シップヘルスケアホールディングス (3360)
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2012年 2月 5日時点
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直近更新内容
概略
2012年2月1日、シップヘルスケアホールディングス株式会社は、子会社であるグリーンホスピタルサプライ株式会社が、アントケアホールディングス株式会社の株式の追加取得を行い、完全子会社としたと発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
同社は、連結子会社であるグリーンホスピタルサプライ社が、同じく連結子会社であるアントケアホールディングス株式会社の株式を2011年12月27日付で取得したが、2012年2月1日までに追加取得を行い、完全子会社としたと発表した。今回の追加取得は、グリーンホスピタルサプライ社がアントケアホールディングス社の株式12,291株(発行済株式の39.5%)を取得価格2,489百万円で買い取っており、これによってグリーンホスピタルサプライ社はアントケアホールディングス社の発行済株式数の99.4%を有することとなった。
2012年3月27日をもって、グリーンライフ社を存続会社としてアントケアホールディングス社を吸収合併する予定となっている。
2012年1月13日、同社は子会社であるクオンシステム株式会社の解散とそれに伴う債権の取立不能について発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
同社によれば、クオンシステム社(グリーンホスピタルサプライ株式会社の100%子会社)は2012年2月1日で会社分割を行い、同2月28日をもって解散する予定。なお、これによって、グリーンホスピタルサプライ社のクオンシステム社に対する貸付金980百万円が取立不能となるおそれがあるとのことだ。
もっとも、当該債権については貸倒引当金として引当形状済みであり、同社子会社間の貸付であることから、連結業績に与える影響はないとのことである。また、税金費用が減少する見込みだが、既に会社予想に織り込み済みであり、会社予想の変更はないとしている。
2011年12月9日、同社は子会社であるグリーンホスピタルサプライ社が、2011年12月27日付でアントケアホールディングス社の株式を取得し子会社化することを決議したと発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
アントケアホールディングス社は有料老人ホーム・グループホームの運営を行っており、日本全国で53施設(合計定員2,311名、2011年7月末日)を展開している。同社はヘルスケア事業において、現在関西地区において大型施設を中心に7施設(合計定員1,308名)を展開しているが、アントケアホールディングス社は関東地区を主として施設を運営しており、中・小規模タイプの施設展開にノウハウを有しているとのことだ。
アントケアホールディングス社の2011年10月期(参考、6ヵ月)の実績は、売上高5,462百万円、営業利益322百万円、当期純利益293百万円。また、2011年10月末の総資産は6,215百万円、純資産は573百万円であった。
同社はアントケアホールディングス社の株式18,626株(発行済株式の60.1%)を取得価格3,773百万円でアントケア・ビジネス1号投資事業有限責任組合から買い取る予定としている。
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業績動向
注:各四半期決算においては、売上高、営業利益が第4四半期に集中する傾向にある。これはトータルパックシステム事業のプロジェクトに起因する。第4四半期の売上高が2010年3月期実績では通期実績の約35%、2011年3月期実績では同約31%を占めた。また、売上高の多寡によらず費用は一定の割合で配分される。そのため、第4四半期の営業利益は2010年3月期実績では通期実績の約55%、2011年3月期実績では同約39%とより大きな比重を占めている。
2012年3月期第2四半期実績
2011年11月7日、同社は2012年3月期第2四半期決算を発表した。同社は2011年10月28日に2012年3月期第2四半期累計期間の会社予想の上方修正を発表済みであり、ほぼその修正に沿った実績であった。
第2四半期累計期間の売上高は前年比11.9%増の81,117百万円、営業利益は前年比32.2%増の4,316百万円であった。同社は、大型プロジェクト案件の計上があったことや、医療設備メーカー・調剤薬局事業の業績が好調に推移したことなど、グループ各社の業績が好調であったとコメントしている。
各事業の実績、および各事業に対する同社のコメントは以下のようになる。
- トータルパックシステム事業
売上高は26,545百万円(前年比9.6%増)、営業利益は2,354百万円(同23.2%増)、営業利益率は8.9%(2011年3月期第2四半期累計期間は7.9%)であった。大型プロジェクト案件が早期の売上計上できたことに加え、既存得意先に対する医療機器の販売や介護用浴槽の販売、手術室の施工受注が積み上がったことなどが業績に寄与した。
- メディカルサプライ事業
売上高は42,991百万円(前年比14.3%増)、営業利益は872百万円(同22.6%増)、営業利益率は2.0%(2011年3月期第2四半期累計期間は1.9%)であった。販売数量増加と効率化を推し進めるとともに、2010年10月より連結した株式会社札幌メディカルコーポレーションの業績が寄与した。
*ヘルスケア事業 売上高は3,802百万円(前年比0.6%減)、営業利益は567百万円(同23.8%増)、営業利益率は14.9%(2011年3月期第2四半期累計期間は12.0%)であった。介護付有料老人ホーム運営事業における入居者は1,200名前後、稼働率約92%前後で安定的に推移した。また、食事提供サービス事業においても、一部契約が終了した一方、病院や老人ホームを中心に新たな契約先を獲得した。
- 調剤薬局事業
売上高は7,261百万円(前年比14.0%増)、営業利益は784百万円(同50.8%増)、営業利益率は10.8%(2011年3月期第2四半期累計期間は8.2%)であった。ジェネリック医薬品や調剤技術料の加算獲得に注力したほか、新規に3店舗の出店をした。
同社が2011年10月28日に2012年3月期第2四半期累計期間の会社予想の上方修正をした際に指摘した要因は3点。1)トータルパックシステム事業におけるプロジェクト案件の一部が当初計画より早期に計上されたこと、2)トータルパックシステム事業におけるメーカー系子会社がグループの介護付有料老人ホーム向け特殊浴槽の販売や、手術室工事の積み上がりなどから堅調であったこと、3)調剤薬局事業における患者数の堅調な推移、である。このうち、1)に関しては、単に収益計上タイミングが下期から上期に早まっただけとみることができる。しかし、2)、3)に関しては純粋に計画を上回った点といえよう。
もっとも、同社は通期会社予想については現在精査中であり、修正が必要となった際には、改めて公表するとしている。この点について、2011年11月15日の決算説明会で同社は、順当にいけば通期会社予想は上回ると思うが、昨今の欧州債務危機などを背景にマクロ経済環境の先行きに不透明感が強まりつつあることを考えれば、会社予想を未達となる事態は避けたいと考え、現時点では変更しないとしている。
2012年3月期第1四半期実績
2011年8月1日、同社は2012年3月期第1四半期決算を発表した。
売上高は前年比16.0%増の41,565百万円、営業利益は前年比79.5%増の2,349百万円であった。
各事業の実績、および各事業に対する同社のコメントは以下のようになる。
- トータルパックシステム事業
売上高は14,636百万円(前年比23.2%増)、営業利益は1,432百万円(前年比119.4%増)、営業利益率は9.8%(2011年3月期第1四半期は5.5%)であった。大型プロジェクト案件の売上計上に加え、特殊浴槽等の自社製品が販売を伸ばし、業績が拡大した。
同社は、トータルパック事業の収益が膨らんだ要因として、1)メーカー系で2011年3月期に出荷しきれなかった分が今四半期で計上されたこと、2)上期中に仕上がると見込んでいたプロジェクトの一部が第1四半期末に前倒しで売上計上できたこと(売上高で約4,000百万円相当)、などの点を指摘している。SR社の認識では、1)は会社予想で見込まれておらず、会社予想に対して上振れ要因となる。一方、2)は第2四半期のプロジェクトの動向(件数が落ちる可能性がある)と合せてみていく必要があるといえよう。
- メディカルサプライ事業
売上高は20,972百万円(前年比12.3%増)、営業利益は368百万円(前年比13.2%増)、営業利益率は1.8%(2011年3月期第1四半期は1.7%)であった。販売数量増加と効率化を推し進めるとともに、2010年10月より連結化した株式会社札幌メディカルコーポレーションの業績が寄与した。
- ヘルスケア事業
売上高は1,961百万円(前年比3.5%増)、営業利益は280百万円(前年比1.7%減)、営業利益率は14.3%(2011年3月期第1四半期は15.0%)であった。介護付有料老人ホーム運営事業における入居者は1,200名前後で安定的に推移した。
- 調剤薬局事業
売上高は3,768百万円(前年比18.9%増)、営業利益は374百万円(前年比49.6%増)、営業利益率は9.9%(2011年3月期第1四半期は7.9%)であった。ジェネリック医薬品や調剤技術料の加算獲得に注力したことが増収増益に寄与。
2012年3月期上期および2012年3月期通期会社予想は期初予想値が据え置かれた。この点、第1四半期はトータルパックシステムを始め、収益が膨らんだものの、今後の動向を見極めるためと同社はコメントしている。
2012年3月期通期見通し
2012年3月期の会社予想は売上高が前年比10.2%増の179,000百万円、営業利益が前年比4.4%増、経常利益が前年比1.7%増の9,000百万円、当期純利益は前年比0.3%増の5,950百万円となっている。
セグメント別の会社予想は下記のようになる。メディカルサプライ事業、ヘルスケア事業、調剤薬局事業が増収増益の計画である一方、トータルパックシステム事業が増収減益の計画である。
トータルパックシステム事業
会社予想の売上高は前年比4.6%増の61,000百万円。売上高予想の内訳はプロジェクトが前年比9.3%減の18,000百万円、ルーチンが前年比30.7%増の16,000百万円、メーカー系が前年比3.1%増の27,000百万円となっている。
プロジェクトに関して、件数は30件と2011年3月と同水準を見込むものの1件当たりの売上高の減少を予想していることが減収の主因。同社はプロジェクトに関して、震災影響から一部案件が2013年3月期以降に延期される点を考慮に入れているとしている。また、同社は2007年の建築基準法改正によって多くのプロジェクトが延期を余儀なくされたが、その影響が2013年3月期以降の件数増加として出てくるだろうと想定しており、2012年3月期に関しては端境期との見方をしている。2010年3月期、2011年3月期と超大型案件が収益を押し上げたが、2012年3月期に関しては、そうした超大型案件を想定していない。
ルーチンに対して、同社は2010年の診療報酬増額改定を受けた医療機関の投資増加が2012年3月期も続くとみており、増収をみている。メーカー系については、2011年3月期実績に特需も多かったとの見方から、小幅の増収予想に留めている。
営業利益は前年比7.2%減の4,500百万円の予想。売上ミックスの悪化や研究開発費の増額をみていることが減益見通しの理由である。
メディカルサプライ事業
会社予想の売上高は前年比16.1%増の96,000百万円。売上高予想の内訳は院外SPDが前年比2.0%増の24,000百万円、院内SPDが前年比19.5%増の31,000百万円、その他が前年比23.5%増の41,000百万円となっている。院内SPDの増収については院内SPDの受託先取扱品目の増加をめざしていること、その他の増収については札幌メディカルコーポレーショングループの業績が通期寄与することが要因と同社はコメントしている。
営業利益は前年比16.8%増の1,700百万円の予想。営業利益率は2011年3月期と同水準の1.8%が想定されている。
ヘルスケア事業
会社予想の売上高は前年比4.1%増の8,000百万円、営業利益は前年比10.2%増の1,050百万円。介護付有料老人ホームへの入居者数は、2010年3月末:1,140名、2011年3月末:1,200名と増加傾向にある。同社は平均入居者数が2011年3月期より2012年3月期で増加するとみており、増収増益につながる計画となっている。
調剤薬局事業
会社予想の売上高は前年比10.8%増の14,000百万円、営業利益は前年比17.1%増の1,600百万円。4店舗を新たにオープンすることにより、店舗数は2011年3月期 の48店舗から2012年3月期は52店舗となる見通し。
震災影響
同社は、東日本大震災に伴い今後復興需要(大震災で喪失した医療、介護施設の再構築需要)が生じるだろうとは述べているが、タイミング、規模は見通せないとして、2012年3月期の会社予想に復興に伴うプラスの影響は見込んでいない。
SR社が同社にヒアリングしたところ、メディカルサプライ事業、ヘルスケア事業、調剤薬局事業の計数に関しては、アップサイド、ダウンサイドリスクともに限定的ではないかとのことだ。同社は計数から実績が乖離する可能性があるのはトータルパックシステム事業であるとし、特にルーチンがどうなるかは今後の受注獲得次第であると述べている。
中期見通し
SR社の印象では、同社経営陣は2013年3月期の会社目標である売上高2,000億円、経常利益100億円の達成に一定の自信を持っているように思われる。
ヘルスケア事業、調剤薬局事業は投資回収期に入っており、メディカルサプライ事業の売上構成比も高まりつつある(2011年3月期の同事業の売上構成比は50.9%)。メディカルサプライ事業の営業利益率(2011年3月期は1.8%)はトータルパックシステム事業(2011年3月期は同8.2%)に見劣りするが、 (同社は2011年6月時点では今後2年ぐらいかけて営業利益率2.7%をめざすとコメント)。複数のセグメントでバランス良く利益を生む構造が徐々に出来上がりつつあるものとSR社では考える。
トータルパックシステム事業に関しても、2013年3月期に入りプロジェクト件数の増加が見込めるほか、採算性のよいメーカー系にまだ伸び余地があると同社はコメントしている。
2014年3月期以降に関しても、同社は、プロジェクト件数の増加が見込めるほか、その他分野でも国内でのシェアアップを軸に更なる成長をめざすとしている。また、同社はM&A等外部成長も(引き続き)選択肢として視野に入れているとコメントしている。
事業内容
概略
セグメント情報
同社グループの事業は、持株会社ならびにM&Aで買収してきた事業会社を中心とする連結子会社38社および関連会社(持分法適用会社)1社により構成されている(2011年3月末)。これらの企業群は、いずれも医療・保健・福祉の3分野を事業ドメインとして設定しており、連結セグメント情報では事業内容ごとに1)トータルパックシステム、2)メディカルサプライ、3)ヘルスケア、4)調剤薬局、5)その他、に分類されている。営業利益に対する貢献度でみた際、最も重要なセグメントは同社のコア事業である医療機関等に対する(コンサルティングに重きが置かれた)プロジェクト案件が含まれるトータルパックシステムである。
プロジェクト案件の典型的な例として500床前後の総合病院の新築移転のケースが挙げられ、同社のビジネスとの関連としては、以下1)~4)のようになる。
1)同社は新築移転の3~5年前の段階からコンサルティングサービスを提供
2)医療設備・機器の納入(30億~40億円相当)を実施
3)注射針や手術着などの消耗材料の供給ならびに追加機器を納入(月間1億~2億円)
4)門前薬局の運営
このように、同社は顧客である総合病院に対して一括したサポートサービスを提供する。さらに、同社では病院の建物と併設した介護付有料老人ホームの設立・運営(両者を一つの建物内あるいは渡り廊下で両者を接続するなどして併設)など、さらに総合的な医療サポートサービスを提供しているケースもみられる。
ビジネス
セグメント情報詳細
同社の5つのセグメントの事業内容は、このセクションに示す通りである。また、トータルパックシステムならびにメディカルサプライの売上高に関してはそれぞれ下記の通りサブセグメントの内訳も開示されている。
トータルパックシステム事業
事業内容は、医療機関の新設・移転・増改築などのニーズに対する総合的なサービスの提供であり、主な業務は下記4分野に分けられる。もっとも、同社はこうした4分野を一括受注している。
1)企画運営・医療設備コンサルティング
2)医療機器・医療設備等の製造・販売
3)設備工事、不動産賃貸業務、その他
4)医療機関向けシステムの開発および販売
2011年3月期実績でみて、当該事業の全社売上高に占める割合は36.5%、全社営業利益に占める割合は55.5%、営業利益率は8.2%である。
同社は、当該事業の売上高を、プロジェクト(セグメント売上高の33.5%)、メーカー系(同44.2%)、ルーチン(同20.7%)の3つに分けて開示している。
- プロジェクト
プロジェクトとは、医療機関等の新設、移転新築および増改築、医療機器の購入等のニーズに対して、企画運営・医療設備コンサルティング、医療機器・医療設備等の施工販売およびリース、その他の業務を一括受注することにより、総合的なサービスを提供する事業のことである。ある意味で、同社の役割は他業界によく見るエンジニアリング会社の役割に似ている(例えば、石油業界における千代田化工建設株式会社や日揮株式会社など)。プロジェクト1件当たりの同社の売上高は、5億円前後から30億円前後までとかなりの幅がある。また、プロジェクトにおいてはコンサルティング開始から開業までがおよそ3~5年間に及ぶのだが、同社は売上高計上に関して検収基準を採用している。検収時期が年度末(毎年3月)に集中するため、当該セグメントの売上高は毎期第4四半期に集中する傾向が強く、その直後にあたる第1四半期の売上高が小さくなる傾向がある。
- ルーチン
ルーチンとは既存の顧客先医療機関等における更新需要等に関連する事業による売上高のことである。プロジェクトが複数年に渡って同社が関わる事業であるのに対し、ルーチンは同社が単年のみ関わる事業である。病院の建物の設計や建設自体はそれぞれ専門業者が存在するが、同社は特殊な機器を要する医療設備の設置等に関するノウハウを有しており、そのノウハウを活用して病院経営に最適な医療機器の更新ないしは新設を提案する事業である。また、グループ内の不動産管理会社所有の老人ホームや病院施設等の不動産賃貸業務等の事業もルーチンに含まれる。
- メーカー系
メーカー系とは、医療設備機器の製造・販売による売上高である。株式会社セントラルユニ(2006年11月に子会社化)、山田医療照明株式会社(2008年4月に子会社化)、酒井医療株式会社(2009年10月に子会社化)の3社で構成される。
セントラルユニ社は主に、医療ガス供給設備製品の製造・販売や手術室の設計・施工などを行っている。また、子会社の株式会社エフエスユニマネジメントを通じ、メディカルサプライ事業のSPD関連業務受託を行っている。トータルパックシステム事業のメーカー系で計上される売上は医療設備の製造・工事に関連した業務となる。
山田医療照明社は1927年設立の医療用照明機器メーカーである。無影灯(医療に用いられる手術用の照明器具。複数の光源を用いて高照度で手元に影が出ないように工夫されている)や診療灯の製造・販売を行っている。
酒井医療社は1939年設立の医療機器メーカーであり、主には入浴装置とリハビリ機器の製造・販売を行っている。
メーカー系3社は主要製品・サービスの販売シェアで高いシェアを占めている。同社の推定(矢野経済研究所「病院設備機器市場の現状と将来展望」に基づく)によれば、2009年の国内市場におけるシェアは、セントラルユニ社が医療ガス設備で55%、手術室内装で50%とそれぞれトップのシェアを占める。また、山田医療照明社の無影灯は40%である。無影灯のシェアは山田医療照明社のシェアにセントラルユニ社のシェアを足したグループシェアとしては、50%でありトップシェアとなる。最後に、酒井医療社は入浴装置が30%、リハビリ機器が25%のシェアを占めており、それぞれ第2位に位置する。
同社は、これら3社をグループに加えたことにより、従来の商社機能に加えて、設備メーカーとして病院の価値を高める製品・サービスも提供できるようになったとコメントしている。また、病院の新規建設や改装などの際に、医療機器の製造、医療機器選定支援、機器の配置図の作成、建築・設備工事などを同社1社で通して提供できる体制が整った点を強調している。SR社は、通常、こうした作業には、設計事務所や医療機器ディーラー、医療機器メーカーなど多くの業者が関わることになると理解している。そのため、同社がこうした体制が整ったとすれば、作業効率の向上(病院側にとっては費用削減)やより緻密なコンサルティングの提供が可能になると考える。
2011年3月期決算説明会で、同社はメーカー系の今後の施策に関して、3社の販売チャネルの相互利用や事務所の統合連携、スキルシミュレーションセンター(現「SHIP 東京 新ショールーム」)の更なる進化などを挙げている。
販売チャネルの相互利用に関して、同社によれば、セントラルユニ社、山田医療照明社が急性期病院の手術室設置に主にこれまで携わってきた一方、酒井医療社は回復期病床や介護施設に対して製品販売を行ってきた。そのため、3社間でお互いの主要チャネルを利用することにより、従来は踏み込めなかった領域に製品を納入していくことを期待しているとのことだ。
事務所の統合連携とは、日本全国に、セントラルユニ社、エフエスユニ社、山田医療照明社、酒井医療社の4社合計で約40の事業所がある(2010年12月時点)。この統廃合を進めることによって、事務所固定費の削減や情報共有によるグループ総合営業の実施、管理機能の統一化などをめざすと同社は説明している。
また、同社は、東京・本郷にショールーム施設の「SHIP 東京 新ショールーム」を保有している。「SHIP 東京 新ショールーム」は、最新の手術室、ICU、無影灯コーナー、その他運営コーナーの4ブロックで構成。実際の医療現場に近い治療環境を体感することができるような空間が準備されている。2009年10月の竣工以来、累計約350組の来場者(医師、看護師などが複数で訪れるケースが多い、2011年9月末時点)があった模様だ。
メディカルサプライ事業
事業内容は、診療材料および医療用消耗品等の販売である。2011年3月期実績でみて、当該事業の全社売上高に占める割合は50.9%であり、全社営業利益に占める割合は16.6%、営業利益率は1.8%である。また、同社が開示している当該事業の売上高内訳によれば、院外SPD(Supply Processing and Distributionの略、物品管理ないしは物流代行システム)が28.5%、院内SPDが31.4%、その他が40.2%である。
- 院外SPD
院外SPDとは、同社の例えを用いれば「富山の薬売り」のコンセプトに類似するものであり、同社の本社(大阪)に隣接する場所で倉庫を運営し、医療機関のニーズに従い小分けした診療材料・医療用消耗品等の供給を迅速に行うものである。同社の場合、倉庫から自動車で約2時間以内にある医療機関を対象にこの業務を行っている。従って業務は大阪を中心とした関西がメインであり、その他地域の医療機関に対しては、院内SPDで対応している。
- 院内SPD
院内SPDとは、同社が人材を医療機関に派遣し、業務の代行を行うことである。代行する業務は、診療材料・医薬品等の物品管理業務、洗浄・滅菌業務等の受託および診療材料・医薬品等の販売代行・支援サービス業務などである。これらはいずれも医師や看護師といった資格を必要としない業務である。
- その他
上記、院外SPD、ユニ関連以外であり、通常のルート営業などのことをさす。株式会社ライトテック、株式会社ハートライフ、株式会社サンライフ、札幌メディカルコーポレーションなど循環器科で使用される専門医療材料の販売を行う子会社もここに分類されている。専門医療材料とは、心臓ペースメーカーや心臓カテーテルなどの物品をさし、取扱いにライセンスなどを要する。
ヘルスケア事業
事業内容は、介護付有料老人ホーム等の運営、医療機関・福祉施設向け食事提供サービス業務である。2010年3月期実績でみて、当該事業の全社売上高に占める割合は4.7%であり、全社営業利益に占める割合は10.9%、営業利益率は12.4%である。同社は神戸・大阪を中心に2011年3月期末現在7施設の運営に携わっているが、特徴としては病院に隣接した入居可能者数が多い施設が中心であることが挙げられる。この分野での同業他社の場合、入居可能者数は概ね30~50人であり、同社の場合はこれが100~300人規模等である。
同社の施設の総入居可能者数は1,308人だが、実質的には1,240~1,250人(95%前後の稼働率)が最大総入居者数になると推定されている。夫婦二人で入居できる居室の場合、両者の利用期間が一致することは稀であり、往々にして入居可能者数二人に対して実際には一人となる期間が生じるため、物理的な稼働率が100%に達することは想定されていない。2011年3月末における総入居者数は1,200人(稼働率92%)であり、同社が想定している稼働率の上限95%に近い水準にある。そもそも同社のビジネスモデルにおいては、必ず医療機関と連携が認められ、当初は医療機関と共同で数社の運営会社を設立し7の施設(うち6施設を自己保有)の運営をしてきたが、より経営効率を高めるために2009年3月期末までに2施設をオフバランス化(流動化)し(同社による運営は継続しているが)、投資した資金の回収(合計143億円)を行った。また、運営の一本化ならびに効率化を図るため、2008年11月には100%子会社であるグリーンライフにすべての施設の運営が統合されている。現段階(2011年6月時点)で想定されている新施設は「あすと長町再開発事業(仙台市、2014年完成予定)」に関連したものである。
施設においての入居費用は1ヵ月約36万円(うち半額は概して介護扶助費で賄われる)となっており、平均入居期間は2~3年である。
調剤薬局
事業内容は、文字通り調剤薬局の運営である。2011年3月期実績でみて、当該事業の全社売上高に占める割合は7.8%であり、全社営業利益に占める割合は15.6%、営業利益率は10.8%である。同社は子会社4社を通して48店舗の調剤薬局を運営している(2011年3月末現在)が、これらは同社がコンサルタント業務に携わった病院の門前薬局である場合が多く、広義には同事業は同社の総合医療サービスの一部と考えることもできる。同社の年間仕入量はおよそ200億円とボリュームディスカウントを享受できる規模にあり、一定の薬価差益(薬価と納入価格(薬局が卸業者から納入する価格)の差額)を維持できる見込みである。
その他
同社のその他での事業内容は、理化学・環境機器等の販売、動物病院の運営等である。2011年3月期実績でみて当該セグメントの全社売上高に占める割合は0.7%、全社営業利益に占める割合は1.4%、営業利益率は10.7%である。
クライアントファイナンス事業
当該事業には信用リスクが付随するが、同社により提供された資金は、再建中の病院が大規模金融機関からの融資を得られるようになるまでのブリッジローン(つなぎ融資)のような位置付けであり、信用リスクも同社による目利きから低く抑えられてきた。同社の顧客による資本市場へのアクセスが限られている(特に当初の建築や改築期間において)ことを受けて、顧客へのソリューション提供の一環として同社は貸し付けを行っている。
グループ会社
2011年3月期末において、連結子会社を38社所有している。主要な子会社は以下の通りである。
- トータルパックシステム事業
株式会社シップコーポレーション:病医院のコンサルティング
株式会社セントラルユニ:医療設備機器の製造・販売、設備工事
山田医療照明株式会社:医療用手術照明の製造・販売
酒井医療株式会社:医療および福祉機器の製造・販売
株式会社エフエスユニ(セントラルユニ社の子会社):医療設備の保守点検および補修点検
グリーンホスピタルサプライ株式会社:医療機器の仕入販売
- メディカルサプライ事業
グリーンホスピタルサプライ株式会社:医療機器の仕入販売
株式会社エフエスユニマネジメント(セントラルユニ社の子会社): SPD関連業務受託
株式会社サンライフ:専門医療材料の販売
株式会社ハートライフ:専門医療材料の販売・賃貸
株式会社ライトテック:専門医療材料の販売
株式会社札幌メディカルコーポレーション:専門医療材料の販売
- ヘルスケア事業
グリーンライフ株式会社:介護付有料老人ホームの運営
株式会社ホスピタルフードサプライサービス:病院・福祉施設向け食事提供サービス
- 調剤薬局事業
グリーンファーマシー株式会社:調剤薬局の運営
株式会社仙台調剤:調剤薬局の運営
- その他事業
グリーンアニマル株式会社:動物病院の経営
会社別に営業利益面での寄与が大きいのは、グリーンホスピタルサプライ(主にトータルパックシステム事業)、グリーンライフ(有料老人ホーム事業)、セントラルユニ、酒井医療(共にトータルパックシステム事業)などである。
市場とバリューチェーン
マーケット概略
かつて日本には10,000を超える病院(20床以上)があったものの、2009年においては9,000未満にまで病院数(精神病院約1,000を含む)が減少している。また、これら以外に一般診療所(19床以下)および歯科診療所が約150,000ある(2009年)。
このことより、同社の大口顧客先となり得る病院数は7,000~8,000と推定されるが、今後さらに6,000前後にまで減少することが予測されている。欧米と比較した場合、日本での入院患者の入院日数は長いとされているが、入院日数の短期化が予測され、これが病院数減少を引き起こすと想定されている。国民皆保険の日本では、病院側としてはできるだけ入院患者の滞在日数を増やして投薬量や検査回数等もできるだけ増やすことによって利益を追求するというビジネスモデルが成り立ってきたのだが、現在はこれが財政を逼迫させるほどにまでに至っており、政策な方向性として入院患者の滞在日数を削減し、入院患者の回転率の向上を促す方針(診療報酬制度の変更等を通して)が打ち出されている。
今後、効率性を改善させる限りにおいては病院数が6,000前後にまで減少してもなんら問題が起こらないという見方もある。さらにはこの6,000のうち、2,000~3,000前後は急性期医療のための効率性(入院患者の回転率)を追求していくものと推測される。これらの病院においては、手術室の増設や検査機器の拡充等のニーズが生まれ、ここに同社の事業の成長ポテンシャルが認められるのである。また、地域によっては私立病院、県立病院、町立病院等が林立し、それらのすべてが赤字経営であるといった所も存在し、地域医療の再編が検討されているところもある。ここでも同社の医療コンサルティングに対して新たな需要が生まれる可能性が期待できる。その他コンサルティング需要の増加要因としては、専門性の高い病院に対するニーズが高まっていることが挙げられる。同社には、総合病院設立に向けてのコンサルティングならびに医療設備の納入等を一括して受注してきた実績があり、その際培った知識やノウハウが専門性の高い病院の設立に貢献できる可能性も高い。
その他、医療法の改正などによって市場に変化が生じる可能性がある。例えば、第4次医療法改正(2001年施行)では1床当たりの最低面積が引き上げられたため、床数確保のため病棟建設に対する需要が増加したことがあった。また、第5次医療法改正(2007年施行)では、その変更内容が施行以前の段階では不透明であったため、医療機関が新たな投資を手控えたため同社の事業が一時的に低迷することもあった。
また、国内医療市場はシクリカルな側面もある。病院の建物自体の耐久性が30~40年と推定され、ここからは一定の周期(30~40年ごと)での建て替えのサイクルが存在すると考えられるためだ。その観点でいえば、1970代の建設ブームから一定の周期を置いたここ数年で建て替え需要が盛り上がる可能性は高い。また、医療・機器技術の動向も同社に対する需要に影響を与える。昨今では、医師不足、救急、産科および地域医療の困窮がクローズアップされており、これを改善するための国の政策誘導による予算も手当てされる動きがある。また自治体病院では指定管理者制度、地方独立行政法人、地方公営企業法の一部・全部適用など、経営効率化に向けた取り組みが強化されている。同社の病院経営と一体となった効率化支援と専門性が活かされる場面が想定される。病院の効率的運営を政府が志向していることを考慮し、今後業界で複数の改革プログラムが誕生するのではないかとSR社は考えている。その場合、同社が提供する各種コンサルティングサービスへの需要が高まることが期待される。
同社の顧客ベース
現状で同社の主要顧客となり得る病院数は7,000~8,000であると推定されると述べたが、同社は常に200~300件のプロジェクト案件に関与しており、年間ベースで30~40件が検収を終え売上高が計上される。同社の顧客には、全国の病院等の医療機関だけでなく、大手ゼネコンや建設会社・設計会社のほか、地域の医療機器ディーラー等の協力企業も含まれる。
主要調達先と調達品目
同社の主要調達先並びに調達品目は多岐にわたっている。この全方位的なカバレッジは顧客ニーズに最も適合した医療機器や医療材料を顧客に提供することに貢献している。調達関係は、同社の子会社や外部企業との間に確立されている。同社は、顧客のニーズに応えることを重視し、公平な調達面の決断を下していると述べている。具体的には、同社の主要調達先ならびに調達品目は下記のように多岐にわたっている。
- 富士フイルムメディカル株式会社:画像診断機器、生化学検査用機器
- 東芝メディカルシステムズ株式会社: MRI、CTスキャン、X線装置
- GEヘルスケア・ジャパン株式会社:MRI、CTスキャン、X線装置
- 株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパン:MRI、CTスキャン、血管造影撮影装置
- シーメンス・ジャパン株式会社:MRI、CTスキャン、X線装置
- 株式会社島津製作所(東証 7701):MRI、CTスキャン、X線装置
- 株式会社日立メディコ(東証 6910):MRI、CTスキャン、X線装置
- ニプロ株式会社(東証 8086):医療機器、診療材料
- テルモ株式会社(東証 4543):医療機器、診療材料
- シスメックス株式会社(東証 6869):血液検査機器
- パラマウントベッド株式会社(東証 7960):医療・介護施設向けベッド、病室用家具
- 日本光電工業株式会社(東証 6849):心電計、生体情報モニター
- フクダ電子株式会社(JASDAQ 6960):心電計、生体情報モニター
- 株式会社セントラルユニ(同社100%連結子会社):医療ガス(酸素や麻酔ガス)配管設備
- エア・ウォーター株式会社(東証 4088):医療ガス(酸素や麻酔ガス)配管設備
参入障壁
医療コンサルタントの育成は一日して成らないところが最大の参入障壁であると考えられる。同社の場合、1992年の設立以来、毎年およそ15人の新卒採用を行ってきているが、このうち3~5人がおよそ10年の経験を積んで、プロジェクトの責任者として独り立ちできるようになる。たとえるならば、一人前の宮大工になろうとする若者が10年前後の修行を経験して初めて独り立ちした宮大工として認められるようなものである。医療コンサルティングも宮大工においても、特許で守られた技術や手法があるわけではない。逆にそのような分野においてこそ、個人によって蓄積されてきたノウハウが差別化を生み出す根源となるのである。この観点から、同社の抱える豊富な医療コンサルティングに関する人材は、他社に対する参入障壁になると考えられる。また、コンサルティングを支援するための技術部隊も必要だが、同社にはこの方面にも十分な人材を抱える。形式的にはまず医療法・薬事法等の法律にかかる事業であるため、認可を受けられるか否かが参入障壁ともいえるが、実質的には認可制度が参入障壁になるとは考えにくい。同社は医療コンサルティングの草分けともいえる存在と考えられ、新規参入を迎え撃つかたちにならざるを得ない。実際、三菱商事(東証 8058)系列の商社等が新規参入を果たしている。ただし、このような新規参入企業によるコンサルティングの質や取り扱える件数等は、コンサルタントの育成にかなりの時間がかかることに鑑みれば、同社に対して優位にあるとは考えにくい。病院コンサルティング業界は人間関係に著しく依存しており、同社社員が培ったコネクションは新規参入者が容易に真似できるものではない。よって、この市場に新規参入するのは容易ではないといえるだろう。
競合環境
医療コンサルティングに関しては、株式会社アプリシア(三菱商事のグループ企業)ならびに日本ホスピタルサービス(同じく三菱商事のグループ企業)が同社と類似した事業を行っている(2010年4月1日に両社は合併、存続会社は日本ホスピタルサービスで社名はエム・シー・メディカルに変更)。同社の事業の特徴は、これらの同業他社よりもより総合的かつ継続的にコンサルティングを行っているところである。ただし、商社系の同業他社においては、景気動向によって当該業務に対する経営資源の投入度合いを変えており、同社のように常にコア事業として位置付けられているわけではない。景気が良いと、商社は当該業務以外により多くの経営資源を投入する傾向にあり、景気が悪いと既存主力事業の低迷を補完するためか、当該事業等により経営資源を投入する傾向にある。2011年3月期以降、当該業務に関する競合は激化することが見込まれるが、同社の見方によれば市場の淘汰が進み、同社の優位性がより顕著になる可能性が高いとしている。
また、同社は医療機器、診療材料および医療用消耗品等のディーラーとしての側面もあるが、この分野においては山下医科器械株式会社(東証1部 3022)、メディアスホールディングス株式会社(JASDAQ 3154)、株式会社ウイン・インターナショナル(JASDAQ 2744)といった上場企業、それ以外にも未上場の多くの同業他社が存在する。未上場ながら規模が大きい競合としては、株式会社ムトウ、株式会社八神製作所、宮野医療器株式会社等がある。
経営戦略
同社は、長年の経験で培った病院施設エンジニアリングコンサルティング(トータルパックソリューション事業に代表される)の専門知識を生かし、国内病院にエンジニアリング・製品・医療材料などを包括的に提供する企業に成長することに主眼を置いている。
足下の事業戦略は、単純な収益増(価格低下圧力に弱い経営体質につながる)からコスト管理重視の事業運営へと移行してきた。このことは、経営の焦点が個々の取引から包括的な顧客との関係および契約に移ることを意味する。今では、顧客側には全般的なコスト削減ソリューションを提供しつつ、同社は一定の採算性を維持する体制が整いつつある。子会社による情報統括管理システム(院内SPDと院外SPD)の構築に加え、医療エンジニアリングコンサルティングの経験を生かすことで、さらに効果的な顧客の囲い込みが可能になるだろう。
2010年中に増強された同社のメーカー機能は、将来の競争戦略の柱の一つになったようだ 。メーカー機能とプロジェクトコンサルティングを結びつけることで、同社のビジネスはプロジェクトコンサルティングにとどまらず、プロジェクト終了後も病院施設へ供給サービスを続けるといった長期的顧客関係の構築も可能になろう。同社は、今後、ベトナムやトルコなどの海外市場への参入も模索しており、徐々に、グローバルなニッチスペシャリスト企業に成長していくための足がかりができたともいえよう。
また、循環器関連医療材料のサプライ事業への注力も進めている。この分野での成功には、事業規模拡大とその結果として表れる規模の経済や影響力が特に重要であると同社は考えており、同分野での企業買収に積極的に取り組む構えである。
その他、2011年3月期初現在のグループ企業の方針として、過去に買収した企業の「消化」に注力しており、その過程で生まれるグループ企業の内部成長機会をうかがっている。同社経営陣はSR社に対し、目先、循環器系サプライ事業や調剤薬局分野以外で大型の企業買収を進める計画はないと説明している。トータルパックシステム事業のメーカー系分野については、少なくとも2013年3月期まで大型の企業買収はないだろう。さらなる企業買収なしでも、収益は内部成長だけで前期比10%程度の伸びが確保できると見込まれる。同社の注力分野は、急性期の地域中核病院を柱とする病院のなかでも大規模なものに絞られている。これらの分野で取引を確保できれば、医療材料の供給、情報管理、その他契約の獲得などの道筋がつくことになろう。
過去の財務諸表
概略
前期以前の業績概況(参考)
2011年3月期通期業績
2011年5月9日、同社は2011年3月期通期決算を発表した。2010年10月26日に上方修正を行った後の数値である2011年3月期会社予想に対し、売上高で約8%、営業利益で約25%上回って着地した。
2011年3月期の各事業の概要は以下の通りである。4事業全て増収増益を達成した上、同社によれば4事業とも会社予想並みかそれを上回る実績であったとのことだ。
- トータルパックシステム事業
売上高は58,292百万円(前年比16.4%増)となった。同事業の売上高の内訳は、プロジェクトが前年比0.2%減の19,850百万円、メーカー系が前年比28.7%増の26,198百万円、ルーチンが前年比24.7%増の12,243百万円であった。プロジェクトは件数が30件と2010年3月期の25件より増加したものの、1件当たりの売上高の減少によって横ばいに留まった。ただし、プロジェクトの売上高は会社予想を上回る実績となった。同社は同事業の増収要因として、2010年度の診療報酬のプラス改定による病院の設備投資増加の他に、酒井医療社が連結子会社となった上に好調であったことなどを挙げている。
営業利益は前年比27.3%増の4,851百万円、営業利益率は8.2%(2010年3月期は同7.6%)であった。
- メディカルサプライ事業
売上高は82,676百万円(前年比19.3%増)となった。同事業の売上高の内訳は、院外SPDが前年比10.4%増の23,537百万円、院内SPDが前年比10.2%増の25,942百万円、その他が前年比35.9%増の33,197百万円であった。 同社は、同事業の増収要因として院内外SPDの受託先取扱品目の増加や、2011年第3四半期に株式会社札幌メディカルコーポレーションを子会社化した効果を指摘している。札幌メディカルコーポレーション社は循環器系等専門医療機器・材料販売会社であり、心臓血管外科・循環器科・心臓内科などの心臓関係分野に強みを持つ模様。同社によれば、札幌メディカルコーポレーション社の想定売上高としては年間ベースで7,000百万円、営業利益250百万円、のれん償却130百万円程度を見込んでいるとのことである。
営業利益は前年比19.3%増の1,455百万円、営業利益率は1.8%と2010年3月期並みであった。
- ヘルスケア事業(老人介護事業)
売上高は7,688百万円(前年比11.7%増)だった。2011年3月末の介護付有料老人ホーム運営事業の全7施設(定員1,308名)における入居者数は1,197名、稼働率は約92%であった。同社によれば稼働率は想定入居率のほぼ上限にあるとのことである。
営業利益は前年比61.8%増の953百万円。入居者数増加による稼働率向上が寄与した格好だ。
- 調剤薬局事業
売上高は12,639百万円(前年比0.2%減)だった。薬価改定により販売単価が下落したが、ジェネリック薬品の加算や調剤技術料の獲得等により売上高は前年並みを確保した。営業利益は前年比19.2%増の1,367百万円であった。
3月11日に発生した東日本大震災の影響で同事業の仙台調剤が3店舗、一時営業停止を余儀なくされたものの、早々に営業を再開。影響は軽微であったと同社はコメントしている。
2011年3月期第3四半期業績
2011年2月7日、同社は第3四半期決算を発表した。通期予想に変更はなかった。しかし、同社は年間配当予想を1株当たり24円から29円へと増額修正した。
2011年3月期第3四半期累計期間に関する各事業の概要は以下の通りである。
- トータルパックシステム事業
売上高は36,777百万円(前年同期比50.3%増)となった。同社は増収要因として、2010年度の診療報酬のプラス改定による病院の設備投資増加の他に、酒井医療社が2009年10月から連結子会社となった上に好調であったこと、プロジェクト案件が想定以上に積み上がった影響などを挙げている。
営業利益は2,730百万円(前年同期比101.8%増)、営業利益率は7.4%(2010年3月期第3四半期:同5.5%)であった。
- メディカルサプライ事業
売上高は59,701百万円(前年同期比17.1%増)となった。同社は、増収要因として院内外SPDの受託先取扱品目の増加や、循環器系医療材料販売会社が好調であったことなどを指摘している。また、2011年第3四半期に株式会社札幌メディカルコーポレーション子会社化した効果もあったようだ。札幌メディカルコーポレーション社は医療材料・医療消耗品等の販売会社であり、心臓血管外科・循環器科・心臓内科などの心臓関係分野に強みを持つ模様。同社によれば、札幌メディカルコーポレーション社の想定売上高としては年間ベースで7,000百万円、営業利益250百万円、のれん償却130百万円程度を見込んでいるとのことである。
営業利益は1,045百万円(前年同期比33.7%増)、営業利益率は1.7%(2010年3月期第3四半期:同1.5%)であった。
- ヘルスケア事業(老人介護事業)
売上高は5,757百万円(前年同期比14.3%増)、営業利益は722百万円(前年同期比75.3%増)だった。2010年12月末の介護付有料老人ホーム運営事業の全7施設(定員1,308名)における入居者数は1,180名、入居率は約90%であった。
- 調剤薬局事業
売上高は9,740百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益は863百万円(前年同期比5.2%増)だった。薬価改定により販売単価が下落したが、ジェネリック薬品の加算や調剤技術料の獲得等により増収増益を確保した。
2011年3月期第2四半期業績
2010年11月10日、同社は第2四半期決算を発表した。概ね2010年10月26日の修正値通りの着地となった。通期業績予想に対する上期の進捗率は下記の通りである。
- 売上高: 48.3%(通期150,000百万円)
- 営業利益: 51.8%(同6,300百万円)
- 経常利益: 55.4%(同7,000百万円)
- 純利益: 66.2%(同5,000百万円)
大型のプロジェクト案件が当初想定以上に積み上がるとともに、医療機関の投資意欲の回復などを受けて、売上、営業利益ともに当初予想を上回った(当初予想は売上高:63,000百万円、営業利益:1,700百万円)。また、IT子会社の精算に伴い約900百万円の税効果を認識したことも寄与し、当期純利益も当初予想(1,000百万円)を大幅に上回った。
2011年3月期上期に関する各事業の概要は以下の通りである。
- トータルパックシステム事業
売上高は24,224百万円(前年同期比66.2%増)となった。同社は、増収要因として2010年度の診療報酬のプラス改定による病院の設備投資増加の他に、酒井医療株式会社が2009年10月から連結子会社となった効果(約3,000百万円)、プロジェクト案件が想定以上に積み上がった影響などを挙げている。プロジェクト件数は2010年3月期上期の10件から2011年3月期上期は11件へと件数は1件増加したに留まる。しかし、プロジェクト1件当たりの売上高は2010年3月期上期の334百万円から2011年3月期上期は647百万円へと増加。プロジェクトの規模が大型化している。また、同社はメーカー系3社がシナジー効果(販売チャネルの相互利用など、メーカー系については「事業概要」参照)によって好調であったとコメントしている。
営業利益は1,911百万円(前年同期比136.5%増)、営業利益率は7.9%(2010年3月期上期:同5.5%)であった。同社によれば営業利益率の改善要因として、円高による原価低減効果もあった模様だ。
- メディカルサプライ事業
売上高は37,618百万円(前年同期比11.7%増)となった。増収に大きく寄与したのはユニ関連(売上高:15,102百万円、前年同期比29.2%増)であり、同社は院内SPDの販売数量が増加したためであるとコメントしている。また、院外SPDの導入も2011年3月期上期に3件増加し、院外SPD(売上高:11,514百万円、前年同期比17.4%増)も同事業の増収に寄与した。
営業利益は711百万円(前年同期比32.9%増)、営業利益率は1.9%(2010年3月期上期:同1.6%)であった。同社は営業利益率の改善について、従業員が経験を積んだことで物流の効率化が図られたことも一因であると説明している。
- ヘルスケア事業(老人介護事業)
売上高は3,823百万円(前年同期比18.9%増)、営業利益は458百万円(前年同期比107.6%増)だった。2010年9月末の介護付有料老人ホーム運営事業の全7施設(定員1,308名)における入居者数は1,173名まで増加(2009年9月:1,080名)、入居率は約90%へと上昇した(2009年9月:約83%)。
- 調剤薬局事業
売上高は6,367百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益は520百万円(前年同期比3.8%増)だった。薬価改定により販売単価が下落したが、ジェネリック薬品の加算や調剤技術料の獲得等により増収増益を確保した。
2011年3月期第1四半期業績
2010年8月6日、同社は第1四半期の決算を発表した。上期予想に占める第1四半期の進捗率は下記の通りである。
- 売上高: 56.9% (上期予想63,000百万円に対して35,824百万円)
- 営業利益: 77.0% (同1,700百万円に対して1,308百万円)
- 経常利益: 87.1%(同1,900百万円に対して1,655百万円)
- 純利益: 100.9%(同1,000百万円に対して1,009百万円)
回復基調にある病院設備投資への引き合いが増加して、業績は順調に推移した。また、2010年3月期下期に実施された株式会社セントラルユニとの株式交換および酒井医療株式会社の株式取得に伴う負ののれんの償却により、営業外収益が前年同期に比べ増加した。
- トータルパックシステム事業
2011年3月期第1四半期の売上高は11,875百万円(前年同期比6,820百万円増)、営業利益は652百万円(前年同期比756百万円増)であった。
例年に比べ第1四半期におけるプロジェクト案件の検収が多かった。また、2009年10月より連結された酒井医療の売上高への寄与が1,700百万円程あった。2010年度の診療報酬改定も追い風になっている。技術料の増額改定が急性期病院の設備投資意欲を刺激し、CTやMRIなど大型画像診断機器をはじめとする医療機器の引き合いが増加した。また、院内用のベッドなどの需要も増えている。同社によるとこれらの引き合いは第2、第3四半期から実際の業績に寄与する見込み。SR社は第2四半期のトータルパックシステム事業の営業利益は、第1四半期の半分程度になるのではないかと推測している。
- メディカルサプライ事業
2011年3月期第1四半期の売上高は18,667百万円(前年同期比2,328百万円増)、営業利益は325百万円(前年同期比97百万円増)であった。
院外SPDが期初より1件増加した。また、院内SPDや循環器系診療材料の販売も順調に推移した。
メディカルサプライ事業の2011年3月期の売上高計画は72,000百万円であるが、このうち、診療報酬(医療材料)の減額改定の影響を受ける分が約20,000百万円、価格下落が5%と想定すると影響額は約1,000百万円と試算される。同社はこれに対し、院外SPDの契約件数増加(2011年3月期には2件程度増加する見込み)や数量増で相殺する計画である。
- ヘルスケア事業(老人介護事業)
2011年3月期第1四半期の売上高は1,896百万円(前年同期比387百万円増)、営業利益は256百万円(前年同期比211百万円増)だった。
介護付有料老人ホーム運営事業の全7施設(定員1,308名)における6月末入居者数は1,153名まで増加、全施設が黒字で推移した。食事提供サービス事業も計画通りであった。
同社のヘルスケア事業は2010年3月期から投資回収期に入っており、当面大きな投資は計画していない、とコメントしている。
- 調剤薬局事業
2011年3月期第1四半期の売上高は3,169百万円(前年同期比100百万円増)、営業利益は250百万円(前年同期比6百万円増)だった。
薬価改定により販売単価が下落した一方、ジェネリック薬品の加算や調剤技術料の獲得等によりほぼ例年並みに推移した。
上期および通期の業績予想に変更はなかった。なお、同日、2010年9月30日を基準日として普通株式を1株につき100分割することを発表したことに伴い、2011年3月期の配当予想を2,400円から24円に変更した(実質的な変更はなし)。
2010年3月期通期業績
2010年5月11日に同社の通期決算が発表された(上表を参照)。ほぼ4月30日に発表された修正予想通りの結果となった。
- 売上高:140,010百万円(前年比18.0%増)
- 営業利益:5,701百万円(同57.3%増)
- 経常利益:6,143百万円(同63.3%増)
- 四半期純利益:3,155百万円(同53.6%増)
同社の中期経営計画と比較して非常に好調に推移し、売上高・経常利益ともに実績値が2011年3月期の目標値を上回った(1期前倒しで達成)。
2010年3月期 業績のレポートカード
売上高
会社予想: 135,000百万円(前年比13.8% 増)
実績: 140,000 百万円(同18.0% 増)
営業利益
会社予想: 4,800百万円(前年比32.4% 増)
実績: 5,700 百万円(同57.3% 増)
経常利益
会社予想: 4,800百万円(前年比27.6% 増)
実績: 6,100 百万円(同63.3% 増)
当期純利益
会社予想: 2,300百万円(前年比12.0% 増)
実績: 3,100 百万円(同53.6% 増)
2010年3月期ハイライト
- 事業環境にプラスの要因
2010年3月期、 政府により診療報酬(技術料)が10年ぶりに増額改定となった(2011年3月期から施行)。 これにより、診療報酬は底を打ったと考えられ、病院の新規設備投資にプラスの影響をもたらす可能性があると同社はコメントしている。また、同社は、決算説明会において国の補助金制度のおかげで新規の大型病院開発の環境は上向きであり、大型病院の深刻な老朽化(1970年代に建てられた施設が多い)が長期にわたる建替需要を生んでいるとした。
- 事業環境にマイナスの要因
薬価・材料価が2011年3月期より引き下げられる。同社は、病院からの値下げ圧力が継続するだろうと指摘している。
- トータルパックシステム事業
酒井医療の連結子会社化により予定外の売上寄与があったため、売上高は当初の会社計画である48,000百万円を上回り、50,000百万円となった。プロジェクト案件がスムーズに進捗し、19,900百万円の寄与となった。特に想定外の展開はなかったと会社側はコメントしている。
契約(エフエスユニ社の医療ガス配管設備のメンテナンスが中心)が2009年3月期の1,226件から1,318件に増加。
酒井医療の子会社化の重要性について、同社は、病院設備コンサルティングに加え、従来カバーできていなかった分野(特殊入浴装置、パワーリハビリステーション)を取り込むことにより、「ワンストップソリューション」を提供することができるようになった点を強調している。短期的には、酒井医療からの寄与が2010年3月期の同セグメント利益率改善を後押しした。
また同社は、つなぎ資金として病院に貸付を行っているが、これもすべて成果を上げているとしている。このような資金貸付に関する同社の今後の方針に変更はない。これについては、懸念する向きもあろうが、会社側からは、プロジェクトファイナンスのスペシャリストとして長年の取引関係に裏付けられた信用力の高い取引先に対して資金提供をしているとの説明があった。また、貸倒れは未だ発生したことがないとのことである(数年前に償却を行ったのは債務不履行が原因ではなく、 貸付期間の長さを懸念した監査法人の要請によるとのことである)。
また業績報告の方法として、同社はサブセグメント名の変更を行った。これまで技術コンサルティグのような長期のプロジェクトに対し営業循環が1年以内の事業は「固定」という名称だったが、これが「ルーチン」に変わり、また、新たに加わったメーカー系子会社に関しては「ユニ関連」という名称から「メーカー系 」に変更された。
- メディカルサプライ事業
同社によると同事業部門は堅調だったとのことである。売上高は当初計画67,000百万円を上回り69,294百万円となったが、これはユニ関連の院内SPDの寄与によるところが大きい。69,294百万円のうち、20,000百万円は循環器系診療材料、20,000百万円はその他消耗品および機器部品だった。経験豊富な営業スタッフと病院との長年のリレーションによって支えられた同セグメントの成長に、同社は満足しているようだ。非コア機器材料のサプライ(ポンプ、血圧測定器、EKGデバイス等)の利益率は比較的高く、同セグメント売上高の長期目標1,000億円の達成までに、こうした部品による寄与率40%を目指す構えだ(2010年3月期の同比率は29%)。寄与率が高まれば、同セグメントの営業利益率は2%上昇する(2010年3月期と比較すると約2倍)見込みであると同社はコメントしている。事業の効率化と循環器系診療材料の販売数量増加、高付加価値化により(2008年に専門会社を買収)、営業利益率は前年度から改善。平均価格低下と競争激化にもかかわらず、利益率は改善された。
- ヘルスケア事業(老人介護事業)
売上高、営業利益ともに、会社予想とほぼ合致する好業績だった。2010年3月期末の入居者数は1,140人(入居率は87.2%)。入居率の上昇と食事提供サービスの寄与度増が同セグメントの営業利益率を8.6%弱まで押し上げた。なお、不動産の流動化が一件あった。
- 調剤薬局事業
会社計画を上回った。会社側も予想をやや上回るサプライズだったとしている。2010年3月期末の営業店舗数は47店。
2010年4月30日、同社は2010年3月期の連結業績予想を上方修正した。修正内容は以下の通り。
- 売上高:140,000百万円 (前回発表予想の135,000百万円から3.7%増)
- 営業利益: 5,700百万円 (前回発表予想の4,800百万円から18.8%増)
- 経常利益: 6,100百万円 (前回発表予想の4,900百万円から24.5%増)
- 当期純利益: 3,100百万円(前回発表予想の2,600百万円から19.2%増)
業績修正の主な要因は2009年10月に子会社化した酒井医療の業績を半期分織り込んだためである。これに加え、営業利益面ではメディカルサプライ事業における業務改善や調剤薬局事業における新規店舗の順調な立ち上がりなどが寄与した。なお、2009年10月1日の株式交換によるセントラルユニの子会社化、および2009年10月23日の酒井医療の子会社化により負ののれんが発生した結果、当初予想を上回る営業外収益が計上され、経常利益が上方修正された。
2010年3月期第3四半期決算
2010年2月12日、同社は第3四半期の決算を発表した。通期予想に対する第3四半期実績の進捗率は下記の通りである。
- 売上高: 67.1% (通期予想135,000百万円に対して90,562百万円)
- 営業利益: 52.0% (同4,800百万円に対して2,547百万円)
- 経常利益: 60.0% (同4,900百万円に対して2,939百万円)
- 純利益: 66.1% (同2,600百万円に対して1,718百万円)
第3四半期の売上高は32,531百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は1,028百万円(同40.6%増)、営業利益率は3.2%となった。
通期業績予想の変更はなかった。
トータルパックシステム事業の売上高は9,900百万円(前年同期比7.9%減)であった。営業利益は545百万円(同20.1%減)となった。売上高は病院の投資抑制と機器需要の低迷の影響を受けた。
- 第4四半期が売上高に占める相対的比重が大きい(通期計画の49%)ことについて同社は、プロジェクト完了のタイミング(一般的な4月開業に対し2~3月開業)や、大型プロジェクト案件が今期少なかった(2009年3月期の34に対し2010年3月期は25)ためであったとしている。
- 同社経営陣は通期業績を楽観視しているというのがSR社の印象である。同社はセントラルユニのプロジェクト関連の会計方針変更が2010年3月期第4四半期に影響するとの見通しがあり、子会社化した酒井医療からおよそ3,500百万円の売上寄与がある可能性について示している。さらに、セントラルユニと酒井医療に関連する負ののれんは償却期間が異なり(セントラルユニが10年償却、酒井医療が5年償却)、営業外項目として認識されるため売上高経常利益率が上がることになる。
- 同社は2011年3月期のプロジェクト・パイプラインの規模は2010年3月期比でほぼ横ばいだが、2012年3月期から上昇基調に転じる見通しだとしている。
メディカルサプライ事業の売上高は17,307百万円(前年同期比10.9%増)となった。営業利益は246百万円(同87.8%増)であった。同事業の増収は、心臓血管関連のサプライ売上高と約50件の新規契約の獲得によるものである。同社は、第4四半期の業績は予定通りに進んでいるとしている。
同社は、2010年3月期の同事業の業績は順調に推移しているものの、2011年3月期の同事業には幾分懸念があるとしている。
調剤薬局事業の売上高は3,290百万円(前年同期比8.4%増)となった。営業利益は319万円(同26.1%増)であった。同事業の増収には上期に出店した新店と新型インフルエンザ関連の需要が寄与した。
ヘルスケア事業の売上高は1,824百万円(前年同期比32.6%増)となった。営業利益は191百万円(2009年3月期第3四半期は21百万円の赤字)であった。売上高は、施設稼働率の改善(2009年3月期第3四半期の74%に対し2010年3月期第4四半期は92%)と大病院との間で結ばれた新たな給食提供サービス契約を背景に増加した。同社は通期の予想営業利益(600百万円)は達成可能であるとしている。
2010年3月期第2四半期実績
2009年11月13日、同社の2010年3月期第2四半期決算が発表された。決算は、概ね11月6日に発表された修正通りの、売上高58,031百万円(前年同期比14.4%増)、営業利益1,519百万円(同85%増)、経常利益1,700百万円(同59%増)、中間純利益924百万円(同144%増)という結果であった。通期業績予想も6日に発表された修正予想に変更はなかった。修正理由は以下の通りである。
トータルパックシステム事業における前期からの期ずれ案件が売上計上されたとともに、当初下期売上計上予定であった案件の一部が上期に売上計上された。また、メディカルサプライ事業における診療材料の売上が伸張したこと、および仕入交渉の奏功による原価の低減、調剤薬局事業における店舗経営の効率が改善した。
通期(連結)上方修正:経常利益2.1%増、当期純利益13%増。2009年10月1日付でセントラルユニの100%子会社化による負ののれんの償却があったことと、グリーンライフ株式会社によって固定資産が売却されたことなどによる。
2010年3月期第1四半期実績
2009年8月7日に発表された同社の2010年3月期第1四半期実績は、売上高26,164百万円(前年同期比11.5%増)、営業利益212百万円(同329.4%増)、経常利益287百万円(同12.8%増)、四半期純利益91百万円(同608.3%増)という結果であった。これは2009年5月15日に発表された同社の2010年3月期会社予想の前提に沿った業績推移である。同社の会社予想に変更はなかった。また、セグメント別では、季節性の影響を強く受ける主力のトータルパックシステム事業の営業赤字は前年同期の37百万円から104百万円へとやや拡大したものの、メディカルサプライや調剤薬局の損益が改善し、連結ベースでの営業利益率は0.2%から0.8%に向上した。
また、先行投資が一巡したヘルスケア事業では介護付有料老人ホームの入居者数も同四半期末には1,013人まで増加し(2009年3月末980人)、損益の改善がみられた。そもそも同社の売上高は第4四半期に集中する傾向が強く、逆に第1四半期の売上高が少なくなる構造になっている。
損益計算書
2005年3月期の営業利益は27億円(前期比65.5%増)、2006年3月期は32億円(19.0%増)と高成長が続いた。ただし、2007年3月期は33億円(2.1%増)となり伸び率が低下し、2008年3月期においては30億円(9.7%減)と営業利益は前期比でマイナスに転じたと同時に45億円の特別損失を計上し、当期損失38億円を被っている。
営業利益の減益要因の一つは、買収した子会社であるアイネット・システムズ(病院向け電子カルテの開発)がIBMや富士通(東証 6702)との価格競争の結果5億円に及ぶ営業損失を被ったことである。また、同子会社に関連した特別損失として同年度には17億円(のれん償却の前倒しならびに固定資産の減損損失)が計上されている。
また、同年度にはセントラルユニ関連の特別損失11億円(のれん償却の前倒し10億円、在庫処分1億円)も計上されている。また、単体ベースでは、セントラルユニ等の株価下落から40億円の関係会社株式評価損(セントラルユニのみで37億円)を計上するに至っている。
加えて、コンサルティングの顧客先である病院に対する貸出に関して16億円の貸倒引当金繰入を余儀なくされたのと同時に、若干のその他の特別損失もあり、総計45億円の特別損失を計上するに至った。
2009年3月期の営業利益は、前期比21.7%増となり、36億円まで回復した(営業利益率は3.1%)。2009年3月期の経常利益は、営業外費用の減少から、前期比23.5%増の38億円であった。
ただし、のれん償却の前倒しやリストラの進捗の結果、翌期にあたる2009年3月期には営業利益が過去最高益を更新した。一方では、投資先である米国で脂肪由来細胞群の研究を行うサイトリ社(Cytori Therapeutics, Inc.; NASDAQ: CYTX)の株価下落から同社は14億円の投資有価証券評価損を計上するに至ったが、千里中央の介護付き有料老人ホームのオフバランス化から21億円の固定資産売却益を計上しているため、特別損益としてはプラスであった。以上により、2009年3月末段階において、同社の負の遺産の償却はかなりの水準まで終了していると推定される。また、医療機関に対する貸出残高も減少傾向にある。
過去の会社予想と実績の差異
同社に関しては、実績数値の期初会社予想との比較を行っても、一貫したパターンは見られない。これは、コンサルティングプロジェクトの一部についての収益認識の結果であるとも考えられる(売上高の計上は最終検収時)。プロジェクトのライフサイクルは概して数年にわたるため、完成引渡しを正確なタイミングで行うことは困難である。完成基準による収益認識が同社の製造部門(メーカー系)において行われるため、将来的にはこれが会社予想の実用性を左右する可能性がある。
トータルパックシステム事業については、当該市場における競合他社の存在から、より詳細なガイダンスを提供することは容易ではない。同社は、特定のプロジェクトや契約に関する一見マイナーな項目も、公になれば同社の運営に関する詳細事項が競合他社にすぐ流出する可能性があるとしている。
貸借対照表
進捗する有利子負債削減策
同社のネット・デット・エクイティ比率(現預金を控除した有利子負債/自己資本)は、2005年3月末では5.0%に過ぎなかったものの、2008年3月期末では255.1%にまで上昇している。有利子負債の絶対額の推移でみれば、11,231百万円から47,030百万円まで膨らんでいる。銀行借入によって資金を調達しM&Aならびに土地建物に投資した(同社の従来の事業に関しては商社的なところが大きく、本来であれば同社の新規ファイナンスの必要性は低い)が、期待値を下回るリターンが多く発生した結果、有利子負債残高が以前の想定値を大きく上回る水準に留まったものと考えられる。ただし、2009年3月期には資産の流動化によって創出したキャッシュで有利子負債を返済したことから、有利子負債は36,116百万円まで減少し、ネット・デット・エクイティ比率は149.6%にまで低下している。また、2009年3月期末においては、当座比率80.1%、流動比率104.4%、自己資本比率17.3%といずれも低水準にあるが、2008年3月期末との比較ではネット・デット・エクイティ比率と同様に最悪期を脱したと考えることは妥当であろう。2009年3月期実績のROA(当期純利益/総資産)は2.0%、ROE(当期純利益/自己資本)は12.4%であった。時系列的な変化では、ROAは過去の3%強の平常時の水準と比較してやや見劣りするものの、ROEは過去の平常時の水準をほぼ取り戻している。
設備投資と流動化
2008年3月期の設備投資金額は14,581百万円にまで拡大しているが、コンサル先の病院グループの土地建物を約9,000百万円で取得したこと、および介護付有料老人ホームの建設費用3,000百万円が主な構成要素である。前者に関しては、既存の経営陣が現在も病院を経営しており、同社に賃借料を支払っている。また、2008年3月末の有形固定資産30,419百万円に対して2009年3月期には3,518百万円分の投資があり1,731百万円が減価償却され、2009年3月末の有形固定資産は25,704百万円となった。有形固定資産の売却等による調整額は約6,500百万円のマイナスと試算できるが、これはオフバランス案件(売却額約9,300百万円)の発生で有形固定資産が減少したことに呼応している。
一株当たりデータ
株式会社セントラルユニを株式交換後の2010年3月末における発行済み株式数は、412,567株(前年同期比78,565株増;自己株式数28株を含めない)であった。
キャッシュフロー計算書
2009年3月期までの同社の財務活動によるキャッシュフローは例年流入が継続しており、その調達分が事業拡大のための投資に充てられていた。投資額が極度に大きくなった2008年3月期においては、財務活動によるキャッシュフローが17,972百万円の流入に達し、投資活動によるキャッシュフローが21,879億円の流出に達した。ただし、2009年3月期においてはオフバランス化が大きく進捗し、(資産の売却額が流入となる)投資活動によるキャッシュフローが8,596百万円の流入となり、営業活動によるキャッシュフロー流入額である5,133百万円と合わせて13,729百万円の流入となった。一方、同社はこの13,729百万円の多くを有利子負債の返済に充てた結果、財務活動によるキャッシュフローは12,237百万円の流出となった。下記では資産の売却等の特殊要因による影響を排除してフリーキャッシュフローを算出しているが、2009年3月期実績は1,840百万円のプラスであり、資産売却の影響がなくとも2009年3月期に同社はその事業において実質的にキャッシュを生み出したことが示されている。
その他情報
沿革
1992年創業
- 1992年8月:大阪府吹田市に株式会社シップコーポレーション(現同社)を設立し、医療・保健・福祉施設のコンサルティング業務を開始。
- 1992年11月:グリーンホスピタルサプライ株式会社(現同社に吸収合併、大阪府吹田市)を設立し、レントゲンフィルム・自動現像機等の富士写真フイルム製品および医療用機器等の販売を開始。
- 1999年10月:旧グリーンホスピタルサプライ社がメディカルイメージング部門を富士フイルムメディカル西日本株式会社へ営業譲渡。
- 2005年2月:東京証券取引所市場第二部に上場。
- 2006年11月:セントラルユニ社とその子会社5社を子会社化。
- 2007年3月:東京証券取引所市場第一部に指定変更。
- 2008年4月:山田医療照明社を子会社化
- 2009年10月:セントラルユニ社を株式交換で100%子会社すると同時に、持株会社へと移行し社名をシップヘルスケアホールディングス株式会社に変更。
- 2009年10月:酒井医療社とその子会社1社を子会社化
ニュース&トピックス
2011年11月
2011年11月7日、同社は2012年3月期第2四半期決算を発表した。
2011年10月
2011年10月28日、同社は2012年3月期第2四半期累計期間の会社予想の修正を発表した。
2012年3月期第2四半期累計期間
- 売上高:81,000百万円(前回予想75,000百万円)
- 営業利益:4,300百万円(同2,900百万円)
- 経常利益:4,900百万円(同3,300百万円)
- 純利益:3,000百万円(同1,800百万円)
同社は上方修正の理由として、1)トータルパックシステム事業におけるプロジェクト案件の一部が当初計画より早期に計上されたこと、2)トータルパックシステム事業におけるメーカー系子会社がグループの介護付有料老人ホーム向け特殊浴槽の販売や、手術室工事の積み上がりなどから堅調であったこと、3)調剤薬局事業における患者数の堅調な推移、などを指摘している。
通期会社予想については、現在精査中であり、修正が必要となった際には、改めて公表するとしている。
2011年8月
2011年8月1日、同社は2012年3月期第1四半期決算を発表した。
2011年5月
2011年5月9日、同社は2011年3月期決算を発表した。
2011年3月
2011年3月17日、同社は、3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」の2011年3月17日時点における影響について、下記のようにコメントを発表した。
被害の状況
- 同社グループ会社全社員の無事を確認した
- 株式会社仙台調剤の店舗の状況については、概ね営業を再開しているが、震災による被害や病院の院内処方への切り替え等により3店舗が休業している
今後の見通し
- 地震における、損害額および業績に与える影響は軽微
- 東北地方の一部病院内SPD 物資・調剤薬局内医薬品・現地従業員の生活物資の不足へ対応するため、グループ間連携による対策を進めている
注:同社は、「東北地方太平洋沖地震の被害に対する義援金」について本リリースで別途開示している。
2011年3月14日、同社は3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」の2011年3月14日時点における影響について、下記のようにコメントを発表した。
被害の状況
- 同社グループの従業員の安否については、概ね確認ができているものの、一部子会社で安否確認ができていない従業員がおり、引続き安否確認中
- 当社グループの設備の状況について、子会社である仙台調剤社の一部店舗に損害が発生しているとの情報があるが、詳細については確認中
業績への影響
今回の地震における損害額および業績に与える影響は軽微と思われる。業績に重大な影響を与えることが判明した場合には速やかに情報開示する。
2011年2月
2011年2月7日、同社は2011年3月期第3四半期決算、および年間配当予想の増額修正を発表した。
2010年11月
2010年11月10日、同社は2011年3月期第2四半期決算を発表した。
2010年10月
2010年10月26日、同社は2011年3月期第2四半期累計期間および通期会社予想の上方修正を発表した。修正後の会社予想は下記の通りである。
2011年3月期第2四半期累計期間の会社予想
売上高: 72,500百万円(前回予想63,000百万円)
営業利益: 3,200百万円(同1,700百万円)
経常利益: 3,800百万円(同1,900百万円)
当期純利益: 3,300百万円(同1,000百万円)
2011年3月期通期の会社予想
売上高: 150,000百万円(前回予想145,000百万円)
営業利益: 6,300百万円(同6,000百万円)
経常利益: 7,000百万円(同6,500百万円)
当期純利益: 5,000百万円(同3,700百万円)
同社は上方修正の要因として、グリーンホスピタルサプライ株式会社のプロジェクト案件が想定以上に積み上がったほか、株式会社セントラルユニの医療設備工事が順調に推移したこと、酒井医療株式会社における介護入浴装置の販売も順調であったとしている。
2010年8月
2010年8月6日、シップヘルスケアホールディングス株式会社の2011年3月期第1四半期決算が発表された。また同日、2010年9月30日を基準日として1単元を100株(これまでは1株)とするとともに、普通株式を1株につき100株の割合をもって分割することを発表した。
2010年5月
2010年5月11日、同社の通期決算が発表された。
2010年4月
2010年4月30日、同社は2010年3月期の連結業績予想を上方修正した。
2010年3月
2010年3月19日、同社は2010年3月期の配当予想を1,650円から2,150円(30.3%増)に上方修正した。
2010年2月
2010年2月12日、同社の2010年3月期第3四半期決算が発表された。
2009年10月
2009年10月23日のリリースによると、同社の子会社であるセントラルユニが酒井医療の株式を取得し、子会社化した。セントラルユニが既に所有した酒井医療の38.48%の株式に加え、さらに5.91%を取得した。これによって、議決権割合の50.57%を獲得することになった。酒井医療は福祉・介護領域の老舗メーカーである(2009年6月期の売上41.16億円;経常利益3.27億円)。その子会社化により、同社社グループにおけるトータルパックシステム事業のメーカー系事業会社を強化したいと同社がコメントしている。
トップ経営者
同社のトップマネジメントは、創業者であり現代表取締役社長である古川國久氏(1945年生まれ)である。古川氏は、1964年4月に西本産業(現エルクコーポレーション、大証9833)に入社したが、医療機関向けのコンサルティング業務に特化するため1992年8月には大阪府吹田市に株式会社シップコーポレーション(現同社)を設立し、医療・保健・福祉施設のコンサルティング業務を開始した。同社の監査役を除く取締役は2010年6月30日現在で合計10名だが、古川氏を筆頭に西本産業出身者が6名を占める。
従業員
2011年3月末時点の連結従業員数は2,275名、臨時従業員の年間平均雇用人員は2,314名である。また、セグメント別従業員数は、トータルパックシステムが879名と最も多く、次いでヘルスケアが578名である。メディカルサプライにおける従業員数は511名である。
大株主
2011年3月末における大株主から信託銀行の信託口を除いた場合の筆頭株主は、同社の創業者であり現代表取締役社長である古川國久氏である。また、大株主上位10名で発行済株式の49.88%を占めた。外国人株主比率は20.28%であった。
配当および株主還元
同社の配当方針は配当金額よりも配当性向を重視している。配当性向の目標値は20%だったが、2008年4月30日の中期経営計画策定に伴い、同社は中期的な目標として配当性向30%の実現を挙げた。
IR活動
同社は、年2回の決算説明会を東京で行うとともに随時会社説明会を開催している。






















