三城ホールディングス(7455)
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2012年 2月 5日時点
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直近更新内容
概略
2012年2月3日、三城ホールディングスは2012年1月の売上高伸長率を発表した。
(月次売上高の項目へのリンクはこちら、会社HPへのリンクはこちら)
2012年1月4日、同社は12月の売上高伸長率を発表した。
2011年12月2日、同社は11月の売上高伸長率を発表した。
3ヵ月以上経過した会社発表はニュース&トピックスへ
業績動向
月次動向
2011年1月
1月の既存店売上は前年同月比2.7%減、全店売上は同2.9%減であった。
2011年12月
12月の既存店売上は前年同月比4.1%減、全店売上は同4.6%減であった。
2011年11月
11月の既存店売上は前年同月比1.3%減、全店売上は同1.7%減であった。
2011年10月
10月の既存店売上は前年同月比2.7%減、全店売上は同3.5%減であった。
2011年9月
9月の既存店売上は前年同月比2.7%減、全店売上は同4.2%減であった。
2011年8月
8月の既存店売上は前年同月比1.6%減、全店売上は同2.6%減であった。
2011年7月
7月の既存店売上は前年同月比1.2%増、全店売上は同0.2%減であった。
2011年6月
6月の既存店売上は前年同月比0.2%減、全店売上は同1.3%減であった。
2011年5月
5月の既存店売上は前年同月比2.7%増、全店売上は同2.4%増であった。
2011年4月
4月の既存店売上は前年同月比3.6%増、全店売上は同2.3%増であった。
四半期実績推移
2012年3月期第2四半期実績
2011年11月11日、同社は2012年3月期第2四半期決算を発表した。
2012年3月期第2四半期累計期間の売上高は前年比0.1%増の31,579百万円、営業利益は前年比51.7%減の744百万円であった。営業利益が減益となった要因として、滞留在庫の商品評価減が366百万円(前年同期は170百万円)発生したこと等によって売上総利益率が67.6%と前年同期から2.4%低下したこと、売上高販管費比率が65.3%と前年同期より0.3%上昇したこと等が挙げられる。同社によれば、商品評価減は商品の需給バランスが崩れていること、在庫が増加していることに起因する。販管費は販売促進費が前年比1.8%減となったものの、広告宣伝費が同6.6%増となった結果、前年比0.5%増となった。
2012年3月期第2四半期累計期間の期初会社予想が売上高31,610百万円、営業利益1,973百万円であったため、売上高はほぼ会社予想通りの実績であったものの、営業利益は会社予想を1,228百万円下回る(会社予想比62.2%減)実績となった。この要因は、主要子会社である三城に起因する。同社によれば、三城では不採算店の整理を継続的に進めていることから、出退店を含めた全店舗の売上高合計が前年を下回ったほか、店舗改装などにかける費用が計画を上回ったことなどから営業利益が会社予想を下回る結果になったとしている。
一方、通期会社予想については修正が行われていない。同社はこの理由について、顧客に対する、以下1)から5)の「新たな提案方法」が年末商戦に向けて業績に寄与してくると見込むためと説明している。
1)対象とする顧客セグメント毎に分類し、より細かい対応をそれぞれの店舗で実行する
2)何でも揃う何でも相談出来る旗艦店を導入する
3)顧客とのコミュニケーションツールとしてipadを全店に導入する
4)店舗で金の取扱いを増やし、顧客からの金購入や、金眼鏡の販売を増やす。
5)機能に特化した商品開発を行う
第2四半期累計期間の国内・海外の概況は以下の通りであった。
国内
売上高は前年比0.6%減の28,531百万円であった。2012年3月期第2四半期累計の国内店舗数は出店9店舗、退店16店舗で合計947店舗(2011年3月期末:954店舗)と総店舗数が減少傾向にあることから、全店売上高は前年比0.7%減となった。一方、既存店売上高が前年比0.2%増であり、相対的に新店がやや不振だった格好となる。
主要製品別の国内売上高は下記のようになる。
フレーム:9,374百万円(前年比2.9%減)
レンズ:14,212百万円(前年比1.3%減)
サングラス:1,284百万円(前年比5.3%減)
コンタクトレンズ:940百万円(前年比6.1%減)
補聴器:2,638百万円(前年比9.7%増)
セグメント利益は前年比51.2%減の838百万円であった。商品評価減等による売上総利益率の低下が響いた格好だ。
会社別には、商品評価減の発生した株式会社三城の業績がやや厳しいことに加え、国内で百貨店を中心に店舗展開をしている株式会社金鳳堂の業績も東日本大震災以降の計画停電による百貨店各店舗の営業時間短縮や定休日の設定による影響等で会社予想比若干下振れしていると同社はコメントしている。
金鳳堂社は、2012年3月期のテーマとして百貨店での販売拡大を取り上げている。また、2011年11月に同社の旗艦店として東京京橋の中央通り沿いに京橋新本店を開店した。同社によると、同店舗は店舗面積を従来の約66㎡から約198㎡へ拡大するとともに、本社機能の事務所も移転して指揮をとりやすくしたとのことである。更にここで行うサービスを百貨店内の店舗にも広げ、各店舗のサービスを更に変えていきたい模様だ。
海外
売上高は前年比3.8%増の3,228百万円、セグメント損失は98百万円となった(前年同期はセグメント損失125百万円)。
同社によると、豪州は2012年3月期第2四半期に2店舗の閉鎖を行なうとともに、現地に合わせた構造改革への取り組み、優秀な人材採用により、赤字額も若干縮小したとのこと、タイは洪水の影響で2011年11月現在、6店舗のうち1店舗が休業、3店舗が時間短縮で営業しているとのこと、アジア地域は人件費等が上がってきているので売上を増やしても、利益が出難い動きにあるとのことである。
2012年3月期第1四半期実績
2011年8月12日、同社は2012年3月期第1四半期決算を発表した。
売上高は前年比1.0%増の15,240百万円、営業利益は前年比97.9%減の10百万円となった。営業利益が減益となった要因として、滞留在庫の商品評価減が204百万円(前年同期は92百万円)発生したこと等によって、売上総利益率が67.4%と前年同期の70.1%から2.5%低下したことが主因である。
国内
売上高は前年比1.1%増の13,729百万円であった。国内店舗数は出店5店舗、退店4店舗で合計955店舗となったが、既存店売上高が前年比1.6%増であり、相対的に新店がやや不振だった格好である。
数量と単価をそれぞれ分けてみると、組数は前年比6.6%増であったが、組単価は前年比5.3%低下の27,783円となった。もっとも、組単価の低下については、例年第1四半期に行っているプロモーションを前年同期には諸々の事情で実施しなかったことが要因とのことだ。実際、前々期の2010年3月期第1四半期の組単価は27,637円であり、今第1四半期の組単価とほぼ同水準である。
むしろ、注目すべき点としてはたな卸資産が増加している点が挙げられよう。連結ベースの数値ではあるが、たな卸資産は2011年6月末で10,710百万円と2011年3月末より716百万円増加している(2010年6月末より1,384百万円増加)。同社は今第1四半期において上記の通り滞留在庫の商品評価減を計上しているが、プロモーション等の施策が不振であったことが響いたようだ。
主要製品別の国内売上高は下記のようになる。
フレーム:4,534百万円(前年比1.0%減)
レンズ:6,871百万円(前年比0.2%増)
サングラス:562百万円(前年比2.8%増)
コンタクトレンズ:461百万円(前年比5.9%減)
補聴器:1,249百万円(前年比8.3%増)
セグメント利益は前年比86.3%減の79百万円であった。商品評価減等による売上総利益率の低下が響いた格好だ。
会社別には、株式会社三城の業績がやや厳しい一方、株式会社金鳳堂の業績は引き続き順調に推移していると同社はコメントしている。
海外
売上高は前年比3.5%減の1,610百万円、セグメント損失は72百万円となった(前年同期はセグメント損失47百万円)。
豪州については、店舗数は16店舗で今四半期中の増減はなし。同社によれば、引き続き店舗を整理する方向にあるが、利益へのマイナス影響は店舗減とともに軽減してきているとのことだ。2011年3月期末からの変化でいえば、韓国は3店舗増加の29店舗、中国が2店舗純減(2店舗出店、4店舗退店)し138店舗となっている。同社は中国事業について、将来の成長に向けて、一旦店舗の再配置を行っている最中であるとコメントしている。また、眼鏡に固執せず、補聴器やアクセサリーなど幅広い商品群を店頭に並べることによって、模範となる店舗像や顧客ニーズを模索しているようだ。
2012年3月期上期および通期会社予想は期初予想が据え置かれた。ただし、2012年3月期上期の営業利益予想が1,973百万円、2012年3月期通期の営業利益予想が2,086百万円であるのに対し、2012年3月期第1四半期は営業利益実績が10百万円と低調なスタートだったとSR社はみている。加えて、2011年7月の月次売上高が全店ベースで0.2%減となったことから2012年3月期第2四半期に入ってからも、引き続き厳しい状況は続いているものと判断される。2012年3月期下期にかけての同社の取り組みを注視したい。
通期 (2012年3月期)の会社予想
売上高は前年比0.8%増の60,627百万円の会社予想である。前提条件に関していえば、国内の出店が15店舗、退店が30店舗であり、2012年3月期末の国内店舗数合計が939店舗と2011年3月期末の954店舗から15店舗減少する計画。国内全店売上高は前年比0.5%増、既存店売上高は前年比1.5%増が見込まれている。
既存店売上高に関しては、「らくらく君シリーズ」のラインナップを更に拡充させる意向のほか、大型既存店の改装、個別店舗ごとの地道な販促活動などによって上記計画達成をめざす模様。同社は特に、各々の店舗を、対象とする顧客セグメント毎に分類し、より明確な業態設定、企画力のある位置にづけようとしている点を強調している。
上記店舗の例として、同社は以下の点を指摘している。
- 渋谷店においては20代から30代のよりファッション感度が高い顧客層からも指示を狙う、
- 郊外の基幹店においては内装・外装のデザインを変更、品揃えを拡充することによって広域の顧客からの支持をめざす
- 低価格帯業態のOpt LABELやOPTIQUE PARIS MIKI でショッピングモールに来店する主に20代から40代の顧客層をめざす、などである。
2012年3月期第2四半期累計期間の通期会社予想に対する進捗率は、売上高が52.1%と順調だが、営業利益が35.7%、経常利益が33.0%、当期利益が21.3%と厳しい。2012年3月期第1四半期の既存店売上高は前年同期比1.6%増と好調であったが、第2四半期は同1.0%減と減速、月次で見ても2011年10月の既存店売上は前年比2.7%減で、8月から3か月連続マイナスとなった。しかも2011年3月期第3四半期の国内全店売上高伸長率は前年同期比11.0%増であり、前年のハードルも高い。加えて、同社は例年、下期に営業損失を計上する傾向にある。SR社が同社へのヒアリングも踏まえて抱いた印象では、会社予想の達成は厳しそうだ。しかし、同社は、2012年3月期会社予想の達成に向けて、いろいろな販促活動に取り組んでいるようである。
将来の展望
同社は中期経営計画を作成していない。
同社の売上高は2002年3月期の83,976百万円をピークに、2010年3月期の56,299百万円まで減少傾向を辿った。一方、2011年3月期は前年比6.8%増の60,140百万円と底打ちの兆しがみられるほか、2012年3月期は前年比0.8%増の60,627百万円が見込まれている。
2010年度においては、ジェイアイエヌ社(JASDAQ 3046)、メガネトップ社(東証1部7541)、同社などの既存店売上高が前年比増加となった一方、メガネスーパー社、愛眼社、その他地方の店舗などは既存店売上高の前年比減少が続いた。いわば、2極化の様相を呈しつつある。同社が眼鏡市場における勝ち組といえるのか否か、2012年3月期はそれを占う上で重要な年となりそうだ。
事業内容
ビジネス
同社は、売上高および店舗数で国内最大のメガネ類の小売業者である。2004年以来、徐々にマーケットシェアを下げてきてはいるものの、その店舗網は国内最大である(2011年3月期末で954店)。同社の店舗ではメガネ(2011年3月期の全社売上高の79.7%)、コンタクトレンズ(同3.3%)、補聴器(同8.0%)およびサングラス(同4.5%)を販売している(その他が全社売上高の3.9%を占める)。事業の主体は国内を基盤にしている(2011年3月期の売上高の90.4%)が、海外事業も展開している(2011年3月期の売上高の10.4%;主にアジアやオーストラリア)。
標準的な店舗形態
国内店舗の形態は大きく分けて、同社にとっての主力業態である「パリミキ」と「メガネの三城」(2011年3月期末時点で864店舗)、百貨店を中心とした店舗展開をしている金鳳堂(同24店舗)、低価格帯のOpt LABEL/ OPTIQUE PARIS MIKI(同66店舗)の3つの形態がある。パリミキとメガネの三城の店舗は同じ形態である。パリミキの店舗のほとんどは東京および関東圏に、メガネの三城は主に関西圏に見られる。店舗は通常、賃貸借物件によるもので、自社所有店舗は10ヵ所程度である。
店舗レイアウトはいたってシンプルである。スペースのほとんどは販売用の商品陳列に使用している(店舗には約1,200組の在庫がある)。店舗の平均面積は約100㎡で、店員数は4名である。店舗は郊外独立型・ビルイン型またはショッピングモール内に設置されている(2011年3月期時点では郊外独立型49.5%、ビルイン型12.7%、モール37.8%)。
店舗のほとんどは直営である(2011年3月期で954店舗中812店舗)。フランチャイズ店は142店あるが(2011年3月期時点)同社にとって好ましい形態は直営であろうと考える。
パリミキ/メガネの三城の店舗
既存店の多くは、塔を演出したお城のような外観である(下部の写真を参照)。ロードサイド展開時にあたってユニークな外観を創り出すために設計した旧来のデザインである。お城をイメージしたデザインは、同社の初期の成功に大きく貢献した(「沿革」の項を参照)。しかし、新たなマーケティング努力の一環として新形態の店舗や陳列を実験的に展開してきている。同社は店舗網の刷新の一助としてフランスのデザイン会社マレルブ(小売店専門の建築設計事務所)と契約している。2010年3月期に行った実験的な改装により、改装がある程度売上増加につながるという結果が出たことを受け、同社は2011年3月期中にさらに100店舗以上の改装を行った。ブランドイメージの観点では、成城学園前店のケースで「パリのアパルトマン」をイメージさせる店舗のモデルが確立できたもようであり、改装はブランドイメージ統一の面でも効果が期待されている。 既存店の内装と外観(お城をイメージ)および一部の新店舗のデザインを以下に示す。
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出典:同社データをSR社にて加工
Opt LABEL/OPTIQUE PARIS MIKIの店舗
Opt LABELとOPTIQUE PARIS MIKIの店舗は主に3段階の価格(5,800円、8,800円、12,800円)を提供する店舗形態で、低価格帯の競合他社がマーケットに参入したことに対抗して開発された。同店舗ではプライベート・ブランドのフレームを販売しており、店頭表示価格はレンズ込みの価格である。主にショッピングモールに出店されている。
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出典:同社データをSR社にて加工
パリミキ/メガネの三城、金鳳堂の店舗は、可処分所得にある程度余裕のある消費者をターゲットとしており、2011年3月期のメガネの平均価格は33,970円であった(業界平均は約25,000円)。Opt LABEL/OPTIQUE PARIS MIKIの店舗は、ファッションや価格に敏感な消費者をターゲットとしており、2011年3月期のメガネの購入平均価格は11,967円であった。
店舗網(2011年3月期時点)
国内店舗:954店(構成比81%)
海外店舗:222店(同19%) 中国:140店
オーストラリア:16店
その他アジア諸国:56店 米国:6店
欧州:4店
店舗数合計:1,176店
2011年3月期の海外売上は6,248百万円であった。大部分はアジアでの売上である。
ビジネスモデル
メガネフレームとレンズ (2011年3月期売上高の79.7%)
メガネは同社の中心的な販売商品である。価格形態はレンズとフレームとで別個に価格を付ける方式と、メガネ一式でセット価格にする方式の2種類がある。
販売するフレームの約3分の2(小売売上)が社内でデザインしたプライベートブランドである(例:Au、Iki、Etos、8vo、Edgeなど)。パリミキとメガネの三城の店舗では、セット価格とフレームとレンズの別売価格の両方を採用している。別売のフレーム価格のボリュームゾーンは約15,000円から40,000円の程度である。ただし、オリジナル金フレームのAUシリーズは通常モデルで3万~88万円の範囲であり10万円から30万円の価格帯が売れ筋である。 レンズの価格は、特性(厚み、重量など)により通常3,000円から92,000→148,000円の範囲である。
フレームとレンズを一式にしたパッケージ商品(Very3)は10,500円、17,800円、24,800円の3段階の価格になっている。
Opt LABEL/OPTIQUE PARIS MIKIの通常価格はフレームとレンズ一式で3段階の価格(5,800円、8,800円、12,800円)に設定されている。
国内のメガネ一式単価は下落している。同社のデータに基づけば、平均メガネ一式単価(フレームとレンズ)は2000年3月期には38,171円だったが、2011年3月期時点では29,873円と27.8%下落している。単価下落の理由としては、低価格商品を販売するOpt LABEL/OPTIQUE PARIS MIKI業態を導入したこと、および主要店舗での単価下落が考えられる。
2002年3月期の単価下落は、Opt LABEL展開による販売ミックスに起因する。2009年3月期の下落は、眼鏡市場等の競合店との価格競争によるため、前述のVery3を全店導入したことによる。2011年3月期の上昇は、相対的に高単価の眼鏡を中心に販売する金鳳堂が加わったことが主因である。
集客力の高いショッピングセンターにある店舗と郊外店舗では、在庫回転率には差が生じる。店舗在庫はPOSシステムにて管理している。フレームは、姫路市にある流通センターに70万本の在庫を保有しており、各店舗に約1200本の在庫がある。各店舗の商品構成は、主に各店店長が本社の指導のもとに決定している。フレームとレンズの粗利率は概して会社平均の68.4%よりは高く、傾向としてはレンズの粗利率の方がフレームよりも高い。
サングラス(2011年3月期売上高の2.8%)
店舗で販売するサングラスは中核のメガネ商品を補完していると考えられる。ただし、サングラスが全体の売上に大きく貢献することは期待されていない。
店舗で販売するサングラスは有名ブランド(Police、Ray-Banなど)で、価格は通常5,000円から20,000円の範囲である。店舗で販売するサングラスは有名ブランド(Police、Ray-Banなど)で、価格は通常5,000円から20,000円の範囲である。サングラスの売上総利益率は概して会社平均の68.4%よりは低い。
コンタクトレンズおよびコンタクトレンズ備品(2011年3月期売上高の3.3%)
同社は、主要製品のメガネを補完する形でコンタクトレンズの販売も行っている。コンタクトレンズは比較的販売しやすいため(陳列スペースが必要なく、流行に左右されるリスクもない)、あくまで補完の位置づけにとどまるであろう。価格は一組3,800円から32,000円の範囲である。粗利率は概して会社平均よりは低く、30~40%である。
補聴器(2011年3月期売上高の8.0%)
同社の補聴器事業は比較的新しく、伸びしろのある分野といえる。同社は約800店で補聴器を扱っており(2010年3月期現在)、2005年3月期に補聴器の売上を別枠で開示し始めて以来、総売上に対する比率は増え続けている。補聴器の価格は、1台35,000円から480,000円とかなり開きがある。売上総利益率は概して会社平均の68.7%よりは低い。
費用構造
同社の費用に占める比率が高いのは、人件費と賃借料である。2000年3月期から2010年3月期までの間、人件費と賃借料合わせて平均で販管費の72.4%を占めている。単独では人件費が最大で、販管費の50%強を占めている。
2000年3月期から2011年3月期までの賃借料は、平均で販管費の20.7%を占めている。郊外独立型店舗の賃借料は地主との直接交渉になるが、ショッピングセンター内店舗の賃借料は、主に固定賃料である(百貨店および一部ショッピングセンターが変動賃料である)。
収益性スナップショット、財務比率
2000年3月期から2007年3月期までの同社の営業利益率は平均13.4%であった。売上の減少と固定費的性格を持つ人件費により営業利益率は2008年3月期には6.1%に落ち、2009年3月期には営業赤字に転じ、2010年3月期も引き続き営業赤字である。同期間のEBITDA(営業利益+減価償却費)は黒字を維持したが、営業利益の赤字により2010年3月期には1.5%に落ちている(ピーク時の2002年3月期の20.4%からは18.9%ポイントの下落)。2011年3月期に関しては営業利益が1,062百万円、EBITDAマージンは4.3%に改善した。
ROE(自己資本利益率)は2000年3月期から2009年3月期を通じて悪化傾向にあったが、2010年3月期以降は改善傾向にある。
同社の営業利益率、経常利益率および当期利益率は、従来同業他社に比べて高かった。2009年、2010年の営業利益率の悪化は、減収と固定費負担に起因している。
SW(Strength & Weakness)分析
強み(Strength)
- 店舗数(全国に広がる店舗網)。その規模により、スケールメリットを享受できており、全国的な広告キャンペーンなどの施策に投資することが可能であろう。つい最近まで、国内でこうしたことができる会社は同社だけだった。今ではメガネトップも三城と同様、スケールメリットを享受しつつあるといえる。ただし、競合他社のマーケットシェアの低さを考えると、同社やメガネトップも規模の優位性で他の中小を凌駕(りょうが)することができる。
- 研修を受けた経験豊かなスタッフ。同社の店員はほぼ間違いなく業界でベストの部類に入る。同社は長年に研修に力を入れており、顧客サービス重視を強調してきた。ここ数年業績が弱含みではあるが、SR社の感触としては、同社の社員は高い水準のモラルとモチベーションを維持している。もっとも、会社として、明確な方向性を早急に示すことは重要であり、さもなければ社員のモチベーション低下につながる恐れがある。
- ブランド力。会社自体も、また店舗も(店舗デザインが多数あり、店舗名でさえもさまざまであることから証明されるよう)、単一ブランドを展開しているとは考えていないが、メガネといえば「ミキ」や「パリミキ」という言葉が連想されるくらい、その認知度は高い。国内の郊外および人口が集中する都市部のほとんどに店舗が存在することと、過去の長年にわたる広告活動はブランドイメージ確立に大きく貢献したといえる。また、これが今後の発展の強い基盤となり得る。ここ数年、強力なライバルが現れ、同社のポジションは相対的にやや低下している。ライバルは(JINSやZoffなどの単一ブランドや、はっきりと見分けられる店舗デザイン、時としてかなり積極的な広告宣伝などにより)すぐに認識できるブランド属性と、(低価格でおしゃれなデザインをそれなりの品質で提供するという)明確なメッセージを持っている。一方、同社はすべての人にすべてを提供しようと試みてきた結果、店舗の個性が失われ、店頭において顧客の感情に訴える部分(近代的デザイン、分かりやすい価格形態、それほど複雑でないオプション)よりもメガネの機能面を強調したことなどが、ブランドに対してはややネガティブに作用してしまったといえる。
- 強固な財務基盤。2011年3月期時点で、貸借対照表に20,037百万円の手元資金がある。強固な貸借対照表は場合によっては両刃の刀となるが(現状に甘んじ、危機感を喪失してしまう)、競争の激しい状況下では、より財務基盤が強固なを(注記すべきこととして、最大の強敵である愛眼は規模的には下だが、手元資金は潤沢である。メガネトップは資金が不足気味ではあるが、財務状況は劇的に回復している)。
弱み(Weakness)
- あいまいなポジショニング。同社にとっての最大の弱みは、市場におけるポジショニングがあいまいな点であり、近年「ターゲット顧客はだれか?」、「顧客に何を売ろう/伝えようとしているのか?」といった重要な問いに対し、明確な答えを出せないでいた。高品質な商品を提供し、スタッフはプロでサービス志向が高く、店舗所在地も利便性が高い。しかし、メッセージやブランドイメージを際立たせないと、部分的には最適でも全体的には可もなく不可もなくという、中途半端な位置で立ち往生してしまうことになりかねない。2011年3月期以降、同社はこうした点に気付き、各々の店舗を対象とする顧客セグメント毎に分類し、より明確な業態設定、企画力を持たせようとしている。結果を求めるには未だに時期尚早であり、2012年3月期は特にその動向が注目される。
- ブランド力の問題。同社のもう一つの弱みは、店舗デザインが統一されていないことだ。同社の規模や財務基盤をもってすれば、ブランド力を強化し、他社と差をつけることは可能だろう。しかし2010年に入り、同社が効果的なブランドの構築を行っているとはいい難い。店舗はある場所ではパリミキ、別の場所ではメガネの三城と呼ばれる。店舗デザインはどう見ても無計画であり、その独特なお城を模したデザインは目につき印象に残りつつも、美しく洗練されていると思う人は少ないであろう。SR社は、統一性の欠如はすぐに対処すべき問題であると考える。改修費用により短期での資金回収は難しくなるかもしれないが(数年キャッシュフロー管理をうまく行ってきている同社ではあるが)、「金の卵を産むガチョウ」である店舗形態を統一させない限り、そのガチョウは老い衰え、やがて卵を産めなくなるであろう(顧客を引き付けられず、さらなる業績悪化を生み、資金回収力も弱まる可能性がある)。
- 「バリュー」を提供できていない。ここ10~20年、世界中の小売業界では「バリュー(価値)」が大きなテーマである。消費者が要求する、納得できる品質の商品を可能な限り低価格で提供することが、「バリュー」の一つの定義である。もう一つの「バリュー」の形は顧客にプラスの感動を与え、毎日の生活をユニークで洗練された価値ある商品やサービスで充実させることと表現できる。「バリューに見合った価格」(“The price as value”)は消費者にも企業にも最も理解しやすく追求しやすいものである。だからこそ、ディスカウントショップが小売のあらゆる分野で最も大きく急速に成長しているのであろう(JINS、Zoffや眼鏡市場がその好例である)。もっとも、他のバリューイノベーション(価値の革新)の形で大成功した事例も多々ある。同社は「おもてなし」の心を強調しており、コンピュータを使用した顧客ごとに異なるメガネのデザインを提供するおもしろいソリューションを提供している。しかし、こういった取り組みを消費者が共感できるような際立ったモデルにまで発展できていない。むしろ強力なライバルが「バリューに見合った価格」をもとに競争をしかけマーケットシェアを奪っていくのを眺めつつ、成り行き任せの状態となっている。
- 同社の各事業部門や店舗は、本社からのガイダンスはありつつも、かなりの程度の自由裁量権が許されており、その執行の判断に関しては(少なくとも地域レベルでは)ほぼ任されている形である。このような指導体制は、これまでの事業拡大の成功には寄与してきたが、SR社としては現在の競争の激しい状況では異なるアプローチが必要ではないかと考えている。今後の成功を確実にするには、明確なトップダウンの意思決定が必要かもしれない。
- 現場の自由裁量権の大きさ。同社の各事業部門や店舗は、本社からのガイダンスはありつつも、かなりの程度の自由裁量権が許されており、その執行の判断に関しては(少なくとも地域レベルでは)ほぼ任されている形となっていた。このような指導体制は、これまでの事業拡大の成功には寄与してきたが、SR社としては現在の競争の激しい状況では異なるアプローチが必要ではないかと考えていた。2011年3月期以降、同社はこうした体制を改めるべく、本社からの横串機能も導入している模様。SR社はそうした体制の変更をポジティブに受け止めると同時にうまく機能するかどうかをチェックしていく考えである。
グループ会社
三城 ― 中核事業(メガネ、コンタクトレンズ、補聴器の販売)の小売業務を執行する。三城ホールディングスの100%子会社である。
金鳳堂 ― 2010年1月に事業譲受した眼鏡小売業者。主に国内の高島屋・伊勢丹などの百貨店に24店舗を有する。三城ホールディングスの100%子会社である。同社は金鳳堂を通じて、今まで十分に訴求できていなかった富裕層を中心に顧客層を拡大する計画である。
グレート ― グループの小売事業を支援する店舗建設および不動産管理を行う関連会社。三城ホールディングスの100%子会社である。
クリエイトスリー ― 三城MDが(破産手続きが決定した)福井光器社から資産(工場、建物、眼鏡フレーム製造設備など)譲渡を受けた後、2011年2月3日付で商号変更
海外関連会社
PARIS MIKI S.A.R.L. ― フランスの店舗運営を管理する現地法人
PARIS-MIKI INTERNATIONAL GmbH ― ドイツの店舗運営を管理する現地法人
PARIS-MIKI LONDON LTD. ― イギリスの店舗運営を管理する現地法人
巴黎三城光学(中国)有限公司 ― 中国の店舗運営を管理する現地法人
上海巴黎三城眼鏡有限公司 ― 中国の店舗運営を管理する現地法人
上海巴黎三城商貿有限公司 ― 中国の店舗運営を管理する現地法人
OPTIQUE PARIS-MIKI (S) PTE. LTD. ― シンガポールの店舗運営を管理する現地法 人
OPTIQUE PARIS MIKI (M) SDN BHD ― マレーシアの店舗運営を管理する現地法人
巴黎三城眼鏡股イ分有限公司 ― 台湾の店舗運営を管理する現地法人
PARIS MIKI OPTICAL (THAILAND) LTD. ― タイの店舗運営を管理する現地法人
DIANE OPTICAL INC. ― 韓国の店舗運営を管理する現地法人
PARIS MIKI OPTICAL INTERNATIONAL LTD. ― 香港の店舗運営を管理する現地法人
PARIS MIKI AUSTRALIA PTY. LTD. ― オーストラリアの店舗運営を管理する現地法人
MIKI, INC. ― ハワイ州の店舗運営を管理する現地法人
(SEATTLE BRANCH) ― シアトルの店舗運営を管理する現地法人
KIMPO-DO (MALAYSIA) SDN BHD
グループ戦略
同社は2009年4月1日に純粋持株会社 三城ホールディングスに移行した。同社いわく組織再編の主な理由は新規事業を効率的に実行に移せるような企業構造にするためとのことである。
市場とバリューチェーン
マーケット概要
メガネ
国内のメガネ小売市場規模は約3,900億円である(調査会社眼鏡光学出版社による2010年調査データ)。調査データによると、2009年には約1,600万本のメガネが平均価格約25,000円で販売されている。2001年から2009年を通し、数量も平均単価も下がってきている(下表参照)。
買い替えサイクルは度数や年齢層によりさまざまであるが、一般的に年齢に関連した眼のピント調節の衰えはおおよそ30歳代後半くらいから始まり、その後はピント調節力の低下とともに約2年おきに買い替えが必要になることが多い。年齢とともに異なる距離に焦点を合わせることが難しくなるため、遠近両用レンズが使用されることが多い。同社によれば、遠近両用レンズへの切り替えは追加的な需要をもたらすようだ。なぜなら、あらゆる距離を見るための常用メガネの複数所持やファッション志向は、2組目、3組目といった購買需要を創出する可能性があるからだ。
日本の眼鏡市場は価格面で主に3つのセグメントに分類できる。通常、高額なメガネは百貨店で販売されている。最上位層市場においては、他のセグメントに比べて競合他社数も販売数量も少ない。競合の大半は一組15,000円から30,000円(2008年の平均価格は26,000円)の価格帯の市場で生じている。市場の最下層は比較的低価格で特徴づけられ、一組10,000円未満である。
補聴器
同社の推定によれば、1人当たりの補聴器使用率は他の先進国の使用率の約25%である。
国内で販売されている補聴器は主にアナログとデジタル(音声処理技術の違い)の2種類がある。マーケットは1990年から2008年までで約50%成長し、その成長率は2003年から2008年で安定基調に入った。国内の補聴器市場は人口の高齢化により、今後長期的な成長トレンドをたどることも考えられる。
厚生労働省の人口統計によれば、日本の人口動態は眼鏡市場に追い風となろう。2011年には人口の多くが40~60歳の年齢層に入るようになるため、数量的には長期的な成長トレンドが形成されよう。ただし数量の増加が、ここ数年の低価格化を相殺できるかどうかは定かではない。また、高齢の消費者がメガネを道具ではなくファッションとしてとらえるようになり、その結果、需要が創出されれば、眼鏡事業者にとっては有益となるであろう。
仕入業者
フレーム ― 同社が販売するフレームの7割弱はプライベート・ブランドである。自社開発し、製造は外部委託をしている(ほとんどが国内での生産。一部は中国でも生産)。SR社の理解では、約50社の業者からフレームを仕入れている。
レンズ ― 納入業者にはHOYA(東証 7741)、セイコー(東証 8050)、東海光学(非上場)、ニコン・エシロール(非上場;フランスのエシロールの子会社)などがある。同社によれば、調達比率は全業者でほぼ同比率であるとのことである。SR社は、同社は他の中小の眼鏡小売業者に比べればレンズの調達において規模のメリットを享受できていると考える。
コンタクトレンズ ― コンタクトレンズの主な納入業者は、J&J、クーパービジョン、ボシュロム、メニコンである。
補聴器 ― 補聴器の主な納入業者はオーティコン、GN リサウンドコーポレーション、およびシーメンスである。
参入障壁
眼鏡類(メガネとコンタクトレンズ)小売事業の参入障壁は低い。眼鏡店は誰でも始められる事業である。しかしマーケットの競争が激しく、その成熟度も高いことから、参入する企業は相当の差別化要素を持ち合わせている必要がある。したがってそう大規模な参入は起こりそうにないが、もし起きるとすれば、それはインターメスティック社がZoffで示したような常識を破るような形になるであろう。ほぼ間違いなく言えるのは、眼鏡小売事業者が高い粗利率を維持する限りは低価格ビジネスモデルを構築しシェアを奪おうという誘因が業界内外に生まれるということである。しかし、販管費の削減や高い在庫回転率の維持は、眼鏡類小売事業に典型的な商品の購買頻度の低さや高品質のサービス内容を考えると難しいであろう。そして、これらは新規参入者が克服しなければならない課題でもある。
競合
市場は主に小売専門チェーン(三城など)と、腕時計や宝飾品などの他の商品とともにメガネを販売する兼業店との2つのグループに大別できる。同社の推定では兼業店が全体の70%を占める。大手専門店チェーンの寡占化は進んでいない。
メガネの小売価格低下はインターメスティック社(非上場)のZoffブランドショップの参入のあった2001年2月に端を発する。2000年のメガネの平均価格は約29,000円であったのに対し、Zoffはこれを大きく下回る5,000円、7,000円、9,000円の3つのセット価格で参入した。消費者はZoffの低価格に魅力を感じ、飛びついた。ここで注目すべきは、Zoffを新規出店した当時のインターメスティック社は眼鏡小売事業者でも眼鏡メーカーでもなかったという点だ。既存企業が気乗りしなかった、もしくはできなかったところに、外部の企業が、革新的ソリューションを提供した事例である。既存企業のほとんどは、Zoffの初期の成功に対抗すべく低価格路線の店舗出店を進めた(三城は2001年にOpt LABELの店舗形態を立ち上げた)。インターメスティック社は2010年初頭時点で約90店舗を展開しており、そのほとんどが関東地域に集中している。
Zoffはメガネを超低価格で提供している。低価格を可能にするのは、「PB商品」、「(従来メガネ店と比較して)アイテム数が少ない」、「中国製」というキーワードだ。しかし低価格は代償を伴う。サプライチェーンの問題により品質に関する懸念が出ており、これで消費者が低価格=低品質と連想してしまえば、最終的には、その影響は他の低価格路線のショップにも広がるであろう。
2009年以降台風の目となったのは、ジェイアイエヌが展開するJINSである。ジェイアイエヌは、2001年4月に眼鏡事業に参入した。参入当初からメガネをファッションアイテムとしてとらえ、低価格での商品提供を行い、若者層を中心に売上を伸ばしてきた。2009年5月からは抜本的な価格改定を実施し、追加料金の一切かからない明快な価格システムを前面に打ち出して注目を集めた。JINSのセット価格は4,990円、5,990円、7,990円、9,990円であり、一番高い価格でも1万円を切っている。新しい価格システムの導入を契機として、売上高は急激に増加している。2011年2月末現在の店舗数は90店舗。
上記2社以外にも弐萬円堂(非上場)が2005年にワンプライス(価格1本)の店舗を展開した。弐萬円堂は業界の平均価格が約29,000円(眼鏡光学出版調べ)だった当時にメガネ(フレームとレンズ)一式を20,000円で提供した。2006年には、メガネトップ (東証 7541)が同様のワンプライスのコンセプトを用い(レンズとフレーム一式で18,900円)「眼鏡市場」のブランドで事業を展開した。メガネトップが初出店した当時、その価格は業界平均価格の28,000円よりも約30%低かった。さらに、同社は店舗数を増やし、徐々にその全店舗網をワンプライスの店舗に業態変化させていった。広告では18,900円の水準でのワンプライスを宣伝しているが、15,750円までの割引も提供していた。2010年5月時点ではメガネトップが最も成功していたといえる。
他の競合他社には、メガネスーパー(JASDAQ 3318)や愛眼 (東証 9854)などがある。両社は価格低下の波にもまれ、苦戦が続いている。
最大競合他社との比較を下記に示す。
代替
メガネの主な代替品はコンタクトレンズと矯正レーザー手術である。2011年6月時点では、レーザー手術はまだ主流とは考えられない。コンタクトレンズの市場は成熟しており、コンタクトとメガネの間では技術的革新やデザインによりその時々のマーケットシェアに変動はありつつも、ほぼ安定している。高齢の消費者に特有の、複雑な視力に関連した、または医療的なニーズがあるため、人口の高齢化は眼鏡市場に有利である。
コンタクトレンズへの切替コストは安いが(初回購入時には眼科医の処方箋が必要)、定期的に買い足す必要がある。レーザー手術の費用は比較的高いが、低価格化が進んでいる。SR社の推定では、日本における眼科の外科手術の費用は約10万~40万円の範囲である(眼鏡光学出版によれば、2009年3月期のメガネの平均価格は約25,000円であった)。
戦略
同社は過去10年、適切な戦略を模索するため、多くの時期を乗り越えてきた。その中にはフランチャイズ・モデルの実験や低価格路線に対応した低価格業態店舗の展開、外部人材の登用などがあった。2007年から2010年に至るまでは、やや「混乱していた時期」と特徴づけられるであろう。その店舗やブランド戦略に関し、社内的な合意がなかなか形成できず、市場環境の変化に応じて不採算店の閉鎖をしたり、新しい実験的な店舗デザインを導入したりするなどの戦術的な動きのみで対応してきた。
SR社は、「混迷期」の三城の戦略を以下のように表現してみた。
- 「現場で考え現場で行動すること」。店舗や地域ではかなりの自由裁量権を有しており、他のエリアで競合が激化しても、それが地元市場で起きるまでは対応がなされていない。つまり、全社的な対応には時間を要する。
- 「必要な時以外はお金を使うな」。キャッシュフロー管理は三城のトレードマークであり、これまでうまく機能してきた。従来の保守的な財務アプローチが吉と出るか凶と出るかはわからない。
- 「絶対に必要なときは、新しいアプローチの実験を推奨する」
- 「よいサービスとよい商品を提供すれば、お客様は戻ってきてくれる」
2010年の半ばから、同社はやや「混迷」から脱却しつつあるように思える。同社は当初、価格競争には乗り気ではなかったが、全店でフレームとレンズを一式にした商品(10,500円、17,800円、24,800円)を導入した。一方、機能性をわかりやすく提案した高額商品(らくらく君シリーズ「ゴルフらくらく君」など)を導入済みであり、今後も同様のコンセプトの下、新シリーズの導入を行っていく考えである。2011年5月の決算説明会で同社は各店舗別にセグメンテーションを細分化、業態を明確化していくとしている。業態については、年代別、年収別に訴求していく戦略を取り、メガネの三城およびPARIS MIKIを中高年層向け、OPTIQUE PARIS MIKIを若年層向け、百貨店(金鳳堂)を富裕層向けと位置付け、より明確な業態設定を行っていく方針である。
過去の財務諸表
前期以前の業績概況(参考)
2011年3月期業績
2011年5月13日、同社は2011年3月期決算を発表した。
売上高は60,140百万円(前年比6.8%増)と会社予想60,728百万円を下回ったが、営業利益は1,062百万円(2010年3月期:営業損失543百万円)と会社予想912百万円を上回った。同社は、営業利益が会社予想を上回った理由について、諸々の費用の見直しなどにより、販売管理費を削減することができたためとコメントしている。
- 国内
売上高が54,348百万円(前年比8.2%増)であった。国内店舗数は出店13店舗、退店48店舗で合計954店舗と2010年3月期末合計989店舗より35店舗減少した。しかし、2011年3月期より新たに金鳳堂を連結子会社とした(2010年1月より連結)ほか、既存店売上高が前年比1.9%増と回復したことなどが増収に寄与した。既存店売上高に関しては、1)らくらく君シリーズ(ゴルフ、釣りなどの専用眼鏡)など機能性商品の投入効果、2)店舗改装効果、3)各店舗独自で販促を企画し展示を変更するなどの取り組みを始めたこと、などが回復の主因であるとのことだ。
主要製品別の国内売上高は下記のようになる。
フレーム:18,410百万円(前年比7.0%増)
レンズ:27,360百万円(前年比5.8%増)
サングラス:1,851百万円(前年比22.7%増)
コンタクトレンズ:1,927百万円(前年比4.9%増)
補聴器:1,153百万円(前年同期比8.0%増)
営業利益1,426百万円(2010年3月期:営業損失398百万円)であった。営業利益の改善に関していえば、上記増収効果に加え、販売管理費が前年比3.7%増と金鳳堂の連結化によって増加はしたが、不採算店舗の退店などによって抑制された水準に留まった(売上高販管費比率67.6%と2010年3月期より2.0%低下)したことも寄与した格好だ。
- 海外
売上高は6,248百万円(前年比3.8%減)、営業損失319百万円(2010年3月期:営業損失328百万円)であった。
豪州に関していえば、店舗数は2010年3月末で24店舗だったものが、2011年3月末で16店舗まで減少。赤字店を中心に退店を進めている状況。引き続き体質改善が課題となっている。また、中国に関しても売上が伸び悩み、人件費を中心に経費が嵩んできており、利益が出にくくなってきている模様。出店11店舗、退店21店舗を行った結果、2011年3月末の店舗数は140店舗となっている。
2011年3月期第3四半期業績
2011年2月10日、同社は2011年3月期第3四半期決算を発表した。
2011年3月期第3四半期累計期間の売上高は、前年比8.7%増収となった。既存店売上高が、2010年6月以降前年比プラスで推移しているほか、金鳳堂の業績が堅調であることが寄与した。営業利益は1,407百万円と前年比273.2%増。増収効果に加えて、主要子会社の三城で販売管理費の抑制に努めていることが寄与した模様だ。
同社は通期計画を据え置いている。同社に確認したところ、第3四半期までの進捗は、総じて計画通りとのことである。内訳は、金鳳堂が計画に対して上振れ気味である一方、豪州を始めとした海外が計画に対して下振れ気味、主要子会社の三城が概ね計画通りとのことであった。
金鳳堂に関しては、第4四半期に入っても好調に推移している模様だ。特に新宿伊勢丹店や日本橋高島屋店はかなり堅調なようだ。一方、地方の店は相対的に厳しい状況にあるようで、こうした格差是正が課題であると同社は述べている。また、国内24店舗のうち、新宿伊勢丹店、立川高島屋店、新宿高島屋店の改装を2011年3月期に実施したが、2012年3月期は4店舗から5店舗の改装を行っていくとコメントしている。
海外に関して、豪州の店舗は、2010年3月末で24店舗だったものが、2010年12月末で16店舗まで減少。赤字店を中心に退店を進めている状況。引き続き体質改善が課題となっている。また、中国に関しても売上が伸び悩み、人件費を中心に経費が嵩んできており、利益が出にくくなってきている模様。現在、進めている一部の退店が一巡したら、大型店を中心に新規出店を拡大させる意向だ。
三城に関していえば、1)2011年1月に福井光器株式会社からの資産譲受を行ったことによるシナジー効果の追求、2)2011年2月に発売した新レンズHPC(High Contrast Premium Coat)の拡販、3)店舗改装を進めること、などが当面の施策として挙げられている。
1)によって同社は福井光器社が所有していた工場やメガネフレーム製造設備などを取得している。具体的にいえば、これによって3D生産システムによって金型を作れる技術を入手。眼鏡生産のリードタイム約5ヵ月を1ヵ月強短縮できる模様だ。同社はこの技術をらくらく君シリーズやESMOD(ファッションデザイナーの専門学校)とのコラボレーションなどとの相乗効果によって同社の生産・販売施策に利用していきたいとしている。2)は無色透明のコートで、眩しさやちらつきの原因となる青い光(LEDなどの光に多く含まれる可視域青色光)を反射するという。同社が世界で初めて発売することとなった。また、3)は2011年3月期に入り順次進めてきたが、2012年3月期も同様に進めていく予定だ。
2011年3月期第2四半期業績
2010年11月11日、同社は2011年3月期第2四半期決算、および通期業績予想の上方修正を発表した。修正後の同社の通期業績予想値に対する達成率は以下の通り。
- 売上高: 52.0%(通期予想60,728百万円)
- 営業利益: 169.1%(同912百万円)
- 経常利益: 144.2%(同1,108百万円)
- 当期純利益: 800百万円(通期予想は19百万円の純損失)
上期実績は当初会社予想を、売上高で180百万円、営業利益で540百万円上振れて着地したが、同社はこの点に関し、2010年6月以降の月次売上高が想定以上に堅調であったためと説明している。上期の全店売上高は前年比7.6%増であった。月次売上高が堅調であった理由の一つは、金鳳堂の売上が計画以上であったためである。同社はこの点について、店舗改装や従業員のインセンティブ向上、積極的な催事の開催などによるものと説明している。また、上期の既存店売上高も前年比0.6%増と計画を上回った。一方、海外に関しては豪州を中心に厳しい状況が続いており、上期の海外事業実績に関しては、計画をやや下回ったとのことである。
既存店売上高に関しては、2010年6月に前年比にプラスに転じ、今のところ2010年10月実績まで5ヵ月連続で対前年比プラスとなっている。同社はこの点に関し、店舗改装やらくらく君シリーズの投入効果、ESMOD(ファッションデザイナーの専門学校)やレイバン社とのコラボレーションなど細かい施策の積み重ねの成果であるとコメントしている。
店舗改装に関しては、160店舗を対象に改装を行っており、2011年3月期上期で70店舗を改装済みとのことだ。また、2011年3月期下期から2012年3月期にかけて残りの約90店舗に関しても改装を行っていく予定のようである。また、らくらく君シリーズに関しては、2010年11月上旬に自転車用が追加された。
2011年3月期通期の会社予想の修正内容は以下の通りである。
- 売上高: 60,728百万円(当初予想60,547百万円)
- 営業利益: 912百万円(同371百万円)
- 経常利益: 1,108百万円(同454百万円)
- 当期純損失: 19百万円(従来予想では純損失244百万円)
同社は通期会社予想の修正について、上期実績の計画比上振れ分のみ加味したと説明している。
店舗網:2011年3月期第2四半期末の店舗数は976店(出店7、退店20)であった。
2011年3月期第1四半期業績
2010年8月12日、同社は2011年3月期第1四半期決算を発表した。修正後の同社の上期業績予想値に対する達成率は以下の通り。
- 売上高: 48.1%(上期業績予想 31,371百万円に対し)
- 営業利益: 48.1%(同 1,001百万円に対し)
- 経常利益: 53.7%(同 944百万円に対し)
- 当期純利益: △161百万円(同 575百万円)
売上高は、新しく連結に加わった金鳳堂の寄与などにより前年同期比6.2%増となった。また、既存店売上高は前年同期比1.6%減と、2010年3月期第1四半期の同7.0%減から改善した。このうち、百貨店を中心に販売を行う金鳳堂の売上高は回復傾向にあり、金鳳堂の既存店売上高は当初見通しを上回ったもようである。 売上総利益率については、利益率の高いレンズの売上高の減少により、若干の悪化が会社予想では織り込まれていたが、実績は会社予想を上回り70.1%となった。販管費については、金鳳堂の新規連結により前年同期比3.6%増加したものの、主要子会社の三城で広告宣伝費などの抑制を行ったことから、売上高販管費率は前年同期の68.6%から66.9%に1.7ポイント低下、営業利益は前年同期の93百万円から481百円へ大幅に改善した。
主要製品別の第1四半期の国内売上高
フレーム:4,578百万円(前年同期比5.9%増)
レンズ:6,859百万円(前年同期比2.7%増)
サングラス:546百万円(前年同期比9.0%増)
コンタクトレンズ:489百万円(前年同期比8.4%増)
補聴器:1,153百万円(前年同期比8.0%増)
らくらく君シリーズは順調で、6月14日にはらくらく君シリーズに釣り用が追加された。
セット売りが増えている一方、既存のフレームを使ってレンズだけを取り替えるレンズ売りの比率が減少していることから、レンズの売上高伸び率は2.7%にとどまったもようである。
同社によると、海外も全体としてはほぼ予想通り推移している。韓国は堅調、(予想通り)オーストラリアの赤字は続いているが、店舗および従業員の削減は計画通り進んでいる。
上期および通期の純利益予想が以下のように修正されている。なお、売上高、営業利益、経常利益は当初の予想数値が据え置かれている。
- 上期: 575百万円(当初発表予想の851百万円から275百万円下方修正)
- 通期: △244百万円(当初発表予想の31百万円から275百万円下方修正)
下方修正に関し、同社では資産除去債務に関する会計基準を適用したことに伴い、219百万円を特別損失として計上したことを主因とし指摘している。今回計上したのは自社物件の債務部分である。
事業の業況に関して、既存店売上高は6月に前年同月比3.2%増、7月に同3.4%増と2ヵ月連続でプラスとなった。6月18日から7月末にかけて、一部の商品について最大90%値引きするアウトレットセールを行ったことが集客につながっているようである。それ以外に渋谷、心斎橋、東京ベイ、新三郷、京都、川崎の6店でレイバンとのコラボレーションを平均3~5日間かけて行った。各店舗レベルでは、チェーンの特徴である画一的な手法をやめ、各店舗独自で販促を企画し展示を変更するなどの取り組みも始めている。同社によると、これまで実施してきた取り組みが(一つひとつの効果は小さいものの)ここにきて成果を生みつつあり、社内の活性化にもつながっているとのことである。8月中旬のSR社との取材において、8月もまずまずの状況であると同社はコメントしている。SR社は8、9月に既存店売上高の伸びが減速しなければ上期業績予想は達成できると見ている。一方、同社の通期予想は下期にかけて売上高が対前年で徐々に回復する想定であるため、上期の計画値が未達となれば、通期の目標達成も困難となろう。
店舗網: 第1四半期末の店舗数は988店(出店6、退店7)であった。予想期末店舗数は949店(出店20、退店60)。改装は30店舗余りで、ペースは計画より若干遅いもよう。同社は成城学園前店をモデルデザインとしてビルイン型の改装を行っているが、郊外型店舗についてもデザインを試験的に変えており、ある程度デザインが固まれば郊外型店舗についても本格的にリニューアルに着手することになる。
2010年3月期通期実績
2010年5月14日、同社は2010年3月期通期決算を発表した。ほぼ5月11日の修正予想通りの内容となった。
売上高は56,299百万円(前年同期比2.5%減)、営業損失は543百万円(前期は800百万円の損失)、経常損失は172百万円(前期は1,034百万円の損失)、当期純損失は233万円(前期は3,204百万円の損失)であった。
営業利益は対前年比で若干改善したものの、既存店の売上が依然として低い水準にあることや、事業子会社(株)三城の不採算店の整理に伴うコスト削減効果がまだ寄与しておらず黒字化には至らなかった。当期純利益については、2009年3月期に計上のあった店舗閉鎖損失引当金繰入額や減損損失などの特別損失が大幅に減少したことから、約30億円改善した。2010年1月29日に譲り受けた金鳳堂の連結により売上高面では若干の寄与があったが、利益面ではまだ貢献していない。
店舗網: 2010年3月末の国内店舗数は989店舗で、前期末に比べて正味で31店減少している。金鳳堂の買収による店舗増加24店を含めて50店舗の出店があったが、退店数が81店舗となった。
海外の店舗数は233店舗となり、前期末に比べて2店舗減少した。シンガポールで3店舗、韓国で1店舗出店があったほか、オーストラリアで5店舗、マレーシアで1店舗減少した。
海外事業の最新情報
中国:同社は2010年3月期、中国において新規出店7店舗、退店を7店行った(店舗数合計は150店)。2010年3月期の同社の中国での売上は約25億円だった。「好調」時であれば中国事業は100百万~150百万円の営業利益の計上も可能であると同社はコメントしている。同社は中国に十分な成長機会を見出しており、今は発展の初期段階に過ぎないとしている。中国市場に関する情報は完全ではないが、徐々に競合が顕在化しているようだ。幾つかの地元企業以外では、2008年3月時点でルクソティカを親会社とするレンズクラフターズが中国各地で270店舗を展開していると報告されている[1]。ルクソティカは、2005~2006年に地元の中規模小売業者を最低3社買収している。同社は2011年3月期中には8店舗の出店を行う予定であり、この中には2010年5月に開店した床面積678㎡の大型店舗も含まれる。この大型店舗の特徴はゴールド・ブティックを併設していることである。同社は次の成長機会としての地金の販売可能性に注目しており、メガネと地金をコラボレーションした店舗を今後増やしていく戦略である。
オーストラリア:店舗網の整理統合が進められている。同社は、2010年3月期に5店舗を閉鎖したが、2011年3月期にはさらに6店の退店を行う計画である。ルクソティカがOPSMの店舗網を買収し、保険および検眼士養成学校事業を併設する店舗の複合化を開始した2003年、業界の競争環境は激変した。この動きは、ウェストフィールド・グループがその多くを運営する同じショッピングセンター内でOPSMと競争する同社に対しルクソティカを優位に立たせることとなった。
2010年3月期第3四半期の業績
2010年2月10日、同社は2010年3月期第3四半期決算を発表した。同社の通期業績予想値に対する進捗率は以下の通り。
- 売上高: 73.8% (通期業績予想 58,111百万円)
- 営業利益: 98.0% (同 386百万円)
- 経常利益: 104.9% (同 610百万円)
- 当期純利益: 571百万円 (同 596百万円の当期純損失)
同社によると、第3四半期の業績は販促活動の拡大が一部寄与して概ね予想通りとなったが、2009年11月5日に下方修正された第2四半期累計業績の(修正されなかった)通期予想に対する未達分を賄うまでには至らなかった。第3四半期の国内の売上高は38,388百万円(前年同期比5.6%減)、営業利益は547百万円(同26.8%増)となった。海外の売上高は4,825百万円(同10.5%減)、営業損失は167百万円(2009年度第3四半期までの累計営業損失は6百万円)であった。
第3四半期の国内の売上高は38,388百万円(前年同期比5.6%減)、営業利益は547百万円(同26.8%増)となった。
海外の売上高は4,825百万円(同10.5%減)、営業損失は167百万円(2009年度第3四半期までの累計営業損失は6百万円)であった。
主要製品別の第3四半期累計国内売上高
フレーム:13,073百万円(前年同期比 4.4%減)
レンズ:19,800百万円(同 6.7%減)
サングラス:1,261百万円(同 9.7%減)
コンタクトレンズ:1,374百万円(同 5.2%減)
補聴器:3,309百万円(同 4.9%増)
事業の業況に関しては、メガネ一式単価(組単価)が相対的に安定推移する中、客数が減少していると同社は2月中旬(SR社の取材時)に指摘している。2010年3月期通期の既存店売上高の予想は前年比0.8%減である(上期実績:同5.5%減)。上記の「進捗率」の数値は、第4四半期が通常は赤字であることから誤解を招く可能性がある。第4四半期は売上が四半期別には最小であるにもかかわらず、相対的に重要な第1四半期向けに前倒しで投入する多額な広告宣伝費が営業利益を圧迫する傾向がある。売上高は、金鳳堂(2010年1月に買収)の部分的な寄与からわずかながらの恩恵を受けるであろう。SR社は、予想比での売上動向や第3四半期累計の実績から、2010年3月期通期が同社予想を下回る公算が高い、と見ている。第3四半期発表時に通期予想の修正はなかったものの、同社が小幅な通期営業損失を計上すると推定することはおそらく妥当なことであろう。営業外費用および特別費用が当初予想を下回る公算があり、営業損益段階と比べて純損益段階の予想からの差異は小幅にとどまる可能性がある、とSR社は考えている。
店舗網:
第3四半期末の店舗数は1,003店であった。予想期末店舗数(新店25、退店80)は965店である。この会社予想からは、4四半期に店舗閉鎖が加速化すること(予想退店数は第2四半期末の70店から第3四半期末は80店に拡大)がうかがえる。これはオーナーとの円滑な退店交渉によるものである。通期に予想される退店関連費用は約900百万円(収益予想に使用された当初予算は400百万円)となっている。ただし、同社が個別の有利な条件での出店機会(競合企業がショッピングセンターで店舗を閉鎖、ショッピングセンターは低めの賃料での代替企業の出店を希望)をとらえて、新規出店予想を10店増加させていることにも留意が必要であろう。
2010年3月期第2四半期(上期)の業績
2009年11月12日、同社は第2四半期(上期)の業績を発表した。上期の実績は売上高29,408百万円(前年同期比7.3%減)、営業利益678百万円(同27.6%減)、経常利益876百万円(同18.9%減)、四半期純利益588百万円(同113.4%増)であった。
上期の売上総利益率は68.8%と、2009年3月期第2四半期の69.1%よりも若干低く、過去の水準よりも低くなっている(「損益計算書」の項を参照)。売上総利益は、商品評価損415百万円および若干高めの売上原価などの影響を受けている。販売費および一般管理費の額は前年同期比で減少しているが、対売上高比率が66.2%から66.5%へとやや上昇している。1,451百万円のコスト削減の大部分は、人件費削減分797百万円が占める。
上期の営業利益は678百万円で前年同期比27.6%減であった。営業利益率は前年同期よりも0.7%悪化している(2009年3月期上期の3.0%に対し2010年3月期上期は2.3%)。
経常利益は上期(第2四半期累計)で876百万円であった。経常利益率は前年同期比の3.4%から3%弱になった。当期純利益は588百万円 (前年同期比113.4%増)であった。税引前利益率2.9%は前年と変化がなく、四半期純利益率の増加は実効税率に関連したものである。
店舗網
国内店舗網は1,004店舗で、第2四半期中に6店舗減少している。フランチャイズ店は3店舗減り、146店舗となっている。
同社の海外店舗数は233店舗である。第2四半期は海外店舗の閉店はなく、新規出店は1店舗(韓国)であった。
2010年3月期第1四半期の業績
2009年8月14日、同社は第1四半期連結業績を発表した。主要データは以下の通り。 売上高14,211百万円 (前年同期比8.4%減)、営業利益 93百万円 (同 51.7%減)、経常利益 185百万円 (同29.6%増)、四半期純利益183百万円 (同663.6%増)であった。 販売費および一般管理費(販管費)は前年同期比7.5%減であり、売上高の下落率より小さかった。
店舗網
同社の報告によると国内店舗数は1,010店舗で第1四半期中に10店舗減っている。フランチャイズ店舗の総数は149店舗(4店舗減)である。
海外店舗数は232店舗で、第1四半期中に3店舗減ったことになる。
新規出店:シンガポール(2店舗)
閉店:オーストラリア(2店舗)、中国(2店舗)、マレーシア(1店舗)
損益計算書
同社の売上高は2002年3月期の84,000百万円弱で頭打ちとなっている。その後売上高は下降線をたどり、2010年3月期時点で2002年3月期のピークからの減少率は33.0%であった。また、売上総利益率は徐々に低下しピークであった2002年3月期の74.3%から、2010年3月期は68.7%になった。
販売費および一般管理費(販管費)は、主に人件費、賃借料、および広告宣伝費により構成されている(事業内容に記載されている「費用構造」を参照)。2000年3月期から2010年3月期の間、これら3つの費用が販管費の80%以上を占めた。
営業利益率は、2000年3月期から2010年3月期までの平均で10.8%であった。2009年3月期は売上高が9.6%減収となったほか固定費負担(主に人件費と賃借料)により営業損失を計上し、2010年3月期にも引き続き売上高が2.5%減収となったのに対し、販管費の削減が追いつかず2期連続の営業赤字となった。
営業外収益は、利息、配当収入および賃料収入で構成されてきた。営業外収支の影響は営業利益率と経常利益率の差で示される。2000年3月期から2009年3月期に入るまでは毎年、経常利益率は営業利益率を上回っていた(2009年3月期は営業外費用845百万円が営業外収益612百万円と相殺され、営業損失の800百万円をさらに悪化させている)。
同社は調査対象期間中(2000年3月期から2010年3月期)に、かなり多額の特別損失を計上している。2001年3月期および2002年3月期の特別損失は、主に年金に関連した会計方針の変更の結果である。同社は2003年3月期中に年金制度を廃止し、3,225百万円の費用を一括計上した。2005年3月期中に計上した特別損失2,274百万円は、約2,000百万円の商品評価減の結果である。2009年3月期に計上した特別損失1,669百万円は、主に減損損失と閉店関連の費用からなる。
1995年上場以来初の最終損失計上となった2009年3月期に至るまで、三城の当期純利益は比較的堅調に推移してきた。調査対象期間の当期純利益率は平均6.7%であり、最大値は9.7%(2002年3月期)であった。
貸借対照表
調査対象期間中の同社の貸借対照表は、負債額が少ないことと現金保有水準が高いことで特徴づけられる。同期間中、同社には相当量のネットキャッシュ(現金および現金同等物から有利子負債総額を引いたもの)がある。また、自己資本比率は増加傾向にあり、2000年3月期の72.1%が2011年3月期には77.9%となっている。
資産
原則として店舗を所有しないため、貸借対照表上の資産は従来から現金(および現金同等物)とたな卸資産の構成比が高い。貸借対照表の流動性は高く、それは当座比率(現金、たな卸資産および売掛金の流動資産総額に占める割合)でも表されている。
貸借対照表上のたな卸資産は、店舗設置のPOSシステムにより厳密に管理されており、同社へのインタビューを通じ、SR社は同社のたな卸評価を妥当と考える。同社では在庫期間およびその他要素を元に評価額を計算するアルゴリズムを使用している。同社は、同手法を2006年より使用しており、貸借対照表上のたな卸資産の評価は妥当であると考えている。
貸借対照表上の固定資産の主なものは、店舗の敷金および保証金(定期借地権)である。定期借地権は耐用年数で定率法により減価償却している。
貸借対照表上の減価償却は主として出店や改装によるものである。
負債の部
同社の貸借対照表の負債の部のほとんどは仕入債務(支払手形、売掛金、未払金)である。2000年3月期から2011年3月期を通して金額的に大きな借入はない。
資本の部
株主資本の変動は主に当期純利益と配当金に左右され、特筆すべき評価換算差額等様は見られない。
キャッシュフロー計算書
営業活動によるキャッシュフローは幾分振れが大きく、調査対象期間中に2度マイナスに転じている。2003年3月期に同キャッシュフローがマイナスに転じたのは、たな卸資産の増加(1,158百万円)および税金支払(6,563百万円)の増加に起因する。
投資活動によるキャッシュフローは、同社の事業拡大と有価証券投資を反映している。同社は2000年3月期から2010年3月期までに約250店を出店しており、同キャッシュフローは主に敷金および保証金と設備投資で構成されている。
財務活動によるキャッシュフローは、現金配当と自社株買いによって左右される。配当金の支払と自社株買いに係る現金支出は以下の通りである。
2000年3月期から2008年3月期までの単純フリーキャッシュフロー(当期純利益、減価償却費およびその他償却費、設備投資、運転資本増減の合計額)は比較的堅調であった。2000年3月期から2002年3月期に見られるように、概して売上が好調だと、キャッシュフローも堅調である。2004年3月期のキャッシュフローの拡大は同社の設備投資サイクルの終了に一致している。2004年3月期から2011年3月期にかけては、店舗数の増加ペースが鈍化している。
2009年3月期の単純フリーキャッシュフローは、一部当期純損失3,204百万円を計上したことも原因となり、大きなマイナスとなった。
同社のキャッシュコンバージョンサイクル(現金循環日数)は以下の通りである。
同社のキャッシュコンバージョンサイクルは、2000年3月期から2011年3月期まで長期化傾向にある。たな卸資産回転率と買掛金回転率の差がキャッシュコンバージョンサイクルに対して最も影響を与える。買掛金回転率は向上しており、同社の仕入先への支払日数は2000年3月期に比べ2011年3月期の方が短縮化されていることを示している。これがキャッシュコンバージョンサイクルの長期化の要因となっている。
同社では、1990年来POSシステムによる在庫管理を行っている。しかし、効率的に在庫を追跡管理し再発注できる能力を有しながら、在庫の平均保有日数は180日である。そのため、SR社は同社がその能力が最適利用できていないと考える。在庫保管用の倉庫を所有しているが、店舗にも比較的高い水準の在庫を保有している。在庫回転率を向上させれば、資金をより生産性の高い目的(店舗改修やマーケティングなど)に振り向けることが可能であろう。マーチャンダイジング部門から在庫水準に関する指導はあるものの、どちらかといえば店長が「顧客のニーズ」を満たすために経験値で必要と感じた水準(それを検証することはほとんどない)が示されている。
その他情報
沿革
同社の沿革は1930年に創業者・多根良尾氏が兵庫県姫路市に正確堂時計店という小さな時計店を開業した時までに遡る。
1950年代初頭に姫路市に時計、貴金属、メガネを販売する株式会社三城時計店を設立。1960年には社名をメガネの三城に改めた。その後は主に兵庫県内で店舗数を増やし、県外でのブランド認知度は限定的であった。
事業が急成長を遂げたのは、1973年に多根氏がパリの三越の近くにミキブランドの店をオープンした時だ。そのコンセプトはシンプルで、三越で買い物をする日本人旅行客に三城のお店を見てもらい、同社と洗練されたヨーロッパのイメージとを結びつけてもらおうという発想であった。その後、1974年になると東京首都圏への出店の拠点として株式会社パリミキを設立し(その後、関西のメガネの三城と合併、社名を株式会社三城に変更)、国内でのマーケティング戦略の実行を開始した。店舗のデザインはその全体的な取り組みにおいて効果的な要素であった。お城を模した「塔」で顧客は一目でパリミキのお店と判断できたし、低層の建物が多い日本の町々に高くそびえ立つ店は遠くからでもよく見えた。
同社は1995年にJASDAQに上場し、1996年には東証第二部に上場した。その後1998年には東証第一部へ指定替えした。
ニュース&トピックス
2011年11月
2011年11月11日、同社は2012年3月期第2四半期決算を発表した。
2011年8月
2011年8月12日、同社は2012年3月期第1四半期決算を発表した。
2011年5月
2011年5月13日、同社は2011年3月期決算を発表した。
2011年3月
2011年3月14日、同社は、3月11日に発生した「東日本大震災」の2011年3月14日時点における影響について、下記のようにコメントを発表した。
被害の状況
- 東北および関東地方の当社グループの店舗におきまして、什器の破損や建物の損壊等の被害が発生
- 現地との通信状態が悪く、全容がつかめていないが、詳細な情報収集と復旧に向けて全力で取り組んでいるところである
業績への影響
業績に及ぼす影響および計画停電による営業時間短縮等の影響については、現時点において不明であり調査中。当期業績への影響が見込まれる場合には速やかに開示する。
注:同社は、「東北地方太平洋沖地震の被災者・被災地への支援」についてホームページ上で別途開示している。
2011年2月
2011年2月10日、同社は2011年3月期第3四半期決算を発表した。
2010年11月
2010年11月11日、同社は2011年3月期第2四半期決算、通期業績予想の上方修正を発表した。
2010年8月
2010年8月12日、同社は2011年3月期第1四半期決算および2011年3月期の連結業績予想の下方修正を発表した。
2010年5月
2010年5月14日、同社は2010年3月期通期決算を発表した。
2010年5月11日、同社は2010年3月期業績予想の下方修正を発表した。発表によると、下方修正の理由は、事業子会社(株)三城の不採算店の整理に伴うコスト削減効果がまだ寄与していないことと、既存店の売上が想定を下回ったことだ。2010年1月末に事業を譲り受けた(株)金鳳堂は、売上高には貢献しているが、譲り受けに伴う費用もあり利益にはまだ寄与していない。
新しい予想は:
- 売上高が56,299百万円(前回予想58,111百万円)
- 営業損失が543百万円(前回予想は386百万円の利益)
- 経常損失が172 百万円(前回予想は610百万円の利益)
- 当期純損失が233百万円(同596百万円)。
2010年1月
2010年1月29日、三城は金鳳堂の眼鏡小売事業の譲り受け完了を発表した。
2009年11月
2009年11月19日、同社は金鳳堂の眼鏡小売事業を譲受け、子会社とすることを発表した。以下に金鳳堂に関する詳細を記す。
- 資本金:601百万円
- 社員数:236名(2009年8月31日時点)
- 売上高:3,240百万円(2009年8月31日時点)
- 店舗数:26店(海外店舗:マレーシアに1店)
トップ経営者
多根 弘師(裕詞)、三城ホールディングス社 代表取締役社長 ― 同社創立者の長男。1931年生まれ。多根氏は1950年、19歳の時に事業に参加し取締役に任命された。その後1986年に社長、1988年に会長に就任した。
永田 次郎、三城ホールディングス副社長、株式会社金鳳堂 代表取締役社長、1944年生まれ。2007年入社。
加賀 純一、三城ホールディングス副社長、1954年生まれ。1977年に入社。海外事業の責任者。
中尾 文彦、株式会社三城(子会社)社長。1961年生まれ、1984年入社。
従業員
2011年3月末時点の同社社員数は5,936名(正社員4,282名、パート従業員 1,654名)。
大株主
大株主は同社社長の多根弘師(裕詞)氏である。氏が直接保有している株式以外に、株式会社ルネットおよびコドモリミテッドが株主となっている持株も存在する。
IR活動
同社は、第2四半期、および決算期の業績発表後に決算説明会を開催しており、IR・投資家情報のウェブサイトを日本語版、英語版で公開している。



























