッチ市場により深く浸透し、ニーズに合わせたより良いサービスを提供することが可能となる。
M&Aのような外部成長よりも、今のところは内部成長(自力で成長していく手法)に注力していく方が戦略上有効であろう。日本企業の場合、企業間で顕著に異なる傾向があり、合併によるメリットのよりも組織間の摩擦によるデメリットの方が往々にしてある。
市場とバリューチェーン
マーケット概略

2010年度、日本の住宅着工件数は81.9万件であった。このうち、30.6万件が持家で、21. 1万件が分譲住宅(一戸建分譲住宅、分譲マンション)である。住宅着工件数全体は1999年度と比較して33% の減少、さらに、過去10年間のピークである2006年度と比較すると36%減少した。傾向としては持家から一戸建分譲住宅および分譲マンションへと購入対象が移りつつあり、これは人口動態が、地方の各県から大都市圏にシフトしていることを反映している。
同社の中核市場である北関東市場も2006年度にピークを迎えた後、分譲住宅の建築件数は著しく減少した。しかし、国土交通省の統計を詳細に見てみると、2005年度と2006年度の北関東3県(茨城、栃木、群馬)の分譲住宅の着工件数の伸びは全国の伸びを上回っている。この傾向は、つくばエクスプレスの開通でつくば市から東京までの移動時間が縮小したことにより、茨城で特に顕著だった。栃木では、2006 年度におけるマンションの供給が、長期的なトレンドと比較して2~3倍となった。これにより需給のバランスが崩れ、経済の低迷と相まって、栃木県の市場に悪影響を与えた。
北関東における新築住宅(持家および分譲)販売戸数は、全国平均とほぼ同様の推移を辿ろう。世帯数はごくわずかにではあるが増加を続けている。これは団塊ジュニア世代が結婚等を機に親元を離れるなど、核家族化が進んでいるためである。一方、所得はゆるやかに下降傾向にあるが、これは高所得層の団塊世代の定年退職による。このため、低価格市場(同社のコアマーケットである、初めて住宅を購入する層)において、相対的に好調な業績を期待することは妥当と思われる。土地が入手しやすく、車が主な交通手段であるという地域特性を考えると、一戸建分譲住宅はこれからも北関東における住居の主要なタイプであり続けるだろう。
北関東各県の地価は過去数年間、下落し続けているが、下落率は2007年3月期から2009年3月期にかけて緩やかになった。茨城、栃木、群馬の3県における地価の動向は、首都圏の価格変動に比べると非常に安定している。ゆえに、高価格で購入した在庫を減損処理しなければならなくなるリスクは比較的少ないといえよう。一方、地価が下がることによる恩恵もある。地価が高い場合、消費者は小さめの家を購入する傾向がある(つまり土地と家屋の価格合計は概ね同レベルである)。地価が下がると、買い手はより大きな区画に大きな家を買う余裕ができる。過去10~15年間の地価動向は、戸建分譲住宅建設業者にマイナスの影響を与えたとの印象を受けるが、実はプラスの側面もあったと考えることは可能である。地価が安定していれば、もっと早い時期に二次市場が台頭しているところだが、地価下落により新築住宅全体の品質が上がる(より質の高い家+より広い土地)一方、中古一戸建住宅が構造的に魅力を失った(狭く、増床できない)。
市場の成長性とサイクル
前述の通り、住宅産業のサイクルは、景気動向や人口動態に連動する。長期的にみれば市場は人口動態に連動し、構造的な縮小局面にある。しかし、SR社では、より短期~中期的な視点からみれば、北関東の在庫は2007年にピークに達したあと、今後数年で在庫はゆるやかに減少(すなわち市場はゆるやかに回復する)と考えている。同社ビジネスは、四半期毎、季節性による変動は低いようだが、天候など一時的要因が月次受注動向に重大な影響を与える可能性がある。
顧客
同社の代表的な顧客は、初めて住宅を購入する層であり、夫婦と子供一人から構成される世帯である。2009年3月期における夫の平均年齢は40歳以下で、年収は500万円以上である。夫は上場企業、あるいは非上場大手企業(資本金3億円以上)に勤務(各々55%、32%)。同社の顧客は、より富裕な世帯へと若干シフトしている。経営陣によれば、この動きは、低所得層への融資が厳格化されたことによるものであろうという。同社の顧客プロファイルは、日本の典型的な若者夫婦の世帯である。通常、賃貸アパート・マンションに住んだ後、実家近くの物件を探して最初の家を購入する。慣れ親しんだ地域から出ずに、成長する子供たちのために部屋が必要になって戸建住宅を購入するというパターンであると考えられる。
サプライヤー
同社への供給先は主に二通りある。まず、最初に建材の供給業者であり、数多く供給業者が存在する。これらの業者の交渉力は強くはない。また、住宅業者間で比較した際、同社は大手企業であるため、中小規模の競合企業よりは価格面で有利だが、競争上の優位性を創出するほどではない。二つめは、キッチンやバスルーム関連機器メーカーである。これらのサプライヤーは全国展開する大企業だが、厳しい競争環境にさらされており、顧客に対して大きな交渉力を持たない。また、住宅業者間比較でも、同社は比較的規模が大きいので、中小規模の競合他社に比べ購買力において優位性はあるがそれほど重要性は高くはない。
参入障壁
一戸建分譲住宅建設業に参入するための障壁は非常に低い。しかし、業界の競合が激しく、成熟市場であるということは、小規模零細の競合他社が利益を上げ、成長するのは難しいということを意味する。広告宣伝による認知度向上もそれなりのコストがかかるため、参入における実際の障壁は見た目よりも高い。反面、大規模な競合他社は資本の潤沢性から、スケールメリットを享受できる。
また、地域情報がより重要な場合には、地域性も参入障壁となりうる。一戸建分譲住宅建設会社は、特定市場に最適な区画面積と家屋の大きさの組み合わせを見いださなければならず、これらは地域別に異なる傾向がある。この地域性という参入障壁は、同社が北関東3県以外での成長は困難であるということを意味する。しかし、同時に同社の北関東3県におけるポジションに対する他地域メーカーの参入は難しいということも意味する。住宅メーカーであれば特定市場に最適な区画面積と家屋の大きさの組み合わせを見いだす必要性の問題は生じないので、全国的にほぼ同じ(あるいは場合によっては高い)価格を提示できる。そのために住宅メーカーでは全国規模メーカーが存在する。一方、全国規模の一戸建分譲住宅建設業者が存在しない理由はこの点にあると思われる。
企業によって事業構成が多様であるため、様々な企業を直接比較するのは難しい。経営陣によれば、同社の主な競合企業は、トヨタウッドユーホーム(非上場)、ケーアイスター(非上場)、アイダ設計(非上場)であり、一部地域では、飯田産業(8880)、一建設(ジャスダック3268)などでも当てはまるとのことである。同社は栃木では比較的優位である一方、他県では優位性が確立されているとまではいえない。栃木では、数年にわたるブランディングの成果を享受している。特に地元市場においては同社と競合する中小工務店、自営業などがあるが、そのほとんどがより狭い分譲地または独立した宅地に焦点を当てている。大手住宅メーカーはたいていの場合、直接的な競合企業にはならない。というのも、これらの企業の住宅価格は同社の住宅より平均1,000万円高いからである。しかし、今後、これらの企業との競合機会はわずかに増えるだろう。同社が徐々に高所得層にシフトしており、厳しい経済状況のもと大手住宅メーカーはマスマーケットへの進出を余儀なくされているからである。比較対象となる上場同業他社としては、フジ住宅 (東証8860)、一建設(ジャスダック3268)、飯田産業(東証8880)、サーラ住宅(東証 1405)、タクトホーム(東証8915)、東栄住宅 (東証8875)、ウッドフレンズ (ジャスダック8886)などが挙げられる。
代替品
日本の消費者は戸建住宅を強く嗜好する傾向にあるため、代替が効きにくい。この傾向は特に地方で顕著である。厳しい経済状況下ではリフォームが強力な代替品となりうるが、建坪が狭く(特に耐震性に関して)品質面で劣る持ち家をリフォームするよりは、経済的な余裕があれば新築への建て替えが好まれる。ただし、そうした消費者の嗜好にもかかわらず、2006年から2007年にかけては、北関東外の競合企業が北関東内で積極的にマンション販売を行ったため同社は苦戦を強いられた。背景としては、銀行による与信基準の緩和で不動産関連融資が非常に容易になったことで、首都圏では用地取得コストが上がり、多くの開発業者は地方市場での低コストマンション建設にシフトことが挙げられる。もちろん、この異例の事態は長続きしなかったが、価格設定と斬新さ次第では、戸建分譲住宅がマンション建設の影響を受けることを示した事例といえそう。
経営戦略
最近の業績低迷を受け、同社はまずピーク時の利益率の水準(2006年3月期に達成)へと徐々に利益率を回復させることに注力している。また、経営陣は、どんな事業環境下においても財務基盤の安定性の維持を最優先課題としている。同社は、国民に住まいを提供するという重要な社会的役割を担っていることを自認しており、顧客満足は創業以来の主要課題である。業界では住宅産業を「クレーム産業」と呼ぶ。顧客が住まいを購入するのは一回きりだが、その後長年にわたり住まいという商品は顧客に提供され続けるという、商品提供期間の長さ、相対的に高額な買い物であること、などから顧客からクレームを受ける頻度が他業種に比べて多く、ブランド価値に影響を及ぼしやすいからである。
成長戦略に関しては、同社は利益段階で10%台の成長を目標としており、これは、経営陣が2005年に株式上場直後に達成しようと掲げた数字を下回る。しかし、この理由は同社が、積極的すぎるアプローチは財務上リスクを高め、かえって成長への足かせになることを早い段階で悟ったためだ。また、同社は戸建分譲住宅という中核事業に今後も焦点を絞り、中古住宅販売など関連事業の拡大を図る方針である。注文住宅事業の成長には費用がかかり、さらなる営業努力も必要であるため、戦略上の優先順位は低い。
また、同社は、品質の向上とよりバラエティに富んだ商品ラインナップに重点的に取り組むことにより、数年前と比較すればより洗練された顧客重視の企業という印象を受ける。経営陣は、以前は宅地開発や価格の均一化に焦点を当てていたが、現在は顧客が買いたい家を建てることの大切さを強調している。概して同社は、マスマーケットに重点を置く差別化とコストリーダーシップ戦略の双方を追求している。特に、栃木県において信頼される大手リーディングサプライヤーとの位置づけ、ブランド認知度の向上と、より差別化された商品提供に努めている。さらに、社員教育や社内研修によってより営業ノウハウの共有化が図られ、士気の高まった営業チームの精力的な営業活動により、2009年3月期は、市場不況にもかかわらず相対的に健全な受注状況を維持した。2011年3月期のもう一つの戦略テーマは、品質を維持しつつ建設費用の削減を図ることである。ここでは請負費用の削減努力が鍵であり、同社は各建築現場での作業行程計画および管理を強化することで、より効率的な人員配置を行い、作業効率の向上をめざしている。
地域戦略については、群馬や茨城での成長に負うところが大きいが、同社では、栃木でさらに市場シェアアップを図れると考えている(「グループ戦略」も併せて参照)。
三県以外への事業拡大については、より緩やかな展開になると思われる。住宅業界の競争環境と差別化の難しさを考えた場合、事業拡大を成功させるには、時間をかけて徐々に経験とその地域特性に関する知識を蓄積する必要がある。資本調達も重要な強みとなりうるが、これは、株価が大幅に上昇し資本コストが下がった場合にのみ可能となるオプションであり、現段階で期待すべき事項ではない。
過去の財務諸表
前期以前の業績概況(参考)
2011年3月期通期業績
2011年5月9日、同社は2011年3月期決算を発表した。
2011年3月期は、新規エリア(栃木県の県北エリア、茨城県の県南エリアなど)での営業開始や創業20周年キャンペーンに伴う販売促進などから売上高は27,235百万円(前年比23.2%増)、営業利益は1,504百万円(前年比70.3%増)となった。
東日本大震災によって期末に引き渡しを予定していた戸建住宅に一部遅れが生じたことから、売上高がわずかに会社予想(2010年10月4日に上方修正、売上高:27,300百万円)に届かなかったものの、営業利益以下では会社予想(2010年10月4日に上方修正、営業利益:1,200百万円、経常利益:1,410百万円、当期純利益:750百万円)を上回った。なお、東日本大震災によって同社資産の一部が被災したことから、補修費用などで100百万円の特別損失を計上した(特別損失合計は109百万円)。
2011年3月期の事業毎の実績、および概況は以下の通り。
- 不動産販売事業(売上高:25,112百万円、前年比22.7%増、営業利益:1,318百万円、前年比125.3%増)
主力の新築建売住宅販売は販売数量が811棟(前年比27.9%増)であった。同社によれば、1)栃木県エリアの基幹都市である宇都宮市に近接する大型分譲地「虹の杜タウン」(136区両)の販売を開始するなど新規物件を積極的に投入したこと、2)創業20周年記念キャンペーンなど集客イベントを全社的に実施したこと、3)営業エリア拡大、などが奏功したとのことである。営業エリア拡大に関しては、栃木県県北の矢板市に拠点を開設したほか、茨城県県南の牛久市に支店を開設した。
中古住宅販売数量は172棟(前年比28.4%増)であった。同社は、仕入および販売の効率化のために、栃木県内の14店舗を10店舗に集約・統合を図ったほか、栃木県外初の拠点として群馬県太田市に出店し、営業活動を開始したとのことである。
- 建築材料販売(売上高:1,843百万円、前年比36.4%増、営業利益:17百万円、前年比84.2%減)
2010年10月に製造ラインを増設、外販を拡大したことにより増収となった。しかし、資材価格が夏場まで高騰、その後も高止まりした一方、価格転嫁が遅れたことから営業減益となった。
- 不動産賃貸事業(売上高:280百万円、前年比4.1%減、営業利益:175百万円、前年比6.8%増)
特に新規の物件取得や物件売却はなく、ほぼ2010年3月期並みの実績となった。
2011年3月期第3四半期業績
2011年2月3日、同社は2011年3月期第3四半期決算を発表した。
第3四半期累計期間は、2010年3月期に拡大した新築住宅の営業エリアにおける受注強化や2011年3月期に販売を開始した大型分譲地(栃木県壬生町)の積極的な販売活動などにより、売上高は20,410百万円(前年比28.1%増)、営業利益は1,198百万円(前年比114.1%増)となった。
2011年3月期第3四半期累計期間の事業毎の実績、および概況は以下の通り。
- 不動産販売事業(売上高:18,782百万円、前年比19.6%増、営業利益:1,057百万円、前年比151.2%増)
主力の新築建売住宅の販売数量は前年比31%増、地域別にみても栃木が前年比25%増、茨城が50%増、群馬が28%増と全般的に堅調であった。
同社は2011年第3四半期に入っても受注増加のトレンドは変わっていないとコメントしている。今後2012年3月期に向けた取り組みとしては、引き続き営業人員200人体制の確立をめざすほか、2011年1月出店した牛久(茨城県県南)周辺、2011年3月に出店予定の矢板(栃木県県北)周辺の開拓、群馬県の営業強化などを挙げている。営業人員200人体制に関しては、コアとなる人員(リーダーなど)の補強が既に済んでいることから、あとは周辺の人員を状況に応じて採用していく方針だ。群馬県に関しては、コアとなる優秀な人員を既に配置したとのことであり、同社は2012年3月期の同エリアにおける伸びを期待している。
中古住宅に関しては、2011年3月期上期の月次販売棟数は約15棟であったが、第3四半期は月約18棟のペースになってきた模様。2011年の年明け以降は2012年3月期に向けて仕入を強化しているとのことであり、供給戸数を増やすことによって、従来からの目標であった月次販売棟数25棟を達成したいと同社はコメントしている。
- 建築材料販売(売上高:1,416百万円、営業利益:12百万円)
2010年10月に製造ラインを増設、外販を拡大中であり売上は伸びている。しかし、同社によれば、資材価格の高止まりによって収益性が低いとのことだ。そのため、販売価格の見直しや収益性の高い工務店向けの販売を増やしていきたいとコメントしている。
- 不動産賃貸事業(売上高:212百万円、前年比4.7%減、営業利益:134百万円、前年比3.8%減)
2011年3月期第2四半期業績
2010年11月4日、同社は2011年3月期第2四半期決算を発表した。通期会社予想に対する上期の進捗率は以下の通り。
- 売上高:49.3%(通期予想27,300百万円)
- 営業利益:65.1%(同1,200百万円)
- 経常利益:55.1%(同1,410百万円)
- 四半期純利益:58.5%(同750百万円)
2010年3月期に拡大した新築住宅の営業エリアにおける受注強化や営業社員の増員・戦力化などにより、ほぼ全ての営業エリアで受注・販売ともに好調に推移したほか、原価低減や在庫水準の適正管理などによって利益率の改善が進んだ。
2011年3月期上期の事業毎の実績および概況は以下の通り。
- 不動産販売・新築住宅(売上高:10,631百万円、前年比30.4%増)
主力の新築建売住宅の売上高が前年比35.5%増(販売数量:前年比35.6%増、362棟)の9,664百万円となるなど、堅調であった。地域別にみても、栃木の売上高が前年比23.4%増の5,713百万円、茨城の売上高が前年比44.6%増の3,205百万円、群馬の売上高が59.3%増の1,212百万円とほぼ全エリアで売上が大幅に増加した。もっとも、同社は群馬の売上高の水準にはあまり満足していないとコメントしている。一方、茨城においては、地元における同社の知名度が徐々に向上し、仕入、販売、人材採用等の幅広い分野に対して好影響を及ぼしている模様だ。
営業社員は2010年9月末で160人と前年同期の2009年9月末より43人増加。新築住宅の受注棟数も人数に比例して増加し、2010年9月末で前年比36.4%増の420棟となっている。
同社は2011年3月期下期に入っても受注増加のトレンドは上期と変わっていないとコメントしている。今後へ向けた取り組みとしては、引き続き営業人員200人体制の確立をめざすほか、2011年1月に牛久(茨城県県南)、2011年3月に矢板(栃木県県北)に出店を予定している。矢板への出店が実現すれば、栃木エリアはほぼ全域をカバーする見込みだ。
- 不動産販売・中古住宅(売上高:1,590百万円、前年比34.9%増)
同社では、大幅な増収の要因に関して、市場環境が政策効果(住宅資金贈与非課税枠、申請手続の短縮化、住宅ローン減税、フラット35Sの金利優遇措置等)もあって改善傾向にあるほか、体制の再編成が功を奏したと分析している。体制の再編成とは、同社は従来エリアを細分化した上で3人から4人のチームで営業を行っていたが、2011年3月期に入って、より広いエリアを5人から6人のチームで担当する(新築住宅と同様の)体制に改めたことをさしている。ただし、同社は同事業の潜在的な伸び余地は高いとみており、今回の結果に満足していないとコメント。上期の月次販売棟数は約15棟であったが、月次販売棟数25棟を達成すべく、体制整備を行っていく方針のようだ。同社は従来から栃木県で築いた販売ノウハウを活かし、県外近隣地域への進出を視野に入れていると述べていたが、2010年9月に群馬県太田市に出店した(栃木県外に初めて進出)。
同社は2011年3月期下期に入っても受注に関して上期とトレンドは変わっていないとコメントしている。
- 建築材料販売(売上高:896百万円、前年比45.0%増)
上期の売上高の内訳は、外部顧客への販売が896百万円、グループ企業向けの販売が1,085百万円。対する生産実績は1,098百万円と需要に供給が追い付かず、2010年3月期に引き続き一部生産を外部に委託している。
ただし、同社は2010年9月に製造ラインを増設した。生産能力は増設前の約1.5倍となっており、同社は2011年3月期下期から年間ベースで外部販売2,500百万円を達成できる体制が整ったとみている。また、今後の収益性改善策として、これまで外部販売に占める比率が20%から30%に留まっていた工務店向けの比率を高めたいとコメントしている。
2011年3月期第1四半期業績
2010年8月3日、同社の2011年3月期第1四半期決算が発表された。同社の第2四半期累計期間業績予想に対する第1四半期の進捗率は以下の通り。
- 売上高:6,205百万円(上期予想に対する進捗率51.7%)
- 営業利益:289百万円(上期予想に対する進捗率72.3%)
- 経常利益:279百万円(上期予想に対する進捗率69.8%)
- 四半期純利益:150百万円(上期予想に対する進捗率68.0%)
前期に拡大した新築住宅の営業エリアにおける受注強化や営業社員の増員・戦力化等によって19.9%増収、31.4%営業増益となった。
上期および通期予想に変更はなかった。
売上高および営業利益は前年同期比で増加した。同社は新規住宅販売の営業エリアを2010年3月期に比べて拡大し、営業人員も増員したうえで受注拡大に尽力した。
栃木県と茨城県の新築建売住宅の販売が業績を牽引した一方で、群馬県における販売は同社の当初予想を下回る結果となった。SR社はマクロ環境の改善とその他要因(住宅資金贈与非課税枠、申請手続の短縮化、住宅ローン減税、フラット35Sの金利優遇措置等)が相まって需要を喚起したのではないかと見ている。SR社とのミーティングにおいて同社は、2010年3月期の月間60棟に対し今期は月間70棟(合計)の販売を目標にしていると述べた。
中古住宅販売は引き続き増加しているが、経営陣は同事業の拡大をより一層加速させたいようだ。今第1四半期は、2010年3月期の月間11棟を上回る月間15棟の中古住宅を販売したが、同社が達成可能とみていた月間25棟の販売を下回った。同社はその問題(立地、価格等から見た「適正」物件の欠如)を究明したうえで、外部の不動産業者ではなく、内部リソースを活用する方向に販売チャネルを改善させていくとコメントしている。経営陣は中古住宅販売が今後4~5年以内に約100億円に達する可能性があり、同社にとって重要な事業の一角になるとみているようだ。
コストは抑制されている模様だ。固定費は現行の事業に見合った水準にあり、これ以上増加する公算は低いと同社はコメントしている。新たな在庫回転改善策(6ヵ月間売れ残った住宅の販売を強化)の実施を受けて、一戸建当たりの粗利益は約50万円増加し、フリーキャッシュフローも改善している。
平時に戻ったと判断するにはまだ早いが、SR社は、2010年3月期に二桁減少が続いた関東地域の住宅着工が第1四半期に前年同期比2.7%増となった点に注目している。SR社は主力の建売住宅の好調な販売が続けば、業績予想が見直される可能性があると考える。
2010年3月期通期業績
2010年5月6日、同社の通期決算が発表された(上表を参照)
- 売上高: 22,108百万円(前年同期比12.0%増、予想比0.5%増)
- 営業利益: 884百万円(前年同期比13.6%増、予想比1.6%増)
- 経常利益: 854百万円(前年同期比18.8%増、予想比6.7%増)
- 当期純利益: 469百万円(前年同期比26.8%増、予想比17.3%増)
2010年3月期 業績のレポートカード
売上高
会社予想: 22,000百万円 (前年同期比11.4% 増)
実績: 22,100百万円 (前年同期比12.0% 増)
営業利益
会社予想: 870百万円 (前年同期比11.8% 増、営業利益率4.0%)
実績: 884百万円 (前年同期比13.6% 増、営業利益率4.0%)
経常利益
会社予想: 800百万円 (前年同期比11.4% 増、経常利益率3.6%)
実績: 854 百万円 (前年同期比18.8% 増、経常利益率3.9%)
当期純利益
会社予想: 400百万円 (前年同期比8.1% 増、当期純利益率1.8%)
実績: 469 百万円 (前年同期比26.8% 増、当期純利益率2.1%)
2010年3月期の売上高は、同社予想を上回った。同社の中核を成す3市場(栃木、茨城、群馬)すべてで前年を上回る売上高を計上した。栃木(前年同期比5.2%増)に比べ、茨城(同27.9%増)と群馬(同11.1%増)の回復が比較的強かった。予想通り、売上高は全体の69.9%を占める新築建売住宅が大半を占めた。新築住宅の販売は回復したものの、そのうち新築建売住宅の販売は振るわず、前年の536棟から570棟(6.3%増)になったにとどまり、その回復ペースは依然緩慢としたものであった。中古住宅の販売は、堅調に推移し61.4%増の134棟となった。
同社は、税制優遇策やその他の施策(2011年3月期見通しの項で説明)により、市場にはっきりとした改善の兆しが現れてきていると述べた。
売上総利益率は15.9%から17.0%と前年同期比で改善した。
営業利益、経常利益ともに前年同期比で増加し回復トレンドを継続しているが、販売管理費が増加したことから2009年3月期と比較し利益率は横ばいとなった。売上高販管費率は、中古住宅事業への投資継続、社員数の増加、事業拠点の拡張などにより人件費が増えたことから1%上昇し13.0%となった。
第3四半期決算
2010年2月3日に同社の第3四半期決算が発表された。連結の累計期間業績は、売上高が15,932百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益が559百万円(前年同期比6.4%減)、経常利益が523百万円(前年同期比4.3%減)、純利益が296百万円(前年同期比12.2%増)となった。
同社によれば、全体的な市場環境は上向いており、消費者需要も高まり始めている。第3四半期の売上高に最も貢献したのは茨城(対前年同期で359百万円増、または32.4%増)であり、一戸建住宅販売の売上高は2009年3月期第3四半期の970百万円を上回る1,355百万円で、全社売上高を牽引した。栃木における売上高は前年同期比10.1%増加であったが、一戸建住宅販売の軟調(前年同期比10.8%減)を、好調な土地販売と注文住宅販売が相殺した格好だ。
茨城では県内の業者が注文住宅に注力しがちであるため、同社にとっては競争が比較的少ない模様だ。そうした環境下で同社は土地を取得しやすく、これまではより高価な注文住宅という選択肢しかなかった消費者により手頃な価格の一戸建住宅を提供できている。
中古住宅販売は引き続き、同社の注力分野、そして成長分野である。同社は第3四半期に31棟の中古住宅を販売し、2009年3月期第3四半期までの累計販売数を94棟まで伸ばした。第3四半期売上高の合計は前年比で約50%増(63棟)だった。ここまでの進展を鑑み、SR社では同社が中古住宅販売の通期会社予想である120棟を達成できるものと見込んでいる。
同社が着手した各種のコスト削減策は次第に効果を表し始めている。同社は、それまで低水準にあった住宅1軒当たり売上粗利益率が、第3四半期には2~3%改善したとしている。調達面での原価圧縮努力に加え、同社が売上総利益率重視の方針を全社的に奨励する方針を示し、徹底し始めたためとSR社は理解している。
通期会社予想が達成できるかどうかに関しては、同社は慎重ながらもポジティブな見方をしているとの印象をSR社は受けている。同社のコスト構造が改善していること、景気が上向いていること、また同社事業の柱となっている県においての競合環境を考慮した場合、同社の見方は妥当であるとSR社は考える。直近の動向も、2011年3月期見通しについての前向きな見方を支える内容となっている。 同社は2010年3月期第3四半期決算の発表とほぼ同じタイミングで代表取締役の異動を発表した。磯 国男取締役が同社の代表取締役社長に昇格し、現職の福田晃社長は連結子会社である茨城グランディハウスの社長となる。磯取締役はトヨタウッドユーホームを経て1996年、グランディハウスに入社し、同社の建築・建設ノウハウの向上に貢献した(同社はそれまで、不動産に集中した事業を展開していた)。この異動で、同社のリーダーシップが菊地俊雄代表取締役会長により集中した結果、今まで以上に方向性が統一され、上層部の意思決定プロセスがより効率化するかもしれないと、SR社では考えている。
第2四半期(中間)決算
2009年11月6日に同社の第2四半期決算が発表された。連結の累計期間業績は、売上高が10,253百万円(前年同期比2.5%増;従来予想比2.3%減、前回予想10,500百万円)、営業利益が326百万円(前年同期比22.8%減)、経常利益が310百万円(同20.2%減)、純利益が203百万円(同3.2%増)となった。
同社の上半期の新築住宅販売件数は296棟で、前年同期比で5.7%増だった。これは、非常に注目すべき点である。というのも、栃木県内の一戸建住宅販売は前年同期比で29%減となっており、茨城県(同28%減)や群馬(同32%減)においても同様の傾向がみられるなど、全体的な市場環境は厳しいからだ。同社の決算短信のコメントによると、消費者の購買意欲の低迷や住宅ローンの審査が厳しいことから住宅需要が低迷し、住宅着工戸数は低調に推移したとある。
同社は新築住宅販売において前期並の受注を確保し、中古住宅販売においても増収を確保したが、競合の厳しさが増したことや新規の分譲地の供給タイミングが遅れたことで計画なみの利益を確保するに至らなかった。当発表の時点では通期の業績予想は変更されていない。
注記:同社は2010年3月期の第1四半期から請負工事にかかる収益の計上基準を変更し、それによって当四半期連結累計期間の売上高は82百万円増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益はそれぞれ22百万円増加した(これは特に、建設工事が完了した注文住宅の割合の認識に関連する)。収益計上基準の変更は全企業が対象となっており、同社経営者の裁量で採用されたわけではない。
第1四半期決算
同社の10年3月期の第1四半期決算は8月5日に発表された。売上高は前期比15.1%増の5,180百万円、営業利益は13.4%増の220百万円となった。粗利益率は17%で、前期とほぼ同等。SR社は上半期の会社予想達成に十分な実績として見ている。しかし、同社によると社内目標には届かなかった。
同社によると、市場環境は相変わらず厳しいとのことである。北関東の経済状況は他の地域と比べてよいものの、厳しい雇用情勢、将来所得に対する不安、消費者マインドに浸透している「不動産価格が低下し続ける」という感覚等を考えると、住宅を売るのは決して容易ではない。
第1四半期に於いての新築の販売棟数は注文住宅32棟を含め147棟、前年同期比27.8%増であった。SR社は販売棟数が社内目標を下回ったと推定している。一方、中古住宅の販売は28棟で、社内目標が達成した模様だ。中古住宅事業がこれからも伸び続け、今後2~3年後には同社の収益回復に寄与するとSR社は見ている。
不動産販売事業全体としては、売上高が510百万円(前年同期比15.8%増)、営業利益が168百万円(同28.7%増)であった。不動産賃貸事業は2009年3月期に物件売却があったため、減収減益になった。 同社は通期業績予想を据え置いた。
損益計算書
同社は、上場以来、期初に強気の見通しを提示し、その後、予想を下方修正する傾向にあったが、2009年3月期からより保守的な見通しを提示するようになった。同社は2008年9月に当初の見通しを上方修正し、同年度末には修正後の新たな目標値を達成した。経営陣によれば、現時点では、予想に関しては現実的かつ保守的なスタンスであるという。
過去の実績
同社は、個人向けの土地の売買を手がける不動産業者として事業を開始した。その後、注文住宅販売、そして、分譲一戸建住宅販売に参入した。土地の仕入能力と不動産立地に対する知識やノウハウは、同社が住宅建築事業に重点的に取り組むことになった際、大きな後押しとなった。2002年の不況時にもかかわらず、同社はめざましい成長をみせ、2001年3月期から2007年3月期の間に利益は3倍になった。成長への過大なこだわり、上場後の経営陣の人事問題、マンション開発業者との競争激化などが重なり、2007年3月期には業績は低迷。2008年3月期には経常利益が400百万円と大幅な減益となり、数年間で最低レベルとなった。地域の経済的苦境が増す中でさらに従業員の士気の低下を招き、経営陣の言葉を借りれば「悪循環」に陥った。同社は以降、人件費や従業員の士気に対するアプローチを見直してきた。人件費が増加した理由の一端には、従業員にとってより働きやすいバランスの取れた職場として立て直す必要性があると経営陣が認識したことが挙げられる。
2008年3月期の売上と経常利益は各々△33% 、△87%(どちらも対前年比)と落ち込んだが、これは以下の各要因によるものである。
- 分譲マンションの過剰供給による栃木県中核市場における需給の悪化
- マンション耐震強度偽装問題(「姉歯問題」)に関連する問題
- ガソリン価格高騰による消費の冷え込み
- これまで南関東を拠点としてきた建設業者との新たな競合
2009年3月期
同社の利益は着実に改善し、2008年9月には当初の会社予想を上方修正した。これは 2008年12月以来の受注回復傾向を背景に売上が予想を上回ったためである(会社資料:2008年9月17日付ニュースリリース)。この利益改善は、世界的の商品価格高騰を背景とした資材コスト高騰にもかかわらず達成された。
同社は修正した見通しを実現すべく努力し、実績は売上が対前年比32%増、営業利益が同57%増 、経常利益は同80%増となった。経営陣によれば、これは販売が好調だったこと、販売人員の研修による質の向上、そして各支店・営業所による効率改善のための努力によるものだという。2009年3月期の売上は、戸建分譲住宅が117 棟増、注文住宅で14棟増となり、合計で565 戸を販売した。中古住宅の売上は2009年3月期には45棟増となり、合計で83 棟を販売した。SR社では、将来、中古住宅の売上の伸び率は他の事業セグメントをしのぐだろうと予想している。
2009年3月期の重点戦略は、宇都宮市や水戸市(茨城県)といった人気のエリアに戦略の焦点を当てることと、より高い所得者層への訴求であった。後者の取り組みの結果、一顧客当たりの平均価格が上昇した(販売物件の構成比と最多価格帯は、価格30百万円以上で26%、2008年3月期は同20%)。2009年3月期第4四半期以降、受注は回復傾向にある。
貸借対照表
資産
2010年3月期の流動資産は、現金および売掛金により588百万円増加した。たな卸資産は、2010年3月期末時点で販売用住宅1年分相当で金額にして10,479百万円である。
同社の貸借対照表では、売掛金と買掛金の額はごくわずかである。どの不動産会社でもいえることだが、結局は在庫とそれをいかに迅速に回転させられるかということがポイントである。
固定資産に関しては、2010年3月期末時点で6,000百万円相当の土地と3,300百万円相当の建物が貸借対照表に計上されている。
負債
2010年3月期末時点の借入金総額は10,328百万円で過去7年間で2番目に低い水準である。その結果として、10年3月期末時点の負債総額は168百万円増加し13,052百万円となった。10年3月期末時点の負債比率は1.1倍となり(2009年3月期は1.16倍)、これまでの同社の歴史から見ても支払利息負担の側面から見ても適正レベルである。有利子負債のほとんどが短期借入金で、在庫回転期間とも概ね合致している。このため、未販売在庫の大幅な増加は財務上のリスクとなるが、現状の財務安定性は高いため、その懸念はないといってよいであろう。
2010年3月期における同社の目標は、負債の削減である。この理由の一つとして、新規プロジェクト融資に対する銀行の慎重(消極的)なスタンスが挙げられよう。銀行の貸倒コストが増加しつつある点を鑑みると、不動産業者への融資姿勢がより慎重なものとなる可能性があるため、この状況は2010年3月期も続くであろうと思われる。
2008年から2009年初めにかけて、銀行と不動産業者の関係は注目すべき点であった。しかし、同社は、銀行の融資基準は特に厳しくなってはいないと述べていた。実際、地元有力企業である同社は、都市銀行や外資系金融機関への依存度の高い東京を本拠地とする不動産会社と比較して、メインバンクである足利銀行、群馬銀行、常陽銀行と安定した関係を維持していた。同社は、2009年5月25日決算説明会において、銀行がリーマンショックによる余波で融資基準をより厳しくしていると述べた。ただ、同社によれば、2010年3月期に銀行のスタンスも正常に戻りつつあり、土地の購入を再開できるようになったとのことである。
同社の開発案件は個別に各子会社によって資金調達されている。ただし、茨城県と群馬県にある子会社において新規プロジェクトファイナンスを獲得することは、栃木県内と比較すればやや難しいとSR社では考える。
株主資本
株主資本は、10年3月期末で277百万円増加した(主に、純利益の増加+469百万円、192百万円の配当支払による)。
一株当たりデータ
キャッシュフロー計算書
営業キャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローは、2009年3月期の2,725百万円から、2010年3月期は1,267百万円へと減少した。これは主に、たな卸資産の減少ペースが鈍ったことと仕入債務の増加による。
投資キャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフローは、2009年3月期の485百万円、10年3月期は53百万円となった。収入が減少はしたが、保有不動産の売却が不動産取得を上回り、引き続き収入超となっている。
財務キャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフローは、2009年3月期の2,872百万円の支出に対し、2010年3月期は745百万円の支出となった。2009年3月期に短期および長期借入金の返済を行い、2010年3月期も長期借入金の返済が借入を上回った。
現金および預金は、2010年3月期末時点で576百万円増加した。
単純フリーキャッシュフロー(純利益に減価償却費を加算した上で、設備投資および運転資本増減を控除)
同社の単純フリーキャッシュフローは、2009年3月期の2,140百万円に対し2010年3月期は1,252百万円となった。2010年3月期の税引前利益は対前年で増えたが、2009年3月期に行われた在庫削減が2010年3月期には行われていないほか、2010年3月期に支払債務が増えたことから、運転資本の減少ペースが鈍化している。このことが単純フリーキャッシュフローの減少要因となっている。
その他情報
沿革
1991年4月:栃木県宇都宮市に土地の造成・分譲を目的として新日本開発株式会社設立
1999年9月:「グランディハウス」ブランドにおいて分譲一戸建住宅事業に参入
1999年11月:新日本グランディ株式会社に社名変更
2004年1月:グランディハウス株式会社に社名変更
2005年12月:東証二部に株式上場(コード8999)
同社は土地分譲販売を目的として設立され、後に住宅事業に参入した。建築条件付宅地の分譲販売と注文住宅の建築を主体とした時期を経て、現在は一戸建分譲住宅販売事業を主力として営業を展開している。分譲住宅においては、地域や立地特性にあわせた街並みと各棟独自に訴求ポイントを高めた住宅を提案することで差別化を図り、また、注文住宅においては、標準品と差別化を図る「遊悠自在」シリーズも提案している。また中古住宅販売、住宅木材のプレカット事業、不動産賃貸事業、リフォームなども手がけている。
ニュース&トピックス
2011年8月
2011年8月3日、同社は2012年3月期第1四半期決算を発表した。
2011年5月
2011年5月9日、同社は2011年3月期通期決算を発表した。
2011年4月
2011年4月18日、同社は2011年3月期通期業績予想の修正を発表した。修正内容は下記の通りである。
- 売上高:27,235百万円(前回予想27,300百万円)
- 営業利益:1,504百万円(同1,200百万円)
- 経常利益:1,509百万円(同1,410百万円)
- 当期純利益:798百万円(同750百万円)
同社は売上高については、「東日本大震災」の影響で期末に予定していた住宅の引き渡しに一部遅れが生じたことから、前回予想並み(微減)で着地する見込みになったとコメントしている。一方、営業利益の上方修正については、商品回転率の改善や経費削減によって利益率が向上したことによると説明している。
2011年3月
2011年3月14日、同社は、3月11日に発生した「東日本大震災」の2011年3月14日時点における影響について、下記のようにコメントを発表した。
- 同社および連結子会社の事業所・店舗において、全拠点において通常通り営業を行っている
- 同社の主要商品である住宅(建築中のものを含む)についても、地震による被害は軽微である
- 今回の地震による2011年3月期業績への影響は、軽微である
- なお、今後、地震のライフラインへの影響等により、2011年3月期業績に重大な影響が見込まれる場合は、速やかに開示する予定
2011年2月
2011年2月3日、同社は2011年3月期第3四半期決算を発表した。また、下記の通り、代表取締役の異動が発表された。異動予定日は2011年3月1日となる。
- 村田 弘行氏(新役職:代表取締役社長、旧役職:代表取締役副社長)
- 磯 国男氏(新役職:代表取締役副社長、旧役職;代表取締役社長)
トップ経営者
主要役員の略歴は以下の通り。
菊地 俊雄:1950年生まれ。代表取締役会長であり、同社設立者。2006年、代表取締役会長就任。現在は資本政策や主要戦略課題など最重要事項の決定にのみ関与するが、現在も同社のキーパーソンである。菊地氏の不動産開発の手腕が同社を飛躍的に発展させた。同社設立前は、宇都宮産業開発株式会社(現トヨタウッドユーホーム。同社の競合企業)において土地調達担当上級(上席)役員を務めた。
村田 弘行:1960年生まれ。2011年、代表取締役社長就任。1998年入社。2000年に取締役就任。同社入社前は昴ハウジング株式会社に在籍。
従業員
2011年3月31日時点の連結ベースにおける従業員数は516人である。
大株主
2011年3月期末時点、大株主上位10名の合計が発行済株式の53.36%を占めた。外国人株主比率は2010年3月期末の9.0%に対し2011年3月末では10.1%にまで上昇した。2011年3月期末時点での株主数は、3,191名。
配当および株主還元
2006年3月期の上場時から年間配当金2,000円(株式分割調整後)を維持しており、2011年3月期も安定配当の観点から2,000円の配当を予定している。配当金の支払い回数は期末の年1回を継続する見通し。同社は、時機に応じて特別配当または記念配当を実施し業績の伸長に応じて積極的に利益還元を行う方針である。ちなみに、2006年3月期に上場記念配当1,000円(2006年3月28日発効で1:3の株式分割を実施、分割調整後記念配当は333.33円)を行った。
自己株式取得については、過去2007年3月期に合計3,699株、2008年3月期に3,094株の買付けを行っている。今後については、配当と合わせて総合的な利益還元として財務状態に応じて実施するとしているが、現在のところ具体的な取得枠の設定はない。
IR活動
中間および本決算発表後の年二回、東京にて決算説明会を行う。
IR担当窓口は、管理部の武内氏。 連絡先は、Tel. 028-650-7777






















