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ユビキタス(3858)

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[編集] 事業内容

[編集] ビジネス

同社は、組込みシステム向けソフトウェアの開発・販売・保守を行っている。組込みシステムとは、特定の機能を実現するために組み込まれるコンピュータシステムであり、携帯電話やデジタル家電、ポータブルゲーム機など身の周りにある機械の多くに組み込まれている。これに対し、あらゆるタスクに使用できるコンピュータシステムは汎用システムと呼ばれ、その最たる例がパソコンである。

同社の製品は従来、ネットワーク関連が中心であったが、その後製品ポートフォリオを拡大し、ネットワーク型、スタンドアローン(他の機器に依存せず独立で動作する環境のこと)のいずれにも使用できるパッケージを販売している。

売上高は、「ソフトウェア使用許諾」、「サポート」および「ソフトウェア受託開発」の3つの形態別に公表されているが、これまで売上高のほとんどは「ソフトウェア使用許諾」が占めている(2011年3月期は約81%)。


製品の詳細

  • 同社の製品は、ネットワーク製品と他のミドルウェア製品の大きく2つのカテゴリーに分けられる。ネットワーク製品は従来からの主力製品であったが、ミドルウェア製品も徐々に拡大している
  • ソフトウェア開発キット(SDK)は、スタンドアローンあるいは「プラットフォーム」製品(OS、ネットワーク機能、その他基本ソフトウェアを含むターンキーソリューション)の一部として販売されている


ネットワークソフトウェア・・・中核製品

主要製品は、Ubiquitous Network Frameworkである。インターネットの普及とともに、これまでネットワークに接続ができなかったデジタル機器などもネットワークに接続できる環境が整いつつある。そうした中、各メーカーは同製品を組み込むことによって自社製品にネットワーク機能を付加することが可能となる。Ubiquitous Network Frameworkは2005年にニンテンドーDSに初めて採用された。より厳密にいえば、同製品はニンテンドーDSのWiFi通信対応ゲームソフトに採用され、同社は主にニンテンドーDSのWiFi対応ゲームソフトからのロイヤルティ収入を得ている。SR社は同製品が採用された理由として、メモリが少なくて済む「小ささ」、効率よく通信する「速さ」をTCP/IPを通じて提供できたためと考えている。

TCP/IPはインターネット標準の通信プロトコル(ネットワーク機器が通信し、データ交換をするための手段)である。TCP/IPはTCPとIPという2種類のネットワークプロトコルの組み合わせで、IPはアドレス構造を指定する。TCPは2本以上のネットワークエンティティ間のデータ交換方法を確立する。TCPには、データ転送においてコンピュータの処理能力を著しく消費する、いくつかの要素がある。つまり、順序制御(「受信側」がデータを正しい順序に並べなおす)、欠損データの再送制御(受信側はデータの一部が欠けているかどうかを判断し、再送を依頼する必要がある)、誤り制御およびフロー制御(データパケットごとに完了を検証し、受信側は送信側に送信速度を下げるよう依頼することができる)である。難題なのは、TCPプロトコルを構成する機能(データの再送、エラー制御など)がすべてCPU時間を必要とする点である。処理時間が若干増えることにより、ポイント間の遅延時間は、スループットが上がれば上がるほど長くなる。そして、機器の動作やTCPの複雑な計算を扱うための十分な処理能力を持たない小型プロセッサの場合は、システム全体の処理速度が遅くなる。

同社によれば、Ubiquitous Network Frameworkは今日では他の技術が進化してきており、独自性が導入当時と比べれば薄れてきている模様だ。Ubiquitous Network Frameworkは、ルネサスエレクトロニクス社(旧ルネサステクノロジ社、大手マイクロプロセッサメーカー)にも販売されており、ルネサス社は自社製品と共にSDKを再販している。

Ubiquitous Network Frameworkは、ルネサスエレクトロニクス社(旧ルネサステクノロジ社、大手マイクロプロセッサメーカー)にも販売されており、ルネサス社は自社製品と共にSDKを再販している。

(プラットフォーム製品)

Ubiquitous Network Framework – 数種のネットワーク技術を効果的に一つのパッケージにまとめたSDK。SDKには、機器メーカーが製品にネットワーク機能を付加する時に必要なソフトウェアコンポーネントが、すべて含まれている。

  • オペレーティングシステム(OS)。Ubiquitous Kernelという、TCP/IPの必要最低限の機能を提供するために開発されたノンプリエンプティブOS。
  • 共通デバイスドライバおよび基本アプリケーション(ファイルシステム、カレンダー、タイマー)
  • 共通通信プロトコルのサポート(TCP/IP, SSL)およびウェブサーバーやEメールなどのネットワークプログラム
  • 高水準のプロトコルサポート(他のデジタル家電機器との通信をサポートするDLNAモジュールなど)

Network Offload Engine (NOE) – ハードウェアとソフトウェアが一体となったソリューション。ネットワークプロトコルの処理を専用プロセッサにオフロードできる。

Ubiquitous micro Network Framework – Network Frameworkの機能を必要最低限に絞り込んだバージョン。処理能力が限られた機器に、最も基本的なネットワークコンポーネントを搭載できるよう設計されている。

USB Host – 機器をUSB対応とするために最小限必要とされるソフトウェアを含むSDK。SDKにはUbiquitous Kernel、共通ハードウェアをサポートするためのドライバおよびUSBサポートを有効にするために必要なソフトウェアが含まれている。


ミドルウェア・・・組込みデータベースソリューションが推進する成長

同社のミドルウェア製品は、そのOS(Ubiquitous Kernel)と共に動作するよう設計されている。数種の製品が提供されているが、中でもDeviceSQL(データ管理ソフトウェア)およびQuickBoot(機器の起動時間を短縮するソフトウェア) が注目される(全製品のリストは「ところで」の項を参照)。

Ubiquitous DeviceSQL

Device SQLは2008年にエンサーク株式会社(米エンサークコーポレーションの子会社)から知的財産権を購入した製品で、組込みシステムに特化したデータ管理ソフトウェアである。組込み機器は一般的にパソコンなどと比べてCPU・メモリのスペックが低い。そのため、組込みソフトウェア開発者は通常、なるべく多くの機能を搭載しつつ、プログラムの容量を抑えようと努力する。その点、同社はDeviceSQLを、組込み機器向けに特化したデータベースエンジンの中では世界最小クラス(最小メモリフットプリント24KB、フットプリントとは実行に必要なメモリ容量のこと)で、高速であるほか、以下のような優れた機能を搭載していると説明している。

  • データベースコマンドからの抽象化(プログラマは裏で実行されるデータベースコマンドの専門知識がなくとも複雑なデータベース操作を実施できる)
  • ACID特性のトランザクション処理サポート (Atomicity(原子性、不可分性):トランザクションの手順を全部実行するか、一つも実行しないかのどちらかになる、Consistency (一貫性):データベースは安定性を確保している、Isolation (独立性、分離性):操作完了までデータにアクセスできない、Durability (耐久性):システム障害が発生しても完了した操作が失われない)
  • 安定した応答時間(データを追加してもデータベース処理速度が落ちない)
  • マルチスレッドおよびマルチプロセッサへの対応

当技術は、例えばオリンパス株式会社(東証7733)のTough(タフ)シリーズ(「OLYMPUS Tough TG-310」、「OLYMPUS Tough TG-610」、「OLYMPUS Tough TG-810」、2011年2月より順次発売)、アルパイン株式会社(東証6816)のカーナビ製品「リアビジョンナビ(2009年10月発表)」、パイオニア株式会社(東証6773)の「CDJ-200」および「CDJ-900 」(ともに2009年10月発表)、そしてパナソニック株式会社(東証6752)の「LUMIX DMC-TZ20」、「LUMIX DMC-FT3」(ともに2011年2月発表)など、あらゆる機器で採用されている。採用メーカー名は、許諾を得ない限り公表できないが、同社はその採用メーカーリストが日本のデジタル家電業界および機器業界の企業年鑑のようだとコメントしている。

DeviceSQLの価格について、同社によれば、単一プロジェクトでも出荷数量等をもとに複数のロイヤルティ料を適用でき、数十円から数百円と開きがあるとコメントしている。

QuickBoot・・・画期的製品であり将来的に成長の原動力となり得る

QuickBootは組込み機器の起動時間を短縮する革新的なソフトウェアである。同製品を使用するメリットは2つある。1つは、機器を従来方式よりも速く「使用可能な状態」にすること、2つ目は、多くのメーカーが起動時間の問題解決に使用する「サスペンドアンドリジューム」に比べ省電力であることである。同社は2009年11月に発表したAndroid(米Google社を中心に設立された「Open Handset Alliance」(オープン・ハンドセット・アライアンス)が提供する、モバイルデバイス向けプラットフォーム。最近では、携帯電話以外にも、様々なデジタルネットワークデバイス向けの利用が注目されている)でのQuickBoot実装例において、従来の競合製品がユーザーインターフェースの起動に最速で10秒あるいはそれ以上を要していたのに対し、1秒未満の起動を実現している。


(技術に関する補足)
多くの機器が組込み技術で開発されるようになり、単一の機能を持つ製品から、ネットワーク、グラフィックなど様々な機能が入った魅力ある製品へと進化を遂げてきた。しかし、機能が追加されるということは通常、より高いスペックのCPU・メモリなどを必要とする。つまり、新しい組込み機器に多くのアプリケーションを載せるということは、通常は電力消費量が増え、起動時間が長くなるということを意味する。
こうした問題を解決するために、従来は「サスペンドアンドリジューム」方式かあるいは「ハイバネーション」方式が用いられるのが一般的であった。「サスペンドアンドリジューム」は、一部コンポーネントの電源をオフにする一方、一部コンポーネントは給電を継続する方式である。ボタン一つで全機能を使用可能な状態にする一方で、電力消費が増えてしまう欠点がある。「ハイバネーション」方式はコンピュータの電源を切る直前の状態を保存して、次に電源を入れたときに電源を切る直前の状態から作業を再開する機能である。全システムデータを記憶装置に書き込み電源を切るため、消費電力が抑えられる。一方、ユーザーが機器を起動する際に全データをメモリに再ロードする必要があるため、相対的に起動に時間を要するという欠点がある。すなわち、「サスペンドアンドリジューム」は起動スピードに優れるが電力消費の面で劣り、「ハイバネーション」モードは電力消費の面で優れるが、起動スピードの面で劣る傾向がある。
同社のQuickBootは、起動時間と電力消費の問題をいずれも解決できる点で画期的であるとされている。この独自技術は、システム起動に必要な機能を選別し、先んじてロードする。この結果、機器がオフの時は電力を消費せず、ユーザーが機器を起動すると、一部特定のプログラムを最初にロードして迅速に使用が可能な状態となる。

同社は、当該技術が最低3年間は高い競争力を維持することを期待している。対象機器は、スマートフォン、電子書籍、デジタル家電および医療機器などである。技術的な制約となり得るのはメモリ容量(電源立ち上げ時にどれほどの機能を利用可能とするか)であるとSR社は理解しているが、フラッシュメモリ技術の進歩がこうした制約を緩和するものと思われる。

2010年3月23日に発表されたプレスリリースによると、「Ubiquitous QuickBoot Release1.0(ユビキタス クイックブート リリース1.0)」が第一弾として発売された。同社によれば、SDKの単価は数百万円から数千万円程度(サポートまたはカスタマイズには追加料金が発生)で、保守料金は年間数十万円とのことである。ただし今後の収益は主に、この技術を搭載した機器からのロイヤルティ収入によってもたらされる。

SR社の理解では、QuickBoot技術は以下のMPUおよびOSに対応している。

Image:Ubiquitous-JP-QuickBootPlatforms.png


プロフェッショナルサービス

同社はクライアントに対し、コンサルティングやその他カスタマイズ受託開発も行っているが、全社的にみれば一部に過ぎない。


ビジネスモデル

同社の売上高の大半を占めるソフトウェア使用許諾は、契約一時金と、メーカーの機器販売台数をもとに算出されるロイヤルティ収入で構成されている。SR社では、ロイヤルティ収入が大半を占めるため、同社の売上(および利益)は出荷されるデバイスの数に左右されるものと理解している。

コストは先行投資的な色彩が強い(新製品開発のための研究開発投資の場合)。ただし、顧客基盤の拡大を試みているため、マーケティング費用も徐々に増えていくであろう。同社は今後も研究開発への投資を継続するが(技術者および一般社員の人員数を増やすことによって)、大幅にコストを増やすのは利益規模がより拡大してからとコメントしている。


コスト構造

Image:Ubiquitous-JP-CostStructure.png

費用に占める比率が高いのは人件費と研究開発費(2006年3月期~2011年3月期の2費目合計の平均は、販管費の60%以上)である。人件費は基本的に固定費である。同社の売上高に占めるライセンス収入の比率は高いが、ライセンス収入を獲得している段階で当該製品に発生費用はごくわずかである。研究開発費はある程度変動費と考えられるが、常に一定水準の研究開発が求められる(革新的かつ技術的に進歩した製品開発こそが組込みコンピュータ事業における鍵を握る)。


収益性、財務指標

Image:Ubiquitous-JP-ProfitabilityRatios.png


SW(Strengths, Weaknesses)分析

強み(Strengths)

  • 経営陣。 同社の現経営陣は、米Microsoft社やアクセンチュア社などITの世界では最もよく知られた企業で経験を積んだ結果、高いマネジメント力や財務管理のスキルを取得しているとSR社は考える。
  • 最先端技術。 SR社は、QuickBootのポテンシャルは高く、「キラーアプリケーション」になり得ると考えている。こうした技術を創り上げる革新性や技術力は他社には模倣し難い優位性といえよう。同社によれば、社内の技術者にはマイコン、パソコンの黎明期から非常に長い間技術を積み重ねてきたメンバーが多いとのことだ。
  • 収益性。 同社は、今まで黒字経営であり(ニッチ市場を狙う新興ソフトウェア開発企業には難しい課題である)、相応の利益率を達成している(「収益性」の項を参照)。このことがキャッシュフローを創出し、開発費を投じ、製品ラインを拡充することを可能にしている。また、SR社は日本の株式市場には、将来性があるとされていても、利益を計上しない新興企業に対する評価が厳しい。一方、利益あるいはキャッシュフローを伴った成長企業には評価が寛容な傾向があるとみている。従って、同社の収益性は株式市場を通じた資金調達を容易にすると見ている。
  • 規模。 規模の小ささが制約になる側面もあるだろうが、フットワークの軽さは、官僚的な大企業が持ち得ない優位性といえるだろう。技術革新は、創造力のある起業家によって成し遂げられることが往々にしてある。会社の規模が小さい方が、個々人の自主性や独創的発想を生む自由な雰囲気を醸成しやすいと考える。

弱み(Weaknesses)

  • 特定取引先への高い依存度。 同社の収益は、一製品(Ubiquitous Network Framework)・一顧客(任天堂社)への依存度が高い。さらなる成長のためには、単一の製品に依存するのではなく組込み技術全般で秀でたサプライヤーとなる必要がある。同社はすでにこの点について対応を進めているが、その結果は、今後明らかとなろう。
  • 海外での限定的なマーケティング機能。 同社は国内のメーカーやMPUメーカーとは既に良好な関係を築いているが、まだ海外での営業基盤が十分ではない。
  • 主要新製品の収益寄与に時間を要する。 QuickBootは非常に有望な技術と思われ、成功すれば中核製品としてこの先数年間、同社の成長を牽引し得る。しかし、収益に大きく貢献するにはまだ時間がかかるものと思われる。


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[編集] 市場とバリューチェーン

マーケット概要

組込みシステムには多種多様なシステムが含まれるため、市場規模を推定することは難しい。同社の製品はポータブルゲーム機から屋外天候監視センサーに携帯電話といった様々な種類の機器に搭載することができる。同社の技術は幅広く応用されるが(組込みシステムはほぼすべての業界に使用されている)、同社にとって特に重要なカテゴリーはデジタル家電である。日本のデジタル家電業界で、販売される機器の数は数億台に上る。さらにこれらの機器の高度化、小型化および接続性の向上は、組込みソフトウェアの供給会社の事業拡大につながり得る。

SR社は、同社にとって海外市場は今後ますます重要になると考える。その意味で、QuickBootのようなソフトウェアは有望である。理由は二つある。第一に、日本の電子機器メーカーはこれまですべてを内製化する傾向が強いが、海外メーカーはコアコンピテンスにフォーカスし、それ以外の部分については積極的にアウトソーシングしたり、市販ソリューションを購入したりしている。日本のメーカーは他に選択の余地がなくなってようやく外部からの購入に踏み切る傾向にあるが、海外メーカー、特にアジアの新興国のメーカーは、他に選択肢がない時に、仕方なくコアではない部分も自社で開発するようだ。第二に、日本のメーカーに比してアジアおよび米国のメーカーは意思決定のスピードが速い。SR社は、この意思決定の迅速性にも良し悪しがあると考えるが、ソフトウェア会社にとっては、迅速な意思決定の下で技術を採用されるほうが、長々と検討を続け大幅なカスタマイズを要求されるよりも得られる利益は大きいだろう。いいかえれば、同社は国内・海外を問わず成功し得るが、その成功を手中に収めるのは海外の方が早いかもしれない。


顧客

顧客のスイッチングコストは比較的高い。通常、機器メーカーは、ある製品用にSDKを採用すると、その機器の販売中止まで同一のコンポーネントを使用し続ける。SR社は、メーカーが複数の製品を採用すると、再設計、試験およびサポートの費用がかさむためであると理解している。


サプライヤー

社員を除いて、同社の事業に大きな影響を与えるサプライヤは存在しない。


参入障壁

組込みソフトウェア開発の参入障壁のほとんどは技術面にある。


競合他社

組込みソフトウェアを開発する企業は星の数ほどある。ただし、同社の規模は比較的小さく(2010年3月期で社員数34名)製品ポートフォリオも限定的であること(Ubiquitous Network Frameworkが2010年3月期の売上の約72%)は、直接競合する企業の数が少ないことを意味している。


代替

同社の製品(組込みソフトウェア)の代替品は少ない。ハードウェア・ソリューションで組込みソフトウェアが実現する多くの機能を置き換えられる可能性はあるが、ハードウェアの場合、システムが複雑になり、電力消費量や1台当たりの単価の上昇を招き、機器の保守が必要になることは避けられない。一方、ソフトウェアは簡単にアップグレードが可能である。


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[編集] 経営戦略 

同社は、ユーザーが他では入手できないユニークな技術を創り上げるべく創業された。このニッチ戦略は、同社の技術的専門性という主たる強みに合致しており、代表的な製品にはUbiquitous Network Framework、Network Offload Engine (NOE: 極めてリソースが限られたシステムのネットワーク処理を他機器へオフロード)、およびQuickBootなどがある。また、同社は最終的に、ユビキタス・コンピューティングネットワーク社会の実現を事業目標に置いている。

同社は、主に国内市場をターゲットとしてきた。これは人材など経営資源が限られているなか、既存の国内取引先とのビジネスに専念せざるを得なかったためだ。もっとも、経営陣は世界的なソフトウェア・サプライヤーへと事業基盤を拡大する必要性を認識している。また、ニンテンドーDSが世界中で販売されるなど、同社の主要顧客がグローバルに事業展開していることを考えれば、海外展開も一からの仕切り直しというわけではない。

将来の戦略としては、既存の国内取引先との関係を発展・強化させつつ、海外事業を成長させるための積極投資をしていくようである。経営陣および営業部隊の強化が必要となるため、一時的にコストは増加するだろうが、こうした投資は必要であり、成功すればリターンは大きいだろう。


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[編集] 過去の財務諸表

[編集] 概略 

前期以前の業績概況(参考)

2011年3月期業績

2011年5月13日、同社は2011年3月期決算を発表した。

売上高、営業利益、経常利益、当期純利益いずれも過去最高水準を達成した。また、会社予想を、売上高で7.8%、経常利益で16.8%それぞれ上回る結果となった。同社は会社予想を上回った理由について、ネットワーク関連のゲーム分野およびネットワーク分野の売上高が堅調に推移したためとコメントしている。

ただし、分野毎の売上高をみると、計画対比で差があり、ゲーム分野(期初予想:740百万円、実績:833百万円)、やネットワーク分野(期初予想:200百万円、実績:394百万円)については計画を上回った一方、データベース関連(期初予想:220百万円、実績:141百万円)は計画を下回った。また、高速起動関連(期初予想:50百万円、実績:55百万円)はほぼ計画通りだった。

ゲーム分野が期初計画を上回ったのは、人気タイトルの発売があったことと、「ニンテンドー3DS」本体向けにソフトウェア使用許諾料の一括売上があったとのことが要因である。また、ネットワーク分野に関しては、量産ロイヤルティの拡大が寄与した格好だ。一方、データベース関連はデジタルカメラを中心に量産ロイヤルティが伸びているものの、計画対比で新規案件獲得に遅れが生じたことが会社計画を下回った要因である。高速起動関連については、売上高はほぼ期初計画通りであったが、事業進捗に遅れがみられると同社はコメントしている。

製品分野別の売上高はゲーム分野の売上高構成比が58.6%と引き続き高いが、2010年3月期の同68.7%から低下した。一方、ネットワーク分野が同27.7%と2010年3月期の同18.8%より上昇した格好だ。各分野の状況については、下記「第3四半期業績」を参照されたい。


2011年3月期第3四半期業績

2011年2月14日、同社は2011年3月期3四半期決算を発表した。

同社によれば、2011年3月期第3四半期累計期間は、通期業績予想に対して売上高で80.2%、純利益で96.5%の進捗となり、当初の見込みを上回るペースで推移しているとのことである。実際、同社は2011年2月4日に通期業績予想の上方修正を発表していた。上方修正の理由は、1)同社製品搭載の家電機器の販売が2011年3月期第3四半期においても好調で、ネットワーク分野におけるロイヤルティ収入が大幅に増加したこと、2)ゲーム分野において、「ニンテンドー3DS(2011年2月26日に日本で発売予定)」のロイヤルティの一括計上があったこと、3)経費が抑制できていることなどである。

ただし、分野毎に進捗に差があり、ゲーム分野、それ以外のネットワーク分野については堅調に推移している一方、データベース関連に関しては、売上高にやや進捗の遅れがみえるとのことである。また、高速起動関連でも収益化の進捗に遅れがみえると同社は述べている。

通期業績予想を上方修正したが、その修正値に対しても、第3四半期累計期間の営業利益の進捗率は98.4%と高く、第4四半期の営業利益として、ほぼゼロに近い額をみていることになる。同社はこの点に関し、第4四半期に外注開発費やマーケティング費用などの費用が発生する予定であるためとコメントしている。

当四半期における研究開発および事業開発の進捗は以下の通り。

  • 同社製品の「Ubiquitous QuickBoot Release 1.0(以下QuickBoot)」に新たに「Android Pack」を追加し、2010年11月から提供を開始
  • 「QuickBoot」を幅広い市場に対して、迅速に展開していくことを目的に、QuickBoot向けのエンジニアリングサービスで株式会社コア(東証1部2359)、日本システムウエア株式会社(東証1部9739)と協業していくと発表。同サービスの提供は2010年12月より開始
  • DeviceSQLの最新バージョン5.0の開発に成功し、2010年11月より販売を開始

同社の分野別の概況は以下のようになる。

ネットワーク関連:2011年第3四半期累計期間におけるゲーム分野の売上高は669百万円、それ以外のネットワーク分野の売上高は245百万円であった。ゲーム分野は「ニンテンドーDS」向けWi-Fi対応ゲームソフトウェアからのロイヤルティ収入が堅調に推移したほか、「ニンテンドー3DS」本体向けにソフトウェア使用許諾料の一括売上があったとのことだ。なお、「ニンテンドー3DS」に関しては、ゲームソフトウェアからのロイヤルティ収入はなく、「ニンテンドー3DS」に関連した今後のロイヤルティ収入の見込みはないと同社はコメントしている。

無論、「ニンテンドーDS」向けWi-Fi対応ゲームソフトウェアからのロイヤルティ収入は従来通り継続して見込めるため、今後も同社の収益は「ニンテンドーDS」向けWi-Fi対応ゲームソフトウェアの販売本数によって影響を受ける。ちなみに、同社の売上に占めるゲーム分野の比率は2010年3月期第3四半期累計期間の74.2%から2011年3月期第3四半期累計期間には63.2%へと低下している。同社のこの分野の売上が今後、急減するのではないかとみる向きもあるかもしれない。しかし、1)ニンテンドーDSは既に世界で累計1億台を有に超える台数の保有がなされていること、2)1)は日米欧が中心であり、今後エマージング市場向けの展開も考えられること、3)ニンテンドー3DSとニンテンドーDSは価格帯が異なり、ハイエンド機種とローエンド機種のように棲み分けが可能であること、などを踏まえれば売上が先行き急減する可能性は低いとSR社は考えている。

ゲーム以外のネットワーク分野(2011年第3四半期累計期間の売上高は245百万円)においては、国内大手電機メーカーのレコーダーに搭載されたUbiquitous Network Framework、国内大手電機メーカーのテレビに搭載されたUbiquitous DTCP-IPがそれぞれ、エコポイントによる搭載製品販売の押し上げもあって、好調に量産ロイヤルティを拡大させているとのことである。

データベース関連: 2011年第3四半期累計期間のデータベース関連の売上高は105百万円であった。Ubiquitous DeviceSQLがデジタルカメラを中心に量産ロイヤルティが伸びているものの、第2四半期同様、商談が長期化、なかなか採用にまで至らないという状況が続いており、計画対比で新規案件獲得に遅れが生じているとのことである。今後の対策としては、2010年11月にリリースした新バージョンのUbiquitous DeviceSQL Release 5.0などを積極的に提案、需要の掘り起こしを図っていきたいとコメントしている。

高速起動関連: 2011年第3四半期累計期間における高速起動関連の売上高は38百万円であった。第3四半期にQuickBootの顧客製品における採用が初めて決定している。この製品とは、民生機器だが製品群のなかの一部においての採用であるため、生産量はそれほど多くはないのではないかと同社では推測している。QuickBootに関しては、数社との間で大・中規模案件の評価実装を継続中とのことだが、引き合いの拡大に伴い、対応すべき実装上の技術課題などが新たに発生したため、収益化の進捗に遅れがみえると同社は述べている。この技術的課題について、同社は決定的に解決できないという類の問題というよりは、新製品ならではの「産みの苦しみ」であると述べている。つまり、常に新しい商談で、新しい課題に直面するなか、どの位の期間か定量的に解決できるかを特定するのは難しいとのことだ。想定より早く解決できるもの、想定より時間がかかるものがあり、状況は日々変化しているとコメントしている。

同社は、2012年3月期の会社計画について、定期的なマイルストーン開示の枠組みの中で、分かった時点で提示する予定(2011年3月期決算より前の可能性もある)としている。


2011年3月期第2四半期業績

2010年11月12日、同社は2011年3月期第2四半期決算を発表した。

同社によれば、2011年3月期第2四半期累計期間(上期)は、通期業績予想に対して売上高で50.4%、純利益で64.8%の進捗となり、当初の見込みを上回るペースで推移しているとのことである。実際、同社は2010年10月29日に上期業績予想の上方修正を発表していた。当初予想を上回った理由は、ネットワーク分野において、デジタル家電の販売が(エコポイントの効果もあって)好調で、搭載された同社製品のロイヤルティ収入が増加したことによるものである。これによって、同社の売上に占めるゲーム分野の比率は2010年3月期上期の73.2%から2011年3月期上期には60.2%へと低下している。一方、データベース関連はやや不振で低調であった。

好調な上期実績にもかかわらず、通期予想は期初の予想が据え置かれている。これは、同社が「景気の2番底」をメイン・シナリオとしてみているためである。なお、売上高の内訳に関しては、2010年上期実績などを踏まえ、ゲーム以外のネットワーク分野の売上高が当初予想の200百万円から260百万円へ上方修正された。一方、データベース関連の売上高は当初予想の220百万円から160百万円へ下方修正されている。ゲーム分野、高速起動関連の売上高は当初予想が据え置かれている。

同社、分野別の概況は以下のようになる。

ネットワーク関連: 2010年上期におけるゲーム分野の売上高は367百万円、それ以外のネットワーク分野の売上高は159百万円であった。ゲーム以外のネットワーク分野においては、国内大手電機メーカーが2009年9月以降に発売したレコーダーに搭載されたUbiquitous Network Framework、国内大手電機メーカーが2010年5月に発売したテレビに搭載されたUbiquitous DTCP-IPが好調に量産ロイヤルティを獲得し、当初予想以上の売上実績となった。一方、ゲーム分野は、ニンテンドーDS向けWi-Fi対応ゲームの人気タイトルの発売(2010年9月発売のポケットモンスターシリーズ)もあり、売上高は当初想定通りに推移した。

データベース関連: 2010年上期のデータベース関連の売上高は60百万円であった。DeviceSQLのデジタルカメラの量産ロイヤルティが拡大したものの、デジタルカメラ以外の需要が不振で当初の見込みを下回った。同社の分析によれば、データベース製品に対する需要が低下したわけではないが、顧客であるメーカーが限られた経営資源で現局面を乗り切ろうとするなか、データマネジメントが優先順位として後回しにされている可能性があるとのことである。今後はDeviceSQLの新バージョンの市場投入に加え、積極的に同商品を提案していくことで、潜在化した需要が顕在化するよう努めていくと同社はコメントしている。

高速起動関連: 2010年上期における高速起動関連の売上高は22百万円であった。2010年5月に発表した株式会社アットマークテクノとの協業計画においては、当初、同社はQuickBootを2010年秋にバンドルして販売する予定であった。しかし、当該バンドル販売タイミングはやや当初想定より遅れ気味の模様だ。アットマークテクノ社との協業体制に関しては、当初の想定より改定し、マーケティング活動などを含めた新たな格好で協業体制を推進していくとのことである。2010年11月現在、QuickBootは数社との間で大・中規模案件の評価実装をしている状況にあり、同社は年度内の製品採用に向けて営業活動を継続している。なお、評価実装とはメーカーが製品を採用する最終段階で実施するテストで、QuickBootのような製品を実装してパフォーマンスなどをチェックすることである。同社は、高速起動関連の売上高を2012年3月期で300百万円と予想しているが、2010年11月15日の説明会で同社はこの予想値は引き続き妥当であるとの見方を示している。


2011年3月期第1四半期業績

2010年8月6日、同社は第1四半期決算を発表した。

第1四半期の売上高は、198百万円(前年同期比0.3%減)であった。同社によれば、おおむね当初の見込み通りに推移しているとのことである。売上高に比べて、営業利益の進捗率が低いのはエンジニアの増員等で販売及び一般管理費が膨らんだことによる。

同社の売上高に占める任天堂社向けの売上の比率は高く(2010年3月期で68.6%)、2011年3月期通期の業績に関しては、WiFi対応の大型ゲームタイトル数へ依存するところが大である。2010年3月期は「ドラゴンクエストIV」、ポケットモンスターシリーズ3本などの大型タイトルがあったのに対し、2011年3月期に関しては、今のところ2010年9月18日に発売予定のポケットモンスターシリーズ以外の大型タイトルは未定の状況である。そのため、業績予想が達成できるか否か、不透明感が強いとSR社は判断する。

当四半期における研究開発および事業開発の進捗は以下の通り。

  • QuickBoot技術をアットマークテクノ社の組込みプラットフォームであるArmadillo(多数の異なるインターフェースへのサポートを提供し、主に開発者が使用する組込みハードウェア・プラットフォーム)に適用し、中小規模の組込みシステムに対するQuickBootの採用を促進していくことで協業することを発表。
  • DeviceSQLの最新バージョン4.3の開発に成功し、2010年5月より販売を開始。

QuickBootをArmadilloに適用し、秋口以降の出荷をめざしていくことが発表されたこと(「ニュース&トピックス」の項参照)は、同社にとって非常に大きな進展であるとSR社では考える。また、QuickBootに対する多数の問い合わせを国内外のメーカーから受けているとのことであり、2012年3月期以降の展開に期待を抱かせる。QuickBootからの収入が拡大すれば、同社の任天堂社への依存度は低下するうえ、さらなる成長のためのキャッシュフロー創出が見込める。


2010年3月期通期業績

2010年5月7日、同社の通期決算が発表された。

  • 売上高:1,160百万円(前年同期比22.6%、予想比18.3%増)
  • 営業利益:463百万円(前年同期比23.9%、予想比78.2%増)
  • 経常利益:471百万円(前年同期比57.7%、予想比74.4%増)
  • 四半期純利益:184百万円(前年同期比74.3%、予想比31.1%増)

(2010年1月26日修正予想比)

好調な業績-売上高、営業利益および経常利益が以前中期業績目標として掲げていた2011年3月期の目標値を上回った。

(売上高)

目標: 1,080百万円(前年同期比14.2%増)

実績: 1,159百万円(前年同期比22.6%増)

(営業利益)

目標: 400百万円(前年同期比7.0%増; 営業利益率37.0%)

実績: 463百万円(前年同期比23.9%増; 営業利益率39.9 %)

(経常利益)

目標: 408百万円(前年同期比36.6%増; 経常利益率37.8%)

実績: 470百万円(前年同期比57.7%増; 経常利益率40.6%)

(当期純利益)

目標: 150百万円(前年同期比42.4%増; 純利益率13.9%)

実績: 183百万円(前年同期比74.3%増; 純利益率15.8%)

同社によれば、2010年3月期の決算は、売上高が初めて10億円を突破し、予想を大きく上回り、満足のいくものであった。同社業績は引き続き任天堂社への依存度が高いものとなっている(ただし、売上高全体に占める任天堂社の売上高は2009年3月期の75.1%に対し2010年3月期は68.6%に低下している)。一方で任天堂社以外の売上高は全事業部門で大幅な拡大を示し、その寄与度が高まっている。ネットワークソフトウェアの売上高は前年比48.8%増(売上高構成比18.8%)となり、組込みデータベースソフトウェア(DeviceSQL)の売上高は前年比64.8%増(売上高構成比12.6%)となった。同社はDeviceSQLの実績に満足しているものの、依然低迷する景気の影響で、メーカー顧客の中には導入実施になかなか踏み切らない数社があったことを指摘している。そのため、2010年1月に上方修正したDeviceSQLの予想売上高150百万円はわずかに(約5百万円)未達となった。

売上総利益率は前年比で低下したが、これはソフトウェア受託開発売上高(前年比56.8%増)の拡大が一因であり、受託開発にかかる人件費のため同部門の利益率はその他事業と比べ低いことによる。

営業利益率は前年比横ばいとなった。2010年3月期に同社は人員を増加させており、2011年3月期も正社員をさらに増員すると同社はコメントしている。研究開発費は(約100百万円で)前年並みとなった。

155百万円(うち127百万円が投資有価証券の評価損)を特別損失として計上した。


QuickBoot

2010年3月期のQuickBoot事業の全体的な進捗状況に同社は満足している。2011年3月期は引き続き技術開発を継続し、商業化の達成を可能とする提携先を開拓する計画である。2010年5月に同社は、米Freescale Semiconductor社のi.MX アプリケーション・プラットフォーム(i.MXプロセッサはスマートブックやタブレット端末等の様々なデバイスに幅広く使用されている)をQuickBoot技術の主要プラットフォームとしてサポートすることを発表した。同社は新しいQuickBootのデモバージョンの展示を行った。初めて実施したデモはArmadillo(アットマークテクノ社の組込みプラットフォーム)上で行われ、新しいデモは、資源と開発の限られた環境での「実体験」を提供するものとして、市販のシャープ株式会社(東証 6753)の製品であるNetworker(ネットウォーカー)端末上で実施された。シャープ社のNetworkerを利用したデモの起動時間は約3~4秒であったが、同社の説明では時間的制約でデモ版がほとんどカスタマイズなしに行われたということで、この結果は意義深いものといえよう。


2010年3月期第3四半期実績

2010年2月5日、同社は2010年3月期第3四半期の業績を発表した。

第3四半期の売上高は、289百万円(前年同期比1.0%減)であった。同社によれば、計画に対する進捗率は予想以上に高く、第4四半期にはかなりの好成績が見込まれるとのことである(一部にゲーム機販売の季節的特徴による)。

当四半期に実施された研究開発と事業開発の進捗状況は、以下の通りである。

  • QuickBoot技術(機器の起動時間を劇的に短縮する技術)の発表とデモを実施。

(通期予想について)

2010年1月26日、同社は通期業績予想の上方修正を行った。同社はDeviceSQLの追加受注が見込まれることから、通期業績予想は達成可能と見ている。


2010年3月期第2四半期(上期)実績

2009年11月6日、同社は2010年3月期第2四半期(上期)の業績を発表した。

第2四半期の売上高は336百万円(前年同期比41.3%増)であった。増収の主な理由は当四半期中に数本の人気ゲームタイトルが発売されたことにある。なお、営業増益の理由の一つとして、本社移転の延期も挙げられる。

当四半期における研究開発および事業開発の進捗は以下の通り。 農林水産省向け事業の一部において、同社のAIR NOEを使用したセンサーが設置された(「製品の詳細」の項を参照)。

  • DeviceSQLの新規ソフトウェア使用許諾契約を獲得。


2010年3月期第1四半期実績

2009年7月31日、同社は2010年3月期第1四半期の業績を発表した。

第1四半期の売上高は、199百万円(前年同期比50.2%増)であった。当四半期における研究開発および事業開発の進捗は以下の通り。

  • 国内大手メーカー製携帯端末向けの高速TCP/IP試作開発品を納入。
  • DTCP-IP互換のミドルウェアを携帯端末プラットフォームに移植し、ESEC 2009に出展。


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[編集] 損益計算書 

Image:Ubiquitous-JP-IncomeStatement.png

売上総利益率は従来から高い水準を維持しており、概ねおおよそ80~95%の範囲である。販売するソフトウェアパッケージ1単位の原価はごくわずかである。事業が成長するに従い、売上総利益率の水準は製品ミックスに依存してくるであろう。サポートおよびソフトウェア受諾開発は比較的コストが高い一方(労務費が主因)、ロイヤルティ収入の売上総利益率は100%である。


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[編集] 貸借対照表 

Image:Ubiquitous-JP-BalanceSheet.png

資産の部

流動資産の構成比率が高い。流動資産のほとんどが現金・現金同等物であり、売掛金もいくらかある。固定資産のほとんどは長期預金であり、性質上、流動資産に近いとSR社は考える。同社の事業はソフトウェア開発であり、基本的に固定資産を要しない。

負債の部

負債はごくわずかである。2010年3月期末時点で同社に有利子負債はなく、2006年3月期~2010年3月期の期間中、ネットキャッシュポジションを維持している。

資本の部

2008年3月期の株主資本の増加はIPO(株式公開)の結果である。その他増減の大部分は純利益と配当金の支払いによるものである。


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[編集] キャッシュフロー計算書 

Image:Ubiquitous-JP-CashFlow.png

営業活動からのキャッシュフロー

同社の営業キャッシュフローは概して、当期純利益の変動を反映している。2010年3月期の営業キャッシュフローは純利益の増加(前年比74.3%増)と非現金費用(投資有価証券の評価損127百万円)によるものであった。

投資活動からのキャッシュフロー

2008年度3月期の主な支出は、投資有価証券の取得(566百万円)および長期預金の預入(600百万円)によるものである。同社の投資キャッシュフローは預金の預入・払戻で変更する傾向がある。

財務活動からのキャッシュフロー

2006年3月期と2007年3月期において、財務活動の結果支出・獲得した資金はなかった。2008年3月期の財務キャッシュフロー収入はJASDAQへの上場、2009年3月期の支出は配当の支払いによるものである。

単純フリーキャッシュフロー

同社の2009年3月期の単純フリーキャッシュフローは、設備投資(固定資産33百万円、無形固定資産143百万円)によりマイナスであった(同社は2008年9月にDeviceSQLの知的財産権を取得している)。2010年3月期の単純フリーキャッシュフローは、純利益の拡大と設備投資の減少から137百万円となった。


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[編集] その他情報

[編集] 沿革

株式会社 ユビキタスは2001年5月に「ユビキタス・ネットワーク」のビジョンを実現するためのネットワークソフトウェアを開発するべく創業された。「ユビキタス・ネットワーク」とは、毎日使用する機器にインテリジェンスを付加し、利用者の便益を最大化するものである。

同社の主力製品となるUbiquitous TCP/IP(Ubiquitous Network Framework)は2001年11月に開発され発売された。概念実証実験(POC)は8bit MPU 10MHz、メモリはわずか16kbという極小環境だった(比較対象として、1980年に発表されたアーケード向け初代パックマンは、同じプロセッサを3MHzで稼働していた。また空のマイクロソフトWordファイルの容量は9kbである)。同社が大規模なプロトコル(TCP/IP)を小さなスペースに詰め込めること(なんとこのソフトウェアにはウェブサーバーまで入っている!)が、この製品によって効果的に実証された。

同社が大きく第一歩を踏み出したのは、2003年に株式会社東芝(東証 6502) がセキュリティカメラにウェブ接続機能を追加するために Ubiquitous TCP/IPを採用した時である。ライセンス収入は約100百万円に上り、同社の収益は大幅に拡大した。

続く大きな進展は、2004年の株式会社ルネサステクノロジ(現ルネサスエレクトロニクス株式会社、非上場、世界最大MPUメーカーの一社)との使用許諾契約の締結である。契約対象製品はUbiquitous TCP/IP、Ubiquitous Media ConnectおよびUbiquitous Rendezvous(すべてネットワーク製品)であった。この契約は、ユビキタスの展望を大きく後押しした。契約締結によりベンチャーキャピタリストの信用が得られ、2004年12月には450百万円が投資された。

2005年は「任天堂の年」である。任天堂社のニンテンドーDSゲーム機に搭載するためにUbiquitous TCP/IPとSSLのパッケージ(Ubiquitous Network Framework)が採用された。

2007年は、同社にとって「初めて」のことが多かった。6月には、初めてDLNA (Digital Living Network Alliance)の認証を受けたコンポーネントの一部に、同社のオーディオビデオ製品(Ubiquitous AV)が搭載されたと発表したほか、JASDAQ Neo市場の上場企業第一号となった(2007年11月13日に上場)。

2008年にはエンサーク株式会社からDeviceSQLの知的財産権を取得し、製品群を拡大した。


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[編集] トップ経営者 

2011年4月1日付で三原寛司氏が社長に就任した。

三原寛司氏は営業、事業本部長である。三原氏は2007年にユビキタスに入社し、デジタルメディア開発と営業力の強化を同社にもたらした。1987年~2004年までソニー株式会社にてデジタルメディアの開発技術者として勤務していた。ソニー退社後、Microsoft社日本法人にてデジタルメディアチームのマネジャー職を務めた。

鈴木仁志氏は創立者の一人であり、最高技術責任者(CTO)を務める。同社の技術発展の「次世代」をリードする役割を担っている。鈴木CTOは1987年から2000年まで株式会社アスキー(日本におけるMicrosoft社の代理店)にて勤務し、そこでビル・ゲイツ氏と協力して世界初のハンドヘルドコンピュータ(TRS-80 model 100)を開発した。2000年~2001年まではMicrosoft社でWebTVの開発に携わり、その後ユビキタスを創立した。鈴木氏の技術的専門性は卓越している。専門はOS開発、コンパイラー開発(テキストで書かれたプログラムコードをマシンが読み取れるコードに変換する)、効率的なソフトウェア設計によるハードウェア機能の最大化などがある。


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