デジタルガレージ(4819)
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2012年 5月 18日時点
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直近更新内容
概略
2012年5月16日、株式会社デジタルガレージは、Twitter社から日本初のSite Streams APIの提供を受けビッグデータ事業に参入すると発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
同社によれば、同社の子会社である株式会社CGMマーケティング(以下:CGMM社)は、米Twitter社から、Twitter社が提供するAPI(Application Programming Interface)の一つである「Site Streams」の利用許諾を受け、これを活用したビッグデータ関連サービスの提供を行うことを発表した。Twitter社からSite Streamsの提供を受けるのは日本では同社が初めてとなる。
同社は、同時にCGMM社がTwitter社の収益基盤である「プロモ商品群」について、Twitter社との間で販売代理店契約を締結したと発表した。
同社はこれまでパソコン向け公式サイト及び携帯電話向け公式サイトに向けたバナー広告の販売等を取り扱ってきた。今後は、それに加えて、Twitter社が米国で展開するその他二つの収益源においても関与していくこととなる。
- Site Streamsと今後の展開
Site Streamsを利用することで、Twitterに蓄積された大量のツイートをさまざまに分析・処理することが可能となる。Site Streams APIでは、通常提供されているTwitter APIよりも多くのデータを利用できるため、スケーラビリティが向上し、より多くの企業、官公庁・地方自治体などの利用が見込めるという。
第1弾として、CGMM社が手掛けるTwitterの運用支援ツール「Tweetmanager」にSite Streams等を適用し、 過去データの検索や検索したツイートの感情分析といった高度な機能を実装する予定とのこと。
同社は、こうした機能追加により、一般消費者を対象とした事業を手掛ける企業にとって、Twitter上で語られているユーザーの声をもらさず傾聴し、分析、対応するきめ細やかな顧客管理などが実現できるとしている。
- プロモ商品群と今後の展開
上記の通り、CGMM社がプロモ商品群の販売代理店となったことで、今後はユーザーのフォローする企業、団体などの重要なツイートをタイムラインの一番上に表示する「プロモツイート」や広告主のアカウントをおすすめのアカウントとして表示する「プロモアカウント」などの広告商品の販売を行っていくと同社は述べている。
同日、同社は米HighlightCam社との資本・業務提携を発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
HighlightCam社は、スマートフォンで撮影したビデオや写真から、簡単・手軽な操作でオリジナルのムービーコンテンツを自動生成できるサービス「HighlightCam」を提供する。今回、同社の全額出資子会社の株式会社DGインキュベーションがHighlightCam社に出資し、同時に日本市場におけるHighlightCamの事業展開(日本におけるサービス名「ハイカム」)を共同で行うことで同社とHighlightCam社が合意したとのことである。
本提携に伴い同社は、事業開発やマーケティング活動、ローカライゼーションなどを通じて、日本におけるHighlightCam社の事業を支援していくとしている。なお、HighlightCam社は株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(東証1部9437、以下:NTTドコモ社)と連携し、日本におけるマーケティング活動を展開していくとのこと。NTTドコモ社が2012年夏モデルのAndroid搭載の「Xi」®対応スマートフォン全11機種にハイカムにプリインストールする模様だ。
2012年5月11日、同社は2012年6月期第3四半期決算を発表した。
(決算短信へのリンクはこちら、2012年6月期第3四半期決算実績の項目へのリンクはこちら)
2012年4月19日、同社は米Snapette社との資本・業務提携を発表した。
(リリース文へのリンクこちら)
Snapette社は、お気に入りの靴やバッグ、アクセサリーなどのファッションアイテムの写真をユーザー同士がインターネットで共有するサービスの提供を通じて、それらを販売する実店舗への誘導と商品の購買を促す「オンライン・ツー・オフライン(O2O)」ビジネスを手掛ける。今回、同社の全額出資子会社の株式会社DGインキュベーションが、Snapette社に出資し、同時に日本市場におけるSnapette社の事業を支援することで同社とSnapette社が合意したとのことである。
2012年3月29日、同社はSBIホールディングス株式会社(東証1部8473)との業務提携ならびにSBIベリトランス株式会社の株式取得・子会社化について発表した。
(業務提携に関するリリース文はこちら、株式取得に関するリリース文はこちら)
同社のリリース文を要約すると以下のようになる。
- 業務提携
同日、SBIホールディングス社との間で、投資・インキュベーション事業に関する業務提携基本合意書を締結することを決議した。
業務提携の目的
同社は、両社は米国(同社)とアジア(SBIホールディングス社)という異なる地域に強みを有していることから、お互いに連携をして、(グローバルに有望なサービスを提供する)インターネット関連企業を発掘し、投資・インキュベートしていくことが、本業務提携の目的であるとしている。
- SBIベリトランス社の株式取得
同日開催の取締役会で、同社の連結子会社である株式会社ウィールを通じて、SBIホールディングス社の100%子会社であるSBIベリトランス社の株式を全て取得し、連結子会社化することを決議した。
株式取得の目的
- 同社のビジネスのプラットフォームである決済事業の更なる拡大が目的
- コンビニエンスストアをはじめとする現金決済に強みを有する同社の決済事業とのサービス面における補完を期待
- 将来的な事業統合も視野に入れながら、国内の電子決済インフラにおける最大プラットフォームを提供する事業グループの構築をめざす
取得株数及び金額
- 取得前の所有株式:0株(保有割合0.0%)
- 取得後の所有株式数:161,741株(保有割合100.0%)
- 取得価額:13,000百万円
SBIベリトランス社の概要
1997年の創業以来、クレジットカード決済サービスを中心としたサービスで日本のインターネット決済市場を牽引。また、アジア地域を中心に決済サービスの国際展開にも積極的に取り組み、銀聯ネット決済サービスの導入や中国本土向けのショッピングモールサービスを運営している。
2011年3月期の売上高6,181百万円、営業利益1,147百万円、当期純利益721百万円。2011年3月期末の総資産7,194百万円、純資産3,248百万円。
2012年3月12日、同社は、米国子会社New Context, Inc.のゼネラルパートナーに、インターネットサービスの開発手法として注目を集める「Lean Startup」の提唱者であるEric Ries(エリック・リース)氏が就任したと発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
New Context, Inc.(本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ市、以下:NC社)はソフトウェア開発コンサルティングを手掛ける会社だが、Ries氏はLean Startupの考え方に基づきNCの顧客企業に対して、エンドユーザーにより高い価値をもたらすプロダクトの開発手法に関してアドバイスを行っていく模様だ。
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業績動向
四半期実績推移
2012年6月期第3四半期実績
2012年5月11日、同社は2012年6月期第3四半期決算を発表した。通期会社予想に変更はない。
第3四半期累計期間の売上高は前年比49.5%増の11,500百万円、営業利益が2,012百万円(前年同期は営業損失305百万円)、経常利益が前年比804.7%増の2,859百万円、四半期純利益が前年比757.4%増の2,358百万円であった。
ハイブリッド・ソリューション事業が堅調に推移したことやベンチャー・インキュベーション事業における保有株式の一部売却が上記好調な決算に寄与した格好だ。
ちなみに、2012年6月期第3四半期累計期間で既に営業利益、経常利益等は通期会社予想を超過達成している。同社は、この点について、第4四半期の状況等も踏まえた上で精査した上で、必要とあればすみやかに通期会社予想の修正を発表したいと述べている。
同社によれば各事業の概況は以下の通りとなる。
ハイブリッド・ソリューション事業:売上高は7,984百万円(前年比19.4%増)、営業利益は820百万円(同60.0%増)
- ディージー・アンド・アイベックスカンパニーは、インターネット広告等のウェブマーケティング領域が好調に推移
- イーコンテクストカンパニーは、主力のゲーム・旅行領域が引き続き堅調に推移しているほか、「価格.com 安心支払い」などの新サービスが順調に推移していることから、決済の取扱件数・取扱高とも過去最高を記録
メディア・インキュベーション事業:売上高は985百万円(前年比28.8%増)、営業損失は59百万円(前年同期は営業損失187百万円)
Twitterを活用した広告販売を中心事業として展開しながら次なる新規メディアの開発に取り組んでいる。ちなみに、New Context, Inc.やインポートメディアの日本へのローカライズ等は期初会社予想には織り込んでいなかったものと思われる。従って、先行的に発生する費用が2012年6月期における同事業の利益を押し上げる可能性があるとSR社ではみている。
- Twitter公式サイトの広告販売は順調に進捗
- 「ポイントモール事業」が好調に推移
- グローバルにメディア育成・開発を実行するために米国サンフランシスコに設立したNew Context, Inc.を拠点に国際的な開発ネットワークを整備。「アジャイル開発」や「Lean Startup」に基づきサービス開発を支援する体制構築を推進
- フォト蔵を取得。ツイナビ等の既存ソーシャルメディアとの連携構築を推進
- インポートメディアの日本へのローカライズと日本における事業化を始動
(例、DoubleRecall、HighlightCam、Udemy、Snapette、Memolane等)
ベンチャー・インキュベーション事業:売上高は2,530百万円(前年比949.6%増)、営業利益は2,024百万円(前年同期は営業利益83百万円)
- 保有株式を一部売却し、キャピタル・ゲインを実現
- 米国子会社Digital Garage US, Inc.を拠点とする投資案件に関する情報収集ネットワークを整備
- シリコンバレー・エンジェル・ファンドのSV Angelや500 Startupsと連携した投資環境の更なる充実
- 日・米・アジアをまたぐグローバルファンドの組成を準備
BS上の変化:2012年6月期第3四半期末の2011年6月期末からの変化
- 公募及び第三者割当等による新株式発行に伴う払込完了等により、現金及び預金が3,187百万円増加
- 営業投資有価証券売却等によって、受取手形及び売掛金が2,402百万円増加
- 決済事業に関連し、未収入金(コンビニ、カード会社等からの収納代金)が1,590百万円増加
- 株式の取得等により営業投資有価証券が1,079百万円増加
- インキュベーションセンターの設置等を目的とした海外不動産(2,683百万円)、持分法による投資利益の計上等により投資有価証券(785百万円)がそれぞれ増加したこと等によって固定資産が3,851百万円増加
- 決済事業により、預り金(EC事業者に支払をするまで一時的に預かる収納代金)が1,525百万円増加
- 公募増資及び第三者割当増資等に伴い、資本金が4,145百万円、資本剰余金が4,145百万円増加
同社は、2011年7月に公募増資及び第三者割当増資によって調達した資金のうち、約5,300百万円は国内外のインターネット関連企業への投資およびエンジェル投資家が運営するエンジェルファンドへの投資資金に充てるとしていた。上記の通り、営業投資有価証券の残高増加が、2011年6月期末から1,079百万円の増加に留まっている点より鑑みれば、残り約4,200百万円の投資余力があるといえる。同社は、これら資金を用いて今後数年間を掛けて新規投資実行を行っていく構えだ。
トピックス
2012年4月に同社はベリトランス株式会社(旧SBIベリトランス株式会社)の発行済株式の全てを取得、子会社とした。同社が従来手掛けてきた決済サービスのイーコンテクスト事業と合わせると年間取扱高が3,000億円を超え、導入事業者が5万以上、年間決済売上高が110億円となり、ネット系決済サービスでは国内最大級の事業規模となる模様だ。また、同社はSBIホールディングス株式会社(東証1部8473)との間で、投資・インキュベーション事業に関する業務提携基本合意を締結した。同社はベリトランス社の子会社化及びSBIホールディングス社との提携の理由について、以下の点を挙げている。
1)決済事業の強化
同社は、「決済」を「広告・プロモーション」と並んでそのビジネスを支えるプラットフォームと位置付けている。いわば収益基盤といえるその決済インフラ事業をさらに強化するために、イーコンテクスト社とベリトランス社の事業統合によって国内決済事業で最大級のシェアを実現するとともに、コンビニ決済に強いイーコンテクスト社とクレジットカード決済に強いベリトランス社とのシナジー発現を期待しているとのことだ。
2)グローバル化の推進
ベリトランス社が中国をはじめアジア地域にいち早く進出していることから、上記の通り同社のプラットフォームたる「決済」のグローバル展開の原動力になるとみている。例えば、有望なスタートアップに投資しその事業を育成しながらアジア地域で展開する際に、自社で決済プラットフォームを用意することで収益機会を最大化することができる。
3)SBIグループと連携したグローバルインキュベーション
アジアに広いネットワークを持つSBIホールディングス社と、北米の投資家ネットワークを有する同社が協力することで、グローバルな投資ファンドを共同で設立することを今後検討している模様。
2012年6月期第2四半期実績
2012年2月9日、同社は2012年6月期第2四半期決算を発表した。通期会社予想に変更はない。
第2四半期累計期間の売上高は前年比26.4%増の6,297百万円、営業利益が302百万円(前年同期は営業損失181百万円)、経常利益が前年比211.2%増の665百万円、四半期純利益が前年比285.8%増の611百万円であった。
ハイブリッド・ソリューション事業が堅調に推移したことやベンチャー・インキュベーション事業の大幅増益が営業損益の黒字化に寄与した格好だ。
会社予想対比でみれば、当初第2四半期で予定していた株式売却益が第3四半期以降に後ズレしたものの、ハイブリッド・ソリューションが堅調に推移したことなどによってほぼ計画通りでの着地となった。
同社によれば各事業の概況は以下の通りとなる。
ハイブリッド・ソリューション事業:売上高は5,077百万円(前年比20.2%増)、営業利益は528百万円(同78.3%増)
- ディージー・アンド・アイベックスカンパニーは、ウェブマーケティング(インターネット広告)領域においては成果報酬広告の取扱いが引き続き拡大しており好調に推移。インターネット広告は前年比42%増、総合プロモーション等は前年比横ばいであった
- イーコンテクストカンパニーは、ゲーム及び旅行関連業界向けの決済件数が拡大傾向にあること、コンビニ決済に加えてクレジットカード決済にも注力していること、「価格.com 安心支払い」などの新サービスが順調に推移していることから、決済取扱高は増加傾向。提携サイト数は、前年比17%増、決済取扱高は同29%増となった
メディア・インキュベーション事業:売上高は650百万円(前年比25.4%増)、営業損失は42百万円(前年同期は営業損失117百万円)
- Twitterを活用した広告販売は順調に拡大(Neilsen/NetRatingsによれば、2011年12月のPC訪問者数は、Twitter:約1,400万人、facebook:約1,200万人、mixi:約800万人)
- 「ポイントモール事業」が好調に推移
- 新規メディア育成のために人員を増強するも営業損失は縮小
ベンチャー・インキュベーション事業:売上高は570百万円(前年比137.4%増)、営業利益は328百万円(同124.1%増)
- 米国シリコンバレーを中心とした投資家ネットワークを通じて発掘した海外ベンチャー企業への投資を行う一方、国内では日本初の優良ベンチャー企業育成に注力
- 「Open Network Lab」では、プログラムを終了したチームの中から、海外でのサービス展開を開始する企業が誕生した
- 海外を中心に積極的な投資を実施(2012年6月期第2四半期累計期間で17社に投資、営業投資有価証券は2011年6月末の912百万円から、2011年12月末は1,867百万円へと増加)
- 第2四半期に予定していた株式売却が第3四半期以降に期ズレしたが、年間会社予想は変更なし
2012年6月期第1四半期実績
2011年11月11日、同社は2012年6月期第1四半期決算を発表した。第2四半期累計期間及び通期の会社予想に変更はない。
売上高が前年比52.9%増の3,419百万円、営業利益が438百万円(前年同期は営業損失203百万円)、経常利益が594百万円(前年同期は経常利益36百万円)、四半期純利益が533百万円(前年同期は四半期純利益32百万円)となった。
ハイブリッド・ソリューション事業が堅調に推移したこと、ベンチャー・インキュベーション事業でキャピタル・ゲインを実現したことが増収および営業損益の黒字化に寄与した格好だ。
2012年6月期第1四半期の営業利益実績で既に2012年6月期第2四半期累計期間の営業利益を超過した状態だが、同社は今後の状況を見定める必要があるとして、第2四半期累計期間及び通期の会社予想を据え置いている。
同社によれば各事業の概況は以下の通りとなる。
ハイブリッド・ソリューション事業:売上高は2,507百万円(前年比30.2%増)、営業利益は267百万円(同157.3%増)
- ディージー・アンド・アイベックスカンパニーはインターネット広告が前年比62%増と好調に推移、総合プロモーションも同9%増と拡大
- イーコンテクストカンパニーは提携サイト数が前年比18%増となり、決済取扱高が前年比31%増となった
- 価格.com 安心支払いサービスは利用件数が順調に増加し、初期投資額を回収した格好
メディア・インキュベーション事業:売上高は341百万円(前年比9.9%増)、営業損失は12百万円(前年同期は営業損失32百万円)
- Twitter公式サイトの広告販売は引き続き順調
ベンチャー・インキュベーション事業:売上高は570百万円(前年同期はゼロ)、営業利益は429百万円(前年同期は営業損失16百万円)
- 保有株式を一部売却し、キャピタル・ゲインを実現
- 米国シリコンバレーを中心とした投資家ネットワークを通じて発掘した海外ベンチャー企業への投資を行う一方、国内では日本初の優良ベンチャー企業育成に注力
- 国内のスタートアップ企業の育成プログラム「Seed Accelerator」を運営するオープンネットワークラボを法人化し、機動的なインキュベーション・投資の実行を行っていく方針
同社は2012年6月期第1四半期中に公募増資(オーバーアロットメントによる第三者割当増資を含む)を行った。その結果、同社の財務は以下のように変化している。
2011年9月末
- ネットキャッシュ(現預金-有利子負債):10,301百万円(2011年6月末:1,914百万円)
- 自己資本比率:64.7%(同:44.2%)
- 有利子負債依存度:4%(同:14%)
過去の四半期実績と通期実績は、過去の財務諸表へ
2012年6月期の会社予想
2012年6月期の会社予想は同社が2011年5月に発表した中期経営計画修正値と同じ数値である。
売上高は前年比24.7%増の13,800百万円、営業利益は2011年6月期の約10倍となる1,350百万円を計画している。
ハイブリッド・ソリューション事業の計画値には「東日本大震災」によるビジネスへの悪影響が織り込まれている模様。しかし、実際は2011年4月以降も同事業は好調に推移していると同社はコメントしている。
メディア・インキュベーション事業の計画値には、広告販売を始めとしたTwitter関連の売上高を1,000百万円強織り込んでいると同社は述べている。
ベンチャー・インキュベーション事業は、一部株式売却によるキャピタル・ゲインの実現をみている模様。今後の市場環境次第の側面はあるが、同社は市場環境が急激に悪化することがない限り、同事業の計画値は達成できるだろうとみている。
事業内容
ビジネス
同社は、オンライン上とオフライン上を結ぶソリューションの提供を行う「コンテクストカンパニー」と自らを称している。より具体的には、ベンチャーキャピタルとEコマース決済のインフラとマーケティングサービスを融合した企業であると形容できる。また、同社の歴史を辿れば、同社は運営も行う投資会社であったといえる。
同社のセグメントは3つ。「ハイブリッド・ソリューション事業」、「メディア・インキュベーション事業」、「ベンチャー・インキュベーション事業」より構成される。
以下に各セグメントの数値を掲載しているが、これらのセグメントは事業の追加と削除が行われてきたため、時系列数値の参照は意味をなさない点に留意が必要である(過去の収益については「過去の財務諸表」の項を参照)。
ビジネスモデル
(ハイブリッド・ソリューション事業)
ディージー・アンド・アイベックスのプロモーション受託は案件毎に顧客から支払いが行われる。同社によれば、平均単価は500円から6,000万円とまちまちである模様。自社開発サービスについては、月額基本サービス利用料を徴収している。イーコンテクストカンパニーは「ハイブリッド・ソリューション事業」の項参照。
(メディア・インキュベーション事業)
Twitterの利用そのものは無料のため、周辺のサービスを企画・開発して収益化を図っている。2011年8月時点では、TwitterのPC・モバイルのオフィシャルサイト上の広告収入が主な収入源である。広告収入はインプレッションに応じて決まる。
(ベンチャー・インキュベーション事業)
収益が発生するのは、投資先企業の株式をエグジットした際となる。
ハイブリッド・ソリューション事業(2011年6月期売上高構成比83.6%)
ハイブリッド・ソリューション事業に、同社の事業そのものが集約されているといっても過言ではないだろう。その名が示すとおり、同社はこのセグメントで異なる幾つかの事業を融合させようとしている。 同事業は、顧客企業の事業開発から資金回収に至るまで、提案・システム開発・事業運営・決済までを一気通貫でサポートできるワンストップソリューションの提供をめざしている(ワンストップソリューション提供のための体制整備は課題である)。主に事業運営を担っているのが、ディージー・アンド・アイベックスカンパニーとイーコンテクストカンパニーである。
両社の役割分担として、顧客企業に対する提案からプロモーションに至る川下のプロセスを担っているのがディージー・アンド・アイベックスカンパニーであり、決済、CRMなどの川上のプロセスを担っているのが、イーコンテクストカンパニーである。
ディージー・アンド・アイベックス
2008年に株式会社ディージー・アンド・アイベックス、株式会社クリエイティブガレージ、株式会社DGメディアマーケティングが合併してできた社内カンパニー。事業内容は多岐にわたっており、プロモーションを中心とした企画構築から制作・製造管理・運営代行業務などを手掛ける。大まかに見れば、IT や企業のプロモーションに関するソリューションなど受託型のビジネスとインターネット広告という2つに分けることが可能だ。
同社は、ディージー・アンド・アイベックスの特徴的な点として、クライアントとの課題共有と協業のもとに「売れる仕組みづくり」に取り組んでいる点を指摘している。顧客は外資系消費財メーカーを始め、大企業が多い模様。同社によれば、売上総利益率20%を切る仕事は取らないスタンス(営業利益率は5%が目安)とのことである。
今後に関しては、従来型のB to Bの受託開発型プロモーション業務(景気に連動する傾向が強い)に加え、B to B to Cの自社開発サービスのラインナップ拡充によって売上を伸ばしていく意向だ。
自社開発サービスの例としては、「つぶレコ」、「BirdFish」などが挙げられる。
- 「つぶレコ(つぶやきレコメンド)」はディージー・アンド・アイベックスが2010年5月に開始した、ユーザーがTwitterで商品を紹介することのできるレコメンドサービスである。ユーザーにとっては、気に入った商品をTwitterを通じて(フォロワーに)知らせることができ、商品が購入されればレコメンドフィーが入る。また、広告主にとっては消費者の口コミを期待できるサービスとなっている。商品情報を提供している企業としては、アマゾンジャパン株式会社、ヤフー株式会社(東証1部4689)、バリューコマース株式会社(東証マザーズ2491)、株式会社カカクコム(東証1部2371、同社の持分法適用会社)など。
- 「BirdFish」はディージー・アンド・アイベックスが、Twitterに代表される「つぶやきスタイル」のミニブログを企業・団体内での情報共有に最適化したASPサービス「BirdFish」を開発、2010年10月より販売している。同社によればサービスの概要は以下のようになる。なお、同サービスは株式会社インターネットイニシアティブ(東証1部3774)の法人向けクラウドサービス上でも提供されている。
- 利用者は管理人からの招待がないとユーザー登録ができない。利用者を社内・組織内に限定できる
- 短い文章に必要な情報が集約されるほか、その情報が即時にやりとりできる。利用者はTwitterと同様の簡単な操作で、特定のグループ内で共有したい情報を投稿し閲覧することができる
- 月額基本サービス利用料は10万円より
イーコンテクストカンパニー
イーコンテクストカンパニーは、当初、株式会社イーコンテクストとして2000年に同社、株式会社ローソン(東証1部2651)、株式会社東洋情報システム(現TIS株式会社、東証1部3626)、三菱商事株式会社(東証1部8058)と共同出資にて設立された。その後、前述したワンストップソリューション体制の構築のためには、決済サービスを統合することで、CRMを追求することが必要であるとして、2008年10月に、親会社であったデジタルガレージ社に吸収合併され、現在は社内カンパニー。
同カンパニーはEコマース(電子商取引)における決済および物流システムのプラットフォームを提供するとともに、同サービスの運用代行を手掛けている。下図の通り、クレジットカード決済を始め、様々な決済ソリューションを提供しているが、特にコンビニエンスストアにおける決済サービスに強みをもっているのが特徴といえる。2011年6月期実績としては、提携(事業者)サイト数が41,617サイト、取扱数は1,528万件、取扱高は1,163億円である。
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| 出所:同社資料よりSR社作成 |
同カンパニーの収益の大半が決済サービスによってもたらされている。決済サービスの売上高は、さらに1)初期登録料(契約締結時の登録料)、2)月次手数料(毎月の送金回数に応じた月額固定料)、3)取扱手数料、に分けられる。売上高の大半は3)取扱手数料、すなわち取扱件数1件ごとにECサイト事業者から受け取る手数料である。また、売上原価は決済事業者(コンビニ各社、クレジットカード各社など)への按分手数料が大半である。従って、同カンパニーを経由した商品代金等の決済件数を増やすことが売上・収益の向上に直結する。
ECサイト事業者の対象範囲は幅広く、オンラインショッピング、カタログ通販、テレビショッピング、音楽やオンラインゲーム、資格・試験申し込み、チケット販売、会員サービスなどを営む事業者がほぼ該当する。ECサイト事業者が決済事業者と直接取引を行わず、イーコンテクストのような決済代行サービスを手掛ける事業者を介在させるのは、データのやり取りのみならず、契約・精算・接続・運用を各決済事業者と行う手間・コストが省けるというメリットがあるためだ。
同カンパニーでは、2011年5月よりスマートフォン向け決済サービスの提供も開始した。同サービスはiPhoneのほか、AndroidやWindows Mobileを搭載したスマートフォンに対応している。
(価格.com 安心支払いサービス)
*1:一定期間以上商品が届かない場合や商品を発送する前にEコマース事業者が倒産するなどの事実が判明した際、商品購入者は信託より商品購入代金相当額を受け取ることができる
*2:価格.comに掲載しているEコマース事業者のうち、イーコンテクストカンパニーと「価格.com 安心支払いサービス」利用に関する契約を締結しているショップ
出所:同社よりSR社作成
同サービスは銀行の信託を利用したもので、商品の到着が確認されてからEコマース事業者に代金が支払われる。代金を支払ったあと、一定期間以上商品が届かない場合や、商品発送前にEコマース事業者が倒産した場合、購入者に銀行の信託から支払った代金相当額が返金される。なお、クレジットカードで支払った場合にはクレジットカード会社から返金される。「価格.com」に情報を掲載するEコマース事業者の中には、クレジットカード決済ではなく、代金先払いとなる銀行振り込みしかできない先もある。ユーザーにとっては当該サービスによって、商品未達時の代金損失リスクの解消などが期待できる。また、同社によれば、Eコマース事業者にとっても決済手数料の軽減や入金までの期間短縮などのメリットがある。
メディア・インキュベーション事業(2011年6月期売上高構成比5.7%)
インターネットにおけるポータルサイト等を運営するセグメントである。2010年6月期における同セグメントの寄与度は小さいが、2011年6月期より同社に与える影響が増し始めている。現在注力しているのは、Twitterをはじめとしたソーシャルメディアの事業化であり、今後の同社の収益ドライバーとなることを期待している。中期経営計画によれば、2013年6月期の同社の営業利益の約65%は同セグメントが創出する計画となっている。
Twitter関連ビジネス(以下、2012年4月時点)
Twitterはブログより短い「つぶやき」を投稿し合う、リアルタイム性の高いコミュニティサイト。個々のユーザーが「ツイート(つぶやき)」と呼称される短文を投稿し、閲覧できるコミュニケーション・サービスである。特定の人物の投稿を継続的に読むことができるように登録することを「フォロー」、閲覧登録した人のことを「フォロワー」という。フォローしている相手の投稿は、自分のホーム画面上で一覧できる。自分から情報を取りに行かなくても、フォローしている相手の「つぶやき」が自動更新されていく。140文字という制限があるため、ブログのように詳しい情報発信はできないが、逆に、手軽、メールのように返事を強制しない、リアルタイム性という特徴を持つ。
分類としては、「ミニブログ」、「マイクロブログ」といったカテゴリーに括られる。広い意味でのSNSの1つといわれることもある。エヴァン・ウィリアムズ氏(創成期にブログ・サービス「Blogger」を開発し、その後Google社に売却した)や、Bloggerの開発チームの一員だったビズ・ストーン氏、ジャック・ドーシー氏らが中心となって開発された。2006年7月にObvious社(現Twitter,Inc.)がスタート。2007年3月に米国で開催されたイベントSouth by Southwest (SXSW) でブログ関連の賞を受賞したことで一躍注目を集めるようになった。オバマ大統領が大統領選挙の際にTwitterを積極的に活用したことでも有名である。
Twitterと同社の関係として、同社は投資・育成事業を手掛ける株式会社DGインキュベーション(同社ベンチャー・インキュベーション事業)を通じ、Twitterを運営するTwitter, Inc.(以下、米Twitter社)に出資している。出資額、出資比率は非公表だが、日本企業で唯一米Twitter社に投資を行っているほか、2008年1月という早い段階より出資してきた。
ベンチャー・インキュベーション事業の米Twitter社への投資は「純投資」目的であり、最終目的が売却によるキャピタル・ゲインの獲得である。一方、メディア・インキュベーション事業においては、Twitterを日本で事業化することが目的となっている。同社は2010年5月に米Twitter社と業務提携に関する基本合意書を締結。当合意書には、同社によるTwitterの日本語オフィシャルサイトに表示する広告の販売に関する条項が含まれている。ちなみに、Twitter社と同社は、ヤフー株式会社(東証1部4689)のようなジョイントベンチャーではない。また、同社はTwitter関連事業を独占的に展開する権利を必ずしも保証されているわけではなく、今後、米Twitter社が違う日本企業と関係を強化する可能性がゼロではない。ただし、前述したように同社は米Twitter社の株主であるほか、伊藤取締役が米Twitter社のアドバイザリーボードのメンバーを務める。また、米Twitter社の共同創業者ビズ・ストーン氏が同社のアドバイザリーボードのメンバーを務めるなど、両社の関係は深い。
同社のTwitterに関連した業務は以下3点である。
- Twitterのパソコンおよび携帯電話の公式サイトの運営支援、利用拡大を図ること
- twinaviなどユーザーや企業がTwitterを使いやすくするための補完機能を拡充すること
- (米Twitter社が取り組んでいない)Twitterを活用したサービスをサードパーティとして展開すること
組織的には、同社の社内カンパニーである「Twitterカンパニー」が米Twitter社とリエゾン機能を有しており、日本におけるTwitterサービスの普及・拡大などマーケティング機能、ユーザー・サポート機能などを担っている。
また、CGMマーケティング社が米Twitter社との合意書に則って、Twitterのオフィシャルバナー広告の販売を行っている(正確には広告代理店が広告をクライアントに販売)。CGMマーケティング社は、デジタルガレージ社と株式会社電通(東証1部4324)、株式会社サイバー・コミュニケーションズ(東証マザーズ4788)、株式会社アサツーディ・ケイ(東証1部9747)が2006年に設立した会社である(2011年2月時点で出資比率はデジタルガレージ社:74%、電通社:10%、サイバー・コミュニケーションズ社:10%、アサツーディ・ケイ社:6%)。CGMマーケティング社とTwitterカンパニーは実質的に一体といえる。ただし、CGMマーケティング社はブログ、SNSなどソーシャルメディアを活用した広告・マーケティングを行う企業である。そのため、Twitterカンパニーのポジションが米Twitter社に近いとすれば、CGMマーケティング社はクライアントである企業に近いポジションといえる。CGMマーケティング社はまた、Twitterの公式ナビゲーションサイトである「twinavi」を運営している。
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| 出所:同社資料よりSR社作成 |
ユーザーにとって、Twitterの登録・利用は無料である。従って、同社は周辺サービスによって収益化を図ろうとしている。2011年8月現在、同社の収益は、国内におけるPC版のTwitterのオフィシャルサイトの広告収入、モバイル版のTwitterのオフィシャルサイトの広告収入によってもたらされている。同社は2009年12月よりPC版Twitterのバナー広告を販売。2010年3月に損益分岐点を超えたとコメントしている。また、2010年8月よりモバイル版オフィシャルサイトのバナー広告を販売している。
今後に関して、CGMマーケティング社は、twinaviのコミュニティ機能を実装し、ソーシャルプラットフォーム化を図ることによる収益化もめざしている。また、Twitterの利用拡大を支援するサードパーティとして米Twitter社自体が取り組まないサービスの提供、収益獲得をめざしている。例えば、CGMマーケティング社は2010年7月に「Tweetmanager Enterprise版」を製品としてリリース。同製品は企業向けのTwitterアカウント運用支援ツールであり、Twitterを使った広告キャンペーンなどの効果測定を一元管理する機能(例、つぶやきの種類や頻度を集計・分析)を備えている。企業にとっては、Twitterを単なる情報発信として利用するのみならず、効果分析に踏み込めるメリットがある。こうしたサードパーティとしての事業には、ハイブリッド・ソリューション事業も関連している(例、「つぶレコ」)。
モバイル関連事業
同社は2011年6月期に、今後の急成長が期待できるスマートフォン市場を見据えたモバイル事業の再編を図っている。具体的には、従来型の携帯端末に向けた通信キャリアに依存した公式サイト事業を、電子書籍事業参入(電子書籍事業会社メディアドゥへの出資)を契機に見直し、スマートフォン向け新サービスの開発と事業化を推進する株式会社ウィールを設立した。同社によれば、Twitterなどのソーシャルメディアをプラットフォームとする有料コンテンツ(写真、動画、電子書籍など)の配信サービスなどを開発中とのことである。
ウィール社は、2011年5月にTwitterに「デコムービー」などを投稿できるスマートフォン向けサービスSHARE@(シェアット)を株式会社NTTドコモ(東証1部9437)のAndroid端末向けに開始した。「デコムービー」とはユーザーが有する写真を使ったオリジナルムービーであり、SHARE@には他にも絵文字やデコ画像などのコンテンツがパッケージされている。
米LinkedIn社との提携
同社は2011年5月に米LinkedIn社とLinkedIn社が運営するビジネスパーソン向けプロフェッショナル・ネットワーク「LinkedIn」の日本におけるマーケティング支援について合意したと発表した。同社は、今後LinkedIn社と連携しながら、日本におけるLinkedInの普及に向け、マーケティング活動、広報活動、市場調査、プロダクトマーケティング支援などを行っていくとしている。LinkedIn社はLinkedIn日本語版の立ち上げを2011年中に予定している模様だ。
同社によれば、「LinkedIn」は全世界で1億人以上が登録するプロフェッショナル向けのソーシャルネットワークである。2011年1月時点で「2010 Fortune 500」にランクされている全ての企業において、経営幹部のうち1人以上がLinkedInに登録しているとされている。また、LinkedIn上に「企業ページ」を有する企業は200万社以上に及ぶとのことである。ちなみに、日本人のユーザー数は約30万人である。
ベンチャー・インキュベーション事業(2011年6月期売上高構成比10.7%)
ベンチャー企業等への投資・育成等を主に行うセグメントである。連結子会社であるDGインキュベーション社とDigital Garage US, Inc.、オープンネットワークラボが同事業を担っている。
事業戦略は「インポートモデル」、「エクスポートモデル」の2つから成っている。「インポートモデル」とは、海外有望ベンチャー企業に対する投資・育成であり、同社は育成のために、日本にベンチャー企業を「輸入」し、日本において事業化を図る、あるいは世界展開の支援等を行っている。また、「エクスポートモデル」とは、国内有力ベンチャー企業に対する投資・育成であり、育成の段階で世界展開を支援している。
海外ベンチャー企業への投資はDGインキュベーション社が専ら行ってきた。また、国内有力ベンチャーの発掘には、オープンネットワークラボが貢献している。
2012年6月期までは、「インポートモデル」、「エクスポートモデル」の双方で投資先企業におけるソフト開発工程がボトルネックとなっていた。同社はこうしたボトルネックを解決すべく、Digital Garage US, Inc.傘下の米New Context, Inc.を通じ、アジャイル開発とLean Startup(リーンスタートアップ)で世界的に有名な企業である、Pivotal Labs(Singapore)Pte. Ltd.と米EdgeCase, LLCの買収を行っている。また、2012年秋に米国カリフォルニア州サンフランシスコ市に開設される予定のインキュベーションセンターを投資から開発支援、事業育成までを一気通貫で行うグローバルなインキュベーション体制の核とする構えだ。
ベンチャー・インキュベーション事業セグメントの戦略
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| 出所:同社資料よりSR社作成 |
DGインキュベーション社
同事業は純投資、つまり配当やキャピタル・ゲインの取得が目的である。ただし、同社の特徴として投資先のビジネスを日本に輸入(誘致、事業化)する点、つまり他事業との連携も挙げられる。
シリコンバレーなどを拠点とした海外企業への投資が中心である。投資先の企業のステージとしては、シードあるいはアーリーステージの企業をターゲットとしている。DGインキュベーション社の従業員数は少ないため、業種、規模、ステージ別に担当者を配置し、システマティックに投資を行っているというよりは、分野、ステージを絞って、各従業員の人的ネットワークを駆使して投資を行っている。同社はベンチャー・インキュベーションを同社の運営事業の一つであることを強調しており、その実績は営業利益に計上されている。貸借対照表では、エクスポージャーが営業投資有価証券として計上される。同社によれば、インターネットビジネスは少額で始められるビジネスであり、シードあるいはアーリーステージの段階から投資すれば投資金額は膨らまないとのことだ。
主な投資先は以下(2012年2月時点、同社が公表しているものに限る)。SR社の印象としては、2011年6月期までは投資先の発掘に、同社伊藤取締役の人的ネットワークが果たす役割は大きかった。2012年6月期以降も、同ネットワークが果たす役割は引き続き一定の比重を占めるだろうが、シリコンバレーの著名投資家とのネットワークや、インキュベーションセンター等、ネットワークが以前よりも分散されつつあるものと認識している。
- Twitter, Inc.
- Triggit, Inc. :リアルタイム広告、エクスチェンジサービス事業
- ディールメート株式会社:クーポンサイト「Qpon(キューポン)」の運営
- Etology, Inc. オンライン広告マーケットプレイス提供企業
- Fotonauts, Inc. 写真を利用したソーシャルメディアサービス開発
- FON Wireless Limited:世界規模でWiFi利用コミュニティサービス提供
- Technorati, Inc.:ブログ検索サービス最大手企業
- Path, Inc.:スマートフォン向け写真・動画共有サービスを運営。元Facebookのシニアプラットフォームマネジャーであるデーブ・モリン氏とNapster社創業者ショーン・ファニング氏らが設立
- boticca.com:ロンドンをベースとした高品質のジュエリー&バッグのマーケットプレイス
- beautylish:ユーザー同士がヘアメイクアップやネイルなどの方法を投稿し合うVコマース(Video Commerce)サイト
- Memolane.com:さまざまなソーシャルメディアに投稿したコンテンツを過去のものから時系列で並べてまとめることで「自分史」を構築できるサービス
- Kicksend.com:写真やビデオといった大容量ファイルの転送サービスを手掛ける
- Intercom, Inc.:次世代CRMツールを開発
- Udemy, Inc.:教育コンテンツのオンライン開発・販売サービス
- DoubleRecall, Inc.:ブランド認知度を高めるオンライン広告ソリューションを提供
同社は、ファンドにも投資を行っており、その一つが米国シリコンバレーの著名投資家であるロン・コンウェイ氏(米Google社や米PayPal社、米Twitter社などへの初期段階での投資で知られる)が設立、アドバイザーを務める「SV Angel」である。同社によれば、SV Angelはアーリーステージを対象としたファンドであり、ロン・コンウェイ氏の下に寄せられる優良なスタートアップ企業のうち、ソーシャルメディアやモバイル関連の案件に投資することを目的としている。
同社は同ファンドの出資先に対して、同社が直接投資をする「並行投資」の権利を有している。そのため、ファンドへの投資を通じて、シリコンバレーやサンフランシスコを中心とした有望なスタートアップ企業への間接的な投資を効率よく行えるといった点のほか、投資先企業から情報を入手することで、迅速に当該企業へ同社が直接投資を実行、あるいはビジネスを日本に輸入すること等が可能となる点を期待していると述べている。
また、デーブ・マクルーア氏率いるベンチャーキャピタルファンド「500 Startups」への投資も行っている。同社によれば、「SV Angel」をテクノロジー・オリエンテッドとすれば、「500 Startups」はデザイン・オリエンテッドのファンドであり、プロダクトが完成した段階で応募するスタートアップが多い傾向にある。また、アジア、南米とのネットワークを持つとのことである。同社は、「SV Angel」と同様、「500 Startups」の出資先に対しても、「並行投資」の権利を有している。
Digital Garage US, Inc.
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| 出所:同社資料よりSR社作成 |
2011年7月に設立された米国持株会社(拠点はサンフランシスコ)。傘下に米国戦略事業会社New Context, Inc.とDigital Garage Development LLCを抱える。
New Context, Inc.(本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ市、以下「NC」)は、2012年1月にPivotal Labs(Singapore)Pte. Ltd.と米EdgeCase, LCC(以下:EdgeCase社)を買収することで合意した。同社は、NC社の特徴として、世界でも屈指の開発レベルを有しながらもこれまではアウトソーシングだけを担ってきた複数のソフトウエア開発会社をネットワークし、DGのインキュベーションノウハウを付加することにより新たな付加価値を生み出す点にあるとコメント。日本から世界市場を目指すスタートアップ企業を支援する「エクスポート型」のインキュベーション事業と、世界から日本市場を目指す「インポート型」のインキュベーション事業の双方でボトルネックとなっていた、ソフト開発工程のプラットフォームになるとのことである。同社によれば、今回買収することで合意した2社の概要は以下。
- Pivotalシンガポール社:アジャイルソフトウェア開発手法における先駆者かつリーダーであり、Twitter社、Salesforce.com社、Groupon社などの顧客を持つ米国Pivotal Labs社のアジア拠点。政府機関や大手企業を顧客に抱え収益を上げつつ、アジアでのアジャイル開発手法の浸透に伴い事業を拡大している。2010年に設立
- EdgeCase社:Ruby on Railsをはじめとしたプログラミング言語でのソフトウエア開発や、トレーニング・コンサルティングを得意とする。顧客にはGAP社など多くのスタートアップ企業を持ち、独自のコンサルティングプログラムを売り物にしている。2006年に設立
Digital Garage Development LLC(本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ市)は、サンフランシスコ市内にオフィスビルを取得している。8階建てのビルの1階と2階の一部を全面改装し、2012年秋よりインキュベーションセンターが開設される予定。同社は、これまで発掘した世界中のスタートアップ企業を集め、「アジャイル開発」や「Lean Startup」に基づく開発支援等を通じて、育成していくとしている。
オープンネットワークラボ
インターネットを利用したビジネスでの起業を志すエンジニアを支援する事業である。同社と株式会社ネットプライスドットコム(東証マザーズ3328)、カカクコム社の3社が2010年4月に開始した。2011年9月に同社とネットプライスドットコム社の出資により法人化した。
同社は各エンジニアのチームにオフィスなどインフラを提供。3ヵ月月間の育成期間を経てプログラムを修了したチームには、国内外のベンチャーキャピタリストや起業家に、開発したサービスや事業計画を披露する機会が与えられる。一方、このプログラムを利用したエンジニアらは、将来設立する新会社の資本政策について、プログラムを主催する3社に、一定割合以上の優先投資権を付与する必要がある。
同社によるオープンネットワークラボを出自とした企業への投資は以下(2011年8月時点)。
- 株式会社giftee
- 株式会社スピニングワークス
グループ会社(括弧内は出資比率、2011年7月末)
(連結子会社)
- CGMマーケティング社(74.0%):ソーシャルメディアを活用した広告商品開発など
- DGインキュベーション社(100%):ベンチャー企業等への投資・育成事業
- DGストテジックパートナーズ社(100%):同社の事業に関連する業務を行う国内企業に投資を実施
- ウィール社(100%):スマートフォンに特化したソーシャルサービスベースのコンテンツ配信事業
- Digital Garage US, Inc.(100%):2011年7月に設立された米国法人、拠点はサンフランシスコ
(持分法適用関連会社)
- カカクコム社(20.3%):価格比較サイト「価格.com」、レストラン口コミサイト「食べログ.com」を運営。日本におけるソーシャルメディアの草分け的な存在。「価格.com」は製品ごとに価格情報、スペック、口コミ情報などを提供。消費者が買い物を検討する際に求める情報を網羅する。従来はPCなどの耐久消費財が掲載情報の中心だったが、日用品を含む消費財、量販店やECサイトなどの店舗情報などへその情報は多様化してきている。売上高はアフィリエイト収入と広告収入が大半。「価格.com」を経由して発生する流通総額が増えるにつれて売上高が拡大する仕組みとなっている。2010年12月の月間利用者数(ユニークユーザー数、UU)は「価格.com」、「食べログ.com」などを合計したグループサイトで6,968万人。ページヴュー(PV)は同1,372百万PV。
- デジタルハリウッド株式会社(30%):コンテンツ、IT事業を中心とする教育事業を営む
- 株式会社NEXDG(34%):日本通運株式会社(東証1部9062)との合弁企業。ECのWEBショップ構築から集客支援、決済、在庫管理、配送手配といった一連のフルフィルメント業務を一元管理できるシステムを提供する事業。
SW(Strengths, Weaknesses)分析
強み(Strengths)
- 日本におけるネットのパイオニアとして築いた人脈: 同社の(共同)創業者はインターネット黎明期より日本のインターネットビジネスのパイオニアとして道を切り開いてきた。このことが、人的ネットワークの形成や影響力を通じて、同社が次のステージに移行しようとした際の「無形資産」として寄与している。同社のシリコンバレーと日本の市場をつなぐポジショニングはベンチャーキャピタルとして「オンリーワン」とはいえないかもしないが、非常にユニークである。こうしたポジションニングによって、同社が米Twitter社やカカクコム社への投資を成しえたものと思われる。また、今後の成功事例にもつながるだろう。同社がベンチャーキャピル事業をより強化すべきとみる向きもあるかもしれないが、同社は、過去の経験も踏まえた上で、少額のアーリーステージの投資に絞っている。
- Twitterの成長を享受し得るポジション:今のところ、日本におけるTwitter事業は順調といえそうだ。事業内容の項目に記載したように同社と米Twitter社の関係は深い。また、Twitterがビジネスとして日本で展開する際には、様々なコストを賄うために支援会社が必要であり、同社のサポートがなければ、今日の日本におけるTwitterの実績は築けなかったかもしれない。同社にとっては同事業をいかに収益化していくかが今後の課題である。ただし、同社が日本におけるTwitterの成長の恩恵を享受し得る、一番近いところにいるということは確かだ。
- 中立的なポジショニング: 米Twitter社と業務提携を締結しているが、同社は通信キャリアではないし、オンラインゲーム会社でもない。また、大手検索サービス会社でもなければ、特に系列色の強い会社でもない。つまり、同社は比較的中立的なポジショニングにあり、コアとなる事業で、インターネット市場における主力企業と競合しているわけではない。従って、この中立的な立場を利用した上でEコマース決済のインフラ提供者としての主力プレイヤーとなりやすい立場にあるといえよう。加えて、マーケティングサービスやTwitter機能など同社が持つサービスとの相乗効果も武器となり得る。
弱み(Weaknesses)
- 比較的弱い囲い込み支配志向:比較的弱い囲い込み志向:世界の有力企業は「囲い込み」志向が強い傾向がある。この「囲い込み」が企業に何らかの優位性をもたらし、それが他社への参入障壁となる。さらに、本業に集中しつつ新たな事業を育てることを可能とする。「囲い込み」が独占禁止法への抵触など悪影響を及ぼすこともあるが、米Microsoft社、(近年の)米Apple社、米Google社、米Bell(AT&T)社などは「囲い込み」志向の成功例といえるだろう。国内においても、広告代理店の電通社、求人サービスを主に行う株式会社リクルートなどが同様の例として挙げられよう。一方、同社は同業他社を徹底的により叩きつぶすというよりは、パートナーシップや協調関係、「新たなインターネット世界の動的なエコシステムの一部となること」に重きをおいているように思える。
- ソフトなマネジメント:様々なビジネスモデルやインターネットの可能性をあれこれと模索することは、同社のDNAの一部となっている。創業時からの同社の有り方は、金儲けに熱心な資本家というよりは、アイディアの実験室を想起させる。また、同社がベンチャーキャピタリストとして収めた成功によって、ベンチャーキャピタル事業以外の収益成長のスピードが幾分遅くなった可能性もあるのではないかとSR社はみている。
- 勝ち組の売却?:カカクコム社の株式を売却し、非連結化したことに対し、SR社はやや疑問を抱いている。トレーディングの鉄則の一つに「損切り早く、利食いは遅く」がある。長期投資に対しても、この鉄則は当てはまるものといえよう。ベンチャーキャピタル企業は確かにエグジットを行うが、通常はファンド運用プロセスの一環として投資家への利益還元が目的である(著名なベンチャーキャピタル企業に未上場企業が多いのはそのためかもしれない)。クラウン・ジュエル(重要資産)の売却が将来的に同社のインキュベーション・プロセスの一貫となることに関して、SR社は若干の疑問を感じている。
市場とバリューチェーン
マーケット概略
1)日本のインターネットとインターネット広告
総務省によれば、2010年の日本のインターネット利用者(PC、モバイル経由)の人口に占める比率は約80%。米国、英国などとほぼ同水準である。
2010年の日本のインターネット広告市場規模は、電通の「日本の広告費」によると7,747億円(媒体費6,077億円、広告制作費、1,670億円)。媒体費のうち、モバイル広告費が1,201億円、検索連動型広告費(PCのみ)は2,035億円と推計されている。インターネット広告費は2004年にラジオ広告を、2006年には雑誌広告をそれぞれ上回り、2009年にはついに新聞広告を上回った。総広告費に占める比率は13.3%とテレビに次ぐ位置にある。また、テレビ、新聞、雑誌、ラジオなどマスコミ4媒体の広告費が減少傾向にある一方、インターネット広告は増加傾向にある点も重要だ。
インターネット広告の構成比上昇の背景には、視聴者のメディア接触時間の変化がある。すなわち、視聴者のインターネットへの接触時間(もしくはその比率)の増加とともに、広告主のインターネットに対する広告メディアとしての評価が高まってきているといえるだろう。
消費者が就寝以外の時間に(パソコン、スマートフォン、その他機器を問わず)ネット上で過ごす時間は今後も長期化し、インターネット広告のシェアが更に高まるのは明らかであるとSR社はみている。
インターネット広告のシェア向上は、企業の広告に対する費用対効果重視の姿勢が高まりつつある現実を映している側面もあると考える。つまり、これまで以上に広告マーケティングの効率性向上が求められ、従来型マスメディアとネット広告などを組み合わせ、より柔軟な対応が必要になってきているものと思われる。
日本のインターネット広告市場規模については野村総合研究所(東証1部4307)が予測している。同社によれば、インターネット広告は年間平均7.3%で拡大を続け、2014年には9,004億円まで拡大するという。
インターネットの普及とともに拡大するビジネスチャンスは広告だけではない。Eコマースやインターネットサイト上での課金も同様に拡大している。下図は経済産業省の発表統計を元に日本のB2C(企業・一般消費者間取引)におけるEコマース市場規模の推移をみたものだ。Eコマースは着実に増加を続けており、2010年にはEコマース化率(B2C市場に占めるEC市場の比率)は2.5%となった。
野村総合研究所の予測によれば、Eコマース市場は年間平均12.7%で拡大を続け、2014年度には約12兆円へと拡大する見込みである。なお、今後スマートフォンが普及すれば、PC並みの機能をもったガジェット(最新IT機器などの小道具)を持ち歩けることになる。そのため、SR社は、スマートフォンの普及によってインターネット接触時間の拡大や取引の厚みが増すことが予想され、Eコマース市場の拡大を後押しする可能性が高いと考える。
2)インターネット広告モデル-検索エンジンからソーシャルメディアまで-
電通は、消費者の購買行動は、従来のAIDMA(注意→興味→欲求→記憶→行動)から、インターネットの普及によってAISAS(注意→興味→検索→購買→共有)に変化したと提唱、2005年6月に商標として登録した。
従来の購買行動においては、マスメディア広告がユーザーに対して商品やサービスの認知度を高めることに有効であり、その後の購買活動にも一定の効果をもたらしてきた。しかし、インターネットのメディアとしての地位向上により、消費者が商品・サービスに興味を持った時点で検索を行い、購買後にも口コミサイトやソーシャルメディア上に書き込みを行い、他の消費者と情報共有することで、周囲の購買行動に影響を及ぼすという格好に変化してきたという。電通によれば、テレビなどのマスメディアはAttention(注意)とInterest(興味)に力を発揮するが、Search(検索)以降のAction(購入)やShare(共有)に力を発揮するのはインターネット広告、ソーシャルメディアとであるとの報告がなされている。従って、これらのメディアを組み合わせて広告活動を行っていくことが有効といえそうだ。
事実、広告の新たな時代は情報収集(Search)によって切り開かれた。ただし、初期のインターネット広告モデルはシンプルなデザインのバナー広告によるものであり、訴求対象は特に絞れていなかった。従って、テレビ広告と比較すれば接触範囲(リーチ)と音響・映像といった面で大きく劣っていた。当初、情報収集、すなわち検索に基づく広告モデルは、Yahoo!やInfoseekなど検索ポータルサイトを発端としたものであった。その後、米Google社の登場で世界絵図が一変した。米Google社は、他を圧倒する検索技術を武器に、ネット上のありとあらゆる情報を収集した。従って、企業は検索結果の上位を「一等地」として捉え、検索サイトに広告を出稿してきた。
2008年以降はこうした情勢も風向きが変わり始めた。きっかけを作ったのが、ソーシャルメディアであり、Facebookの台頭が代表例である。米Facebook社はSNS「Facebook」の運営事業者であり、世界中に数多くのユーザーを抱える。そして、2010年3月、初めて「グーグル」のアクセス数を抜いた。また、もう一つのソーシャルメディアの代表格はTwitterである。従来型マスメディアは、テレビ局や新聞社などといったマスコミと呼ばれる大企業が中心であり、情報配信は特定の個人に向けて行われるのでも、双方向的になされるのでもなく、ある程度セグメント化された相手に、トップダウンで一方的に配信されてきた。それに対し、ソーシャルメディアは個人からボトムアップ型で配信される情報であり、双方向で情報のやり取りをすることも可能である。これは、従来のマスメディアとインターネット主導のソーシャルメディアとの根本的な違いである。ソーシャルメディアから発生する情報は、従来のいかなるメディアと比較してもアクセス、制作、更新が容易である。ソーシャルメディアは前例のないレベルでの消費者同志の情報の共有(Share)を可能とさせ、消費行動などに変化をもたらしている。
未だ聡明期にあるが、ソーシャルメディアの普及は広告の有り方を変えうる。ニールセン社が実施した調査によれば、製品・サービス購入の際、消費者が情報ソースとして最も信頼性が高いと答えたのは、友人・知人・家族などの意見であった。先にインターネットの有り方が、消費者の購買行動を変えつつあると記載したが、ソーシャルメディアの普及が消費者の購買行動におけるネットワークの「共有」の意義を一層高める可能性がある。
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2011年6月月間の日本の主なSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス、ソーシャルメディアの一形態)の訪問者数(ユニークユーザー数)をみると、下図のようになる(PCからのアクセスのみ)。Twitterは2009年12月以降の急激な成長をみせ、2011年6月には1,916万人となった。2009年4月に52万人であったため、おおよそ2年で約37倍の訪問者数を集めたことになる。また、コムスコア社の調査によれば、2010年8月のTwitterのリーチ(インターネット利用人口における訪問者数の割合)は日本が世界で4位であり、12位の米国、14位の英国を上回っている(ちなみに1位はブラジル)。日本におけるTwitterの人気は相対的に高いといえる。
こうした日本における相対的なTwitterの人気の高さが「言語」と「文化」に起因するのではないかという仮説は色々なところで指摘されている(立入勝義著「ソーシャルメディア革命」など)。例えば、Twitterはその140文字という文字数制限が一つの特徴だが、日本語は英語に比べて一つの単語表現にかかる文字数が英語と比べて少なくて済む。「難しい(difficult)」は日本語で3文字だが、英語では9文字を要する上、スペースが必要だ。また、日本の文化的特徴の一つとして、「俳句」や「短歌」などのように短い文章に表現を濃縮、読み手にその文脈も含めた広い解釈を求める傾向がある点が挙げられる。日本における携帯メールの普及にもこうした文化的背景が表れているといえよう。
今後の競合環境をみるにあたって、無視できないのがスマートフォンの普及だ。矢野経済研究所による予測によれば、2015年にも世界の携帯電話出荷台数に占めるスマートフォンの比率が約4割に達するとのことだ。こうしたスマートフォンの普及がインターネット業界に与える影響としては、スマートフォンによる市場拡大(インターネット接触時間の増加)、PCからスマートフォンへのインターネット利用の移行、などが考えられる。つまり、市場拡大の可能性と同時に、PCからのアクセスが多く、モバイルからのアクセスが少なかったインターネットサービス提供者の衰退、逆のサービス提供者(モバイルからのアクセスが多かったサービス提供者)の台頭につながる可能性がある。
同社の収益をみる上で重要なのは、Twitterのユニークユーザー数等の趨勢である。これまでのところ順調に増加してきたが、サイト間での競合は激しく、注意深く趨勢を見守る必要があるだろう。また、同社のビジネス上、米Twitter社は1パートナーであって、同社がTwitterだけにベットしているわけではない。そのため、同社が今後どういった業者と組むか、インターネットサービス提供者の競合状況を睨みながら、その「目利き能力」をみていくことも重要であろう。
参入障壁
インターネットビジネスの特徴として、比較的少額の初期投資で、誰にでも始められるビジネスのため、事業者の参入障壁が低いことが挙げられよう。ただし、同ビジネスは各ユーザーの意見や行動、ユーザー同士のコミュニケーションがサイトの価値向上に反映される特性がある。そのため、ユーザー数の増加と競争力が正の循環(ポジティブ・スパイラル)を生み、一定規模以上のユーザーを獲得すると勝ち組企業としてさらに強くなり易い傾向がある。ただし、コンテンツや機能の強化を怠れば、上位からすぐさま脱落してしまうリスクも秘める。換言すれば、勝ち組となるのは一握りで、かつ勝ち続けるのは難しいビジネスといえよう。
競合環境
ハイブリッド・ソリューション事業の一部であるイーコンテクストカンパニーの競合先としては、GMOペイメントゲートウェイ株式会社(東証1部3769)、ソフトバンク・ペイメント・サービス(ソフトバンク株式会社(東証1部9984)の子会社)、SBIベリトランス株式会社(JASDAQスタンダード3749)、株式会社スマートリンクネットワーク(非上場)、ウェルネット株式会社(JASDAQスタンダード2428)、株式会社ペイジェント(株式会社ディー・エヌ・エー(東証1部2432)の連結子会社)などが挙げられる。いずれにしても競合は激しい分野といえる。こうした競合上優位に立つためにも、ハイブリッド・ソリューション事業内でのワンストップソリューション体制の確立が求められる。
プロモーション、インターネット広告のいずれにおいても、ディージー・アンド・アイベックス社は大小を問わず、数多くの企業と競合している。同社は、本当の意味でのワンストップ・マーケティング・ソリューションを提供することが他社との差別化につながるとコメントしている。多種多様なオンラインとオフラインの販促ツールを適切に組合せ、販売促進を巧みに行える能力が身に付いたとしたら、ディージー・アンド・アイベックス社の成長は加速化するはずである。昨今の業績から判断した際、ディージー・アンド・アイベックス社はまだそこまでの差別化要素を確立できていない。
メディア・インキュベーション事業における競争力の確立は、米Twitter社が広告事業の潜在成長性をいかに効果的かつ迅速に収益化(マネタイズ)できるかによって左右されるものとSR社はみている。インターネット市場の現在の勝ち組が今後も勝ち組である保証はなく、新たなアイディア、アプローチを持った企業にも十分チャンスがある。
経営戦略
同社の経営戦略で特徴的な点は各事業間の有機的なつながりといえよう。すなわち、ベンチャー・インキュベーション事業が海外の先進的なビジネスを企業に投資。投資先企業のビジネスをメディア・インキュベーション事業が日本国内に輸入し、事業化を進める。また、日本国内で事業化するためには、プロモーション、マーケティング活動が必要となるため、その役割を担うのがハイブリッド・ソリューション事業となる。また、同社がこれまで先進的なネットビジネスのインキュベーションを比較的円滑に行えてきた理由の一つとして、ハイブリッド・ソリューション事業において広告・決済サービスを提供してきたことが挙げられる。最終的には、ベンチャー・インキュベーション事業が投資先企業の株式を売却(エグジット)することになるが、うまくいけばその際に売却益が得られるほか、それまでの間、事業収益が得られることになる(逆もまた然りである)。
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| 出所:同社資料よりSR社作成 |
同社はSR社に「タイムマシン経営」を想起させる。「タイムマシン経営」について触れておく。「タイムマシン経営」とは、元々、ソフトバンク社の代表取締役社長である孫正義氏によって命名された言葉である。(タイムマシンに乗って)当該ビジネスの先進国(米国)に行って、成功モデルをみつけ日本に持ち帰るビジネススタイルのことであり、ソフトバンク社に限らず、古今東西、日本企業の多くがこのスタイルを導入し成功したことでも知られている。SR社の理解では、同社はまさにこの「タイムマシン経営」を組織的に実践している企業である。すなわち、まず、1990年代のインターネット黎明期から現在に至るまでに培った人的ネットワーク等を活用した上で、海外に先進的なビジネスを見出す。次に、そのビジネスを日本に輸入した上で、事業化による利益や最終的には売却益を狙っている。投資先が海外企業ではないが、こうしたフレームワークがうまく当てはまったのが、カカクコム社であり、同社は第2、第3のカカクコム社を生み出そうとしている。
同社が目下注力しているのがTwitterを始めとするソーシャルメディアのインキュベーターとなることだ。ソーシャルメディアはまだ黎明期にあり、創業者とメンバーが明確なビジネスプランを持たずにスタートする例が多いとされる。従って、いくら優れたアイディアを保持したといても、同社のような企業のサポートは今後も必要となるケースが多いだろう。ITバブル崩壊から時を経て、北米ベンチャーキャピタルの復活も叫ばれるなか、新規投資先を発掘する際も他のベンチャーキャピタルとの競合に直面することになろう。しかし、仮に同社のTwitterビジネスが成功すれば、その実績をみて同社にパートナーとして一緒に組むべく声をかけてくる企業が増えるものと思われる。同社が好循環の波に乗っていけるかどうかの鍵という意味でも、今後、第2、第3のカカクコム社を生み出せるか否かは極めて重要といえるだろう。
中期経営計画
出所:同社資料よりSR社作成
同社は中期経営目標数値として、2013年6月期に経常利益50億円以上、ROE(自己資本利益率)25%以上を掲げている。
中期経営計画における成長の牽引役は、主にメディア・インキュベーション事業となる見込み。同社としては、Twitter事業を成長ドライバーとして掲げ、経営資源を振り向けている。具体的には、日本のPC版、モバイル版のTwitterオフィシャルサイト上で得られる広告収入、その他サードパーティビジネスの収入拡大を見込んでいる(「経営戦略」の項を参照)。
ハイブリッド・ソリューション事業に関しては、特にイーコンテクストカンパニーの伸びをみている。成長の原動力として同社が期待しているのは、「価格.com 安心支払いサービス」である(「事業内容」参照)。2011年6月期のイーコンテクストカンパニーの取扱高は1,163億円であったが、下図のように同社は2013年6月期までに当該サービスを通じて取扱高1,100億円、売上高35億円の寄与があると見込んでおり、既存ビジネスと同規模の収益インパクトをみている(導入店舗率:価格.com情報掲載ショップのうち価格.com 安心支払いサービスを採用するEコマース事業者割合、ユーザー利用率:価格.com 安心支払い採用店舗におけるユーザー利用割合)。
また、ディージー・アンド・アイベックスに関しては、B to B to Cの自社開発サービスのラインナップ拡充やtwinaviのアプリビジネスを手掛けることなどによって、増収を図っていく計画となっている。
ベンチャー・インキュベーション事業について、同社はシリコンバレー、シンガポールを中心とした著名投資家との連携を強化し、Twitterに続く、新たなソーシャルメディアに対する投資を狙うとコメントしている。
過去の財務諸表
前期以前の業績概況(参考)
2011年6月期通期実績
2011年8月11日、同社は2011年6月期通期決算を発表した。
同社は2011年8月に2011年6月期通期会社予想の修正を行っており、ほぼ修正値通りの着地となった。
売上高が前年比32.6%増の11,067百万円、営業利益が135百万円(2010年6月期は営業損失960百万円)、経常利益が973百万円(同経常損失457百万円)、当期純利益が901百万円(同当期純損失2,208百万円)となった。
ハイブリッド・ソリューション事業が堅調に推移したこと、ベンチャー・インキュベーション事業でキャピタル・ゲインを実現したことが増収増益に寄与した格好だ。また、経常利益には持分法投資利益(持分法適用会社である株式会社カカクコム(東証1部2371)の業績など)も寄与している。
同社によれば各事業の概況は以下の通りとなる。
ハイブリッド・ソリューション事業
- 売上高は9,253百万円(前年比22.9%増)、営業利益は635百万円(前年比321.1%増)
- ディージー・アンド・アイベックスカンパニーの受託開発型プロモーション業務、インターネット広告が震災直後に落ち込んだものの、早期に回復することができたため、期初計画を上回った
- イーコンテクストカンパニーはゲーム、旅行関連が牽引し、過去最高の決済件数を記録した
メディア・インキュベーション事業
- 売上高は634百万円(前年比21.9%減)、営業損失は219百万円(2010年6月期:営業損失108百万円)
- 収益面では、Twitterの広告販売は震災によるクライアントの広告出稿の自粛等の影響を受けたが、直近では回復し、2011年5月から月間広告販売が過去最高を更新し始めている
- Twitterの日本国内におけるユニークユーザー数は2011年6月に1,452万人(出所:ネットレイティングス社)
- モバイル関連事業では、従来型携帯端末向け公式サイト事業を注視し、ソーシャルメディアを活用したスマートフォン向けビジネスを推進するため、株式会社ウィールを設立
ベンチャー・インキュベーション事業
- 売上高は1,180百万円(2010年6月期:売上高7百万円)、営業利益は688百万円(2010年6月期:営業損失144百万円)
- 保有株式を一部売却し、キャピタル・ゲインを実現
- 米国シリコンバレーを中心とした投資家ネットワークを通じて発掘した海外ベンチャー企業への投資を行う一方、国内では日本初の優良ベンチャー企業育成に注力
トピックス
公募増資の実施
同社は2011年6月30日に、2000年の株式上場以来、初めての公募増資(オーバーアロットメントによる第三者割当増資を含む)を発表した。本件による手取概算額8,014百万円について、同社は以下のように使途を示している。
- 5,300百万円:国内外のインターネット関連企業への投資およびエンジェル投資家が運営するエンジェルファンドへの投資資金
- 938百万円:ソーシャルメディアを活用した新たなサービスシステムの開発資金および設備投資資金
- 1,500百万円:決済事業の運転資金
- 残金:2014年6月期までを期日として借入金の返済に充当
1.に関しては、カカクコム社や米Twitter社に続く新しい有望なサービスを提供する企業を発掘・投資を行う上で、資金源を確保しておきたかったためと同社は述べている。同社のベンチャー・インキュベーション事業における投資は営業投資有価証券(流動資産)に反映されるが、2011年6月末で同社の営業投資有価証券残高が912百万円であることを考慮すると、今回の公募増資によって、同社が今後投資を行っていく上でかなりの資金枠が確保されたことになるといえるだろう。
同社は今後について、有望企業を発掘するために薄く広く投資していくスタンスは不変ながら、特に見込みがありそうな投資先に対しては、エクスポージャーを更に高める可能性を示唆している。
2.に関しては、海外の有望なインターネットビジネスの日本への導入支援に加え、自社開発の新サービスの国内での立ち上げと、その海外展開も視野に入れていくという。同社は、価格コムやTwitterに続きDGグループの将来を担う新規インターネットビジネスを次々に生み出すことを目的として、2011年7月1日に組織変更を実施しメディア・インキュベーション本部を新設。これまでグループCTOとして技術部門を統括してきた取締役の安田幹広氏がメディア・インキュベーション本部長に就任、新規メディアの開発の総責任者になったとのことだ。
3.に関しては、その一例として、「CASH POST」という名前で関東財務局に資金移動業者としての登録を済ませ、従来銀行に限定されていた為替取引のサービスを開始。これによって、B to C向けの送金サービスを含め、個人間送金、企業間送金など色々なバリエーションが考えられると同社はコメントしている。
Digital Garage US, Inc.の設立とイアン・マクファーランド氏のグループCTO就任
同社は、上記増資で得た資金を有効活用するために、「次の10年」を睨んだプロジェクトに着手し、そのプロジェクトのテーマとして「新期メディアの創出と世界展開」を掲げている。
「世界展開」の足がかりとして、同社は2011年7月にDigital Garage US, Inc.(以下、DGUS)を米国サンフランシスコに設立した。DGUSの立ち上げに際し、その事業の中核を担う人材として同社はイアン・マクファーランド氏を招聘、同氏は2011年8月1日に同社に入社している。マクファーランド氏はグループCTOとして、同社グループ全体の技術統括も担当する。マクファーランド氏はそれまで、米Google社や米Twitter社などの大手インターネット企業を対象にソフトウエア開発手法のコンサルティングを行っていることで知られている米Pivotal Labs社で、プリンシパル兼技術担当副社長を務めていた。
同社によれば、マクファーランド氏を中心としてDGUSが掲げる事業目標は二つ。一つ目は、海外投資事業の強化であり、サンフランシスコ、シリコンバレーの投資家とのネットワークとマクファーランド氏の有するエンジニアのネットワークを組み合わせることで、有望な投資案件に関する情報をより迅速かつ広範に集められることを同社は期待している。二つ目が、「アジャイル開発(用語集を参照)」のノウハウを、自社サービスの開発や、投資先のサービス開発に応用することで収益性を高めることである。アジャイル開発手法は、マクファーランド氏が在籍していた米Pivotal Labs社などが普及を推進してきたとされる。
2011年6月期第3四半期業績
2011年5月13日、同社は2011年6月期第3四半期決算を発表した。
2011年第3四半期累計期間実績は、売上高が前年同期比29.9%増の7,693百万円、営業損失が305百万円(前年同期:営業損失702百万円)、経常利益が316百万円(前年同期:経常損失374百万円)、四半期純利益が275百万円(前年同期:四半期純損失2,122百万円)となった。
ハイブリッド・ソリューション事業が堅調に推移したこと、ベンチャー・インキュベーション事業でキャピタル・ゲインを実現したことなどが増収増益に寄与した格好だ。
同社によれば、各事業の概況は以下の通り。
ハイブリッド・ソリューション事業
- 売上高は6,955百万円(前年比30.3%増)、営業利益は500百万円(前年比508.7%増)
- ディージー・アンド・アイベックスは企業向け受託開発型プロモーション業務およびインターネット広告が牽引し、計画を上回る進捗
- イーコンテクストは震災や計画停電による影響はほとんどなく、業績も堅調。オンラインゲーム、旅行業界向けが牽引
メディア・インキュベーション事業
- 売上高は497百万円(前年比13.4%減)、営業損失は175百万円(前年は営業損失94百万円)
- 第2四半期に販売を休止したTwitterのバナー広告販売が2011年1月からは正常な販売体制に戻り、販売額も順調に回復
- 従来型携帯端末向け公式サイトを運営してきた株式会社DGモバイルの全株式を譲渡。スマートフォン向け事業を準備中
ベンチャー・インキュベーション事業
- 売上高は241百万円(前年同期は売上高7百万円)、営業利益は83百万円(前年同期は営業損失74百万円)
- 第2四半期に保有株式を一部売却し、キャピタル・ゲインを実現(売上高240百万円を計上)
- 「Path」を運営する米Path社に出資を行った
トピックス
LinkedIn社との提携
2011年5月25日、同社は米LinkedIn社とLinkedIn社が運営するビジネスパーソン向けプロフェッショナル・ネットワーク「LinkedIn」の日本におけるマーケティング支援について合意したと発表した。同社は、今後LinkedIn社と連携しながら、日本におけるLinkedInの普及に向け、マーケティング活動、広報活動、市場調査、プロダクトマーケティング支援などを行っていくとしている。また、LinkedIn社はLinkedIn日本語版の立ち上げを2011年中に予定している模様だ。
同社によれば、「LinkedIn」は全世界で1億人以上が登録するプロフェッショナル向けのソーシャルネットワークである。2011年1月時点で「2010 Fortune 500」にランクされている全ての企業において、経営幹部のうち1人以上がLinkedInに登録しているとされている。また、LinkedIn上に「企業ページ」を有する企業は200万社以上に及ぶとのことである。ちなみに、日本人のユーザー数は約30万人である。
同社は2011年6月時点で、詳細は今後詰めていく段階にあるとコメントしており、上述した情報以外は不明である。SR社の認識では、日本において就職・転職サイトの運営会社は幾つも存在するが、プロフェッショナル向けソーシャルネットワークに該当するサービスは存在しない。そのため、ユーザーをうまく囲い込むことができればLinkedInの日本市場におけるポテンシャルは高いものと判断している。一方、日本独特の慣習に応じて、いかにサービスを適応させていくかが課題であるとみている。
2011年6月期第2四半期(上期)業績
2011年2月9日、同社は2011年6月期第2四半期決算を発表した。
2011年上期実績は、売上高が前年同期比29.3%増の4,983百万円、営業損失は181百万円、経常利益は214百万円となった。増収に関して、同社はハイブリッド・ソリューション事業が堅調に推移したこと、ベンチャー・インキュベーション事業でキャピタル・ゲインを実現したことを指摘している。また、経常利益は営業外収益でカカクコム社など持分法投資利益414百万円を計上したこともあって、前年同期の経常損失261百万円より大幅に改善した。
同社によれば、2010年12月27日に修正した会社予想に対し、売上高が33百万円、営業利益が58百万円上振れて着地したとのことだ。
同社によれば、上期の各事業の概況は以下の通り。
ハイブリッド・ソリューション事業
- 売上高は4,390百万円(前年比25.3%増)、営業利益は299百万円(前年比254.4%増)
- ディージー・アンド・アイベックスは既存の受託型事業が新規大型クライアント獲得や金融、人材業界の復調もあり順調に拡大。その他、メディア型事業(ポイントモール、Bird Fishなど)へのシフトも実現しつつある
- イーコンテクストはXBOX「モンスターハンターオンライン」やプレイステーションネットワークチケットなどのゲーム課金による収益が拡大したほか、デジタルコンテンツ分野の取扱件数が増加
メディア・インキュベーション事業
- 売上高は353百万円(前年比2.8%増)、営業損失は120百万円(前年は営業損失75百万円)
- Twitterリニューアルにともない広告販売枠が一時的に減少、第2四半期の売上減につながった。具体的にはバナー広告サイズと単価の見直しを実施。単価は従来の1.5倍に
- Twitterのユニークユーザー数は2010年12月に1,290万人を突破(出所:ネットレイティングス社)
- 株式会社DGモバイルで展開してきた従来型携帯端末向け公式サイトを再編。Twitterをはじめとするソーシャルメディアを活用したスマートフォン向け新サービスの開発、事業化を推進するために株式会社ウィールを設立
ベンチャー・インキュベーション事業
- 売上高は240百万円(前年は7百万円)、営業利益は147百万円(前年は営業損失54百万円)
- 海外未公開株市場が活況を呈していることから、保有株式を一部売却し、キャピタル・ゲインを実現
- 電子書籍・コンテンツ配信プラットフォーム大手の株式会社メディアドゥに出資
2011年6月期第1四半期業績
2010年11月11日、同社は2011年6月期第1四半期決算を発表した。
売上高は前年同期比18.1%増の2,236百万円、営業損失は202百万円、経常利益は35百万円となった。増収に関して、同社はメディア・インキュベーション事業において、米Twitter社の運営するミニブログ・サービス「Twitter」を活用した広告販売が拡大したこと、ハイブリッド・ソリューション事業が堅調に推移したことが寄与したとコメントしている。また、経常利益に関しては、カカクコム社など持分法による投資利益計上も寄与した格好だ。
同社は各事業の概況について、下記のように説明している。
ハイブリッド・ソリューション事業
- ディージー・アンド・アイベックスにおいては外資系クライアントを中心にプロモーション案件の受注が増加。また、インターネット広告事業も堅調に推移
- イーコンテクストにおいてはゲームコンテンツ分野が好調であったことなどにより取扱件数が増加
メディア・インキュベーション事業
- PC版のTwitter日本語公式サイトのバナー広告の販売は新しいユーザーインターフェイスへの移行があったものの順調に拡大
- 2010年8月からモバイル版での広告販売を開始
- Twitter公式ナビゲーター「twinavi」を利用したタイアップ企画の販売も好調に推移
ベンチャー・インキュベーション事業
- 投資先企業の株式売却はなし
損益計算書
同社の収益は、有価証券の価格変動影響や子会社の連結化、連結除外影響などを受けてボラティリティが高い。以下、2006年6月期以降の業績をまとめる。
2006年6月期
売上高、営業利益、経常利益がいずれも過去最高となった。売上高は全事業が堅調であり、前年比4,630百万円増(前年比59.0%増)の12,476百万円。営業利益もファイナンス事業(イーコンテクスト社の決済事業など)やインキュベーション事業(ベンチャー企業等への投資・育成など、当期より独立セグメント化)が堅調で、前年比284.7%増の1,704百万円となった。
2007年6月期
売上高はインキュベーション事業以外の事業が軒並み堅調であり、前年比4,862百万円増(前年比39.0%増)の17,339百万円と過去最高水準を更新した。営業利益はインキュベーション事業で保有株式の減損処理を行ったため、前年比5.3%減の1,613百万円となった。もっとも、営業外収益で999百万円の匿名組合収益の計上があり、経常利益は2,476百万円と過去最高益を更新した。
2008年6月期
売上高は株式会社創芸を2007年6月期の第4四半期に連結化、通期寄与となったことにより、前年比22,244百万円増(前年比128.3%増)となった。しかし、インキュベーション事業で減損損失約1,600百万円を売上原価に計上したことなどによって全社ベースでも営業損失172百万円となった。さらに、特別損失を435百万円(投資有価証券評価損170百万円、創芸社のリストラ費用117百万円など)計上、繰延税金資産を計上せず法人税等調整額が膨らんだこともあり、2,430百万円の当期純損失となった。
2009年6月期
売上高は株式会社DGコミュニケーションズ(旧創芸社)の減収を主因に前年比5,084百万円減(前年比12.8%減)となった。一方、不動産市況悪化、貸倒損失の計上などによってDGコミュニケーションズ社が大幅な減益となったものの、カカクコム社の業績拡大が寄与し、営業利益は981百万円となった。事業再編等に係る損失やDGコミュニケーションズ社ののれん代の減損損失など特別損失4,425百万円の計上があった。しかし、カカクコム社の株式売却益15,854百万円などを特別利益で計上、当期純利益は5,451百万円となった。
2010年6月期
売上高は2009年6月期に連結子会社であったカカクコム社、DGコミュニケーションズ社が連結除外となったため、前年比26,152百万円減(前年比75.8%減)となった。また、同じくカカクコム社の連結除外影響から営業損失960百万円を計上した。加えて、ディージー・アンド・アイベックスに係るのれんの減損損失を1,435百万円計上、2,207百万円の当期純損失となった。
過去の会社予想と実績の差異
2006年6月期から2010年6月期まで、同社の業績は期初会社計画を下回り続けた。例外は2009年6月期の当期純利益だが、カカクコム社の株式売却益に負うところが大である。
収益性・財務指標
貸借対照表
資産
同社の資産は主に新規連結子会社化と連結除外によって大きく変動してきた。2007年6月末の総資産は42,408百万円と2006年6月末から14,633百万円増加したが、創芸社を買収したことが要因である。一方、2009年6月末の総資産は30,275百万円と2008年6月末から9,782百万円減少した。カカクコム社の株式を一部売却したことにより、カカクコム社が連結除外となったほか、DGコミュニケーションズ社のMBO方式による譲渡・連結除外、DGインキュベーション株式の譲渡・連結除外などを反映している。2010年6月末の総資産が2009年6月末より10,569百万円減少し、19,706百万円となった要因は、2010年6月期に当期純損失2,207百万円を計上したこと、借入金・社債の返済によって有利子負債が2,353百万円減少したこと、未払法人税の支払い3,733百万円などでよる。
負債
2006年6月末に4,932百万円であった有利子負債は2008年6月末までに10,656百万円へと増加した。主因は創芸社の買収である。この間、純資産は10,668百万円から9,717百万円へ減少しているため、2006年6月末に38.4%であった純資産比率は2008年6月末の24.3%へと低下した。しかし、その後、カカクコム社の株式売却益などによって有利子負債の削減を進め、有利子負債は2011年6月末には2,870百万円まで減少。純資産比率も48.5%まで改善した。
純資産
2006年6月末以降、純資産は主に当期純利益あるいは当期純損失の計上に基づく内部留保の増減に応じて変動してきた。ただし、2009年6月末にはイーコンテクスト社との合併等によって資本剰余金が1,346百万円、2008年6月末より増加している。
その他
同社の貸借対照表で、その他特徴的なのは以下の点が特徴である。
- ベンチャー・インキュベーション事業における投資は営業投資有価証券(流動資産)に反映される
- デジタルガレージ社の行っている投資は投資有価証券に反映される
- 同社は決済業務を営んでいるため、決済拠点から未入の収納代金は未収入金の勘定科目で流動資産に反映される。また、決済拠点から受取り、Eコマース事業者に未払の金額は預かり金の勘定科目で流動負債に反映される。
1株当たり数値
2007年1月に普通株1株につき2株の割合で株式分割を実施した。また、2009年6月期の株式数の増加はイーコンテクスト社の吸収合併による。
キャッシュフロー計算書
営業キャッシュフロー
税前損益や運転資金の増減によって主に変動してきた。2008年6月期と2010年6月期にマイナスとなったが、いずれも税前損失を計上したことが要因である。
投資キャッシュフロー
2006年6月期以降をみると投資キャッシュフローがプラスとなることが多いが、関係会社株式の売却による収入等が影響している。
財務キャッシュフロー
2006年6月期は投資有価証券(主要グループ会社のオフィスビルを統合することを目的とした匿名組合出資など)の取得に係る資金を借入金などで調達したため、プラスとなった。しかし、2009年6月期、2010年6月期は財務リストラに伴う有利子負債削減もあってマイナスとなっている。
単純フリーキャッシュフロー
同社は特に大きな設備を必要としているわけではないため、当期純損益や運転資金増減によって大きく変動してきた。
その他情報
沿革
1995年8月 インターネットを媒体とした広告・企画・制作などを目的として株式会社デジタルガレージを設立(代表者:林郁氏、伊藤穣一氏)
1996年10月 米infoseek社と業務提携し、日本でのinfoseek Japan事業を開始(1999年6月infoseek社との提携解消、日本のinfoseekは2000年12月に楽天社に吸収)
1996年12月 デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社を、株式会社博報堂(東証1部2433)、株式会社旭通信社(現アサツー ディ・ケイ社)、株式会社読売広告社、株式会社I&S(現株式会社I&SBBDO)と共同出資にて設立
1997年5月 株式会社フロムガレージ、株式会社スタジオガレージ、有限会社エコシスを吸収合併
2000年5月 eコマースの物流・決済等のプラットフォームを担当する会社として、株式会社イーコンテクストを、ローソン社、東洋情報システム社(現TIS株式会社)、三菱商事社と共同出資にて設立
2000年12月 株式を店頭市場(現JASDAQ)に上場
2002年6月 カカクコム社の株式を45%取得し連結子会社化
2003年1月 イーコンテクスト社の第3者割当増資を引受け連結子会社化
2003年2月 クリエイティブ制作を担当する連結子会社クリエイティブガレージ社を設立
2004年12月 日本証券業協会への店頭登録を取り消し、ジャスダック証券取引所に株式を上場
2005年1月 ブログ検索サイトを運営する連結子会社株式会社テクノラティジャパンを設立
2005年7月 インキュベーション事業を担当する連結子会社DGインキュベーション社(現ITI株式会社)を設立
2006年1月 純粋持株会社に移行
2006年1月 不動産に関する管理運営・投資等を行う連結子会社株式会社DGアセットマネジメントを設立
2006年8月 ソーシャルメディアを活用した広告商品開発、ブロガーと広告主のマッチングサービスを行う連結子会社CGMマーケティング社を電通社、サイバー・コミュニケーションズ社、アサツー ディ・ケイ社との共同出資にて設立
2007年4月 連結子会社株式会社DGソリューションズが創芸社(現DGコミュニケーションズ社)の全株式を取得し、連結子会社とする
2007年4月 連結子会社DGアセットマネジメント社を吸収合併し、事業を承継
2008年10月 DGソリューションズ社、ディージー・アンド・アイベックス社、クリエイティブガレージ社、DGメディアマーケティング社、イーコンテクスト社を吸収合併。事業持株会社へ移行
2009年5月 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(東証1部4756)へカカクコム社株式の20.3%を譲渡し、関連会社に変更
2009年6月 DGインキュベーション社の株式全てをITホールディングス(東証1部3626)へ譲渡し、連結子会社から外れるとともに、新たに連結子会社としてDGインキュベーション社を設立
2009年6月 DGコミュニケーションズ社(旧創芸社)の株式の一部を譲渡し、連結子会社から外れる
2009年8月 カルチュア・コンビニエンス・クラブ社との業務・資本提携を発表
創業前~1990年代
林郁代表取締役は大学卒業後、1983年に広告マーケティング企画会社、株式会社フロムガレージを設立。電通社、博報堂社などと仕事をしていた。1993年に伊藤穣一取締役と知り合い意気投合し、1995年に株式会社デジタルガレージを共同創業した。1996年に米infoseek社と業務提携、ロボット型検索サービス(与えられた検索式に従って、WEBページ等を検索するサーバー、システムのこと)であるinfoseekの日本における立ち上げを開始した。しかし、米infoseek社が1999年に米The Walt Disney社に買収され、事業提携は解消した。もっとも、同社によればこうした経緯の中で、米西海岸のベンチャーキャピタリスト、創業者達とのネットワークが出来上がり、同社の今日の経営に貢献しているとのことだ。
2000年代
2000年に株式を店頭市場(現JASDAQ)に上場。2002年にカカクコム社に投資、連結子会社とする。現在に至るまでのカカクコム社の軌跡を踏まえれば、この投資は大成功を収めたといえよう。ただし、カカクコム社への投資の後に、失敗事例が2つ。2005年1月のテクノラティジャパン社の設立と2007年4月の創芸社(現DGコミュニケーションズ社)の株式取得である。テクノラティジャパン社はブログの検索サービス会社だが、ブログ検索のニーズが同社の期待を下回り、その後撤退を余議なくされた。また、創芸社は不動産広告会社であり、活況を呈していた不動産市況の恩恵を被る狙いがあった。しかし、創芸社買収後1年余りがたって不動産市況が軟化、多額の損失を計上し、創芸社は結局連結子会社から外れた。もっとも、2008年に米Twitter社と資本・業務提携を結んでいた事実が今後の同社の収益を占う上では重要といえよう。
ニュース&トピックス
2012年2月
2012年2月23日、同社は、米DoubleRecall社との資本・業務提携を発表した。
DoubleRecall社は、広告枠内で指定したキーワードの入力を促すことによって、コンテンツ閲覧者のブランド認知度を高めることが可能なオンライン広告ソリューション「DoubleRecall(ダブルリコール)」を提供している。今回、同社の全額出資子会社の株式会社DGインキュベーションが、DoubleRecall社に出資し、同時に日本市場における「DoubleRecall」の事業展開を行うことで同社とDoubleRecall社が合意したとのことである。
本提携に伴い同社は、事業開発やマーケティング活動、動画版、アプリ版、スマートフォンブラウザ版の開発支援、ローカライゼーションなどを通じて、日本におけるDoubleRecallの普及を推進していくとしており、2012年3月以降のテストマーケティング開始に向け国内の媒体社、広告主各社への案内をすでに開始しているとのことだ。
同社によれば、本件の概要は以下のようになる。
DoubleRecallについて
- DoubleRecallは2011年1月に公開されたサービス。考案者の出身地である欧州のスロベニアで事業を開始し、すでに同国ではニュースサイトのうち80%に導入済み。現在は米国のメディア企業が集積するニューヨークを本拠とし、大手メディアサイトへの導入を進めている
- 欧州ではすでに、Mentos、Red Bull、Nissan、Renault、Volvo、Pfizerなど多数のグローバルブランドによって、DoubleRecallを活用したブランドマーケティングが展開されている
- この広告技術が注目されているもう1つの理由は、企業・商品のブランド広告をインターネット上に広く展開しやすくなる点にある。これまでブランド広告費は、インターネット広告市場に流入しにくい傾向にあった(例えば、米ブランド広告の市場規模はメディア全体では910億ドルに上るが、このうちオンライン広告につぎ込まれているのは60億ドル)。DoubleRecallの普及によって、その割合が増えることが期待できる
- DoubleRecall社の他の主な株主は、Y Combinator、Start Fund、SV Angel、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(伊藤忠商事(東証1部8001)子会社)、Mentor Equity and TEEC Angelである
2012年2月10日、同社は、サンフランシスコにインキュベーションセンターを開設したと発表した。
同社によれば、本件の概要は以下のようになる。
インキュベーションセンターに関して
- 同社は米国カリフォルニア州サンフランシスコ市に、有望なスタートアップ企業の短期育成を目的としたインキュベーションセンターを、2012 年秋をめどに開設する
- 本インキュベーションセンターは、投資から開発支援、事業育成までを一気通貫で行うグローバルなインキュベーション体制の核とする。
- 具体的には、1)同社が投資家ネットワークを通じて発掘した世界中のスタートアップ企業を集め、2)「アジャイル開発」や「Lean Startup」に基づく開発支援、「Open Network Lab」の運営で得たノウハウの提供などを通じてこれらの企業を育成する、3)育てた企業のグローバルな事業展開を同社のメディア・インキュベーション事業と、ハイブリッド・ソリューション事業によって全面的に支援する
- インキュベーションセンターは、「co-working space(コワーキング・スペース)」とも呼ばれ、サンフランシスコを含む米国の主要都市で増えているが、日本の事業会社として米国でこの領域に参入するのは同社が先駆けとなる
サンフランシスコ市内のオフィスビル取得について
- 上記の準備として、米国法人Digital Garage US, Inc.(本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ市、以下、DGUS)の完全子会社である米Digital Garage Development LLC(本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ市)を通じて、サンフランシスコ市内にオフィスビルを取得した
- 本ビルは、サンフランシスコ市街の中心として象徴的な存在であるユニオンスクエアの近くに位置し、市街を貫くマーケットストリートに面している。8 階建てのビルの1 階と2 階の一部を全面改装しインキュベーションセンターにする予定。また、DGUS および同社の子会社で、米EdgeCase, LLC(以下:EdgeCase 社)などを傘下に収めた米New Context, Inc. (本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ市、以下:NC)が入居する
2012年2月9日、同社は、2012年6月期第2四半期決算及び配当予想の修正を発表した。
期末配当予想に関し、同社はこれまで未定としてきたが、2012年6月期の業績が堅調に推移していることを踏まえ、1株当たり1,000円とするとしている。
2012年1月
2012年1月27日、同社は、米Intercom, Inc.に出資したと発表した。
同社は全額出資子会社で投資・育成事業を手掛ける株式会社DGインキュベーションを通じ、次世代CRM(Customer Relationship Management:顧客管理)ツールを開発する米Intercom社に出資した。今回の出資ラウンドには、同社の以外にも、Twitter社共同創業者のビズ・ストーン氏や、シリコンバレーでスタートアップ企業の育成を行う500 Startupsなどが参加したとのことであり、(米Intercom社による)今回の調達額は100万米ドルであったという。
同社によれば、米Intercom社が手掛けるCRMツールはWebサービスを運営する企業を対象としており、顧客のサービス利用状況やソーシャルメディアにおけるプロフィールなどを把握し、可視化できる点に特徴がある模様。そうした機能の活用例として、無料の体験版サービスを利用している顧客に対して、その顧客の利用状況を分析した上で有料サービスへの移行を促すといった使い方ができるとしている。
2012年1月18日、同社は、国際的なインキュベーション事業を始動したと発表した。
同社は、グローバルな視野に立った、スタートアップ企業のインキュベーション(育成)事業を新たに開始。1)Digital Garage US, Inc.の完全子会社としてNew Context, Inc. (本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ市、以下:NC社)を新たに設立、2)国際的なインキュベーション事業の第1弾としてNC社を通じて、Pivotal Labs(Singapore)Pte. Ltd.(以下:Pivotalシンガポール社)と米EdgeCase, LCC(以下:EdgeCase社)を買収することで合意した、としている。
同社によれば、今後NC社はインキュベーション機能を担う戦略会社として、グローバルな視野で事業を拡大させていく予定とのことである。同社はNC社の特徴として、世界でも屈指の開発レベルを有しながらもこれまではアウトソーシングだけを担ってきた複数のソフトウエア開発会社をネットワークし、DGのインキュベーションノウハウを付加することにより新たな付加価値を生み出す点にあるとコメント。NC社を中心とした今回のプロジェクトは、日本から世界市場を目指すスタートアップ企業を支援する「エクスポート型」のインキュベーション事業と、世界から日本市場を目指す「インポート型」のインキュベーション事業の双方でボトルネックとなっていた、ソフト開発工程のプラットフォームになるとのことである。
同社によれば、今回買収することで合意した2社の概要は以下。アジャイル開発とLean Startup(リーンスタートアップ)で世界的に有名な企業とのことだ(「アジャイル開発」及び「Lean Startup(リーンスタートアップ)」は用語集を参照)。
Pivotalシンガポール社:アジャイルソフトウェア開発手法における先駆者かつリーダーであり、Twitter社、Salesforce.com社、Groupon社などの顧客を持つ米国Pivotal Labs社のアジア拠点。政府機関や大手企業を顧客に抱え収益を上げつつ、アジアでのアジャイル開発手法の浸透に伴い事業を拡大している。2010年に設立され、社員数は10名である。
EdgeCase社:Ruby on Railsをはじめとしたプログラミング言語でのソフトウエア開発や、トレーニング・コンサルティングを得意とする。顧客にはGAP社など多くのスタートアップ企業を持ち、独自のコンサルティングプログラムを売り物にしている。2006年に設立。社員数は約20名。
2011年12月
2011年12月8日、同社は、様々なソーシャルメディアに投稿したコンテンツを蓄積し、一元的に表示することで「自分史」を構築できるサービス「Memolane(メモレーン)」の日本語版を共同開発し、公開したと発表した。
2011年11月
2011年11月11日、同社は2012年6月期第1四半期決算を発表した。
2011年11月7日、同社は米Kicksend社に出資したと発表した。
具体的には、同社の全額出資子会社のDGインキュベーション社が、Kicksend社に出資した。Kicksend社の手掛けるサービス「Kicksend」は、写真やビデオといった大容量ファイルの転送サービスである。
同社は2011年6月に米シリコンバレーの著名投資家であるロン・コンウェイ氏が特別顧問を務めるファンド「SV Angel III」へ出資を発表し、そのネットワークを介して情報を得られる投資案件の中でも、特に同社と事業連携を見込めるものについては直接投資を実行することを発表している。今回のKicksend社への投資はその第1弾となる。
2011年11月2日、同社は米Memolane社と資本・業務提携を締結したと発表した。
具体的には、同社の全額出資子会社のDGインキュベーション社がMomolane社に出資し、同時に、日本市場におけるMomolaneの事業展開を共同で行っていくことで同社と合意したとのことだ。
Memolaneについて
Memolaneは、さまざまなソーシャルメディアに投稿したコンテンツを過去のものから時系列で並べてまとめることで「自分史」を構築できるサービス。Memolaneは、デンマークで開催されたベンチャー起業家のイベント「StartupWeekend Copenhagen」で優勝し、2010年6月にEric LagierとNikolaj Hald Nielsenによって設立された。デジタルガレージの100%子会社であるDGインキュベーションと、米August Capital社、英Atomico社から資金調達をしており、本社は米サンフランシスコにある。
2011年10月
2011年10月26日、同社は「ツイナビ」と連動したTwitter対応のソーシャルアプリプラットフォーム「ツイナビアプリ」の運営を開始したと発表した。
2011年10月3日、同社は米国Twitter社(以下、Twitter社)の広告事業に関する2011年10月3日付の日本経済新聞の記事についてコメントを発表した。
日本経済新聞社の記事は、Twitter社が週内に独自の広告サービスを日本でも始めるという内容であった。
同社のコメントの概要は以下の通りとなる。
- 同社はこれまでTwitter社と資本業務提携を締結し、Twitter社のパソコン向け公式サイト及び携帯電話向け公式サイトに向けたバナー広告の販売等を取り扱っている
- 報道にあった「独自の広告サービス」は、Twitter社が米国で段階的に導入して検証を重ねて来た「プロモ商品」をさす
- プロモ商品は、Twitterの通常コンテンツの一部を広告に見立てたもので、テキスト(文字)形式で表示される。これは、同社がTwitter社との契約の下、販売してきたピクチャー形式の「バナー広告」とは異なる
- Twitter社は「プロモ商品」については、グローバルプラットフォームとする戦略に基づき、これまで米国、英国でも自主的に販売をしてきており、今回報道のあった日本での販売についても同様の方針を採る
- 同社は今後も、Twitter社のパソコン向け公式サイト及び携帯電話向け公式サイトに向けたバナー広告の販売を引き続き行っていく。また、広告主や広告代理店の要請に応じて、バナー広告とプロモ商品を組み合わせて販売するクロスセルについても、Twitter社と緊密に連携しながら、株主及び事業パートナーとして拡販に積極的に協力していく
2011年8月
2011年8月11日、同社は2011年6月期通期決算を発表した。
2011年8月2日、同社は2011年6月期通期業績予想の上方修正を発表した。
2011年6月期(連結)通期業績予想の修正は以下のようになる。
- 売上高:11,065百万円(前回予想10,900百万円)
- 営業利益:135百万円(同50百万円)
- 経常利益:970百万円(同900百万円)
- 当期純利益:900百万円(同800百万円)
同社は今回の修正理由について、前回の会社予想公表時点(2011年5月27日)では東日本大震災の影響により、ハイブリッド・ソリューションセグメントの先行きが不透明であったため、同セグメントの業績を保守的に見込んでいたが、震災直後に落ち込んだインターネット広告の販売およびEコマース決済の取扱件数が、その後、急速に回復し、前回予想を上回る見込みとなったためとしている。
2011年7月
2011年7月11日、同社は2011年6月30日に発表した新株式発行および株式売出しの条件が決定したと発表した。
同社は今回の一般募集および第三者割当増資による調達資金(手取概算額約8,014百万円)の使途として下記の点を挙げている。
- 5,300百万円:国内外のインターネット関連企業への投資およびエンジェル投資家が運営するエンジェルファンドへの投資資金
- 938百万円:ソーシャルメディアを活用した新たなサービスシステムの開発資金および設備投資資金
- 1,500百万円:決済事業の運転資金
- 残金:2014年6月期までを期日として借入金の返済に充当
詳細は以下のようになる。
1)公募による新株発行(一般募集)
- 発行価格:1株につき268,800円(2011年7月11日の終値280,000円に対するディスカウント率は4.0%)
- 発行総額:7,526,400千円
- 払込期日:2011年7月19日
2)第三者割当による新株式発行
- 払込金額:1株につき252,000円
- 払込金額総額:(上限)1,008百万円
- 払込期日:2011年8月9日
3)株式売出し(引受人の買取引受けによる売出し)
- 売出価格:1株につき268,800円
- 売出総額:3,494,400千円
- 受渡期日:2011年7月20日
4)株式売出し(オーバーアロットメントによる売出し)
- 売出価格:1株につき268,800円
- 売出総額:1,612,800千円
- 受渡期日:2011年7月20日
2011年6月
2011年6月30日、同社が同社取締役会決議で新株式発行および株式の売出しを決定したと発表した。
予定通りの株数が公募増資により発行された場合の希薄化率は15.0%、同じく第三者割当増資による希薄化率は2.1%、合計17.2%となる(2011年6月30日の発行済株式総数は186,224株)。
新株式発行および株式の売出しの詳細は以下の通りである。
1)公募による新株発行(一般募集)
- 募集株式数:同社普通株式28,000株
- 募集方法:一般募集
- 引受人:野村證券株式会社を主幹事とする引受団
- 申込期間:発行価格等決定日の翌営業日から2営業日後まで
- 払込期日:2011年7月19日から2011年7月22日までの間のいずれかの日
2)第三者割当による新株式発行
- 募集株式数:同社普通株式4,000株
- 払込金額:発行価格等決定日に決定
- 割当先:野村證券株式会社
- 申込期間:2011年8月8日
- 払込期日:2011年8月9日
3)株式売出し(引受人の買取引受けによる売出し)
- 売出株式数:同社普通株式13,000株
- 売出人および売出株式数:林郁氏8,500株、六彌太 恭行氏2,620株、有限会社ケィ・ガレージ1,500株、伊藤穣一氏380株
- 受渡期日:2011年7月20日から2011年7月25日までのいずれかの日
4)株式売出し(オーバーアロットメントによる売出し)
- 売出株式数:同社普通株式6,000株
- 売出人:野村證券株式会社
- 受渡期日:2011年7月20日から2011年7月25日までのいずれかの日
2011年6月23日、同社は米Massachusetts Institute of Technology(MIT)のMedia Labに協賛し、Consortium Research Sponsorとしてソーシャルメディアについて研究活動に参画することになったと発表した)。
2011年5月
2011年5月30日、同社は子会社の株式会社ウィールがTwitterクライアントとTwitterユーザー向けコンテンツサービスをパッケージしたスマートフォンアプリ「シェアット」の配信を株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(東証1部9437)のAndroid端末向けに開始したと発表した。
2011年5月27日、同社は2011年6月期の会社予想について上方修正を発表した。
2011年8月期通期
- 売上高:10,900百万円(前回予想10,900百万円)
- 営業利益:50百万円(同営業損失250百万円)
- 経常利益:900百万円(同500百万円)
- 当期純利益:800百万円(同310百万円)
同社は経常利益の上方修正の理由として、1)ハイブリッド・ソリューションセグメントにおいて、広告プロモーションおよび決済ソリューションが上期に続き下期も好調に推移したこと、2)ベンチャー・インキュベーションセグメントにおいて、第2四半期に続き、第4四半期においてもインキュベーションの成果を実現したこと、3)持分法適用関連会社の業績が好調であったこと、などを挙げている。
2011年5月25日、同社は米LinkedIn社と、LinkedIn社が運営するビジネスパーソン向けプロフェッショナル・ネットワーク「LinkedIn」の日本におけるマーケティング支援について合意したと発表した。同社は、今後LinkedIn社と連携しながら、日本におけるLinkedInの普及に向け、マーケティング活動、広報活動、市場調査、プロダクトマーケティング支援などを行っていくとしている。
2011年5月13日、同社は2011年6月期第3四半期の決算を発表した。
トップ経営者
林郁代表取締役CEO
1959年生まれ。大学卒業後、1983年に広告マーケティング企画会社フロムガレージ社を設立。1994年には、日本で最初の個人ホームページを作成し、ホームページ作成ビジネスを開始。1995年にデジタルガレージ社を伊藤取締役と共同創業、代表取締役社長に就任。以降、一貫してインターネットをベースとした、新規ビジネスの支援・構築とインキュベーションの両面で事業を展開。日本のインターネットの歴史を語る上で林氏の存在をはずすことはできない。デジタルガレージ社代表取締役CEOおよびグループ各社を統括するグループCEOを務める。
伊藤穣一取締役
1966年生まれ。3歳の時に両親と渡米。米国の大学でコンピュータサイエンス、物理学を学び、帰国後、1994年に有限会社エコシスを設立。1995年に林氏と共にデジタルガレージ社を設立。世界初の商用ネット「PSI Japan」や、検索エンジン「infoseek」の日本市場導入に参画。2002年のダボス会議で「明日のグローバル指導者100人」に選ばれている。2011年2月現在、ITベンチャーキャピタル、株式会社ネオテニー代表取締役社長のほか、CGMマーケティング社取締役、カルチュア・コンビニエンス・クラブ社取締役などを兼任している。
従業員
同社の2011年6月期末時点の連結ベースの社員数は267名(単体248名)である。単体の社員の平均年齢は35.7歳、平均年収は634万円、平均勤続年数は4年2ヵ月である。
IR活動
同社は半期ごとに決算説明会を開催し、IR情報を日本語と英語の両方で公表している(説明会資料、財務諸表など)。
デジタルガレージのIRページは、こちらをクリック。
ところで
用語集
- アジャイル開発
- アプリケーション等を短いサイクルで分析、設計、実装、テスト、リリースを行い、これを繰り返しながらサービスを構築/ブラッシュアップしていく開発手法。ビジネスサイドの判断とエンジニアリングサイドの実装が一体となったサービス構築を行うことが可能となるメリットがあるといわれている。
- アフィリエイト収入
- 自社作成のホームページ等にリンクを張り、訪問者がそこを経由して商品を購入したりするとホームページの管理者に報酬が支払われる仕組みのこと。
- API(アプリケーション・プログラム・インターフェイス)
- アプリケーションから利用できる、オペレーティングシステムやプログラミング言語で用意されたライブラリなどの機能の入り口となるもの。つまり、アプリケーションをプログラムするにあたって、プログラムの手間を省くため、もっと簡潔にプログラムできるように設定されたインターフェースの事。
- Eコマース(電子商取引)
- インターネットなどのネットワークを利用して、契約や決済などを行う取引形態。ネットワークの種類や取引の内容を限定しない、包括的な意味を持つ言葉である。電子商取引は大きく3つに分けられ、企業同士の取引を「B to B」(Business to Business)、企業・消費者間の取引を「B to C」(Business to Consumer)、消費者同士の取引を「C to C」(Consumer to Consumer)と呼ぶ。
- インキュベーション
- インキュベーションとは、卵を孵化するという語源から派生して、ベンチャー企業を支援するサービス・活動のこと。
- インプレッション
- インターネット広告が表示されること。ページビューと混同しやすいが、ページビューはウェブサイト(またはウェブサイトの中の特定のウェブページ)が表示された回数。インプレッションは広告そのものが表示された回数。同じサイトやページ内の同じ広告枠に、複数のインターネット広告がランダムに表示される場合(ローテーション型広告)、ページビューだけでは広告そのものの表示回数を特定できない。インターネット広告が表示される回数をインプレッション数と呼ぶ。
- エグジット
- ベンチャーキャピタル等の投資ファンドにおける投下資金回収手段・戦略のこと。株式公開(IPO)や他社への転売、売出しなどが一般的である。
- CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)
- 情報システムを応用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法のこと。詳細な顧客データベースを元に、商品の売買から保守サービス、問い合わせ対応など、個々の顧客とのすべてのやり取りを一貫して管理することにより実現する。顧客ニーズにきめ細かく対応することで、顧客の利便性と満足度を高め、顧客を常連客として囲い込んで収益の極大化をはかることを目的としている。
- SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)
- 社会的ネットワークをインターネット上で構築するサービスのこと。代表的なSNSとして、海外ではFacebookやMySpace、日本ではmixiやGREE、モバゲータウンなどが挙げられる。
- ソーシャルメディア
- WEBサイトが一方的に情報を発信するだけではなく、WEBサイトとユーザーが、あるいはユーザー同士が双方向でのコミュニケーションを行うサイト。ブログ、SNS、口コミサイト、Q&Aサイトなどはソーシャルメディアの一つの形態。
- ドロップシッピング
- 個人のインターネットユーザーが無在庫販売を行うことが出来る仕組み。個人は豊富な商品情報を利用して商品を自由に価格設定でき、梱包・発送など受注後の業務を行う必要がないため、誰でも簡単にネットショップを持つことができるサービス。
- バナー広告
- ウェブページ上に、画像やテキストを貼り付けるタイプのインターネット広告。主に画像タイプのものをバナー広告と呼ぶことが多く、テキストのみのバナーはテキストバナー広告と呼ばれる。掲載先のウェブサイト(ページ)のページビュー、インプレッションが多ければ多いほど、掲載料金は高くなる。また、ページビューやインプレッションに依存する料金体系のバナー広告とは別に、成果報酬型のバナー広告もある。成果報酬型バナー広告は、バナーをクリックしてサイトに訪れた人が、実際に何らかの成果となるアクション(商品購入や資料請求など)を起こした件数に応じて費用が発生する。
- フルフィルメント
- 通信販売やEC販売において、商品の発注から決済、ピッキング、配送までのトータルの業務のことをさす。
- PV(ページビュー)
- インターネットの用語として、ウェブブラウザを用いてウェブページを見ることを閲覧と言い、その回数をページビューという。
- UU(ユニークユーザー)
- ウェブサイト、またはウェブサイト内の特定のページを訪問した人の数。同じウェブサイト(またはページ)を同じ人が何度も訪問した場合も、1ユーザーとしてカウントされる。
- Lean Startup(リーンスタートアップ)
- アジャイル開発に顧客からのフィードバックを組み込むことで、顧客を開発することを特徴としたサービスの開発手法。市場性が未知数のサービスを効率よく開発するために考案された。
































