フィールズ(2767)
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2012年 2月 5日時点
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直近更新内容
概略
2012年2月2日、フィールズ株式会社は2012年3月期第3四半期決算を発表した。
(決算短信へのリンクはこちら、2012年3月期第3四半期決算の項目へのリンクはこちら)
2012年1月18日、同社は株式会社ビスティ製パチスロ機『ヱヴェンゲリヲン~生命の鼓動~』の発売を発表した。当機は2012年2月からパチンコホールに設置される予定である。
(リリース文へのリンクはこちら)
2011年12月26日、同社は同日開催の取締役会で、株式会社ユニバーサルエンターテインメント(JASDAQ6425)と様々なエンタテインメントの分野で共同事業を推進する旨の基本合意書の締結を決議したと発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
基本合意書の概要
- 同社とユニバーサルエンターテインメント社(以下、ユニバーサル社)は、ユニバーサル社の100%子会社である株式会社ミズホを通じて共同事業を開始することに合意
- 同社は、2012年1月上旬を目処にミズホ社が実施する第三者割当増資を引き受け、ミズホ社の株式198株(持株比率49.75%)を取得する予定、払込総額は約10億円となる見込み
- 同社とユニバーサル社は、上記共同事業に留まらず、広くエンタテインメントの分野で共同事業の可能性を模索していくことで合意
3ヵ月以上経過した会社発表はニュース&トピックスへ
業績動向
四半期業績推移
2012年3月期第3四半期実績
2012年2月2日、同社は2012年3月期第3四半期決算を発表した。通期会社予想に変更はない。
第3四半期累計期間の実績は、売上高が43,061百万円(前年同期比39.7%減)、営業利益22百万円(同99.8%減)、経常利益106百万円(同99.1%減)であった。また、四半期純利益は、第2四半期に子会社のジャパン・スポーツ・マーケティング株式会社の解散・清算に伴う繰延税金資産の計上、法人税等の減少があったため、1,132百万円(同82.5%減)となった。
前年同期と比較し大幅な減収減益となったが、2012年3月期に関して、同社は第4四半期にパチンコ・パチスロ遊技機とも複数の大型タイトルを予定していることが主因である。
同社によれば、各セグメントの状況は以下の通りであった。
- PS・フィールド:売上高38,023百万円(前年同期比41.0%減)、営業利益229百万円(同97.8%減)
業界概況
遊技機メーカー各社では、半導体などの電子部品メーカーが東日本大震災に被災し、復旧の目処が夏以降と伝えられたことから、下半期(2011年10月から2012年3月)重視に販売スケジュールを変更した。そのため、上半期(2011年4月から2011年9月)までの遊技機販売は、震災前に部品を調達した機種が中心となり、市場全体の販売台数が例年に比べて低迷した。
しかし、サプライチェーンが当初見通しよりも早い時期に復旧したことから、第3四半期は遊技機メーカー各社から有力タイトルが相次いで投入され、各々が大ヒットとなるなど、パチンコホールの新台入替が活況した。ちなみにタイの洪水災害による部品不足の影響が一部あったが、市場全体では大きな混乱はみられなかった。
同社の状況
上記状況下、同社は、「流通」の立場からパチンコホールの持続的な集客に寄与するような提供時期を選択、大型タイトルの投入時期を遊技機メーカー各社から有力タイトルが相次いで投入された第3四半期から第4四半期に変更したとしている。
第3四半期累計期間は、パチンコ遊技機1機種、パチスロ遊技機4種類を販売、パチンコ遊技機販売台数は125,465台(前年同期比116,228台減)、パチスロ遊技機販売台数は73,489台(同64,423台減)であった。
第4四半期に関し、大型タイトル第1弾として2012年1月から投入しているパチンコ・ヱヴェンゲリヲンシリーズ最新作、『CRヱヴェンゲリヲン7』については、良好な稼働が高く評価され、追加受注を得ている模様だ。また、回復基調の続くパチスロ市場の動向とあわせ、大型タイトル第2弾としてパチスロ最新作『ヱヴェンゲリヲン~生命の鼓動~』を2012年2月に投入するとともに、大型タイトル第3弾としてメジャーIPを活用したパチスロ遊技機の投入を予定しているとのことだ。
- モバイル・フィールド:売上高1,564百万円(前年同期比1.1%増)、営業利益41百万円(同85.6%減)
- スポーツエンタテインメント・フィールド:売上高1,478百万円(前年同期比10.1%減)、営業損失35百万円(前年同期は営業損失219百万円)
- その他・フィールド:売上高2,957百万円(前年同期比29.4%減)、営業損失183百万円(前年同期は営業利益177百万円)
2012年3月期第2四半期実績
2011年11月2日、同社は2012年3月期第2四半期決算を発表した。通期会社予想に変更はない。
第2四半期累計期間の実績は、売上高が33,352百万円(前年同期比22.5%減)、営業利益1,582百万円(同82.8%減)、経常利益1,713百万円(同82.0%減)であった。また、四半期純利益は子会社のジャパン・スポーツ・マーケティング株式会社の解散・清算に伴う繰延税金資産の計上があったため、2,428百万円(同55.3%減)となった。
前年同期と比較し大幅な減収減益となったが、2012年3月期に関して、同社は東日本大震災の影響による電子部品の不足などを勘案し、下期にパチンコ・パチスロ遊技機とも複数の大型タイトルを予定するなど、下期重視型の販売スケジュールを計画していることが主因である。
各セグメントの状況は以下の通りであった。
- PS・フィールド:売上高29,568百万円(前年同期比23.2%減)、営業利益1,711百万円(同81.2%減)
第2四半期累計期間のパチスロ遊技機販売台数は61,990台(前年同期比4,518台減)、パチンコ遊技機販売台数は89,264台(同137,356台減)であった。第2四半期累計期間におけるパチスロ遊技機販売に関しては、「SAMURAI 7」、「旋風の用心棒~胡蝶の記憶~」の2機種を発売したほか、2011年3月期第4四半期に販売を開始した「モバスロ ヱヴァンゲリヲン~真実の翼~」の売上計上も含まれている。また、パチンコ遊技機販売は「CR ayumi hamasaki浜崎あゆみ物語 –序章–」1機種を発売し、7万台を超える販売実績をあげたとのことである。
同社によれば、7-9月期のパチスロ市場は、4-6月期に引き続き増台を堅持しているとのことである。2011年9月末のパチスロ遊技機の全国設置台数は前年比7.5%増の約144万台、パチンコ遊技機との合算台数でも同0.4%増の約454万台と市場規模は微増で推移しているようだ(パチスロ遊技機、パチンコ遊技機の台数の出所は同社)。同社はパチスロの稼働は順調に推移しており、直近では10万台を超えるようなパチスロ遊技機が複数みられる環境となるなど回復基調が顕著であると評している。また、パチンコの稼働状況についても、昨年は稼働20,000個割れをする時期もあったが、現状は比較的堅調に推移していると述べている。
パチンコ市場の現状ならびにトレンドについて、同社はミドルロー・ライトミドルというスペックのゾーンが増加してきている一方、マックスタイプ・ミドルハイといった射幸性の高いゾーンが減少してきていると分析している。この点について、SR社はパチンコ市場の回復の一因として、各メーカーからライトミドルやミドルロータイプの機種の投入が進んだ結果、従来のMAXタイプから初期投資が低く稼動重視のミドルタイプに注目が集まり、稼動が改善しているとみている。同社は、こうした状況も踏まえた上で「CRヱヴェンゲリヲン」シリーズは従来ミドルハイのスペックで投入していたが、次の新作はミドルローのスペックで投入していきたいとコメントしている。
- 注:パチンコのスペック別区分(大当たり確率の区分)は同社による。すなわち、マックスタイプ:1/370~1/399、ミドルハイ:1/320~1/369、ミドルロー:1/280~1/319、ライトミドル:1/150~1/279、甘デジ:1/149以上である。
第3四半期について、同社はパチスロ遊技機の「ラーゼフォン」「ストリートファイターIV」を販売中である。また、年明け早々にパチンコの大型タイトルを販売し、パチスロも大型タイトルを順次リリースしていくとしている。第4四半期に複数の大型タイトルのリリースが集中しているため、それらの販売結果で通期業績が決まることになる。
同社は、タイの洪水が部材調達に与える影響について、部材調達は各提携メーカーに任せてあるため、弊社の立場で状況やリスクを説明することは難しいとしつつも、直近にリリースを予定している大型タイトルに深刻な影響があるとは考えていないと述べている。
- モバイル・フィールド:売上高1,149百万円(前年同期比8.5%増)、営業利益62百万円(同68.8%減)
同社は、パチンコ・パチスロ関連のコンテンツを活用したモバイル・オンラインサービスとパチンコ・パチスロ関連以外のコンテンツを活用したモバイル・オンラインサービスを手掛けている。
パチンコ・パチスロ関連コンテンツとして「ななぱち」や「Pspace」、遊技機との連動を持たせた「モバスロ」、フィーチャーフォンで展開している「フィールズモバイル」と、大きく4つを展開している。「ななぱち」及び「Pspace」は、会員が大きく集まっているが、有料課金に移行させていくことが課題と同社は認識しているようだ。
パチンコ・パチスロ関連以外のコンテンツとして、「写メ字」等のコミュニケーション系サービスを展開している。ただし、収益を高めるべく、今後は新しいIPを載せつつ、会員を増やす施策を推進していくとコメントしている。
- スポーツエンタテインメント・フィールド:売上高1,031百万円(前年同期比4.7%減)、営業損失34百万円(前年同期は営業損失140百万円)
子会社のジャパン・スポーツ・マーケティング社の事業再編を実施。3つの事業のうち、フィットネスクラブ事業(トータル・ワークアウト)のみフィールズ本体に取込み、継続していく一方、スポンサーセールス、放映権ビジネス等のライツビジネスについては完全に撤退するとしている。2012年1月には同子会社の特別清算を結了する予定だ。
- その他・フィールド:売上高2,299百万円(前年同期比12.1%減)、営業損失139百万円(前年同期は営業利益58百万円)
株式会社小学館クリエイティブとの共同出資で設立した出版会社株式会社ヒーローズが、コミック誌「月刊ヒーローズ」の2011年11月1日創刊に向けた準備を進めたとのことである。また、子会社のルーセント・ピクチャーズエンターテインメント株式会社は映画「ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵」(2012年2月公開予定)の放映に向けて、多様なメディアとタイアップ企画を推進したとのことである。
「月刊ヒーローズ」は2011年11月1日に創刊されたが、株式会社セブンイレブン・ジャパン(株式会社セブン&アイ・ホールディングス(東証1部3382)の子会社)の約13,000店舗での販売に加え、パチンコホールでの展開によって、数十万部の発行となった模様だ。同社によれば、「月刊ヒーローズ」のビジネスモデルは従来のコミック誌とは異なるとのことである。すなわち、主な収益源は広告収入であり、さらに単行本を出すことによって高付加価値化を実現、そして、パチンコ・パチスロを含めたIPの2次展開でさらに収益を向上させていくつもりであるとしている。同社は、初年度の収支は広告費負担のためマイナスを予定しているが、次年度以降は各メディア展開によりプラスになると考えているとコメントしている。
2012年3月期第1四半期実績
2011年8月4日、同社は2012年3月期第1四半期決算を発表した。
売上高は17,635百万円(前年同期比17.4%減)、営業損失225百万円(2011年3月期第1四半期は営業利益2,348百万円)、経常損失266百万円(同経常利益2,518百万円)であった。また、特別損失87百万円を計上した結果、四半期純損失は284百万円(同四半期純利益1,477百万円)となった。
同社は2012年3月期第1四半期実績に関し、当初計画通りであったとコメントしている。
主力事業であるPS・フィールドにおける第1四半期のパチンコ遊技機販売台数は7,107台(2011年3月期第1四半期より57,785台減少)、パチスロ遊技機販売台数は36,250台(同4,396台減)であった。パチスロ遊技機販売台数には、「SAMURAI 7」に加え、2011年3月期第4四半期に販売を開始した「モバスロ ヱヴァンゲリヲン~真実の翼~」も含まれている。前第1四半期と比較して当第1四半期の利益が減少しているのは、パチンコ・パチスロ遊技機の新機種販売が少なかったことが主因である。
同社の2012年3月期遊技機販売計画は、東日本大震災の影響による電子部品の不足などを勘案し、下期にパチンコ・パチスロ(PS)遊技機とも複数の大型タイトルのリリースを予定するなど、下期偏重の販売スケジュールとなっている。こうした計画のもと、2012年3月期第1四半期はパチスロ遊技機「SAMURAI 7」1機種の販売にとどめたとのことである。
ちなみに同社によれば、第2四半期に入ってからリリースしたパチンコ遊技機「CR ayumi hamasaki 浜崎あゆみ物語 –序章– 」、パチスロ遊技機「旋風の用心棒~胡蝶の記憶~」は、計画を上回って推移しているとのことである。
足下のパチンコ・パチスロ遊技機の市場環境についていえば、同社は説明会でパチンコ・パチスロとも、7月以降の輪番休業を踏まえても稼動は悪くはないと考えられるとコメントしている。パチスロ遊技機は稼動と売上ともに回復基調が鮮明になっていると同社は述べている。SR社は、この点についてART(Assist Replay Time)タイプを中心にゲーム性、エンタテインメント性が高い機種が投入され、既存プレーヤーのリピート率の向上や新規プレーヤーの獲得に結びついているものと認識している。一方、パチンコ遊技機は2011年3月頃までは低調であったが、それ以降は稼働が改善傾向にある。SR社はこの一因として、各メーカーからライトミドルやミドルタイプの投入が進んだ結果、従来のMAXタイプから初期投資が低く稼動重視のミドルタイプに注目が集まり、稼動が改善しているとみている。
通期 (2012年3月期)見通し
2012年3月期3月期会社予想とその前提等
同社によれば、2012年3月期会社予想およびその前提等は以下のようになる。
東日本大震災の影響(決算説明会(2011年5月13日)における同社コメントより)
1)東京電力管内・東北電力管内での電力不足によるホールへの影響について
電力不足については、ホールは輪番休業という形で対応する予定だが、あくまで輪番であるため3月末から4月中旬にあった営業時間短縮などの状況とは全く異なると考えている。
2)東北の工場が被災したことによる電子部品の調達について
一部メーカーにおいて部品不足が発生、新機種が少ない状況が予想される。同社の上半期タイトルについてはほぼ電子部品調達の目処がたっている。9月以降の商品については一部不透明な点があるが、複数の新商品を2012年3月期内に発売できる体制を構築している。
なお、上記の理由から、パチンコ・パチスロ新機種の投入時期を精査する必要があるため、ミスリードを回避するために上期の業績予想は開示していない。
グループ事業(決算説明会(2011年5月13日)における同社コメントより)
グループ事業(PS・フィールド以外)の実質収益寄与は、1,000百万円以上をめざしたい(2011年3月期は261百万円)。
2012年3月期の会社予想
パチンコ遊技機は、「CR ayumi hamasaki 浜崎あゆみ物語 –序章– 」を始め、大型タイトルを複数予定していると同社は述べている。
パチスロ遊技機に関しては、市場が回復基調にあるなか、(株)ロデオ、(株)ビスティとも大型タイトルを予定していると同社はコメントしている。
以上の前提を考慮し、売上高100,000百万円(前年比3.5%減)、営業利益14,000百万円(前年比6.6%増)、経常利益140,000百万円(前年比2.3%増)、当期純利益8,000百万円(前年比106.4%増)となっている。
利益が増加しているにもかかわらず売上高が減少している理由は、仕入販売であるパチスロ遊技機より手数料販売であるパチンコ遊技機が伸びることを前提にしているためである。同社は電子部品調達の影響を鑑みた予想であると述べている。また、上期の会社予想を開示していないが、上期・下期のバランスでいえば、商品構成上、下半期に偏重となるとしている。
2011年3月期のパチンコ遊技機総販売台数は262,614台だが、同社は2012年3月期により多くの販売台数を目標としている。根拠として、2011年3月期のパチンコ遊技機販売台数に関しては「CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~」の貢献が大きいのに対し、2012年3月期に関しては、ヱヴァンゲリヲンシリーズの他にも「CR浜崎あゆみ物語」などの大型タイトルを複数予定していることが挙げられると同社はコメントしている。一方、パチスロ遊技機に関しては、2011年3月期の販売台数が217,659台であったが、2012年3月期も同程度をめざすとしている。
パチスロ遊技機市場は既に回復基調にあるが、パチンコ遊技機市場に関しても、ここにきて底打ちの兆しが見受けられる。同社は、この一因としてパチンコホールに(射幸性の高いMAXタイプではなく)ミドルタイプの機種がより投入され始めたことを指摘している。またSR社は、東日本大震災後に消費者が「安・近・短」のレジャーを志向するようになったことも大きいとみている。SR社がカバーしているヴィレッジヴァンガード社(JASDAQ2769)やラウンドワン社(東証1部4680)の月次売上高は足下非常に堅調である。
同社は、決算説明会(2011年5月13日開催)において、2012年3月期の会社予想に関し、期初見通しは営業利益14,000百万円だが、あくまで中期経営計画の17,000百万円を達成すべく努力すると述べている。
中長期見通し
2008年5月、同社は、2013年までの成長ビジョンに関する第一期中期経営計画を発表し、2009年と2010年に中期経営計画の修正を行った。柱となるのは、1) 既存提携メーカーとよりエンタテインメント性の高い遊技機を制作、2) 取得・保有版権のプロデュース(コンテンツの制作)とメーカーへの供給、そして3) 独立系流通最大手企業としての発展である。
修正利益目標は2009年5月に投資家に示された。修正の理由は以下の通りである。(1)「CR新世紀エヴァンゲリオン~最後のシ者~」の投入時期変更 (2) 京楽産業.㈱との第一弾投入時期を2011年3月期に変更 (3) ㈱ディースリー(D3)売却に伴う予想収益寄与分の減少である。
上記に合わせ、2009年11月の説明会にて示された内容を要約すると、2013年3月期以降の取り組みは以下の通りである(そして、2011年3月期のアナリスト向け決算説明会において、売上高と営業利益の達成へのコミットメントについて繰り返し強調した)。
2013年3月期 – 営業利益200億円。パチンコ・パチスロ遊技機合わせて20機種以上の投入を目指す。
2014年3月期 – 営業利益は 少なくとも250億円。しかし同社では、これほど先の業績について具体的な目標を立てるのは困難であるとしている。全体的に見て、パチスロ事業では緩やかな成長が見込まれ、パチンコ事業が業績の主な推進力になることが予想される。
事業内容
概略
同社の中核事業は、遊技機の企画開発並びにエンド・カスタマーであるパチンコ・パチスロホール(以下「ホール」)への遊技機販売である。その専門知識 は、単なる流通企業の枠を超え、コンテンツ・クリエイターとしても中心的な役割を担っている。同社の戦略パートナーには、今日の市場における大手遊技機メーカー数社が含まれる。同社の「付加価値」は、独自コンテンツの取得・組み合わせによる遊技機の企画開発能力に由来する。同社がパートナー企業とともに企画開発する遊技機は、プレーヤーを独特な体験へといざない、プレーヤーを同社パートナー企業の遊技機ファンへ、そしてリピーターへと変えてゆく。同社の顧客は、ホールである。同社は、パートナー企業の総発売元としての役割を果たすと同時に、その他メーカーの遊技機も販売する。これらの両面性及びフィールズが全国ネットワークを持つ最大手の独立系流通企業であることから、ホールはフィールズ一社から複数メーカーのタイトルを購入できるメリットがある。同社営業担当者は、市場トレンドや効率的な運営手法についての緻密なデータベースを構築しており、この豊富な知識をホールと共有することによって、カスタマー・ロイヤリティを高めている。
遊技機の企画開発及び販売を扱う部門が「パチンコ・パチスロ(以下PS)・フィールド」セグメントである。このセグメントで2011年3月期の売上高の約91%を占める。PS・フィールドにおける主力収益ドライバは、㈱SANKYO(東証 6417)の子会社である㈱ビスティ、サミー㈱の子会社である㈱ロデオのパチンコ・パチスロ遊技機販売である。
ビジネス
主要事業および主な商品
PS・フィールド:連結売上高の75%から95%を占め、営業利益率は押しなべて安定しており、キャッシュ・フローを生む事業である。 ㈱SANKYOの子会社、㈱ビスティとの提携により企画開発されたヱヴァンゲリヲンシリーズ(*)といった大ヒットタイトルは、現在最も重要な収益ドライバである。そして、今後も重要な役割を担うと思われるのは、サミー㈱の子会社で同社も出資する㈱ロデオであり、同社は㈱ロデオの総発売元となっている。注目すべき新たなる収益ドライバの可能性として、京楽産業.㈱との業務提携による遊技機の企画開発及び販売が挙げられる。また、同社は自社のコンテンツ・ライブラリを収益化するクロス・メディア戦略も模索している。
(*)ヱヴァンゲリヲン:複数のエンタテインメント・ジャンルに渡って人気の大ヒットアニメ。アニメーション制作会社㈱ガイナックス(GAINAX)制作による作品。1995年から1996年にかけて、テレビ東京でのアニメ版全26話が放映され人気を博した。 ヱヴァンゲリヲンはネルフという特務機関が謎の生命体(使徒)と闘う黙示録的アクション・ストーリーである。ネルフが使徒との闘いに用いる兵器は巨大なロボットで、「ヱヴァンゲリヲン(ヱヴァ)」と呼ばれる。ヱヴァは主人公の碇シンジをはじめ、10代の少年少女が操縦する。作品は哲学的・宗教的なテーマを取扱い、独特の用語も多用されている。
以下に添付の画像は、最新版ヱヴァンゲリヲンシリーズのパチンコ遊技機「CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~」である。
2004年12月、ビスティブランドで、同社はパチンコ遊技機の新世紀エヴァンゲリオン初代モデルを発売し12.5万台を販売した。以後2006年、2007年、2008年、2009年、2010年と計6タイトルを販売するに至り、販売台数を着実に伸ばし大ヒット商品となっている。ヱヴァンゲリヲンシリーズの パチスロ遊技機は、2005年、2007年、2008年、2010年に発売され、最新2機種は各々8万台超を販売した。㈱ビスティ製パチンコ遊技機「CR新世紀エヴァンゲリオン~最後のシ者~」は、2009年4月に発売され、シリーズ最高販売台数の約23.7万台を記録している。そして、2010年6月現在、最新機種の「CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~」を販売中である。以下の表に示す通り、例外である低射幸性モデル一機種以外は、どの機種も着実に「大ヒット」と定義される10万台を超える販売台数を記録し、“ヱヴァブランド”として確立されている。
ヱヴァンゲリヲンシリーズは、パチンコ遊技機、パチスロ遊技機の両方で製品化されている比類ない超大作である。ヱヴァンゲリヲンの成功は、1) 原作のストーリー性と登場人物、2) 高品質で滑らかな映像と高音質、3) 大当たり確率の設計、4) 遊んで「楽しい」と受け止められている事実にあると考えられる。
逆に言えば、今後販売台数が弱含めば、特定のシリーズへの過度の依存は、同社にとっての事業リスクでもある。SR社では、ヱヴァンゲリヲンシリーズの過去5年間の売上高貢献度は25%から60%以上のレンジにあったと推定している。(詳細な説明については、戦略の項を参照のこと)
セグメント分類の変更
同社によると、2009年3月期第1四半期より、その他・フィールドは3事業セグメント(スポーツ・フィールド、映像・フィールド、その他・フィールド)に分かれ、その後2009年3月期第4四半期には、更にWebサービス・フィールドとその他・フィールドに区分された。2010年3月期第1四半期には、ゲーム・フィールドを廃止、スポーツ及びWeb・サービスをそれぞれスポーツエンタテインメント・フィールド及びモバイル・フィールドへ改称、映像・フィールドをその他・フィールドへ再統合した。
スポーツエンタテインメント・フィールド
スポーツジム「トータル・ワークアウト」の所有・運営及びメディア関連でのプロ・アスリート(クルム伊達公子、清原和博等)のマネジメントを行う。
モバイル・フィールド
モバイルサイト「FIELDSモバイル」の運営を行う。有料モバイルコンテンツを提供するウェブサイトで、2010年3月期において利用者は約40万人。
その他・フィールド
アニメ企画・制作などの映像関連事業を行う。
ビジネスモデル
同社は、パチンコ・パチスロ遊技機の企画開発・流通販売を手掛ける企業である。同社は、商品企画と販売において培った豊富な経験を糧に収益を上げている。コンテンツのライセンス(商品化権)を取得し、付加価値の高い独自のパチンコ・パチスロコンテンツを企画開発するために活用する。パートナー企業が新しい遊技機を開発すると、同社は、遊技機の総発売元となり、引き続き開発に携わる。メーカーは、製造及び論理基板のプログラミングなどの開発の責任を負う。しかし在庫リスクはメーカーにある(同社によれば、事前マーケティングにより、実際の販売台数は当初予想に近くなるため、メーカーの在庫リスクを効果的に削減するとのことである。)同社はまた、パートナー以外の商品も販売するが、販売台数は一部である。
どのビジネスとも同じく、売上高及び利益は販売数量に左右される。近年、業界平均販売単価は上昇傾向にある(例:2010年3月期のパチンコ遊技機販売単価35万円に対し、2005年3月期は25万円程度)が、これは、遊技機に高品質部品(液晶画面、プリント基板、IC)が組み込まれていることや、品質関連のコストが上昇したためである。しかしながら、同社にとっての主な変動要素は、販売台数であり、タイトル・リリースのタイミングによって販売台数は大きく変化する。
売上高の計上方法は遊技機の種類により異なる。パチンコ遊技機の売上高はメーカーからの手数料収入で、多くの場合1台当たり3万から5万円である。
パチスロ遊技機については、同社がパートナー企業(メーカー)から遊技機を仕入れ(在庫計上される)、顧客であるホールに商品が出荷された時点で、30万から40万円の販売価格が売上計上される。パチスロ遊技機の売上総利益は、パチンコ遊技機より高く1台当たり6万~9万円である。これは、パチスロ遊技機の平均販売価格がパチンコ遊技機より高いためである。
このパチスロ遊技機の計上方法は売上高の変動要因となる。例えば、パチスロ遊技機の売上が高かった時期(例:2005~2007年)には、年間売上高は1,000億円に達した(それに対し、遊技機の総販売台数がほぼ同じ水準だった2009年3月期は730億円)。同社は、利益率改善のために意図的に商品構成の調整を行うことはないとしている。売掛金及び買掛金の大幅な増減をみれば貸借対照表上でその影響が見てとれる。貸借対照表上ではこのような遊技機販売の状況によって一時的な歪みが見られるが、支払能力及び流動性比率はいずれも健全と思われる(収益性・財務指標を参照)。
同社営業担当者は各々約40件の顧客を担当する。営業担当者がタイトルの的確な推奨を行う「提案営業」を採用している。また、全国の支店で遊技機のショールームを有している。同社には、二通りの販売チャネルがある。ひとつは、ホールへの直接販売(遊技機の約80%は直接販売)、二つめは二次代理店グループの活用である。この手法の利益率は低いが、顧客の規模あるいは地理的な事情から、経済的合理性に見合うこともある。
遊技機販売台数は、業績の主たる変動要因となる(下に添付の図表参照)。SR社では、パチスロ遊技機の営業利益への貢献度は、過去10年の推移に見られるように低迷時の45%からピーク時には80%のレンジになると予想する。このところパチンコ遊技機の売上構成比率が大きくなっているため、この比率は、向こう何年間かは下降するであろう。それ故パチンコ・パチスロ遊技機双方を取り扱うことが、同社にとってビジネスヘッジにもなるとSR社では考えている。
収益性・財務指標
上記表にある通り、営業利益率はおおよそ10%前半から18%で推移しており、収益性は一貫して高い。しかし、ピーク時のROA 20%、ROE 45%から低下傾向にある。同社は具体的な目標数値を開示していないものの、経営陣はこれらの指標の低下を認識している。SR社では、同社が掲げる中期計画の利益が達成されれば、将来のROA及びROEは2004年3月期のレベルまで回復するであろうと考える。
同社のビジネスモデルは独自固有であるため適切な比較分析はできないが、パチンコ業界内の上場メーカーとの比較では、同社は、売上成長、営業利益率、ROE、ROIC指標では平均値より若干上に位置している。同社ピーク時のリターンは概して低いが、利益の下振れ要素(つまり営業損失)は際立って少ない。
SWOT分析
強み
- 販売力。メーカーは、市場拡大や市場展開の加速を可能にする多くの有能な営業担当者を擁する同社と取引する利点がある。
- 中立性。 ホールは、非メーカー系列の流通業者である同社と取引することを好む。メーカーは自社製品のみを販促するが、同社はどのメーカーの遊技機も取り扱い販売ができる
- マーケットコストを負担しつつ、パートナー企業が販売製品に幅を持たせることができるような新規の異なるブランドを創造する能力を有する。(異なるブランドを提供することによって、メーカーはホールにより多くの遊技機を設置できる。)
- 技術・開発力の高いトップメーカーとのアライアンス。
弱み
- ヒットタイトル(ヱヴァンゲリヲン)への依存度の高さ。
- 収益の大半を中核パートナー2社(㈱SANKYO、サミー㈱)に依存。
- 製造利益がないため、収益が流通に限定される点。
- グループレベルでの戦略遂行力のばらつき:非パチンコグループ企業の発表数値の未達や、新規事業分野において中核事業での成功体験の再現が難しくなっている点。
主要設備
同社の運営基盤は全国規模の販売ネットワークである。ネットワークは、2011年3月期において北海道・東北(3カ所)、北関東(3カ所)、東京(6カ所)、名古屋 (3カ所)、 大阪(4カ所)、 中国・四国(3カ所)、九州(4カ所)の計7支社、26支店で構成される。 さらに、2008年4月は名古屋支社に高度な機能を有したショールームがオープンした。
市場とバリューチェーン
マーケット概略
2009年、国内余暇市場の規模は69.5兆円であった(出所:「レジャー白書2010」(財)日本生産性本部)。そのなかでもパチンコ・パチスロの推定額は21.0兆円(余暇市場全体の約30%)であり、余暇市場の中で巨大市場を形成している。これはホールの総売上高に相当する。この額のうち、18.5兆円がプレーヤーへの景品として還元され、残りの2.5兆円のうち、約1.2兆円が新台入替費(遊技機購入費)として再投資される(フィールズ社推計)。2009年の新台入替費の内訳は、パチンコ遊技機が9,789億円、パチスロ遊技機が2,258億円であった。
業界内のトレンド:現在当該市場は縮小傾向から回復基調にある。1997年に2,310万人(日本人の7人に1人がパチンコ・パチスロをする計算)であった遊技人口は、2009年に1,720万人であるが、2007年を底に増加傾向に転じている。プレーヤー1人当たりの年間平均消費額は約122,000円で、2002年以来ほぼ横ばいとなっている。ホール数は、1995年の18,224店舗から、2009年の12,479店舗に減少している(出所:警視庁統計)。新規投資向けキャッシュ・フロー減少により、一部の小規模ホールは店舗売却や閉店を余儀なくされている。一方、現在の一店舗当たりの遊技機平均設置台数は増加しており、1995年の261台から2009年には356台となり店舗の大型化が進んでいる。大手チェーン店が規模を拡大していると推測され、依然として市場全体は二極化が続いている。
同社の受注トレンドは、ホールを運営する顧客の経営状態に非常に深く関連している。理論的には、ホールのキャッシュ・フローが高ければ高いほど、新規遊技機への投資額が増えることになるが、業界内の遊技機に関する設備投資は、一般的に遊技機の年間回転率で定義される。2009年の年間回転率は、パチンコ遊技機が1.06回、パチスロ遊技機が0.57回であった(出所:矢野経済研究所、警視庁統計)。
遊技機市場と販売台数について:パチンコ遊技機の販売台数は、1995年の371万台から上昇して2005年のピーク時には404万台となった。2007年はパチスロ遊技機の入替需要が発生したため、一時的に317万台まで減少したが2009年には333万台に上昇している。一方、パチスロ遊技機の販売台数は、1995年の35万台という低い水準から、2005年には約5倍の178万台まで拡大した。2007年の規制強化後に低射幸性パチスロ遊技機の需要は衰えたが、2009年後半からは回復基調にある。
マーケット規模が変動するなか、メーカー間の競争は激化している。有名メーカーはトップランクに食い込んでリピートセールスを生み出す傾向にあるが、小規模メーカーは厳しい状況に置かれている。トップ売上の超大作は20万台を超える販売台数を記録するが、人気のないタイトルの販売台数はわずか1万台にも満たない。以下の円グラフは、メーカー別設置台数ベースのマーケットシェアを示している(出所:「パチンコ関連メーカーの動向とマーケットシェア2009年編」矢野経済研究所)。 パチンコ業界は、パチスロ業界に比べ競合が少ない。同社の成功は、どちらの業界においても業界内のキープレーヤーと開発段階でパートナーシップを組むことができる点にあると、SR社では考える。一方、メーカーも、同社をパートナーとして選ぶ理由は、第二ブランドの育成や各顧客へのシェア拡大を図れるからである。
同社は、パチンコ産業は射幸性に依存することなく健全化とエンタテインメント化が進むことで、近い将来再び成長に転じると考えている。こうした結論を導く確固とした「証拠」を示すことは難しいが、人々の余暇時間は拡大しており、時間消費型レジャーとしてパチンコ産業が発展する可能性は高いものと考えられる。また、パチンコ市場は、予測不能な景気の変動に比較的左右されにくいと思われる。同社は遊技人口が減少したのは、むしろパチンコ・パチスロ市場自体の特性に関係していると考えている。
市場の成長性とサイクル
市場は成熟しており、人口減少と新型受動的エンタテインメントの台頭により、長期的な縮小状態にある。但し、このプロセスは非常に緩やかで、業界における革新がこの傾向を逆転または減速させる可能性はある。鍵となるサイクルドライバは、政府の法規制改正と、エンタテインメントとしての成長である。 パチンコ・パチスロ業界は、国家公安委員会の規制下にあり、各県ごとに「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に基づいて遊技機の許可・検定が行われる。
過去を見ると、これまで数年に一度、監督官庁による技術仕様要件の改正を行っている。目的は過度な射幸性の防止であるが、大当たり確率のトレンドは緩やかになりつつある。具体例を挙げれば、2004年に行われたパチスロ遊技機の射幸性規制の変更は、結果として2007年パチスロ遊技機入替の大きな波となって表れた。その後、一部のプレーヤーがパチンコへ傾倒したため、パチスロ遊技機の販売台数は減少した。しかしながら、こうした規則改正時にはメーカー開発が競って行われるため、遊技機のエンタテインメント化に向けて、ソフトウェア及びハードウェア両面の技術革新を加速させていることも否定できない。
同社によれば、射幸性の高低の差がプレーヤーに影響を及ぼし、市場の成長を左右する可能性があるという。2011年3月期は、多くのメーカーの焦点はいわゆるMAXタイプの遊技機に注がれる形となった。MAXタイプの遊技機は、他のタイプの遊技機と比べ、プレーヤーの使用金額が増加するものの、得られるリターンも高くなる傾向にある。(これは一部のヘビーユーザーには魅力となりうる要素である)。これは即ち、平均した場合にMAXタイプではプレーヤーがより早く負けることを意味する。高射幸性機は、ホールに短期的には高めのキャッシュ・フローをもたらしうるものの、この動向はヘビーユーザー以外の一般客を遠ざける可能性があり、市場全体にとっては健全な動向ではないことを同社は懸念している。
SR社では、色々なタイプの遊技機の人気の変動から同社は長期的な恩恵を受けていると推測する。実際、改正がその時点での市場リーダーを霞ませ、必要に迫られ革新的製品開発に奔走するメーカーに短期的な機会を与えることになる。同社は、その企画開発ノウハウと卓越した流通能力を通じて、新たな商品ラインナップの企画開発においてメーカーに協力し、特定メーカーへの依存度が高まることを避けている。
顧客
ホールが同社の顧客である。2009年において全国のホール数約12,500店舗のうち、約9,000店舗が同社のターゲット顧客である。ホールはメーカーと直接取引することもできるが、同社と取引する利点は、単一サプライヤーとの強い関係、そして日本全国でどんな遊技機が人気を博しているかなどの市場に関する情報を共有できる点にある。
サプライヤー
同社への主要なサプライヤーは、パチンコ・パチスロ遊技機メーカーであり、メーカーとの関係は、同社のビジネスモデルを決定付ける中心的な存在となっている。この関係は相互利益をもたらすもので、メーカーは同社に販売するための製品を提供し、メーカーは引き換えに同社から版権及び企画の提供を受け、同社の販売チャネルを利用する。
参入障壁
業界の参入障壁は高い。業界内には資本力に勝る洗練された企業が多数ある。また事業は相当の開発費用の投入が必要であり、また、製品が不発に終わる確率が高い。同社は他にない独自のビジネスモデルを有しており、他社が成功裏にそれを摸することは難しいであろう。まず、同社は広範囲にわたる販売ネットワークと、業界内トップメーカーや全国のホール双方との長年にわたる取引関係がある。およそ300名の営業担当者が日々顧客であるホールに連絡を取るため、顧客との関係は密接な信頼関係が構築され、顧客情報も豊富である。故に、既存の関係維持が自然優位となる。さらには、ホール市場は分断化している。新規参入者が、採算に合うような決定的な数の顧客を獲得するには、相当な時間を費やす必要があろう。
競合環境
パチンコ業界内にはおよそ1,000社の流通販売業者があると推定されているが、同社と同様のビジネスモデルと全国ネットワーク及び営業力を有する企業は他にない。しかしながら、同社商品は、実際には非パートナー及びパートナーメーカーと一部競合している。上場メーカーでは、㈱SANKYO(東証6417)、セガサミーホールディングス㈱(東証6460)、平和(東証6412)、㈱ユニバーサルエンターテインメント(ジャスダック6425)である。
代替品
パチンコ遊技機対パチスロ遊技機:いずれの遊技機も、同じホール内に設置されているため、理論的には消費者はどちらか遊技機でもプレーすることは可能である。一方の大当たりレベルに影響を与える法規制の改正によって他方の魅力が相対的に増す可能性がある。例えば、パチスロ遊技機の5号機規制により、出玉の魅力が大幅に削がれたとも言われている。これによって、ギャンブル性を嗜好するプレーヤーにとって、パチンコがより魅力的になったともいえる。しかし、SR社の見方では、娯楽として楽しむ平均的プレーヤーを考えた場合、パチンコとパチスロではそれぞれ別個のスキルや経験が必要になるため、パチンコとパチスロの代替性は限定的である。
カジノ:2011年3月期末現在、日本ではカジノは法的に禁じられているが、カジノ合法化についての議論は継続中である。カジノが合法化されても、公認カジノの数は限定されるとSR社では推測する。全国津々浦々におよそ12,500店のホールが点在していることを考えれば、その代替効果はごくわずかである可能性が高いとみてよい。
経営戦略
同社の成長戦略には2つの側面がある。同社は、事業の実態及び進化に合わせた組織としてエンタテインメント事業(グループ事業)及びパチンコ・パチスロ事業の2事業体制に移行した。エンタテインメント事業は、長期的な戦略としてコンテンツの一次利用のみならず、その先にあるマルチユースを見据えた展開を目指している。パチンコ・パチスロ事業は、同社の強みである強力な営業基盤と企画開発力をさらに強化する一方で、2010年3月期よりメーカーの領域である映像ソフトウェア開発領域に進出していく。2011年3月期にグループの一員となった㈱円谷プロダクション、㈱デジタル・フロンティア、㈱ヒーローズは、同社の将来成長を牽引していく可能性があるとSR社は見ている。
競争力を維持するためには、同社はコンテンツの更なる強化と経営執行の改善を行い、幅広いエンタテインメント分野で事業競争力を高める必要がある。主力のパチンコ・パチスロ分野における同社の課題には二つの要素がある。まず第一に、同社は主力のヱヴァシリーズの力強さを維持し続ける必要がある。二つ目は、ラインアップを拡充し、1タイトル当たり50,000台~100,000台の販売が可能な遊技機を企画開発していく必要がある。そうなれば、同社はより安定的な収益源を得られることとなり、市場からさらに評価される可能性にもつながるであろう。
同社は、エンタテインメント分野においてコンテンツを流通させ、展開させる企業体を目指している。パチンコ及びパチスロ顧客向けのコンテンツを発掘・強化させる能力は、既に同社の大きな強みとなっている。しかしながら、同社の長期的な目標はそのような能力をパチンコ・パチスロ事業以外の分野に拡大させていくことである。同社は過去数年間に、パチンコ・パチスロ事業以外で十分に規模のある事業あるいは十分に収益性のある事業を育成するには至っていないものの、各事業の収益性は改善しており、成長過程であるともいえる。
最低でも2013年~2015年まではパチンコ及びパチスロ事業が同社の主要な収益源であり続けるものの、SR社は、㈱円谷プロダクション(及びウルトラマンの版権)、の買収が権利事業に向けての新時代の始まりを象徴しているのではないかと考えている。また、㈱デジタル・フロンティアは、その高い技術力でパチンコ・パチスロの開発領域において商品の高品質化に貢献し、さらにグループ会社との連携により、あらゆる映像エンタテインメント領域でビジネス展開が考えられる。㈱ヒーローズは同社グループの中でコンテンツ創出の役割を担い、パチンコ・パチスロ分野はもとより、デジタルコミックス等の多様なエンタテインメント分野での活躍が期待できる。
同社にとってウルトラマンは何を意味するのであろうか?ウルトラマンは、長年親しまれた認知度の高いキャラクターであり、世界でも比較的よく知られている。新しいアニメシリーズや映画を通じてこのヒット作の人気が再燃することは時間の問題であると思われる。このような試みがどの程度の成功を収め、同社が事業としてのウルトラマンから今後どの程度の収益を得られるかは、答えは出ていないが興味深い質問であろう。ウルトラマンを独占的に採用したパチンコ・パチスロ遊技機の企画・販売のみならず、映画・テレビシリーズへの展開によって、2011~2012年もしくはその先の将来に同社利益を下支えしていくことになるだろう。
グループ会社 、パートナー企業
フィールズグループは、2011年3月期時点で連結子会社14社、持分法適用関連会社6社により構成されている。事業セグメント別の主なグループストラクチャーは以下の通り(カッコ内はフィールズの出資比率)。
PS・フィールド:フィールズジュニア㈱(100.0%)、㈱ロデオ (35.0%)、新日テクノロジー㈱ (100.0%)、㈱F (100.0%)、㈱マイクロキャビン(85.0%)
スポーツエンタテインメント・フィールド:ジャパン・スポーツ・マーケティング㈱(61.8%)、㈱EXPRESS(80.0%)
モバイル・フィールド:㈱フューチャースコープ(83.3%)、アイピー・ブロス㈱(85.0%)
その他・フィールド:ルーセント・ピクチャーズエンタテインメント㈱(90.0%)、㈱デジタル・フロンティア(86.9%)、㈱円谷プロダクション(51.0%)、㈱ヒーローズ(49.0%)、㈱エスピーオー(31.8%) 、㈱Bbmf マガジン(33.8%)、㈱角川春樹事務所(30.0%)、ジー・アンド・イー㈱(33.3%)
主な持分法適用関連会社は、㈱ロデオ(35.0%)、㈱角川春樹事務所(30.0%)、他2社。㈱ロデオは、サミー㈱と戦略的に重要な提携関係にある。
戦略的パートナーシップ
同社の大手遊技機メーカーとの提携関係の構築は、これまでの事業戦略において非常に重要な意味を持つ。 主要パートナー4社とその売上状況は以下の通りである。
㈱ロデオ:同社の関連会社でサミー㈱のグループ会社。フィールズが35.0%、サミー㈱が 65.0%資本参加するパチスロ遊技機専業メーカー。フィールズは独占販売代理店を務める。
- パチスロ市場全体の低迷により、販売台数は低下している。
- パチスロ回復局面では効果的なリスクヘッジとなる。
㈱ビスティ:㈱SANKYOの子会社、フィールズは2003年に業務提携。
- 成功を収めている提携で、2011年3月期においてはフィールズによる㈱ビスティ・遊技機販売台数はフィールズの販売台数の63.8%を占める。(下図参照)。
- 戦略 - ヱヴァンゲリヲンシリーズの継続、その他タイトルの開発。
㈱オリンピア: コラボレーション商品の開発と製造を、「ゴールド・オリンピア」ブランドとして、同社が企画及び販売を担当。
- 2010年3月期に発表したタイトルは2つ。
- オリンピアと平和は2008年に経営統合した。
京楽産業.㈱: 2008年2月に提携。
- パチンコ販売台数の上位メーカーである。
- 2012年3月期に第一弾共同開発機種をリリース予定。
- 戦略: 差別化された遊技機による市場規模の拡大。
㈱エンターライズ:
- 会社エンターライズ社はゲーム大手の株式会社カプコン(東証1部9697)のグループ。
- 2011年3月期にパチスロ機「戦国BASARA2」を発表
過去の財務諸表
前期以前の業績概況(参考)
2011年3月期業績
2011年5月12日に同社は2011年3月期決算を発表した。
2011年3月期は、売上高が103,593百万円(前年比56.2%増)、営業利益は13.136百万円(前年比61.7%増)と大幅な増収増益となった。同社はその要因として以下の点を挙げている。
- パチスロ遊技機販売において、2010年3月に発売を開始した「新鬼武者」の追加受注が好調であったほか、「俺の空~蒼き正義魂~」、「モバスロ ヱヴァンゲリヲン~真実の翼~」などの新機種販売も堅調に推移し、過去最高の販売台数となったこと
- (株)円谷プロダクション、(株)デジタル・フロンティアの2社を2010年4月に連結子会社化し、グループ事業関連の収益改善が進んだこと
2011年3月期のパチンコ遊技機総販売台数は262,614台(前年比68,120台減)、販売台数シェア(注)は9.1%と前年と同水準であった。パチンコ遊技機は「CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~」20.5万台の貢献が大きい。パチスロ遊技機総販売台数は217,659台(前年比98,513台増)で同シェアは前年比5.6ポイント増の24.5%と大幅に拡大し、前年に引き続き業界トップであった。パチスロ遊技機は「モバスロ ヱヴァンゲリヲン~真実の翼~」5.5万台(継続販売中)、「新鬼武者」6.3万台、「俺の空~蒼き正義魂~」3.8万台、「戦国 BASARA2」1.6万台とバランスの取れたラインナップで過去最高の販売台数となった。
グループ事業の単純合算営業利益(PS・フィールド以外)は261百万円で、2010年3月期の営業損失1百万円から改善した。
注:販売シェアは同社調べ
2011年3月期第3四半期業績
2011年2月3日に同社は2011年3月期第3四半期決算を発表した。
2011年3月期第3四半期累計期間の実績は、売上高が71,433百万円(前年同期比191.3%増)、営業利益は10,699百万円(前年同期比682.1%増)と大幅な増収増益となった。同社はその要因として以下の点を挙げている。
- パチスロ遊技機販売において、当期においても「新鬼武者」、「新世紀エヴァンゲリオン~魂の軌跡~」の追加受注が継続したこと
- 「俺の空~蒼き正義魂~」などの新機種販売も堅調に推移したこと
- (株)円谷プロダクション、(株)デジタル・フロンティアの2社を2010年4月に連結子会社化したこと
第3四半期累計期間のパチンコ遊技機総販売台数は241,693台(前年同期比40,288台減)、パチスロ遊技機総販売台数は137,912台(前年同期比125,235台増)であった。第3四半期のパチスロ遊技機販売は好調に推移し、「新鬼武者」の追加受注2.6万台、「俺の空~蒼き正義魂~」の販売が3.8万台となった。
第4四半期は、「CRカンフーパンダ」、「超重神グラヴィオン」、「戦国 BASARA2」、「モバスロ ヱヴァンゲリヲン~真実の翼~」を販売する。
「モバスロ」とはパチスロ遊技機と携帯電話のモバイルサイトが連動した無料会員サービスである。会員登録をすると、遊技データを携帯サイトに保存したり、独自情報を閲覧したりすることができる。あるいは、パチスロ遊技機上でキャラクターの詳細設定などのカスタマイズや、会員だけが見られる映像を閲覧することができるなどの機能が盛り込まれている。
2011年2月4日開催の決算説明会では、「戦国BASARA2」は受注が好調で完売となったと同社は述べている。また、「モバスロ ヱヴァンゲリヲン~真実の翼~」は2011年3月下旬に発売される予定のため、2011年3月期と2012年3月期に区分して売上が計上されることを想定して計画を組んでいる模様だ。なお、京楽産業.㈱との提携タイトル第1弾は、筐体のセキュリティ強化のため、両社で協議し発売時期を2012年3月期上期に変更したとのことだ。また、もう1機種2012年3月期上期に発売時期を変更したパチンコ遊技機があり、当該機種については、パチンコ市場環境を鑑み、創り込みを続けるとコメントしている。
同社は回復傾向にあるパチスロ市場と稼動が低下傾向にあるパチンコ市場という市場環境を鑑み、パチスロ遊技機は企画・開発を進めてライン数を増やし、販売機種数の増加を図る方針だ。一方、パチンコ遊技機については、上記発売時期を2012年3月期に変更した2機種のようにブラッシュアップを続け、パチンコ市場の下支えとなるような商品の企画・開発を進めている。
2011年3月期第2四半期業績
2010年11月4日に同社は2011年3月期第2四半期決算を発表した。また、同時に通期業績予想の上方修正、第2四半期末配当予想の増額修正を発表した。修正後の通期業績予想に対する上期の進捗率は以下の通り。
- 売上高: 43.0%(通期業績予想100,000百万円)
- 営業利益: 70.6% (同13,000百万円)
- 経常利益: 73.1% (同13,000百万円)
- 純利益: 77.5% (同7,000百万円)
2011年3月期第2四半期(累計期間)に関し、売上高は前年同期比100.6%増だが、パチスロ遊技機販売が好調に推移したこと、円谷プロダクション、(株)デジタル・フロンティアの2社を連結子会社化したことによる。 営業利益は前年同期比70.5%増だが、パチスロ遊技機販売が好調に推移したこと、パチンコ遊技機販売において「CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~」が20万台を超えるヒットとなったことなどによる。
2011年3月期通期の会社予想の修正内容は以下の通り。
- 売上高: 100,000百万円(当初予想80,000百万円)
- 営業利益: 13,000百万円(同11,000百万円)
- 経常利益: 13,000百万円(同11,000百万円)
- 当期純利益: 7,000百万円(同5,500百万円)
同社は通期業績予想の上方修正に関し、下記の理由を挙げている。
- 上期のパチンコ遊技機販売において「CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~」(2010年6月発売)が20万台を超えるヒットとなったこと
- 第3四半期までのパチスロ遊技機販売において「新鬼武者」(2010年3月発売)、「新世紀エヴァンゲリオン~魂の軌跡~」(2010年3月発売)の両機に計画外の追加受注が継続、大型ヒット機種になったこと
- パチスロ市場が本格的に回復基調にあるなか、下期に、「俺の空~蒼き正義魂~」(2010年12月発売)をはじめとした大型パチスロ遊技機を複数販売予定であること
- エンタテインメント領域を中心にグループ各社業績が堅調に推移していること
同社は通期会社予想の修正を鑑み、第2四半期末配当を1株当たり2, 000円から2, 500円へ増額修正している。 これにより、1株当たり年間配当金予想は期初の4,500円に対し、5,000円となる予定である。
2010年11月5日開催の決算説明会における同社からの主なコメントは下記の通りである。
- パチンコ遊技機市場は、稼動を促進するゲーム性・エンタテインメント性の高い遊技機が望まれる環境
- 同社は射幸性の高いMAXタイプではなく、引き続きミドルスペックを中心に市場を活性化するパチンコ遊技機を投入していく
- パチスロ遊技機市場は好調。パチンコホールでの稼働、粗利益は回復基調にある。この傾向は今後も続くだろう
- パチスロ遊技機の「新鬼武者」は、追加受注が好調で第3四半期も継続販売する予定。上期までの累計販売台数は6.4万台であり、2万台以上の販売台数が下期に計上される見通し
- パチスロ遊技機の「俺の空~蒼き正義魂~」の受注は今のところ好調で、同社の想定を上回る水準で推移している。また、期末にかけて大型タイトルを投入する予定である
- モバイル分野へ傾注し、有料会員数の増加施策を図る
- グループ事業は全体として黒字化しており、連結業績への寄与が見込まれる
- 通期計画の営業利益13,000百万円には、現在創り込みを行っている最中のパチンコ機種は織り込んでいない
- 株主還元手法としては、配当を最優先している
SR社では上方修正後の通期業績予想である営業利益13,000百万円は引き続き保守的ではないかとみている。理由としては、パチスロ遊技機市場が好調ななか、下期も同社が複数のタイトルを投入するとSR社が想定していることによる。
パチスロ遊技機市場は2009年後半より回復基調にあるが、市場回復のきっかけとなったのが、ゲーム性、エンタテインメント性の高い機種の登場によるものであったとSR社は理解している。サミー(株)が2009年9月に発売した「交響詩篇エウレカセブン」が5万台を超すヒット機種となったことを皮切りに、その後、2010年3月に発売された(株)ロデオの「新鬼武者」(累計販売台数は2010年9月末で64,000台以上)、(株)ビスティの「新世紀エヴァンゲリオン~魂の軌跡~」(累計販売台数は2010年9月末で84,600台)なども相次いでヒット機種となった。同社は、足元のパチスロ遊技機市場環境について、2011年3月期の期初の見通しよりも力強さを感じつつあるとコメントしている。
そうした環境下で、同社は下半期に2010年12月に発売予定の「俺の空~蒼き正義魂~」も含めて、複数タイトルのパチスロ遊技機を投入するものとSR社は想定している。「俺の空~蒼き正義魂~」の受注は、同社の計画以上に好調に推移している模様である。また、それ以降に発売予定のタイトルも、回復基調にあるパチスロ遊技機市場を受けて底堅く推移するものと思われる。
一方、パチンコ遊技機に関しては、同社は通期計画に現在創り込みを行っている最中のパチンコ機種は織り込んでいないとコメントしており、上述したパチスロ遊技機の販売で通期計画は達成できるものとSR社では考える。
2011年3月期第1四半期業績
2010年8月4日に同社の上期予想の上方修正及び2011年3月期第1四半期決算が発表された。修正後の同社の第2四半期累計期間業績予想に対する第1四半期の進捗率は以下の通り。
- 売上高: 47.4% (上期業績予想450億円)
- 営業利益: 26.1% (上期業績予想90億円)
- 経常利益: 28.0% (上期業績予想90億円)
- 四半期純利益: 32.8% (上期業績予想45億円)
売上高は対前年同期比で33.1%の増収だが、円谷プロダクション及び(株)デジタル・フロンティアを子会社化したことと、仕入販売モデルであるパチスロ遊技機販売が増加したことによる。一方、営業利益は対前年同期比で72.4%の減益であったが、これは主に2010年3月期は、パチンコ遊技機販売の主力タイトル「CRヱヴァンゲリヲン」シリーズが、第1四半期に売上計上されていたのに対し、2011年3月期はその売上計上の多くが第2四半期に予定されていることによる。
2011年3月期上期の会社予想の修正内容は以下の通り。
- 売上高: 450億円(当初発表予想の300億円から150億円上方修正)
- 営業利益: 90億円(当初発表予想の40億円から50億円上方修正)
- 経常利益: 90億円(当初発表予想の40億円から50億円上方修正)
- 純利益: 45億円 (当初発表予想の20億円から25億円上方修正)
上方修正の理由として、同社では、パチンコ・パチスロ遊技機販売が好調に推移している点を指摘している。パチンコ・パチスロ事業では、2010年6月に発売されたパチンコ機の「CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~」が期初の同社想定を上回り20.5万台と大型ヒット機種となっている。うち第1四半期に計上されるのは5.6万台であり、残りは第2四半期に計上される予定となっている。また、パチスロ機では、2010年3月期第4四半期に発売された「新鬼武者」、「新世紀エヴァンゲリオン~魂の軌跡~」両機の追加受注が想定以上に好調であったことを同社は上方修正の要因として指摘している。
通期会社予想については、下期の進捗が明らかになった時点で開示するとして今回は据え置かれた。ただし、通期の業績予想が営業利益で110億円であるのに対し、今回上方修正された上期の会社予想が同90億円であることを鑑みれば、残り20億円を下期で計上すればよい計算となる。下記のPS事業に関する想定も踏まえた上で、通期営業利益は会社計画を超過する可能性が高く、同社の業績モメンタムが良好であるとSR社は判断している。
パチンコ
第4四半期に京楽産業.㈱とのコラボレーション第1弾タイトルの発売を予定している。第1弾タイトルである点を鑑み、相応の販売(ヒット機となる5万台前後)が期待できるとSR社では考える。SR社は、下期にもう2機種が投入されるとした上で、「CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~」と合わせて、2011年3月期の総販売台数は30万台以上と見ている。
パチスロ
下期に「新鬼武者」「ガメラ」に続く㈱ロデオの10周年記念シリーズが販売される見通しである。それ以外にも数タイトルが投入される見込みである。直近のタイトルも大ヒットとなっているヱヴァシリーズのパチスロ遊技機は、過去1~1.5年周期で発売された実績があり、2011年3月期中に発売される可能性も考えられる。SR社は、回復基調にあるパチスロ市場と㈱ロデオの10周年記念シリーズの後押しにより、2011年3月期の同社のパチスロ遊技機販売は前期実績12万台と比較して増加すると見ている。
2010年3月期通期実績
2010年5月10日に同社は通期決算を発表した。
2010年3月期 業績のレポートカード
売上高は663.4億円(前年同期比9.2%減)、営業利益は81.2億円(前年同期比314.3%増)、経常利益は77.6億円(前年同期比682.9%増)、当期純利益は32.8億円(2009年3月期損失14.8億円に対し)であった。
同社の通期業績予想値に対する達成率は以下の通り。
- 売上高: 94.8% (通期業績予想 700億円に対し)
- 営業利益: 81.2% (通期業績予想 100億円に対し)
- 経常利益: 77.6% (通期業績予想 100億円に対し)
- 当期純利益: 73.1% (通期業績予想 45億円に対し)
売上高
目標: 700億円(前年同期比4.2%減)
実績: 663 億円 (前年同期比9.2%減)
売上総利益
目標: 285億円 売上総利益 (前年同期比18.6%増)
実績: 268億円 (前年同期比11.9%増)
販管費・営業利益
目標: 185億円 販管費 (前年同期比16.1%減)
実績: 187億円 (前年同期比15.0%減)
目標: 100億円 営業利益 (前年同期比410.2%増)
実績: 81億円 (前年同期比314.5%増)
経常利益
目標: 100億円 (前年同期比909.1%増)
実績: 77億円 (前年同期比683.1%増)
当期純利益
目標: 45億円 (09年3月期は14億円の当期純損失)
実績: 32億円
補足的な説明
連結売上高は期初会社予想を幾分下回る結果(700億円の予想に対し5.2%減の663億円)となった。個別売上高は会社予想により近い数値ではあったが、同じく予想を下回る結果(630億円の予想に対し2.6%減の613億円)となった。
通期計画に対しては残念ながら未達となったが、パチンコ・パチスロ事業は成長基調を回復している模様である。2010年3月期の遊技機総販売台数は、2009年3月期の331,205台に対して前年同期比35.8%増の449,880台(パチンコ遊技機330,734台、パチスロ遊技機119,146台)となった。SR社では当初450,000台~500,000台と予想していたため、販売台数の実績はその予想レンジの下限に相当する。しかし、パチンコ遊技機とパチスロ遊技機の利益額に差があるため、SR社では総販売台数だけを考慮することはあまり有意義ではないと考える。パチンコ遊技機の販売台数が低下しても、パチスロ遊技機の販売台数の僅かな増加により容易にカバー可能な状況にある。総合すると、パチスロ事業はほぼ予想通りであり、一方のパチンコ事業は予想を下回る結果であった。
パチンコ事業については、ヱヴァンゲリヲン(ヱヴァ)シリーズが引き続き収益の中核であるが、その他のタイトルにおいても10万台の販売実績をあげている。パチンコ市場全体の動向として、大型タイトルと射幸性の高いMAXタイプの遊技機を導入する傾向にある。一方、パチスロ市場においては、ゲーム性の向上により回復傾向にあり、収益に好影響を及ぼす可能性がある。
2010年3月期の連結販管費は、期初予想を小幅に上回ったものの、前年比では2009年3月期に子会社であった㈱ディースリーの非連結化の影響が大きく、大幅に減少した。連結営業利益は連結子会社の全体的な業績が収益改善し、同社は、大部分の子会社の営業利益は「ほぼ予想通りであった」とコメントしている。
年間配当は1株当たり4,500円(中間2,000円、期末2,500円)であり、2009年3月期の配当実績と同一である。なお、2010年3月期の連結配当性向は45.9%となっている。
第3四半期
2010年2月4日に同社の第3四半期決算が発表された。第3四半期累計売上高245.2億円(前年同期比62.3%減)、営業利益13.6億円(同77.5%減)、経常利益10.9億円(同80.5%減)となった。大阪支店の整備に伴う有形固定資産除却損等を特別損失として5.0億円強を計上した結果、四半期純損失は2.7億円であった。
主要セグメントのPS・フィールドでは、パチンコ遊技機で「CR料理の鉄人」の1機種を投入、パチスロ遊技機で、「I am KONISHIKI」と「炎の熱血教師」の2種類のタイトルを投入したことにより第3四半期における同社の累計販売台数は、パチンコ遊技機が281,981 台、パチスロ遊技機が 12,677台になった。同セグメントの売上高は215.0億円、営業利益は14.6億円であった。
スポーツエンタテインメント・フィールドの売上高は18.0億円、営業損失は2.5億円となった 。 「フィールズモバイル」の有料会員数は約38万人となった結果、モバイル・フィールドの売上高は14.0億円、営業利益は3.0億円であった。
その他・フィールドにおいては、引き続きPS・フィールドとのグループシナジーを図った結果、売上高は2.7億円、営業損失は0.6億円であった。
「CR清水の次郎長~命の絆~」のアップデート
この遊技機は元々、2010年3月期第2四半期から第3四半期にリリースされる予定だったが、開発遅延によってこの時期の投入が見送られた。その結果、高い期待を集めていた「新世紀エヴァンゲリオン~魂の軌跡~」と同時期の2010年3月期第4四半期に市場投入せざるを得なくなった。これは、ホールのバイヤーがパチスロ遊技機のみを発注するケースの多発を招き、「CR清水の次郎長~命の絆~」は初期受注の勢いを欠いた。比較的低調な結果(2010年2月初旬時点で販売台数は公表されていないが、2万台から4万台の範囲とSR社は推測する)にもかかわらず、この遊技機は象徴的な重要性をもつ遊技機進化の一段階である、と同社は述べている。テレビドラマとシームレスに平行して開発される遊技機をハイクオリティかつ最先端のアニメーションや映像に組み合わせるという新しい概念は、ホールに受け入れられるだろうと同社は期待している。バイヤーの慎重な姿勢とは裏腹に、初期のホールからの反応は有望なものであった。
概要
第3四半期は元々「コストが全て、売上はほとんど無い」という前提でもあったため、業績は同社の予算を下回ったものの、通期予想を変更するほどではなかった。
SR社は第3四半期の決算説明会を終えて、同社が第4四半期及び2011年3月期に対し少々悲観的になったかも知れないという印象を受けた。しかし、後日の訪問取材において同社はSR社に対し、こうした印象は誤りであり、引き続き2010年3月期の通期、また2011年3月期以降の予測達成に自信を持っていると強調した。さらに、経済不況が一つの要因となりパチンコ市場環境が急速に悪化するという認識が必ずしも正確ではないとも述べた。
SR社が要約する決算説明会と会社訪問取材の内容は以下の通り(これらは同社の公式見解であることに注意されたい)。
- 同社は業績達成を確信している。
- 市場は同社がすでに予測や説明した程度を超える衰えは見せていない。
同社は2機種のパチスロ遊技機に自信を持っている。ひとつはヱヴァンゲリヲン、もう一方はロデオ製機種(機種名は未発表だが、2月から放送されたテレビCMに「新鬼武者」が掲載)である。パチスロ遊技機の収益性はパチンコ遊技機よりもはるかに高く(1台当たりの粗利益は1.5倍から2倍)、ヱヴァンゲリヲン以外のパチンコ遊技機の売上が期待を下回ることによるマイナスを、これらのパチスロ遊技機がもたらす収益貢献で十分カバーできることを意味する。さらに同社は、両機種が少なくとも当初の予測以上の成功を収める可能性が高いとの見解を示すのに十分な見通しを持っている(ヱヴァンゲリヲンのパチスロ遊技機前作はおよそ9万台を出荷したが、同社は新機種についても同程度の出荷を予想している模様である)。
第4四半期についてSR社は、パチンコ遊技機の販売台数は32万から34万台の範囲(おそらく同社の目標以下)であり、パチスロ遊技機は12万台近辺かそのやや上(おそらく同社の目標以上)であろうと見ている。第4四半期の販売管理費の使い方についてはある程度自由がきき、上記の業績達成が難しくなった場合、一部のコストを抑えて通年の業績目標達成を確実にするということも考えられる。
市場について
パチンコ市場- 同社は、いわゆる「マックスタイプ」がホールの人気を集めていると述べている。これは、1円パチンコの普及と甘デジ機の安定的な人気が続いていることと相まって、市場レベル全般においてミドルタイプ遊技機が圧迫されることを意味する。同社は、技術的には極めて容易にマックスタイプ遊技機をリリースできる(しかし、2010年3月期はマックスタイプをリリースしていない)のだが、それでは返って娯楽性を求める新規顧客が離れ、既存顧客を裏切る(マックスタイプ遊技機は、プレーヤーにとって結局はより大きくかつ早く負けることを意味する)こととなり市場の空洞化を招くとして、この傾向には好感を持っていない。
パチスロ市場- 同社は、パチスロ市場に回復の(あるいは、少なくとも底打ち感の)兆しが見えると述べている。この見解の背景には、より娯楽性の高い遊技機が数多くリリースされていること、またギャンブル性の高い遊技機を体験していない(したがって現在出回っている遊技機をひいきにするであろう)新しい世代のプレーヤーの登場がある。
第2四半期
2009年11月5日に同社の第2四半期決算が発表された。連結業績(累計)は次の通りである。売上高214.4億円(前年同期比 48.4%減)、営業利益53.8億円(同65.6%増)、四半期純利益21.8億円(同158.1%増)となり収益面では計画を上回った。第2四半期としては、売上高と売上総利益は会社予想を下回った模様だが、販管費を抑えたことにより営業損失が当初の会社予想-40億円を超える-31億円であった。連結業績予想に修正はない。同社の第2四半期決算によると、全国のパチンコホールでは健全化及びファン層の拡大に向けて、ゲーム性に工夫を凝らした遊技機が登場し、引き続きミドルタイプのパチンコ遊技機を中心とした導入が進んだ。パチスロ市場においては底打ち感が見受けられる環境となった。
第1四半期
同社は2009年8月4日、2010年3月期第1四半期の決算報告を発表した。同四半期の売上高は前年比119%増の160.3億円となり、営業利益は85.2億円とプラスに転じた(前期は33億円の営業損失)。これは、同社の2010年3月期の通期予想100億円の85%に相当する。
収益の原動力となった「CR新世紀エヴァンゲリオン~最後のシ者~」の第1四半期販売台数は23万7,000台であった(このうち23万5,969台分の売上は第1四半期に、残りは第2四半期に計上される)。この台数は、第1四半期のパチンコ遊技機販売台数の97%、総販売台数の95%に相当する。パチスロ遊技機では、「エースをねらえ!」と「サタデーナイトフィーバー」の2種類のタイトルを発売した。第1四半期における同社の販売台数は、パチンコ遊技機が244,091 台、パチスロ遊技機が 6,055台となった。PS・フィールドの売上高は150億円、営業利益は85億円となった。
ヱヴァンゲリヲンシリーズの新機種のヒットは、絶好のリリースタイミングに負うところが大きいと言える。今期初め、業界自主規制による中低射幸性モデルへの移行に先駆けたマックスタイプ(連続大当たり確率が最大となる機種)をはじめ、競合他社がこぞって新製品をリリースしたため、同社はヱヴァンゲリヲンシリーズ新機種リリースを2カ月延期した。マックスタイプモデルの一例としてはニューギンの「CR花の慶次2」が挙げられる。同時期に、京楽産業.の「CRぱちんこキン肉マン」をはじめとする中射幸性モデルも数機種発売された。4月、満を持して「CR新世紀エヴァンゲリオン~最後のシ者~」をリリースしたことで、直ちに激しい競争に巻き込まれることなく、同社はマーケティング手腕を発揮した。リリースのタイミングの重要性とともに、新商品の成功は、遊技機とそれがもたらすゲーム体験の質の高さを証明するものであると同社は考える。
同社は事業セグメントデータを組み換えた。ゲーム・フィールドを廃止、スポーツ・フィールド及びWeb・サービス・フィールドをそれぞれスポーツエンタテインメント・フィールド及びモバイル・フィールドへ改称、さらに、映像・フィールドをその他・フィールドへ再統合した。
損益計算書
過去の業績動向
パチンコ遊技機の売上高は手数料収入であるのに対し、パチスロ遊技機の場合は遊技機全体の価格が売上高となるといように計上方法が異なるため、売上高はパチンコ・パチスロ遊技機の販売ミックスに影響を受ける。同社の営業利益は市場の好景気・不景気のサイクルのトレンドに沿った動きをしている。
2009年3月期決算
2009年3月期の売上高は前年比28.3%減の730億円、営業利益は対前年比85.1%減の19.6億円となった。この大幅な減収減益は、目玉タイトル「CR新世紀エヴァンゲリオン~最後のシ者~」のリリースが2010年3月期に期ずれしたことと、㈱ディースリー(D3)業績下振れによるゲーム事業の営業損失12.8億円(売上高は126億円)によるものである。D3株は2009年3月にバンダイナムコゲームスに売却された。
2008年3月期決算
前年比での増収は主に規制変更に関連するパチスロ遊技機の入替需要によるものであった。
2007年3月期業績
パチンコホールが新型パチスロ遊技機の購入(規制の変更から遊技機の入替が必要)において資金繰りの問題に直面したことから、売上は前年比で減少した。パチスロ遊技機の売上高に対する利益率は、パチンコ遊技機よりも相対的に高めであることから、利益率も低下した(上記表を参照のこと。)
2006年3月期業績
パチンコ及びパチスロ遊技機に対する需要の拡大を背景に売上高は前年比で増加した。期中に「CR新世紀エヴァンゲリオン・セカンドインパクト」がリリースされた(販売台数161,000台で、同社遊技機売上高の29%を構成。)
2005年3月期業績
パチンコ遊技機「CR新世紀エヴァンゲリオン」の人気化(約125,000台を販売、この期の同社遊技機売上高合計の26%を構成)と前年比7.3%増のパチスロ遊技機の伸び(2004年3月期の178,906台に対して191,944台)が牽引し、売上高は前年比で増加した。
2004年3月期業績
売上高は前年比で増加したものの、パチスロ遊技機の売上高の計上方法の変更が影響する形となった。会計方針の変更によって、パチスロの売上高は、パチンコホールへの設置・納品時ではなく、製造業者から出荷された時点で計上されることとなった。会計方針の変更はこの期の売上高を60億円押し上げる結果となった。
貸借対照表
資産・負債の拡大と縮小が周期的に起こっているのは、同社売上高の変動の結果である。特に、流動資産は2003年3月期~2011年3月期において、120~700億円の間を推移している。同社の流通販売業者としての役割と取引パートナーとしての機能を反映して、売上増に伴い売掛金も増加する傾向がある。同社は、2003年3月期~2011年3月期の遊技機販売台数の大半を占めるパチンコ遊技機を貸借対照上には計上しないため、棚卸資産はそれほど重要な項目ではない。また、ネットキャッシュの状態が長く続いており、負債が極端に増加する要素はない。株主資本比率は2003年3月期~2011年3月期の間、39.1%~77.6%で推移しているが、株主資本は概ね横ばいである。
キャッシュフロー計算書
売上高のパチンコ遊技機とパチスロ遊技機の販売ミックスの変動の影響を受け、増減幅が大きいこと、そして販売活動に関連して運転資金の変動も大きいことから営業キャッシュ・フローも過去において大きく変動してきた。
2008年3月期の当期純利益が最高益となったこと(約1,020億円)、売上債権が増加したこと、仕入債務が減少したことによるものであった。
2008年3月期の投資キャッシュ・フローは、固定資産の取得(35億円)、投資有価証券の取得(76億円)、関係会社株式の取得(12億円)などによるものだった。2007年3月期~2009年3月期の主な設備投資は土地及び建物(支店等)であった。
2005年3月期の財務キャッシュ・フローは、新株発行によるものであった(約131億円を調達)。営業活動を通じ運転資本をまかなっている事実を反映し、営業キャッシュ・フローや投資キャッシュ・フローと比して財務キャッシュ・フローの変動は小さい。
単純フリーキャッシュ・フローが2004年3月期と2010年3月期にマイナスになっているのは、遊技機販売の増加により運転資金が増えたためである(2004年3月期には対前年24.7%増、2010年3月期には同35.8%増)。
その他情報
沿革
同社は1988 年、創業者であり現・代表取締役会長(CEO)である山本英俊氏により愛知県名古屋市で設立された。パチンコ業界に関わる契機は、同氏の父が経営する会社がホール運営に携わっていたことによる。山本氏は、ホール運営改善のためのサポートに手腕を発揮し、腕利きのアドバイザーであること示した。
フィールズは、設立当初からの10年間で、遊技機の販売にあわせてホールの空間設計や遊技機の導入に関する提案で事業を成長させた。1992年、九州、東京に続き、1995年、東北、中国、四国、関西に支店(営業所)を設置し、事業の全国展開を遂げた。
顧客ニーズを重視する同社は、ホールが、ファンを惹きつける最高の遊技機を望んでいると思い至った。当時、ホールは特定メーカー1社のみとの契約が業界慣行となっており、人気タイトルをホールが自由に選べる柔軟なシステムが必要とされた。同社を業界内における独立系流通企業と位置づけることで、同社は利益が見込めるニッチ市場の扉を開き、以来事業の強化を図っている。
同社の過去10年間におけるマイルストーンとして、複数の大手遊技機メーカーとのパートナーシップが挙げられる。同社沿革上の転換期は、2000年にサミー㈱の子会社である㈱ロデオの遊技機販売を開始し、さらに2002年、ロデオ社に35%出資したことである。ロデオ社は、同社が第三者から版権を調達できることを示した。このケースでは、ロデオ社が東映株式会社から「ガメラ」(ゴジラのライバルである巨大なカメの怪獣)の版権を得ている。パチスロ遊技機「ガメラ」は当時6万台と好調な販売成績を上げた。この出来事はまた、同社の自社サービスの価格決定権向上にもつながった。この新たなビジネスモデルによって、1台あたりの売上高が事実上倍増したことは、特筆すべき点である。。(「ビジネスモデル」参照)。
2000年はじめから、同社は遊技機の企画開発・販売以外にも、コンテンツの創出及びマルチユースを図るため様々な独立事業を立ち上げた。これらには、スポーツジムやプロ・アスリートのためのスポーツ・マネージメント・オフィス、ゲームソフトウェア会社、雑誌出版社、モバイルコンテンツ会社などが含まれる。2003年、同社はジャスダック証券取引所に上場(ジャスダック2767)した。同年、㈱SANKYOグループの㈱ビスティと業務提携し、2008年には㈱SANKYO(東証6417)が同社株式を15%保有する関係に至っている。また、同社は㈱オリンピア(未上場)と業務提携(2006年)し、後に京楽産業.㈱(未上場)と共同事業に関する契約を締結した(2008年)。
2007年、同社はゲーム ・IT業界担当のアナリストとして第一線で活躍していた大屋高志氏を、新たに代表取締役社長(COO)として迎え入れた。同氏の就任直後から、遊技機の企画・販売業務を体系化することにより、日常業務の効率化と情報管理の改善に焦点を当てた。すなわち、より業務効率の向上に主眼を置くようになったのであった。同時に大屋氏の社長就任によって山本会長は将来的なビジョンを考える時間と余裕を持つことが出来たと言えよう。
ニュース&トピックス
2011年11月
2011年11月15日、同社は株式会社ビスティ製パチンコ機『CRヱヴェンゲリヲン7』の発売を発表した。当機は2012年1月からパチンコホールに設置される予定である。
2011年11月2日、同社は2012年3月期第2四半期決算を発表した。
2011年10月
2011年10月4日、同社はゲームソフトメーカー大手の株式会社カプコン(東証1部9697)のグループ会社である株式会社エンターライズ製パチスロ機『ストリートファイターIV』の発売を発表した。当機は2011年11月からパチンコホールに設置される予定である。
2011年9月
2011年9月6日、同社は株式会社ロデオ製パチスロ機『ラーゼフォン』の発売を発表した。当機は2011年10月からパチンコホールに設置される予定である。
2011年8月
2011年8月23日、同社は同日開催の取締役会において、同社の連結子会社であるジャパン・スポーツ・マーケティング株式会社(以下「JSM」)の事業再編を決議したと発表した。
本事業再編の概要は以下1)および2)である。
1)JSMのフィットネスクラブ事業を会社分割(簡易吸収分割)し、その事業を同社が承継する
2)本吸収分割後、JSMは解散し、特別精算する
同社は事業再編の目的について以下のコメントをしている。
- JSMのフィットネスクラブ事業については、同社リソースを活用して今後も成長機会が見込まれることや、同社とのシナジー効果が高いことを踏まえ、本吸収分割を決議した
- JSMのその他の事業(ライツ事業、アスリート・マネジメント事業)については、収益機会の創出を図ることは困難と判断し、JSMの解散と同時に撤退する
本事業再編が同社の業績に与える影響については算定中であり、判明次第報告するとのことである。
2011年8月4日、同社は2012年3月期第1四半期決算を発表した。
2011年6月
2011年6月22日、同社は株式会社ロデオ製パチスロ機『旋風の用心棒~胡蝶の記憶~』の発売を発表した。当機は2011年8月からパチンコホールに設置される予定である。
2011年5月
2011年5月13日、同社は株式会社ビスティ製パチンコ機『CR ayumi hamasaki 浜崎あゆみ物語 –序章– 』の発売を発表した。当機は2011 年7月からパチンコホールに設置される予定である。
2011年5月12日、同社は2011年3月期決算を発表した。
2011年4月
2011年4月19日、同社は株式会社ビスティ製パチスロ機『SAMURAI 7』の発売を発表した。当機は2011 年5月からパチンコホールに設置される予定である。
2011年2月
2011年2月3日、同社は、2011年3月期第3四半期決算を発表した。
2011年2月2日、同社は、株式会社ビスティ製パチスロ機『モバスロ ヱヴァンゲリヲン~真実の翼~』の発売を発表した。当機は2011 年3月からパチンコホールに設置される予定である。
2011年1月
2011年1月14日、同社は、ゲーム大手の株式会社カプコン(東証1部9697)のグループ会社である株式会社エンターライズ製パチスロ機『戦国 BASARA2』の発売を発表した。当機は2011 年2月からパチンコホールに設置される予定である。
2011年1月14日、同社は株式会社AQインタラクティブ(東証2部3838)の連結子会社である株式会社マイクロキャビンの株式を譲り受けることについて最終合意に至り、株式会社AQインタラクティブと株式の譲渡契約書を締結することを決議したと発表した。同社のリリース文の概要は以下。
- 2011年1月14日付で同社は株式会社マイクロキャビンの株式のうち85%を取得、株式会社マイクロキャビンは同社の連結子会社となる
- 株式取得は自己資金で行う予定。取得価額は756百万円
- 株式取得の理由は、株式会社AQインタラクティブとの関係強化や同社グループと株式会社マイクロキャビンとのシナジーが期待できるため
- 株式会社AQインタラクティブは引き続き株式会社マイクロキャビンの株式の15%を保有する
2011年1月6日、同社は株式会社ビスティ製パチンコ機『CRカンフーパンダ』の発売を発表した。当機は2011 年2月からパチンコホールに設置される予定である。
2010年12月
2010年12月7日、同社は株式会社ロデオ製パチスロ機『超重神グラヴィオン』の発売を発表した。アニメ「超重神グラヴィオン」は大張正巳氏が原作・監督を務め、デザインやストーリーの王道と革新を融合させた新しいロボットアニメとして、2002年および2004年にフジテレビ系列にて放送されたコンテンツである。当機は2011年1月からパチンコホールに設置される予定となっている。
2010年11月
2010年11月4日、同社は2011年3月期第2四半期決算、通期業績予想の上方修正および第2四半期末配当予想の増額修正を発表した。
2010年10月
2010年10月20日、同社は株式会社ロデオ製パチスロ機『俺の空~蒼き正義魂~』の発売を発表した。当機はロデオ10周年シリーズの第3弾であり、2010 年12月からパチンコホールに設置される予定である。
2010年10月5日、同社は株式会社ビスティ製パチンコ機『CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~Light ver.』の発売を発表した。当機は『CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~』のライトバージョンとして大当たり確率を高め、魅力的なゲーム性を実現したと同社はコメントしている。2010 年11月からパチンコホールに設置される予定である。
2010年8月
2010年8月4日、同社は2011年3月期第1四半期決算ならびに2011年3月期上期の会社予想の上方修正を発表した。
2010年7月
2010年7月5日、同社はビスティ製パチスロ機『アベノ橋魔法☆商店街』の発売を発表した。このパチスロ遊技機は㈱ガイナックスにより企画・制作され、2002年度文化庁メディア芸術祭の受賞作品の「アベノ橋魔法☆商店街」をコンテンツとして採用した。2010 年8月からパチンコホールに設置される予定である。
2010年6月
2010年6月24日、同社は同日開催の取締役会にて、同社の連結子会社である株式会社デジタル・フロンティア(DF)の株式の追加取得することを決議した(株式譲渡期日は2010年6月30日を予定している)。詳細は以下の通りである。
- 株式数:60株
- 発行済株式総数に対する割合:12.63%
- 異動前の所有株式数:353株(所有割合:74.31%)
- 異動後の所有株式数:413株(所有割合:86.94%)
同社の2011年3月期の連結及び個別業績に与える影響は軽微である。
2010年5月
2010年5月10日、同社は通期決算を発表した。
2010年4月
2010年4月30日、同社はビスティ製パチンコ遊技機『CRヱヴァンゲリヲン~始まりの福音~』の発売を発表した。映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」に加え、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」のハイクオリティ映像を用いており、筐体にはヱヴァ初号機を表現した新専用枠「ダブルインパクト」を採用している。2010 年6月に各地のパチンコホールに設置されている。
2010年4月20日、同社はロデオ製パチスロ遊技機『ガメラ』の発売を発表した。ロデオブランド10 周年記念タイトルの第2 弾である『ガメラ』は、ロデオ第1 弾作品として2000 年に登場した初代「ガメラ」の “誰にでも打てるパチスロ”というコンセプトのままに、「連続演出」と「リール制御」を再現しつつ、現代のゲーム・システムを搭載することによって、新たなマシンへ進化したとフィールズがコメントしている。2010 年6 月からパチンコホールに設置されている。
同社は2010年4月15日、㈱デジタル・フロンティアの株式取得について追加リリースを発表した。以下の情報は同リリースを反映してアップデートされた。アップデートされた情報は太字でハイライトされている。
2010年3月
同社は2010年3月26日、前日開催の取締役会にて㈱ティー・ワイ・オー(以下、「TYO」)の連結子会社である㈱デジタル・フロンティア(以下、「DF」)の株式を譲り受けることについて決議し、TYOと基本合意書を締結した、とリリース発表した。同合意書は、フィールズはTYOが84.21%保有するDF の株式のうち、74.31%を取得することを前提としたものである。同リリースによると、DF は映画『デスノート』や『サマーウォーズ』のCG を制作するなど、国内大手CG 制作会社の有力1社である。
続いて、フィールズは2010年4月15日、同日開催の取締役会にて、DFの株式を引き受けることについて最終合意に至り、TYOと株式の譲渡契約書を締結することを決議した。
DFの概要
- 商号: 株式会社デジタル・フロンティア
- 主な事業内容: コンピュータ・グラフィックスの企画・制作等
- 設立年月日: 平成12 年5 月16 日
- 本店所在地: 東京都目黒区中目黒一丁目1 番71 号
- 代表者: 代表取締役社長 植木 英則
- 資本金の額: 31 百万円
- 事業年度の末日: 7 月31 日
- 発行済株式総数: 475 株
- 大株主及び持株比率: ㈱ティー・ワイ・オー 84.21%、植木 英則4.84%
取得株式数、異動後の所有株式数及び今後のスケジュールは以下のとおりである。(未定・予定の情報は確定次第発表する。)
- 取得株式数 353 株(取得価額 650 百万円)
- 異動後の所有株式数 353 株(所有割合 74.31%)
日程等
- 2010年3月25日 取締役会決議・基本合意書締結
- 2010 年4 月15 日 本件に係る当社取締役会開催・株式譲渡契約締結
- 2010 年4 月16 日 株式譲渡期日
その株式取得に伴いDFはフィールズの連結子会社になる。2010年3月期連結業績に与える影響はない。次期以降の業績に与える影響について2010年4月15日現在は未確定であった。
2010年4月6日、同社は㈱小学館クリエイティブとの共同出資によって新出版会社「㈱ヒーローズ」を設立したと発表した。㈱小学館クリエイティブが新出版会社の株式を51%保有し、同社が49%を保有する。新会社では、青年向け月刊コミック誌の創刊を2010 年末に予定している。
2010年4月1日、同社は自己株式の取得に関するリリース(2010年3月度取得分)を発表した。
- 取得期間:2010年3月1日~2010年3月31日
- 取得株式数:46株
- 取得総額:5,058,000円
2010年3月31日時点での発行済株式総数は、332,115株(自己株式14,885株を除く)になる。
また、2009年11月の決議による自己株式の取得を全て終了したことを発表した。自己株式取得の日程間(2009年11月24日から2010年3月31日まで)の取得総株式数及び取得総額は以下の通りである。
- 取得株式数:4,242株
- 取得総額:454,641,100円
2010年3月
同社は2010年3月26日、㈱円谷プロダクションの株式取得に関する譲渡契約締結について追加リリースを発表した。以下の情報は同リリースを反映してアップデートされた。アップデートされた情報は太字でハイライトされている。
2010年3月17日、同社は㈱ティー・ワイ・オー(以下、「TYO」)の連結子会社である㈱円谷プロダクション(以下、「円谷プロ」)の株式を譲り受けることについて決議したと発表した。TYOが51%保有する円谷プロの全株式を取得することを前提とした「基本合意」に達し、今後両社間で本格的交渉に入ることとなった。 円谷プロは、2007年10 月にTYO のグループ傘下となり「ウルトラマンシリーズ」をはじめ数多くのコンテンツを製作・保有している。
続いて、フィールズは2010年3月26日、同社の前日開催の取締役会にて、円谷プロの株式を引き受けることについて最終合意に至り、TYOと株式の譲渡契約書を締結することを決議した。
取得に至った経緯は以下の通りである。
1) 円谷プロの49%の株式を保有する株式会社バンダイとの連携により、新たなキャラクターマーチャンダイジング分野や、フィールズ提携企業との遊技機分野での積極活用、フィールズのグループ企業を通じたマルチユース展開等が期待できること。
2) 「ウルトラマンシリーズ」は、世界のマーケットでも通用する知的財産であり、映画やキャラクターマーチャンダイジングなど、海外でのビジネス展開が期待できること。
株式会社円谷プロダクションの概要
- 商号: 株式会社円谷プロダクション
- 主な事業内容: 映画・テレビ番組の企画・製作、キャラクター商品の企画・製作・販売
- 設立年月日: 1963 年4 月12 日
- 本店所在地: 東京都世田谷区八幡山一丁目10 番1 号
- 代表者: 代表取締役社長 大岡 新一
- 資本金の額: 310 百万円
- 事業年度の末日: 7 月31 日
- 発行済株式総数: 100,000 株
- 大株主及び持株比率: ㈱ティー・ワイ・オー 51%、㈱バンダイ 49%
- 2009年7月期の業績: 売上高 3,577百万円、経常利益 328百万円、当期純利益 238百万円
取得株式数、異動後の所有株式数及び今後のスケジュールは以下のとおりである。(未定・予定の情報は確定次第発表する。)
- 取得株式数: 51,000 株(取得価額 1,091百万円)
- 異動後の所有株式数: 51,000 株(所有割合 51.0%)
日程:
- 2010 年3 月17 日 取締役会決議・基本合意書締結
- 2010 年3 月25日 本件に係る当社取締役会開催
- 2010 年4 月2日 株式譲渡契約締結・株式譲渡期日
その株式取得に伴い円谷プロはフィールズの連結子会社になる。2010年3月期連結業績に与える影響はない。時期以降の業績に与える影響について2010年3月26日現在は未確定であった。
他に、フィールズはTYOから第三者割当によるTYOの自己株式を取得した(払込日は2010年4月2日)。それによりフィールズ社は、TYOの株式14.98%を保有することになる。
同社は2010年3月5日に自己株式の取得状況に関するリリースを発表した。
- 取得期間:2010年2月1日~2010年2月28日
- 取得株式数:3,496株
- 取得総額:373.3百万円
2010年2月28日時点での発行済株式総数は、332,161株(自己株式数14,839株を除く)になる。
トップ経営者
山本 英俊氏(昭和30年10月生まれ):同社の創業者。現代表取締役会長(CEO)であり、同社長期ビジョン執行責任者。
大屋 高志氏(昭和40年12月生まれ):2007年にドイツ証券から同社代表取締役社長(COO)に転ずる。
繁松 徹也氏(昭和43年1月生まれ):専務取締役、グループ事業管掌 兼 事業本部長
秋山 清晴氏(昭和27年3月生まれ):専務取締役、PS 事業管掌
栗原 正和氏(昭和35年1月生まれ):常務取締役、開発本部長
糸井 重里氏(昭和23年11月生まれ):社外取締役
山中 裕之氏(昭和42年12月生まれ):取締役、計画管理本部長
伊藤 英雄氏(昭和44年8月生まれ):取締役、コーポレート本部長
藤井 晶氏(昭和35年4月生まれ):取締役、営業本部長
末永 徹氏(昭和39年8月生まれ):取締役、会長室長
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従業員
同社の従業員数は、2011年3月末時点で639名(連結は1,149名)。平均年齢は34.4歳、平均給与は655万円である。
株主
2011年3月末現在の大株主上位10名は以下の通り。 株主構成は、個人・その他54.42%、外国法人等10.63%、金融機関8.82%。
IR活動
同社は四半期ごとに東京で決算説明会を実施している。
















