ダイセキ(9793)
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2012年 2月 5日時点
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直近更新内容
概略
2012年1月12日、株式会社ダイセキは2012年2月期第3四半期決算を発表した。
(決算短信へのリンクはこちら、2012年2月期第3四半期決算の項目へのリンクはこちら)
3ヵ月以上経過した会社発表はニュース&トピックスへ
業績動向
四半期業績推移
2012年2月期第3四半期業績
2012年1月12日、同社は2012年2月期第3四半期決算を発表した。通期会社予想の変更はない。
第3四半期累計期間の実績は、売上高が前年比21.4%増の28,449百万円、営業利益が同13.5%増の4,873百万円、経常利益が同13.3%増の4,985百万円、四半期純利益が同9.7%増の2,753百万円であった。
売上高は、会社予想(27,230百万円)を4.4%上回った一方、営業利益はほぼ会社予想(4,870百万円)並みであった。営業利益をグループ会社別にみれば、システム機工が会社予想を大幅に上回った一方、ダイセキ環境ソリューション、ダイセキ単体はほぼ会社予想通りであった。ダイセキMCRは会社予想を大幅に下回る実績であった。
第4四半期に入り、ダイセキ単体がやや計画を下回る推移となっているほか、ダイセキMCRも第3四半期に続いて苦戦している模様。同社は、通期会社予想の営業利益に関し、数千万円程度下回る可能性もあるとコメントしている。
同社はグループ各社の業績概況について、以下のようにコメントしている。
ダイセキ単体
- 震災により被害を受けたサプライチェーンはほぼ回復し、自動車を中心とした国内主要製造業の生産は回復。ただし、歴史的円高水準や欧州危機による世界需要の減少により、エレクトロニクス産業等は工場閉鎖や海外移転の動きが活発化し、輸出が減少。その結果、震災後の国内製造業の生産回復により、同社の受注も急回復すると期待していたが、その回復は緩やかなものに留まった
- 第3四半期会計期間に関していえば、売上高が会社予想通りであったものの、営業利益は1,406百万円と会社予想(1,690百万円)を下回った
- 自動車生産に関しては、タイの洪水影響もあって、一時的に落ち込みをみせたものの、12月以降は生産の回復もみられる
- エレクトロニクス産業の生産活動に関しては、上記工場閉鎖や海外移転の動きから引き続き低迷が続いている
- 事業所別にみると、関東・千葉・九州の3事業所は第3四半期累計期間で過去最高の売上を計上。関東・千葉の事業所は東日本大震災関連の特需があったことと、シェア等の面で元々ポテンシャルがあるためとみられる。一方、九州は元々ポテンシャルがある上、営業範囲も広く幅広い業種の仕事を引き受けていることが好調な要因と思われる
- 関東・千葉事業所に関しては、シェアが向上傾向にあるが次に述べるような要因も影響している。すなわち、福島原発の事故に伴い、産業廃棄物の放射性濃度の問題から、産業廃棄物の焼却が難しくなってきている。そのため、産業廃棄物の処理を焼却処理ではなく、化学的前処理と活性汚泥処理との組み合わせにより処理している同社に案件が多く寄せられるようになってきている。産業廃棄物の焼却が難しくなってきているのは、焼却後の灰(放射性の濃度が上がる)の処分場が不足しているためである。同社では関東・千葉事業所のシェアアップは今後も続くとみている
- 関西・北陸の2事業所の売上高は低調。関西もシェア等の面で開拓余地のあるエリアだが、基盤産業である電機の不振影響を受けている
- 名古屋事業所は基盤産業である自動車を始め、タイの洪水影響を一時的に受けたが足下は改善傾向にある
- 2011年12月の売上高は2,060百万円と会社予想(2,131百万円)を下回った。2012年1月、2月の売上高に関しても会社予想(2012年1月:1,715百万円、2月:1,773百万円)をわずかに下回るとみている
ダイセキ環境ソリューション
- 国内土壌汚染関連市場は、2011年3月期前半に底を付け、以降回復傾向にある(首都圏を中心とした不動産市況の緩やかな回復が寄与)。ダイセキグループとしてのシナジー効果もあって、業績は大幅な増収増益となった
- グループ各社の中で震災関連の復興需要を最も期待できるのはダイセキ環境ソリューションだが、本格的な需要は2013年2月期(特に下期)となろう
ダイセキMCR
- 稼働率は引き続き約100%で推移。ただし、LME鉛相場が2011年9月以降に急落、円高の進行もあって国内鉛価格は大きく下落した。その結果、第3四半期会計期間は第2四半期会計期間と比べ、減益となった
- 仕入価格が鉛価格の先高観を背景に販売価格ほどには落ちておらず、マージンが悪化。第3四半期は営業損失となった。また、第4四半期も営業損失となる見通し
システム機工
- 季節要因により秋から冬は閑散期となるが、引き続き計画を上回る業績で推移している
2012年2月期第2四半期業績
2011年10月11日、同社は2012年2月期第2四半期決算を発表した。
売上高は、1)主力の産業廃棄物処理・リサイクル事業の伸長(ダイセキ単体)、2)土壌汚染の調査・分析・処理の増加(ダイセキ環境ソリューション)、3)システム機工の連結化効果、などによって前年比27.6%増の19,168百万円となり、会社予想(17,950百万円)を6.7%上回った。また、営業利益は前年比22.7%増の3,466百万円と会社予想(3,180百万円)を9.0%上回った。営業利益をグループ会社別にみれば、ダイセキ環境ソリューション、ダイセキMCR、システム機工が会社予想を大幅に上回った。一方、ダイセキ単体はほぼ会社予想通りの実績であった。通期会社予想は据え置かれた。
同社はグループ各社の業績概況について、以下のようにコメントしている。
ダイセキ単体
- 関東・千葉・九州の3事業所は上半期ベースで過去最高の売上を計上。関東・千葉の事業所は東日本大震災関連の特需があったことと、シェア等の面で元々ポテンシャルがあるためである。一方、九州は元々ポテンシャルがある上、営業範囲も広く幅広い業種の仕事を引き受けていることが好調な要因と思われる
- 関西・北陸の2事業所は計画を下回る。関西もシェア等の面で開拓余地のあるエリアだが、基盤産業である電機の不振影響を受けた模様
- 名古屋事業所はほぼ計画通り。状況的には基盤産業である自動車を始め、改善傾向にある
- 東日本大震災関連の売上は約400百万円(プラス影響)。一方、国内製造業の落ち込みによる悪影響の方がプラス影響を上回った
- 土壌汚染関連売上(約800百万円)を除けば、上記震災の影響で売上高は11,883百万円とやや計画(12,044百万円)を下回る。ちなみにここでいう土壌汚染関連売上とは、ダイセキ単体経由でダイセキ環境ソリューションが仕事を受けるケースをさす。ダイセキ単体は単に仕事を取り次ぐ格好であり、売上総利益率は低い
- 売上総利益率の低下は、土壌汚染関連売上の影響。土壌汚染関連売上控除後の売上総利益率は37%強とほぼ計画通り
- 9月の実績は月次売上高が1,948百万円と、計画を約130百万円下回った
ダイセキ環境ソリューション
- 国内の不動産業、建設業および製造業の設備投資が2011年2月期前半に底を付け、以降回復傾向にあることが業績に寄与
- 上述した外部環境改善を背景に計画を上回る実績であった
- 2011年10月11日に仙台市に東北支店(新たな営業拠点)を開設済み。グループ各社の中で震災関連の復興需要を最も期待できるのはダイセキ環境ソリューションだが、本格的な需要は2012年2月期以降となろう
ダイセキMCR
- 稼働率は、震災直後に点検等のため10日程度向上を停止したが、その後は100%で推移。従って、ダイセキMCRの業績は鉛価格にほぼ連動した
- LMEの鉛平均価格は2010年6月に急落(1,559ドル/トンへ)したが、その後は上昇基調にある。2011年2月期の平均値は2,206ドル/トンであったが、2012年2月期第1四半期の平均値は2,595ドル/トン、第2四半期の平均値は2,564ドル/トンであった
- 鉛価格が想定(2,550ドル/トン)を上回ったことから計画を上回る実績であった
- 9月に入り、鉛価格が2,000ドル/トン割れと急落している。短期的な対処は難しいが、中長期的に非自動車用バッテリーなど新たなルートからの資源回収を増やし、仕入原価低減に努めたい
システム機工
- 2010年9月より新規連結化
- タンク清掃や洗浄設備の輸出が第1四半期から第2四半期以降に延期になったが、第2四半期に無事に消化した。洗浄装置の輸出は採算が良く、営業利益が計画を大幅に上回り、通期計画を上期で既に達成した
- 震災後の復興関連業務の受注も若干入ってきている
- ダイセキ単体等とのグループ内シナジー効果は上期で約100百万円。通期では約300百万円から400百万円となろう
通期会社予想は据え置かれた。同社は第2四半期累計期間の実績が会社予想を大幅に上回ったわけでもなく、先行きマクロ経済情勢も不透明なことをその要因として挙げている。もっとも、鉱工業生産の趨勢をみる限り、ダイセキ単体の下期業績は改善トレンドを辿る可能性が高く、ダイセキ環境ソリューションも順調に回復を続けるだろうと述べている。ちなみに第3四半期に限っていえば、鉛価格が9月に2,000ドル/トン割れと急落し、為替も円高傾向にあるなか、ダイセキMCRは収支均衡になるかもしれず、システム機工も案件の端境期で利益がほとんど出ないだろうとのことだ。
2012年2月期第1四半期業績
2011年7月11日、同社は2012年2月期第1四半期決算を発表した(上表を参照)。
売上高は、1)主力の産業廃棄物処理・リサイクル事業の伸長(ダイセキ単体)、2)土壌汚染の調査・分析・処理の増加(ダイセキ環境ソリューション)、3)システム機工の連結化効果、などによって前年比21.9%増の9,127百万円となった。また、営業利益は前年比7.1%増の1,632百万円とほぼ会社予想(1,600百万円)通りの実績であった。営業利益をグループ会社別にみれば、ダイセキ環境ソリューション、ダイセキMCRが会社予想を上回った。一方、システム機工が会社予想を下回った。ダイセキ単体はほぼ会社予想通りの実績であった。
同社はグループ各社について、その他以下のようにコメントしている。
ダイセキ単体
- 東日本大震災の被害を受けた関東・東北地方の工場の復旧作業の支援のため、関東地区においては多忙を極めた
- 反面、震災により被害を受けたサプライチェーンの影響により自動車やエレクトロニクスといった国内主要製造業の生産が落ち込んだことにより、中部地区、関西地区で受注量が減少
- 上述したような震災による業績へのプラス・マイナス両方の影響により、業績はほぼ計画通りであった
- 東日本大震災の影響で第1四半期の実績は会社予想を下回る可能性もあるとみていたが、蓋を開けてみればほぼ計画通りで着地した
ダイセキ環境ソリューション
- 国内の不動産業、建設業および製造業の設備投資が2011年2月期前半に底を付け、以降回復傾向にあることが業績に寄与
- 上述した外部環境改善を背景に計画を上回る実績であった
- 震災後の復興需要はまだ生じていない
ダイセキMCR
- 稼働率は、震災直後に点検等のため10日程度向上を停止したが、その後は100%で推移。従って、ダイセキMCRの業績は鉛価格にほぼ連動した
- LMEの鉛平均価格は2010年6月に急落(1,559ドル/トンへ)したが、その後は上昇基調にある。2011年2月期の平均値は2,206ドル/トンであったが、2012年2月期第1四半期の平均値は2,595ドル/トンであった
- 鉛価格が想定を上回ったことから計画を上回る実績であった
システム機工
- 2010年9月より新規連結化
- 予定されていたタンク清掃や洗浄設備の輸出が第2四半期以降に延期になった分、計画を下回った
- 震災後の復興関連業務の受注も入り始めた
2012年2月期上期および2012年2月期通期会社予想は期初予想値が据え置かれた。しかし、1)同社が東日本大震災の影響で第1四半期の業績は計画を下回る懸念があるとみていたが実際は計画通りであったこと、2)同社は2012年下期については復興需要などもあって会社予想を上回る可能性が高いとみていること、などを鑑みれば、2012年下期を中心に通期実績が会社予想を超過するポテンシャルを秘めているものとSR社は考える。
2012年2月期会社予想
震災の影響について
同社は2011年3月11日に発生した「東日本大震災」の直接的な影響について、同社グループの設備などへの影響は軽微(ダイセキMCRの溶解炉が約10日間稼働ストップしたのみ)であるとしている。また、影響を読み切れないため、2012年2月期の会社予想には震災の影響を織り込んでいないとしている。
参考までに、「震災」によって生じうる同社へのポジティブの影響、マイナスの影響を同社へのヒアリングを基にまとめると下記のようになる。
プラスの影響
1)ダイセキ単体に対する産業廃棄物処理需要の発生
2)システム機工に対するタンク清掃需要の発生
3)ダイセキ環境ソリューションに対する土壌汚染対策需要の発生
マイナスの影響
計画停電や部品不足による国内製造業の生産活動に対する下押し圧力の発生
プラスの影響を補足すると、1)に関しては、震災の発生直後から需要が顕在化しているとのことである。地震や津波によって、東北・関東地方の工場に被害が生じた後、工場敷地内に流出した油や化学物質などの回収をダイセキ単体の関東事業所(一部北陸事業所)が行っている。また、2)に関しては震災後2週間ほど経ってから、震災によって転がった燃料タンクの回収作業に対する業務依頼がシステム機工にきているとのことである。3)に関しては、今後の話だが、瓦礫(一般廃棄物)の撤去後に油や重金属、VOC(Volatile Organic Compoundsの略、揮発性有機化合物)によって汚染された土壌の処理の依頼が同社に対してくることが見込まれている(ちなみに、農地は土壌汚染対策法の対象外であり、ダイセキ環境ソリューションの業務範囲外である)。依頼が来るタイミングとしては、瓦礫を撤去した後なので、2011年夏頃であろうと同社はコメントしている。
上記、「震災」の影響の規模、期間は不明ながら、2012年2月期第1四半期ではマイナス影響がより大きく、第2四半期以降ではプラスの影響がマイナスの影響を上回るのではないかと同社は推測している。
2012年2月期会社予想について
会社予想は引き続き緩やかな景気回復が続くとの前提に基づいている。前述したように「震災」の影響は織り込まれていない。2011年2月期はグループ各社間で業績に格差があったが、2012年2月期に関しては、グループの会社が全て営業増益となる予想となっている。同社はグループ各社や設備投資などについて以下のようにコメントしている。
ダイセキ単体
- 産業廃棄物中間処理・リサイクル事業は、国内製造業の生産回復やシェアアップによって処理受託量が増加する見通し
- 営業利益率は23.8%と2011年2月期(同23.7%)から概ね横ばいの見通し。しかし、同社は固定費率が高いため、売上が計画を達成すれば、営業利益は会社予想を上回る伸びとなろう
ダイセキ環境ソリューション
- 建設業、不動産業、民間設備投資の回復が続くとの考え方に基づく予想値
ダイセキMCR
- LME鉛価格前提に基づき、増収増益を予想
- LME鉛価格は2012年2月期平均で2,550ドル/トンを想定(2011年は2,206ドル/トン)
システム機工
- 売上高が2,542百万円だが、2007年12月期から2009年12月期の売上高は平均で約2,200百万円。予想は過去の平均売上実績に海外に対する燃料タンクの洗浄装置の中国および産油国へ輸出約500百万円も加味した数値。洗浄装置の輸出は既に受注があった金額をみている
- 営業利益率は6.5%と2007年12月期から2009年12月期の平均値は3.6%を上回る数値を想定
設備投資
- 2,200百万円を計画(2011年2月期:1,701百万円)
- 内訳は、ダイセキ単体が1,618百万円、ダイセキ環境ソリューションが200百万円、ダイセキMCRが272百万円、システム機工が110百万円
- ダイセキ単体の内訳は、名古屋事業所の汚泥工場建設に261百万円、関東事業所の水処理設備増設に215百万円、車輌関係で374百万円。名古屋事業所の汚泥工場建設に関しては2011年2月期の案件が2012年2月期に後倒しになったことによる
配当
1株当たり20円を予想(2011年2月期:同20円、配当方針に関しては「配当と株主優待」を参照)
将来の展望
中期経営計画では、連結売上高が2011年2月期から2014年2月期にかけての年間平均成長率約12.7%の目標となっている。
同社は、今後増加が見込まれる産廃処理量に対応するために処理能力の増強を計画している。関西事業所では2012年2月期末までに需要が処理能力を上回る見通しであり、同社は2011年2月期に処理能力の増強に向けて関西事業所と同じ工業地内で工場用地の取得を行った。工場用地の面積は約3,000坪、新工場の規模は既存関西事業所と同等以上で、工場完成は2013年2月期となる見込みである。関西での需要増については、当面は地理的に比較的近い北陸事業所および名古屋事業所でも対応する予定となっている。また、ダイセキMCRに関しても2011年2月期時点で稼働率がほぼ100%となっているが、2013年2月期末に新工場が稼働する見込みとなっている。
2012年1月時点で、同社は2013年2月期の見通しに関し、連結営業利益で最高益を更新するのは難しいかもしれないと述べている(連結営業利益は2008年2月期の8,201百万円が最高)。もっとも、ダイセキ単体ベースでは、過去最高益をめざすほか、ダイセキ環境ソリューション、ダイセキMCRに関しても2012年2月期比で増益になるとみている。ダイセキ単体の業績を占う上では、マクロ経済状況(鉱工業生産の動向)をどうみるかという点が重要だが、2012年2月期のマクロ経済が、東日本大震災、歴史的円高水準、欧州危機による世界需要の減少、タイの洪水影響など様々なマイナス影響を受けた点を踏まえると、2013年2月期のマクロ経済環境は(2012年2月期よりも)好転する可能性の方が高いのではないかと同社はコメントしている。
事業内容
ビジネス
同社は、産業廃棄物のリサイクルに特化した環境の専門企業である。単体は液状廃棄物(廃油、廃水、汚泥)の中間処理、および再利用可能な成分の分離と再販を主要事業としている。子会社数社は土壌浄化処理および環境コンサルティングならびに鉛のリサイクル(自動車および産業用バッテリー)などを行っている。
同社は環境部門、石油部門およびその他の3事業部門で構成されているが、連結売上高の大半を環境部門が占める。
主な事業部門
環境部門(2011年2月期売上の94.8%)
環境部門の主な事業は、産業廃棄物の処理および土壌汚染関連事業である。産業廃棄物処理は同社のコアコンピタンスであり、最大の収益決定要因である。
産業廃棄物処理
「産業廃棄物」とは、(個人が排出するのではなく)あらゆる産業工程において副生成物として排出される廃棄物と定義される。日本では特に有害または危険な廃棄物は「特別管理産業廃棄物」(毒性物質または他の有害物質を含有)に分類される。産業廃棄物は発生後、①収集運搬、②中間処理(有害物質の除去)、③処分(最終材料は無毒化されて再び環境に返される)の3つの段階を経る。環境部門の主要業務は最初の2段階、つまり収集および中間処理である。一般に産業廃棄物処理といえば、最終処分(通常は埋立)前になるべく減量化するアプローチがとられる。減量化の方法には粉砕、焼却、破砕処理などいくつかあるが、日本で最も多く採用されているのは焼却処理である。同社は液状産業廃棄物(汚泥、廃油、廃水および特別管理産業液状廃棄物など)の処理を専門としているが、子会社のダイセキMCRでは固形廃棄物(具体的には自動車および産業用バッテリー)のリサイクルを行っている。同社の廃棄物処理のアプローチは、可能な限りリサイクルするというもので、そのために再利用可能な材料を採取する技術的専門性を開発した。同社の施設では焼却炉は使用していない。
ダイセキ(単体)が2011年2月期中に処理した廃棄物の内訳:
- 汚泥: 17%
- 油: 34%
- 酸: 17%
- アルカリ: 29%
「廃油処理」には、処理する油の種類および最終製品によって主に3つの形態がある。
- 潤滑油:不純物、劣化成分、その他の汚染物質が濾過により除去され、残った潤滑油のみが再販される。
- 再生重油へのリサイクル:廃油は油分、水分および他の粒子に分離され、廃水(別処理)、汚泥(半固形の粒子混合物。これも別処理)および汚染物質が除去された油となる。油は燃料として販売できる。
- 補助燃料:潤滑油や重油にリサイクルできない廃油はある工程(成分添加など)を経ることにより2次燃料としての利用に適した製品となる(石炭代替燃料または補助燃料として燃焼)。
「廃水処理」とは、水分を油分や他の汚染物質から分離することを指す。同社のその他の廃棄物リサイクル事業(廃油、汚泥)の中の重要なステップである。処理には3つのステップが含まれる。
- 混合物内の油成分をすべて分離し、廃油として処理し、燃料化する。
- 回収後の廃水は中和処理を行い、凝集・脱水処理をした後、活性汚泥で生物処理をして、河川や下水道に放流する。
- 中和処理の際に発生する汚泥は、脱水処理にて水分を除去すると固形のケーキのような物質が残り、セメント原料としてリサイクルする。
「汚泥処理」は、内容物によって(建設作業から排出される汚泥は工場から出る汚泥とは異なる)、具体的なステップが異なる。分析と仕分ののち、以下のいずれかの処理を行う。
- 混合調整により補助燃料を生成。
- 脱水処理により水分と固形材料を分離(通常はセメントメーカーに販売)。
- 混練(汚泥を薬剤に浸ける)によりセメント原料に変換。
汚泥の排出元と内容物によっては、特定のリサイクル可能な物質を回収するステップが追加で入ることもある。
鉛のリサイクル
鉛のリサイクル事業はダイセキMCRが注力している事業である(鉛蓄電池は2010年2月期の総数量の約90%を占め、残りは固体電子機器または同様の廃棄物などである)。廃バッテリーは主に自動車から回収される。その他はバックアップ発電機や通信機器などから回収される。処理では、廃バッテリーを分解し、他の部品(プラスティック、内部の廃液など)に分別する。分別後の部品のほとんどが再利用可能である。液状廃棄物(酸性の廃水)は一連の廃水処理が行われ、巣鉛とプラスチックは再販される。
同社の推定によれば、ダイセキMCRの国内市場シェアの約5%である。操業はフル稼働状態であり(2011年2月期)、2013年2月期に稼働能力を拡大する計画である(許認可の取得に遅れが生じないとの想定)。施設の拡大は連結ベースの利益率に比較的短期間で影響を与えるであろう。同社によれば、通常は廃棄物処理施設が新規稼働した場合は安定稼働までに数年かかるが、ダイセキMCRの場合は1年で実現できるもようである。売上総利益率は主要な廃棄物リサイクル事業に比べると若干低い(上表を参照)。主要事業である廃棄物リサイクル事業とは異なり、廃バッテリー処理には季節的変動はない。
土壌汚染対策
タンク洗浄
同社はシステム機工を通じて、(原油等の)タンクの洗浄を行っている。システム機工株式会社は、大型タンク、配管、各種プラントの洗浄事業を主要事業としている。特に大型タンク洗浄においては、同社が開発したCOW工法(Crude Oil Washingの略、共油洗浄工法)が、手作業に頼った従来型工法に対して高い優位性を持っているとされており、大型タンク洗浄部門では約60%の国内シェアを占めている(2011年2月期)。
システム機工は2010年9月より同社グループの一員となったが、2012年2月期以降、以下の相乗効果を同社は期待している
- システム機工は営業要員の欠如から中小型タンクおよび小規模企業の開拓をできずにいたが、そういった分野と既につながりのあるダイセキグループが営業支援を行う
- 同社グループの既存顧客(電力会社、製鉄会社など)に対してシステム機工がVOC(Volatile Organic Compoundsの略、揮発性有機化合物)ガス回収事業(大型タンク開放時に放出される大量のVOCガスを回収する事業)を展開する
- システム機工が受注したタンク清掃時に発生するスラッジをダイセキ単体がリサイクル燃料化する
- 撤去された石油タンク跡地における、ダイセキ環境ソリューションの土壌汚染調査、土壌汚染処理事業の展開
- システム機工の洗浄装置を中国および産油国へ輸出、もしくは現地での大型タンク洗浄など海外展開の強化
石油製品(2011年2月期売上の5.1%)
石油製品部門は、工業石油ベースの製品(潤滑油、防錆剤)を製造、販売している。当部門は主たる事業ではなく、売上高に対する影響は小さい。
主な施設
ダイセキ(単体)には6ヵ所のリサイクル事業所があり、主要工業地域近郊(関東、中部、近畿、九州)に所在する。事業所はすべてISO14001認証を取得しており、主だった産業廃棄物のリサイクルおよび浄化処理を行う許可を取得している。
顧客に近いことはコスト面でメリットである(「ビジネスモデル」の項を参照)。同社の施設は2008年の国内産業廃棄物総排出量の約82%(環境省データより)が発生した地域に所在している。同社の工場は主要な交通網からアクセスしやすく、さらに6施設中4施設(九州、関西、北陸、千葉)は直接、船によるアクセスも可能である。
- 名古屋事業所 ― 1963年に操業開始(同社最初の操業開始施設)、同社施設網の中で最も多くの廃棄物(量および種類)を取り扱っている。総面積は約46,000㎡で、中部地方(2008年の国内産業廃棄物の15.6%を排出)で事業を展開している。
- 関西事業所 ― 操業開始は2002年。廃水、廃油および汚泥処理機能を有する。総面積は約12,000㎡(2010年時点で関西における最大の再生処理施設)で、近畿地方(2008年の国内産業廃棄物の14.4%を排出)で事業を展開している。同社によれば2010年2月期時点で同工場の稼働率は約80%である。
- 九州事業所 ― 1982年に操業開始。液状および汚泥の両方の産業廃棄物を扱えるよう装備されている。総面積は約54,000㎡で九州地方(2008年の国内産業廃棄物の13.0%を排出)で事業を展開している。
- 北陸事業所 ― 1973年に操業開始。複数の種類の産業廃棄物(液状およびガラスやコンクリートなどの一部の固体)を扱う。総面積は約18,000㎡で、名古屋事業所とともに中部地方で事業を展開している。
- 関東事業所 ― 1990年に操業開始。液状および一部の固体の産業廃棄物を扱えるよう装備されている。総面積は約47,000㎡で関東地方(2008年の国内産業廃棄物の27.4%を排出)で事業を展開している。同社によれば、当工場は処理量をおよそ倍にできる稼働能力を十分に持っているとのことである(2010年2月期時点)
- 千葉事業所 ― 1997年に操業開始。約7,000㎡。主に廃油のリサイクルを行い、関東事業所とともに関東地方にて事業を展開している。
産業廃棄物処理施設の建設にかかる平均的な費用は約10億円である(小規模施設の場合は5億円から。大規模の場合は最大で20億円かかる)。施設は通常操業開始から3年以内に黒字となり、投資回収期間は7年未満である(ROI は15~18%)。同社は投資回収期間を設備投資の判断基準としている。
稼働率と成長拡大余地については、同社の推定に基づけば現行の所有施設にて最大300億円まで売上高(単体)を増やせるだけの操業能力があるとのことである。
ダイセキ環境ソリューションの施設
- 名古屋、横浜、大阪にリサイクルセンター
ダイセキMCRの施設
- 本社および数ヵ所の工場を栃木県内に有する
システム機工の施設
- 苫小牧、関東、中部、四国の営業所、四日市機材センター
研究開発
ダイセキ(単体)は全事業所に研究開発施設を所有しており、リサイクル(回収)技術の向上および処理難度の高い産業廃棄物を扱うための処理技法の拡大に焦点を当てた研究を実施している。2011年2月期時点で同社には50名弱の研究開発専任要員がいる。
ビジネスモデル
同社の売上高の主要素は、リサイクルおよび廃棄物処理である(その他に石油製品部門の製品売上がある)。ダイセキ(単体)がリサイクルで請求する金額は顧客ごとに異なり、主に処理費を基準にしている(リサイクルが簡単な材料のコストは低い)。メーカーから排出される「廃棄物」は、個々に特性が異なるため、標準的な価格表は存在しない。契約価格は案件ごとの随意契約で決定される。いったん処理価格が設定されると、それほど頻繁には変更されない(対して同社の石油製品の場合は石油の市場価格に影響される)。同社によれば、リサイクル価格は2005年から2008年の「リーマンショック」までは概して上昇傾向にあった(廃棄物のリサイクルおよび処理の難易度が増した)。金融危機後、価格は約7%下落したが、ある程度安定してきている。同社は2012年2月期までは価格が安定的に推移すると見ている。
同社は、顧客が再生処理業者を切り替えることは珍しく、かつ同社はマーケットシェアを順調に高めてきたとコメントしている。そして、その成功は4つの要因に起因しているとしている。つまり、①価格(廃棄物の内容によって処理価格が変わる)、②信頼性(国内の厳格な環境関連法によりメーカーは最終処分の時点まで責任を負う義務があり、信頼のおける廃棄物処分業者を採用することが必要不可欠となっている)、③利便性(迅速な対応)、④リサイクル自体(評判および同様の無形の便益。例えば、ISOプロセスの認証を取得しようとするメーカーにとっては、廃棄物リサイクルを行うこと自体が有利に働く)である。2010年2月末時点で、同社の顧客数は5,123社である(顧客数はリサイクルの種類および施設ごとに別々に管理されている)。対して、2009年2月期のアカウント数は5,072社、2008年2月期は4,953社であった。
売上高(単体)の主たる決定要因は工業生産高である。つまり、売上高を決定するリサイクル量は産業界が排出する廃棄物の量に依存する。リサイクルの量は工業生産高に対して6ヵ月遅れで推移する傾向があるが、このタイムラグは特に回収の段階で生じる(その理由の一つは、不景気の際は、廃棄物量が減少し、メーカーが輸送費を最低限にするべく廃棄物を自社内に保管し、ある程度の量がたまってから出荷してくるからである。これにより回収開始時の廃棄物受け入れに遅れが生じる)。
その他、売上を決定する主な要因として、鉛や原油の市場価格がある(ダイセキMCRはリサイクル済の鉛の塊を市場価格に1ヵ月遅れで追随した価格で販売している。石油製品は直接原油価格の影響を受けている)。商品市場の流動性が比較的高いことやヘッジコストを考え、ダイセキMCRでは鉛の価格変動に対するヘッジは行っていない。
コスト構造
コストのほとんどが固定費であり、最大の費用が人件費(2011年2月期の単体ベースの販売費および一般管理費(販管費)の55.0%)である。産業廃棄物処理の売上総利益率は約35%と比較的安定している(ほとんどが化学物質その他の処理費用であり、他に輸送費や最終処分などの変動費が含まれる)。
同社の売上と利益の関係は比較的分かりやすい。売上は処理済み廃棄物の量により決定され、利益率は施設の稼働率により決定される。同社の推定では、工場がフル稼働の状態にある「ベストケースシナリオ」に基づけば、営業利益率(単体)は30%前後になるという。
同社の既存事業の成長要因は、工業生産高の増加またはシェアアップによる処理量の増加の2つである。同社は、地元の競合他社でそれほど高度な処理方法を使用していない企業(コスト面や、焼却などの他の方法と比べた場合のリサイクルの利点を強調している)、または刻々と変化する法律に対応するには規模が不十分な企業からシェアを奪ってきている。
収益性スナップショット、財務比率
2011年2月期の連結ベースの売上総利益に占める単体の比率は83%であった(単体の粗利率36.8%)。
営業利益率(連結)は比較的安定して推移している。ダイセキ(単体)の処理量は2008年の金融危機までは増加傾向にあったが、金融危機によって産業界の生産ないしは廃棄物の量に大幅に落ち込んだ。そのため、2009年2月期、2010年2月期は同社の売上高は伸びが減速ないしは減少し、費用が固定費的な性質であることも相まって、営業利益率が低下した。同社は、リサイクル事業の営業利益率は比較的高いとコメントしている。逆にいえば、リサイクル事業がなかった場合の同社の営業利益率は、大きく低下するだろう。
ダイセキの運転資本は、2008年2月期から連結対象となった田村産業(ダイセキMCRに社名変更)の取得により影響を受けた。田村産業の2008年2月期決算のたな卸資産が、在庫回転率(減少)、運転資本(増加)、流動比率(増加)に影響を与えた。
SW(Strengths, Weaknesses)分析
強み(Strengths)
- 圧倒的な経験に基づく評判:同社は産廃処理とリサイクル事業に40年近くかかわっている。通常、産業界において経験を有するだけでは強みにならない。しかし、産廃処理の場合は、経験と揺るぎない評判が非常に重要である。廃棄物排出企業は、その最終処分まで義務を負うことから、処理業者の選択は重要な決定事項となる(処理業者が不祥事を起こした場合は、メーカーが罰金および訴訟の対象となる)。同社が産廃処理で有する経験の蓄積により企業はリスクを最小化することができ、同社がさまざまな種類の廃棄物処理経験を有していることは、同社のサービスがあらゆる業界で使用できることを意味している。
- 中期的収益成長に焦点を置いた実戦的な経営管理:SR社は、この強みは収益性を引き上げる十分条件とはいえなくても、その必要条件になると考える。同社は急激な拡大を避け、代わりに安定的なマーケットシェアの拡大と顧客との関係構築に焦点を置いている。こうした姿勢は株主価値に反映され、資本コストの大幅な引き下げにつながり、高い投資回収率と安定した成長のサイクルを作り上げることへとつながろう。
- 液状廃棄物にフォーカスした専門家(単体)同社は狭いニッチマーケットで事業を経営しており、そこでは技術的専門性と東証上場企業としての位置づけを活用し、競争優位性を最大化することができる。同社は、他の領域でも同様のアプローチを採っており、他の専門企業を買収し、その中心的事業を同社の中核的強みと組み合わせることにより事業成長を成し遂げている。
弱み(Weaknesses)
- 需要が工業生産高に左右される:ダイセキの事業は、最終的には国内鉱工業生産高の水準および変動の影響を受ける。つまり、国内鉱工業生産の水準が同社の成長を制約する可能性がある。また、同社はこれまで競合他社からシェアを奪ってきたが、この手法が今後も通用するかどうかは保証されていない。
- 設備投資に対する回収が不確定:処理工場への投資は多額にのぼり、かなりの期間を要する(許認可取得に数年かかることもある)。投資家の観点からは、新規施設への初期投資がかなり巨額となる場合、それがいつ回収されるかという不確定要素が追加されることを意味する。
- 魅力的なM&A案件が限定的:同社いわく、提示されるM&A案件のほとんどが破綻前の企業の救済など、概してあまり魅力がない案件である。これにより成長の機会が外部成長ではなく内部成長に限られてしまうため、資産、資本効率の低下につながる恐れがある。例えば、同社のROEとROAの水準には、ほとんど差がないが、その理由の一つは、2011年2月期で総資産の約3分の1を現預金で保有していることである。現預金は今後の大幅な設備投資や可能性は低いが、M&Aの案件のための原資として据え置かれている。
グループ会社
- ダイセキ ― グループ内の主たる企業。産業廃棄物の中間処理が主な事業である
- ダイセキ環境ソリューション(東証 1712)― 土壌汚染対策(土壌調査、分析および処理)を専門とする。同社には子会社が1社ある(グリーンアローズ中部 ― 産業廃棄物、主に廃石膏ボードの処理とリサイクルを行う)
- 北陸ダイセキ ― 潤滑油およびその他石油製品を製造販売する
- ダイセキMCR ― バッテリーから回収した巣鉛を精製し再販する
- システム機工 ― 大型タンク、配管、各種プラントの洗浄事業が主要事業である
グループ戦略
同社のグループ戦略は、産業廃棄物のリサイクルを中核とした環境の専門家集団として発展するというものである。子会社の事業は中核のリサイクル事業と密接に連携している。北陸ダイセキとダイセキはお互いから石油製品を購入している。ダイセキMCRは廃水(バッテリー液)を排出し、これをダイセキが処理している。そしてダイセキ環境ソリューションはダイセキとの連携により稼働中の工場の環境対策案件を獲得している。
市場とバリューチェーン
同社の主な市場は、国内の産業廃棄物処理市場である。
国内の産業廃棄物は大きく2つに分類できる。産業廃棄物(商業活動から発生する広義の廃棄物。木材の切りくず、紙くず、繊維くず、有機廃棄物など)、および特別管理産業廃棄物(特別な処理を必要とする有害廃棄物。廃油、廃酸、医療廃棄物、アスベスト、水銀やカドミウムなどの毒性重金属含有廃棄物などがある)である。一般に、特別管理産業廃棄物の処理はより高度な処理技術を必要とする。
産業廃棄物は産業活動に応じてより発生する。環境省のデータによれば、産業廃棄物の総排出量の水準は1999~2007年度まで比較的安定している(下表を参照)。もっとも、2008年度に関しては、リーマンショックの影響もあって、2007年度より3.8%減となった。
産業廃棄物処理における個々の廃棄物を見た場合、最大の廃棄物は汚泥である(下表を参照)。液状廃棄物の変動が最も大きいが、1998~2008年度の期間で大幅に増加している(汚泥、プラスチックおよびその他の種類の廃棄物の成長が横ばいなのに対して、ほぼ倍増している)。
産業廃棄物の市場は厳しく規制されている。具体的な廃棄物の種類を示し、適切な処分方法を規定した初めての法律(「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」)が1970年に制定され、その後の改正・規制強化が行われている。また、1998年に、廃棄物処理に関連した(発生元から最終処理まで廃棄物を追跡する)マニフェスト制度ができた。マニフェスト制度の目的は、廃棄物排出事業者に対する監視の目を厳しくし、排出事業者の説明責任義務を強化することにあるようだ(廃棄物の排出事業者は最終処分後10日以内にマニフェストに必要事項をすべて記入して提出しなければならない)。排出事業者に対する影響は甚大である。中間処理業者が処置を誤った場合(廃棄物を不適切に処分した場合など)の、最終的な責任(義務)は廃棄物を排出した企業が負うことになるからだ。
産業廃棄物処理で競合する企業は、産業廃棄物の種類ごとに処理を行うための許認可が必要である。許認可の取得には長い期間を要し、厳しい要求基準を満たさなければならない(許認可取得までに数年かかることもあり、これが市場の成長を抑制要因となり得る。また、市場への参入・撤退のいずれも自由度は低い)。
同社では収集事業も行っているが、その主たる事業は中間処理である。競合となる収集および中間廃棄物処理企業数を下図に示す。
中間処理施設の総数は1992年度より増加しているが、脱水処理(同社が汚泥および廃水処理に使用している)による施設数は1998年度から2007年度の間に約40%減少している。同社は、メーカーがより複雑で技術的に高度な製品を生産すれば、産業廃棄物もまた複雑化し、処理の難易度が増すとコメントしている。処理業者への規制圧力が高まり、より複雑な廃棄物が増える中で、脱水処理による処理業者数が減少している。
市場規模に影響を与える要因は、産業廃棄物の排出量と廃棄物処理の法的要件(廃棄物ごとに規定された処理など)である。同社は規制は今後も厳しくなり、メーカーに対する「排出量ゼロ」目標(資源のリサイクルと資源消費量の低減を強調する)への達成圧力は増すであろうと予想している。同社は工場の廃棄物排出量に関して、国内メーカーが生産拠点を海外に移転する動きにより、工場数の減少傾向が今後も続くと見ている。
市場成長
中核事業(産業廃棄物のリサイクル)に関して、ダイセキ(単体)にとって重要な変動要因は前述した通り、産業廃棄物の排出量と廃棄物処理の法的要件である。国内企業が海外への移転を止め、国内に回帰とは考えにくいため、市場規模が横ばいで推移するという見通しは楽観的と考えられる。したがって、リサイクル業者の成長機会はどちらかといえば規制の変更(最終処分品の品質向上、資源再利用の厳格化など)によって生じる可能性が高い。
その点、同社の成長の機会は他社からシェアを奪うこと(代替ソリューションも含めて)に限定されてきたが、規制がさらに厳格化され、社会および企業環境の認識が向上することにより、より成長が容易になる可能性がある。
ダイセキ環境ソリューションに関しては、同社の予想する市場の潜在的規模は約1,000億円である。土壌調査および土壌処理事業の需要は、概ね住宅産業および建設産業の動向によって左右される。日本の人口動態を踏まえれば、長期的な市場規模の成長は見込みがたい。一方、規制の変更は不確実性を高める可能性がある。土壌処理企業各社にとっては、短期的に、許認可の要件が変更されることによって機会が生まれる可能性はある(小規模事業者が撤退する場合には、マーケットシェアの変動が起きる可能性がある)。
顧客
ダイセキ(単体)にとっては、産業廃棄物を排出する企業が顧客である。処理価格は廃棄物の内容により異なるので排出先ごとに決定する。外注に出す埋立ての費用が上がると、同社の処理価格に影響を及ぼす。産業廃棄物の回収、処理、および処分は法律により規定されている。同社の最大手顧客に対する売上は総売上の約2~3%を占めるに過ぎず、特定の顧客に売上が左右されることはない。
ダイセキMCRはリサイクルされたバッテリー部品を購入している。部品は汎用品(鉛、プラスチックなど)であり、価格は市場価格に応じて決まる。
供給業者
主力の廃棄物リサイクル事業においては、同社にとって重要といえる供給業者は存在しない。同社の技術および経験が業務上の重要な要素である。鉛リサイクル事業の主な供給業者は、バッテリー仲介業者および自動車販売店網である。同社は、バッテリーのリサイクル事業の成功を決定する要因は、稼働率を高い水準に維持しコストを最低限にすることであるとコメントしており、効果的な調達の重要性を強調している。バッテリーの供給業者とリサイクル業者の力のバランスはほぼ均衡しているものと考えられる。バッテリーの仲介業者は最良の価格と最大手の購買者を求めているのに対し、リサイクル業者は数量増大による稼働率引き上げを狙っている。
参入障壁
参入障壁は高い。参入を主に制限している要因は、許認可、土地、そして設備である。許認可取得には2~3年、もしくは具体的な処理の種類および提供するサービスの種類(収集運搬、産業廃棄物の種類別処理許可など、それぞれ個別に許認可が必要)によってはそれ以上かかる場合もある(たとえば、焼却の許認可取得はより難しい)。土地および設備は多額に上ることもある。
目に見えない参入障壁として、廃棄物排出企業との「信用」という要素もある。すでに取引関係にある業者は、その実績と経験面で有利である。新規参入者が取引を始めるには、新たな廃棄物処理業者として採用するリスクを負ってもよいとメーカーに思わせるに十分な理由が必要である(廃棄物排出事業者が発生から最終処分までの法的義務を負うため)。
競合
輸送費が廃棄物処理費用に大きく影響するため、競合状況は企業の能力よりも地理的要因で決定される。同社は同規模の稼働能力および処理(リサイクル)技法を持つような競合はいないと主張している。廃棄物処理企業として競合の最大手はDOWAホールディングス株式会社(東証1部 5714)である。同社は廃棄物のリサイクル(電子機器、金属くず、車両などの固形廃棄物に焦点を当てている)、廃棄物処理(焼却を使用)、および最終処分施設(埋立地)の運営を行っている。他にリサイクルを提供する競合他社には株式会社クレハ(東証 4023)、株式会社日本ケムテック(非上場)、有限会社東和オイル(非上場)がある。
ダイセキMCRと競合する企業には東邦亜鉛株式会社(東証1部5707)、三菱マテリアル株式会社(東証1部5711)、および三井金属鉱業株式会社(東証1部5706)がある。上場企業以外に同様の事業を行う中小企業が多数存在する。産業廃棄物の中間処理を実施する許認可を得ている企業は2010年時点で10,000社以上存在する(「市場とバリューチェーン」の項を参照)。
ダイセキ環境ソリューションの競合最大手は、DOWAホールディングスである。DOWAホールディングスは、土壌浄化の処理施設を2つ持ち、オンサイトおよびオフサイト処理を実施している。
代替
廃棄物のリサイクルの代替には廃棄物の総排出量の減量(材料および生産技術の向上により廃棄物を減らす)、最終処分に至る前に廃棄物を最小限にする工程(圧縮、粉砕、焼却など)、および廃棄物の不法投棄がある。廃棄物の減量に関連した研究開発はリサイクル費用が相当高額にならない限りは考えにくい。廃棄物のリサイクルは他の処理方法に比べると安価であり、メーカーにとっては(エコに優しい企業という)広告宣伝材料になる。したがって、費用対効果という意味ではリサイクルが相対的に有利なようだ。不法投棄も廃棄物処理の代替ではあるが、同社の優良顧客にとってはおそらく関係のない話といえる。
経営戦略
同社の経営戦略は、事業範囲や地理的範囲を拡大していくというものである。これまで、主に事業を展開してきた地域は中部地区である(環境庁のデータに基づけば、中部地方は2008年度の国内の産業廃棄物総排出量の15.6%を排出)が、その倍近い廃棄物が関東地方で排出されている(2008年度の国内産業廃棄物総排出量の27.3%、出所は同上)。同社は関東事業所の稼働率を引き上げる計画があるとコメントしている。こうした「市場規模」とその地域における「同社のシェア」という2つの考え方に基づき、同社は地域別の成長ポテンシャルとして、関東、関西が高く、次いで九州のポテンシャルが高いと述べている。一方、名古屋、北陸については成長スピードが相対的に劣るとみている。成長を左右する要因は、営業要員と工業生産サイクルである。同社は、急激な成長よりも2桁台前半(10%~15%の間で安定的に推移)の成長率が妥当としている。
同社は液状廃棄物処理のスペシャリストとして成長を遂げてきた一方、他の事業領域の拡大にはM&A(外部成長)を活用してきた。例えば、廃バッテリー処理事業で2007年にダイセキMCR(旧・田村産業)を買収、タンク洗浄に関連して2010年にシステム機工を買収している。同社はプラスチックやその他の工業用金属(非貴金属)などの素材が、その他事業領域の選択肢の一つであるとコメントしている。
過去の財務諸表
前期以前の業績概況(参考)
2011年2月期通期業績
2011年4月13日、同社は2011年2月期決算を発表した(上表を参照)。
売上高は主力の産業廃棄物処理事業およびリサイクル事業の回復から前年比8.2%増の31,477百万円となった。また、営業利益も増収によって前年比10.8%増の5,390百万円となった。
概ね会社予想通りの実績となったが、グループ会社別にみれば、営業利益でダイセキ環境ソリューション、ダイセキMCRおよびシステム機工が会社予想を下回る実績となった。同社によれば、ダイセキ環境ソリューションについては、不動産、建設市場などの回復の遅れや改正土壌汚染対策法による市場の混乱が影響したとのことである。また、ダイセキMCRについては、2011年2月期第2四半期にLME鉛価格が急落したことなどが計画未達成であった要因とコメントしている。
同社はグループ各社について、その他以下のようにコメントしている。
ダイセキ単体
- 主力事業である産業廃棄物中間処理・リサイクル事業は、国内製造業の生産回復とともに処理受託量が回復した
- 同社は固定費比率が高いため(限界利益率は55%程度)、増収によって営業利益率は23.8%へと改善(2011年2月期は同19.7%)
- 廃棄物等受入量および燃料系リサイクル販売量はリーマンショック前の水準まで回復してきたが、販売単価はリーマンショック前の水準まで戻っていない
- 事業所別の売上高は、北陸:前年比20.8%増、九州:同16.9%増、関東:同16.3%増、関西:同15.1%増、千葉:同14.4%増、名古屋:同7.6%増。九州事業所では、リーマンショック前のピーク時売上まで回復した。一方、名古屋事業所は回復が鈍い
ダイセキ環境ソリューション
- 建設業、不動産業の回復、民間設備投資の回復などが遅れたことが不振の背景
- 先行指標である土壌調査件数が2011年2月期第1四半期をボトムに前年同期比で増加傾向。また、土壌汚染処理も2011年2月期第3四半期をボトムに回復傾向
ダイセキMCR
- 鉛リサイクルの稼働率はほぼ100%であり、ダイセキMCRの業績は鉛価格にほぼ連動する
- 2011年2月期のLMEの鉛平均価格は2,206ドル/トン(2010年2月期は同1,907ドル/トン)
- 2010年6月にLMEの鉛価格が急落(1,559ドル/トンへ)したにも関わらず、原料である使用済みバッテリーの仕入価格が高止まりしたこと(廃バッテリー業者が鉛価格の先高観から値段を下げなかった)、為替が円高・ドル安傾向にあったことなどが、計画を下回った要因
- LME鉛価格は2010年6月をボトムとして、以降右肩上がりで推移している
システム機工
- 2010年9月より新規連結化
- 売上計上基準変更(工事進行基準から工事完成基準へ)や資材センターの移転(神戸から四日市へ)に伴う費用の計上などによって営業損失17百万円を計上
- COW(Crude Oil Washingの略、共油洗浄工法)装置2機を中国に売却したが、中古品のために売上高ではなく特別利益に計上
2011年2月期第3四半期業績
2011年1月13日、同社は2011年2月期第3四半期決算を発表した(上表を参照)。通期会社予想に対する第3四半期累計期間の進捗率は以下の通り。
- 売上高: 72.6%(通期予想32,250百万円)
- 営業利益: 77.0%(同5,580百万円)
- 経常利益: 78.8%(同5,680百万円)
- 純利益: 79.7%(同3,150百万円)
第3四半期累計実績は、7.5%増収、16.3%営業増益となった。同社はグループ各社について以下のようにコメントしている。
ダイセキ単体
- 売上高は16,578百万円(前年同期比17.8%増、会社予想比0.1%増)、営業利益は4,134百万円(前年同期比44.7%増、会社予想比1.5%増)
- 主力事業である産業廃棄物中間処理・リサイクル事業は、国内製造業の生産回復とともに処理受託量が回復した
- 顧客である国内メーカーの先行きに対する見通しは総じて慎重で、設備投資や工場メンテナンス実施の回復ペースは極めて緩やか
ダイセキ環境ソリューション
- 売上高が3,728百万円(前年同期比32.7%減、会社予想比4.4%増)、営業利益が56百万円(前年同期比90.8%減、会社予想比13.8%減)
- 不動産や建設市場、製造業の設備投資の顕著な回復がみられず、引き続き厳しい外部環境が続いた
- しかし、先行指標である土壌調査件数が前年同期比で既に増加傾向にあることから、今後緩やかに業績の回復過程に入っていくことが予想される
ダイセキMCR
- 売上高が2,390百万円(前年同期比13.4%増)、営業利益が218百万円(前年同期比37.3%減)
- 鉛の国際価格が2010年6月を底として上昇に転じ、その影響を受けて第3四半期は第2四半期よりも増益となった
通期予想に変更はなかった。しかし、同社は第3四半期までの業績が前年同期を上回っている点を踏まえ、期末配当予想を1株当たり9.5円から10.5円へ増額修正した。これにより、年間配当予想は前回の1株当たり19円に対し、20円となる予定である。同社は配当予想の修正を例年第3四半期決算時に行っているとコメントしている。
2011年2月期第2四半期業績
2010年10月13日、同社は2011年2月期第2四半期決算を発表した(上表を参照)。通期会社予想に対する第2四半期累計期間の進捗率は以下の通り。
- 売上高: 46.6%(通期予想32,250百万円に対し15,016百万円)
- 営業利益: 50.6%(同5,580百万円に対し2,824百万円)
- 経常利益: 51.0%(同5,680百万円に対し2,899百万円)
- 純利益: 52.8%(同3,150百万円に対し1,664百万円)
第2四半期累計実績は、12.4%増収、36.4%営業増益となった。営業増益に関しては、売上総利益率が増収および減価償却費の減少により前年同期の30.5%から32.3%へ改善したほか、販売及び一般管理費の大半が固定費であるため、増収に伴って売上高販管費率が前年同期の15.0%から13.5%へと低下。営業利益率は前年同期の15.5%から18.8%へと改善した。
連結ベースの業績予想は、ダイセキ単体の会社予想は期初予想よりも上方修正されたが、ダイセキ環境ソリューションの業績が期初予想よりも下振れていることなどから、期初計画から変更されていない。設備投資計画については、期初計画の1,450百万円から800百万円上積みされ、2,250百万円の計画に修正されている。理由は、ダイセキ単体の関西事業所で処理能力の増強に向けて、2011年2月期下期に工場用地の取得を行う予定であり、実際にその目処がついたためと同社は説明している。
第2四半期累計期間のグループ各社状況は以下の通りとなる。
ダイセキ単体
売上高は10,952百万円(前年同期比22.2%増、会社予想比4.9%増)、営業利益は2,754百万円(前年同期比59.6%増、会社予想比15.1%増)であった。産業廃棄物処理の受託量が、国内製造業の生産回復とともに増加したことから増収となったほか、減価償却費が減少したこと、販売管理費がほぼ前年同期と同額であったことが営業増益の要因である。
エリア別には千葉を除く5事業所全てが、前年同期比20%以上の増収となった。ただし、同社によれば、地域ごとに温度差があり、関東・関西・九州の回復が早く、名古屋・北陸の回復が遅れ気味とのことである。特に九州はリーマンショック後の下落率も低かったため、ほぼリーマンショック前の売上水準まで回復したとしている。一方、名古屋は回復が遅れ気味だが、地元の自動車関連産業の影響を受けている模様だ。
こうした実績を受けて、ダイセキ単体の通期会社予想は期初計画(売上高: 20,800百万円、営業利益: 4,635百万円)から上方修正されている。上方修正後の通期会社予想は売上高が21,680百万円、営業利益が5,125百万円である。下期のダイセキ単体の売上高予想には、景気が二番底に陥る懸念が引き続き織り込まれているが、2010年10月中旬時点において、同社は二番底までは行かず、若干の落ち込み程度で済む可能性が高いと指摘している。
ダイセキ環境ソリューション
売上高が2,311百万円(前年同期比22.8%減、期初会社予想比26.2%減)、営業利益が27百万円(前年同期比90.0%減、期初会社予想比88.7%減)であった。不動産、建設市場などの低迷や改正土壌汚染対策法による市場の混乱もあって、売上・利益とも当初会社予想を大きく下回った。
ダイセキ環境ソリューションは、2010年9月17日に既に通期会社予想の修正を発表しており、売上高は期初計画の7,500百万円から5,000百万円へ、営業利益は期初計画の702百万円から162百万円へそれぞれ下方修正されている。ダイセキ環境ソリューションは、受注単価、取扱数量ともに厳しい状態にあった。しかし、同社は、受注単価は下げ止まり、取扱数量に関しても、先行指標である土壌調査件数が前年同期比で既に増加傾向にあることから、下期より持ち直すとみている。
ダイセキMCR
売上高が1,581百万円(前年同期比25.9%増、会社予想比11.5%減)、営業利益が134百万円(前年同期比16.1%減)であった。稼働率が100%で、業績が鉛価格次第の状況となっている。この点、鉛価格が2010年6月から7月まで低下傾向にあったことが減益の主因である。また、収益をみる上では為替換算後の鉛価格の変動が重要となるため、ダイセキMCRが想定していた90円/ドルに対し、実績では85円/ドル近辺へ円高に振れたことも、業績に影響を与えた模様だ。通期計画に変更はない。
同社では、鉛価格は2010年6月から7月に底打ちしたと見ている。鉛価格が底打ちしてから同社の利益が回復するまでに、在庫保有期間などの都合で通常3ヵ月ほどタイムラグがあることを考慮に入れれば、ダイセキMCRの業績は10月、11月には回復基調に戻るとSR社は考えている。
システム機工
同社は、2010年9月1日よりシステム機工を連結子会社としている。システム機工は大型タンクの洗浄などが主要事業であり、2009年12月期実績は、売上高が2,285百万円、営業利益が128百万円であった。同社によれば、大型タンクの洗浄事業の需要は日本の石油精製企業の再編や能力の削減に伴い今後10%程度縮小すると見込まれている。しかし、システム機工は営業要員の欠如から中小型タンクおよび小規模企業の開拓をできずにいた模様である。そのため、そういった分野とつながりがあるダイセキグループが営業支援をすることによって、事業シナジーが見込めるだろうとのことだ。また、システム機工は洗浄装置の中国および産油国への輸出あるいは現地での大型タンク洗浄など、海外展開を強化し始めており、既に受注を数億円単位でとれているようだ。ただし、2011年2月期に関しては、システム機工の同社業績に対する寄与は、売上高で1,500百万円、営業利益段階での寄与は、のれん償却との相殺で僅少に留まると、同社はみている。
2011年2月期第1四半期業績
2010年7月13日、同社は2011年2月期第1四半期決算を発表した(上表を参照)。同社の第2四半期累計期間業績予想に対する第1四半期の進捗率は以下の通り。
- 売上高: 48.2%(上期予想15,530百万円に対し7,489百万円)
- 営業利益: 56.0%(同2,720百万円に対し1,524百万円)
- 経常利益: 56.7%(同2,750百万円に対し1,560百万円)
- 四半期純利益: 58.6%(同1,530百万円に対し896百万円)
産業廃棄物処理事業:国内製造業の生産が緩やかに回復し、既存顧客からの受託量も徐々に回復した。また、原油価格が前年同期に比べ上昇し、リサイクル燃料価格も高い水準で推移したことから増収となった。
エリア別には名古屋事業所の処理量は改善しているものの、他のエリアに比べればいまだ処理量は低水準である。名古屋事業所に比べ、同社の成長ポテンシャルの大きい関西事業所および関東事業所の稼働率は第1四半期時点でそれぞれ約80%、約60%まで改善した。
利益面では、費用構造に変化はなく、増収分が売上総利益率および営業利益率を押し上げた。単体の産業廃棄物処理事業は第1四半期計画を上回っており、第2四半期にも同様に推移すれば上期全体として計画を上回る可能性が高い。下期単体売上高予想には景気が二番底に陥る懸念が織り込まれているが、2010年7月中旬時点において同社は二番底までは行かず、若干の落ち込み程度で済む可能性が高いと指摘している。同社によると、10月以降の売上動向がポイントとなるが、なかでも例年処理量がピークとなる12月が重要である(SR社は同社の12月の売上高計画は約19億円であると認識している)。
ダイセキMCRの売上は若干計画に届かなかった。主な要因は、通期の鉛価格の想定$2,250/トンに対して第1四半期の実績価格は$2,100/トンと計画を下回ったことにある。同社は鉛価格が2010年6月に底を打ちしたものの第2四半期中は$1,700~1,800/トンで推移すると見ており、第2四半期についても計画未達となる可能性を示唆している。同社は、下期には鉛価格は上昇に向かい、通期でダイセキMCRの売上高はほぼ計画通りとなると見ている。
ダイセキ環境ソリューションは減収減益となり、会社計画を下回った。土壌汚染対策事業では不動産・建設業の不振が続き、需要が低迷した。同社は需要低迷が下期も続き、通期計画達成は難しいかもしれないとコメントしている。もっとも、需要の方向性として、不動産市場に回復の兆しが見え、調査案件は増えつつあることから、同社としては下期から持ち直すことを期待している。
上期および通期業績予想に変更はなかった。
損益計算書
連結売上高は、単体の主力事業(産業廃棄物処理事業)が牽引している。同社は、同事業への需要は産業サイクルに依存する(生産量が増加=廃棄物量の増加)とコメントしているが、売上高は2001年2月期から2009年2月まで概して右肩上がりであった。2010年2月期の減収について、同社は景気の大幅な悪化を主な要因としている。
売上総利益率は2001年2月期から2011年2月期まで30.1%から35.0%の間で推移しており、単体の粗利率(通常は連結の業績より数ポイント高い)が決定要因となっている。
営業利益率は2001年2月期から2008年2月期まで上昇傾向にあり、2001年2月期の18.0%から2008年2月期のピーク時には23.3%となった。営業利益は、固定費をカバーするだけの稼働率をいかに確保し、最大化できるかで決まってくる。2010年2月期の処理量の減少は、当年度の営業利益率に影響を与えた。
貸借対照表
同社の貸借対照表の流動性は極めて高い。 2011年2月期の貸借対照表上の現預金残高は負債総額の倍以上の規模である。
純資産の部はほとんどが株主資本である。2001年2月期から2011年2月期までの自己資本比率は、平均82.6%で推移している。
資産
同社の資産はほとんどが流動資産である。2001年2月期から2011年2月期までの最大の科目は現預金であった。貸借対照表上のたな卸資産は、ダイセキMCRに関連したものである(2008年2月期より連結対象)。事業は有形固定資産(産業廃棄物のリサイクルに使用する工場および設備)を基盤にしている。
負債
同社の有利子負債は極めて少ない。2011年2月期末時点で、総負債額の中で大きく占めるのは支払手形および買掛金である。2011年2月期末の貸借対照表上の借入のほとんどが短期である。
株主資本
株主資本は、通常は当期純利益と配当金に基づいて変動している。2001年2月期から2011年2月期までの期間における例外は2008年2月期で、同期にはダイセキMCRを取得するために新たに株式を発行した。
キャッシュフロー計算書
営業活動によるキャッシュフロー
同社の営業キャッシュフローの大半は当期純利益と減価償却費で構成されている。当期純利益+減価償却費の、営業活動によるキャッシュフローに対する割合は2001年2月期から2011年2月期まで平均で100%を超えている。
投資活動によるキャッシュフロー
投資キャッシュフローの変動の大半は有形固定資産の取得による(投資有価証券の取得は概して多くない)。詳細は以下の「過去の主な設備投資」を参照のこと。
財務活動によるキャッシュフロー
2005年2月期の財務キャッシュフローは銀行からの借入であった(短期借入金の純増減額300百万円、長期借入による収入700百万円)。2008年2月期の財務キャッシュフローの増加は借入(短期借入金の純増減額250百万円、長期借入による収入800百万円)と株式の発行(ダイセキMCRの取得関連71億円)によるところが大きい。
単純フリーキャッシュフロー
2001年2月期から2011年2月期までの単純フリーキャッシュフローは、若干の変動はありながらも概ね増加傾向にある。同社の事業は装置産業的な色彩が強いため、かなり大型の設備投資需要が生まれ、単純フリーキャッシュフローがマイナスとなることもある。同社の2002年2月期から2011年2月期に至る設備投資の大半は、主に能力増大のためと思われる(下記参照)。
過去の主な設備投資
- 2001年2月:関西事業所(土地 918百万円)、名古屋事業所(拡張 564百万円)
- 2002年2月: 九州事業所(土地等 656百万円)、名古屋事業所(水処理施設 539百万円)、北陸事業所(汚泥乾燥機 498百万円)
- 2003年2月: 関西事業所(新設 1,275百万円)、北陸事業所(水処理施設 230百万円)、九州事業所(汚泥処理 218百万円)
- 2004年2月:ダイセキ環境ソリューション 名古屋リサイクルセンター (土地 395百万円)
- 2005年2月:九州事業所(水処理施設 730百万円)、名古屋事業所(汚泥処理 678百万円)、車輌等(233百万円)。ダイセキ環境ソリューション 名古屋リサイクルセンター(182百万円)、横浜リサイクルセンター 土地および工場(803百万円)
- 2006年2月:関東事業所(土地 1,397百万円:工場建設仮勘定 1,172百万円)、車輌等(282百万円)
- 2007年2月: 関東事業所(工場 970百万円)、ダイセキ環境ソリューション 大阪リサイクルセンター(土地 1,260百万円)
- 2008年2月:名古屋事業所(再生重油工場 327百万円)、関西事業所(水処理設備増設 500百万円)、関東事業所(第3工場2期工事 212百万円)、車輌等(270百万円)
- 2009年2月:名古屋事業所(再生重油工場および補助燃料工場 337百万円)、関東事業所(補助燃料工場 314百万円)、車輌等(298百万円)、ダイセキ環境ソリューション(土地および土壌処理プラント等 557百万円)
- 2010年2月:車輌等(103百万円)、ダイセキMCR(土地 401百万円)
- 2011年2月:関西事業所(土地801百万円)、車輌(124百万円)
その他情報
沿革
1945年 三重県三重郡に油脂精製業を創業
1958年 名古屋市港区に潤滑油精製工場を完成
1958年 株式会社大同石油化学工業を設立(10月1日、資本金200万円)
1963年 名古屋市港区に名古屋事業所を開設
1966年 北九州市小倉区に九州営業所を開設
1970年 石川県金沢市に北陸ダイセキ株式会社を設立
1972年 名古屋市において産業廃棄物処理業の許可取得
1973年 石川県白山市に北陸事業所を開設
1980年 兵庫県尼崎市に大阪営業所を開設
1982年 北九州市若松区に九州事業所を開設
1983年 財団法人クリーンジャパンセンターより、再資源化貢献企業として、会長賞を受賞
1984年 社名を株式会社ダイセキと改称
1990年 栃木県佐野市に関東事業所を開設
1995年 株式を店頭公開(7月27日、資本金12億700万円)
1997年 千葉県袖ケ浦市に千葉事業所を開設
1997年 「第10回廃棄物と生活環境を考える全国大会」で伊藤治雄会長が厚生大臣賞(生活環境改善事業功労者賞)を受賞
1998年 日本海のロシア船タンカー・ナホトカ号重油流出事故の回収活動に対し、海上保安庁長官賞、海上災害防止センター長賞を受賞
1999年 株式会社ダイセキプラントを株式会社ダイセキ環境エンジに改称
1999年 株式会社東京証券取引所・名古屋証券取引所市場第二部に上場(8月5日、資本金13億8,147万3,500円)
2000年 株式会社東京証券取引所・名古屋証券取引所市場第一部に上場(8月1日、資本金25億7,545万8,956円)
2000年 公募増資を実施(9月1日、資本金37億105万8,956円)
2002年 兵庫県明石市に関西事業所を開設
2004年 株式会社ダイセキ環境エンジを株式会社ダイセキ環境ソリューションに改称
2004年 株式会社ダイセキ環境ソリューションが株式会社東京証券取引所マザーズに上場
2005年 株式会社ダイセキ環境ソリューションの名古屋リサイクルセンターが愛知県より汚染土壌浄化施設の認定を受ける
2007年 公募220万株・第三者割当33万株による新株式発行を実施(4月25日・5月22日払込、資本金63億8,260万5,956円)
2007年 田村産業株式会社を子会社化(栃木県宇都宮市)
2008年 株式会社ダイセキ環境ソリューションが東京証券取引所市場第一部に市場変更、名古屋証券取引所市場第一部に上場
2008年 田村産業株式会社を株式会社ダイセキMCRに改称
同社は創業当初から環境事業の会社だったわけではない。同社のルーツは1945年の油脂精製業の創業で始まった。当初はコスト削減が目的で始めたリサイクル事業であったが、専門性を培った後、1958年に大同石油化学工業を設立し、公式に同事業に参入した。リサイクル工場の第1号は1963年に名古屋に開設され、その後は日本全国に着実に事業を拡大していった。1972年に産業廃棄物処理業の許可を取得、1984年には社名をダイセキに変更した。1995年には株式を店頭公開し、1999年には東京証券取引所市場第二部に上場した(2000年には東証1部へ繰り上げ)。
2007年には、田村産業の子会社化により廃バッテリー処理事業に参入した(後に社名をダイセキMCRに変更)。
ニュース&トピックス
2011年10月
2011年10月11日、株式会社ダイセキは2012年2月期第2四半期決算を発表した。
2011年7月
2011年7月11日、株式会社ダイセキは2012年2月期第1四半期決算を発表した。
2011年4月
2011年4月13日、同社は2011年2月期決算を発表した。
2011年3月
2011年3月14日、同社は3月11日に発生した「東日本大震災」の2011年3月14日午前8時時点における影響について、「同社グループが保有あるいは運用している設備などへの被害状況は軽微であり、操業に影響はない」とのコメントを発表した。
2011年1月
2011年1月13日、同社は2011年2月期第3四半期決算、および期末配当予想の増額修正を発表した。
2010年10月
2010年10月13日、同社は2011年2月期第2四半期決算を発表した。
2010年9月
2010年9月17日、株式会社ダイセキは同社の連結子会社であるダイセキ環境ソリューション(東証1712)が2011年2月期の第2四半期累計期間および通期の業績予想を下方修正したと発表した。しかし、同社の連結業績予想に関しては、主力事業の産業廃棄物処理などが堅調に推移しているため、ダイセキ環境ソリューションの下方修正をカバー可能であるとし、連結業績予想を据え置いている。
2010年8月
2010年8月20日、同社は同日開催の取締役会において、システム機工株式会社の全株式を取得し、子会社化することを決議したと発表した。システム機工は2010年9月1日より同社の連結子会社となる予定。同社は連結業績への影響は軽微であるとコメントしている。
2010年7月
2010年7月13日、同社は2011年2月期第1四半期決算を発表した。
トップ経営者
社長の伊藤博之氏(1943年4月5日生まれ)は、1963年に20歳で同社に入社して以来、そのキャリアのほとんどを同社で過ごしている。1975年に取締役に任命され、1978年には常務取締役に、1990年に代表取締役副社長に就任した。1996年に同社の社長に任命された。
従業員
2011年2月期末現在の社員数は連結ベースで722人である(単体は498人)。単体ベースで、社員の平均年齢は39.0歳、平均勤続年数は8.9年、平均年収は591百万円である。
大株主
配当と株主優待
同社は、配当性向(単体)約20%以上を目安に配当を行う方針を取っている。同社は事業がいまだ成長ステージにあると考えているため、配当性向には変動がある(「一株当りデータ」の表を参照)。配当は半年ごとに実施されている(中間配当および年度末配当)。
IR活動
同社は、第2四半期および通期の決算発表後に決算説明会を開催しており、IR・投資家情報のウェブサイトを日本語版、英語版で公開している。

























