メディネット(2370)
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2012年 5月 18日時点
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直近更新内容
概略
2012年5月15日、株式会社メディネットは特別利益(投資有価証券売却益)が発生したと発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
同社によれば、保有資産の効率化を図るために2012年5月15日付で保有上場有価証券1銘柄の売却を実施、売却益が118百万円発生したとのことである。本件に伴い、2012年9月期第3四半期において投資有価証券売却益(特別利益)を計上する予定だが、2012年9月期の業績予想については、他の要因も含め見通しが固まり、修正が必要な際には開示するとコメントしている。
同日、同社は、国立大学法人九州大学にがん免疫細胞治療分野での「共同研究部門」を新設したと発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
同社は、九州大学の共同研究部門制度を活用し、九州大学先端医療イノベーションセンターに「先進細胞治療学研究部門」を設置。産学連携でがん免疫細胞治療に係る次世代医療技術の開発を目指した共同研究を開始することになったとしている。主な研究内容は以下の通り。
研究内容:「がんに対する免疫細胞治療の臨床的および基礎的研究」
- )先端医療イノベーションセンターで実施されているがん免疫細胞治療について、詳細な治療効果の解析評価を実施。治療データの蓄積と外部への情報発信を行う
- )免疫細胞治療に関する臨床研究を行い、有用性と安全性に関する臨床エビデンスを取得する
- )がんの根治技術確立を目的とした、次世代先端医療技術の基礎から臨床応用まで一貫した研究開発を行う
2012年5月8日、同社は2012年9月期第2四半期決算を発表した。
(決算短信へのリンクはこちら、2012年9月期第2四半期決算の項目へのリンクはこちら)
2012年3月30日、同社は細胞培養評価システムに関する特許が日本で成立したと発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
同社によれば、本特許技術は、培養した細胞の状態を客観的指標で評価判定するものであり、この技術を用いることで、安定的に一定数の細胞培養が可能になるという。同技術は、現在開発中のインテリジェント培養システムへも展開する予定。本特許成立により、日本国内における独占的技術として使用する権利を同社は取得したことになる。
2012年3月19日、同社はがん治療に用いる「樹状細胞」に関する特許が欧州11ヵ国で成立したと発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
同社は樹状細胞(DC:Dendric Cell)の働きをより強化する技術に関する権利化を欧州で進めていたが、この度特許が成立したとしてリリース文を出した。具体的には、ビスホスホネートを用いて樹状細胞にγδT細胞の誘導能を発揮させるよう機能を強化したもので、本特許成立により、同社は、「ビスホスホネートを感作させた樹状細胞」を欧州11ヵ国で独占的に使用する権利を取得するという。
ビスホスホネートは、近年、悪性腫瘍による高カルシウム血症の治療薬として使用されている。また、ビスホスホネートの一種であるゾレドロン酸は、種々のがんの骨転移あるいは多発性骨髄腫の治療薬として使用されている。
既に特許登録されているオーストラリアに加え、今回新たに欧州で特許が成立し、「ビスホスホネートを感作させた樹状細胞」として広範囲に権利化できたことは、今後、欧州において事業展開を図る上で大きく寄与するものであり、また、樹状細胞ワクチン療法を欧州のがん患者に新たな治療選択肢として提供することにもつながると考えていると同社は述べている。
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業績動向
四半期実績推移
2012年9月期第2四半期実績
2012年5月8日、同社は2012年9月期第2四半期決算を発表した。通期会社予想に変更はない。
売上高は前年比22.7%減の1,115百万円であった。同社は売上が減少した理由として、1)2011年9月期後半に減少した同社グループ契約医療機関における細胞加工数が、2012年3月期に入り回復傾向にはあるもののまだ期待したような回復には至っていないこと、2)患者及びその家族に向けた病院広報活動企画・支援等のサービスについては、広報企画の受注減少により売上が減少していること、などを指摘している。
販管費は3.7%増の934百万円となった。販管費の増加は、上記広報企画の見直しにより販売費が前年比14.9%減となったものの、研究開発費が同22.7%増となったほか、システムサポート費用の増加(2011年10月に基幹システムの入れ替えを実施、同システムが安定的に稼働・運用されるまでの間のサポート費用が増加)等から一般管理費が同6.0%増となったことなどによる。
以上の結果、営業損失は320百万円(前年同期は営業利益6百万円)となった。その他、外貨建て投資有価証券の円換算等による為替差益25百万円、投資事業組合運用損25百万円の営業外損益により、経常損失は312百万円(前年同期は経常損失16百万円)となった。また、減損損失10百万円(本社建物及び医療機関賃貸用建物の減損処理)、投資有価証券評価損10百万円を特別損失計上したこと等から四半期純損失は336百万円(前年同期は四半期純損失101百万円)となった。
2012年9月期第1四半期実績
2012年2月7日、同社は2012年9月期第1四半期決算を発表した。会社予想に変更はない。
売上高は前年比26.6%減の543百万円であった。同社は売上が減少した理由として、2011年10月に九州大学先端医療イノベーションセンターに対して免疫細胞療法総合支援サービスの提供を本格的に開始したものの、1)2011年9月期後半に減少した同社グループ契約医療機関における細胞加工数の推移に大きな変動はなかったこと、2)患者及びその家族に向けた病院広報活動企画・支援等のサービスについては、広報企画の受注減少により売上が減少していること、などを指摘している。
販管費は6.7%増となった。販管費の増加は、上記広報企画の見直しにより販売費が前年比10.2%減となったものの、研究開発費が同15.0%増となったほか、システムサポート費用の増加(2011年10月に基幹システムの入れ替えを実施、同システムが安定的に稼働・運用されるまでの間のサポート費用が増加)等から一般管理費が同12.7%増となったことなどによる。
以上の結果、営業損失は174百万円(前年同期は営業利益53百万円)となった。
同社は、「がん拠点病院等との取り組みの強化」、「研究開発成果の早期事業化」と「RA化を踏まえた、グローバル展開の加速」を2012年9月期以降の重点施策として打ち出している。
「がん拠点病院等との取り組みの強化」に関し、第1四半期中に、主力サービスである免疫細胞療法総合支援サービスを提供している九州大学先端イノベーションセンターが本格的に診療開始したことが挙げられる。また、当該四半期中に金沢大学附属病院のトランスレーショナルリサーチセンターに新設されたCPCの運営管理業務を受託している。
「研究開発成果の早期事業化」と「RA化を踏まえた、グローバル展開の加速」について、当該四半期に新たに開始した主な研究開発活動としては、1)アジア・パシフィック地域を中心とした海外市場への事業展開に向けて、規制当局の承認に必要な樹状細胞ワクチン開発に係る「前臨床データ」取得を目的に、デューク大学メディカルセンター(米国ノースカロライナ州)と委託研究契約を締結したこと(2011年10月)、2)東京大学医学部附属病院と共同で、再発・進行がんの患者(対象疾患は膵がんや他の消化器系がんなど)を対象として、HSP105抗原ペプチドを用いた樹状細胞ワクチンの臨床試験を開始したこと、が挙げられる。
同社は第1四半期の実績に関し、ほぼ会社計画通りであるとしている。ただし、第2四半期以降、第4四半期にかけては、売上高が増加傾向、営業損失が縮小傾向となることを会社予想としている。そのため、会社予想達成のためには、新規患者数も第4四半期にかけて増加傾向となることが必要となる。2012年に入ってからも、上記取り組みが緒に就いたばかりであることもあって、広報企画の見直しに伴う影響等から新規患者数は会社予想よりも低調に推移している模様だ(2012年2月中旬時点)。ただし、同社は、会社予想を達成するために「がん拠点病院等との取り組みの強化」に軸足を置いた様々な施策やコスト抑制等に努めていくとしている。
過去の四半期実績と通期実績は、過去の財務諸表へ
今期(2012年9月期)の会社予想
2012年9月期の会社予想の考え方について、同社は厳しかった2011年9月期と同等の水準を計画しており、保守的であるとしている。
売上高は、2012年9月期上期が前年比16.1%減の1,210百万円、2012年9月期通期が前年比0.9%減の2,650百万円の計画である。同社はこの考え方について以下のように述べている。
細胞加工に係る免疫細胞療法総合支援サービス売上については、前年比15%程度の増加になると想定。その考え方の背景として、2011年9月期において、同社は大学病院をはじめとした地域中核医療機関等との新しい取り組みを推進してきたほか、今後も新規契約医療機関の獲得と地域中核医療機関等との医療連携体制の構築の拡大に注力する計画であることを指摘している。大学病院をはじめとした地域中核医療機関等との新たな取り組みの例としては、2011年7月に、九州大学先端医療イノベーションセンターのCPC全体の運営管理業務を担うと共に、主力サービスである免疫細胞療法支援サービスの提供を開始したことが挙げられよう。
一方、同社がこれまで拡充に努めてきた患者及びその家族に向けた病院広報活動企画・支援等のサービス売上は、広報効果の低減が続いていることもあり、相当の減少が予想されるとのことである。
こうした広報効果の低減も踏まえ、同社は今後、患者及びその家族に向けた広報活動を縮小し、地域中核医療機関等との連携を強化、医師の紹介等によって新規患者数を増やす方向にもっていきたいと述べている。そのため、2012年9月期の会社予想では、(患者及びその家族に向けた広報活動の縮小を映し)販売費が2011年9月期よりも160百万円減少するが、地域中核医療機関等との連携強化を図る目的等により、研究費が112百万円増加、一般管理費が85百万円増加する見込みとなっている。
営業利益に関しては、上記要因に加え、細胞加工技術者の採用等に係る人件費の増加もあって、400百万円の営業損失が見込まれている。
同社は成長軌道に復帰するための施策として、2011年9月期より以下(1)~(3)の施策に取り組んでいる。SR社はその成果の発揮等を見極める意味でも、2012年9月期が同社にとって重要な年度になるだろうと考える。
(1)がん拠点病院等との取り組みを水平展開する
同社は、市場の顕在化及び拡大に努めるべく、患者の治療選択プロセスにおいて実質的な決定力を有する医師・医療機関とともに新たな取り組みを進めている。2011年9月期以降、2012年9月期第1四半期に至るまで具体化した取り組みとしては、以下の点が挙げられる。
- 国立大学法人 金沢大学、医療法人社団 金沢先進医学センター、医療法人社団 滉志会 瀬田クリニックグループと共同で悪性腫瘍全般(一部血液がん等を除く)を対象とした免疫細胞治療の治療効果に関する解析研究を開始(2010年11月15日リリース、レポート内のリンクは こちら)
- 沖縄県の先端医療産業化基盤構築事業に参画(2010年11月29日リリース、レポート内のリンクは こちら)
- 九州大学先端イノベーションセンターのCPC全体の運営管理業務を担うと共に、主力サービスである免疫細胞療法総合支援サービスの提供を開始(2010年11月15日リリース、レポート内のリンクは こちら)
SR社は、これらの取り組みが相応の成果を収めれば、他の大学病院をはじめとした地域中核医療機関等との取り組みにもつながる可能性があり、かつ広告宣伝費を抑制しながらも新規患者数の増加に結びつけていくことが可能になるものと認識している。
(2)研究開発の成果を迅速に収益化する
同社が上記(1)を推進していくためには、研究開発の進展と成果も求められる。同社はこの点について、「免疫細胞治療に係るEvidenceの強化」、「より治療効果の高い新たな免疫細胞治療に係る技術の開発」、「細胞加工プロセスの大幅な効率化と細胞輸送技術の強化」を目標に、より出口に近いテーマにプライオリティを置いて推進していると述べている。
2011年9月期における研究開発活動の成果としては以下の点が挙げられる。
- PP-RP(Proliferation Potential-Related Protein) に由来するペプチド5種の権利を取得(2011年3月30日リリース、レポート内のリンクは こちら)
- HSP105抗原ペプチドに係る特許が欧州11ヵ国で成立(2011年8月24日リリース、レポート内のリンクは こちら)
- NKBIO CO.,LTD.(大韓民国ソンナム市、以下「NKBIO社」)が保有するナチュラルキラー(NK)細胞の培養法の技術検討を行うとともに、同社が有する細胞培養に係る独自技術、ノウハウ等への応用について、NKBIO社と合意(2011年6月7日リリース、レポート内のリンクは こちら)
(3)RA化(規制当局の承認:Regulatory Approval)を踏まえながら、海外事業を展開
同社は、今後、アジア・パシフィック地域を中心としたグローバル展開を、医療機関や企業へのライセンス供与等を通じて行っていきたいと述べている。
そのために、同社は海外の大学等も含めた知見・ノウハウを積極的に活用し、治療効果の向上と臨床Evidenceの構築を行う方針だ。具体的には、RA化を踏まえた、「前臨床試験」データパッケージの取得をめざすために、デューク大学メディカルセンター(Duke University Medical Center)と樹状細胞(DC)ワクチン技術開発に係る委託研究契約を締結している(2011年10月21日リリース、レポート内のリンクは こちら)。
中長期業績見通し
同社は2010年9月期の決算短信の中で、目標とする経営指標として売上高営業利益率を10%以上に維持することとしている。2010年9月期の売上高営業利益率は既に10.4%と目標に達しているが、同社は2009年9月期に上場後初めて営業利益ベースでの黒字化を達成したばかりであることもあり、当面はこの水準を最低限維持することを念頭に置いているものとSR社では推察する。
日本のがん罹患数(対象とする人口集団から、一定の期間に、新たにがんと診断された数)が年間約69万人(2006年、出典:国立がん研究センターがん対策情報センター「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年~2006年)」)であるのに対し、同社のサービスによる治療を受ける患者数が2010年9月期においても2000人程度であったことを考慮すると、十分な成長の余地があると同社は考えている。
事業内容
概略
メディネットは医療機関に対して「免疫細胞療法総合支援サービス」を提供するバイオテクノロジー企業である。
同社が提供する「免疫細胞療法総合支援サービス」は、がん治療分野における免疫細胞治療を実施する医療機関に対し、治療に用いる細胞の培養・加工を安全かつ効率的に実施可能とする技術・ノウハウ、施設・資材などを包括的に提供するサービスである。「免疫細胞療法総合支援サービス」が同社の主要事業であり、免疫治療技術の開発、細胞加工技術の開発、免疫抑制解除技術の開発なども手掛けている。
また、2008年1月に設立した子会社の(株)医業経営研究所は、医療設備などの賃貸、医療および医療経営に関するコンサルティング業務を行っている。
ビジネス
同社は1999年に日本で初めて免疫細胞治療を医師・医療機関が実施するために必要な技術・ノウハウ、その他あらゆるニーズに応じて提供する「免疫細胞療法総合支援サービス」の提供を開始し、2012年3月現在、同様の支援サービスを提供する企業としては最大手である。同社によると、免疫細胞治療は、最近では、外科手術、放射線、抗がん剤といった三大療法との併用により、相乗効果が期待できるという点から、三大療法の基盤となる治療法として期待されており、副作用がほとんどなく、QOL(Quality of Life:生活の質)やQALY(Quality-Adjusted Life Year:質調整生存年)を保ちながら実施することができる点からも注目を集めている。
免疫細胞治療とは、患者自身の免疫細胞(リンパ球など)などを体外に取り出し、培養・加工した上で、再び患者に戻すことによって、免疫細胞の働きを人為的に大幅に強めて、がん細胞などの増殖を抑える治療法である。
患者が免疫細胞治療を受けるには、まず治療を実施する医師・医療機関を探すことになる。一般的なケースとして、免疫細胞治療を希望する患者は免疫細胞治療を提供する医療機関で診察を受け、まず採血が行われる。採取された血液は同社がサービスを提供する医療機関のCPC(Cell Prosessing Center、細胞加工施設)の細胞加工プロセスを通じ2週間かけて培養される。培養された細胞は、点滴の形で約30分かけて患者に投与される。治療の1クールは計6回の投与で約3ヵ月である。
免疫細胞治療の流れ
同社が医療機関向けに免疫細胞療法総合支援サービスを事業化するに至ったのは、現代表取締役社長木村佳司氏が東大名誉教授であった江川滉二氏(2009年逝去)と出会ったことがきっかけである。江川氏は東京大学医科学研究所にてがん免疫学の研究に携わっていた。免疫細胞治療を普及医療として発展させることを目的に木村氏はメディネットで「免疫細胞療法総合支援サービス」を立ち上げる一方、江川氏は治療を実践する免疫細胞治療の専門クリニックとして瀬田クリニックを創設した。その後、江川氏はメディネットの事業展開にもScientific Founderとして参画し、これまでのメディネットの成長は、必然的に瀬田クリニックの成功・拡大とともにあったといえる。
免疫細胞療法総合支援サービス
免疫細胞治療を実施するためには、免疫細胞の培養・加工のための高度な技術・ノウハウ、専門の技術者、専門の機器・施設が必要不可欠であり、一般の医師・医療機関がこれらを導入するのは困難である。そのため、医療機関に対し、免疫細胞治療を安全かつ効率的に実施可能とする技術・ノウハウ、施設、資材、専門技術者、システムなどを医療機関に対して包括的に提供するのが「免疫細胞療法総合支援サービス」である。
免疫細胞治療を実施する医師・医療機関には、医師法(詳細は後述)に基づき、インフォームド・コンセントの実施や医療事故・医療過誤があった場合の賠償責任など、治療に関わるすべての責任が発生する。免疫細胞治療を実施するために、メディネットは治療を行うクリニックに併設する形でCPCを設置する。CPCの所有権は同社にあるが、同社はクリニックに対し、CPCの独占的使用許諾権をクリニックに付与し、必要な資材の提供、実際の加工を行う技術者の提供などを行っている。同社のコア技術は細胞加工技術であり、その強みは医療と生産技術が重なるエンジニアリング技術にあり、ノウハウ的な部分が多い。
免疫細胞治療に関するビジネスを事業化するに当たり、一般的には、細胞医薬品として薬事法上の承認(詳細は後述)を得るか、現在同社がサービスを提供する医療機関で行われているような、医師法、医療法(詳細は後述)等に基づき実施される治療行為として位置付けるかの2つの選択肢がある。同社が、一人でも多くの患者に最善で最良の医療として免疫細胞治療を提供するために、関係省庁などと議論や検討を重ねた上で作り上げたのが現在のビジネスモデルである。医療を行うのはあくまでも医師であり、医師の監督下で治療に必要なハードやソフトを株式会社であるメディネットが包括的に提供する。
このようなモデルが選択された背景には、医師法・医療法や薬事法をめぐる複雑な問題が絡んでいる。同社によると、免疫細胞治療はそもそも現在の薬事法などで想定されていなかった最先端の治療法とも言え、培養・加工される細胞は、自己由来細胞(「患者から採取した」の意)であるため、工業製品である一般の医薬品との本質的な相違から同列に位置づけるべきではないと同社は考えている。なお、海外における医療および医薬品に関する法律については各国で違いが生じる。米国においては、治療行為として医師が提供する治療法はFDA(Food and Drug Administration, アメリカ食品医薬品局)によって承認されたものに限られている。一方、日本、中国などのアジアにおいては、東洋医学への理解の素地もあり、規制や法の枠組みも医師の裁量が米国に比べると大きい。このような仕組みは、免疫細胞治療などの新しい治療法が日本で発展してきた一因であったとも言えよう。
同社は、免疫細胞治療の普及、および健全な市場の発展のためには、免疫細胞治療を念頭においた新しい法規制などの整備が望ましいとしている。
医師法との関連:医師法は、医師となる要件及び医師の行う行為について定めた法律であり、同法17条において「医師でなければ医業をなしてはならない」と規定されている。同社が行う免疫細胞療法総合支援サービスにおいては、サービスの一環として、同社の技術者が契約医療機関に出向して細胞加工及び品質検査業務に従事しているが、これらは、医療機関の医師が行う医療行為(免疫細胞治療)の一連の行為の一部を補助するものであり、当該行為はすべて医師の指揮監督下に行われることから、同社の出向者が同法17条に規定する「医業」を行っているものではない。その他、医師法の各条項を含め、同社グループの行う事業については現在のところ、医師法の規制に該当する行為はない。
薬事法との関連:薬事法は、医薬品等の有効性および安全性の確保のために必要な規制を行う法律であり、同法12条において「医薬品等の製造業の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品等の製造をしてはならない」旨規定されている。ただし、医療機関が自らの患者の細胞を加工する行為については、薬事法における医薬品等の製造に該当するものではない。同社は、医療機関に対し、施設、技術・ノウハウ、技術者、材料および資材、品質保証、システム等、医師が免疫細胞治療を実施するために必要なあらゆるソリューションを免疫細胞療法総合支援サービスとして包括的に提供するものであり、患者の細胞加工については、契約医療機関で医師の指揮監督下において行われている。従って、同社の行う事業についても、同法12条に規定する「医薬品等の製造」の規制を受けるものではない。その他、薬事法の各条項を含め、現在のところ同社グループの行う事業について、薬事法の規制に該当する行為はない。
医療法との関連:医療法は、医療の安全性の確保、および医療提供施設の整備、施設相互間の機能の分担および業務の連携等について定めた法律であり、同法第1条の2項において、「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われる」旨規定されている。また、旧厚生省の回答文書(昭和25年2月1日:医収第六二号)において、「医師は疾病の診察、治療等医行為の総てを業としてなし得るのであり、特にその行為の内容、方法等について法律上の制限は存しない」旨が記載されており、原則として医師と患者の信頼関係に基づき実施される治療等医行為について、関連法規制に制限される行為はない。
同社の技術・サービスの供与に基づき免疫細胞治療を実施している医療機関は「契約医療機関」と呼ばれる。2011年12月現在、契約医療機関は9ヵ所:
- 医療法人社団 滉志会
- 瀬田クリニック東京(東京都千代田区)
- 瀬田クリニック札幌(札幌市中央区)
- 瀬田クリニック新横浜(横浜市港北区)
- 瀬田クリニック大阪(大阪府吹田市)
- 瀬田クリニック福岡(福岡市博多区)
- 東京大学医学部附属病院(東京都文京区)
- 金沢大学附属病院(石川県金沢市)
- 国立病院機構大阪医療センター(大阪市中央区)
- 九州大学先端医療イノベーションセンター(福岡県福岡市東区)
これらの契約医療機関では、同社が提供する技術・サービスを利用して免疫細胞治療を実施するとともに、他の医療機関との医療連携により、それらの医療機関の患者に対しても、契約医療機関と同等の免疫細胞治療を実施することができる。これらは、「連係医療機関」と呼ばれる。2011年12月末現在で、契約医療機関は9施設、連係医療機関は59施設となり、合わせて68施設となる。
医療法人社団 滉志会 瀬田クリニックグループについて
1999年3月に免疫細胞治療の専門医療機関として開院している。現在は、東京、札幌、新横浜、大阪、福岡と5つのクリニックと59の連係医療機関との医療連携により、患者が全国各地で免疫細胞治療を受診できる環境の構築を進めている。これまでに受診した患者はおおよそ1.4万名を超え、免疫細胞治療について蓄積した経験や症例数は、世界でも類を見ない規模となっている。
同社は、免疫細胞療法総合支援サービス契約に基づき、医療法人社団 滉志会 瀬田クリニックグループ(以下、瀬田クリニックグループ)に対して、免疫細胞治療の安全かつ効率的な実施を支援している。なお、瀬田クリニックグループは、免疫細胞治療を実施するとともに、他の医療機関との医療連携により、連係医療機関の患者に対しても、共同して免疫細胞治療を実施している。
なお、瀬田クリニックグループでは、医師が患者ごとのがんの性質、状態を踏まえて最適と思われる方法を選択し、さらには、免疫細胞治療以外に受けている治療の状況・経過を見極め効果的な併用を試みる、患者一人ひとりに合わせた「オーダーメイドの医療」と位置づけ、これを実践している。
同社では、「アルファ・ベータT細胞療法」、「ガンマ・デルタT細胞療法」、「CTL療法」、「樹状細胞ワクチン療法」に関する技術・サービス、また、がんの情報源ともいうべき患者自身のがん組織を預かる「自己がん組織バンク」事業、そして、がん細胞の特徴を判別する「免疫組織化学染色検査」といった検査技術などを開発・提供している。
- 自己がん組織バンク:免疫細胞治療の中には、患者自身のがん組織を利用することで、より特異的な免疫反応の誘導が期待できる樹状細胞ワクチン療法がある。外科手術の際にがん組織を保管しておけば、術後、再発や転移が見つかった場合に患者自身のがん組織を利用した治療を選択できる可能性が広がる。「自己がん組織バンク」では、患者のがん組織を保管・管理し、必要に応じて返還するサービスを無償で提供する。
- 免疫組織化学染色検査:一部の免疫細胞は、がん細胞表面上の分子を認識することでがん細胞を直接的に傷害するが、その標的となる分子は免疫細胞の種類により異なる。免疫組織化学染色によりがん細胞表面上の分子の発現を検査することは、個々の患者の治療法を選択する上で有用な判断基準のひとつになると考えられる。同社では株式会社東京セントラル・パソロジー・ラボラトリーとの提携により、免疫細胞治療実施医療機関が免疫組織化学染色検査を実施するためのインフラ整備を行っている。
ビジネスモデル
同社の売上高は免疫細胞治療を実施する契約医療機関から受け取るロイヤルティである。同社契約医療機関における免疫細胞治療1クール(6回)の治療費総額は、およそ150万~210万円である。同社は免疫細胞療法総合支援サービスの対価として細胞加工の種類と回数に基づき、患者が支払う治療費の一部分をロイヤルティとして受け取っている。同社の売上高の水準は細胞加工件数により決定され、細胞加工件数は契約医療機関等における新規治療開始患者数が増えれば増加する。患者によっては、1クール、2クールもしくはそれ以上のクール数の治療を受けることがあるが、治療費が高価なことを勘案すると、大半の患者が受けるクール数は1クールではないかとSR社では推測している。治療費の総額を150万円と仮定した場合、1クールは6回の治療であることから1回の治療費は25万円である。
コスト分析
同社の売上総利益率はCPCの稼働率の影響を受けるとSR社では推測している。同社の売上総利益率は2011年9月期で62.8%であり、2010年9月期の67.9%に比べて低下したのは患者数の減少が主因であると思われる。逆に2009年9月期において売上総利益率は69.6%と2008年9月期の59.6%から上昇したが、やはり患者数の増加が寄与したものと推測される。
2011年9月期の売上原価で最も構成比率が高いのは材料費であり、対売上高比で約13%(単体ベース)を占めている。次に多いのが労務費で、対売上高比で約11%(単体ベース)である。残り経費は対売上高比で約12%(単体ベース)で、中身は家賃、減価償却費など、固定費が中心と思われる。
販管費の中で大きな割合を占めているのが研究開発費、人件費、広告宣伝費である。同社は戦略的に4~5億円を研究開発費に割いている。通常研究開発費は人件費が中心であり、固定費的な要素が強いが、同社は大学病院などと共同研究を多く行っている上、研究を担っている人員数は25~30人であり必ずしも人件費が大半ではないと思われる。同社の場合、研究開発費は裁量によって増減させる余地のある費用であると思われる。
同社のビジネスモデルでは、患者の免疫細胞治療に対する認知度が十分ではない低い現状においては、しばらくの間広告宣伝費が必要になるが、患者および医師・医療機関の認知度・理解度が高まれば、対売上高比率で考えれば広告宣伝費は少なくてすむと思われる。ティッピング・ポイントを超えることができれば、同社の利益率はさらに拡大する可能性があるとSR社では考えている。
収益性・財務指標
SW(Strengths, Weaknesses)分析
強み(Strengths)
- 日本の医療関連法制度下で実現できたユニークなビジネスモデル:日本以外の先進諸国で免疫細胞治療を患者に提供しようとする場合、FDAなどの承認機関による承認が必須であり、その取得には膨大な時間と費用を要する。日本では医師法のもと、安全性や治療方法の効率性に関する判断の部分を医師に合法的に任せることで、同社は患者の治療データを活用しつつ技術開発に注力すると同時に、収益性の確保を行うことができる。薬事法で細胞医薬品として承認を取る方法もあったが、再生・細胞医療においては、日進月歩で進化する技術であるため、常に最善で、最新の医療を患者に提供するために、同社はそれを採用せず、現在のビジネスモデルを採用している。その結果、同社は既に黒字化を達成し、キャッシュフローも増加に転じており、それを資金源として次の成長投資やR&Dに向けることが可能。
- 先行者メリット:同社の最大の強みの一つは、免疫細胞治療のパイオニアとして同社が蓄積してきた細胞加工技術である。同社は免疫培養に関して10年以上の歴史を持つ。同社によれば、細胞加工で品質の差が生じるのは設備よりもむしろノウハウ的な側面が大きい。同社は約110,000回に上る培養回数経験に裏打ちされた細胞加工技術を有している。
- 瀬田クリニックと築いた協力関係:同社は東京大学出身の江川氏が設立した瀬田クリニックとの提携関係にある。瀬田クリニック(現「瀬田クリニック東京」)が1999年に初めて東京都世田谷区に設立されて以来、瀬田クリニックグループは2001年に瀬田クリニック新横浜、2003年に瀬田クリニック大阪と瀬田クリニック福岡、2008年に瀬田クリニック札幌を開設した。瀬田クリニックグループが順調に療法の提供地域を拡大できたことで、同社も事業規模の拡張を成し得た。
弱み(Weaknesses)
- 瀬田クリニックグループへの依存度の高さ:同社の事業展開は「免疫細胞療法総合支援サービス」の単一事業である。それに加え、2011年9月期の売上高の実に95.9%が瀬田クリニックグループ向けである(出所:2011年9月期決算短信)。瀬田クリニックグループは、同社の免疫細胞療法総合支援サービスを活用して免疫細胞治療を専門的に提供するクリニックであり、もし医療事故や医療過誤が起きた場合は瀬田クリニックのみならず、同社の提供するサービスに対する信頼が失墜し、同社の事業に甚大な影響が生じる可能性がある。
- 現在同社の事業は、医療機関に対するサービス業であることから、医師法・薬事法などの医療関連法制度の規制を受けるものではないが、今後の医療関連法制度および行政の動向などに変更がある場合は、事業が継続できないなどのリスクが存在する。
- 患者にとって比較的高価な医療費:免疫細胞治療の治療は、保険適用にならないため治療費が全額患者の自己負担となり、1クールで約150~210万円と患者への経済的な負担が大きい。
事業所網
- 本社(新横浜)
- 西日本学術センター
- 九州学術センター
<研究所・細胞加工センター>
- 研究開発センター
- 新横浜CPC(瀬田クリニック新横浜に併設)
- 大阪CPC(瀬田クリニック大阪に併設)
- 福岡CPC(瀬田クリニック福岡に併設)
- 東大CPC(東京大学医学部附属病院に併設)
※CPC:Cell Processing Center
主要拠点
現在の同社の拠点は日本国内のみであるが、中国を中心としたアジア・パシフィックへの展開を狙っている模様である。
市場とバリューチェーン
マーケット概略
再生医療・細胞医療は今後大きな成長が見込まれる分野である。細胞医療(再生医療と総称されることもある)とは患者自身、あるいは他人の細胞を使って治療を行う先端技術である。細胞医療は培養皮膚や培養軟骨など体の構造を再生することを目的とした再生医療と、がんや先天性疾患などを治療する細胞移植医療に大別される。
細胞医療の中でも免疫細胞治療は研究開発の域を超え、既に実際の臨床に使用されている数少ない医療である。株式会社シード・プランニングの「2010年版 幹細胞・再生医療研究とビジネスの展望-国内編-」によると、 免疫細胞治療のうち、がん免疫療法の国内の市場規模は年間約70億円程度、年率140%程度で拡大していると推測される。
細胞加工件数及び患者数の推移
(出所:会社データ)
上のグラフで示されている通り、同社のサービスを通じて免疫細胞治療を受けた患者の数は年々増えているが、直近のピークである2010年9月期でも年間約2,000人程度にしか過ぎない。これは全国に年間69万(2006年、出典:国立がん研究センターがん対策情報センター「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年~2006年)」)いると言われるがんの罹患者数(対象とする人口集団から、一定の期間に、新たにがんと診断された数)と比べると少ない。では、もし患者身体的負担も少なく、かつ一定の効果が認められている療法であれば、なぜ普及しないのだろうか。SR社では治療の普及の足かせになっていると思われるいくつかの要因について検証を試みた。
医師および医療機関の理解・認知度
免疫細胞治療の需要を拡大するためには、まず、患者の治療選択プロセスにおいて実質的な決定権のある医師・医療機関が、免疫細胞治療をがん治療オプションとして積極的に選択する状況が必要となる。しかしながら、近年の免疫学、分子生物学および細胞工学などの発展とともに、免疫細胞治療に係る技術は飛躍的に進歩し続けており、世界的に本分野における研究開発が進む一方で、一般の臨床医がその最新の技術動向、内容などを詳細にキャッチアップすることは困難な状況であり、免疫細胞治療に対する医師・医療機関の認知度および理解度が十分と言えないのが現状となっている。
免疫細胞治療の臨床効果に係るエビデンス(治療効果)
免疫細胞治療に対する医師・医療機関の認知度および理解度が十分でない現状から、免疫細胞治療の正しい理解と認知の向上を図る必要がある。そのためには、根拠に基づく医療(EBM)を推進するための臨床エビデンスを収集・構築し、その結果を外部発表などを通して、医師・医療機関などに情報提供することが必要である。同社は、新規免疫細胞治療技術の開発や既存技術の機能向上を推進するとともに、その臨床効果を評価し、新たな治療プロトコルを開発するため、大学病院をはじめとする中核医療機関と臨床研究を進めている。しかしながら、現在、免疫細胞治療については、どのような指標をもって科学的効果を示すのか、その評価法が確立されていないことや、化学療法や放射線療法などの標準療法の評価法(RECIST)では十分な臨床的効果を示せていない。免疫細胞治療の一層の普及には、評価法の確立も含め、より質の高いエビデンスの構築が必要となる。
以上のことを踏まえ、実施医療機関が増えれば、治療を受ける患者数は増えるのであろうか。SR社はほかにもいくつか普及の阻害要因があると見ている。
治療費の患者負担
現在、免疫細胞治療は原則として自由診療で行われている。そのため、免疫細胞治療を受ける患者は、治療費を全額自己負担し、1クール約150万~210万円を支払うことになる。また、混合診療が禁止されているため、患者は保険診療を受診している医療機関では免疫細胞治療を受診することは困難であるが、厚生労働大臣が保険適用外の先端的な医療技術と保険診療との併用を、例外的に認めた医療制度としては「先進医療制度」がある。逆説的には、将来、同社が提供する免疫細胞治療が先進医療の適用を受け、保険診療との併用(いわゆる混合診療)が可能となれば、免疫細胞治療を受ける患者数は増加する可能性がある。
再生・細胞医療に対する政府の取り組み
政府としても先端的な医療である再生・細胞医療が有効性・安全性の高い形で患者に提供され、普及していくよう、医療機関で再生・細胞医療の実施に当たり、法制度の整理、通達を通じた方針の打ち出しなどを行っている。政府は再生・細胞医療を日本の先端技術を牽引する分野として位置付けているが、医薬や薬事に関わる法制度がこのような先端医療分野における様々な技術を従来想定していないため、医療現場における研究や治療の阻害要因となっていることは否定できないとして、ライフサイエンス分野で規制改革を行っていく姿勢である。
医療機関における再生・細胞医療の要件・位置付けの明確化
2010年3月30日に厚生労働省は各自治体向けの通達として、「医療機関における自家細胞・組織を用いた再生・細胞医療の実施について」の文書を発信し、医療機関で再生・細胞医療を行う場合の要件を定めた。また、複数の医療機関が連携して免疫細胞治療の実施する場合の要件について定めたことで、実質的にはCPCを保有しない医療機関でも、適切な安全基準適合の細胞加工施設を有する医療機関と連携することで、合法的な形で治療を実施することを認めたものである。同社によると、同社の事業にとっては、医療機関側の実施へのインセンティブの面、そして同社の契約医療機関数および連係医療機関数を拡大させていく上で強い追い風となる。
ライフサイエンス分野の規制改革として、現在も政府で検討が続いているテーマのうち、同社にとって影響が大きい分野は医工連携(医師とエンジニアの役割分担)と高度医療評価制度の積極的活用の2つである。
調達品目と調達先
細胞の培養・加工で使用される培地(培養液)はもっとも重要な調達品目の一つであり、主に、株式会社細胞科学研究所が製造したものを、ニプロ株式会社(東証1部8086)から購入している。なお、同社は細胞科学研究所に対して出資も行っている。
顧客
日本におけるがんの罹患者数は年間約69万人である(2006年、出典:国立がん研究センターがん対策情報センター「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年~2006年))。2020年には年間約90万人のがんの罹患者が発生するとの予測もある(出典:大島明ほか編『がん・統計白書-罹患/死亡/予後-2004』(篠原出版新社)。
参入障壁
免疫細胞治療に必要なのはCPCとそれを稼働させるのに必要な技術者であり、設備の設置自体に関しての参入障壁は高くない。差が出てくるのは技術者の育成や培養方法などのソフト面である。同社は、累計細胞加工件数では約110,000件と他社に比べ、圧倒的な差をつけている、と主張している。
競合環境
免疫細胞治療のマーケットは成長途上にあり、シェアを取り合うほどの規模になっていない、というのが同社の認識である。同社によると現在免疫細胞治療を手掛けている同業他社は、いずれも木村CEOと江川氏が10年かけてつくりあげた同社のビジネスモデルを踏襲している。同社は患者の視点からしても、比較して選択できるとの意味から、健全な競合関係の存在は望ましいという立場を取っている。
テラ株式会社(JASDAQ NEO 2191)は外科医だった矢崎社長によって2004年に設立された。同社は、がん免疫療法の一つである「樹状細胞ワクチン療法」を中心に、化学療法(がん休眠療法)、放射線療法(低侵襲放射線療法)などを組み合わせることで、効率良くがんを攻撃することを目指す、テラ社独自の「アイマックスがん治療(免疫最大化がん治療)」を提供している。
株式会社リンフォテック:メディネットが約10%出資している。1999年4月設立。活性化自己リンパ球療法によるがん治療専門クリニックである白山通りクリニックなどに向けてサービスを提供している。
リンパ球バンク株式会社:ANK(Amplified Natural Killer)療法普及を目的に、2001年設立。京都にある提携医療機関、東洞院クリニックがリンパ球バンク社の培養センター内を使用して細胞培養を行っている。
ジェー・ビー・セラピュティクス株式会社:東京女子医大・消化器病センターの外科医だった谷川氏が2001年に設立。実施医療機関は東京女子医大・消化器病センターやビオセラクリニック。
上に名前を掲げた4社とともに、メディネットは免疫細胞治療を実施する主要医療機関で構成される免疫細胞療法連絡会における協力企業であり、競合関係にありながらも、免疫細胞治療の普及に向けて共同で基準づくりなどを行っている。
代替品
がん治療分野では、当然ながらこれまで行われてきた三大療法(外科手術、放射線、抗がん剤)が存在する。三大療法のそれぞれを併用することもあるが、同社によると、三大療法と免疫細胞治療との併用により、より治療の効果を高めることができる場合もある。
| 治療方法 | 治療対象 | 対象がん | 特徴 | 副作用 |
| 外科療法(手術) | 局所 | 早期の固形がん |
| 臓器侵襲による出血のリスクおよび正常臓器機能の低下・喪失 |
| 放射線療法 | 局所 |
|
| がん局部周囲の正常細胞も傷害されるため、後遺症が残る場合もある |
| 化学療法(抗がん剤) | 全身 | *早期がんおよび部位などにより外科手術が困難ながん | 絨毛がん、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫、睾丸腫瘍などで有効性が高い | 増殖の早い細胞に対して働くため、がん細胞のみならず正常細胞も殺傷される |
| 免疫細胞治療 | 全身 | ほぼ全てのがん(白血病、T細胞型の悪性リンパ腫などの一部の血液がんを除く) | QOLを維持した全身療法。外科手術後の再発予防効果が報告されている | 自己の細胞を用いることから本質的に副作用はない。まれに一過性の微熱が見られる |
(出所:会社資料よりSR社作成)
経営戦略
理念・方針
同社が目指しているのは、再生・細胞医療分野における先端的な技術・シードを迅速に患者に提供し、患者利益に資することであり、「常に患者様に最善で、最良で、最新の医療サービスを提供し続ける」ことである。同社は現在、免疫細胞治療の新たな治療技術の開発を進めるとともに、個々の患者のがん細胞の特徴や状態に応じた治療選択肢をその時点で最先端で最良、かつリーズナブルに提供することを目標にしており、それを実現するための一つのアプローチとして免疫細胞療法総合支援サービスを提供している。同社が実現しようとしているのは、患者が最新の医療施設、医療技術にフリー・アクセスできる社会である。同社は免疫細胞治療を身近な普及医療にすることを目標としているが、これまでの経験と技術をベースに、再生・細胞医療分野に広くウィングを広げ、グローバルに事業展開したいと考えている。
研究開発・技術開発戦略
同社の技術プラットフォームは免疫細胞の加工(抗原提示方法、自動培養装置、DCワクチンなど)に係る技術である。
同社の開発戦略は、積極的なアライアンスにより新たな技術を創出することである。細胞加工技術はさまざまな要素技術からなり、国内外の研究機関・企業で開発が進められている。これらの技術を効率的に同社の技術と組み合わせることにより、最先端で最良な技術を医療機関に提供することを実現しようとしている。同社はこのような活動を“知の融合”と位置づけ、同社の強みとしている。細胞加工技術以外にも、ナノキャリアとの包括的ながん分野での包括的な共同研究提携を行っているのもその一環である。
現在、同社の研究・技術開発活動の主なものは次の通りである。
-インテリジェント培養システム(細胞加工プロセスの自動化):CPCの自動化が実現できれば、培養時間の短縮にもつながり、利益率の大幅な改善も可能性が出てくる
-NK培養法:NK細胞培養法の開発。2011年6月、韓国NKBIO社との技術提携により、両社の保有するノウハウ・技術を融合させることで、より安全性の高い、効率的なNK細胞治療技術の確立をめざしている
-CTL培養法:大量培養法の構築などの実用化技術開発
-ペプチド、DCワクチン、DDS併用免疫細胞治療などの治療技術の開発
-免疫抑制制御技術の開発
今後の開発スコープとしては、幹細胞・ES/iPS細胞加工技術などの再生・細胞医療分野に係る技術がある。
経営戦略と成長機会
同社は将来の売上について、がん患者数の増加などを背景に年率10%程度の成長は見込めるとコメントしている。「マーケット概略」の項で示した通り、2011年12月現在において同社の成長を阻害する要因を挙げるとすれば、法的規制制度、治療費の患者負担、免疫に対する理解であろう。
法的規制制度:中でも医療関連法制度および保険制度の将来の在り方は同社の事業に大きな影響を与えるとSR社では考えている。制度変更の行方次第では、現行のビジネスモデルが継続できないリスクもあるが、一方、再生・細胞医療に係る法律が制定され、同社にとって好ましい方向に制度変更が進めば同社の事業を爆発的に後押しするドライバーにもなりうる。
治療費の患者負担:再生・細胞医療に係る治療費は高価である。同社は公的保険と民間の医療保険を組み合わせることで、患者負担を減らすことが成長の大きな要因になると見ている。現在、平均的な免疫細胞治療の1回当たりの治療費は25~35万円、1クール6回で換算すると、1クールの治療費は約150~210万円である。現在、セコム損害保険株式会社が提供する自由診療保険メディコムでは、セコム損害保険株式会社が指定する協定病院において、3クールまでは免疫細胞治療は給付の対象となっている。また、最近では、将来的ながん治療分野での連携も視野に入れ、2010年3月には東京海上日動火災保険株式会社に対し第三者割当増資を行っている。
免疫細胞治療に対する理解:同社は契約医療機関が増えない要因の一つとして、免疫細胞治療に対する医師・医療機関の認知度および理解度が十分と言えない状況を挙げている。同社は、この課題を解消すべく、学術営業に力点を置いている。また、医師・医療機関に対する訴求力向上を目的に、研究開発にも注力し、大学病院など中核医療機関との共同臨床を推進することで、免疫細胞治療の臨床効果に関するエビデンスの強化・構築を積極的に推し進めている。
提携・出資先
同社は国内外のバイオベンチャー企業などとの資本提携・技術提携も積極的に行っている。主なアライアンス先は以下の通り。
東京海上日動火災保険株式会社:がん治療分野での連携も視野に入れて、2010年3月に東京海上日動火災保険に対し、第三者割当による無担保転換社債新株予約権付社債の発行を決定。調達資金は、10億円。
ナノキャリア株式会社:2009年10月に包括的ながん分野での包括的な共同研究提携を行ったのに加え、2010年5月にはナノキャリア社からの第三者割当増資を引き受け、2010年12月、ナノキャリア社が実施する株主割当増資を引き受けている。
米国MaxCyte社:同社とMaxCyte社はセル・ローディング・システムの共同開発を行っていたが、2009年12月には資本提携を実施した。資本提携は今後の事業展開に置いては大きな武器になる可能性も秘めている。2010年4月にはMaxCyte社からの技術ライセンス範囲が拡大している。
韓国INNOMEDISYS社:免疫細胞治療に関する技術支援を行っており、売上に応じたロイヤリティを受け取っている。
韓国 NKBIO社:ナチュラルキラー細胞の培養法など技術提携
株式会社リプロセル:2008年9月に出資。リプロセルのES/iPS細胞ならびに体性幹細胞に関わる技術、ノウハウなどとの将来的なシナジーなどを見込み、第三者割当増資を引き受けた。
株式会社リプロセル:2008年9月に出資。リプロセルのES/iPS細胞ならびに体性幹細胞に関わる技術、ノウハウなどとの将来的なシナジーなどを見込み、第三者割当増資を引き受けた。
株式会社細胞科学研究所:2004年9月に出資。細胞科学研究所は免疫細胞治療の細胞加工に不可欠なヒト細胞用無血清培養液を開発、製造。同社は細胞培養液の安定供給体制を確保するとともに、細胞医療全般に関わる基盤技術・ノウハウの拡充を図ることを目的として第三者割当増資を引き受けた。
PRISM BioLab株式会社: P/P Interaction、ペプチド模倣技術分野でのアライアンス
レグイミューン株式会社:2012年1月に出資。両社の研究ネットワークを融合させることで、NKT細胞療法を始めとした新たながん免疫細胞治療メニュー開発、新たな領域の免疫細胞治療の進展を見込んでいる。
上記以外に同社は国内の同業他社であるリンフォテック社に対し10%の出資を行っているほか、バイオテクノロジーやライフサイエンス分野への投資に特化したベンチャーキャピタルMASA Life Science Ventures, LPへの投資も行っている。
過去の財務諸表
前期以前の業績概況(参考)
2011年9月期実績
2011年11月8日、同社は2011年9月期決算を発表した。
2011年9月期の売上高は前年比16.5%減の2,674百万円であった。同社は免疫細胞療法支援サービス売上が2010年9月期よりも減少した理由として、下記のような点を指摘している。
1)東日本大震災の発生に伴う交通遮断、資材仕入れ先の被災、ロジスティクスの停止などにより、新患の受け入れを一時的に停止したこと
2)計画停電による細胞培養への障害の発生
3)大震災への不安感からくる患者の需要の落ち込みの影響
4)同社が一定期間広告活動を自粛したこと、また、広報活動を再開した後も大震災の影響が予想以上に大きく、2010年9月期のような広報効果が得られなかったこと
販管費が前年比7.9%増となったこともあって、2011年9月期の営業損失は304百万円(2010年9月期は営業利益334百万円)となった。また、公募増資に伴う株式交付費20百万円(営業外費用に計上)や投資事業組合運用損16百万円(営業外費用に計上)の発生、資産除去債務基準の適用に伴う影響額21百万円(特別損失に計上)、繰延税金資産を見直し、法人税等調整額154百万円を計上したことなどにより、当期純損失は543百万円(2010年9月期は当期純利益439百万円)となった。
2011年9月期第3四半期実績
2011年8月4日、同社は2011年9月期第3四半期決算を発表した。
2011年9月期第3四半期累計期間の売上高は前年比13.6%減の2,050百万円であった。同社によれば、1)東日本大震災に伴う交通遮断、資材仕入れ先の被災、ロジスティクスの停止などにより、新患の受け入れを一時的に停止したこと、2)震災による広告掲載の自粛等の影響で一般向けプロモーション施策を十分に実施できず、2011年4月以降、一般向けプロモーション施策を再開したが、まだその成果十分あらわれていないこと、などにより免疫細胞療法支援サービス売上は当初計画を下回ったとのことだ。
ライセンス費用および支払手数料の増加などにより一般管理費が増加したこともあって、2011年9月期第3四半期累計期間の営業損失は167百万円(2010年9月期第3四半期累計期間は営業利益271百万円)となった。また、公募増資に伴う株式交付費20百万円(営業外費用に計上)や投資事業組合運用損16百万円(営業外費用に計上)の発生、資産除去債務基準の適用に伴う影響額21百万円(特別損失に計上)、繰延税金資産を見直し、法人税等調整額155百万円を計上したことなどにより、四半期純損失は387百万円(2010年9月期第3四半期累計期間は四半期純利益242百万円)となった。
同社によれば、足下の業績は非常に厳しいが、中核医療機関等との新たな取り組みが開始されるなど、過去数年に渡り、着々と準備を進めてきたものがようやく成果に結びついてきているとのことだ。
中核医療機関等との新たな取り組みの例として、1)同社グループ契約医療機関である医療法人社団滉志会瀬田クリニック大阪と、金沢大学附属病院と密接な提携関係にある医療法人社団金沢先進医学センターが医療連係体制を構築したこと、2)大学法人金沢大学と医療法人社団金沢先進医学センター等と大規模解析研究を開始したこと、3)九州大学との間で、九州大学先端医療イノベーションセンター(2011年7月27日開所)に設置されるCPC(Cell Processing Center、細胞加工施設)の管理運営業務を同社が受託すること、同施設で実施されるがん免疫細胞治療に関する包括的な支援サービスを同社が提供することで合意したこと、などが挙げられる。
また、一般向けプロモーション施策も2011年6月に開催された第28回日本医学会総会への出展や同総会でのがん免疫細胞治療セミナーの開催などを行った頃より、順調に行えるようになってきたと同社はコメントしている。日本医学会総会は明治35年に東京で第1回総会が開催されて以来、4年ごとに開催されており、SR社の認識ではかなり格式高い医学集会であり、そこで出展できること自体、医療界における「免疫細胞治療」への認知度がかなり向上していると見る。
2011年9月期第2四半期(上期)実績
2011年5月10日、同社は第2四半期決算を発表した。
売上高は前年比9.3%減の1,442百万円であった。同社によれば、一般向けプロモーション施策を十分に実施できなかったことに加え、東日本大震災に伴う交通遮断、資材仕入れ先の被災、ロジスティクスの停止などにより、新患の受け入れを一時的に停止したことなどが響いたようだ。営業利益は、ライセンス費用および支払手数料の増加などにより一般管理費が増加したこともあって、前年同期比97.5%減の6百万円となった。また、公募増資に伴う株式交付費20百万円の発生(営業外費用に計上)や、資産除去債務基準の適用に伴う影響額21百万円(特別損失に計上)、通期業績予想に基づき繰延税金資産を見直し、法人税等調整額59百万円を計上したことなどにより、純損失は101百万円(2010年9月期上期は純利益261百万円)となった。
2011年9月期第1四半期実績
2011年2月1日、同社は第1四半期決算を発表した。
同社によれば、売上高は、計画していた一般向けプロモーションの一部が第2四半期以降に変更になったこと、実施した施策が一部新聞記事の影響等により想定した効果を上げることができなかったこと等により、前年同期比6.4%減となったとのことだ。また、営業利益は、研究開発費の増加や一般管理費の増加もあって前年同期比62.9%減となった。純利益は公募増資に伴う株式交付費19百万円の発生や、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額21百万円の影響などもあって、前年同期比96.2%減となった。
同社は会社予想に関し、利益が概ね予想の計画通りに進んでいるほか、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額が業績に与える影響は軽微であるとして、連結業績予想について変更はないとコメントしている。
2010年9月期通期業績
2010年11月5日、同社は2010年9月期通期の決算発表を行った。詳細は下記の通りである。
- 売上高: 3,202百万円(前年比10.4%増)
- 営業利益: 334百万円(同13.7%増)
- 経常利益: 366百万円(同13.1%増)
- 当期純利益: 439百万円(同78.4%増)
2010年9月期 業績のレポートカード
売上高
当初予想: 3,190百万円
実績: 3,202百万円
営業利益
当初予想: 210百万円
実績: 334百万円
経常利益
目標: 210百万円
実績: 366百万円
当期純利益
目標: 200百万円
実績: 439百万円
売上高はがん免疫細胞治療に対する患者の認知度及び理解度の向上に伴って新規治療開始者数が増加したことにより、前年比10.4%増となった。同社による学術営業活動および患者向け情報提供の効果とのことである。同社の技術を用いて治療を実施する医療機関は2009年9月期末の52施設から2010年9月末には63施設に増加している。営業利益は334百万円(前年比13.7%増)となった。増益要因としては増収による売上総利益の増加(155百万円)、減益要因としては研究開発費の増加(30百万円)、販売費の増加(67百万円)、一般管理費の増加(17百万円)が挙げられる。
営業利益は当初予想を124百万円上回った。当初予想との差異の内訳は、一般管理費が当初予想を15百万円上振れしたものの、売上総利益が78百万円当初予想を上回ったほか、研究開発費が42百万円、販売費が19百万円、それぞれ当初予想を下回ったことによる。他に、経常利益が当初予想を上回った要因としては、円高の進展に伴い為替差益が32百万円発生したこと、当期純利益が当初予想を上回った要因としては、繰延税金資産計上に伴う法人税等調整額の戻入が141百万円発生したことなども挙げられる。
2010年9月期第3四半期
2010年7月30日に第3四半期決算が発表された。通期予想に対する進捗率は以下の通り。
- 売上高:72.8%(通期予想3,260百万円)
- 営業利益:82.0%(通期予想330百万円)
- 経常利益:80.5%(通期予想330百万円)
- 四半期純利益:75.7%(通期予想320百万円)
同社の技術を用いて治療を実施する医療機関が当該四半期末までに61施設に増加した。同社の売上動向は直前四半期の新規治療開始者数から概ね推測することができる。2010年6月期第3四半期単独の新規治療開始者数は対前四半期(第2四半期)比でほぼ横ばいだったことから、第4四半期単独の売上高は第3四半期とほぼ同水準になると見込まれる。SR社は、通期の売上高は若干未達になる可能性があるが、営業利益についてはほぼ計画線で着地するのではないかと見ている。
2010年9月期第2四半期
2010年5月7日に第2四半期決算が発表された。4月22日に上方修正された通期予想に対する進捗率は以下の通り。
- 売上高:48.8%(通期予想3,260百万円)
- 営業利益:77.1%(通期予想330百万円)
- 経常利益:79.8%(通期予想330百万円)
- 四半期純利益:81.5%(通期予想320百万円)
同社の技術を用いて治療を実施する医療機関が当該四半期末までに56施設に増加(前年同四半期末は44施設)したほか、同社によるとがん免疫細胞治療に対する患者の認知度及び理解度の向上に伴い、新規治療開始者数が増加したことにより売上高が増加した。第2四半期累計業績は当初予想に対して大幅な増益であったが、これについて同社は、研究開発費やプロモーション費用などの販管費の一部について、当初上期に支出する計画が下期にずれ込む見込みであるため、と説明している。
2010年9月期第1四半期
2010年2月4日に第1四半期決算が発表された。上期予想に対する進捗率は以下の通り。
- 売上高:53.1%(上期予想 1,490百万円)
- 営業利益:357.0%(上期予想 40百万円)
- 経常利益:392.2%(上期予想 40百万円)
- 四半期純利益:441.9%(上期予想 35百万円)
損益計算書
同社の売上高は免疫細胞治療を受ける患者が医療機関に対して支払う治療費の特定の割合であり、基本的に新規治療開始患者数や細胞加工件数に比例する。さらには、新規治療開始患者数は、概ね同社のがん患者に対する広報宣伝活動および免疫細胞治療を実施する医師・医療機関が増えるかどうかによって決まる。
同社の2003年9月期~2008年9月期の売上総利益率は53.8~59.6%と安定的に推移していたが、2009年9月期には69.6%まで改善し、2010年9月期も67.9%と以前より高水準であった。これは患者数の増加によりCPCの稼働率が上がったためと思われる。2011年9月期に関しては、62.8%へと低下した。これは東日本大震災の影響等により患者数が対前年で減少、CPCの稼働率が低下したことが主因と推測される。
販管費(コスト分析はビジネスモデルのコスト構造の項を参照)で人件費の次に大きいのは研究開発費であり、2009年9月期の売上高研究開発費率は13.0%である。同社によるとこれまで研究開発費については、先行投資として4~5億円を投じる方針であったが、今後も最低でも4~5億円を研究開発に充てる方針である。他の主要項目は宣伝広告費であり、2009年9月期の広告宣伝費の対売上高比率は7.5%であった。同社は患者の認知度を向上させるためのプロモーション費用および学術営業費用を広告宣伝費として計上している。
営業外損益については、特筆すべき項目は見当たらず、経常利益は営業利益とほぼ同じ水準である。また、特別損益については、2007年9月期に株式交換益として韓国KOSDAQ上場企業KOREA HINET Co., Ltd.株式について937百万円の特別利益を計上した後、翌年の2008年9月期に同株式の時価が著しく下落したことに伴い、投資有価証券評価損984百万円を特別損失に計上しているが、これ以外に大きなものはない。
過去の会社予想と実績の差異
貸借対照表
資産
残高が多い勘定科目は現金・預金である。2011年9月末においては、有価証券が3,000百万円となっているが、元本確保型の短期金融商品で運用されている。従って、概ね現金・預金に近い性質であると言え、現金・預金に有価証券を加えた金額は、4,859百万円であり、総資産の60.5%を占める。固定資産の中で主なものは、CPCを中心とする有形固定資産および投資有価証券である。2003年9月期以降、2007年9月期に東大CPCが稼働開始した以外に、CPCの新規設置はなく有形固定資産はほとんど変化していない。 companyemployeeedityear=同社は事業戦略の一環として関連技術を保有する企業などに出資を行っていることから、投資その他の資産の残高が比較的大きい。
負債
同社は自己資本比率が高く(2011年9月期は68.4%)、有利子負債の残高は2011年9月期で1,800百万円に留まっている。
純資産
2003年9月期から2010年9月期の期間、同社の資本金は継続的な新規株式発行により増加を続けた。しかしながら、同社は2004年9月~2011年9月期まで2007年9月期、2009年9月期、2010年9月期の3期以外はすべて当期純損失を計上している。
キャッシュフロー計算書
営業活動からのキャッシュフロー
2003年9月期から2011年9月期の間、営業キャッシュフローがプラスであったのは2003年9月期と2009年9月期、2010年9月期の3期のみである。当期純利益が概ね営業キャッシュフローの水準を決定付けている。
投資活動からのキャッシュフロー
投資キャッシュフローの動きは主に有価証券、投資有価証券の取得・売却や、有形固定資産の取得などで説明することができる。2004年9月期の投資キャッシュフローの主な内容は、有価証券の取得による支出500百万円である。2006年9月期の投資キャッシュフローは有形固定資産の取得による支出250百万円、有価証券の取得による支出200百万円、投資有価証券の取得による支出196百万円などによるものである。2009年9月期の投資キャッシュフローの主な内容は短期貸付けによる支出820百万円であった。2011年9月期は無形固定資産の取得による支出134百万円、長期前払費用の取得による470百万円などによる。
財務活動からのキャッシュフロー
同社の財務キャッシュフローは主にIPOや第三者割当増資などによる新株などの発行が中心である。2003年9月期以降の主な新株などの発行は次の通り:
- 2003年9月期:新株発行385百万円
- 2004年9月期:2003年10月の東証マザーズ上場などによる収入4,649百万円
- 2007年9月期:第三者割当の新株の発行、第三者割当の新株予約権の行使などの株式の発行による収入266百万円
- 2008年9月期:株式発行による収入146百万円
- 2009年9月期:新株予約権の行使に伴う新株発行による収入502百万円
- 2010年9月期:新株予約権付社債の発行、新株発行による収入1,115百万円
- 2011年9月期:新株発行による収入2,078百万円
単純フリー・キャッシュフロー
同社は成長途上にあり、2004年9月期~2008年9月期の間、2007年9月期を除き、当期純損失を計上しており、そのため単純キャッシュフローも赤字基調にあった。しかし、2009年9月期、2010年9月期には当期純利益を計上したことから、単純フリー・キャッシュフローも改善した。2011年9月期は当期純損失の計上から再び単純キャッシュフローも赤字となった。
その他情報
免疫細胞治療
がん免疫治療の歴史
がんに対する免疫細胞治療は100年以上の歴史を持つ。1891年に外科医であるW.B.コーリーはバクテリアを混合したワクチンをがん患者に投与して、免疫を活性化させることによりがんの治療に当たった。しかしながら、当時は、この治療法の作用機構はほとんどわかっていなかった。その後がん治療の研究の焦点は放射線療法に移ったため長年がん免疫療法は積極的に研究されることはなかったが、 1970 年代から再び注目されるようになった。1980 年代中頃からは免疫学の発展によりがんに対する免疫機構が細胞レベル、分子レベルで解明され、これを基にサイトカイン療法、免疫細胞治療、ペプチドワクチン療法などの新しい療法が考案された。
サイトカイン療法:免疫細胞が分泌するサイトカインの分子を合成し、製剤として使用するものがサイトカイン療法である。この療法では、抗腫瘍免疫応答にかかわるサイトカインであるインターロイキン2 (IL-2) 、インターフェロン (IFN) α、β、γを製剤として投与するが、大量に使用した場合は重篤な副作用を伴う。
- 免疫細胞治療:サイトカイン療法より少し遅れて登場したのが免疫細胞治療である。免疫細胞治療のうち最も一般的な療法である活性化自己リンパ球療法は、1980年代に米国NIH(National Institute of Health)の外科部長であったSteven A. Rosenbergによって創始された治療法である。Rosenbergが行った治療はがん患者のリンパ球をIL-2存在下において対外で培養、活性化した上で患者の体内に戻し、それと同時に大量のIL-2を直接身体に注入し、体内においてもリンパ球を活性化させるというものであった。この療法はIL-2による副作用が極めて強かったため、欧米においてはその後あまり展開が見られなかった。この治療法の改良を最も積極的に行ってきたのは日本であり、90年代になって、現在の方法で研究臨床として実際に治療が行われるまで発展した。また、この免疫細胞治療を普及医療として発展させることに世界で初めて取り組んだのが、元東京大学名誉教授、江川滉二である。
がんには100以上の種類が存在する(出所:アメリカ国立癌研究所http://www.cancer.gov/cancertopics/what-is-cancer)と言われている。残念ながら、外科手術や放射線治療は現在のところ転移がんには有効ではない。転移がんの完治は非常に難しいと言われているが、患者の免疫機能を活性化させることによりがんを退治しようとする療法であるため、今後のがん治療にとって大きな可能性を秘めているとSR社では見ている。
免疫細胞治療の仕組み
がん細胞を攻撃する仕組みとしては、いくつかのパターンがある。抗腫瘍活性を有する免疫細胞、つまり腫瘍が活性化する動きを弱める働きをする免疫細胞には、NK 細胞、NKT 細胞、ガンマ・デルタT細胞、アルファ・ベータT 細胞の4種類がある。この4種類の細胞の使い方次第で、治療方法は「腫瘍抗原特異的治療」「腫瘍抗原非特異的治療」に分かれる。
腫瘍抗原特異的治療:がん細胞の表面には通常MHC ClassIという抗原が発現(細胞表面に現れること)している。この抗原を目印としてがん細胞を攻撃する治療法が樹状細胞ワクチン療法やCTL療法である。これらが腫瘍抗原特異的治療であり、CTL細胞を活性化させることによりがん細胞を特異的(効率的)に攻撃することができる。
腫瘍抗原非特異的治療:がん細胞によっては、MHC ClassIの発現が低下、消失している例もあり、この場合は腫瘍抗原非特異的治療しか実施することができない。非特異的な場合の治療法として行われるのが活性化自己リンパ球療法(LAK療法)である。活性自己リンパ球療法は生体が本来持っている自然免疫を高めることで、がんの増殖をくい止めたり、がんの転移・再発を抑えることを目的とした治療である。活性自己リンパ球療法で最も一般的なのがアルファ・ベータT細胞療法であるが、これ以外にガンマ・デルタT細胞療法、NK細胞療法がある。
同社が現在提供している免疫細胞治療は以下の4種類。一部の技術については組合せでの提供も可能。
- アルファ・ベータT細胞療法
- ガンマ・デルタT細胞療法
- CTL療法
- 樹状細胞ワクチン療法(DCワクチン療法)
アルファ・ベータT細胞療法:末梢血液中に含まれる単核球(アルファ・ベータ(αβ)型T細胞、ガンマ・デルタ(γδ)型 T細胞、 NK細胞、単球などの免疫担当細胞全般)を、抗CD3抗体とIL-2によって活性化、増殖させて患者自身の体内に戻す治療法。増殖後の細胞は、活性化されたアルファ・ベータ型T細胞が全体細胞数の約 90% を占める。
ガンマ・デルタT細胞療法:末梢血液中に含まれる単核球をゾレドロン酸とIL-2 の組み合わせによって培養することでガンマ・デルタ型T細胞を選択的に活性化、増殖させて患者自身の体内に戻す治療法。 アルファ・ベータT細胞療法と比較して、活性化されたガンマ・デルタ型T細胞がより数多くを占める。同社では2007年10月に技術・サービス提供を開始。
CTL療法:末梢血液中に含まれる単核球を胸水又は腹水などから得られたがん細胞を用いて刺激・培養することで、特定のがん細胞を攻撃する能力の高い細胞傷害性T細胞(CTL; Cytotoxic T Lymphocyte)を誘導し、それらのCTLを含んだ細胞を患者自身に戻す治療法。
樹状細胞ワクチン療法(DCワクチン療法:末梢血液中から分離した単球を樹状細胞に分化させ、患者のがん細胞から抽出したがん抗原や合成したがん抗原を取り込ませた上で患者への投与を行う治療法。樹状細胞はがん抗原を細胞内に取り込んで、がん抗原の特徴をリンパ球に伝えることでCTLを効率的に誘導させる能力を持つため、投与された樹状細胞は体内でCTLを誘導し、そのCTLががんを攻撃する。同社では、ゾレドロン酸による感作とCell Loading Systemを用いる独自の樹状細胞加工技術により、がん抗原取り込み能およびCTL誘導能の向上を実現している。同社では2008年8月にCell Loading Systemを導入した樹状細胞加工プロセスの提供を開始した。
エレクトロポレーション法を用いた新規樹状細胞加工プロセス
同社の研究開発の成果としては、新規樹状細胞加工プロセスが挙げられる。樹状細胞とは、Tリンパ球にがん抗原を教えて細胞傷害性Tリンパ球(CTL、がん細胞を攻撃するリンパ球のこと)を誘導・増殖させる、がん免疫の司令塔である。がん抗原ペプチドを用いる場合、誘導できるCTLは限定されるため、治療に用いるには、自己がん細胞の抗原を用いることが望ましい。同社の技術の特徴は、樹状細胞のCTL誘導能力を向上するに際して、ゾレドロン酸を使ったことである。同社が開発した樹状細胞加工プロセスでは、患者の身体から採取した腫瘍細胞をゾレドロン酸処理することで、樹状細胞のCTL誘導能はアジュバントを使って誘導を図った場合の60倍に達した。さらに、ペプチドとゾレドロン酸共感作の場合は、CTLの誘導能はペプチド感作の場合の約100倍に達したケースもあった。ゾレドロンによる免疫増強のメカニズムは、以下の通りである。樹状細胞の表面にIPPが提示されると、γδT細胞はγδTCRを介して認識して活性化され、インターフェロンガンマを作り出す。それと同時にMHC ClassIやCD86の抗原の発現が高まり、 抗原特異的CTLが多く誘導される。
このプロセスのもう一つの特徴は、Cell Loading Systemを用いたエレクトロポレーション(電気穿孔)法により、通常の共培養法に比べて大量のがん抗原を取り込むのを可能にしたことである。エレクトロポレーション法は、細胞へのDNAやタンパク質の取り込みに広く使われている。しかしながら、MaxCyte社のエレクトロポレーション法は、従来のエレクトロポレーション法に比べて、閉鎖系で行われるため安全性が高く、一度に大量の細胞を処理することができる。また、樹状細胞への導入・発現効率や処理後の生細胞率が高いことを特徴とする。同社は提携先であるMaxCyte社の設備・技術を導入しおり、マウス実験ではこの手法を用いた樹状細胞ワクチン療法の有効性が認められ、国立病院機構大阪医療センターとの共同研究として、臨床研究が行われている。同社はMaxCyte社のエレクトロポレーション技術を国内で独占的に使用できるライセンスをMaxCyte社から受けていたが、2010年4月ライセンス契約の範囲を大幅に拡大した、がん治療分野に加え、各種の難治性疾患に対しても、エレクトロポレーション法を用いた治療選択肢を提供できるようになる。また、これまで日本に限定されていたライセンス対象国が日本に加え、中国、オーストラリア、シンガポール、タイ、台湾に拡大された。MaxCyte社の技術ライセンスは今後海外進出を行う上でも有効である。
iTregに対するモノクローナル抗体取得
もう一つの研究開発上の成果はヒトiTre(誘導性レギュラトリーT細胞)に対するモノクローナル抗体の取得である。同社は基礎研究の一つとして、がんの局所における免疫抑制状態の解除を目指した研究を進めている。レギュラトリーT細胞(Treg)は免疫細胞の働きを抑制する調節型免疫細胞の一種であり、Treg を標的とした免疫抑制解除法の確立については、2005年9月から2008年3月まで独立行政法人科学技術振興機構(JST)の革新技術開発研究事業にも採択され、研究を推進していた。免疫抑制状態に関与しているTreg は、主に自己免疫疾患などに関係するnaturally occurring Treg と、腫瘍免疫に関係するinduced Treg(以下、iTreg)の2 種類に大きく分類される。メディネットは、2008年にそれまでの実験・研究を通じて、ヒトiTreg 特異的と思われる細胞表面分子を同定し、それに対するモノクローナル抗体を取得することに成功した。取得したモノクローナル抗体を用いることで、免疫療法の効果を高める新たな治療法の開発が期待できる。
同社の特許出願状況は以下の通りである(2011年9月末現在)。
| 出願件数 | (国内)25件 (国内外)1件 (海外)9件 ※本件数は未公開出願も含む。 |
| 登録件数 | (国内)4件、(海外)2件 |
| 登録 |
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| 公開出願 |
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(出所:会社資料)
免疫細胞治療の効果
瀬田クリニックグループにおいて1999年4月から2009年3月までに実施された免疫細胞治療の有効性評価によると、完全奏効、部分奏効を合わせた奏効率は13.3%、これに長期安定を加えた有効率は25.1%である。
瀬田クリニックグループの治療成績
- 治療成績は、瀬田クリニックグループまたは連係医療機関で受診された患者に対して『免疫細胞治療』を施行し、その結果を解析し、有効と判断されたものについて結果をまとめたもの
- 1999年4月から2009年3月に、瀬田クリニックグループまたは連係医療機関に来院し、免疫細胞治療を6回(1クール)以上受けた5,460例の中で、原発臓器が肺、胃、肝、膵、乳の症例について示している
- 有効性評価は、RECISTガイドライン(国際的に使用される治療効果判定のためのガイドライン)に準じ、画像評価による腫瘍縮小効果をもとに行い、以下の基準を満たす画像での病変の比較が可能であった848例を対象に治療成績調査を実施
- 治療前画像:治療開始の60日前から2回目投与開始前までに撮影したもの
- 治療後画像:5回目投与以降から6回目投与後30日以内までに撮影したもの
上記の画像が保管されている、あるいは保管がなくとも明確な記録、または主治医からの報告書があるもの
- 上記治療成績調査の対象となった848名の患者のうち、(1)完全奏効(9名)、(2)部分奏効(104名)、(3)長期安定(100名)と判定された合計213名の症例を有効と判断
沿革
メディネットは、「免疫」に関わる事業分野に将来性を感じた木村佳司氏が1995年10月に設立した。現在の主力事業である免疫細胞治療を手掛けるようになったきっかけは、同社の元相談役でScientific Founderを務めていた江川滉二氏(2009年逝去)との出会いにある。東京大学医科学研究所の基礎研究者だった江川滉二氏は、自身の入院体験を通じて、過酷ながん治療現場を目の当たりにし、「なんとか患者さんを苦しめない新しい治療を患者さんに提供したい」という思いで、東京大学教授を任期を残して退官し、取り組んだのが「免疫細胞治療」である。そして、木村氏が、その江川氏に出会い、江川氏の気持ちに深く感銘を受け、メディネットの事業として着手し、現在に至る。1999年3月、日本で初めての免疫細胞治療を専門とした瀬田クリニック(東京・世田谷)を開設し、同社がクリニックを支援するためのCPCと研究所を同じ建物内に作り、「免疫細胞療法総合支援サービス」として瀬田クリニックに提供したのが、事業化の始まりだ。クリニック開設の目的は副作用が少なく、患者の負担が少ない免疫細胞医療法を身近な医療として健全に普及、発展させることであった。免疫細胞治療は治療の有効性が認められながらも、患者自身の免疫細胞を治療に用いるという先端医療であったことから主に臨床研究として、大学病院などの限られた医療機関で行われているのみであった。これらの医療機関での症例は限られ、免疫細胞治療を希望する患者の多くが実際には治療を受けられない状況にあった。この背景には、免疫細胞治療を実施するには、免疫細胞加工に関して、技術・ノウハウが必要不可欠であり、一般の医療機関がこれらを行うのは困難とされていた。免疫細胞加工に最も必要とされたのは医療技術ではなく、一般企業が所有するようなエンジニアリング技術であったと言えよう。つまり、必要な設備、資材などの部品を集めて組み立て(アッセンブリー)を行うというような生産技術である。メディネットの現CEO木村佳司氏が江川滉二氏と、厚生労働省や経済産業省などの関係省庁などと議論と検討を重ねて作り上げたのが、現在のビジネスモデルである。これまでメディネットの成長は、主に瀬田クリニックグループが免疫細胞治療を実施するクリニックを東京、札幌、新横浜、大阪、福岡に設置し、普及に努めてきたことにより支えられてきた。
1995年10月 予防医学に基づく新たな医療サービスの提供を目的として、現代表取締役社長木村佳司氏により資本金1,000万円で設立。
1999年4月 東京都世田谷区瀬田に分子免疫学研究所開設、瀬田クリニック(1999年3月設立)向けに細胞加工施設(瀬田CPC)を設置し、免疫細胞両方総合支援サービスを開始。
2001年8月 厚生労働省による新事業創出促進法に基づく「新事業分野開拓の実施に関する計画」の認定
- 10月 新横浜メディカルクリニック(現 瀬田クリニック新横浜)に対し免疫細胞療法総合支援サービスの提供を開始
2003年6月 かとう緑地公園クリニック(現 瀬田クリニック大阪)に対し免疫細胞療法総合支援サービスの提供を開始
- 10月 福岡メディカルクリニック(現 瀬田クリニック福岡)に対し免疫細胞療法総合支援サービスの提供を開始
- 10月 東京証券取引所マザーズ市場へ株式を上場
- 11月 韓国INNOMEDISYS社と技術援助契約を締結
2004年3月 ISO(国際標準化機構)が制定した品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001の認証を取得
- 8月 治療用がん組織保管サービス「自己がん細胞バンク」事業を開始
- 9月 株式会社細胞科学研究所に出資
2007年2月 東京大学医学部附属病院に免疫細胞療法総合支援サービスの提供を開始
- 5月 韓国INNOMEDISYS社が、韓国食品医薬品安全庁から「INNOLAK」の医薬品としての製造・販売承認を取得
- 6月 国立病院機構大阪医療センターとライセンス契約を締結し、技術支援を開始
- 10月 ガンマ・デルタT細胞療法に係る技術・サービスの提供開始
2008月1月 医療機関の経営全般に関する支援サービスを提供する子会社「株式会社医業経営研究所」を設立
- 8月 Cell Loading Systemを導入した新規樹状細胞加工プロセスに係るサービス提供開始
- 9月 株式会社リプロセルに出資
- 10月 iTregに対するモノクローナル抗体を取得
2009年3月 HSP105由来がん抗原ペプチドの権利を取得
- 9月 株式会社リンフォテックの株式取得
- 10月 ナノキャリア株式会社とがん分野での包括的な共同研究提携
- 12月 米国MaxCyte社と資本提携
2010年4月 東京海上日動火災保険株式会社に対する第三者割当による無担保転換社債型新株予約権付社債を発行
- 4月 米国MaxCyte社との技術ライセンス範囲拡大
- 6月 ナノキャリア株式会社が実施する第三者割当増資を引き受け
- 11月 金沢大学、金沢先進医学センター、瀬田クリニックグループと共同で悪性腫瘍全般を対象とした免疫細胞治療の治療効果に関する解析研究を開始
- 11月 沖縄県の先端医療産業化基盤構築事業に参画
- 12月 公募による新株式発行
- 12月 ナノキャリア株式会社の株主割当増資引き受け
2011年3月 PP-RP由来がん抗原ペプチドの特許権を取得
- 6月 韓国NKBIO社と技術提携
- 7月 九州大学とのCPC(細胞加工施設)運営管理およびがん免疫細胞治療に関する包括的な支援サービス提供について合意
- 8月 HSP105由来抗原ペプチドに係る特許が欧州11ヵ国で成立
- 10月 デューク大学メディカルセンターと樹状細胞ワクチン技術開発に係る委託研究契約を締結
2012年1月 株式会社レグイミューンに出資
ニュース&トピックス
企業ニュース&トピックス
2012年2月
2012年2月7日、同社は2012年9月期第1四半期決算を発表した。
2012年1月
2012年1月27日、同社は株式会社レグイミューンへの出資を発表した。
同社によれば、引受や株式会社レグイミューン社(以下、レグイミューン社)の概要、出資の理由等は以下のようになる。
引受の概要
- 引受株式の種類:株式会社レグイミューン A種優先株式
- 引受株式数:2,000株(本引受前の所有はなし)
- 引受価額:1株につき10,000円
- 引受価格の総額:20百万円
- 取得日(払込期日):2012年1月30日
- 優先株式の概要:今回レグイミューン社が発行する新規優先株数は40,000株。うち同社が引き受けるのは2,000株。当該優先株式は議決権を有し、株主の希望により普通株式に1:1で随時転換可能
レグイミューン社の概要
- レグイミューン社は、根本的な治療法が未だ確立されていない免疫応答の異常によって引き起こされる自己免疫疾患やアレルギー疾患に対する治療法を開発すべく2006年3月に設立されたバイオテック企業。資本金は2011年9月30日現在で300百万円。
- 協和発酵キリン株式会社(東証1部4151)から全世界におけるリポソーム化したαガラクトシルセラミド(KRN7000)の開発・販売権を獲得し、独自の免疫制御技術に基づき、がん、アレルギー、自己免疫疾患、移植、感染症といった免疫領域の医薬品開発を行う
- αガラクトシルセラミドは、沖縄県に生息する海綿の一種から単離された物質(糖脂質)で、1993年にキリンファーマ社によって抗腫瘍活性を有する化合物として海綿から単離された。その後、NKT細胞を特異的に活性化することが明らかとなった。国内では、既に、がん免疫細胞治療領域において、大学病院やがん拠点病院が実施する臨床試験に同物質が使用されており、NKT細胞の活性化に不可欠な物質とされる
出資の理由
- レグイミューン社は、白血病治療など骨髄移植の際に、提供者の骨髄に含まれる免疫細胞が患者の臓器を異物として攻撃する、いわゆる「GVHD(移植片対宿主病)」を抑える新薬「GRI-2001」の第I相臨床試験を米国で近く開始する予定。また同時にがん、アレルギー、自己免疫疾患、感染症といった免疫領域の医薬品開発を進めている
- 同社は本出資により、両社の研究ネットワークを融合し、オープンイノベーションを促進させることで、NKT細胞療法をはじめとした新たながん免疫細胞治療メニューの開発に加え、免疫制御、アレルギー、感染症などの新たな領域における免疫細胞治療の進展に寄与すると考えた
2012年1月23日、同社は国立大学法人金沢大学附属病院のトランスレーショナルリサーチセンター(「TRC かなざわ」)に新設された細胞加工施設(CPC:Cell Processing Center、以下「CPC」)の運営管理業務を受託したと発表した。
同社によれば、本件に関する詳細は以下のようになる。
- 金沢大学は、再生・細胞医療分野における早期臨床応用を加速するべく、最新の設備を備えたCPCを新設する。その運営管理を同社が全面的に担う
- TRC かなざわの運営管理業務は、免疫細胞療法総合支援サービスからCPC運営管理業務の部分だけを医療機関等に提供するものである
- 近年の再生・細胞医療に係る研究開発の進展に伴い、多くの研究機関や医療機関にCPCが設置されているが、経済的あるいは人的資源の制約、新たな分野であるが故の経験不足等から、その多くが十分に稼働している状況とはいえず、再生・細胞医療の普及発展を妨げる一因になっている
- 同社は今後、細胞医療技術そのものの供与はもとより、これまでに蓄積してきた臨床用細胞加工に係る経験とノウハウを活かし、医療機関等の要望に応じて、技術供与、サービスの形態を柔軟に再設計し、提供していくことで再生・細胞医療の更なる普及発展等に貢献していく
- 本件が業績に与える影響は2012年9月期通期会社予想に既に織り込んでいる
2011年11月
2011年11月15日、同社は東京大学医学部附属病院(以下、東大病院)とHSP105抗原ペプチドを用いた樹状細胞ワクチンの臨床試験を開始すると発表した。
同社によれば、本件に関する詳細は以下のようになる。
- HSP105は、膵がん、大腸がん、乳がん、食道がんなど、多くのがんに高発現していることが確認されており、幅広いがんに対する治療効果が期待されているがん抗原。同社は、HSP105抗原ペプチドに関して、欧州11カ国で既に特許を取得し、樹状細胞ワクチンへの応用や本抗原ペプチドのライセンシングなどを計画している(2011年8月23日付同社リリース参照)
- 同社は東大病院と共同で、再発・進行がんの患者を対象として、HSP105抗原ペプチドを用いた樹状細胞(DC)ワクチンの臨床試験(2011年10月3日 東大病院臨床試験審査委員会にて承認)を開始した
- 本臨床試験は、HSP105が高発現している膵がんや他の消化器系がんなどで、標準的な治療が受けられない、あるいは、標準的な治療に対して効果が得られなかった再発・進行がんの患者を対象に、HSP105抗原ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン治療を実施し、安全性を評価する。また、副次的に臨床的有用性やHSP105に対する特異的なCTL誘導(CTLは用語集参照)などの免疫学的反応性の評価を行う
- 同社は、本臨床試験において、独自の樹状細胞ワクチン加工技術「ゾレドロン酸による感作」(国際公開番号:WO2006/006638、WO2007/029689)などをはじめ、同社が有する免疫細胞治療に係る技術、ノウハウ、および各種基礎データの提供等の役割を担っている
- 本件が業績に与える影響は軽微である
2011年11月8日、同社は2011年9月期決算を発表した。
2011年10月
2011年10月28日、同社は2011年9月期通期会社予想の修正を発表した。
- 売上高:2,674百万円(前回予想2,960百万円)
- 営業利益:△303百万円(同30百万円)
- 経常利益:△353百万円(同10百万円)
- 当期純利益:△542百万円(同40百万円)
同社は売上高予想の修正理由として、以下のような点を指摘している。
1)東日本大震災の発生に伴う交通遮断、資材仕入れ先の被災、ロジスティクスの停止などにより、新患の受け入れを一時的に停止したこと
2)計画停電による細胞培養への障害の発生
3)大震災への不安感からくる患者の需要の落ち込みの影響
4)同社が一定期間広告活動を自粛したこと、また、広報活動を再開した後も大震災の影響が予想以上に大きく、2010年9月期のような広報効果が得られなかったこと
営業利益予想の修正に関しては、売上の減少に加え、広報活動を積極的に行ったことにより、販管費が前回予想を上回ったことを理由として挙げている。また、経常利益予想には、円高の進展による為替差損の増加が、当期純利益予想には、繰延税金資産の取り崩しがそれぞれ影響していると述べている。
2011年10月21日、同社は米国のデューク大学メディカルセンター(Duke University Medical Center)と樹状細胞(DC)ワクチン技術開発に係る委託研究契約を締結したと発表した。
同社によれば、本件に関する詳細は以下のようになる。
- デューク大学H. Kim Lyerly教授らのチームは、アメリカ食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)の承認の下、これまで多くのDCワクチンに関する臨床試験を実施し、豊富な経験と卓越した知見を有している
- 同社は、ゾレドロン酸による感作(国際公開番号:WO2006/006638、WO2007/029689)と、米国MaxCyte社のエレクトロポレーション技術(本レポートの「用語集」を参照)を組み合わせることで、従来法と比べ、DCのがん抗原取り込み効率および細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導を大幅に向上させる「樹状細胞ワクチン」技術を開発し、実用化している
- 本開発では、同社の独自の「樹状細胞ワクチン」技術とH. Kim Lyerly教授らのチームの知見・ノウハウを活用し、規制当局の承認に必要なDCワクチン開発に係る「前臨床試験データ」の取得、ならびにデータに基づいた樹状細胞ワクチン技術のグローバル開発をめざす
- 今後、本開発で得られる成果を基に、各国の規制、市場環境などを慎重に検討した上で、アジア・パシフィック地域を中心としたグローバル展開のスピードを加速していく方針である(注)
- 本件が短期的な業績に与える影響は軽微である
注:同社は海外展開を視野に、既に米国MaxCyte社のエレクトロポレーション技術に係るライセンス契約をアジア・パシフィック地域に拡大し、独占権を取得している
2011年8月
2011年8月24日、同社は欧州11ヵ国で進めていたHSP由来がん抗原ペプチドの権利化について、2011年8月24日付で各国特許が成立したと発表した。
同社によれば、本件に関する詳細は以下のようになる。
- HSP105は、大腸がん、膵がん、乳がん、食道がんなどの多くの症例において高発現が確認されているタンパク質
- 同社は、欧州において本特許を取得したことで、今後、HSP105由来がん抗原ペプチドを用いたがんワクチンの開発、樹状細胞(DC)ワクチン療法等への応用、および本抗原のライセンシング等の事業展開を本格的に検討する
- 本件が短期的な業績に与える影響は軽微である
2011年8月4日、同社は2011年9月期第3四半期決算を発表した。
2011年7月
2011年7月15日、同社は、同社と国立大学法人九州大学が、以下1)および2)について合意したと発表した。
1)2011年7月27日に開所予定の「九州大学先端医療イノベーションセンター(以下、先端医療イノベーションセンター)」に設置されるCPC(Cell Prosessing Center、 細胞加工施設)全体の運営管理業務を同社が受託すること
2)同施設において実施予定のがん免疫細胞治療に必要な技術・ノウハウ等の供与を含む包括的な支援サービスを同社が提供すること
同社によれば、本件に関する詳細は以下のようになる。
- 先端医療イノベーションセンターは、最先端の医療技術に係る研究開発成果の実用化を加速するべく、従来のトランスレーショナル・リサーチの枠を超えた産官学の協同体制を構築し、基盤的研究から実用化開発、臨床開発までを一貫して行なうオープンイノベーション拠点として設置される先端医療に特化した施設
- 先端医療イノベーションセンターは九大病院との連携の下、先進的治療技術を患者へ提供する計画で、その一環としてがんに対する免疫細胞治療を他の技術に先駆けて実施する予定。同社は、免疫細胞治療の実施に際し、包括的な支援サービスを提供する
- 先端医療イノベーションセンターに設置される CPCは、再生・細胞医療プロジェクトにおける様々な再生・細胞医療技術の開発に用いられる施設であり、同社が施設全体の運用保守全般に係る業務を担う
- 本件が2011年9月期の業績に与える影響は軽微。2012年9月期の業績予想(2011年11月に開示予定)には、本件に係る影響額を織り込む予定
2011年6月
2011年6月15日、同社は医療法人社団 滉志会 瀬田クリニック福岡と共同で、肺がん抗原遺伝子に関する基盤的研究を行うと共に、原発性肺がんを対象とした、樹状細胞ワクチン療法に係る臨床試験を開始したと発表した。同社によれば、本件に関する詳細は以下のようになる。
- 本共同研究では、瀬田クリニック福岡の安元総院長(産業医科大学名誉教授)を研究責任医師として実施し、基盤研究においては、手術によって取得される原発性肺がん患者の自己腫瘍組織から新規肺がん抗原遺伝子を同定し、新たながんワクチン、免疫細胞治療への応用を推進していく
- 同時に、同基盤研究の患者を対象に、自己腫瘍組織を抗原としてエレクトロボーション法で取りこませた樹状細胞ワクチンと、標準術後補助化学療法との併用による術後補助治療を臨床試験として実施し、樹状細胞ワクチンに係る更なるエビデンスの拡大に取り組む
- 同社は、本共同研究において、肺がん抗原遺伝子の同定およびその応用開発・検討に係る一連のプロセスを分担して担当するほか、同社が有する免疫細胞治療に係る技術・ノウハウおよび各種基礎データの提供等の役割を担う
- 本件が短期的な業績に与える影響は軽微である
2011年6月7日、同社は、NKBIO CO.,LTD.(大韓民国ソンナム市、以下「NKBIO社」)が保有するナチュラルキラー(NK)細胞の培養法の技術検討を行うとともに、同社が有する細胞培養に係る独自技術、ノウハウ等への応用について、NKBIO社と合意したと発表した。同社によれば、本件に関する詳細は以下のようになる。
- 同社はこれまでαβT細胞、γδT細胞、CTL、及び樹状細胞に係る開発と実地医療への応用を進めており、革新的な治療技術を患者様に迅速かつ効率的に提供すべく、大学、研究機関、企業等とのオープンイノベーションによる開発を推進中である
- NKBIO社は、活性化自己NK細胞を細胞医薬品としてKFDA(韓国食品医薬品安全庁)に薬事承認申請をし、条件付きで品目許可を得て、韓国内において現在、臨床第Ⅲ相試験を実施している
- 同社では、自社においてNK細胞に係る培養法の開発や応用等を進めていたが、本提携により、両社の保有する細胞培養技術、ノウハウを融合することで、より安全性が高く、効率的なNK細胞治療技術の確立と、実地医療への応用を早めることで新たな治療選択肢をグローバルな視点で患者に迅速に提供することをめざす
- 本件が短期的な業績に与える影響は軽微である
2011年5月
2011年5月17日、同社は財団法人くまもとテクノ産業財団より譲渡を受けたHSP105由来がん抗原ペプチドに関する欧州特許出願について、欧州特許庁より特許査定を受領、欧州11ヵ国に移行手続きを行うこととしたと発表した。同社によれば、本件に関する詳細は以下のようになる。
- HSP105は、大腸がん、膵がん、乳がん、食道がんなどの多くの症例において過剰発現が確認されているタンパク質。同社は国立がん研究センターと共同で、HSP105由来抗原ペプチドの有用性の検証およびがん抗原特異的CTL療法に係る新規技術の開発を行っている
- 同社は、欧州において本特許を取得することで、本特許発明を用いたペプチドワクチン、DCワクチンなどの製造、および使用のライセンスアウトなどが可能となる
- 同社は、欧州11ヵ国において移行手続きを行い、特許取得が完了することで、今後、ライセンス活動の推進が期待されるとともに、より個別化されたがん治療の実現に寄与できると考えている
- 本件が短期的な業績に与える影響は軽微である
2011年5月10日、同社は2011年9月期第2四半期決算を発表した。
2011年4月
2011年4月28日、同社は2011年9月期上期および通期の業績予想の修正を行った。同社によれば、詳細は以下のようになる。
2011年9月期上期
- 売上高:1,442百万円(前回予想1,750百万円)
- 営業利益:6百万円(同115百万円)
- 経常利益:△15百万円(同115百万円)
- 純利益:△101百万円(同110百万円)
2011年9月期通期
- 売上高:2,960百万円(前回予想3,522百万円)
- 営業利益:30百万円(同350百万円)
- 経常利益:10百万円(同350百万円)
- 純利益:△40百万円(同340百万円)
同社は2011年9月期上期の売上高予想の修正理由について、1)一般向けプロモーション施策を十分に実施できなかったこと、2)東日本大震災に伴う交通遮断により、同社グループ契約・連携医療機関に来院できない患者が発生したこと、3)東日本大震災による細胞培養に必要な一部資材を製造販売している取引先の被災、ロジスティックスの停止などにより、一時的に不足が懸念された細胞培養用資材確保の目処が立つまで新患の受け入れを停止したこと、などを挙げている。
また、2011年9月期通期の売上高予想の修正理由については、上記に加え、東日本大震災に伴い一定期間一般向けプロモーション活動を自粛したこと、および今後も余震などの様々な影響が懸念されることから、第3四半期においても、当初予想に対して同社グループ契約医療機関の新規治療開始者数の減少が予想されるため、としている。
2011年3月
2011年3月30日、同社は財団法人くまもとテクノ産業財団が保有する、日本国内において成立しているPP-RP (Proliferation Potential-Related Protein) に由来するペプチド5種の権利を取得したと発表した。同社によれば、本件に関する詳細は以下のようになる。
- PP-RPは食道がんに特異的に高発現していることが確認されているタンパク質で、樹状細胞ワクチン療法やペプチドワクチン療法に応用することで、PP-RPを発現する食道がんに対して有効な治療の可能性を有すると考えられている
- 同社は本特許権を取得したことで、それらの有用性を検証しつつ、食道がん等に対して有効な樹状細胞ワクチン療法やペプチドワクチン等の新技術の開発および各種がん検査診断薬の開発等について検討を進めていく
- 同社では、今後の成果や進捗により、提供できる免疫細胞治療技術のラインナップが拡大することで、より個別化されたがん治療の実現に寄与できると考えている
- 本件が短期的な業績に与える影響は軽微である
2011年2月
2011年2月1日、同社は2011年9月期第1四半期決算を発表した。
2010年11月
2010年11月30日、同社は2010年11月19日に発表した新株式発行および株式売出しの条件が決定したと発表した。
新株式発行の詳細は下記のようになる。
- 発行価格(募集価格):22,252円(2010年11月30日の終値に対するディスカウント率は4.0%)
- 発行総額:2,225,200,000円
- 受渡期日:2010年12月8日
株式売出しの詳細は下記のようになる。
- 売出価格:22,252円
- 売出価格総額:689,812,000円
- 受渡期日:2010年12月8日
2010年11月29日、同社は沖縄県の先端医療産業化基盤構築事業に参画すると発表した。
- 沖縄県の先端医療産業化基盤構築事業の概要
本事業は、沖縄県が再生・細胞医療の産業化に向けた研究プロジェクトを推進するとともに臨床応用に必要となる県内の基盤強化を図るべく公募を実施。医療法人友愛会 豊見城中央病院を代表とする研究共同体が提案したプロジェクトが採択されたもの
- 同社の係わり方
同社は補助事業として整備される細胞調整設備等の企画設計、運用に対する技術支援ならびに助言を行うほか、豊見城中央病院とともに樹状細胞ワクチン療法に係る臨床開発を進めていく。
同社は、本事業への参画について、がん免疫細胞治療の普及促進、先端医療の恩恵を誰もが享受可能とするための地域医療提供体制の基盤構築等に貢献するだろうとコメントしている。また、本件の業績に与える影響は未確定であり、詳細が判明した場合には提示開示する予定としている。
2010年11月19日、同社は同日の取締役会で新株式発行および株式売出しを決議したと発表した。
新株式発行の詳細は以下の通りである。
- 募集株式の種類および数:同社普通株式 100,000株
- 募集方法:一般募集
- 受渡期日:2010年12月8日から12月13日までのいずれかの日
- 資金調達の目的:2011年9月期以降の研究開発や設備投資、広報といった同社の次の成長に向けた先行投資資金を確保するため
同社は、今回の公募増資による調達資金(手取概算額2,151,269,000円)の使途として、下記4点を挙げている。
- 研究開発投資:1,190百万円
- 米MaxCyte社に対するライセンスフィーの支払い(2010年12月末まで):408百万円
- システム開発投資(2010年12月から2012年9月末):215百万円
- 医師・医療機関向け学術営業の展開および一般向け広報活動の推進を目的とした販売促進活動等の運転資金(2010年12月から2012年9月末):上記1)~3)の残額
- の研究開発投資は具体的には、臨床研究による免疫細胞治療のエビデンスの構築(695百万円、2010年12月から2015年9月末)およびインテリジェント培養システムの実用化(500百万円、2010年12月から2015年9月末)に充当されるとのことである。
予定通りの株数が公募増資によって発行された場合の希薄化率は、15.8%となる(2010年10月31日の発行済株式総数が632,755株)。
株式売出しの詳細は以下の通りである。
(引受人の買取引受による売出し)
- 引受人:日興コーディアル証券株式会社
- 売出株式の種類および数:同社普通株式31,000株
- 売出人および売出株式数:IHN株式会社 30,000株、吉田道雄 1,000株
- 受渡期日:2010年12月8日から12月13日までのいずれかの日
(オーバーアロットメントによる売出し)
- 売出株式の種類および数:同社普通株式 上限 19,650株
- 売出人:日興コーディアル証券株式会社
- 受渡期日:2010年12月8日から12月13日までのいずれかの日
2010年11月15日、同社は、国立大学法人 金沢大学、医療法人社団 金沢先進医学センター(KadMedic)、医療法人社団 滉志会 瀬田クリニックグループと共同で悪性腫瘍全般(一部血液がん等を除く)を対象とした免疫細胞治療の治療効果に関する解析研究を開始したと発表した。
同社の発表によれば、本件の概要は以下のようになる。
- 本解析研究では、KadMedicにおいて免疫細胞治療を受診される悪性腫瘍患者の臨床情報、加工細胞の品質データ、免疫学的調査データなどのプロスペクティブに収集した情報に基づき、共同研究組織で免疫細胞治療の治療効果に関する大規模な調査・解析を行うと共に、免疫細胞治療の有効性・安全性について探索的に検討。今後の標準治療としての普及を目指した臨床試験に生かす予定
- 共同組織内において、瀬田クリニックグループが免疫細胞の加工および免疫学的検査などを実施し、同社は免疫細胞の加工に係る基礎データの提供、免疫学的検査支援およびデータ解析支援を行う
- 共同組織内において、Kadmedicでは、実際の臨床研究プロトコルの実施をはじめ、PET-CTを活用して高精度な画像データを得るほか、他の併用治療内容などをはじめとする患者背景に関する情報、有害事象や治療後の再発の有無などを定期的に追跡調査することで得られる情報を網羅的に収集し、それらを金沢大学とともに解析する
同社によれば、本件が短期的な業績に与える影響は軽微だが、がん免疫細胞治療に係る需要顕在化を加速し、今後の持続的な事業基盤構築に大きく貢献することを期待しているとのことである。
2010年11月15日、同社は学校法人 東京医科大学、医療法人社団 滉志会 瀬田クリニックグループと共同で、C型肝炎ウイルス由来肝細胞がんに対するラジオ焼灼療法(RFA)とガンマ・デルタT細胞療法との併用療法に係る共同臨床研究を開始したと発表した。
同社の発表によれば、本件の概要は以下のようになる。
- 本臨床研究は、2008年より既に開始しているC型肝炎ウイルス由来肝細胞がんに対するRFA後の樹状細胞腫瘍内局注療法に係る臨床研究に続き、樹状細胞ワクチン療法とは作用機序の異なるガンマ・デルタT細胞療法を再発予防として用いた場合の有効性を評価することが目的
- 同社は、本臨床研究において東京医科大学、瀬田クリニック東京および瀬田クリニック新横浜に対し、同社が保有する免疫細胞治療に係る技術、ノウハウおよび各種基礎データの提供等の役割を担っている
同社によれば、本件が短期的な業績に与える影響は軽微だが、本臨床研究の成果は、再発予防フェーズにおけるがん免疫細胞治療の有効性評価および位置づけを確かなものとし、今後の事業成長を後押しすることを期待しているとのことである。
2010年11月5日、同社は2010年9月期通期決算を発表した。
2010年10月
2010年10月28日、同社は2010年9月期通期会社予想の修正を発表した。修正後の会社予想は下記の通りである。なお、括弧内は2010年4月22日に公表した通期業績予想値(期初予想を上方修正した数値)である。
- 売上高: 3,202百万円(3,260百万円)
- 営業利益: 334百万円(330百万円)
- 経常利益: 366百万円(330百万円)
- 当期純利益: 438百万円(320百万円)
同社は経常利益の上方修正要因として、円高の進展により、米ドル建て負債の為替差益が米ドル建て資産の為替差損を上回ったことなどによるとしている。また、当期純利益の修正については、投資有価証券評価損60百万円の計上、繰延税金資産計上に伴う法人税等調整額140百万円の戻入などによるとしている。
2010年5月
- メディネットは2010年5月19日、ナノキャリアが実施する第三者割当増資を引き受けることを発表した。引受株式数は4,819株、引受価額 1株につき20,750円。引受価額の総額 は99,994,250円であり、取得後の所有割合は3.61%となる。資金用途は、ナノキャリアがメディネットとの包括的共同研究契約を元に行うがん治療分野の新しい医薬品や医療技術などの開発に充当される。詳しくは、サイトカインのミセル化製剤と各種エフェクター細胞および抗原提示細胞を用いた細胞治療との組み合わせによる新たながん治療技術や、抗体結合ミセルを用いてがん領域をターゲットとした治療技術の研究開発費用に充当される予定である。
2010年4月
- 同社は2007年より締結しているMaxCyte社とのエレクトロポレーション技術に関わるライセンス契約の範囲を大幅に拡大した。
- 同社は4月12日を発行期日として、東京海上日動火災保険に対して第三者割当による無担保転換社債型
新株予約権付社債を発行した。資金調達額は1,000百万円だった。東京海上日動火災を割当先に選定した理由として同社はリリースの中で、日本を代表する金融グループから出資を受けることで信用力が強化されること、またこれを契機に、今後がん治療分野での連携の可能性を含めて、同社の企業価値の向上につながる中長期的な経営支援を得られる見込みがあることを挙げている。
業界ニュース&トピックス
2011年10月
ブルース・ボイトラー米スクリプス研究所教授、ジュール・ホフマン仏分子細胞生物学研究所前所長、ラルフ・スタインマン米ロックフェラー大学教授が、ノーベル生物学・医学賞を受賞。先天性(自然)免疫機構に関わる発見、後天性(適応)免疫における樹状細胞とその役割を解明した業績が評価される
2011年7月
革新的医薬品・医療機器の実用化に向け、医薬品医療機器総合機構に「薬事戦略相談室」が設置
2011年6月
再生医療の産業化の道筋を示すことなどを目的に、一般社団法人再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)が設立
2010年6月
- 2010年6月18日に閣議決定された政府の新成長戦略において、「ライフ・イノベーションにおける国家戦略プロジェクト」として、「飛躍的な成長が望まれる医薬品・医療機器・再生医療等のライフサイエンス分野において、我が国の技術力・創造力を発揮できる仕組みづくりに重点に置いたプロジェクトに取り組む」ことが明記される。
2010年4月
- 米国食品医薬品局(FDA)は4月29日、前立腺がん向け樹状細胞ワクチン「プロベンジ(Provenge)」を承認した。プロベンジは米国シアトル市のバイオベンチャーDendreon(デンドレオン)社が開発したものである。
2010年3月
- 厚生労働省「再生医療における制度的枠組み検討会」において、自家細胞を用いた再生・細胞医療を医療機関で実施する場合の要件を取りまとめ、通知(医政発0330第2号)を発出。
トップ経営者
代表取締役社長木村佳司氏は1952年生まれ。HOYA株式会社(東証7741)で長年眼科医向けのコンタクトやレーザー装置、眼科用医薬品の販売や、関連会社の再建などに関わった後、1995年に同社を設立した。江川滉二氏と出会い、免疫細胞治療の事業化に着手した。2002年に同社代表取締役社長に就任、現在に至る。
取締役事業推進本部長春山佳亮氏は1970年生まれ。2001年5月に同社入社、管理部マネージャーに就任。同年11月取締役管理部長。2002年2月管理本部長、同年9月取締役CFO、2009年12月取締役事業推進本部長に就任、現在に至る。
取締役管理本部長原大輔氏は1963年生まれ。日興ソロモン・スミス・バーニー証券投資銀行本部ディレクターを経て2004年4月に同社入社、執行役員CAO(Chief Administrative Officer)に就任。2005年12月取締役CAO、2007年4月取締役管理本部長に就任、現在に至る。
江川滉二氏(2009年8月逝去):1937年生まれ。1984年東京大学医科学研究所文部教官 教授、1997年東京大学名誉教授。1998年2月同社取締役会長、1999年3月瀬田クリニック開設、院長就任。2002年9月同社取締役、2006年12月同社相談役就任。2007年11月医療法人社団滉志会 理事長。江川氏は創業初期から同社の事業に携わり、Scientific Founderとして研究開発や医療技術に関する助言を行った。
従業員
2011年9月末現在の従業員数は157名。
配当及び株主還元
現在同社は配当を行っていない。また株主優待制度も現時点では行っていない。
IR活動
同社は、第2四半期、および通期の決算発表後に決算説明会を開催しており、IR・投資家情報のウェブサイトを日本語版、英語版で公開している(http://www.medinet-inc.co.jp/IR/IR.html)。
ところで
用語集
アジュバント
- 抗原に対する適応免疫応答を活性化させる目的で使用される物質。
アルファ・ベータT細胞(αβT細胞)
- 血中に最も多く存在し、αβ型のT細胞受容体を発現するT細胞。
IL-2
- インターロイキン2(Interleukin-2)の略称。抗原刺激によりT細胞から分泌されるサイトカインであり、免疫応答の調節に関与する。IL-2 は主にT 細胞に作用し、その増殖を誘導する機能を持つ。
HSP105(Heat Shock Protein 105)
- HSP105はストレスタンパク質に分類される。大腸がん、膵がん、乳がん、食道がん等の多くの症例で高発現するタンパク質で、正常では精巣に高発現している。HSP105が高発現していることが確認された場合、HSP105由来がん抗原ペプチドを用いることにより、抗原特異的な免疫治療が可能となる。
MHCクラスI分子
- 有核細胞に現れる表面分子。抗原ペプチドと結合し、細胞表面に抗原ペプチドを提示させる機能を持つ。がん抗原ペプチドは、がん細胞表面上のMHCクラスI分子を介してαβ型T細胞のうちCD8陽性T細胞に提示され、抗原の情報が伝達される。
エレクトロボレーション法
- 電気穿孔法とも呼ばれ、細胞に電気刺激をかけ一過性に細胞膜の透過性を高めることにより、たんぱく質等を細胞内に送り込む技術。
オーダーメイド医療管理システム
- GMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理および品質管理規則)の概念などを取り入れた、メディネット独自の高度な施設・設備管理システム。
ガンマ・デルタT(γδT細胞細胞)
- γδ型のT細胞受容体を発現するT細胞で、体内においてはαβT細胞と比較し少数である。感染初期の免疫反応やがん細胞の排除などに働いていると考えられている。
血漿
- 血液の55%を占め、血液細胞、ホルモンなどの運搬を行う液体成分。無機塩類、水分、タンパク質などで構成されており、恒常性の維持、血液凝固、免疫機能を持つ。
抗原
- 抗体やT細胞受容体と特異的に結合する物質で、免疫系が認識して反応を惹起する因子。細菌やウイルスなどの外来病原体や腫瘍細胞上の糖やタンパク質など、自己体内に通常存在しない物質が抗原となる。抗体やリンパ球の働きによって生体内から除去される。
抗体
- B細胞によって産生、分泌される免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質の総称。特定の抗原に特異的に結合することで、その抗原を生体内から除去する。
抗原提示反応
- 抗原であるペプチド断片がMHC分子に結合した状態で細胞の表面に提示される反応。
サイトカイン
- 細胞が産生するタンパク質で、細胞間の情報伝達の役割を担う。特にリンパ球が産生するサイトカインをリンフォカイン、インターロイキン(IL)と呼び、標的細胞表面の受容体に結合する。
細胞医療
- 採取した自己・非自己の細胞を、体外で培養・加工もしくはそのまま用いて治療をする医療。
CTL
- Cytotoxic T lymphocyte(細胞障害性T細胞)の略称。Tリンパ球の一種であり、体内で感染細胞(移植細胞・ウイルス感染細胞・癌細胞など)を認識し攻撃する。
CPC
- 細胞加工施設(Cell Processing Center)の略称。細胞を培養・加工するための専用施設。
樹状細胞(DC)
- 枝状、樹状突起を有し、抗原認識・処理・提示を行う細胞。二次リンパ組織に存在し、T細胞を活性化させる。
GMP (Good Manufacturing Practice)
- 医薬品の製造および品質管理に関する基準。GMPソフトと称される製造管理および品質管理基準と、GMPハードと称される設備基準とで構成され、医薬品の製造業者が遵守すべき基準となる。
清浄度
- 1キュービックフィート(約28.3L)の容積空間中に0.3μm~ 0.5μmの微粒子(ゴミ・ほこり)の数を測定し、対象とする部屋のクリーン度をあらわしたもの。米国連邦規格<Federal Standard 209D>では、粒径が0.5μmのものを測定対象とし 10,000個以下~1,000個までを クラス10000と表記する。
生細胞率
- 対象となる細胞集団中の、生きている細胞の割合。
単核球
- リンパ球と単球の総称。
単球
- 豆状の核を有する白血球の一種。マクロファージなどの前駆体。
T細胞
- 胸腺で成熟し、細胞性免疫に重要な役割を果たすリンパ球の一種。T細胞受容体を持つ。
Treg細胞
- Regulatory T cell(制御性T細胞)の略称。リンパ球の働きを抑制する機能を持つ細胞で、自己抗原に対する免疫反応を抑える役割を担う。
ナチュラルキラー(NK)細胞
- NK 細胞は、がん化した細胞やウイルス感染細胞に細胞死を誘導し排除する、自然免疫細胞の1 種。末梢血中リンパ球の最大 15%を占める。細胞表面に抗体の受容体を発現しており、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を有する。
培地
- 微生物や、細胞・組織など生体組織の培養に使用される、特定の栄養成分を含んだ液体。
B細胞
- 主に免疫グロブリン(抗体)の産生を行うリンパ球の一種。
PP-RP (Proliferation Potential-Related Protein)
- 核タンパク質に分類される。食道がんに高発現するタンパク質で、正常細胞では精巣と胎盤などに発現している。腫瘍組織においてPP-RPタンパク質の発現が確認された場合、PP-RP由来がん抗原ペプチドを用いることにより、抗原特異的な免疫治療が期待される。
免疫
- 生体が持つ、自分の体の構成成分(自己)と自分の体の成分ではないもの(非自己)を識別し、ウイルスや細菌などの非自己に対して抵抗性を示す能力。がん細胞やウイルスの感染した細胞などの異常細胞を排除する免疫は「細胞性免疫」と呼ばれ、Tリンパ球が中心として働く。
免疫抑制解除
- がんやウイルス感染などによって、体内の免疫反応が抑えられている状態(免疫抑制状態)を元の状態に戻すことを指す。
ラジオ波焼灼療法(Radiofrequency Ablation: RFA)
- 肝臓のがん病巣に刺した針の先端からラジオ波による熱により、がん細胞を死滅させる治療法。がんの直径が3cm以下であり数が3個以下の場合に適応される。2004年に保険適応となる。
リンパ球
- 白血球のうち25%ほどを占める、比較的小さく細胞質の少ない白血球の一種。細菌や体の異物を正常細胞などから識別し、攻撃する役割を持つ。NK細胞、B細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)などの種類がある。
RECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)
- 固形がんの主にがん薬物療法の臨床試験で国際的に使用される治療効果判定のためのガイドライン。臨床試験において、CT、MRIなどを用いて腫瘍の大きさを測定し、客観的な腫瘍縮小効果を評価する方法として用いられる。
- 完全奏効(CR:すべての病変の消失)
- 部分奏効(PR:ベースライン径和が30%以上減少)
- 進行(PD:試験中の最小径和から20%以上の増大)
- 安定(SD:PRには縮小が不十分で、PDには増大が不十分)
















