ベリテ(9904)
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2012年 5月 18日時点
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直近更新内容
概略
2012年5月17日、株式会社ベリテは、(調査委員会からの)報告書を踏まえた検証結果と今後の対応について発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
同社は、1)同社が過去に行った特定の取引先からの商品の仕入れに関し、架空取引(総額240百万円)の疑いがあること(以下「調査事項1」)、2)同社の関連会社との取引に関し、その必要性に疑いがあり、その経済合理性には重大な疑義があること(以下「調査事項2」)、に関し、調査委員会作成の調査報告書を受領した旨を2012年4月27付で発表した。その後、調査報告書の内容について精査、第三者(シティユーワ法律事務所)の下での検証を行った上で、同社取締役会で対応について決定したという。リリース文の概略は以下。
- 検証結果
「調査事項2」について、手続き上の不備は発見されたものの、調査事項1及び調査事項2のいずれについても、同社取締役に関して不正ないし著しく不当な行為、とりわけ同社及び同社の少数株主に損害を及ぼす行為行われていたとの事実はなかった。
- 会計上の影響
同社の会計に特段の影響を与えるものではない。
- 同社の対応
調査報告書において、「ガバナンス構造の問題点」、「内部統制上の問題点」などが指摘されたことを踏まえ、以下に掲げるガバナンス向上策を採用する。
1)社外取締役及び社外監査役の選任
2)ガバナンス委員会の設置
3)内部監査部門の強化
4)グループ間取引の可視化
5)社内規則の見直し、在庫管理等の改善
2012年5月15日、同社は2012年3月期通期決算を発表した。
(決算短信へのリンクはこちら、2012年3月期通期決算項目へのリンクはこちら)
2012年5月14日、同社は2012年3月期通期会社予想の修正を発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
2012年3月期通期会社予想
- 売上高:10,091百万円(前回予想9,750百万円)
- 営業利益:△5百万円(同100百万円)
- 経常利益:△90百万円(同0百万円)
- 当期純利益:△212百万円(同△110百万円)
同社によれば、売上高は宝飾事業において2012年2月及び3月の売上高が好調に推移したこと、及び関連会社への卸売上を計上したこと等により、前回予想に比べて増加する見通し。一方、営業利益はたな卸資産の低価法による評価損の増加及び調査委員会の設置による調査費用等により、前回予想を下回る営業損失となる見通しとのことである。また、当期純利益に関しては、収益性が低下している店舗及び取締役会決議により閉鎖が決定した店舗の固定資産に対する減損損失33百万円を特別損失で新た計上するとのことである。
2012年5月9日、同社は4月の月次売上高を発表した。
(月次売上高の項目へのリンクはこちら、リリース文へのリンクはこちら)
2012年4月27日、同社は調査委員会による報告書の受領についてリリース文を発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
調査報告書は、1)架空取引であると認められるまでの事実または証拠は発見されなかった、2)商品仕入について同社関連会社を通して行うようになったこと自体は不合理とはいえないものと思われ、その取引について、その経済合理性は否定できない、等と結論付けている。
ただし、会社法上の利益相反取引に該当すること、各取締役の注意義務違反があったことなどの幾つかの問題点が指摘されている。
同社としては、本調査報告書を真摯に受け止め、2012年4月27日より1ヵ月間を目処にしかるべく対応を検討する所存であるとしている。
2012年4月9日、同社は、3月の月次売上高を発表した。
2012年3月19日、同社は監査役会報告書の提出および調査委員会設置についてリリース文を発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
同社によれば、2012年3月19日に開催された同社取締役会において、同社監査役会より監査役会報告書の提出および外部専門家(弁護士および公認会計士)による調査委員会を設置する旨の報告があったとのことだ。同社取締役会としては、上記報告を受け、今後の監査役会および調査委員会による調査に全面的に協力していくとしている。
同社によれば詳細は下記のようになる。
- 同社監査役会による調査について
同社監査役会は、2012年2月、同社の取締役に関して不正ないし著しく不当な行為が行われている疑いがあるとの情報提供を受けたため、調査を行い、2012年3月19日に取締役会に報告した。
- 監査役会報告書の内容について
同社監査役会は、1)同社が過去に行った、特定の取引先からの商品仕入れに関し、架空取引(仕入総額にして約240百万円)の疑いがある、2)同社の関連会社との取引に関し、その必要性に疑いがあり、その経済合理性には重大な疑義がある、との情報提供を受けた。
これを受けて、同社監査役会が調査したところ、1)、2)の取引いずれについても上記情報提供には根拠があるものと認められた。そこで同社監査役会としては、調査結果を踏まえ、早急に詳細な事実関係を解明し、これら取引に係る同社取締役の不正ないし著しく不当な行為の有無を究明することが必要であると判断した。
そのために、監査役会の下に、外部専門家による調査委員会を設置し、調査委員会に調査を委託する旨を決定した。
- 今後の対応について
調査対象事実が同社の業績に及ぼす影響については、明らかになっていない。調査委員会は2012年3月19日から1ヵ月後を目処に、調査結果を同社監査役会に報告する予定。ただし、事実関係が判明次第、適時に開示する。
2012年3月7日、同社は2月の月次売上高を発表した。
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業績動向
月次売上高動向
四半期実績推移
2012年3月期通期実績
2012年5月15日、同社は2012年3月期通期決算を発表した。
売上高は前年比5.9%増の10,091百万円となった。全社ベースの小売売上高は前年比1.0%減(客数は同3.9%減、客単価は同3.0%増)、既存店売上高は前年比1.3%増(客数は同0.5%減、客単価は同1.8%増)であった。一方、売上総利益は前年比12.8%増となった(売上総利益率は54.5%と2011年3月期の51.2%より上昇)。もっとも、新規事業(「ブランド事業」)において積極的な新規出店及びマーケティング活動を行ったため、販売管理費は5,497百万円と2011年3月期の4,815百万円から増加。その結果、営業損失5百万円となった(2011年3月期は営業利益59百万円)。また、経常損失は借入コストの増加の影響により、90百万円(2011年3月期は経常利益4百万円)となった。特別損益は不採算店舗等に係る減損損失44百万円等の特別損失66百万円を計上し、当期純損失は212百万円(2011年3月期は当期純損失169百万円)となった。
同社は2012年3月期に入ってから、「宝飾事業」と「ブランド事業(PANDORA)」の2つのセグメントを報告している。それぞれの業績は以下のようになった(下記以外に各セグメントに配分していない全社費用837百万円がある)。
宝飾事業:売上高9,623百万円、営業利益1,273百万円
ブランド事業:売上高468百万円、営業損失442百万円
宝石事業は全社費用837百万円を控除しても営業利益436百万円となっており、2011年3月期の営業利益59百万円と比較しても増益傾向にあり、主力業態のVÉRITÉ(ベリテ)を中心に既存事業は改善傾向にあることが窺える。ただし、下記のように2012年3月期に入ってから大量出店を行ったブランド事業の営業損失によって、全社ベースで営業損失となっている。
店舗数(2012年3月末):宝飾事業は期中に3店舗の新規出店及び9店舗の退店を実施した結果、83店舗。ブランド事業は、期中に16店舗の新規出店を行った結果、17店舗。
2012年3月期第3四半期実績
2012年2月13日、同社は2012年3月期第3四半期決算を発表した。
第3四半期累計期間の売上高は前年比2.9%減の7,144百万円となった。全社ベースの小売売上高は前年比8.0%減(客数は同5.6%減、客単価は同2.5%減)、既存店売上高は前年比5.3%減(客数は同2.1%減、客単価は同3.3%減)であった。一方、売上総利益は前年比8.0%増となった(売上総利益率は56.5%と2011年3月期第3四半期累計期間の50.8%より上昇)。もっとも、新規事業(「ブランド事業」)において積極的な新規出店及びマーケティング活動を行ったため、販売管理費は4,067百万円と前年同期の3,588百万円から増加。その結果、営業損失30百万円となった(2011年3月期第3四半期累計期間は営業利益150百万円)。
同社は2012年3月期に入ってから、「宝飾事業」と「ブランド事業(PANDORA)」の2つのセグメントを報告している。それぞれの業績は以下のようになった(下記以外に各セグメントに配分していない全社費用641百万円がある)。
宝飾事業:売上高6,827百万円、営業利益948百万円
ブランド事業:売上高316百万円、営業損失338百万円
宝石事業は全社費用641百万円を控除しても営業利益307百万円となっており、2011年3月期第3四半期累計期間の営業利益150百万円と比較しても増益傾向にあり、主力業態のVÉRITÉ(ベリテ)を中心に既存事業は改善傾向にあることが伺える。ただし、下記のように2012年3月期に入ってから大量出店を行ったブランド事業の営業損失によって、全社ベースで営業損失となっている。
2012年3月期第3四半期累計期間中において、同社は宝飾事業3店舗、ブランド事業15店舗の新規出店を行った一方、宝飾事業8店舗の退店を実施した。
貸借対照表に関していえば、流動資産のうちの「商品(たな卸資産)」が5,653百万円と2011年3月末の4,459百万円から1,194百万円増加した。
同社は2012年3月期に入ってから主力業態のベリテにおいて、値引き販売の抑制等、採算を重視した販売活動を行ってきた。2012年3月期第3四半期までの動向を踏まえ、2012年2月から各店舗を3つのカテゴリーに分け、店舗立地等の各店舗特性に合わせた販売手法を採用しているとのことである。3つのカテゴリーとは、1)ブランディング重視で採算を重視する店舗群、2)在庫回転率を重視した店舗群、3)1)と2)の中間の店舗群、をさし、比率でいうと1)、2)がそれぞれ約20%、3)が60%を占めるとのことである。同社はこうした店舗毎の販売戦略を2012年2月、3月と行い、実績が出たら2013年3月期もこの施策を継続する意向であると述べている。
2012年3月期第2四半期実績
2011年11月11日、同社は2012年3月期第2四半期決算を発表した。
第2四半期累計期間の売上高は前年比8.2%減の4,417百万円となった。全社ベースの小売売上高は前年比11.1%減(客数は前年比5.9%減、客単価は前年比5.5%減)、既存店売上高は前年比7.7%減(客数は前年比3.0%減、客単価は前年比4.8%減)であった。
月次売上高をみてもわかる通り、2011年4-5月は客単価の下落。2011年6月以降は客数が減少傾向にあった一方、客単価が上昇傾向にあった。同社は4-5月の落ち込みは東日本大震災の影響と分析している。
売上総利益は前年比2.1%増となった(売上総利益率は56.2%と2011年3月期第2四半期累計期間の50.6%より上昇)。同社はこの点について、1)値引き販売の抑制等、採算を重視した販売活動を行ったこと、2)海外調達比率の向上などサプライチェーンの構築等による商品原価率の軽減を図ったこと、などが要因であるとコメントしている。
もっとも、新規事業(「ブランド事業」)において積極的な新規出店及びマーケティング活動を行ったため、販売管理費は2,648百万円と前年同期の2,411百万円から人件費を中心に増加した。その結果、営業損失166百万円となった(2011年3月期第2四半期累計期間は営業利益20百万円)。
同社は2012年3月期に入ってから、「宝飾事業」と「ブランド事業(PANDORA)」の2つのセグメントを報告している。それぞれの概況は以下のようになる。
宝飾事業:売上高4,338百万円、(前年比9.8%減)、営業利益461百万円
売上高は前年比9.8%減となったものの、売上総利益率が前年同期より5.5%上昇し、56.1%となったため、売上総利益は前年比0.1%増の2,434百万円とほぼ前年同期と同水準を保った。同社は、売上高の伸長ではなく、収益性の向上を図るべく、値引き販売の抑制やサプライチェーンの構築等による商品原価率の軽減などを行ったとコメントしている。宝飾事業の営業利益は上記の通り。ちなみに本社共通費も加味した宝飾事業の営業利益は24百万円となり、前年同期の20百万円からわずかに増益となった。
ブランド事業:売上高79百万円、営業損失190百万円
PANDORA業態の店舗数は2011年3月末で1店舗であったが、その後9店舗オープンし、2011年9月末で10店舗となった。同社は、3月の東日本大震災発生後に出店時期を見直し、2012年3月期第2四半期累計期間の後半に出店が集中したため、上記売上高に留まったと述べている。また、9月の銀座旗艦店オープンに向けてマーケティング活動を行ったことや新規出店が相次いだこと等から、営業損失になったとしている。
2012年3月期第2四半期累計期間中において、同社は宝飾事業2店舗、ブランド事業9店舗の新規出店を行った一方、宝飾事業6店舗の退店を実施した。
貸借対照表に関していえば、流動資産のうちの「商品(たな卸資産)」が5,368百万円と2011年3月末の4,459百万円から909百万円増加した。内訳は、宝飾事業・材料は2011年3月末比で171百万円減少し、363百万円となったものの、宝飾事業・商品が同550百万円増加し4,368百万円、ブランド事業・商品が同530百万円増加の637百万円となっている。同社は、宝飾事業・商品の増加については海外調達比率を高めたこと、ブランド事業・商品の増加についてはブランド事業の初期投資によるとしている。こうしたたな卸資産の増加等に対応して、同社では短期借入金を2011年9月末残で2,590百万円と2011年3月末比1,695百万円増加させている。
2012年3月期第1四半期実績
2011年8月12日、同社は2012年3月期第1四半期決算を発表した。
売上高は前年比13.4%減の2,056百万円となった。2012年3月期第1四半期の全社ベースの小売売上高は前年比14.3%減(客数は前年比1.8%減、客単価は前年比12.7%減)、既存店売上高は前年比12.6%減(客数は前年比0.9%減、客単価は前年比11.8%減)であった。
同社は2012年3月期について、売上高よりも相対的にサプライチェーンの再構築(海外調達比率の上昇など)を通じた売上総利益率に重きを置いていると述べている。その結果、売上総利益率は56.6%と前年同期の50.9%より5.7%上昇した格好であり、売上総利益は前年比3.8%減に留まった。
もっとも、売上総利益の減少と販売管理費の増加影響から、営業損失99百万円(2011年3月期第1四半期:営業利益33百万円)となった。
2013年3月期の会社予想
将来展望
同社は2010年5月、2011年3月期から2013年3月期までの中期経営計画「VÉRITÉ Turnaround Plan 2010」を策定した。経営方針として掲げられているのは、1)ブランディングの確立、2)魅力あるマーチャンダイジング、3)やりがいを感じ、活き活きと働ける人事政策、4)戦う組織風土の強化、の4項目である。
中期経営計画の初年度である2011年3月期において、同社は売上を前年比増収、営業利益の黒字化をめざした。それによって、社員に成功事例を体験させ、今後に向けたインセンティブの向上、つまり「戦う組織風土」を作っていこうという狙いもあったようだ。結果として、計画は達成できなかったが、2011年3月の東日本大震災の発生前までは計画通り進捗していたとのことで、こうした中期経営計画初年度の試みは一定の成果を収めたようにみえる。同社によれば、こうした成功の要因として、実戦スキル向上研修やOJT指導など「販売員の教育」によって各店の販売員の接客マナーを向上させ、これまで入りにくかった店舗に新客を呼び込んだことが大きかったとのことである。
2同社は2010年5月、2011年3月期から2013年3月期までの中期経営計画「VÉRITÉ Turnaround Plan 2010」を策定した。経営方針として掲げられているのは、1)ブランディングの確立、2)魅力あるマーチャンダイジング、3)やりがいを感じ、活き活きと働ける人事政策、4)戦う組織風土の強化、の4項目である。
中期経営計画の初年度である2011年3月期において、同社は売上を前年比増収、営業利益の黒字化をめざした。それによって、社員に成功事例を体験させ、今後に向けたインセンティブの向上、つまり「戦う組織風土」を作っていこうという狙いもあったようだ。結果として、計画は達成できなかったが、2011年3月の東日本大震災の発生前までは計画通り進捗していたとのことで、こうした中期経営計画初年度の試みは一定の成果を収めたようにみえる。同社によれば、こうした成功の要因として、実戦スキル向上研修やOJT指導など「販売員の教育」によって各店の販売員の接客マナーを向上させ、これまで入りにくかった店舗に新客を呼び込んだことが大きかったとのことである。
2013年3月期以降に関しては、新たな中期経営計画を2012年3月期本決算までに策定するとしている。考え方としては、ターン・アラウンドが終わりつつある(営業黒字体質を築きつつある)主力業態「ベリテ」によるキャッシュフロー創出を「パンドラ」を中心とした新規出店に振り向けて行くということとなろう。また、新たなコンセプトの業態を開発することも検討している模様である。同社は、2013年3月期には復配をしたい意向のようだ。
事業内容
ビジネス
同社は全国展開している宝飾品専門小売チェーンであり、宝飾品、宝石、貴金属、時計、ファッショングッズなどを取り扱っている。2008年5月にインド系宝飾会社、ディジコ・グループによるTOB(株式公開買い付け)で同グループの傘下に入り、収益力強化などに取り組んでいる。
主要事業
同社が運営する店舗は、「VÉRITÉ(ベリテ)」、「MAHARAJA DIAMOND(マハラジャ・ダイヤモンド)」、「PANDORA(パンドラ)」、「ilya(イリア)」、「GALERE BEAU(ギャルリボウ)」などの業態がある。
- ベリテ
- 同社の主力業態であり、宝飾品、宝石、貴金属、時計、ファッショングッズなどを総合的に取り扱っている。
- マハラジャ・ダイヤモンド
- 2010年3月期より展開している新しい業態である。ディジコ・グループが「DTCサイトホルダー」であることの強みを活かし、「ダイヤモンド専門店」としてダイヤモンド・ジュエリーをブライダルマーケットに照準を絞って、バリュー感のある価格で販売していく方針である。1号店は2010年3月、愛知県名古屋市にオープンした。「マハラジャ・ダイヤモンド」という名称は、1)顧客の記憶に残り易いこと、2)世界で最初にダイヤモンドが発見され、現在も世界のダイヤモンドの主な流通拠点である「インド」の文化を伝えること、などを考慮して付けられた。
- パンドラ
- 2010年11月、同社は、宝飾ブランド「PANDORA(パンドラ)」(Denmark PNDORA)の日本におけるマスター・フランチャイズ契約を「Pandora Jewelry Asia-Pacific Limited」と締結した。2011年3月に阪神百貨店梅田本店に日本における第1号店がオープンした。
- イリア
- ファーストピアスから、ファッションリング、プチネックレスなど各種ジュエリーのほか、カップルやブライダル需要に向けたペアリングネックレス、ブライダルジュエリーなどを中心としたラインナップを展開。
- ギャルリボウ
- 10代から20代の若年層を対象とした店舗。シルバーアクセサリーやメンズシリーズなども取りそろえている。
商品構成は、ダイヤ指輪が17.9%、その他の指輪が15.2%、ネックレスが34.9%、装身具その他宝石が32.0%となっている(2010年3月期)。
店舗網
2011年3月時点で89店舗を運営している。内訳は、「ベリテ」81店舗、「マハラジャ・ダイヤモンド」3店舗、「イリア」3店舗、「ギャルリボウ」1店舗、「パンドラ」1店舗である。
「ベリテ」の出店立地としては、路面店は1店舗だけであり、全体の約2/3がGMS内、約1/3が駅ビル内のそれぞれテナント店舗となっている。GMS内に多い理由として、1980年代以降大量出店されたGMSに「宝石の大衆化」をめざしてきた同社のコンセプトがマッチし、出店していったという背景が挙げられる。
「マハラジャ・ダイヤモンド」や「パンドラ」については、今後、百貨店内やショッピングセンター内を組み合わせて出店していくと同社はコメントしている。
店舗の平均像
ベリテ
売場面積:19.6坪(約65㎡)
アイテム数:2,600
マハラジャ・ダイヤモンド
売場面積:21.7坪(約72㎡)
アイテム数:2,800
ディジコ・グループ(DIGICO Group)について
同社は2008年5月、TOBによりディジコ・ホールディングス・リミテッドを中核とするディジコ・グループの一員となった。ディジコ・グループは世界最大のダイヤモンド原石の供給会社であるDTC(Diamond Trading Company)社のサイトホルダーの権利を保有。ダイヤモンド原石の調達、研磨から、卸売・小売に至る、ダイヤモンド業界の川上から川下までのバリュー・チェーン(価値連鎖)を手中に収めている。持株会社ディジコ・ホールディングス・リミテッドの本社は香港に置かれ、国際ビジネスを統括するディミンコNV社(ベルギー・アントワープに拠点)やインド国内ビジネスを統括するギタンジャリ・ジェム社(ムンバイ証券取引所上場企業:India 532715)、および両社の子会社の管理を行っている。子会社にはインドはもとよりアメリカや日本における大手小売りチェーン店をはじめ、中国・タイ・UAE・香港・ナミビアなどに研磨・カッティング、営業、小売などのグループ企業がある(グループ企業29社、小売店約1,500店舗、2011年3月現在)。創業者の一人であるチェタン・チャイヌバイ・チョクシ会長とその親族が1966年、インドにギタンジャリ・エキスポーツ社を設立したのがディジコ・グループの起源である。
ディジコ・グループのバリューチェーン
- ダイヤモンド原石の調達(ベルギー)
- ダイヤモンド原石の取引・流通 (ベルギー、インド)
- ダイヤモンドの製造(中国、タイ、インド、ナミビア)
- 研磨ダイヤモンドの卸売(ベルギー、日本、インド、アメリカ合衆国、香港)
- 宝飾品のデザイン(日本、インド、アメリカ合衆国、中国、タイ)
- 宝飾品の製造(中国、タイ、インド)
- 宝飾品の卸売(日本、インド)
- 宝飾ブランド(日本、アメリカ合衆国、インド)
- 宝飾品の小売(日本、アメリカ合衆国、インド、中国、アラブ首長国連邦)
ディジコ・グループは1969年にDTCのサイトホルダーの権利を取得した。DTCとは世界最大のダイヤモンド原石の供給会社であるデ・ビアス・グループの販売部門のことである。サイトホルダーとはDTCから直接ダイヤモンドを購入する権利を持つ会社であり、サイトホルダーは財務諸表やジュエリー業界での実績などをDTCによって精査された上で選定される。全世界に約80社しかない(2011年3月現在、日本では田崎真珠株式会社が唯一DTCサイトホルダーとなっている)。ディジコは最も早い時期に資格取得した企業のうちの1社で取引量においては約80社中トップテンに入っている。このことは、ディジコ・グループが良質のダイヤモンド原石を優位に調達できるということを意味する。一方、サイトホルダーは年10回開催されるサイトと呼ばれる販売会でDTCが用意したボックスに入ったダイヤモンド原石の全てを購入しなければならない。値段交渉はできず、用意された原石の一部を交換する事もできない。サイトホルダーの選択肢は、全てを購入するか、全てを購入しないか、である。天然資源が高騰する中で、安定的にダイヤモンドを調達できる権利は、同社にとってメリットとして考える。
SR社は、ディジコ・グループが同社をグループ化した理由として、バリューチェーンの川下である小売展開を、(規模がかなり縮小したとはいえ)世界で2番目の市場規模を誇る日本で行う意図があったためと考えている。
ディジコ・グループ入り後の同社の歩み
2008年5月にディジコ・グループの一員となって以降、同社は以下のような「負の遺産」の処理を最優先して行ってきた。
1)不採算事業の閉鎖
2)不採算店舗の閉鎖
3)人員構造改革:早期退職優遇制度
4)グループ再編:連結子会社の吸収合併
5)資産流動化:出店保証金の流動化、資金効率の改善
同社は2008年5月から2010年3月期にかけての上記「負の遺産の処理」を進めた期間を「第1フェーズ」、2011年3月期以降3ヵ年を「第2フェーズ」と位置づけ、「第2フェーズ」については中期経営計画を策定。営業黒字化の定着と安定的な収益体質の構築に取り組んでいる。
ディジコ・グループであることのメリット
同社によれば、ディジコ・グループの一員であることのメリットは大まかにみて2点。1)ディジコ・グループの優れた研磨技術を活用できること、2)ディジコ・グループのダイヤモンド流通ルートを利用できることである。
1)ディジコ・グループの研磨技術
同社によれば、ディジコ・グループの研磨・カッティング技術は世界で高く評価されているとのことだ。同グループはタイや中国・青島の直営工場で研磨・カッティングを手掛けている。当該工場では、小さなメレ・ダイヤモンド(0.1カラット以下の小粒なダイヤモンド)においても58面体のラウンド・ブリリアント・カット(注1)をアイデアル・カット(注2)に研磨でき、最上級のカットグレードでみられる「ハート&キューピッド」を確認できるとのことである(注3)。メレ・ダイヤモンドを「ハート&キューピッド」が確認可能なアイデアル・カットに仕上げられるのは、ディジコ・グループだけのようだ。従って、ディジコ・グループの一員である同社はこうした高品質のダイヤモンドを仕入れることができるということになる。
- 注1:17世紀末ごろに発明された58面体のカットで、カットされたファセットから入った光を効率よく内部で反射させて輝きを強め、宝石の美しさを最大限に引き出すとされている。最もスタンダードなダイヤモンドのカッティングスタイル
- 注2:ダイヤモンドの輝きを最高度に引き出した完璧とされるカットのこと
- 注3:ダイヤモンドは自ら輝くことはなく、入射光がアイデアル・カットされたダイヤモンド内できれいに反射して、ダイヤモンドから出るときにきれいに輝く仕組みとなっている
ダイヤモンドは、カラット(重量、1カラットは0.200グラム)、カラー(色)、クラリティ(透明度)、カット(全体的な形のバランスと研磨の仕上げの状態)のそれぞれの英語の頭文字をとった「4C」によって品質が表現されており、一般的に「4C」でグレードが上がると、稀少性が高くなるとされている。このうち、カラー、カラット、クラリティは自然の条件によって決まるところが大だが、カットだけは人、すなわち職人の技に負うところが大きい。
2)同業他社とは異なるダイヤモンドの流通ルート
一般的な宝飾品・小売業者がダイヤモンドを入手するまで、DTC→サイトホルダー→海外ディーラー、輸入業者を通じた輸入→製造業者を通じた加工・製造→製造卸・二次卸を通じた製品化といった流通ルートを辿った末にようやく入手できる。実際、同社もディジコ・グループとなる前は、日本のメーカーや卸・商社を通じて仕入れていた。一方、ディジコ・グループの一員となってからの同社は、ディジコ・グループ内で「サイトホルダー」から「製品化」までのプロセスを完結できる体制が整った。従って、中間マージンを排除し、顧客にとって相対的に低価格で(同社にとって高採算の商品を)売ることができるというメリットがある。
こうした1)、2)のグループとしてのメリットを活かすべく、同社が力を注いでいる業態が、「マハラジャ・ダイヤモンド」である。
ディジコ・グループとマハラジャ・ダイヤモンド
「ダイヤモンド専門店」として、ダイヤモンド・ジュエリーをブライダルマーケットに絞った上で、手頃な価格で販売する店舗。同社によればディジコ・グループの強みを生かし、同品質のダイヤモンド・ジュエリーならば同業他社との比較で20%から30%程度割安な価格で提供することが可能とのことである。また、一般的に日本の市場においては、顧客に対してダイヤモンドの品質をきちんと説明せずに、ブランド力のみをアピールして売る傾向が強い。しかし、マハラジャ・ダイヤモンドにおいては、ダイヤモンドの品質、ダイヤモンドの起源、などを十分に説明した上で、顧客に販売することによって、顧客の理解促進に努めていきたいとしている。2011年3月時点では、以前は「ベリテ」業態であった3店舗を改装した上でマハラジャ・ダイヤモンドを展開しているが、いずれの店舗も「ベリテ」業態の時の売上・利益を上回っていると同社はコメントしている。
PANDORA(パンドラ)とそのビジネスモデル
「PANDORA(パンドラ)」は、1982年、デンマーク、コペンハーゲンで創業。デンマークのナスダックOMXコペンハーゲン証券取引所に上場している。2000年に発売したブレスレット「MOMENTS(モーメンツ)」が世界的な人気となり、2011年3月時点で、6大陸、50カ国以上において10,000以上の販売拠点で販売されている。製造から販売まで手掛けるSPA(製造小売業、スペシャリティストア・リテイラー・オブ・プライベート・レーベル・アパレルの略)型小売業であり、製造はタイに2つの自社工場を所有。全ての製品を3,500人以上の熟練した工員によるハンドクラフトによって製造している。
パンドラのポジショニングは世界のジュエリー市場の約60%を占める「アフォーダブル・ラグジュアリー」カテゴリーの位置づけにある。ハイエンド(単価100万円以上)、ラグジュアリー(単価15万円以上100万円未満)より下の一番のボリュームゾーンに該当する。
同社によると、パンドラの製品コンセプトは「忘れられない瞬間(Unforgettable Moment)」である。世界中の女性が一人一人異なる人生のストーリーを歩むなか、その人生の織りなす「忘れられない瞬間」を表現する同製品を身に付けることで、単に着飾るのではなく、その人の歩んできた人生そのものを身につけることを意図している。
パンドラのポジショニング
出所:パンドラ社資料よりSR社作成
同社はフランチャイズ契約を「Pandora Jewelry Asia-Pacific Limited」と締結しており、これによって、同社は日本においてパンドラの唯一の流通企業(免税店は除く)となり、自社の販売網を通じて当該ブランドを販売する権利などを獲得している。同社は、パンドラ社から特定の条件の下に商品を仕入れて、パンドラ社のリテールコンセプトの下に店頭にて販売している。
パンドラ社飛躍の原動力となった「モーメンツ」とはチャームブレスレットであり、ブレスレットシステムは欧州、北米、豪州、中国やその他の国で特許取得済みである。14金と高品質のスターリングシルバーでできたブレスレッドに金や銀、宝石、真珠、エナメル、ムラノガラスなど600種以上のチャーム(ハート、ドル袋など様々な形あり)を組み合わせたり、取り換えたりすることで個々人のメッセージ、記念日などをブレスレッドに反映、カスタマイズできる仕組みとなっている。初回平均セット価格(ブレスレット+チャーム)は約25,000円。これに平均価格4,000円から5,000円の各チャームを組み合わせていくことになる。同社によると類似商品はあるものの、チャームの種類がパンドラに比べて少ないなどの点で「モーメンツ」より劣るとのことだ。
パンドラ社はその他ネックレス、ピアス、指輪などの宝飾類のほか、時計、サングラスなども手掛けており、SKU(Stock Keeping Unit、商品数)は5,000以上となっている。主要ターゲット層は25歳から50歳の女性。しかし、上述のように「モーメンツ」が記念日などに応じてチャームを付加していく仕組みとなっていることもあって、実際のところ下は8歳から上は75歳まで幅広い年齢層の顧客がいるという。
同社は日本におけるパンドラの展開では、より日本にローカライズした仕組みを模索・構築中である。従って、2011年3月時点で決まったフォーマットはないが、世界各国における既存のパンドラ店のデータからいえば、路面店やショッピングストア内の店舗の敷地面積は40㎡から57㎡ぐらいが理想とされており、平均で約260万円/㎡の売上実績となっている。また同様に、百貨店内の店舗の敷地面積は8㎡から12㎡ぐらいが理想とされており、平均で約317万円/㎡の売上実績となっている。
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| パンドラ店舗内の様子 (出所:会社データよりSR社作成) | MOMENTS(出所:会社データよりSR社作成) |
収益性・財務指標
2011年3月期業績を同業他社(宝飾専門店チェーン店)のAs-meエステール株式会社(JASDAQスタンダード7872)、株式会社ツツミ(東証1部7937)、株式会社シーマ(JASDAQスタンダード7638)と比較すると、以下の点が特徴的である。
1)売上高、売上総利益の前年比の伸び率は他社よりも高い
2)売上総利益率がツツミを除く他の2社よりも低い
3)売上高販売管理費率がツツミ社を除く他の2社よりも低い
4)営業利益率は他社よりも低い
1)についていえば、平野社長の下で推進されている中期経営計画の初年度が順調なスタートを切れたことの証左であるといえよう。今後については、ベリテの既存店が前年比プラスを維持できるか否かという点に加え、マハラジャ・ダイヤモンド、パンドラなどの新業態がいかにプラスアルファの成長を実現できるかにかかってこよう。
一方、2)については、今後の改善が求められる点である。改善のためには、売上単価の上昇か売上原価率の引き下げが必要となるであろう。同社は、中期経営計画において、ディジコ・グループとの連携などによって製品調達構造を改める(海外調達を推進)ことによって、売上原価率を低減させていくことをめざしている。3)については労働分配率(人件費/売上総利益)を指標とした予算コントロールと本社組織のスリム化に取り組んだ結果といえよう。今後売上高を伸ばすために、広告宣伝費を若干投入する可能性はあるものの、売上高販売管理費率を低位に留めるべく、コントロールに努めていくものと思われる。
こうした点を踏まえると、4)低い営業利益率を高める上で重要となってくるのは、売上総利益率をいかにして高められるかという点であり、製品調達構造の変革度合いによるといえるだろう。SR社の認識では、国内調達から海外調達に切り替えるメリットは、仕入原価抑制を通じた売上総利益率の向上だが、同時にデメリットとして在庫リスクを抱えやすくなること、納品時(仕入時)の支払いなど必要運転資金の増加が考え得る。同社がこうしたデメリットをいかにしてクリアするかも注目されるところである。
SW(Strengths, Weaknesses)分析
強み(Strengths)
若い経営者:同社の平野社長は、宝飾品会社の上場企業では年齢的に一番若い。また、ファミリービジネス的色彩が強い宝飾品業界において、他社からヘッドハンティングされて入社した点も異例といえる。こうした点は、業界の「慣習」や「しがらみ」に囚われない客観的・合理的な経営判断、業務遂行を可能にするという資質という観点から非常に重要とSR社は考えている。
ディジコ・グループ力の活用:前述したように(「事業内容」の項を参照)、1)ディジコ・グループの優れたダイヤモンド研磨技術を利用できるという点、2)ディジコ・グループの流通網を活用することによって原価を圧縮することができる、など同社がディジコ・グループの力を活用することによるメリットは大きい。こうした点は日本国内の競合他社にはない強みといえるだけに、活用の仕方によっては利益率の改善に加えて、シェアアップにつなげることが可能といえよう。
世界的有力ブランドのフランチャイジーであること:同社は世界有数のジュエリーブランドである「パンドラ」とフランチャイズ契約を締結しており、日本においてパンドラの唯一の流通企業(免税店は除く)となっている。日本においても「パンドラ」が必ずしもヒットする保証はないが、そのブランドを手掛けることによって、同社の知名度・イメージ向上につながるというメリットも考え得る。また、SR社は同社がパンドラを展開することによって、パンドラという世界的ブランドの優れたマーケティング手法などのノウハウを学ぶことができる点も大きいとみている。
弱み(Weaknesses)
主力業態の競争力の欠如:同社の主力業態「ベリテ」のポジショニングはあいまいであり、ブランド力についても、やや疑問が残る。同業他社に対して十分な差別化できているとは言い難い。そのため、同社が「ベリテ」業態で店舗を増やしていくことは難しいものとSR社は考える。また、既存店売上高を一定以上に保つためにも、一部店舗改装や社員教育などを徹底していくことが求められよう。
国内市場が縮小傾向:国内宝飾品市場はピーク時との比較で1/3以下の規模にまで縮小している。一方、競合他社は数多く残存しており、収益を伸ばしていくためには、他社にはない相応の差別化要素を持ち合わせている必要があろう。
長年悪化傾向にあった業績:同社の収益は長年悪化傾向にあった。こうした企業に共通した特徴として、「変化」に対する拒否反応や収益向上に対するインセンティブの欠如と業績悪化の「悪循環」が挙げられる。こうした組織を、「変化」への積極的な姿勢や収益向上へ意欲と業績改善の「好循環」に持っていくのは並大抵の努力では難しい。一歩一歩、実績を積み重ねていく必要があるだろう。
市場とバリューチェーン
マーケット概略
国内宝飾品市場は1991年のピーク時に30,150億円の規模があったが、その後落ち込みを続け、2010年には9,104百万円と1/3以下の規模にまで落ち込んだ。こうした落ち込みの要因としては、1)景気低迷下における嗜好性の強い宝飾品需要の減退と実用化志向の進展、2)業界に対する消費者の不信、3)少子・晩婚化によるブライダル人口の減少、などが挙げられる。
矢野経済研究所は、2011年3月11日に発生した東日本大震災まで2011年以降の宝飾品小売市場は、2015年ごろまで緩やかに回復傾向を辿ると予想。同研究所はその理由として、主に以下の点を挙げていた。
1)景気回復期待
2)団塊世代の退職金による消費
3)宝飾品再流通市場の拡大
4)外国人観光客による購入の増加
上図は国内宝飾品市場規模の前年比の推移をみたものだ。やや大局的にみれば、日本の「バブル崩壊後」である1990年代は二桁の落ち込みとなることも珍しくなかったが、2000年代に入り概ね一桁に落ち込みに留まるなど、国内宝飾品市場の減少基調にも幾分歯止めが掛かる兆しが窺えた。実際、2005年、2006年には国内宝飾品市場規模がわずかにではあるが拡大に転じている。しかし、世界的景気低迷を受けて2008年、2009年は大幅な落ち込みを余儀なくされた。景気低迷下で嗜好品の代表例ともいえる宝飾品の買い控えが起こったのは、当然の流れといえよう。しかし、2009年のクリスマス商戦から客数が徐々に戻り始めている。景気回復が続くならば、客足増加が続いても何ら不思議ではない。
団塊世代(第一次ベビーブーマー、1947年から1949年生まれ)の退職が2007年以降始まっている。退職時にはまとまった退職金が入るために(2008年のサラリーマンの退職金平均は2,417万円、社団法人日本経済団体連合会調査)、これに伴って需要が増加するとの期待もある。
再流通市場について、矢野経済研究所によれば、1960年から2009年までのジュエリー市場規模を累計すると合計約60兆円となる。ちなみに同研究所調査によれば、女性の平均ジュエリー保有個数は13.3個。日本の年齢別女性人口を掛け合わせると約8億個のジュエリーがタンスに眠っている計算となるようだ。一般的にジュエリーといえば、今までは新品の販売、いわゆる1次流通市場として捕えられてきたが、2009年に、2次流通市場・ジュエリー市場全体の活性化を目的とした組織「一般社団法人日本リ・ジュエリー協議会」が誕生した。2次流通市場はこれまで、価格やサービスのばらつきから消費者不信を招き、リフォーム技術レベルの低さがクレームにつながるなど、問題が多かった。日本リ・ジュエリー協議会は業界基準の底上げを狙って設立された組織である。矢野経済研究所によれば2009年のジュエリー・リフォーム市場規模は約400億円程度だが、将来的には1,000億円市場に成長すると予想されている。
これまでジュエリーはほとんど、還流されてこなかったが、ここにきて再流通市場が拡大する兆しをみせている。質店やディスカウントストアのみならず、老舗の時計宝石専門店なども買取を始め、全国あらゆる地域で新規参入が続いている。さらに、リフォームの動きも活発である。地方の専門店もジュエリーの知識を生かしてチェーン店との差別化を図るためにリフォームを事業の柱にするところがでてきた。
外国人観光客についていえば、2009年度には訪日外国人旅行者数が1,000 万人に達した。さらに、日本政府は観光産業を、環境と健康産業と並ぶ日本の成長産業にしようとしている(2010 年 6 月に閣議決定された「新成長戦略」の「観光立国の推進」で、訪日外国人を 2020 年初めまでに 2,500 万人、将来的には 3,000万人に増やす目標が掲げられた)。中期的観点からは、2010 年 7 月に中国人観光客の個人向けビザの発給条件が緩和されたことから、アジア圏から来日する観光客はさらに拡大することが期待される。
ちなみに、矢野経済研究所は東日本大震災の発生を受けて、今後の市場予測を上図のように引き下げた。震災の短期的影響として、1)直接被害者、間接被害者の支出減、2)贅沢品に対する消費マインド低下、3)外国人観光客の需要減、などを反映した結果だという。2011年6月時点で個人消費支出の動向をみる限り、震災後の回復は当初想定されたよりも急激であり、SR社は上記予測値ほど実際の市場規模が縮小するとは考えていない。
調達先
ダイヤモンドの調達に関しては、「事業内容」の項を参照されたい。
ジュエリーの基本的な流通経路は、輸入業者→一次卸(製造問屋)→二次卸→小売業者というルートを辿る。同社もダイヤモンド以外については、基本的にこうした流通経路が当てはまるとみて良いであろう。高価な商品を取り扱う宝飾品業界では在庫負担を分散化する目的もあって、多くの卸売業者が存在する。こうした複雑な流通経路が中間マージンを増大させ、その結果消費者価格を押し上げる要因の一つとなってきた。流通チャネル内において、同社のような小売店の規模は相対的に大きく、立場は相対的に強い。
SR社の理解では、2011年3月期で同社の海外調達比率は約10%程度。ディジコ・グループや海外工場との直接取引の拡大を通じて、同比率をいかに高めていくかが課題といえそうだ。
出所:各種資料よりSR社作成
顧客
同社の顧客の大半が40代から50代の女性である。同社によれば、顧客にアンケートを実施すると、初めて宝飾品を買ったのが15年以上前の同社だったとの回答が多い模様だ。
ファッション視点を盛り込んだブランドの場合、顧客とともに歳をとっていくブランドにするのか、あるいはターゲットの年代をある程度固定して、消費者がその時期だけ購入するブランドにするのかは、ブランドが歴史を重ねるにつれて必ず出てくる課題の一つといえよう。一般的に、ブランド化を意識せずに、「目の前の顧客」だけを追求していると、自然に品揃えの年齢が上がってしまう傾向がある。意図してターゲット年齢を上げたのならば話は別だが、そうでないならば、ブランドが老齢化し一定の顧客層は囲い込めるが、新規顧客が取り込めない事態に陥ってしまう。SR社は、同社を始めとした宝飾チェーンに概ねこうした例が当てはまるのではないかと考える。
同社は中期経営計画において、ターゲット層を30代から40代の女性にシフトさせようとしている。
参入障壁
宝飾業界が他の業界構造と大きく違う点として、メーカーから小売までの多くが中小零細企業によって構成されており、イニシアティブを取るあるいは系列化を進める企業が存在しないことが挙げられる。そのため、比較的参入障壁は低く、誰でも始めることができるビジネスである。近年、ネット通販会社が業界に参入してきている事実はそのことを端的に表しているといえよう。
競合環境
注1:百貨店はテナント売上の一部を含むが海外ブランド等は専門店売上としている
注2:量販店にはディスカウントストア、ホームセンター、スーパーなどを分類
注3:チェーン店には10店舗以上または年商10億円以上の店を想定
基本的に日本の宝飾業界において圧倒的なシェアを持つ業者は存在しない。宝飾品小売市場をチャネル別に分けると、百貨店、専門店、量販店、異業種に分けられる。専門店はさらにチェーン店(宝飾チェーン店、インポートブランドショップ、アクセサリー系ジュエリーショップ)と単独店(時計・宝石、めがね店、10店舗以下)に分けられる。また、異業種は、呉服、アパレル、通信販売、訪問販売、その他から成る。2009年度における宝飾品販売チャネル別売上高は宝飾品専門店が約57%、異業種が約20%、百貨店が約17%、量販店が約6%となっている。以下に主な売り方と代表的な企業を示す。
- 百貨店
- 主な売り方:1階のアクセサリー売場と高層階の宝飾フロアで販売。各フロアで価格帯や売り方を分けている
- 代表的な企業:三越、伊勢丹(ともに株式会社三越伊勢丹ホールディングス(東証1部3099))、株式会社高島屋(東証1部8233)、西武百貨店、そごう(ともに株式会社セブン&アイ・ホールディングス(東証1部3382))、大丸、松坂屋(ともにJ.フロント リテイリング株式会社(東証1部3086))、株式会社松屋(東証1部8237)など
- 専門店・チェーン店(宝飾チェーン店)
- 主な売り方:店頭での接客販売が基本。ただし、店頭やホテルで催事販売を行うこともある。頻繁に値引きをする
- 代表的な企業:同社、ツツミ社、Asme-エステール社、シーマ社、株式会社サダマツ(JASDAQスタンダード2736)、プリモ・ジャパン株式会社(非上場)など
- 専門店・チェーン店(インポートブランドショップ)
- 主な売り方:銀座や青山に直営店を出し、ブランドイメージを通じて顧客を引き付けた上で店頭での接客販売。値引きをしない
- 代表的な企業:ティファニー(Tiffany & Co.)、カルティエ(RICHEMONT)、ブルガリ(BVLGARI)、ハリーウィンストン(Harry Winston)、ショーメ(CHAUMET)など
- 専門店・チェーン店(アクセサリー系ジュエリーショップ)
- 主な売り方:百貨店の1階やショッピングセンターに出店し、2万円から3万円程度の価格帯で日常的に使えるジュエリーを販売する。値引きはしない。
- 代表的な企業:株式会社ヴァンドームヤマダ(非上場)、株式会社F&Aアクアホールディングス(東証1部8008)、株式会社スタージュエリーブティックス(非上場)など
- 専門店・単独店(時計・宝石、めがね店)
- 主な売り方:全国にある旧来型の宝飾店。地域密着型の常連客への販売が中心。
- 代表的な企業:全国にある旧来型の宝飾店。
- 量販店
- 主な売り方:並行輸入のインポートブランドを中心に扱う。中古品の買取りを行うところもある
- 代表的な企業:株式会社オリンピック(東証1部8289)、株式会社ドン・キホーテ(東証1部7532)、株式会社コメ兵(東証2部2780)、株式会社大黒屋(非上場)、株式会社ビックカメラ(東証1部3048)など
- 異業種・呉服
- 主な売り方:呉服の顧客に対して催事を中心に宝飾品も販売。
- 代表的な企業:株式会社三松(非上場)、市田株式会社(東証1部8019)など
- 異業種・アパレル
- 主な売り方:ジュエリー企業がアパレルブティックで宝飾販売、アパレル企業が店頭で宝飾を売る
- 代表的な企業:株式会社ツカモトコーポレーション(東証1部8025)、株式会社ジュエリーフォンド(非上場)、ムーンバット株式会社(大証2部8115)など
- 異業種・通信販売
- 主な売り方:カタログ、DM、テレビショッピング、インターネットなどを通じた販売
- 代表的な企業:株式会社千趣会(東証1部8165)、ベルーナ(東証1部9997)、株式会社ジャパネットたかた(非上場)、Amazon.com、楽天株式会社(JASDAQスタンダード4755)など
- 異業種・訪問販売
- 主な売り方:地方を中心に実際に消費者の家を訪問して販売する手法
- 代表的な企業:JA(農業協同組合)、化粧品会社など多数参入
2000年から2009年にかけての動向を販売チャネル別にみると、市場全体の減少率(32.3%)に比べて売上減少幅が大きいのは、専門店のうち単独店、呉服チャネル、訪問販売チャネルとなっている。特に、全国に15,000店弱あるといわれる単独店は、最も厳しいチャネルの一つである。理由としては、体力の乏しい中小企業が多いこと、また、従来は問屋主催の催事による売上が約2割あったが、これがクレジット会社に対するローン規制の影響などを受けたこと、やはり2割近くあったブライダル売上も、ブライダル専門店(シーマ社、プリモ・ジャパン社)に顧客を奪われて減少を余儀なくされているなどがその要因である。
一方、ほとんどのチャネルが縮小傾向にあるなか、通販チャネルだけが横ばいから拡大傾向にある。これはインターネットによる宝飾品販売が好調に推移しているためだ。高額品やジュエリーは「実際にみて触らなければ売れない」と指摘されることが多い。実際、平均単価は店頭販売に比べて安く、数千円から1万円程度のものが中心だが、なかには希少石のついたジュエリーなど数十万円のものも販売されるようになってきた模様だ。
上図は宝飾専門店(チェーン店)の宝飾売上高ランキングであり、1991年度から2009年度に入ってからの移り変わりをみることができる。すなわち、ティファニーやカルティエ、ブルガリなどのインポートブランドが台頭、シェアを伸ばした半面、ミキモト、同社など宝飾チェーン店が軒並み順位を下げていることである。その他、三貴グループは民事再生法を申請、ココ山岡宝飾店は消費者とのトラブルから刑事事件に発展した末に破産、サトウダイヤモンドチェーンはヤマノグループにM&Aの実施によってグループ化されている。例外は、ツツミ社とエステール社(現As-meエステール社)である。ツツミ社は創業者が現在でも経営者として存在している会社であり、エステール社も創業者が会長の役職についている。日本・海外を問わず、宝飾企業は上場企業といえども、ファミリービジネス色が強い。その点、創業者から2代目への継承がうまくいくかどうかという点も一つ注目されるポイントである。同社やその他企業をみている限り、うまく継承ができている会社は少ない(同社については「沿革」を参照)。
矢野経済研究所によれば宝飾専門店(チェーン店、単独店)の寡占化が徐々にではあるが、進みつつあるとのことだ。2009年度における実績としては、宝飾専門店のうち2割の会社が全体の6割を販売している。
経営戦略
主力業態「ベリテ」で安定したキャッシュフローを稼ぎつつ、新業態「マハラジャ・ダイヤモンド」や「パンドラ」で成長を図っていくというのが同社の戦略である(「将来展望」の項も参照)。
「ベリテ」で安定したキャッシュフローを稼ぐためには、客数を前年比プラスに維持する必要があるが、同社は「ベリテ」の改装や店員に対して徹底した基礎教育を施すことによって実現していく構えだ。
「マハラジャ・ダイヤモンド」については、2011年3月時点で3店舗出店しているが、同社は差別化された業態が確立できたとみて、今後出店数を増やしていく構えだ。同業態はディジコ・グループ力を活用した店舗である。
「パンドラ」は2011年3月時点で1店舗出店しているのみであり、同社としても今後の収益状況や追加出店の状況を見極める必要があろう。ただし、同社によると滑り出しは上々のようだ。
過去の財務諸表
概略
決算期を1月31日から3月31日に変更したことにより、2007年10月期は2007年2月から2007年10月までの9ヵ月、2008年3月期は2007年11月から2008年3月まで5ヵ月の変則決算となっている。また、2011年3月期より非連結決算となっている。
前期以前の業績概況(参考)
2011年3月期実績
2011年5月13日、同社は2011年3月期決算を発表した。
2011年3月期売上高は前年比3.1%増の9,530百万円となった。一方、こうした増収効果や経費削減などによって、営業利益は59百万円(2010年3月期:営業損失660百万円)となった。経常利益は為替差損や支払手数料の影響で4百万円(2010年3月期:経常損失611百万円)となった。同社が営業黒字および経常黒字を達成したのは、決算期変更による変則決算を除き、2005年1月期以来6年ぶりとなる。また、特別損失として資産除去債務会計基準適用に伴う影響額81百万円、東日本大震災影響に伴う不採算店舗等の減損損失72百万円などの特別損失合計185百万円を計上した結果、当期純損失は169百万円(2010年3月期:当期純損失740百万円)となった。
同社によれば、2011年2月までの業績はほぼ計画通りとなっていたが、東日本大震災の影響で2011年3月期の実績は計画を下回る結果になったとのことである。
2011年3月期における出店は5店舗(PANDORA1店舗を含む)、退店は9店舗であった。
2011年3月期第3四半期実績
2011年2月10日、同社は2011年3月期第3四半期決算を発表した。
2011年第3四半期累計期間の売上高は前年比8.0%増の7,355百万円と堅調に推移した。増収を受けて営業利益は150百万円と前年同期の562百万円の営業損失から大幅に改善した。経常利益は円高に伴う為替差損等(外貨で定期預金を有しているため)の影響で91百万円に留まったが、前年同期の518百万円の経常損失からは改善した。また、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額81百万円などの特別損失を計上したことによって11百万円の当期純利益に留まったが、前年同期の553百万円の当期純損失からは大幅に改善した。
2011年3月期第2四半期(上期)実績
2010年11月12日、同社は2011年3月期上期決算ならびに2011年3月期通期会社予想の上方修正を発表した。
2011年3月期上期の売上高は前年比12.4%増の4,809百万円となった。前年同期より店舗数は4店舗減少したものの、営業体制の強化や店舗改装などの積極的な営業活動によって、既存店売上高が前年比19.0%増と堅調な実績となったことが寄与した。増収を受けて営業利益も20百万円と前年同期の578百万円の営業損失から大幅に改善した。経常利益は円高に伴う為替差損の影響で3百万円に留まったが、前年同期の551百万円の経常損失から大幅に改善した。資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額81百万円などの特別損失を計上したことによって65百万円の当期純損失となったが、前年同期の600百万円の当期純損失からは損失額が大幅に縮小した。
期初会社予想との比較でいえば、売上高:478百万円、営業利益:120百万円、経常利益:103百万円、当期純利益:170百万円、それぞれ実績が上振れて着地した。
2011年3月期第1四半期実績
2010年8月10日、同社は2011年3月期第1四半期決算を発表した。
売上高は前年比18.6%増の2,375百万円となった。前年同期より店舗数は2店舗減少したものの、営業体制の強化や店舗改装などの店舗活性化施策によって既存店売上高が前年比22.4%増と堅調な実績となったことが寄与した。増収を受けて営業利益も33百万円と前年同期の376百万円の営業損失から大幅に改善した。資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額81百万円などの特別損失を計上したことによって32百万円の当期純損失となったが、前年同期の337百万円の当期純損失からは損失額が大幅に縮小した。
損益計算書
2007年1月期
店舗のスクラップアンドビルドや商品の充実を行ったが売上高は前年比12.9%減の13,719百万円となった。販売管理費の削減に努めたものの514百万円の経常損失(2006年1月期は232百万円の経常損失)となった。また、本社移転費用61百万円、不採算店舗の退店に伴う店舗撤退損59百万円、減損損失304百万円などの特別損失や繰延税金資産の取崩しによる法人税等調整額241百万円の計上などにより、当期純損失1,199百万円(2006年1月期は205百万円の純損失)となった。
2007年10月期
売上の落ち込みに対して販売管理費の削減が進まず、933百万円の経常損失計上となった。また、当該年度よりポイント引当期を計上したことに伴う過年度ポイント引当金繰入額116百万円、固定資産の減損損失290百万円、早期退職制度の実施に伴う特別割増退職金98百万円などを特別損失として計上した結果、当期純損失は1,545百万円となった。
2008年3月期
販売管理費の削減により、営業利益237百万円、経常利益272百万円となった。
2009年3月期
既存在庫の処分セールを継続的に実施したことなどから売上総利益率が低下し、営業損失548百万円となった。経常損失については、為替差損104百万円などもあって694百万円となった。また、特別損失として不採算事業の撤退に伴う事業撤退損202百万円、早期退職制度の実施に伴う退職特別加算金375百万円、投資有価証券売却損243百万円などを計上したことにより、当期純損失は1,935百万円となった。
2010年3月期
2009年3月期および2010年3月期上期において早期退職制度を実施したことにより販売力が低下、経費削減も及ばず営業損失660百万円となった。また、不採算店舗等に係る減損損失93百万円や店舗撤退損40百万円などを特別損失として計上したこともあり、当期純損失は768百万円となった。
過去の会社予想と実績の差異
貸借対照表
資産
貸借対照表をみると、金額が大きいのは、たな卸資産、敷金・差入保証金、売掛金などであり、店舗数、売上状況などに応じて変動してきた。2001年1月末以降をみると基本的に毎期減少傾向にあり、2001年1月末の総資産20,463百万円に対して、2011年3月末の総資産は9,592百万円と半分以下の水準まで減少している。
負債
有利子負債はほぼゼロないしは少額に留まってきた。また、現預金を有利子負債から控除したネット有利子負債(ネット・デット)の推移をみると、基本的に実質無借金で推移していることがわかる。
純資産
2007年1月末の純資産が2006年1月末と比べて259百万円増加したが、これは、当期純損失の計上によって利益剰余金が1,249百万円減少したものの、2006年12月に行った第3者割当増資(割当先:大和証券エスエムビーシープリシパル・インベストメンツ株式会社)によって資本金、資本剰余金がそれぞれ750百万円増加したことによる。それ以外の期に関しては、概ね当期純損益の動向を映して変動してきた。純資産も2001年1月末には11,908百万円あったが、2011年3月末には6,568百万円となり大幅に縮小している。
在庫管理の重要性
宝飾品業界全体として、在庫回転率が低い傾向がある。宝飾品チェーン店の商品は大まかにみて、1)自社商品、2)(他社の)ブランド品、3)委託品に分けられる。委託品は同社が在庫リスクを抱えるわけではないため、在庫管理という観点からは分けて考えることができる。問題は、委託品を除いても在庫回転率が低い点にある。在庫回転率が低い、つまり在庫の滞留期間が長いと資金繰りに影響を与えるほか、既存在庫の処分セールや在庫の評価減を通じて収益に影響を与えうる。また、新商品の投入数に影響を与え、中期的な競争力を低下させる可能性もある。
同社の場合2011年3月期でみた在庫回転率が1.1回転。概ね1年弱で在庫が入れ替わる計算となる。もっとも、商品によっては在庫回転率が早い商品と遅い商品があると考えられるため、2年以上滞留している在庫が一定程度あるものとSR社は推測している。同社の在庫は宝飾品であるため、貴金属市況によって評価額が影響される側面もある。ただし、宝飾品の価値は例えば、ダイヤの指輪を考えた際、ダイヤの価値、リング(プラチナ、金、銀など)の価値、加工賃などによって構成される。従って、この加工賃の比率が高いと貴金属市況がよほど高騰しない限り、滞留期間の長い在庫の価値が低減することになるものと推測される。
1株当たり数値
2007年10月期に発行済株式数が増加しているのは、2007年10月に優先株の一部普通株への転換がなされたためである。また、2009年3月期に発行済株式数が増加しているのは、2008年4月に優先株の普通株への転換がなされたためである。
株主還元
同社は2006年1月期に1株当たり3円の配当を実施したのを最後にそれ以来、配当を行っていない。
キャッシュフロー計算書
営業活動からのキャッシュフロー
当期純損益や運転資金の増減によって主に変動してきた。2009年3月期、2010年3月期と続けて大幅なマイナス(資金減少)となっているが、大幅な当期純損失を計上したうえ、運転資金が増加したことによる。
投資活動からのキャッシュフロー
2001年1月期以降をみると、出店を抑制し、退店を進めてきた傾向が窺える。つまり、出店などに伴う有形固定資産取得は少額で、退店に伴う敷金・差入保証金の回収や投資有価証券売却などによってプラス(資金増加)となる傾向がある。2010年3月期にマイナスとなっているのは、取引銀行に対する定期預金の預入によるものである。
財務活動からのキャッシュフロー
2001年1月以降をみると、概ねマイナスで推移してきた。2007年1月期にプラスとなっているが、これは2006年12月に行った第3者割当増資が影響している。また、2010年3月期および2011年3月期にプラスとなっているが、フリーキャッシュフロー(FCF)のマイナスを短期借入金で一部補ったためである。
その他情報
沿革
1936年 大久保利春氏、東京都品川区武蔵小山に大久保時計店を創業。
1948年5月 同店を法人化し株式会社大久保時計店を設立。時計・眼鏡・宝飾品の小売り販売、および修理を開始。
1962年5月 東京都立川市の中武デパート(現・フロム中武)に立川店を出店。チェーンストアの第一歩を踏み出す。
1990年 店舗数100店舗突破。
1991年9月 東京証券取引所市場第二部へ上場。
2005年8月 株式会社ジュエルベリテオオクボから株式会社ベリテへ商号変更
2008年6月 DTCサイトホルダーであるディジコ・グループの一員となる。
同社創業のきっかけとなったのは、1936年、大久保利春氏が22歳のとき、東京都品川区において「大久保時計店」を構えたことである。その後、1948年に第二次大戦の戦火をまぬがれた店は自身の弟に譲り、同じ品川区内に「株式会社大久保時計店」を開店、当初は文字通り時計をメインに販売していた。宝石・貴金属を中心とする宝飾品は、1950年代まで日本では「特定のお金持ちのもの」が社会の常識だった。しかし、大久保利春氏は旅行先の米国でみた宝石・貴金属を人々が普通につけている事実を目の当たりにし、日本でも宝石・貴金属の「大衆化」に着手する。その第一歩となったのが1962年における東京都立川市のデパートへの出店であった。その後、宝飾品専門のチェーン店展開を行い、全国に店舗網を広げ、1990年には店舗数が100店舗を突破した。また、1991年には東証2部に上場を果たした。ちなみに、日本における「宝飾品の大衆化」を実現させた大久保利春氏の人生は『宝石と男』というタイトルで単行本化(出版社:商業界、筆者:小林照幸氏)されている。
その後、1998年4月に大久保利春氏は代表取締役会長となり、同氏の長男の大久保仁雄氏が社長に就任する。日本の宝石・貴金属小売市場は1991年の30,150億円をピークに右肩下がりで減少し、1998年には15,954億円とピークの約半分の規模まで縮小していた。しかし、同社はその間も成長を続け、1998年1月期には売上規模で25,571百万円に達した。もっとも、その1998年1月期が同社の売上高のピークであった。創業者が社長を退き、その後の売上高が減少傾向を辿った事実は、同社の歴史上の転換点を示す象徴的な出来事といえるだろう。
2000年代に入ると同社の売上高は減少を続け、ほとんどの期において当期純損失を計上した。2006年12月に大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツ社によって出資を受けて再建計画を進めるも、その後の業績をみる限り、再建に成功したとは言い難い。そうした状況下、2008年4月15日にディジコ・ホールディングス・リミテッドが同社に対してTOBを行うと発表。ディジコ・ホールディングス・リミテッドが2008年5月28日に創業家である大久保家が保有していた株式、および大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツ社が株式(保有していた優先株式を転換した普通株式)を取得したことによって、同社はディジコ・グループの一員として新たなスタートを切ることとなった。
ニュース&トピックス
2012年2月
2012年2月13日、同社は2012年3月期第3四半期決算及び通期会社予想を発表した。
2012年3月期通期会社予想
- 売上高:9,750百万円(2011年3月期通期実績:9,530百万円)
- 営業利益:100百万円(同59百万円)
- 経常利益:0百万円(同4百万円)
- 当期純利益:△110百万円(同△169百万円)
2011年11月
2011年11月11日、同社は2012年3月期第2四半期決算を発表した。
同日、同社は下記4店舗の新店オープンを発表した。
- ベリテ倉敷店(2011年12月開店)
- PANDORA テラスモール湘南店1F(2011年11月開店)
- PANDORA丸井今井札幌本店1F(2011年11月開店)
- PANDORA神戸元町店(2011年12月開店)
2011年11月10日、同社は昨今の状況を踏まえ、未定としてきた2012年3月期第2四半期累計期間の会社予想を下記の通り発表した。
2012年3月期第2四半期累計期間の会社予想
- 売上高:4,417百万円(2011年3月期第2四半期累計期間4,809百万円)
- 営業利益:△166百万円(同20百万円)
- 経常利益:△230百万円(同3百万円)
- 四半期純利益:△267百万円(同△65百万円)
同社によれば、売上高は第1四半期前半にかけて東日本大震災後の消費自粛の影響を受けたことに加え、値引き販売の抑制等、採算を重視した販売活動を行ったため、前年同期に比べ減収となったとのことだ。また、営業利益、経常利益及び当期純利益については、新規事業において積極的な新規出店及びマーケティング活動を行ったため前年同期を下回る見通しになったと同社は説明している。
なお、通期会社予想については現時点で業績予想を行うことは困難であるとして、引き続き未定としている。
2011年9月
2011年9月14日、同社は新規店舗開店予定に関して「PANDORA天満屋広島店」新規出店の中心を発表した。株式会社天満屋から諸事情による出店キャンセルの申し入れ通知がなされたためとのことである。
2011年8月
2011年8月26日、同社は「PANDORA」の新規店舗の開店について公表した。
同社が今回開店を公表した店舗は以下。辻堂店以下の名称は全て仮称。
- PANDORA 伊勢丹浦和店(開店日:2011年8月24日)
- PANDORA 名古屋三越栄店(開店日:2011年8月26日)
- PANDORA 西宮阪急店(開店日:2011年9月7日)
- PANDORA 銀座店(開店日:2011年9月17日)
- PANDORA 東急百貨店たまプラーザ店(開店日:2011年9月21日)
- PANDORA 静岡伊勢丹店(開店日:2011年9月28日)
- PANDORA 東急百貨店さっぽろ店(開店日:2011年10月6日)
- PANDORA 井筒屋小倉店(開店日:2011年10月12日)
- PANDORA 天満屋広島店(開店日:2011年10月21日)
- PANDORA まるひろ川越店(開店日:2011年11月9日)
- PANDORA 辻堂店(開店日:2011年11月上旬)
- PANDORA 札幌大通店(開店日:2011年11月中旬)
- PANDORA 神戸店(開店日:2011年12月上旬)
- PANDORA 千里店(開店日:2011年12月中旬)
2011年8月12日、同社は2012年3月期第1四半期決算を発表した。
2011年7月
2011年7月1日、同社は従来から日本GE株式会社と締結しているリボルビングローン契約について、極度額をこれまでの1,000百万円から2,000万円に増額したと発表した。同社は資金使途について運転資金のためとリリース文にて記載している。
2011年5月
2011年5月13日、同社は2011年3月期決算を発表した。
大株主
「企業概要」を参照。
堤征二氏およびツツミ社が同社の株式を保有しているが、同社の増資に応じたというわけではなく、市場で買い進めた模様。ここ数年は特に動きがないとのことだ。元々、ツツミ社は同社の仕入れ先の一つだったが、ツツミが小売業に進出したことで、同社の競合先となった。
トップ経営者
平野 和良代表取締役社長CEO
1972年生まれ。株式会社ジュエリーデン(現株式会社ハピネス・アンド・ディ、ジュエリー、アクセサリー、時計、バッグ、財布などのブランドセレクトショップ)で勤務。営業、商品など幅広い業務経験を積み、取締役を務める。ジュエリーデン社がディミンコ・ジャパン(ディジコ・グループの日本の卸売拠点)の取引先であった縁もあって、2009年4月に同社に執行役員マーケティング本部長兼販売促進部長として入社。2010年4月に代表取締役社長CEOに就任した。
カヴァン・チョクシ取締役
1984年生まれ。2006年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス卒業、2007年の米国宝石学会(GIA)におけるB.B.Aプログラム履修を経て2008年に同社取締役就任。2009年よりディジコ・ホールディングス・リミテッドのディレクターも務める。チェッタン・シー・チョクシ取締役の子である。
チェッタン・シー・チョクシ取締役
2000年よりディジコ・ホールディングス・リミテッドのチェアマンを務める。2008年より同社取締役。
アルバン・ジャヴェリ取締役
2007年9月にディミンコ・ジャパン社入社。同社取締役営業統括本部長を経て、2009年8月より同社取締役店舗開発担当。
ジョージ・マシュー取締役
2006年1月にディミンコ・ジャパン社経理財務マネージャー就任。同社執行役員を経て、2011年6月より現職。
従業員
同社の従業員数は、2011年3月期末時点で385名の正社員と臨時従業員の平均雇用人員110名の合計495名である。その他基本項目は以下の通りである。
- 平均年齢:35.9歳
- 平均勤続年数:7.7年
- 平均年間給与:396万円
IR活動
同社は、年に2回アナリスト向け決算説明会を開催している。


























