パナソニック電工IS(4283)
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直近更新内容
ハイライト
2012年4月25日、パナソニック電工インフォメーションシステムズ株式会社は2012年3月期通期決算を発表した。
(決算短信へのリンクはこちら、2012年3月期通期実績の項目へのリンクはこちら)
同日、同社は取締役会において、2012年6月15日開催予定の当社第14回定時株主総会において定款変更が承認されることを条件として、商号変更を実施することを決議したと発表した。
新商号はパナソニック インフォメーションシステムズ株式会社(英文表記:Panasonic Information Systems Co.,Ltd.)となる予定である。変更予定日は2012年7月1日となっている。
3ヵ月以上経過した会社発表はニュース&トピックスへ
業績動向
四半期実績推移
2012年3月期通期実績
2012年4月25日、同社は2012年3月期通期決算を発表した。
売上高は前年比6.3%増の36,373百万円、営業利益は同1.2%増の4,254百万円であった。一方、当期純利益は同13.7%減の2,227百万円となった。当期純利益が減益となった主因は、構造改革費用として451百万円を特別損失に計上したためである。構造改革費用は、パナソニック株式会社(東証1部6752)によるグループ新体制発足に伴い賞与期間を一致させたことに伴う賞与引当金繰入が大半だが、早期退職制度実施に伴う特別損失も80百万円程度含んでいる模様だ。
会社予想対比では、営業利益が約300万円(6.5%程度)未達に終わったが、要因としては、上期に開発案件のボリュームディスカウント等によって売上総利益率が低下し、そのビハインドを下期で取り戻せなかったことが挙げられよう。もっとも、下期については、ほぼ会社予想並みで着地した模様である。
通期実績の販売先別の内訳としては、パナソニックグループ向けの売上高は29,019百万円(売上構成比79.8%)、一般市場向けの売上高は7,354百万円(同20.2%)。2011年3月期実績は、パナソニックグループ向けの売上高が27,513百万円(売上構成比80.4%)、一般市場向けの売上高は6,707百万円(同19.6%)であったことから、一般市場向けの売上高比率が高まった格好。同社は、2012年1月のパナソニックグループ再編に伴い、従来の「パナソニック電工グループ」「パナソニック電工グループ外」という区分を「パナソニックグループ」「一般市場」へと変更している。参考までに、従来区分でいくと、2012年3月期はパナソニック電工グループ向けの売上構成比が67.6%、パナソニック電工グループ外向けが32.4%であった(2011年3月期はパナソニック電工グループ向けの売上構成比が69.6%、パナソニック電工グループ外向けが30.4%)。
同社が外販の強化として「5つの成長事業」を現中期経営計画にて掲げているが、その2012年3月期通期実績は以下(括弧内は2012年3月期通期計画)。
- インフラ最適化事業:4.7億円(10.3億円)
- IT運用サービス事業:7.0億円(4.3億円)
- 設計プロセス改革事業:2.7億円(1.5億円)
- 基幹業務SI事業:3.9億円(8.5億円)
- (旧)パナソニック電工との協業:3.3億円(4.4億円)
「IT運用サービス事業」、「設計プロセス改革事業」は計画を超過達成したが、その他事業については未達となった。もっとも、一部2013年3月期に先送りになった案件もあり、同社は2013年3月期における「5つの成長事業」の達成に一定の自信をみせている。
2012年3月末の受注残は2,235百万円と2011年3月末の5,088百万円から前年比56.1%減となった。2011年3月期末受注残のうち、約2,400百万円がパナソニックグループ事業再編に向けたITシステム改編に伴う案件の模様。従って、ワンパナソニック対応案件が進捗し、受注残高が減った側面もある。ただしそれ以外にも、1)パナソニックグループの事業再編に伴うシステム構築案件に人員をシフトしているため、それ以外の案件に十分には人員を回せていなかったこと、2)パナソニックグループの事業再編後のシステム開発の動向が定まっていないこと、なども受注残高減少の要因ではないかとSR社は推測している。
ちなみに、2012年3月をもって無事にワンパナソニック対応を終えたとのことだ。ワンパナソニック対応を無事に乗り切ることは、同社がパナソニックグループの信頼を得て、次の仕事につなげる上で重要とみられただけに、将来を展望するに際してもポジティブに評価できるポイントとSR社は考える。
同社のコメントを基に、2012年3月期通期の取扱品目別の状況をまとめると下記の通りとなる。
- システムサービス
売上高は22,244百万円(前年比0.4%増)、売上総利益率は20.7%(2011年3月期:19.9%)であった。既存顧客に対するサービス価格の下落が続いたものの、新規顧客の獲得により大阪中央データセンターの稼働率が向上したことで、売上高は2011年3月期をわずかに上回った。売上総利益率も、サービス価格の下落影響を受けたものの、システム運用管理の効率化や開発案件への人員シフトによる原価改善の結果、2011年3月期を上回った。
- システムソリューション
売上高は8,004百万円(前年比25.7%増)、売上総利益率は19.2%(2011年3月期:19.2%)であった。
大幅な増収となった要因は下記1)~3)である。
1)システム構築案件では、大手住宅メーカーの基幹システム、大手通信会社のWebシステムなどに取り組んだ 2)自社開発ソフト・パッケージでは、「ワークフローパッケージ(連結子会社パナソニック電工ネットソリューションズ株式会社の製品)」が好調であった 3)パナソニックグループの事業再編に伴うシステム構築案件に取り組んだ
売上総利益率は、大型案件におけるボリュームディスカウント、開発原価の増加などにより、2011年3月期を下回った。
- システム機器・通信機器関連
売上高は6,125百万円(前年比7.5%増)、売上総利益率は16.2%(2011年3月期:17.9%)であった。地方自治体への大規模シンクライアントシステム導入に伴う関連機器販売やビデオ会議システムなどが好調に推移した結果、増収となった。一方、売上総利益率は2011年3月期を下回った。しかし、高付加価値製品の販売に注力した結果、過去のトレンド比では引き続き高い水準を維持した。
- その他トピック
同社は2012年4月25日開催の取締役会において、2012年6月15日付の代表取締役および役員の異動を内定した。注目されるのは、新たな代表取締役副社長に2012年4月現在ではパナソニックのコーポレート情報システム社グローバル本部長を務める岡島氏が就任する予定となっている点であろう。岡島氏は、いわばパナソニックの海外ITネットワークの統括ともいえるポジションにあり、今後同社の副社長に就任することで、同社にとっては、(旧)パナソニック電工以外のパナソニックグループ各社と海外IT部門も含めて連携が図り易くなるものと期待される。また、現中期経営計画が2013年3月期をもって最終年度となるため、2014年3月期以降3カ年の新たな中期経営計画が策定される予定であり、岡島氏は策定の際の中心になるものと目される。
過去の四半期実績と通期実績は、過去の業績へ
2013年3月期の見通し
2013年3月期は、本来ならば、現中期経営計画の最終年度であり、売上高40,000百万円、営業利益4,900百万円をめざす予定であった。しかし、2012年1月のパナソニックグループ事業再編を終えた直後ということもあり、同社自身にとっても見通しを立てにくい環境下にあるものと推測される。とりあえず、そうした不透明な環境下においても、増収増益をめざすというのが会社予想に込められた会社のメッセージであろうとSR社では理解している。同社の今後を占うる上でも、2013年3月期の持つ意味合いは大きい。
売上高予想の内訳は、パナソニックグループ向けが30,000百万円(売上構成比78.9%)、一般市場向けが8,000百万円(同21.1%)。2012年3月期実績が、パナソニックグループ向けが29,019百万円(売上構成比79.8%)、一般市場向けが7,354百万円(同20.2%)のため、パナソニックグループ向けで前年比3.4%増、一般市場向けで前年比8.8%増の計画。
SR社の考えでは、パナソニックグループ向け売上高が上振れるとすれば、パナソニックグループのシステム業務で同社がこれまで手掛けていなかった業務、例えば、既存のパナソニック電工社以外の業務を同社が本格的に担うことになる可能性、パナソニックグループとの協業がこれまで以上に進展するケースなどが挙げられよう。一方、下振れリスクとして考え得るのが、パナソニックグループの業績が低迷する中、IT予算の大幅な削減などを断行するケースが挙げられよう。同社は、パナソニックグループ向け売上高に関しては、こうした点も含めた一定の期待と懸念を織り込んだ数字であると説明している。
同社が外販の強化として「5つの成長事業」を現中期経営計画にて掲げているが、最終年度である2013年3月期における計画値は以下(括弧内は2012年3月期通期実績)。「Nextructure事業」は従来、「インフラ最適化事業」という区分であったが、シンクライアント事業を加えた上で、「Nextructure事業」へと変更されている。また、パナソニックグループとの協業は、販売方法によっては、パナソニックグループ向け売上高にカウントされる点に留意したい。
- Nextructure事業:31.0億円(18.8億円(内訳はインフラ最適化事業1,413百万円、シンクライアント事業473百万円)
- IT運用サービス事業:8.0億円(7.0億円)
- 設計プロセス改革事業:4.0億円(2.7億円)
- 基幹業務SI事業:10.0億円(3.9億円)
- パナソニック電工との協業:5.0億円(3.3億円)
「IT運用サービス事業」に関しては、2012年3月末時点で94%であった稼働率が、2012年度中に100%稼働となる模様。また、2012年4月下旬時点でほぼ確定している金額は、同社によれば下記の通りである。
- Nextructure事業:6.5億円
- 設計プロセス改革事業:1.1億円
- 基幹業務SI事業:4.2億円
- パナソニックグループとの協業:3.8億円
同社は、「設計プロセス改革事業」に関してはやや達成の可否が不透明ながら、その他の「成長事業」に関しては達成に一定の自信を有していると述べている。
営業利益率に関しては、11.3%と2012年3月期より0.4ポイント低下する計画。同社は、上記不透明感から一定程度保守的な想定をした上で、営業利益率の幾分の低下を見込んでいる模様だ。
将来の展望
同社の将来を展望する上では、パナソニックグループ向け売上高の拡大、それ以外の一般市場開拓という二つの観点から分析する必要があろう。
2012年5月時点で、2012年1月のパナソニックグループ事業再編が同社に与えるインパクトを見極めるのは難しい。パナソニックグループ自体の方向性を見定める必要があるし、同社との関係も不透明だからである。
パナソニックグループ再編が同社に与える影響はプラス、マイナスの両側面を持ちうるとSR社は推測する。
マイナスの影響を被るリスクとして、同社は旧パナソニック電工社のシステム全般を担ってきたが、再編・統合後の有り方次第では、同社への業務が一部喪失する可能性も否定はできない。例えば、同社がこれまで手掛けていた旧パナソニック電工社の本社機能が統合されることによって、同社がそうした仕事を失うかもしれない。また、パナソニックグループの業績が厳しいようであれば、IT予算が削減される可能性も否定はできない。一方、プラスの恩恵を受ける可能性としては、パナソニックグループのシステム業務で同社がこれまで手掛けていなかった業務、例えば、旧パナソニック電工社以外のシステム業務を同社が担うことになる可能性が挙げられよう。
パナソニックグループ事業再編に向けたITシステム改編を無事に同社が終えたということ、2012年6月からパナソニックの海外ITネットワークの統括経験を有する岡島氏が新たに代表取締役副社長に就任する予定であること、などを踏まえれば、同社にとって、プラスの側面が多いのではないかとSR社では考えている。
一般市場開拓に関しては、同社は限られたリソースをフル活用して、顧客との関係を強化して行く方針である。同社が開拓すべき一般企業として照準を絞っているのが、大手・中堅企業。より具体的には、製造業(年商300億円以上)、学校法人(中規模2,000名以上)、メーカー系卸売業(年商100億円以上)などである。同社は、2013年3月期までの中期経営計画において、5つの事業を成長事業と位置付け、強化してきた。同社は2012年3月期までを振り返って、「インフラ最適化事業(ネットワークの最適化、仮想化、BCPの実現など)」、「基幹業務SI事業」などに置いて相対的な競争力があることがわかったと述べている。また、「伸びしろ」という点においては、パナソニックグループとの協業に成長ポテンシャルを見出しているようである。
ちなみに、同社は2013年3月期において、現中期経営計画が最終年度となるため、2014年3月期以降3カ年の新たな中期経営計画が今後策定される見込みである。
事業内容
ビジネス
システムの提案から開発、運用保守までを手掛けるIT総合会社である。2012年3月期における、パナソニックグループ向けの売上高は約80%、一般市場向けの売上高は約20%を占める。
ビジネス・モデル
システムサービス(2012年3月期売上高構成比:61.2%、売上総利益率:20.7%)
基幹システムの運用保守、サーバアウトソーシング、SaaS/ASPサービス(Software as a service/Application Service Providerの略:業務向けソフトウェアをインターネットを通じて、顧客にレンタルすること)などのストック型のサービスを提供している。同社は下記2つのデータセンターを保有している。
- 大阪IDC(大阪府門真市):パナソニック電工本社敷地内に位置し、面積は約16,500㎡。大型コンピュータ9台運用、サーバ:約1,400台運用
- 大阪中央データセンター(大阪市西区):2009年に開設、面積は約1,000㎡
システムサービスは概ね固定料金で1年ごとの契約が中心となっている。SR社は、システムサービスの利益率の決定要因として、料率のほかに、稼働率の上下動があるとみている。システム運用を行う技術者の人件費やデータセンターの設備関連費など固定費の割合が相対的に高く、需要量に基づく稼働率の上下動が利益率に影響し易いものと考えられるからだ。
システムソリューション(2012年3月期売上高構成比:22.0%、売上高総利益率19.2%)
業務コンサルティング、システム企画提案、受託開発やパッケージソフトの開発・販売などフロー型のサービスを提供している。
通常は、プロジェクト毎に受注を受ける格好となっており、同社と顧客がプロジェクト全体の日程と段階に基づいて一連の評価基準(例、見積もり金額=人月単価×人数×期間)を定め、売上高はその進捗に応じて工事進行基準で計上されている。同社に限らず、一般的な業界の状況として、当初想定された期間以内にプロジェクトが完了すれば、利益率が高く、想定された期間以上にプロジェクトに時間を要すれば、採算が悪化する傾向がある。
システム機器・通信機器関連(2012年3月期売上高構成比:16.8%、売上高総利益率16.2%)
PC、サーバやネットワーク機器などシステムサービスやシステムソリューションに付帯する機器の販売、関連工事、情報機器導入支援などを行っている。
売上高の顧客別内訳
売上高の顧客別内訳は、2012年3月期実績で旧パナソニック電工グループ向けが67.6%、それ以外の一般企業向けが32.4%となっている。旧パナソニック電工グループ企業には、ケイミュー株式会社などの大手企業を始めとした旧パナソニック電工社の子会社が含まれていた。
業種別の顧客内訳としては製造業の比率が高い。ちなみに、同社の受注はほぼ全てがエンドユーザーから直接受注する元受契約である。
同社は、2012年1月のパナソニックグループ再編に伴い、従来の「パナソニック電工グループ」「パナソニック電工グループ外」という区分を「パナソニックグループ」「一般市場」へと変更している。2012年3月期実績では、パナソニックグループ向けの売上高は29,019百万円(売上構成比79.8%)、一般市場向けの売上高は7,354百万円(同20.2%)。2011年3月期実績は、パナソニックグループ向けの売上高が27,513百万円(売上構成比80.4%)、一般市場向けの売上高は6,707百万円(同19.6%)であった
同社によれば、パナソニックグループ、一般市場の各企業それぞれとの契約形態に大差はない。同社が営業活動を行っているのは、専ら一般企業向けであり、グループ内であれば営業経費は掛からないという側面はある。しかし、採算は営業経費を含めて考えれば、グループ内外で特に差があるわけではないとのことだ。過去を振り返ると旧パナソニック電工社から毎年値下げ要求はきていたが、同社は追加的なサービスやより難処理のサービスを提供することによって、こうした値下げ圧力を最小限に食い止めてきた模様だ。
同社の従業員数は、2012年3月期末で連結688人(単体629人)。同社によれば、内訳はパナソニック電工出身者が約1/3、プロパー社員が約1/3、中途入社の社員が約1/3とのことである。
ビジネスの特徴
特徴1: 高いストック型ビジネスの売上構成比
ストック型のサービスであるシステムサービスの売上構成比が高いことである。
同社のビジネスは、システムソリューションを提供し、それをシステムサービスや、機器販売につなげていくモデルとなっている。同社の場合は、システムサービスからもたらされる売上高構成比が2012年3月期で約61%を占める。
同社の事業を移動体通信事業に例えるならば、同社は携帯電話端末をつくる会社ではなく(ITサービス業界ではITハードウェアメーカーが該当)、携帯電話を販売し、アフターサービスを提供するビジネスである。つまり、携帯電話端末の販売代金に相当するのが、システムソリューション売上高であり、月額基本使用料に相当するのが、システムサービス売上高となる。
ITサービス業界は、特定の大口顧客(業種)への依存や期末における業務の集中、受注を拡大しようとするあまり、これまで馴染みのなかった不慣れな分野の案件にも手を出してしまい、結果として不採算なプロジェクトとなってしまう傾向にあるなど、業績の起伏が大きい業界といえる。しかし、同社の場合、特定の大口顧客(旧パナソニック電工社)に依存してはいるが、ストック型ビジネスの比重が高いことが相対的な収益の安定化につながっているものと推測される(「収益性」の項参照)。また、SR社は、同社が大口顧客である旧パナソニック電工社の業務を熟知していることにより、案件の採算性を一定水準に保つことが可能となっているのではないかと考える。
もっとも、ストック型のサービスが収益の観点から盤石かといえばそうではない。ユーザーにとっては、ランニングコストに該当するだけに、ユーザーが抜本的なIT予算の削減を実施した場合やユーザーがビジネス・モデル、戦略などを従来から変更した際などは通常は想定できなかったような売上高の減少に通じるリスクもある。
特徴2:旧パナソニック電工社のシステム全般に関与
同社のビジネス・モデルのもう一つの特徴が、旧パナソニック電工社のシステム全般に関わっている点にある。
ITサービス業者を大まかに分けると、「メーカー系」、「ユーザー系」や「商社系」、「独立系」に分類できる(下図を参照)。ここで「メーカー系」とは、ハードウェアをつくっているいわゆるITハードウェアメーカー系の会社のことである。IBM社、ヒューレット・パッカード社、デル社、株式会社日立製作所(東証1部6501)、日本電気株式会社(東証1部6701)、富士通株式会社(東証1部6702)などとその系列企業をさす。
一方、「ユーザー系」とは、製造業、金融業の情報システム部門が分社化されて設立された会社。「商社系」とは、商社から分社化されて設立された会社。「独立系」とは文字通りそれ以外独立した企業群である。「ユーザー系」としては株式会社野村総合研究所(東証1部4307)、新日鉄ソリューションズ株式会社(東証1部2327)、「商社系」としては、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(東証1部4739)や住商情報システム株式会社(東証1部9719)などが挙げられよう。「ユーザー系」の特徴として、一般的に「特定顧客(ユーザー)の業務知識」を熟知していることが差別化要素の一つになっていることが挙げられる。これは同社に関しても当てはまるといえるだろう。
注:住商情報システム株式会社、株式会社CSKは2011年10月に合併、SCSK株式会社に
出所:野村総合研究所よりSR社作成
同社は、旧パナソニック電工社から分社化されて設立された会社であり、「ユーザー系」に該当する。同社は、旧パナソニック電工社のバリューチェーン(設計→生産→物流→販売→管理)や人事、経理など基幹業務、旧パナソニック電工社と代理店、工事店・工務店や協力工場との連携システムなどシステム全般を長年担ってきた。従って、旧パナソニック電工社の主力業務であった、「電材(照明・情報機器)」、「住設建材」、、「制御機器」、「電子材料」などに対する知識、およびバリューチェーン、基幹業務のシステム構築・運用で培ったノウハウ・経験を有しているといって良いであろう。
旧パナソニック電工社のシステム全般に関わってきたということは2つの意味を持つ。すなわち、旧パナソニック電工社やそのグループ企業と同社の結びつきは非常に強く、他社に対する参入障壁は高いということ、そして、同社がそこで培ったノウハウ・経験を他社にサービスを展開していく上で活用できる可能性があるということである。
同社は、旧パナソニック電工社の要求水準は非常に高く、そのことが同社のスキル向上に貢献してきたとコメントしている。同社は、その一例として、「Egenera Blade Flame」の導入を挙げている。同社は情報システムの処理量増加に対する対応策として、「仮想化における統合」の採用を決断。2004年に国内ではまだ実績が少なかった、イージェネラ社の製作した「仮想化」を実現するブレードサーバー「Egenera Blade Frame」を基幹システムの基盤として採用した。2012年5月現在、「Egenera Blade Flame」はクラウド・コンピューティングの基盤としても注目されているが、同社はそれをいち早く取り入れ、ノウハウを培ってきたとのことだ。
もっとも、顧客別の売上高構成比率をみると、同社の一般市場向けの売上高比率は2012年3月期で20.2%(売上高:7,354百万円)。水準はさほど高くないため、同社が旧パナソニック電工グループ外の一般企業の開拓に成功しているとはいい難く、今後も当該分野の開拓が課題といえよう。
一般企業向けに同社はこれまで、シンクライアント(Thin cient、クライアントに最低限の機能しか持たせず、サーバ側でアプリケーションソフトやファイルなどの資源を管理するシステムの総称)、販売管理システム「メタフォース」、EAI (Enterprise Application Integrationの略。企業内で業務に使用される複数のコンピュータシステムを有機的に連携させ、データやプロセスの効率的な統合をはかること。また、それを支援する一連の技術やソフトウェアの総称)、などを中心に展開してきた。
収益性、財務比率
2007年3月期以降の同社の営業利益率をみると、概ね12%前後の水準で推移しており、安定している。1)ストック型のサービスであるシステムサービスの売上構成比が高いこと、2)大口顧客である旧パナソニック電工社の業務を熟知していることにより、案件の採算を一定に保つことが可能となっていること、などが同社の営業利益率が安定している理由であるとSR社は推測している。
SW(Strengths, Weaknesses)分析
強み(Strengths)
- ストック型のサービスの売上比重が高い: 同社の業績はストック型のサービスであるシステムサービスの売上構成比が高いことなどから、比較的安定している。一般的にITサービス業界は業績の起伏が大きいが、同社はこの点で他社と一線を画している。
- 旧パナソニック電工社のシステムを担ってきたこと:同社と旧パナソニック電工社、旧パナソニック電工グループの結びつきは非常に強く、当該領域に対する他社に対する参入障壁は高い。また、旧パナソニック電工社向けの業務で培ったノウハウ・経験を一般企業に転用できるポテンシャルも秘めているといえよう。
- パナソニック・ブランドへの信頼感: 同社が社名に「パナソニック」を冠していることによって、ユーザーが同社に発注する際の安心感につながる側面があるとSR社は推測している。同社もこの点を認識している。
弱み(Weaknesses)
- 旧パナソニック電工社への依存度が高い: 旧パナソニック電工社への売上依存度が高く、旧パナソニック電工社の予算やグループ戦略変更などによって同社の業績が左右されやすい収益構造となっている。
- 一般企業開拓のインセンティブの持続性: SR社は、同社が大口顧客向けの安定した収益基盤を抱えてきたことによって、一般企業を開拓するインセンティブがやや弱いという側面があったのではないかと推測する。今後はパナソニック電工社向けの業務で培ったノウハウ・経験を活かしつつ、一般企業を開拓していくためには、失敗を恐れず成長を貪欲にめざす企業文化を創り出していく必要があるといえよう。
- 市場の成長率が限られる中での差別化されたソリューション提供の難しさ(他社も同様): この点は、他社と同様の素材、工法を用いなければならないが、高いスキルを有する住宅メーカーにも同様のことがいえるかもしれない。同社は、とりわけ製造業に対して、他社よりも優れたソリューションを提供し得る。しかし、低成長の市場にあっては、そうしたソリューションの差別化が受注につながるとは限らない。
市場とバリューチェーン
マーケット概略
同社の売上規模を踏まえれば、おそらく市場動向というよりは同社の個別要因、あるいは大口顧客の予算が同社に与える影響の方がより重要といえよう。そのため、同社の置かれた状況を俯瞰的に把握するためのあくまで参考として、市場動向(市場規模、技術動向)ついて記載する。
経済産業省によれば、情報サービス産業全体の売上高は、2007年度の約11.2兆円をピークに、2008年度:約11.0兆円(前年比2.5%減)、2009年度:約10.3兆円(同5.8%減)、2010年度:約10.0兆円(同3.3%減)と3年連続で減少した。2010年度以降、日本企業全体の収益は改善傾向にあるが、企業のIT投資が企業収益に遅行する傾向があることなども2010年度の同売上高減少の要因とみられる。
日銀短観3月調査によれば、2012年度のIT投資(ソフトウェア投資額)は全産業で前年比1.8%減が計画されている。先行き不透明感がこうしたIT投資抑制傾向の背景にあるとみられる。
技術的変化に関していえば、過去においては、1980年代後半から1990年代前半にかけてコンピュータ技術はメインフレームからオープンシステムへと移行、IT業界の構造、事業者のビジネス・モデルや競合状況に大きな変化をもたらした。現時点(2011年5月)で起きつつある、クラウド・コンピューティング(ソフトウェアやハードウェアを所有せず、インターネットを通じて「サービス」として利用する形態、以下クラウド)の普及も、メインフレームからオープンシステムへの移行と同程度の影響度を業界にもたらす可能性がある。
株式会社アイ・ティ・アール(独立系IT調査会社)の調査(2012年)によれば、クラウドサービスの活用により、従来型のITサービス費用削減に成功したと答えた企業は、60%以上に上っており、2012年以降5年間におけるクラウドベースのアウトソーシングは加速するとの見方もある。
同社は、他社に先駆けて旧パナソニック電工社にクラウドサービスを導入してきた実績等をもって、「プライベート・クラウド構築(プライベート・クラウドとは自社内のコンピュータリソースをクラウド型に作り替えること)」をグループ外の一般企業に対しての強化事業として位置付けている。従って、上記の環境は同社にとって追い風ともいえる。反面、同分野における競合が激化するようであれば、同社の業績に対する逆風とも成り得る。
参入障壁
ITサービス業者は数多く存在しているように、参入障壁は低い。例えば、複数のSE(システム・エンジニア)と営業マンがいれば、ITサービス事業を開始することができる。しかし、実際はより複雑である。ITサービス業者のメインプレイヤーは顧客との関係を構築するのに複数年を要しており、各クライアントのシステムに対する知識を有している。この点が優位性へとつながり、クライアントとの継続的なビジネスや相対的な利益率の高さにつながっている。
そうした優位性は同社と旧パナソニック電工社の関係に示されるような深い関係の際により明確となる。(実際に同社以外が受注を取り得るかどうかは別として)同社が手掛ける、旧パナソニック電工社向け、あるいは旧パナソニック電工グループ向けのビジネスに対し、他社が業務知識の深さ、長年の実績で優るのは難しく、他社にとっての参入障壁が高いといえよう。
競合環境
ITサービス業者については「ビジネス・モデル」の項に記載した通りである。基本的に競合環境は厳しいといえよう。同社の場合、一般企業からの案件獲得の際に競合するのは、富士通社、日本電気社など大手コンピュータメーカーが多いとコメントしている。
経営戦略
同社は、パナソニックグループ向けの売上高を安定成長させつつ、グループ以外の一般企業を開拓しようとしている。
同社は売上高拡大のための「武器」として、旧パナソニック電工社のシステム全般に関わってきたことから得たノウハウ・経験の一般企業への展開を指摘している。同社によれば、旧パナソニック電工社のシステムに対する要求水準は高く、これに対応する過程で、同社の力はかなりの程度底上げされたとのことだ。同社はこの力のことを「現場力」と呼んでいる。
もっとも、この「現場力」という武器を駆使するための課題も存在する。SR社は、同社が一般企業開拓のインセンティブを持続し得る体制、および売上高拡大のための人員数等リソースの確保が課題であろうと考える。
長らく、旧パナソニック電工社および旧パナソニック電工グループ企業向けにビジネスを展開してきた同社が、突然それ以外の一般企業営業をアグレッシブに展開するという姿は、なかなかイメージしにくい。もっとも、同社の前川社長は社員のインセンティブを高めるべく、現中期経営計画策定にあたっては、ボードメンバーと現場の職員との間で何度も意見交換を実施。積み上げによってできあがった数値が「外販の拡大」による売上高5,000百万円の創出であると述べている。そうした社員のインセンティブ向上を継続的に図る努力が、同社が一般企業開拓を通じて、成長を実現していくための鍵であるといえるだろう。
一方、より高いハードルになるかも知れないのが、人員数等リソースの確保である。同社の人員体制は既存のビジネスに対応したものであり、長年のコスト削減の過程で、一般企業開拓を進めていく体制は未だ整っていないものと思われる。今後より人員数を増やす必要があるが、新たな人員が同社の武器である「現場力」を備えるのは一朝一夕では不可能であろう。同社がこの難題をどのようにしてクリアするかが注目される。
過去の業績
2012年3月期第3四半期実績
2012年1月27日、同社は2012年3月期第3四半期の決算を発表した。2012年3月期通期会社予想に変更はない。
第3四半期累計期間の売上高は前年比8.8%増の26,615百万円、営業利益は前年比0.9%増の2,780百万円であった。四半期純利益は同0.2%減の1,608百万円となったが、これには構造改革費用として102百万円を特別損失に計上したことも影響している。
パナソニック電工グループ向けの売上構成比は69.0%(2011年3月期第3四半期累計期間:71.9%)、パナソニック電工グループ外の一般企業向けの売上構成比は31.0%(2011年3月期第3四半期累計期間:28.1%)であった。一般企業向けの売上に関しては、現中期経営計画にほぼ沿った実績であったと同社は評している。
同社が外販の強化として「5つの成長事業」を現中期経営計画にて掲げているが、その2012年3月期第3四半期累計期間における実績は以下(括弧内は2012年3月期通期計画)。
- インフラ最適化事業:2.9億円(10.3億円)
- IT運用サービス事業:4.9億円(4.3億円)
- 設計プロセス改革事業:2.0億円(1.5億円)
- 基幹業務SI事業:2.7億円(8.5億円)
- パナソニック電工との協業:0.6億円(4.4億円)
「インフラ最適化事業」、「基幹業務SI事業」がやや通期計画に対して進捗が遅れ気味、「IT運用サービス事業」、「設計プロセス改革事業」が計画を超過するペース、「パナソニック電工との協業」は第4四半期に売上がまとまって計上される見込みであるためほぼ計画通りとやや事業毎にばらつきがある。「インフラ最適化事業」に関しては、競合激化で新規案件の受注に苦戦している模様。一方、「基幹業務SI事業」に関しては、受注獲得までに時間を要しており、売上計上が2013年3月期に後ズレしている面もあるという。一方、「IT運用サービス事業」に関しては、同社の大阪中央データセンターの稼働率が90%超の水準へと想定を上回るスピードで向上するなど、引き合いが強いようだ。「パナソニック電工との協業」に関しては、テーマパーク・水族館等3施設の集客運営管理システムの受注を獲得していたが、その売上が今後計上される見込みだ。
ちなみに、株式会社アイ・ティ・アール(独立系IT調査会社)の調査によれば、2012年度の国内におけるIT投資は前年度対比で小幅上昇に留まる見通し。ただし、分野別には濃淡があり、「IT基盤改革」、「セキュリティ」、「事業継続性の確保」などに関する投資意欲が強いという。同社における重点事業でいえば、「プライベート・クラウド構築」、「仮想デスクトップ(DaaS)」、「データセンターサービス」などがこうした分野に該当する。
2012年3月期第3四半期末の受注残高は前年比41.9%減の2,957百万円であった。このうち、770百万円程度がワンパナソニック対応案件(パナソニックグループの事業再編に伴うシステム構築案件)とみられる。同社は2012年3月期第3四半期累計期間で1,460百万円程度、ワンパナソニック対応案件で売上を計上したと推測される。2012年1月がワンパナソニック対応の山場となった模様だが、無事にこれを乗り切ることができたようだ。ワンパナソニック対応を無事に乗り切ることは、同社がパナソニックグループの信頼を得て、次の仕事につなげる上で重要とみられただけに、ポジティブに評価できるとSR社は考える。
一方、受注残高は、2012年3月期第1四半期末の5,216百万円、同第2四半期末の3,724百万円等と比較すると減少傾向にある。ワンパナソニック対応案件が進捗し、受注残高が減ったこともあるが、1)パナソニックグループの事業再編に伴うシステム構築案件に人員をシフトしているため、それ以外の案件に十分には人員を回せていないこと、2)パナソニックグループの事業再編後のシステム開発の動向が定まっていないこと、なども受注残高減少の要因ではないかとSR社は推測している。今後の受注残高積み上げは課題といえよう。
同社によれば、2012年3月期第3四半期累計期間の実績は、会社計画対比で、売上高はほぼ会社計画通りであったが、営業利益は会社予想を下回ったとのことである。これは、第2四半期までのビハインドを取り戻せていないためであり、2012年3月期第2四半期累計期間に、開発案件のボリュームディスカウント等によって売上総利益率が低下したことが主因とみられる。もっとも、同社は第4四半期の挽回も可能として、2012年3月期通期会社予想は据えおいている。
同社のコメントを基に、2012年3月期第3四半期累計期間の取扱品目別の状況をまとめると下記の通りとなる。
- システムサービス
売上高は16,607百万円(前年比0.1%増)、売上総利益率は19.9%(2011年3月期第3四半期累計期間:19.5%)であった。既存顧客に対するサービス価格の下落が続いたものの、新規顧客の獲得により大阪中央データセンターの稼働率が向上したことで、売上高は前年同期をわずかに上回った。売上総利益率も、サービス価格の下落影響を受けたものの、システム運用管理の効率化や開発案件への人員シフトによる原価改善の結果、前年同期を上回った。
- システムソリューション
売上高は6,028百万円(前年比51.3%増)、売上総利益率は16.9%(2011年3月期第3四半期累計期間:23.1%)であった。
大幅な増収となった要因は下記1)~3)である。
1)システム構築案件では、大手住宅メーカーの基幹システム、大手通信会社のWebシステムなどに取り組んだ
2)自社開発ソフト・パッケージでは、「ワークフローパッケージ(連結子会社パナソニック電工ネットソリューションズ株式会社の製品)」が好調であった
3)パナソニックグループの事業再編に伴うシステム構築案件に取り組んだ
売上総利益率は、大型案件におけるボリュームディスカウント、開発原価の増加などにより、前年同期を下回った。
- システム機器・通信機器関連
売上高は3,979百万円(前年比2.4%増)、売上総利益率は16.8%(2011年3月期第3四半期累計期間:18.2%)であった。地方自治体への大規模シンクライアントシステム導入に伴う関連機器販売やビデオ会議システムなどが好調に推移した結果、増収となった。一方、売上総利益率は前年同期を下回った。しかし、高付加価値製品の販売に注力した結果、過去の実績比では引き続き高い水準を維持した。
2012年3月期第2四半期実績
2011年10月25日、同社は2012年3月期第2四半期の決算を発表した。第2四半期累計期間の売上高は前年比9.4%増の18,215百万円、営業利益は前年比4.7%増の1,996百万円であった。
パナソニック電工グループ向けの売上構成比は67.2%(2011年3月期第2四半期累計期間:71.2%)、パナソニック電工グループ外の一般企業向けの売上構成比は32.8%(2011年3月期第2四半期累計期間:28.8%)であった。同社は今決算の特徴の一つとして、外販ソリューションが大きく伸長した点を指摘している。同社が力を入れているソリューションの実例を挙げると、シンクライアントは前年比42.1%増の789百万円、ERPソリューション「GRANDIT」は前年比106.0%増の192百万円、ビデオ会議システムは前年比77.9%増の137百万円、環境監視ソリューション「eneview」は前年比125.2%増の32百万円であった。
同社が外販の強化として「5つの成長事業」を現中期経営計画にて掲げているが、その2012年3月期第2四半期累計期間における実績は以下(括弧内は2012年3月期通期計画)。
1.インフラ最適化事業:1.6億円(10.3億円)
2.IT運用サービス事業:2.9億円(4.3億円
3.設計プロセス改革事業:1.4億円(1.5億円)
4.基幹業務SI事業:1.9億円(8.5億円)
5.パナソニック電工との協業0.3億円(4.4億円)
「インフラ最適化事業」、「基幹業務SI事業」がやや通期計画に対して進捗が遅れ気味、「IT運用サービス事業」、「設計プロセス改革事業」が計画を超過するペースと、やや事業毎にばらつきはあるものの、同社は総じてみれば中期計画に沿った推移であると評している。
ちなみに、アイ・ティ・アール社(独立系IT調査会社)の調査によれば、2011年3月に発生した東日本大震災の前後で、企業が今後重視する経営課題の優先度が大きく変化。「IFRSへの対応」や「業務プロセスの効率化」などが震災前は上位であったのに対し、震災後は「災害やシステムダウンへの対応(BCP/DR)」や「経営意思決定の迅速化」、「セキュリティ強化への対応」などが上位に来ている。同社はこの点を踏まえ、同社の「成長事業」でいえば、企業の需要が「基幹業務SI事業」から「インフラ最適化事業」や「IT運用サービス事業」へとシフトしているのではないかとコメントしている。
2012年3月期第2四半期末の受注残高は前年比30.0%増の3,724百万円であった。もっとも、2012年3月期第1四半期末の受注残高(5,216百万円)よりは減少している。SR社では、1)パナソニックグループの事業再編に伴うシステム構築案件が進捗し、受注残高が減ったこと、2)パナソニックグループの事業再編に伴うシステム構築案件に人員をシフトしているため、それ以外の案件に十分には人員を回せていないこと、3)パナソニックグループの事業再編後のシステム開発の動向が定まっていないこと、などが受注残高の減少要因ではないかと推測している。2012年3月期第3四半期以降の受注残高の動向は要注目といえそうだ。
2012年3月期第2四半期累計期間の実績を会社予想と比較すると、売上高は予想を1.2%上回ったものの、営業利益は予想を7.1%下回った。開発案件のボリュームディスカウント等によって売上総利益率が低下したことが、営業利益が会社予想を下回った要因とみられる。もっとも、同社は下期の挽回も可能として、2012年3月期通期会社予想は据えおいている。
同社のコメントを基に、2012年3月期第2四半期累計期間の取扱品目別の状況をまとめると下記の通りとなる。
- システムサービス
売上高は11,102百万円(前年比0.6%減)、売上総利益率は20.5%(2011年3月期第2四半期累計期間:19.9%)であった。新規顧客の獲得により大阪中央データセンターの稼働率が向上したものの、既存顧客に対するサービス価格の下落が続き、売上高は前年同期を下回った。一方、サービス価格は下落したが、システム運用管理の効率化や開発案件への人員シフトによる原価改善の結果、売上総利益率は前年同期を上回った。
- システムソリューション
売上高は4,224百万円(前年比55.9%増)、売上総利益率は17.3%(2011年3月期第2四半期累計期間:22.5%)であった。
大幅な増収となった要因は下記1)~3)である。
1)システム構築案件では、大手住宅メーカーの基幹システム、大手通信会社のWebシステムなどに取り組んだ
2)自社開発ソフト・パッケージでは、「ワークフローパッケージ(連結子会社パナソニック電工ネットソリューションズ株式会社の製品)」が好調であった
3)パナソニックグループの事業再編に伴うシステム構築案件に取り組んだ
売上総利益率は、大型案件におけるボリュームディスカウント、開発原価の増加などにより、前年同期を下回った。
- システム機器・通信機器関連
売上高は2,888百万円(前年比4.3%増)、売上総利益率は16.3%(2011年3月期第2四半期累計期間:17.7%)であった。地方自治体への大規模シンクライアントシステム導入に伴う関連機器販売やビデオ会議システムなどが好調に推移した結果、増収となった。売上総利益率は前年同期を下回った。しかし、高付加価値製品の販売に注力した結果、高い水準を維持した。
2012年3月期第1四半期実績
2011年7月26日、同社は2012年3月期第1四半期の決算を発表した。売上高は前年比7.2%増の8,290百万円、営業利益は前年比16.1%増の860百万円であった。
パナソニック電工グループ向けの売上構成比は70.2%(2011年3月期第1四半期:74.5%)、パナソニック電工グループ外の一般企業向けの売上構成比は29.8%(2011年3月期第1四半期:25.5%)であった。
2012年3月期第1四半期末の受注残高は前年比2.5%増の5,216百万円であった。
2012年3月期上期会社予想は据え置かれた。同社によれば、2012年3月期第1四半期実績について概ね計画通りであったとのことだ。
同社の説明を基に、取扱品目別の状況をまとめると下記の通りとなる。
- システムサービス
売上高は5,573百万円(前年比0.8%減)、売上総利益率は19.4%(2011年3月期第1四半期:18.3%)であった。新規顧客の獲得により大阪中央データセンターの稼働率が向上(稼働率は約53%)したものの、既存顧客に対するサービス価格の下落が続き、売上高は前年同期を下回った。一方、サービス価格は下落したが、システム運用管理の効率化や(開発案件への)人員シフトによる原価改善の結果、売上総利益率は前年同期を上回った。
- システムソリューション
売上高は1,628百万円(前年比58.6%増)、売上総利益率は21.1%(2011年3月期第1四半期:23.7%)であった。
大幅な増収となった要因は下記1)~3)である。
1)システム構築案件では、大手住宅メーカーの基幹システム、大手繊維メーカーのERPシステムなどに取り組んだ
2)自社開発ソフト・パッケージでは、販売管理システム「メタフォース」、「ワークフローパッケージ(連結子会社パナソニック電工ネットソリューションズ株式会社の製品)」などが好調であった
3)パナソニックグループの事業再編に伴うシステム構築案件がスタートした
売上総利益率は、大型案件におけるボリュームディスカウント、開発原価の増加などにより、前年同期を下回った。
- システム機器・通信機器関連
売上高は1,088百万円(前年比0.2%増)、売上総利益率は18.0%(2011年3月期第1四半期:20.9%)であった。機器更新の先送りや買い控えなど厳しい環境が続いたが、ビデオ会議システム、シンクライアント用機器を中心としたシステム機器販売が好調に推移した結果、わずかに増収となった。売上総利益率は前年同期を下回った。しかし、高付加価値製品の販売に注力した結果、過去5年間の実績を振り返れば、2011年3月期第1四半期に次いで2番目に高い水準であった。
2011年3月期通期実績
2011年4月26日、同社は2011年3月期の決算を発表した。売上高は前年比6.6%減の34,221百万円、営業利益は前年比3.8%減の4,205百万円であった。同社は東日本大震災の影響はほとんどなかったとコメントしている。
同社によれば、取扱品目別の状況は下記の通りである。
- システムサービス
売上高は22,155百万円(前年比3.9%減)、売上総利益率は19.9%(2010年3月期:20.7%)であった。大阪中央データセンターにおけるシステム運用で新規顧客を獲得したが、既存顧客に対するサービス価格の下落が続き、売上高、売上総利益率ともに2010年3月期を下回る実績となった。
- システムソリューション
売上高は6,367百万円(前年比8.5%減)、売上総利益率は24.9%(2010年3月期:20.718.4%)であった。システム構築案件では、大手住宅メーカーの基盤システム、大手通信会社のWebシステム、大手製造業のERPシステムなどを受注。また、自社開発ソフト・パッケージでは、販売管理システム、ワークフローパッケージなどが売上に寄与。しかし、パナソニック電工社向けシステム構築の大型案件が2010年3月期で完了したこと、パナソニックグループの事業再編に伴うパナソニック電工社向けシステム構築案件が2011年3月期から2012年3月期に一部延期されたことなどから減収となった。売上総利益率は、高採算の案件を多く受注したこと、コスト抑制などにより、2010年3月期を上回る実績となった。
- システム機器・通信機器関連
売上高は5,698百万円(前年比14.3%減)、売上総利益率は17.9%(2010年3月期:17.2%)であった。データバックアップ・サーバセットアップなどの設定作業は堅調だったが、サーバなどのシステム機器販売が低調であったことなどによって減収となった。一方、売上総利益率は高付加価値商品の販売に特化した結果、2010年3月期を上回った。
その他情報
沿革
同社は1999年にパナソニック電工社の情報システム部門が分社化されて設立された。
パナソニック電工社は1961年に自社初の電子計算システムとしてパンチカードシステムを導入した。当時企画部内に設立された機械計算課が、同社の源流とみなすことができよう。1970年代にパナソニック電工社は、代理店受発注システムの導入や全国営業所のオンライン化を実現。その後も経理、業務、人事などのシステム化を行った。そうしたパナソニック電工社のシステムの企画、開発、導入、運用を一手に引き受けてきた情報システム部門が同社の前身である。
1999年2月には、パナソニック電工社内で蓄積したシステム開発・運用のノウハウ・経験を社外のビジネスにも活用することを企図して、同社を設立。設立当初の従業員は、パナソニック電工社から転籍してきた約300名であった。同年、データウェアハウスビジネス、シンクライアントビジネス、アウトソーシングビジネスなどを開始している。2001年3月にASP事業を開始。同年7月に株式を日本証券業協会に店頭登録した。その後、2003年12月の東証2部上場を経て、2004年に東証1部に指定された。
ニュース&トピックス
2012年1月
2012年1月27日、同社は2012年3月期第3四半期決算を発表した。
2011年10月
2011年10月25日、同社は2012年3月期第2四半期決算を発表した。
2011年7月
2011年7月26日、同社は2012年3月期第1四半期決算を発表した。









