ジェイアイエヌ(3046)
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2012年 5月 18日時点
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直近更新内容
概略
2012年5月2日、株式会社ジェイアイエヌは2012年4月の月次売上高を発表した。
(月次売上高の項目へのリンクはこちら、リリース文へのリンクはこちら)
2012年4月25日、同社は新サービス「JINS PC カスタム」を発表した。
(リリース文へのリンクはこちら)
「JINS PC カスタム」とは、同社が2012年5月28日から店舗及びオンラインショップにて開始する、追加料金3,990円にてブルーライトカット機能を備えた度付きレンズを装着できるオプショナル・レンズサービス。ブルーライトは昼間の太陽光に多く含まれているが、LED をバックライトに使用したパソコンやスマートフォン、タブレット端末などのデジタル機器から発生しているので、現代人は夜間・屋内においてもブルーライトに接触する時間が急増。過度に浴びることによって網膜の機能低下を及ぼすとされる。
同社は、視力矯正を必要としない非メガネユーザー向け機能性アイウエア「JINS PC」の販売(発売は2011年9月30日)と、度付きメガネユーザーのブルーライトカットレンズのニーズに答えた新サービス「JINS PC カスタム」の開始により、機能性アイウエア市場の拡大および国内アイウエア市場の活性化をめざしていくとしている。
「JINS PC カスタム」の特徴は以下。
- 内容:ブルーライトカット機能を備えた度付きブルーライトカットレンズに交換できるレンズ交換サービス
- 価格:フレーム料金+3,990円(税込)
- 注文~引渡期間:注文してから約2週間後
- 発売日:2012年5月28日
2012年4月12日、同社は2012年8月期第2四半期決算を発表した。
(決算短信へのリンクはこちら、2012年2月期8月期第2四半期決算の項目へのリンクはこちら)
2012年4月5日、同社は2012年8月期上期及び通期会社予想の上方修正を発表した。また、通期の配当予想を当初の1株当たり7円から1円増額し、1株当たり8円へと増額修正した。
(リリース文へのリンクはこちら)
会社予想の修正内容は下記の通りである。
2012年8月期上期
- 売上高:9,486百万円(前回予想8,870百万円)
- 営業利益:1,034百万円(同640百万円)
- 経常利益:989百万円(同625百万円)
- 純利益:419百万円(同240百万円)
上期の会社予想修正に関して同社は、積極的な広告宣伝活動の展開による認知度の向上と、「機能性アイウエアシリーズ」のヒットにより既存店売上高が好調に推移したことを理由として挙げている。
2012年8月期通期
- 売上高:20,000百万円(前回予想18,600百万円)
- 営業利益:2,100百万円(同1,700百万円)
- 経常利益:2,030百万円(同1,660百万円)
- 純利益:840百万円(同700百万円)
一方、通期計画の修正に関しては、上期業績予想の上方修正に加え、ジンズ業態の出店計画(下期)を当初計画の15店舗から26店舗に引き上げることによって売上高を上方修正している。ただし、当期純利益は、当初見込まれていなかった店舗改装に伴う特別損失計上を予定しているとの理由で小幅な上方修正に留めている。
同日、2012年3月の月次売上高を発表した。
2012年3月5日、同社は2012年2月の月次売上高を発表した。
3ヵ月以上経過した会社発表はニュース&トピックスへ
業績動向
月別動向(ジンズ業態)
四半期業績動向
2012年8月期第2四半期実績
2012年4月12日、同社は2012年8月期第2四半期決算を発表した。同社は2012年8月期第2四半期累計期間および通期業績予想を2012年4月5日に上方修正しており、2012年8月期第2四半期決算はほぼ修正通りの着地であった。
第2四半期累計期間の売上高は、主力のアイウエア事業において、既存店の好調が持続したことに加え、新規出店に伴う増収効果やEコマースの拡大が寄与し、前年比40.6%増の9,487百万円となった。売上総利益率は、ボリュームディスカウト効果、(売上総利益率の相対的に高い)アイウエア事業の売上構成比の上昇、レンズ調達方法の見直し効果(この点についての詳細は後述)、等によって75.2%と2011年8月期第2四半期累計期間比で2.8ポイント上昇した。売上高販管費比率は、トップラインの増加に伴い、64.3%と前年同期比で2.7ポイント低下、営業利益は前年比184.9%増の1,034百万円となった(営業利益率は10.9%と前年同期比で5.5ポイント上昇)。経常利益は、営業外費用として、為替差損34百万円(第2四半期末にかけて円安・ドル高となったため)を計上したが、前年比179.5%増の989百万円。当期純利益は、特別損失として197百万円(内訳は店舗改装等による固定資産除却損165百万円、リース解約損32百万円)を計上したものの、前年同期比で大幅増益となる419百万円であった。
商品に関していえば、同社は2012年8月期第2四半期累計期間において、2011年9月に中核的戦略商品である「Air frame(エア・フレーム)」シリーズの第5弾をリリース、テレビCMをはじめ積極的な販売促進活動を展開した。また、「機能性アイウエアシリーズ」のうち、2011年9月に「JINS PC」、「JINS Moisture」を発売、2011年11月に「JINS Cycle」、「JINS Run」を発売した。また、2012年1月に「JINS 花粉Cut」を発売するなど、新商品を相次いで投入している。
店舗展開においては、ジンズ業態16店舗、ノーティアム業態(メンズ雑貨専門ショップ)1店舗の新規出店を実施。これによって2012年8月期第2四半期末の国内店舗数は、ジンズ業態132店舗、クールドゥクルール業態(レディス雑貨専門ショップ)20店舗、ノーティアム業態7店舗の計159店舗となった。
会社予想との対比でいえば、売上高実績は期初会社予想の8,870百万円を616百万円(7.0%)上振れた。主因は、ジンズ業態(アイウエア専門ショップ)の既存店増収率が12.6%となり、期初計画(同4.7%)を上回ったことである。同社はこうした既存店売上高の上振れについて、1)顧客の需要が高価格帯から低価格帯にシフトしつつあるという業界環境、2)同社に対する高いリピート率、3)過去数年に渡る広告宣伝や店舗増加、「機能性アイウエアシリーズ」の発売などによる新規顧客獲得、などが要因であるとみている。ちなみに、売上高の上振れ分(616百万円)はほぼ機能性アイウエアシリーズの販売額に等しいことを同社は示唆している。
貸借対照表に関して補足すると、商品在庫が1,440百万円と2011年8月末に比して509百万円増加した。同社によれば、商品在庫増加分の内訳は、レンズの調達方法を一部海外調達に振り向ける格好で見直したことによる増加が約200百万円、売れ行きのいい機能性アイウエアシリーズの機会ロスを防ぐ目的で拡充したことによる在庫増加が約200百万円、残りは業容拡大によるとのことだ。このうち、レンズの在庫増加は、調達方法見直しによる一時的な増加が大半であり、今後のレンズ在庫の増減は売上次第となるだろうと同社はみている。
こうした在庫の増加や売掛債権の増加に対応して、短期借入金が764百万円と2011年8月末の379百万円から384百万円増加している。また、出店資金調達により、長期借入金は1,235百万円と2011年8月末の468百万円から767百万円増加している。もっとも、同社が第2四半期累計期間に行った設備投資は873百万円。内訳は、新規出店451百万円、店舗改装238百万円、その他183百万円である。同期間の税前・償却前利益が1,087百万円の範囲内には収まっており、運転資金や税金等を除けば、投資金額と営業キャッシュフロー創出力はほぼ見合っているということがいえる。
レンズの調達について
同社は2011年8月期までレンズの調達を専らHOYA株式会社(東証7741)から行ってきた。しかし、2011年10月にタイで洪水が発生。HOYA社の主力工場がタイにあったことから、レンズの供給不足懸念が台頭した。そのため、同社はHOYA社以外に他の調達先の開拓を進め、海外大手レンズメーカーからの直接調達ルートを確立した。これによって、同社のレンズ調達は、国内経由(HOYA社から、委託取引)が1/3、残り2/3が海外2工場からの自社仕入れ(直接取引)となった。こうした調達ルートの見直しによって、同社はレンズの在庫リスクや為替リスク(円安になると原価が上昇)を抱えるものの、更なるコスト優位性を確保したものとSR社はみている。ちなみに、同社がこうした海外大手レンズメーカーからの直接調達ルートを確保できた理由としては、1)同社が「機能性アイウエアシリーズ」の販売に伴い、医療機器の輸入販売の許可申請を行い、2011年10月に認可を受けていたこと、2)同社が圧倒的な販売本数を誇ることによる規模のメリット(販売本数が少なければ新たな物流網を築く必要性や在庫負担など自社仕入れのメリットを享受できない)、などが挙げられよう。
田中社長のコメント
2012年8月期第2四半期決算後の説明会、及びSR社の行ったインタビューの場において、同社の田中社長は、益々売上高1,000億円の長期ビジョン達成に手ごたえを感じると述べ、その際の牽引役になるであろう、1)商品のイノベーション、2)マーケティング、3)店舗、についてそれぞれ言及している。以下に田中社長のコメントを基に纏める。
1)商品のイノベーション
「機能性アイウエアシリーズ」を発売、徐々に市場にこうした斬新な商品が浸透しつつある。ただし、これだけに留まらず、現在市場に浸透している眼鏡が過去のものとなるような斬新な製品を開発すべく取り組んでいるとのことだ。
2012年5月28日より、度付きブルーライトカットレンズ交換サービス「JINS PC カスタム」の受付を店舗及びオンラインショップにて開始する予定。これは、2011年9月30日に発売した度無し専用PCメガネ「JINS PC」の予想を上回る反響と、顧客からの度付きレンズに対する要望を受けて実現したものだという。顧客はフレーム料金に追加料金3,990円(税込)でブルーライトカット機能を備えた度付きブルーライトカットレンズに交換できるようになる。
また、サラリーマンなどコンサバな層をターゲットとした品揃えが少ないことから、そうした品揃えを拡充するほか、「SPORTSシリーズ」等の更なる改善等をめざしている模様だ。
2)マーケティング
同社は、売上の10%を目処に広告宣伝費を投下する方針である。同社に対する認知度は徐々に高まりつつあり、売上は大きく拡大しつつあるものの、未だ十分な(認知度)水準に至っていないとの判断のもと、そうした方針は続けるという。
3)出店と店舗オペレーション
同社はこれまでショッピングセンター中心に出店を行ってきており、今後もショッピングセンター中心に出店を行っていく方針とのことだ。ただし、既存の路面店(前橋店、上尾店等)において地元で高シェアを実現している実績を踏まえた上で、ショッピングセンター以外にも、路面店による出店という選択肢もある点を強調している。
2013年8月期以降の出店ペースについては、検討中とした上で、2012年8月期の見込み(JINS業態で42店舗の純増)を下回ることはないとも指摘している。
2012年4月時点で、週末は来客が集中し、各店舗がフル稼働となる状態が続いている模様。同社はこの点、ワンサードプロジェクト(店舗オペレーション業務を1/3にして効率化を図ろうという運動)の推進や店舗を大型化し、測定器と加工機の台数を増やすことなどによって対応していくとしている。
同社は、新規出店に加え、店舗改装を積極的に行っている。2011年8月期は4店舗の改装に留まったが、2012年8月期通期で26店舗の改装を予定。こうした改装効果が2013年8月期以降に寄与するようだ。また、ワンサードプロジェクトによって、従来約1,800あった各店舗の業務(各店員が接客以外に要する業務)が約1,000業務まで減少したとのことだ。今後、2012年夏場に行う基幹システムの刷新によって、更に残り400の業務が減少、業務量が従来の1/3になるとみている。
2012年8月期第1四半期実績
2012年1月12日、同社は2012年8月期第1四半期決算を発表した。
売上高は、主力のアイウエア事業において、既存店の好調が持続したことに加え、新規出店に伴う増収効果やEコマースの拡大が寄与し、前年同期比41.2%増の4,209百万円となった。
売上総利益率は76.5%と前年同期の73.4%より3.1%改善した。うちアイウエアに限れば、売上総利益率は77.8%と前年同期の75.3%より2.5%改善した模様だ。同社は、売上総利益率の上昇のうち為替影響(為替が円高に振れたことによる原価低減)によるものが1.0%程度、残りはスケールメリットによると分析している。
売上高の増加に伴い、人件費、賃借料等を始めとした販売管理費の効率化(売上高販管費比率の低下)が実現し、営業利益、経常利益、四半期純利益も大幅に改善した。
同社は2012年8月期第1四半期において、2011年9月に中核的戦略商品である「Air frame(エア・フレーム)」シリーズの第5弾をリリース、テレビCMをはじめ積極的な販売促進活動を展開した。また、「機能性アイウエアシリーズ」のうち、2011年9月に「JINS PC」、「JINS Moisture」を発売、2011年11月に「JINS Cycle」、「JINS Run」を発売した。
店舗展開においては、ジンズ業態(アイウエア専門ショップ)11店舗の新規出店を実施。これによって2012年8月期第1四半期末の店舗数は、ジンズ業態127店舗、クールドゥクルール業態(レディス雑貨専門ショップ)20店舗、ノーティアム業態(メンズ雑貨専門ショップ)6店舗の計153店舗となった。
その他、タイの洪水による影響でレンズの供給不足が懸念されていたが、調達先の見直しにより概ね解消したと同社はコメントしている。この点については、同社の調達先の主力工場についてはタイの洪水影響で2012年1月時点においても未だに不透明感は残るものの、他の調達先の開拓を進めることにより、コストの増加やオペレーションの混乱等を生じさせることはなく、対応できる模様だ。
2012年8月期第2四半期累計期間及び2012年8月期通期の会社予想については、据え置かれた。同社は、2012年8月期第1四半期実績については、積極的な広告宣伝活動の展開による認知度の向上と、「機能性アイウエアシリーズ」のヒットにより業績は好調に推移したと評している。ただし、第2四半期以降においても積極的な広告宣伝活動を実施していくこと、新規出店に伴う人件費等の増加が見込まれること、事業環境の先行きが不透明なことなどを鑑み、会社予想を据え置いたと述べている。
会社予想と実績についていえば、既存店売上高は会社予想の前年同期比4.7%増に対し、同13.7%増の結果となったことを主因に、営業利益は会社予想を3億円程度上振れて着地したものとSR社はみている。
2012年8月期第1四半期決算の後に行ったインタビューにおいて、同社の田中社長は、今後の成長のための萌芽がみられるとした上で、以前よりも売上高1,000億円の長期ビジョン達成に手ごたえを感じるとコメントしている。
その根拠の一つが、「機能性アイウエアシリーズ」のヒットである。特に、「JINS PC」については、引き合いが強いとのことであり、将来的には同社の中核商品となるのではないかとの手ごたえを感じているとのことである。2012年8月期通期で「JINS PC」がどれだけ売れるかについて、かなりの幅をもって見なければならないだろうが、SR社では、30万本から40万本程度の売れ行きになるのではないかと推測している。
その他、EC(E-Commerce)販売も好調で第1四半期の売上は前年同期の約2.6倍になったとのことである。同社はEC比率を高めるためには、顧客に一度ECを体験させる必要があるが、一度ECを体験すれば、実際の店舗を訪問するよりも、ECで購入した方が効率的とみなし、ECを選好する顧客が増えるのではないかとみている。既存顧客をECに誘導する施策として、昨年12月に既存顧客に対し、2本目をECで購入すれば半額になるとするキャンペーンを行ったところ、非常に好評であったとのことだ(ただし、加工等が間に合わず、1月に入ってからは継続していない)。また、店舗システムの刷新が2012年8月期末までに予定されているが、それによって商品引き渡しまでの一連の流れが全て電子化され、店舗オペレーションの効率化が進むのではないかと同社はみている。
一方、課題としては、1)「機能性アイウエアシリーズ」の更なる作り込み、2)既存商品を始めとしたマーチャンダイジング、3)店舗オペレーションなどを指摘している。1)については、今のところ「JINS PC」を始め、売れ行きが今のところ好調だが、「JINS PC」の度付き対応、その他「SPORTSシリーズ」等の更なる改善等をめざしている模様。その他、2)、3)に関しても、新システム投入やSPAのさらなる進化を通じて、時間を掛けて解決していくと述べている。
注:2012年8月期第1四半期は連結決算、2011年8月期第1四半期は単体決算のため厳密に前年同期との比較を行えないが、参考までに前年実績との比較を行っている
過去の四半期実績と通期実績は、過去の財務諸表へ
2012年8月期の見通し
2012年4月5日、同社は2012年8月期上期及び通期会社予想の上方修正を発表した。
2012年8月期下期の期初予想と修正後の予想を比較すると、以下の通りである。
- 売上高:10,513百万円(期初予想:9,730百万円)
- 売上総利益:7,763百万円(同7,215百万円)
- 販売管理費:6,697百万円(同6,155百万円)
- 営業利益:1,065百万円(同1,060百万円)
- 経常利益:1,040百万円(同1,035百万円)
- 特別損益:△153百万円(同△130百万円)
- 純利益:420百万円(同460百万円)
下期の会社予想に関して、売上高の上方修正要因としては、ジンズ業態の出店計画が11店舗引上げられ、26店舗としたこと、新たに卸売売上高を約300百万円見込んでいること等が挙げられる。一方、既存店増収率は期初計画の前年比2.2%増で据え置かれている。ただし、1)2012年3月の既存店増収率が前年比33.1%増と会社予想(同19%増)を上回る実績となったこと、2)2012年5月28日より「JINS PCカスタム」という新サービスを開始すること、3)上期で実現した「機能性アイウエアシリーズ」の好調な売上が下期も持続する可能性が高いこと、などを踏まえれば、上記売上計画は保守的ではないかとSR社では考える。
下期の売上総利益は期初予想より増額修正された。ただし、売上総利益率は期初予想の74.2%から73.8%へと引き下げられている。これは、アイウエア事業で卸売売上高を見込んでいることによると同社は説明している。また、営業利益は期初予想がほぼ据え置かれた格好だが、上記ジンズ業態の出店計画を引き上げたことに伴い、人件費、賃借料、広告宣伝費等の販売管理費の増加を見込んでいることによる。当期純利益は、店舗改装実施に伴う特別損失の増額等などを鑑み、期初予想より減額されている。
参考までに、下期の設備投資額予想は1,563百万円。内訳は新規出店が883百万円、店舗改装が542百万円、その他が137百万円である。対する税前・償却前利益は税前利益887百万円、減価償却費415百万円の合計1,303百万円であり、設備投資が上回る格好となる。もっとも、同社によれば、店舗改装は2012年8月期で一巡するとのことであり、2013年8月期以降の主な投資は新規出店のみとなる。
中長期見通し
田中社長は、5年以内に売上高で1,000億円を達成するとのビジョンを掲げている。2011年8月期の売上高が14,575百万円である点を踏まえると、5年後に1,000億円の売上を達成するためには、単純計算で年間50%程度の成長率(CGAR)が必要となる。そのため、にわかには信じがたい数値だが、田中社長は1,000億円の達成に向けて手ごたえを感じつつあると述べている(2012年4月の時点)。
安くて良い眼鏡を提供するという事業戦略から判断すると、同社が販売するアイウエアの平均販売価格は当面大きな変動はないだろう。従って今後の売上高の伸びは、新規出店と1店舗当たり売上高の拡大による売上本数にかかっている。同社は今後、ジンズ業態の店舗数を2011年8月期の約5倍となる500店舗まで増やすとしている(「店舗」の項を参照)。同時に、現行約140百万円の1店舗当たり売上高(ジンズ業態)を200百万円まで伸ばそうとしている。
出店余地に関していえば、同社は、日本には6,000坪のショッピングセンターが全国に650箇所あり、2011年8月末現在の同社出店舗数は69箇所程度に過ぎないと分析している。障害となりうるのが、ショッピングセンターに既に他の眼鏡店が進出しているケースだ。実際、同社によれば、ショッピングセンターを運営するディベロッパーは、アパレル店を多数入れることは問題ないが、眼鏡店は1~2店で十分と思っているところが多いという。同社はこの課題解決のために、同社のコンセプトが、通常の眼鏡店とは異なることを説明し、理解してくれるディベロッパーの開拓に努めて行くと述べている。また、ショッピングセンターのみにこだわるのではなく駅ビル、ファッションビル、路面店なども踏まえた柔軟な出店も計画していくようだ
同社による1000億円の売上目標の達成には、さらなる製品開発が課題となろう。2011年8月期の眼鏡の販売本数の50%を占めた「エア・フレーム」は成功を収めたといえようが、今後も成長を続けるためには、機能性アイウエア等の製品ラインナップの拡充などによって、販売本数増加の勢いを持続させることが重要である。 もっとも、同社もこの点を十分認識しており、2011年7月から2012年夏頃にかけて、新商品を順次リリースしており、その動向には要注目である。
同社は、これまで眼鏡を必要としていなかった人たちも対象とした新市場を開拓する為に、従来からの視力を補正するためのメガネではなく、視界のコントラストを強めることで良く見える機能や有害な光や衝撃から眼を守る機能を備えたゴルフ用、ランニング用、パソコン用の機能性アイウエアを発売した。特にパソコン用の機能性アイウエアは、発売以来売れ行きが良く、潜在的な需要が高いと同社は見ている。
事業内容
ビジネス
同社はアイウエアの小売販売業を営む。2011年8月末時点の運営店舗数はアイウエアを販売するジンズ店舗が国内116店舗、2011年8月期の眼鏡販売本数は約230万本。2009年、同社は抜本的な戦略の転換を図り、アイウエア市場の地図を塗り替え、眼鏡の小売とはいかなるものかを再定義しようとした。2011年現在、まだこの計画は進行中だが、好調に進展している。 同社はアイウエア小売業界の「ユニクロ」をめざすが、同社の新戦略が成功すれば、国内アイウエア市場への波及効果はファーストリテイリングがアパレル小売業界にもたらした影響を超える可能性があるといっても過言ではないだろう。
同社の事業戦略は競合他社のものとは一線を画すと同社は自負している。眼鏡小売業界は、従来、視力補正を主たる事業目的としてきた。 同社は、アイウエアはファッション性と機能性を兼ね備えた「ライフスタイル・ギア」であるべきだと考えている。さらに重要なのは、2001年のユニクロのフリースや2009年のニトリの食器のように、同社が平均的な消費者に手の届く価格帯でアイウエアを提供しようとしていることだ 。真のお買い得感、品質の高さを実感し、一度に何点も買い求めることができるような商品を同社はめざしている。そうするためには、同社は、これまで眼鏡小売業界が試みたことのないSPA(「SPAモデル」については別掲)モデルを完璧に使いこなせるようにならなければならない。 さらに重要なのは、継続的に売れる革新的商品を開発する必要がある点だ。同社はこの路線において、最初の小さな一歩を踏み出したに過ぎないといえよう(新店舗のデザイン、「エア・フレーム」ブランドの開発、「機能性アイウエア」の開発など)。もっとも、 アイウエア小売の既成概念を一蹴し、業態と市場の再定義を試みる唯一のアイウエア小売上場企業として、同社は注目に値する企業であるとSR社では考えている。
また、同社はバッグ・帽子・アクセサリー等の服飾雑貨販売を雑貨専門店舗および一部のジンズ店舗で手がけている。服飾雑貨販売はクールドゥクルールとノーティアムの2ブランド展開で、全社売上高への寄与はわずかである(2011年8月期の寄与度9.7%)。服飾雑貨販売店の成長ペースはアイウエアの成長ペースに比べ緩やかで、今後も寄与度は低下し続けるだろう。
ビジネスモデル
同社ではアイウエアを4,990円、5,990円、7,990 円、 9,990円の4段階価格で販売している。この価格にはレンズとケースも含まれる。例外 (カラーレンズ追加料金2,000円、遠近両用レンズ同5,000円)はあるが基本的に追加料金は発生しない。追加料金なしの「オールインワンプライス」戦略は、レンズとフレームを組み合わせて異なる価格設定を提供する多くの競合他社と同社とを差別化するものである。
眼鏡1本当たりの売上総利益への寄与はレンズとフレームでほぼ同程度である(売上総利益率は約70%)。フレームに関しては、デザインはほぼ社内で行われており、製造は中国、韓国、ベトナムなど複数の製造拠点に委託している。レンズは2011年8月期まで調達を専らHOYA株式会社(東証7741)から行ってきた。しかし、2011年10月にタイで洪水が発生。HOYA社の主力工場がタイにあったことから、レンズの供給不足懸念が台頭した。そのため、同社はHOYA社以外に他の調達先の開拓を進め、海外大手レンズメーカーからの直接調達ルートを確立した。これによって、同社のレンズ調達は、国内経由(HOYA社から、委託取引)が1/3、残り2/3が海外2工場からの自社仕入れ(直接取引)となった。レンズの委託取引が大半を占める競合他社とは一線を画す。同社の提供する眼鏡レンズはすべて薄型非球面レンズである。特筆すべきは、販売価格がすべての競合他社を大きく下回る水準であるにもかかわらず、売上総利益率は競合他社とほぼ同水準を維持している点である。
販売管理費に占める構成比が高いのは、人件費(総売上高の約22%)と賃借料(同14%)である。ジンズ店舗は競合他社に比べて一店舗当たりのスタッフ数が多い(他社店舗の平均人員が約5名であるのに対しジンズ店舗は約8名)が、これはばらつきのある来店客数への対応と、ショッピングセンターの長い営業時間への対応策である。ショッピングセンターへの支払い賃料は、最低保証金額に加え、売上高に連動する変動賃料である。これはショッピングセンター内のテナントが支払う賃料形態としては非常に一般的なものである。
広告宣伝費の売上高に対する比率は、2005年8月期から2009年8月期までは1.4~2.5%の幅で推移していた。しかし、2010年8月期から、販売促進活動におけるテレビCMを開始している。同社は、広告費予算については柔軟な姿勢をとっており、売上総利益率70%近くを維持できる限り、売上高の約10%は広告費にあてる意向を示している。同社は2010年8月期においては、眼鏡をかけたオレンジ色の覆面キャラクターであるジンズマンがスリーピースのスーツを着用して出演するテレビCMを放映している。その後、2011年8月期に入ってからは新たに、俳優のオダギリジョー氏と栗山千明氏をテレビCMに起用した。また、2012年8月期に入ってからは女優の蒼井優氏をCMに起用している。
SPAモデル
同社はSPAビジネスモデル(製造小売業、スペシャリティストア・リテイラー・オブ・プライベート・レーベル・アパレル)をアイウエア小売に当てはめようとしている(アイウエアに当てはめると用語としては誤用であるが、本レポートでは便宜上「SPA」とする)。SPAビジネスモデルはアパレル小売業界では広く普及しているが、アイウエア小売業界ではこうしたビジネスモデルの必要性および可能性が議論されてこなかった。簡単に説明すると、SPAモデルによる小売業態とは、小売店がサプライヤーと情報を共有することで直近の需要傾向にマッチした生産と在庫の確保をめざすことである。SPAモデルは、販売地点からのフィードバックが常にバリューチェーン(価値連鎖)のチェーンを遡って伝達されることにより、消費者のニーズが販売店の店先に即座に反映されることを狙って構築されている。これには、バリューチェーンのすべての要素間における密接な連携が必要不可欠である。
ジェイアイエヌ版のSPAモデルを実現するため、同社は、一つ一つの商品について、販売、在庫、発注に関する情報をITシステムで一元化している。これにより、何が売れて何が売れていないかをリアルタイムで把握することが可能になる。同システムはまた、再発注のシグナルを出し、ディスカウントの判断の支援も行う。
同社は 週に一度の会議で「マーチャンダイジングマップ」を使い、どの製品がどれくらいの期間にわたりどの価格で売れるかを特定し、商品戦略を取り決める。同社は、マーチャンダイジングマップに照らして売上情報を分析することにより、どの製品が期待通りの売上をあげていないかを素早く把握できる。売上目標に達しなかった製品は自動的に下の価格帯まで値引きされる。
他の眼鏡小売事業者が従来の6ヵ月ごとの受注サイクルに依存し続けるなか、同社は、SPA型52週サイクルに基づくマーチャンダイジングモデルを使う業界唯一の会社であるとしている。 これは、同社にとって商品発注における強みである。同社では、売れ筋商品の再発注を即座にサプライヤーにかけられる体系を確立しているのに対し、競合他社はいわゆる「機会損失」を被る可能性がある(消費者が求める商品を持っていないことから生じる機会損失)。再発注にかかる時間の短縮は、「売り手側が何を売るかを決めるのではなく、買い手側が何を買いたいかを売り手に伝える」ことがある程度可能になったことを意味する。
買い手に商品選定を依存するビジネスモデルのため、提供商品が画一的になるというリスクもある。特定のスタイルやデザインが売れ筋になっている場合、SPAモデルでは同じ商品あるいは類似商品を即座に店頭に並べることで対応する。従って、トレンドが続いている間はそのトレンドを効果的にとらえることが可能になるが、トレンドが転換する場合に問題が生じる。SPAモデルを効果的に使いこなすためには、既存の人気商品(短期的には利益をもたらすが、長期的にはリスクとなる)と新商品(短期的にはリスクであるが、長期的には利益をもたらす)のバランスをうまくとり、 注意深く商品構成を決定する必要があろう。
店舗の様子(出所:会社データよりSR社作成)
店舗
同社の店舗の大多数がアイウエアを販売している(2011年8月期末時点の141店舗のうち、同社は「ジンズ」ブランドで116店舗を展開。残りが服飾雑貨販売の店舗である)。同社の典型的なアイウエア販売店は、床面積100平方メートル程度で、ショッピングセンター内(2011年8月期末で69店舗)、もしくは通行量の多いエリア(駅、あるいはファッションビル)に出店している。平均スタッフ数は8名(多めに感じるが、ショッピングモールの営業時間が長いことだけでなく、店舗の性質上、商品の回転が速く来店客数が多いことが原因と考えられる)。
店舗床面積の大部分が商品のディスプレイに使われている。同社が新たに作り上げたスタンダードな店舗形態におけるディスプレイケースは、升目状で、一つひとつの眼鏡が個々のボックスに収まるように配置される。商品の簡潔な見せ方、手に取りやすさなどに加え、このディスプレイ方法は店舗運営において重要な役割を担っている。どのアイテムが売れ、どの商品を補充する必要があるのかを簡単に把握することができるためだ。これにより、再発注の決定が簡便で素早く、正確になる。さらにこの方法は、不整合な在庫の積み増しを避けるための洗練された解決策にもなる。同社でも他の会社でも、アイウエア販売店では、店舗ごとに市場の特性が異なるため店長が発注の権限を持つ傾向にある。しかしこのことによって、すべての顧客の満足を求め、在庫切れを避けようとする店長の判断で、在庫過多を招く恐れがある。店舗成績は通常、自己資金収益率(CCR)ではなく売上高あるいは売上総利益金額ベースで評価される。そのため、非効率な在庫積増しを招きやすい体質になっているといえよう。逆に、商品の在庫薄も見過ごしやすい。商品と商品の間隔を少し広げてきれいに陳列しようとしているうちに、特定の商品が品薄になっていることを見過ごすのは容易に想像できる。一つのボックスに一つずつ眼鏡をディスプレイすれば、この問題は解決し、同社の店舗レベルでのSPA戦略の要の一つにもなり得る。
2011年8月期時点で、同社のジンズ業態75店舗のうち大多数は主要都市エリアに配置されている。東京(売上高の59.0%)、大阪(同15.1%)、 名古屋(同13.0%)。同社の店舗成長戦略は新規出店と既存店の改装(新しいデザインとレイアウト)の二つである。同社は、2010年8月期の半ばに新しい店舗形態をまとめあげた。これにより、店舗の運営効率が大幅に改善されると同社は考えている。
同社は、中期的に300店舗まで店舗網拡大をめざしている。この目標達成のために同社は、年間約40店舗から50店舗の出店を行う必要がある(2011年8月期末のジンズ業態のアイウエア販売店は116店舗)。2011年10月現在(既存店売上高がこの時点で引き続き増加基調にあったことに留意)の予想前提に基づくSR社の試算によれば、年間40店舗の新規出店にかかる費用は約14億円(下表の前提を参照、1店舗を出店するための投資額約35百万円×40店舗)とみられる。出店資金は当面営業キャッシュフローおよび借入により調達する計画だが、同社は将来的な増資の可能性も否定していない。
製品
同社が「国内トップのアイウエア企業」という目標を達成するためには、商品開発こそが最も重要な課題であるといえよう。同社は6,000円以下の低価格で、革新的かつ高品質の商品を継続的に提供する必要がある。これについて競合他社は懐疑的だ。同社はそれに対し、ユニクロのように、これまで聞いたこともないような低価格で高品質商品を提供することは可能だと反論する。大量販売はすなわちスケールメリットを意味する。適切な商品を提供している場合は特に、低価格であれば大量販売が可能である。必要なのは商品開発でリスクをとる覚悟であり、従来の既成概念を変えようとする意気込みである、と同社は考える。
エア・フレーム(出所:会社データよりSR社作成)
現在の商品を見れば、今後どのような商品が出てくるかを占う上でのヒントになるかもしれない。「エア・フレーム」はシンプルかつファッショナブルな製品ラインである。同社のメッセージは単純明快。「最軽量、最高の耐久性、カラーバリエーションも豊富」というもので、価格は前面に押し出していない(基本価格4,990円、一部を3,990円で提供)。 エア・フレームの売り出しは成功し、2011年8月期の眼鏡の販売本数の約50%を占めた。
レンズに関する姿勢がもう一つの例だ。同社が強調するのは「追加料金なし」「薄型非球面レンズを標準装備」「国内トップメーカーのレンズを使用」といったほんの幾つかのポイントだけである。SR社では、眼鏡市場(メガネトップのストアブランド)で提供するレンズの85%程度が非球面レンズであると推定している。しかし、眼鏡市場ではこれをあえて強調する必要性も、100%このレンズに切り替える必要性もないと判断しているようだ。同社は意見を異にする。「残り15%を残しておくことに何の意味があるのか。提案はシンプルなほうがいい。最高品質、最薄型のレンズだけを提供する。からくりはなし」というのが同社の姿勢である。これは恐らく、同社のルーツが服飾雑貨販売であったことからくるものだろう。同社のこのような姿勢は、「KISS(Keep It Simple, Stupid! シンプルに行こう)and tell (最大の強みを伝えよう)」という言葉で端的に言い表せるかもしれない。 SR社では、同社のレンズがすべて非球面レンズで作られた背景には、 唯一のサプライヤーであるHOYAから仕入れることの利便性と、大量仕入れによる値引きがあるのではないかと見ている(広告ではHOYAの名前は前面に押し出されていない)。
JINS PC (出所:会社データよりSR社作成)
「エア・フレーム」と同様の成功を、革新的新商品でも再現できるかどうかが今後の重要課題である。その意味で興味深いのが度付きサングラスの分野と機能性アイウエアの分野である。度付きサングラスは、最高品質のレンズ(紫外線を99%カットするUV400レンズ)を格好の良いデザイナーフレームに装備し、これを低価格で提供するものである。機能性アイウエアは、眼鏡を必要としていなかった人たちにも、使用場面ごとに眼の負担を軽減する機能、眼を保護する機能、視界のコントラストを強めて良く見えるようにする機能から眼鏡が役立つという新しい市場で、2011年7月に「JINS Golf」「JINS Sports」を発売、2011年9月には「JINS PC」を発売した。特に「JINS PC」は、パソコン・薄型テレビ・スマートフォン・ゲームなど、LEDディスプレイを凝視する機会が多い人にとって、網膜に有害な光(ブルーライト)を約55 %カットするレンズ(NXT次世代型ブルーライトカットレンズ)を搭載した眼鏡で市場の注目度は高い(価格3,990円)。
収益性・財務指標
同社の競争相手のほとんどが売上総利益率の低下に見舞われているのを見ると、店舗レベルでの価格競争の打撃のほどが窺われる。価格低下は、2000年代初頭のジェイアイエヌをはじめとする低価格眼鏡販売企業の参入に後押しされた部分がある。しかし、ジェイアイエヌでは、売上総利益率を2005年8月期の64%から2011年8月期の73.3%まで改善させている。ジェイアイエヌをはじめとする同業界で販売されるフレームはほぼすべてが中国で調達されているが、ジェイアイエヌは卸売を通さず、製造元から直接調達している。また、本数ベースだと業界トップのメガネトップに次ぐ本数を調達しており、当然ながら調達コストは安くなるであろう。レンズに関しては、ジェイアイエヌはより規模の利益を享受している。同社の競合相手は複数の製造元から仕入れを行っているが、同社のレンズの仕入先はほぼHOYA一社である。
眼鏡小売業者の販管費に占める比率が高いのは人件費である。ジェイアイエヌの1店舗当たりの人員は他企業に比べて多い(競合他社の平均は5名、同社は8名)が、1人当たりの人件費は同業他社に比べて安い(2009年のジェイアイエヌの従業員の年収は平均2.9百万円だが、パリミキ、メガネトップの平均は4.3百万〜4.4百万円である)。ジェイアイエヌの成長が始まったのが比較的最近であることから、従業員の平均年齢が低いことも一因だろう。また、給料の高い正社員比率の高い他社に対し、同社では正社員と準社員(時給体系)とで構成しバランスをとっている。
通常、広告宣伝費と賃借料が人件費に次いで大きい費用項目である。2005~2008年では、ほとんどの眼鏡小売業者が売上高の6%程度を広告宣伝費に充てていたが、ジェイアイエヌでは約2%だった。しかし、2010年8月期初のテレビCMの成功をうけ、同社は同年度以降の宣伝広告費の目安を対売上高比率で10%程度に引き上げた。賃借料は店舗の立地により異なる(ショッピングセンターは売上高に連動して賃料が決まる。一方、路面店は固定賃料を支払うことになっている)。 2005年から2009年の間に同業他社が支払った賃借料の対売上高比率の中央値は約15%だったが、同社では8.3%から17.2%に上昇した。 これは、ショッピングモールに支払う最低賃借保証金と既存店売上高の不振が理由として考えられる。2010年8月期には改善し、賃借料の対売上高比率は2010年8月期が14.2%、2011年8月期が13.4%となった。
SW(Strengths, Weaknesses)分析
強み(Strengths)
- 経営陣の野心。競合他社は意見を異にするかもしれないが、SR社では、これこそ同社の差別化要素と考えている。2007年から2008年に苦境を経験した後、同社の創立者である田中仁社長は、同社を国内売上・利益トップのアイウエア小売企業に育てるという目標を立てた。田中社長は、日本の小売業界の第一人者で、SPAモデルを新境地へ昇華させたファーストリテイリング社の柳井正氏に会った時、いわゆるカンフル剤注射を打たれたかのような衝撃を受けた。田中社長は柳井氏との会見を機に、自分の目標設定が低すぎること、そして自分が市場を定義しているのではなく、自分の戦略が市場によって定義されている状況に気付いたという。そこで同氏は事業戦略を根本から変え、経営哲学すら改めた。このような新たな野心が持続的な成果を生むか否かを判断するには時期尚早といえようが、 組織全体の活性化につながったのは事実であろう。
- 規模が小さく機動性に優れる。同社の企業規模は他の一部同業他社に比べてまだ小さい。この意味するところは幾つかある。 まず、店舗網が比較的小規模であることから、改革を即座に実行しやすいという点が挙げられる。第二に、既存の企業カルチャーや慣行、信条などが出来上がっていないことから、社内の意識改革を信じることが容易である。 最後に、新規出店による高い成長率の持続が比較的容易(分母が小さいため)であることが挙げられる。
- 低価格モデルがスタート地点。同社の眼鏡事業は最初から低価格を提供してきた。従って、競合他社のほとんど(恐らくZOFF以外)が直面しているような、いかに自社商品間の共食いを避け、これまでキャッシュフローを生み出してきた高価格商品を求める基幹顧客を取り逃さずに、低価格商品を提供するかという課題に直面せずに済む。
弱み(Weaknesses)
- 短い歴史。同社の変革への意欲は2010年8月期に実を結んだ。また、同社の成長戦略は明瞭である。しかし、こうした急成長が持続するかどうかを判断するには時期尚早だろう。経営陣は、幾つかの施策を試行錯誤する過程で、経験から学ぶ段階にあり、 いかなる障害が成長に歯止めをかけるかわからない。新規参入者という立場が、ユニークな機会を同社に与えているのも事実だが、すべての新規参入者が成功の道をたどるとは限らないのが現実だ。「エア・フレーム」の成功は単発の偶然だったのか、それとも今後続くサクセスストーリーの第一歩だったのか。同社が持続的成長を実現し、社内的にも社外的にも自信と信頼を獲得しうるか否かを判断するための正念場となろう。
- アイウエアSPAモデルは実験段階。SPAビジネスモデルがアイウエア事業に適応するかどうかはいまだ証明されていない。これまでに誰も試したことがないだけかもしれないが、基本的な疑問は残る。 顧客は本当に52週マーチャンダイジングを必要とするのか。同社は真の製品改革をもたらすことができるのか。製品の画一化を避けつつ、売れ筋の売上最大化を実現できるのか。こうした疑問をはじめ、今後もさまざまな課題をクリアしていく必要があろう。
- 財務体質が比較的弱い。同社では、2008年8月期から2009年8月期にかけて店舗網拡大のため債務が増大した。競合大手では財務体質が同社より良好で、手元資金も潤沢なところがあり、市場環境の変化によるショックに際しては同社に比べ耐久性に優れている可能性がある。
市場とバリューチェーン
国内眼鏡小売市場の規模は、2010年で3,918億円(業界の調査会社である眼鏡光学出版株式会社が2011年にまとめた市場調査データによる)、同社によればそこで底打ち、現在は3,800~3,900億円を目指して反転が始まったところとのことだ。
ここ数年、眼鏡市場は数量、価値両面で縮小傾向にあった。買い替えサイクルが伸びたことで、2001年には20百万本だった販売本数は2009年には約16百万本に減少した(2010年には約17百万本と反転増加)。主因は消費低迷であろうが、人口の高齢化も一因のようだ。一般に、老化による視力低下は30代後半から始まり、50代後半に一服する。日本のベビーブーム世代が高齢化し、眼鏡の買い替えを必要とする人口が減った。価格低下に関しては、2001年に約29,000円だった眼鏡の平均価格は、2010年には約23,000円に低下した(眼鏡光学出版株式会社データ)。同社は積極的にこのデフレトレンドを後押ししている。市場全体の販売本数の約15%を同社が担っているが、販売価格は市場平均の約4分の1である。
しかし、同社は投資家の意識を改革し、1兆円の市場をめざしたいと考えている。 このような展望は誇大妄想だとみる向きもあろうが、同社は「アイウエア市場には、再定義を通してさらに成長する潜在力がある」という信念を主張しているのである。同社は、現在提供している価格水準(今後はさらに引き下げられる可能性もあるが)と真の革新的商品がうまく組み合わされば、カメラ付き携帯電話がカメラ市場を変えたように、アイウエア市場も根本から覆すことができると信じている。眼鏡には次の二つの潜在力があると同社では考えている。
(1)機能的な目的別ツール。機能重視で特定の場面で使用する眼鏡(パソコン使用時用、ゴルフプレイ用、自転車用など)は既に国内眼鏡小売業界で主流トレンドになりつつある。同社は、業界に先駆けたSPA戦略の活用により、他社を大きく上回るピッチで革新的製品開発を押し進めている。しかし、さらに重要なのは、これまでになかった価格帯で売ることで、このような「機能別商品」市場の境界線を引き直そうとしている点である。
(2)実用的ファッションアイテム。同社は、眼鏡をファッションアイテムと定義することにはリスクもあると指摘している。「ファッショナブルで安い」という若年層向けマーケティングは、不景気のあおりを受けて、大手小売店および同社が2008年まで提供していたスリープライスシステムの先細りを招いた。しかし、やり方さえ正しければ、アイウエアのファッション性を強調する戦略は、理論上、既存顧客の買い替え需要を喚起するだけでなく、これまで視力矯正を必要としなかった人々を呼び込む効果も期待できる。同社はアパレル業界における「ファストファッション」をお手本に、今度こそ正しい方法でこの戦略を押し進める構えである。
同社が市場規模を1兆円と設定しているのは、以下、1)から6)の前提に基づく。
1) 余暇種目参加人口は、ゴルフやランニング、サイクリングなど。眼鏡をかけられるスポーツ合計で1億8,663万人(出所: レジャー白書)
2) インターネット人口は、9,094万人(出所: 総務省)
3) 1)と2)合計で2億7,757万人
4) 眼鏡を一人年間1本購入、単価5,000円として3)の人口と掛け合わせると1兆3879億円
5) 4)に現状の市場規模4,250億円を足せば1兆8,128億円
6) 実際の眼鏡購入者が2億7,757万人まで至らず、その50%超であったとしても約1兆円
同社は1兆円市場の中で、シェア10%となる売上高1,000億円の達成をめざしている。
顧客
同社では低価格と明確なバリュー提案を武器に、マス市場をターゲットとしている。 同社の顧客は比較的若年層でファッション志向が強く、格好よく見せたいが高価なファッションには手が届かない、あるいはそんな高いお金は払いたくないと考える人々であるといえよう。しかし、同社がコアターゲットと認識するのはそうした若年層のみではない(宣伝広告ではこうした顧客層にも直感的に働きかけているかもしれないが)。同社がターゲットにしたいのは日本で眼鏡をかけているすべての人であり、眼鏡をかけていない人も呼び込んでいきたいと考えている。このような目標は野心的すぎると映るかもしれない。多くの競合他社は「中高年の顧客は保守的であり、ジンズのようなショップで買い物をしないし、価格より品質とサービスを求めている」と言うだろう。 同社は、こうした見解は自尊心のある大の大人が1,990円のフリースジャケットや、500円のTシャツなど買わないだろうといったかつての既成概念と同じであると反論するだろう。成功の秘訣は眼鏡を売ることではなく、お手頃価格で手に入る楽しい商品、日常生活におけるアイウエアの意味を拡大してくれる商品を顧客に届けることであると同社は信じている。
サプライヤー
通常、眼鏡小売業者はレンズやフレームの仕入先を複数かかえている。これにより、サプライヤーリスクを軽減し、仕入れ値の比較が可能になる。ジェイアイエヌも、海外に複数のフレーム仕入先を持っている。レンズに関し、同社は2011年8月期までレンズの調達を専らHOYA株式会社(東証7741)から行ってきた。しかし、2011年10月にタイで洪水が発生。HOYA社の主力工場がタイにあったことから、レンズの供給不足懸念が台頭。そのため、同社はHOYA社以外に他の調達先の開拓を進め、海外大手レンズメーカーからの直接調達ルートを確立した。これによって、同社のレンズ調達は、国内経由(HOYA社から、委託取引)が1/3、残り2/3が海外2工場からの自社仕入れ(直接取引)となった。こうした調達ルートの見直しによって、同社はレンズの在庫リスクや為替リスク(円安になると原価が上昇)を抱えるものの、更なるコスト優位性を確保したものとSR社はみている。
参入障壁
眼鏡小売産業への参入障壁は低い。眼鏡販売店は誰でも開業できる。しかし、この市場は競争が激しいこと、成熟市場であることから、参入者は高レベルの差別化と価値改革をもって臨む必要がある。眼鏡小売業の売上総利益率が高水準にある限り、業界内外において、低価格ビジネスモデルを模索しシェアを争奪しようという動きは絶えないだろう。
競争
ジェイアイエヌの競争相手は、国内小売大手のみならず、幾多の小規模チェーン店や個人商店にまで及ぶ。上場企業では、パリミキで知られる株式会社三城ホールディングス(東証7455)、株式会社メガネトップ(東証7541)、愛眼株式会社(東証9854)、株式会社メガネスーパー( JASDAQ 3318)などがある。しかし、株式会社インターメスティック(非上場)のZOFFが、恐らく、最も直接的なライバルといえよう。ZOFFの平均販売単価は10,000円で、店舗網規模も同等である(2010年8月末現在で全国98店舗、対するジンズ店舗は75)。
2001年に低価格眼鏡小売業者が市場に参入してきた時、市場はこの新たな脅威にどう対処すればよいか戸惑った。 ほとんどの競合他社は、似通った形態の店舗を投入し、最良の方策は市場を二分することだと考えた。若年層向け低価格店舗と、高額商品を扱うその他消費者向け店舗である。低価格はサービスと品質の低下を意味し、30,000円の眼鏡の横に10,000円の眼鏡を並べて売れば、30,000円の眼鏡を求める顧客の足が遠のくだろうというのが業界の認識だった。これが、ジェイアイエヌの強みの一つである。同社は低価格商品のみで競争しており、自社高額商品との共食いリスクを考慮する必要がないからだ。
代替
眼鏡の主たる代替品はコンタクトレンズとレーザー手術である。ただ、2009年末時点でレーザー手術はいまだ視力矯正の主流の仲間入りを果たしていない。コンタクトレンズ市場は成熟市場である。コンタクトレンズと眼鏡の市場シェアについては、技術革新やデザインにより多少の変動が想定されるが、両者の関係はまず安定的と言っていいだろう。
コンタクトレンズへの切替コストは低いが(コンタクトレンズを初めて購入する場合は眼科医師の処方が必要)、定期的に買い足す必要がある。レーザー手術のコストは比較的高いが、同市場の価格水準は低減傾向にある。SR社では日本のレーザー手術の価格は100,000円から400,000円であると推定している(眼鏡光学出版株式会社のデータによると2009年3月期の眼鏡の平均単価はおよそ26,000円)。
経営戦略
同社の戦略はシンプルだ。「眼鏡小売市場を一から創造し直す」「眼鏡小売業とは何かを問い直す」。これにより、同社は国内眼鏡販売本数第一位をめざす。この目標を達成するために同社は、アイウエア業界に存在する3つの誤解を解いていこうと考えている 。
第1の誤解「価格」。同社は、眼鏡は手の届きにくい高価なものであってはならないと考えている。 競合相手のなかには、フレームやレンズの組み合わせによって異なる価格を設定している会社がある。同社で販売する眼鏡のほとんどは低価格、しかもすべて込みの価格設定(「オールインワン」)で、価格設定が単純明瞭である。同社ほど単価が安ければ、消費者は目的別に複数の眼鏡を買うことができる。
第2の誤解「機能」。2010年、国内のアイウエア小売業界では、機能面の革新がホットな話題となった。大手小売はこぞって、ゴルフ・釣り・パソコン使用など、さまざまな場面にふさわしい眼鏡の開発に努めてきた。同社は、この戦略が成功を収めるためには、革新的製品開発のみならず、驚くほどの低価格で、顧客が新しい商品を躊躇せず試せるような状況をつくることが必要不可欠であると考えている。競合他社は心躍る機能を備えた新型眼鏡を20,000円から40,000円の価格帯で売り出してくる。同社は、彼らが最も重要な点を見過ごしていると考える。勝負はすごい商品の開発ではなく、消費者の購買意欲を掘り起こすような低価格により市場の境界線を押し広げることだというのが同社の考えだ。同社は4,990円という価格水準と素晴らしい特性という組み合わせが消費者を魅了し、市場拡大を後押しするとともに、かつてユニクロがアパレル業界で起こしたような革新の連鎖反応を生み出すことを期待している。
第3の誤解 「スピード」。ほとんどの眼鏡小売業者は、季節ごとの発注・生産サイクルを踏襲しており、商品が店頭に並ぶのは商品選択の時から6ヵ月が経過してからになっている。同社ではこのサイクルを1週間まで短縮したいと考えている。従来のビジネスモデルでは、企業のバイヤーが適切な商品を適切な量だけ発注できることを期待しつつ、発注の決断を行っている。一方、同社が採用するSPAビジネスモデルでは、フィードバックのスピードアップにより、顧客の好みをいち早く小売業者に伝えることができる。このモデルで、アパレル業界には革新が巻き起こったが、同社は同じ手法で眼鏡小売市場に革新をもたらそうとしている。
過去の財務諸表
前期以前の業績概況(参考)
2011年8月期通期実績
2011年10月14日、同社は2011年8月期通期決算を発表した。
売上高は前年比37.4%増の14,575百万円であった。1)新規出店がほぼ計画通り増加したこと、2)既存店売上が10%の伸びを確保したこと、3)2010年9月に「Air frame(エア・フレーム)」シリーズの第3弾、2011年3月に同第4弾を市場に投入したこと、4)テレビCMをはじめとする積極的な広告宣伝活動を実施したことで知名度が上がり顧客基盤が拡大したこと、等が寄与した。業態別ではアイウエア事業の売上伸長率が44.3%を達成、その中のEC事業は金額こそ少ないが、ワンピースやエヴァンゲリヲンのヒットもあり2011年8月期から売上が急拡大した。
同社は2011年8月期において計43店舗を新規出店した(ジンズ業態(アイウエア専門ショップ):41店、クールドゥクルール業態(レディス雑貨専門ショップ):1店舗、ノーティアム業態(メンズ雑貨専門ショップ):1店舗))。一方、計3店舗を閉店した(クールドゥクルール業態:2店舗、ノーティアム業態:1店舗)。その結果、2011年8月末の店舗数は、ジンズ業態が116店舗、クールドゥクルール業態19店舗、ノーティアム業態6店舗の計141店舗となっている。ジンズ業態の既存店売上は2011年9月末現在、2009年5月以来29ヵ月連続で前年比プラスを記録している。
営業利益は前年比74.7%増の1,084百万円と過去最高益を更新し、同社が一つの目安としていた10億円台に乗せた。売上高販管費比率が広告宣伝費や本社移転に伴う賃借料の増加などによって増加したものの、上記増収に加え、売上総利益率が73.3%と前年の70.9%より改善したことが増益に寄与した。同社によれば、売上総利益率の改善は、アイウエア事業におけるフレーム製造委託工場の中国国内での集約化によるボリューム効果や中国国内における相対的に低コストな生産地域へのシフト、レンズをフレームにはめる作業の歩留まり向上、為替の円高などによる仕入原価の低減によるとのことだ。
アイウエア事業では719百万円(前期は590百万円)まで在庫の積み増しを行ったが、これはあくまで在庫を適正水準まで戻したものと同社はコメントしている。商品回転率は22.3回(2010年8月期は24.9回)と20回台を維持し、業界他社の倍の水準を維持している。
注:2011年8月期は連結決算初年度に該当するため、厳密に前年との比較を行えないが、参考までに前年実績(非連結)との比較を行っている
2011年8月期第3四半期実績
2011年7月8日、同社は2011年8月期第3四半期決算を発表した(3Q実績と通期会社予想に対する進捗率は上表を参照)。
2011年8月期第3四半期累計期間の売上高は前年比34.6%増の10,502百万円だった。1)新規出店、2)2010年9月に「Air frame(エア・フレーム)」シリーズの第3弾、2011年3月に同第4弾を市場に投入し、テレビCMをはじめとする積極的な広告宣伝活動を実施したこと、などが寄与した。また、販売単価も3月以降はやや上昇傾向にある模様だ。
売上総利益率もアイウエア事業におけるスケールメリットや生産地域のシフトによるコストの低減などから前年同期より1.5%改善した(売上総利益率は2010年8月期第3四半期累計期間:72.0%、2011年8月期第3四半期累計期間:73.5%)。従って、広告宣伝費を始めとした販売管理費が前年比36.3%増となったが(売上高販管費率は2010年8月期第3四半期累計期間:66.1%、2011年8月期第3四半期累計期間:67.0%)、営業利益は前年比49.9%増の687百万円となった(営業利益率は2010年8月期第3四半期累計期間:5.9%、2011年8月期第3四半期累計期間:6.5%)。
会社予想との対比でいえば、売上高はほぼ計画通りでの着地となった。一方営業利益は会社計画を上回る実績となったようだ。営業利益が会社予想を上回った理由は、売上総利益が為替円高影響のほか、フレーム調達原価率の改善などから想定を上振れたほか、販売管理費が一部広告宣伝費が震災影響で未消化であったことから会社予想を下回ったことによる。
同社は2011年8月期の通期業績予想を2011年3月に発表した修正値で据え置いている。しかし、2011年8月期第3四半期累計期間の営業利益実績が、上記の通り会社予想を上回っている様子であること、第4四半期(6-8月期)の既存店売上高の会社予想前提は前年比2.1%増だが、6月実績値が同5.9%増と上振れ気味に推移していること、などに基づけば、2011年8月期通期会社予想を上振れて着地する可能性は高いものとSR社は考える。
同社は第3四半期累計期間において39店舗を出店した(ジンズ業態(アイウエア専門ショップ):37店、クールドゥクルール業態(レディス雑貨専門ショップ):1店舗、ノーティアム業態(メンズ雑貨専門ショップ):1店舗)。一方、2店舗を閉店した(クールドゥクルール業態:1店舗、ノーティアム業態:1店舗)。2011年8月期第3四半期末の店舗数はジンズ業態が112店舗、クールドゥクルール業態が20店舗、ノーティアム業態が6店舗の合計138店舗となっている。
機能性アイウエアシリーズについて
同社は「機能性アイウエアシリーズ」を2011年7月21日より順次発売すると発表した(リリース文はこちら)。商品群は以下。
同社によれば、機能性アイウエアシリーズとは、これまでメガネを必要としなかったノン・メガネユーザーを対象とした新市場を開拓すべく開発した商品群である。いずれも、同社の看板商品である「Air Frame®」で使用されている超軽量弾力素材「TR-90」が用いられている。リリース文によれば、「JINS PC」以外の商品はいずれも度付き対応が可能(+12,000円で対応)。ただし、「JINS PC」についても度付き対応へのニーズが強いとのことであり、その対応を進めている模様だ。
「SPORTSシリーズ」
- 「JINS Golf」:価格は7,990円(税込)、発売日は2011年7月21日
- 「JINS Sports」:価格は7,990円(税込)、発売日は2011年7月21日
- 「JINS Clear」:価格は7,990円(税込)、発売日は2011年7月21日
- 「JINS Cycle」:価格は7,990円(税込)、発売日は2011年9月
- 「JINS Run」:価格は7,990円(税込)、発売日は2011年10月
「PROTECTシリーズ」
- 「JINS PC」:価格は3,990円(税込)、発売日は2011年10月
- 「JINS Moisture」:価格は3,990円(税込)、発売日は2011年10月
「SPORTSシリーズ」とは、同社によれば、ゴルフ、サイクリング、ランニングなど各種スポーツの独特な動きや用途を研究し、それぞれに対応させた商品群であるとのことだ。レンズは全て高性能次世代マテリアルレンズといわれる「NXT ®」を採用している。ちなみに、「NXT ®」とは米陸軍による開発プロジェクトから生まれた素材であり、一般的にサングラスに使用されているポリカーボネートなどに比べ、紫外線をほぼカット(UV400nm 99.99%)するほか、軽量性、耐久性を兼ね備えていると同社は説明している。生産は伊インテルカスト社に委託する。
「PROTECTシリーズ」とは、同社によれば、紫外線や眼の疲れ・ドライアイなど高い関心が集まりつつある「眼を守る」機能に特化した商品群であるという。SR社が同社にヒアリングしたところ(2011年7月中旬)、「JINS PC」に対する顧客ニーズが高い模様だ。「JINS PC」とは、伊インテルカスト社が開発した PC 用特殊レンズを採用することによって、ブルーライトを約55%カットする機能性アイウエアであると同社は説明している。ブルーライトとは、モニターやディスプレイから発せられ、網膜に悪影響を与えるとされている。また、同社によれば、「JINS PC」は日本マイクロソフト株式会社で2011年8月から先行導入されることが既に決定。主にソフト開発部門のプログラマーなどを中心に配布されるという。
同社によれば、「機能性アイウエアシリーズ」のMD(マーチャンダイジング)等の詳細は今後順次詰めていく模様。新たなバリューチェーンの構築も必要となるだけに、今後の動向を注視していく必要がありそうだ。
2011年8月期第2四半期(上期)実績
2011年4月7日、同社は2011年8月期第2四半期(上期)決算を発表した(2Q実績と上期実績の通期会社予想に対する進捗は上表を参照)。同社は2011年3月4日に2011年8月期上期業績予想の上方修正を発表したが、実績は同予想値とほぼ同水準での着地となった。
2011年8月期上期の売上高は前年比35.1%増の6,749百万円だった。1)新規出店、2)2010年9月に「Air frame(エア・フレーム)」シリーズの第3弾を市場に投入し、テレビCMをはじめとする積極的な広告宣伝活動を実施したこと、3)2010年10月より「Titan frame(チタン・フレーム)」を販売開始したことなどが寄与した。売上総利益率もアイウエア事業におけるスケールメリットや生産地域のシフトによるコストの低減などから前年同期より1.2%改善した(売上総利益率は2010年8月期上期:71.2%、2011年8月期上期:72.4%)。従って、広告宣伝費を始めとした販売管理費が前年比37.4%増となったが(売上高販管費率は2010年8月期上期:65.9%、2011年8月期上期:67.0%)、営業利益は前年比36.9%増の363百万円となった(営業利益率は2010年8月期上期:5.3%、2011年8月期上期:5.4%)。
同社は2011年8月期上期の成果として、1)「エア・フレーム3」が当初想定を上回る販売本数となったこと、2)「チタン・フレーム」が当初の計画通りの売上であったが、ビジネスマンやシニア層など同社の既存顧客とは違う顧客層を開拓できたこと、3)アイウエアの販売単価が上期後半にかけて下げ止まりつつあること、などを挙げている。3)アイウエアの販売単価について若干補足すると、これまでは販売本数を上げるために、商品構成のバランスが崩れ、4,990円の商品構成が高まる傾向にあったとのことだ。そこで、同社はこうした商品構成の見直しを行い、7,990円以上の商品ラインを厚めに投入、その結果として2011年3月の販売単価が前年比でわずかに上昇したとしている。
「spectre JINS(スペクトル ジンズ)」と新商品について
同社は2011年3月にサングラス専門ショップ「スペクトルジンズ」をオープンした(2011年3月に六本木ヒルズ店、梅田エスト店を開店)。同社は、日本におけるサングラス市場の特徴として、1)ファッションアイテムとしては、定着しているが日常的に使われていない、2)価格帯においては安価なもの(1,000円から2,000円)と高級ブランド品(数万円)の2極化が起きており、中間層がほとんど存在していない、3)眼の紫外線ダメージに関する意識が低い、などの点に着目。ファッション視点のみならず、健康的な側面からも消費者に訴求を行い、中間の価格帯で商品を提供することによって、普段メガネをしない顧客の需要掘り起こしを図っていく方針とのことだ。
「スペクトルジンズ」においては、高性能次世代マテリアルレンズ「NXT ®」を採用したサングラスを、3,990円、5,990円、7,990円、9,990円の4プライス(レンズ込み)で販売している。ちなみに同社によれば、「NXT ®」とは米陸軍による開発プロジェクトから生まれた素材であり、一般的にサングラスに使用されているポリカーボネートなどに比べ、紫外線をほぼカット(UV400nm 99.99%)するほか、軽量性、耐久性を兼ね備えているとのことである。
興味深い点として、同社は、「スペクトルジンズ」をサングラスショップのみに留まらず、「JINS」業態が更に進化し、唯一無二のアイウエアショップになるための一つの布石であるとコメントしている。同社は、2011年7月に各ライフスタイルに応じた機能性アイウエアの新商品発表を行い、2011年7月から2012年春にかけて順次新商品を投入していく予定となっている。上記、「スペクトルジンズの意義」については、こうした点も踏まえ、今後、徐々に明らかにものと思われる。
東日本大震災の影響について(2011年4月19日の決算説明会より)
2011年3月11日に発生した「東日本大震災」の影響によって、震災および計画停電に伴う一部店舗の営業停止、営業時間の短縮等が生じたとのことである。これによって、2011年3月単月でみれば計画比で5%程度の減収影響があった模様だが、同社によれば、2011年4月に入ってからの足下の販売状況などを踏まえれば、2011年8月期下期を通じて、2011年3月が未達に終わった分は十分挽回が可能とのことだ。
2011年8月期第1四半期決算実績
2011年1月13日、同社は2011年8月期第1四半期決算を発表した。上期会社予想に対する進捗率は以下の通り。
- 売上高:49.1%(上期会社予想6,070百万円)
- 営業損失:204百万円(同営業利益:212百万円)
- 経常損失:210百万円(同経常利益:208百万円)
- 純損失:227百万円(同純利益:44百万円)
第1四半期の売上高は前年比36.4%増(上表参照)だった。2010年9月に「Air Frame(エア・フレーム)」シリーズの第3弾を市場に投入し、テレビCMをはじめとする積極的な広告宣伝活動を実施したこと、2010年10月より「Titan frame(チタン・フレーム)」を販売開始したことなどが寄与した。売上総利益率もアイウエア事業におけるスケールメリットや生産地域のシフトによるコストの低減などから前年同期より0.8%上昇した。広告宣伝費の増加(前年同期より245百万円増)を主因に204百万円の営業損失となったが、同社は営業利益実績が計画を上回ったと説明している。
同社は当四半期中に新規13店舗を出店した(ジンズ店舗が12店、服飾雑貨販売店が1店舗)。
計画対比
営業利益が計画を上回った要因として、売上高が好調であったことによる。同社は、売上高が計画を上回った理由として、「エア・フレーム3」が好調であったことを指摘している。「エア・フレーム3」のような軽くて掛け心地の良いメガネに対する消費者の潜在的なニーズが、同社の広告宣伝活動やニュースなどマスコミで取り上げられたことによって顕在化したというのが同社の分析である。
また、2010年12月1日に発売が開始された人気アニメ「ワンピース」オリジナル企画商品に関しては、同社の計画に費用、利益いずれも織り込まれていない。しかし、第1四半期の広告宣伝費には「ワンピース」オリジナル企画商品の予約開始に伴う先行的な費用41百万円が含まれている。つまり、広告宣伝費がこの分、計画よりも膨らんだにも関わらず、上記の通り営業利益が計画を超過したということである。
第2四半期の状況
2010年12月の既存店売上高(ジンズ業態)は前年比15.1%増と堅調であった。同社は、「ワンピース」オリジナル企画商品の売れ行きが堅調であったことが大きく寄与したほか、「エア・フレーム3」の好調さが持続したことが既存店の好調さに結びついたとみている。ちなみに、同既存店売上高にはオンラインショップにおけるワンピースオリジナル企画商品の販売額は含まれていない。2011年1月に関しても2010年12月と同様の理由により好調であると同社はコメントしている。
中国へ出店
2010年12月10日、同社は中国・瀋陽に海外1号店となる「JINS瀋陽店」を出店した。瀋陽市は人口約740万人、中国東北部最大の都市として近年急速に発展している。人口の約半分が中心部にある5つの区在住しており、中心部の人口密度は日本の新宿とほぼ同等である。同社は、瀋陽を選んだ理由として、「ヤマダ電機瀋陽店」内に出店できること、賃料が上海・北京などの都市に比べて安いことを挙げている。同社は、国内で既に幾つかの店舗をヤマダ電機店内に出店しているが、その業績は好調であり、家電と当社製品の相性はいいとコメントしている。
取扱いアイテム、店舗デザインなどはほぼ日本と同様。価格設定は、レンズ代などをすべて含んだオールインワンプライスで3つの価格帯(399元、599元、799元、1元=12.5円とすれば、約5,000円、約7,500円、約10,000円)である。
同社によれば、中国市場でメガネは非常に安価なもの、1,000元~3,000元を超える高価なものと価格帯が2極化しているとのこと。増加する「中間層」の購入するメガネがもっぱら後者の高価な価格帯であり、「高級・医療品」の取り扱いとなっている。そのため、同社の提供する価格帯の商品は現地にはほとんど存在しない模様。同社は「JINS瀋陽店」について、かなりの手ごたえを感じているとコメントしている。
2010年8月期通期決算
2010年10月7日、同社は2010年8月期の決算発表を行った。実績はほぼ2010年9月30日の修正通りであった。
- 売上高: 10,604百万円(前年比42.6%増)
- 営業利益: 620百万円(同330.4%増)
- 経常利益: 601百万円(同371.2%増)
- 純利益: 233百万円(前年は19百万円の損失)
売上高
アイウエア関連事業: ジンズ業態の既存店売上高は通期で前年比35.5%増(上期40.8%増、下期31.1%増)と大きな伸長率となった。2009年8月期の期中(2009年5月から)から導入していた新価格システム「NEWオールインワンプライス」が、通期で既存店売上高の増加に寄与した。また、2009年9月に投入した戦略商品「Air Frame(エア・フレーム)」の第1弾が好調だったうえ、2010年3月には第2弾の新商品を発売したこと、テレビCMをはじめとする積極的な広告宣伝活動も増収に寄与した。眼鏡の販売本数は2010年8月期通期で約150万本であり、エア・フレームはこのうち30%の約45万本である。
雑貨事業: SPA体制の推進や商品開発の強化によりクールドゥクルール業態(レディス雑貨専門店)の既存店売上も通期で対前年比7.7%増になるなど、好調に推移した。
営業利益率
売上総利益率は、NEWオールインワンプライスの導入により、前年より0.9%低下し、70.9%となった。一方、売上高販売管理費率は前年度より4.7%低下し、65.1%となった。広告宣伝費がテレビCMの開始によって1,005百万円と前年の187百万円から大幅に増加したものの、大幅な増収効果がそれを上回ったためである。その結果、営業利益率は前年よりも3.9%改善し、5.9%となった。
貸借対照表
在庫回転率は、2009年8月期第4四半期の20.8回から2010年8月期第4四半期は34.8回へと大幅に改善しており、52週間マーチャンダイジングプログラムの成果が上がっていることを示している。また、同社はこの点に関し、エア・フレームの投入によって単品を大量に売り切ることが可能になった点も指摘している。
その他、貸借対照表の変化に関していえば、純利益の改善により、純有利子負債が2009年8月期末の568百万円から155百万円に圧縮されている。
店舗
2010年8月末の店舗数は101店舗で、2009年8月末の87店舗から14店舗増加した。ジンズ店舗は75店舗(2009年8月末は64店舗)、服飾雑貨販売店が26店舗(同23店舗)となった。ジンズ業態は既存店売上高が好調だったことから当初計画の5店舗を上回る13店舗の出店を行ったが、退店が2店舗あり、純増は11店舗だった。雑貨服飾販売店は出店4店舗、退店1店舗だった。
2010年8月期 第3四半期決算
2010年7月8日、同社は2010年8月期第3四半期の決算発表を行った。通期予想(2010年6月29日に上方修正)に対する達成率は以下の通り。
売上高: 74.7%(通期予想10,450百万円)
営業利益: 91.6%(同500百万円)
経常利益: 95.3%(同470百万円)
純利益: 127.5%(同168百万円)
第3四半期の売上高は前年同期比52.5%増(上表参照)で、引き続きエア・フレームの販売が好調だった。第3四半期にはジンズ業態1店舗当たりの売上高は1,170万円/月程度まで改善し、それに伴い第3四半期単独の売上総利益率は73.5%に上昇した(2010年8月期の通期予想71.3%を上回る水準)。同社は当四半期中に新規4店舗を出店(ジンズ店舗が3店、服飾雑貨販売店が1店舗)、閉鎖は服飾雑貨販売店1店舗だった。これにより、2010年5月末の店舗数は、ジンズ店舗が71店、服飾雑貨販売店が25店舗の合計96店舗となった。
6月の売上・利益は想定を上回り、7月も足下(2010年7月中旬現在)で売上は若干上振れて推移していることを示唆、8月も同様に推移するとの見通しを示している。2010年8月期の販売本数についてもほぼ目標としていた水準である150万本を達成できる見通しであるとのこと。SR社は、現在の業績予想に対する第3四半期累計期間業績の進捗率や足下の売上高の状況から、2010年8月期通期業績は同社予想を上回る公算が高いと見ている。
2010年8月期 第2四半期(上期)決算
2012年4月12日、同社は2012年8月期第2四半期決算を発表した。同社は2012年8月期第2四半期累計期間および通期業績予想を2012年4月5日に上方修正しており、2012年8月期第2四半期決算はほぼ修正通りの着地であった。
第2四半期累計期間の売上高は、主力のアイウエア事業において、既存店の好調が持続したことに加え、新規出店に伴う増収効果やEコマースの拡大が寄与し、前年比40.6%増の9,487百万円となった。売上総利益率は、ボリュームディスカウト効果、(売上総利益率の相対的に高い)アイウエア事業の売上構成比の上昇、レンズ調達方法の見直し効果(この点についての詳細は後述)、等によって75.2%と2011年8月期第2四半期累計期間比で2.8ポイント上昇した。売上高販管費比率は、トップラインの増加に伴い、64.3%と前年同期比で2.7ポイント低下、営業利益は前年比184.9%増の1,034百万円となった(営業利益率は10.9%と前年同期比で5.5ポイント上昇)。経常利益は、営業外費用として、為替差損34百万円(第2四半期末にかけて円安・ドル高となったため)を計上したが、前年比179.5%増の989百万円。当期純利益は、特別損失として197百万円(内訳は店舗改装等による固定資産除却損165百万円、リース解約損32百万円)を計上したものの、前年同期比で大幅増益となる419百万円であった。
商品に関していえば、同社は2012年8月期第2四半期累計期間において、2011年9月に中核的戦略商品である「Air frame(エア・フレーム)」シリーズの第5弾をリリース、テレビCMをはじめ積極的な販売促進活動を展開した。また、「機能性アイウエアシリーズ」のうち、2011年9月に「JINS PC」、「JINS Moisture」を発売、2011年11月に「JINS Cycle」、「JINS Run」を発売した。また、2012年1月に「JINS 花粉Cut」を発売するなど、新商品を相次いで投入している。
店舗展開においては、ジンズ業態16店舗、ノーティアム業態(メンズ雑貨専門ショップ)1店舗の新規出店を実施。これによって2012年8月期第2四半期末の国内店舗数は、ジンズ業態132店舗、クールドゥクルール業態(レディス雑貨専門ショップ)20店舗、ノーティアム業態7店舗の計159店舗となった。
会社予想との対比でいえば、売上高実績は期初会社予想の8,870百万円を616百万円(7.0%)上振れた。主因は、ジンズ業態(アイウエア専門ショップ)の既存店増収率が12.6%となり、期初計画(同4.7%)を上回ったことである。同社はこうした既存店売上高の上振れについて、1)顧客の需要が高価格帯から低価格帯にシフトしつつあるという業界環境、2)同社に対する高いリピート率、3)過去数年に渡る広告宣伝や店舗増加、「機能性アイウエアシリーズ」の発売などによる新規顧客獲得、などが要因であるとみている。ちなみに、売上高の上振れ分(616百万円)はほぼ機能性アイウエアシリーズの販売額に等しいことを同社は示唆している。
貸借対照表に関して補足すると、商品在庫が1,440百万円と2011年8月末に比して509百万円増加した。同社によれば、商品在庫増加分の内訳は、レンズの調達方法を一部海外調達に振り向ける格好で見直したことによる増加が約200百万円、売れ行きのいい機能性アイウエアシリーズの機会ロスを防ぐ目的で拡充したことによる在庫増加が約200百万円、残りは業容拡大によるとのことだ。このうち、レンズの在庫増加は、調達方法見直しによる一時的な増加が大半であり、今後のレンズ在庫の増減は売上次第となるだろうと同社はみている。
こうした在庫の増加や売掛債権の増加に対応して、短期借入金が764百万円と2011年8月末の379百万円から384百万円増加している。また、出店資金調達により、長期借入金は1,235百万円と2011年8月末の468百万円から767百万円増加している。もっとも、同社が第2四半期累計期間に行った設備投資は873百万円。内訳は、新規出店451百万円、店舗改装238百万円、その他183百万円である。同期間の税前・償却前利益が1,087百万円の範囲内には収まっており、運転資金や税金等を除けば、投資金額と営業キャッシュフロー創出力はほぼ見合っているということがいえる。
レンズの調達について 同社は2011年8月期までレンズの調達を専らHOYA株式会社(東証7741)から行ってきた。しかし、2011年10月にタイで洪水が発生。HOYA社の主力工場がタイにあったことから、レンズの供給不足懸念が台頭した。そのため、同社はHOYA社以外に他の調達先の開拓を進め、海外大手レンズメーカーからの直接調達ルートを確立した。これによって、同社のレンズ調達は、国内経由(HOYA社から、委託取引)が1/3、残り2/3が海外2工場からの自社仕入れ(直接取引)となった。こうした調達ルートの見直しによって、同社はレンズの在庫リスクや為替リスク(円安になると原価が上昇)を抱えるものの、更なるコスト優位性を確保したものとSR社はみている。ちなみに、同社がこうした海外大手レンズメーカーからの直接調達ルートを確保できた理由としては、1)同社が「機能性アイウエアシリーズ」の販売に伴い、医療機器の輸入販売の許可申請を行い、2011年10月に認可を受けていたこと、2)同社が圧倒的な販売本数を誇ることによる規模のメリット(販売本数が少なければ新たな物流網を築く必要性や在庫負担など自社仕入れのメリットを享受できない)、などが挙げられよう。
田中社長のコメント 2012年8月期第2四半期決算後の説明会、及びSR社の行ったインタビューの場において、同社の田中社長は、益々売上高1,000億円の長期ビジョン達成に手ごたえを感じると述べ、その際の牽引役になるであろう、1)商品のイノベーション、2)マーケティング、3)店舗、についてそれぞれ言及している。以下に田中社長のコメントを基に纏める。
1)商品のイノベーション 「機能性アイウエアシリーズ」を発売、徐々に市場にこうした斬新な商品が浸透しつつある。ただし、これだけに留まらず、現在市場に浸透している眼鏡が過去のものとなるような斬新な製品を開発すべく取り組んでいるとのことだ。
2012年5月28日より、度付きブルーライトカットレンズ交換サービス「JINS PC カスタム」の受付を店舗及びオンラインショップにて開始する予定。これは、2011年9月30日に発売した度無し専用PCメガネ「JINS PC」の予想を上回る反響と、顧客からの度付きレンズに対する要望を受けて実現したものだという。顧客はフレーム料金に追加料金3,990円(税込)でブルーライトカット機能を備えた度付きブルーライトカットレンズに交換できるようになる。
また、サラリーマンなどコンサバな層をターゲットとした品揃えが少ないことから、そうした品揃えを拡充するほか、「SPORTSシリーズ」等の更なる改善等をめざしている模様だ。
2)マーケティング 同社は、売上の10%を目処に広告宣伝費を投下する方針である。同社に対する認知度は徐々に高まりつつあり、売上は大きく拡大しつつあるものの、未だ十分な(認知度)水準に至っていないとの判断のもと、そうした方針は続けるという。
3)出店と店舗オペレーション 同社はこれまでショッピングセンター中心に出店を行ってきており、今後もショッピングセンター中心に出店を行っていく方針とのことだ。ただし、既存の路面店(前橋店、上尾店等)において地元で高シェアを実現している実績を踏まえた上で、ショッピングセンター以外にも、路面店による出店という選択肢もある点を強調している。
2013年8月期以降の出店ペースについては、検討中とした上で、2012年8月期の見込み(JINS業態で42店舗の純増)を下回ることはないとも指摘している。
2012年4月時点で、週末は来客が集中し、各店舗がフル稼働となる状態が続いている模様。同社はこの点、ワンサードプロジェクト(店舗オペレーション業務を1/3にして効率化を図ろうという運動)の推進や店舗を大型化し、測定器と加工機の台数を増やすことなどによって対応していくとしている。
同社は、新規出店に加え、店舗改装を積極的に行っている。2011年8月期は4店舗の改装に留まったが、2012年8月期通期で26店舗の改装を予定。こうした改装効果が2013年8月期以降に寄与するようだ。また、ワンサードプロジェクトによって、従来約1,800あった各店舗の業務(各店員が接客以外に要する業務)が約1,000業務まで減少したとのことだ。今後、2012年夏場に行う基幹システムの刷新によって、更に残り400の業務が減少、業務量が従来の1/3になるとみている。
2010年8月期 第1四半期決算
2010年1月13日、同社は2010年8月期第1四半期の決算を発表した。上期会社予想に対する進捗率は次の通り。
売上高:50.8%(上期会社予想4,300百万円)
営業利益:△120百万円(同4百万円)
経常利益:△125百万円(同△10百万円)
純利益:△86百万円(同△43百万円)
第1四半期の売上高は前期比44.0%増(上表参照)で、エア・フレームの販売好調が一因だった。同社は当四半期中に新規4店舗を出店した(ジンズ店舗が3店、服飾雑貨販売店が1店舗)。
損益計算書
同社の売上高は店舗網の拡大に伴い増加した(2005年8月期の22店舗から2009年8月期は87店舗へ)。 しかし、売上高の伸びは2005年8月期から2009年8月期にかけて減速してきた。
同社の販管費の対売上高比率は、2005年8月期から2009年8月期にかけて上昇している。同社の最大のコストは人件費および賃借料(リース料の支払いを含む)で、これら費用の対売上高比率は2006年8月期の32.7%から2009年8月期には44.3%に上昇している。
2008年8月期の純損失は、6店舗の閉鎖が原因で特別損失は約300百万円だった。2009年8月期の純損失は、利益の落ち込みに対し税金の負担が重かったのが原因。
2009年8月期の純利益率は、2005年8月期から2007年8月期の水準を下回ったが、これは、広告宣伝費をはじめとする販管費が2008年8月期以来増加してきたことが一因だった。広告宣伝により同社ブランドの認知度が高まることを考えると、このコスト増は同社にとって差し引きプラスの効果をもたらすと考えるべきだろう。認知度の高まりは、同社が市場を開拓する上で大きな機会を提供するであろう。
過去の会社予想と実績の差異
貸借対照表
従来、同社の貸借対照表は非常に流動性が高く、2005年8月期から2008年8月期にかけて流動資産が負債合計を上回っている。負債は2008年8月期から増加しており、同社は2009年8月期に積極的にレバレッジを高めた(自己資本比率は2007年8月期の77.7%から2009年8月期の50%に低下)。借入金による拡大で2005年8月期の22店舗から2009年8月期の87店舗へ店舗数を増やしている。
資産
同社の貸借対照表における資産は従来、概ね流動資産(主に運転資金)が占めてきた。固定資産は2008年8月期に同社が20店の出店を行った際、大きく増加している(店舗数は前年比43%増)。
貸借対照表上で最も重要な資産は、恐らく棚卸資産であろう。同社では、週に一度の会議で売上高をチェックし、目標未達製品については値引きで対応している。
負債の部
2005年8月期から2008年8月期にかけて貸借対照表上の負債の部は、大半が流動負債だった。同社は2008年8月期、2009年8月期に店舗網拡大のため長・短期の借入金を増やしている。
資本の部
株主資本は2006年8月期の株式公開により増加した(資本金、資本剰余金は約900百万円の増加)。株主資本のその他の増減はほとんど純利益によるものだった。
一株当たりデータ
同社は2005年10月、2007年3月の二度にわたり株式分割を行っている(二度とも1:2の分割)。
キャッシュフロー計算書
営業活動によるキャッシュフロー
2008年8月期の営業キャッシュフローは、純損失計上を背景に(損益計算書の項参照)マイナスとなった。営業キャッシュフローは従来、純利益、運転資本の増減、減価償却を反映したものとなっている(その他の非現金支出は概ねわずかな水準にとどまっている)。
投資活動によるキャッシュフロー
投資キャッシュフローは、2008年8月期および2009年8月期に同社の店舗網拡大に伴い大幅に増加した。同社は2008年8月期および2009年8月期の2期で各20店舗ずつ出店した。
財務活動によるキャッシュフロー
2006年8月期の財務キャッシュフローの増加、株式公開によるものだった(同社は約900百万円を調達)。2007年8月期の財務活動によるキャッシュフローは、借入金の返済と配当金の支払いが主因でマイナスとなった。2009年8月期の財務活動によるキャッシュフローは、借入金の増加(約633百万円)およびセール・アンド・リースバック取引によるキャッシュイン(297百万円)によるものだった。
単純フリーキャシュフロー
2006年8月期から2009年8月期にかけて、同社の単純フリーキャッシュフローはマイナスであった。同期間のキャッシュの主な使途は店舗網の拡大である。2005年8月期末に22店舗だった店舗数は、2009年8月期末には87店舗まで増えている。ジンズ業態の店舗投資は、大きなキャッシュを生み出す可能性がある。経営陣の試算によると、自己資金収益率(CCR)は60%を超える見込みだ(「店舗」に関する項を参照)。そうなれば、店舗網拡充に投下されたキャッシュは、店舗数が増えるにつれ、乗数効果を発揮することが期待される。
2005年8月期から2010年8月期にかけて、キャッシュコンバージョンサイクル(現金循環日数)の変動要因となったのは在庫水準である。同社は2009年8月期中にSPAモデルの改革を行ったため、将来のキャッシュ効率に関し、前年度までのデータを基に結論を下すのはミスリーディングへとつながり得る。
しかし、同社の新規出店店舗(詳細は「店舗」の項を参照)では、在庫管理の改善が織り込まれている。 新店舗の在庫水準は平均4百万円、年間売上高は約120百万円が見込まれる。売上総利益率が前年までとほぼ同水準(70%)と仮定すると、1店舗当たり売上原価は36百万円程度と試算される。であれば、在庫回転率は9倍程度となり、キャッシュが在庫に縛られている日数は41日程度まで大幅に低減されることになる。
ただし、このような分析は新店舗にのみ適用可能であるということを断っておく。2010年前半に投入された新デザイン店舗が同社の店舗網全体のほんの一部分であることを考えると(2010年8月期末で概ね10店舗)、キャッシュコンバージョンサイクルが大きく変わるまでには時間を要すると考えられる。しかし、一つ結論として言えるのは、新店舗が期待通りの成績を残せば、新店舗網の拡大に伴い、在庫効率が向上し、自由なキャッシュが増えるだろうということだ。
その他情報
沿革
1988年、同社は現社長であり主要株主である田中仁氏によって創立された。起業当初、田中氏は24歳であり、ファッションアクセサリーの販売事業を営んでいた。現在のジェイアイエヌを生むきっかけとなったのが、田中氏が2000年に韓国に赴いた際、日本の小売価格のほんの何分の一かの値段で眼鏡を売るアイウエアショップを目にしたことだ。韓国と日本の差は、全ての段階で大幅な利ざやが乗せられる、日本のサプライチェーンの重層構造によるものだった。この点にビジネスチャンスを見て取った田中氏は、低価格で商品回転の速い眼鏡小売店を始めた。ちょうど同じ頃、ユニクロが1,900円フリースの販売で最初の圧倒的な成功を収めていたが、田中氏はこれを、国内で低価格戦略が成功する証左と見て取った。
2001年4月、同社は初の店舗を旧マイカルグループ傘下の福岡VIVREにオープンした(同社の事業コンセプトに最も近いと考えられるZOFFの1号店がこの2ヵ月前にオープンしている )。競合激化や、2001年後半のマイカルの経営破綻による逆境を同社は無事に乗り切った。その後、こうした当初の苦難にもかかわらず、ジンズのアイウエア事業は成功した。同社は店舗形態(当時アイウエアで4店舗、アクセサリーで2店舗)を改良し、製品開発への投資を始めた。2006年8月には大証ヘラクレス市場に上場した。
もっとも、当初の事業モデルは差別化が十分ではなかった。ばらばらの店舗形態、明確な商品戦略と長期的展望の不在により、消費低迷のあおりを受け同社の売上と利益は悪化し始めた。 しかしこの状況は田中社長がファーストリテイリングの柳井正社長に会った2008年後半から一変する。 柳井氏との出会いにより田中社長は、同社の将来に必要なのはさらに大きな展望と大胆なビジョンであることを確信する。本レポートで記載している同社は、この確信から生まれた企業である。
ニュース&トピックス
2012年1月
2012年1月12日、同社は2012年8月期第1四半期決算を発表した。
2011年10月
2011年10月14日、同社は2011年8月期通期決算を発表した。また、同時に期末配当金予想を従来の1株当たり3円から4円へ上方修正すると発表した。
2011年10月7日、同社は中国・上海に海外子会社を設立することを発表した。
子会社の概要
- 商号:晴姿商貿(上海)有限公司(予定)
- 資本金:70万米ドル(予定)
- 出資者:同社100%
- 事業内容:中国国内におけるアイウエア店舗の展開
- 設立時期:2011年12月(予定)
- 設立の目的:2010年10月に瀋陽市に100%子会社「吉姿商貿(瀋陽)有限公司」を設立し、中国へ進出。中国国内で3店舗を展開しているが、中国でのビジネスモデルの確立に一定の成果を確認できたため、今後の本格的な出店拡大に備えて、上海に新たに子会社を設立。
2011年9月
2011年9月13日、同社は平成23年10月3日付で「J-Stock Index」の構成銘柄に選定された。
2011年8月
2011年8月31日、同社は同日付で株式会社三井住友銀行をアレンジャー兼エージェントとし、株式会社みずほ銀行をコ・アレンジャーとするシンジケートローン契約を締結したと発表した。
同社はシンジケートローン契約締結の目的として、安定的な資金調達手段の導入により、財務の健全性を確保するとともに、事業環境の変化に即応した施策の実行を可能にすることが目的であるとコメントしている。シンジケートローンの組成金額は総額3,000百万円、コミット期間は2011年9月1日から2012年8月31日までとなっている。
2011年8月8日、同社は軽量メガネシリーズ「Air frame ®(エア・フレーム)」の第5弾を2011年9月16日から全国一斉発売すると発表した。
2011年7月
2011年7月13日、同社は「機能性アイウエアシリーズ」を2011年7月21日より順次発売すると発表した。
同社によれば、機能性アイウエアシリーズとは、これまでメガネを必要としなかったノン・メガネユーザーを対象とした新市場を開拓すべく開発した商品群である。いずれも、同社の看板商品である「Air Frame®」で使用されている超軽量弾力素材「TR-90」が用いられている。「SPORTSシリーズ」には、高性能次世代マテリアルレンズといわれる「NXT ®」を採用している。商品群は以下。
「SPORTSシリーズ」
- 「JINS Golf」:価格は7,990円(税込)、発売日は2011年7月21日
- 「JINS Sports」:価格は7,990円(税込)、発売日は2011年7月21日
- 「JINS Clear」:価格は7,990円(税込)、発売日は2011年7月21日
- 「JINS Cycle」:価格は7,990円(税込)、発売日は2011年9月
- 「JINS Run」:価格は7,990円(税込)、発売日は2011年10月
「PROTECTシリーズ」
- 「JINS PC」:価格は3,990円(税込)、発売日は2011年10月
- 「JINS Moisture」:価格は3,990円(税込)、発売日は2011年10月
2011年4月
2011年4月14日、同社は同日開催の取締役会において、同社レディス雑貨事業を会社分割し、株式会社ブランドニューディ(新設会社)に2011年6月1日をもって承継することを決議したと発表した。
2011年3月
2011年3月31日、同社はアニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」とのコラボレーション眼鏡「EVANGELION×JINSオリジンナルメガネセット」を、2011年8月6日より全国のJINS店舗で発売すると発表した。
2011年3月23日、同社は「東北地方太平洋沖地震」による影響で、3月23日時点で新たに確認できている情報について、以下のようにコメントを発表した。
店舗の営業状況
- 東北地方と関東地方の一部において、地震・津波による入居施設の建物損傷等のため営業停止中の店舗が5店舗(うちジンズ業態4店舗、クールドゥクルール業態1店舗)あり、うち3店舗(ジンズ業態2店舗、クールドゥクルール業態1店舗)は再開の目途が立っていない
- ガソリン不足等による物流の乱れおよび計画停電の影響により、特注レンズ等一部商品の店舗への供給、ならびにオンラインショップの商品配送に遅延が生じており、完全な復旧には至っていない
計画停電の影響
- 関東地方を中心に、電力不足による計画停電の対象地域内の店舗が60 店舗(うちジンズ業態46 店舗)あり、営業時間の短縮・営業時間中の営業中断等の影響を受けている
- 本部において暖房の自粛・オフィス照明の間引き、店舗において照明の一部消灯等の節電を実施している
業績への影響
今回の地震による被害状況については、引き続き調査中。2011年8月期業績への影響が見込まれる場合には必要に応じ開示する。
注:同社は、「東北地方太平洋沖地震の被災者・被災地への支援」についてホームページ上で別途開示している。
2011年3月13日、同社は、3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」による影響について、下記のようにコメントを発表した。
被害の状況
- 東北地方及び関東地方の店舗において、一部商品の落下、什器・設備の破損等の被害が発生しており、一部店舗では営業停止、営業時間の短縮等の対応を行っている
- 東北地方を中心にライフライン等が遮断されている地域、立入制限等の規制がひかれている地域もあり、商品の供給等営業に支障をきたしている
業績への影響
今回の地震による被害状況については、現在調査中。2011年8月期業績への影響が見込まれる場合には必要に応じ開示する。
2011年3月4日、同社は2011年8月期上期および通期業績予想の上方修正を発表した。修正内容は下記の通りである。
2011年8月期上期
- 売上高:6,748百万円(前回予想6,070百万円)
- 営業利益:360百万円(同212百万円)
- 経常利益:351百万円(同208百万円)
- 純利益:70百万円(同44百万円)
2011年8月期通期
- 売上高:14,088百万円(前回予想13,000百万円)
- 営業利益:920百万円(同822百万円)
- 経常利益:885百万円(同792百万円)
- 純利益:357百万円(同357百万円)
上期の業績予想修正に関して同社は、1)「Air Frame(エア・フレーム)」シリーズ第3弾の販売が好調であったこと、2)「Titan frame(チタン・フレーム)」シリーズも着実に販売本数を増やしたこと、3)アニメ「ワンピース」オリジナル企画商品の販売が好調であったこと、などを理由として挙げている。
一方、通期計画の修正に関しては、上期業績予想の上方修正に加え、ジンズ業態の出店計画(下期)を当初計画の13店舗から27店舗に引き上げることによって売上高を上方修正している。ただし、新規出店に伴う費用増(人件費、募集採用費、教育研修費など)を見込んで、営業利益、経常利益に関しては小幅の上方修正にとどめている。また、当期純利益は、当初見込まれていなかった店舗改装に伴う特別損失計上を予定しているとの理由で前回発表の計画値を据え置いている。
2011年2月
2011年2月10日、同社はアイウエアショップ「JINS」が、新業態である「spectre JINS(スペクトル ジンズ)」を2011年3月10日よりスタート、1号店を六本木ヒルズにオープンすると発表した。
2011年1月
2011年1月24日、同社は「ワンピース」オリジナル企画商品の第2弾を2011年3月19日に発売すると発表した。
2011年1月21日、同社は「エア・フレーム」の第4弾、44型300パターンを2011年3月1日に発売すると発表した。
2010年12月
2010年12月10日、同社は12月10日付で中国の「ヤマダ電機瀋陽店」の2階に「JINS(ジンズ)瀋陽店」をオープンしたと発表した。
2010年11月
2010年11月10日、同社は中国に海外子会社を設立する手続きが完了したと発表した。子会社は同社の100%子会社であり、2010年10月をもって設立され、今後中国国内でアイウエア店舗を展開していくことになる。
2010年10月
2010年10月21日、同社は、「松坂屋銀座」の4階に、2010年10月22日付で「JINS 松坂屋銀座店」をオープンすると発表した。同社によれば、顧客層拡大の一手として、これまでのショッピングセンターや路面店だけでなく、百貨店への出店を強化していく方針とのことである。
2010年10月13日、同社は、オールチタンの商品「Titan frame(チタン・フレーム)」シリーズを2010年10月15日より発売すると発表した。「チタン・フレーム」シリーズはフロントからテンプルまで素材に純国産チタンを使用したオリジナル商品で、レンズ代金込で5,990円からという値段設定になっている。同社によれば、セルフレームの主力商品「エア・フレーム」に対し、メタルフレームの主力商品として「チタン・フレーム」を位置づけるとしている。
2010年9月
2010年9月30日、同社は2010年8月期会社予想の上方修正を発表した。修正後の会社予想は下記の通りである。
売上高: 10,603百万円(前回予想10,450百万円)
営業利益: 620百万円(同500百万円)
経常利益: 600百万円(同470百万円)
純利益: 232百万円(同168百万円)
同社は、業績予想を上方修正した理由について、主力ジンズ業態(アイウエア専門ショップ)およびクールドゥクルール業態(レディス雑貨専門ショップ)ともに売上が好調であったほか、販売及び一般管理費が想定内であったことを指摘している。
9月14日、同社は「エア・フレーム」の第三弾、6型140パターンを2010年9月17日に発売すると発表した。第三弾には同社製としては最軽量の約10gの新モデルが含まれている(第一弾の最軽量モデルは15g、第二弾の最軽量モデルは11gだった)。また、ツルの部分のカーブを日本人の頭の形に合うよう改良するなど、掛け心地をさらに進化させたのが特徴。なお、エア・フレームの販売本数は2009年9月に第一弾が発売されて以来、累計45万以上(2010年8月末現在)に上っている。また、販売キャンペーンを展開するにあたり、新たなイメージキャラクターとして俳優のオダギリジョーと栗山千明を起用し、「私は軽い男です」「私は軽い女です」のメッセージを用いたテレビCMのオンエアを2010年9月14日より開始した。
9月1日、同社は新たなオンラインショップ「JINS ONLINE SHOP」http://www.jins-jp.comを開設したと発表した。Flashを使用せず、最新のJavaScriptを駆使しているのが特徴で、PC、携帯、iPhone、iPadなどあらゆるデバイスで同様の体験ができる。
これまで別々に運営していたブランドサイト(プロモーションや企画の紹介)とオンラインショップの2サイトを統合した。また、新たな取り組みとしてメガネ着用画像に人間のモデルではなくイラストを採用し、老若男女のイラストにカラフルな商品写真を合成することで、リアリティをあえて打ち消した。
同社によると、オンライン経由での販売は大きく伸びていることから(2010年7月のJINS ONLINE SHOPの月間売上高の伸び率は前年同月比337%)、ショッピングサイトを2011年8月期の販売本数を拡大させる重要なチャネルと位置付け、現在の約10倍に当たる100万人の利用者をめざす。
トップ経営者
創業者で現・代表取締役社長の田中仁氏は1963年生まれ。地元信用金庫での勤務を経て1987年、服飾雑貨製造卸のジンプロダクツを創業。1988年に法人格を変更、有限会社ジェイアイエヌを設立。
従業員
2011年8月期時点の同社の従業員は1,030名(正社員、パートタイム社員を含む)。従業員の平均年齢は27.5歳、平均勤続年数は2.1年、平均年収は296万円。
大株主
同社の最大株主は社長で創始者の田中仁氏(家族保有の株式も含めると60%近い支配権を持っている)。
配当と株主優待
配当は、配当性向20%を基準とし、年に1回支払われる。
同社は2007年に株主優待制度を始めた。同社は株主に対し一冊5,000円相当の株主優待券を配布している。株主優待券は同社の店頭で利用できる(郵送申し込みによる指定商品との引き換えも可能)。
IR活動
同社は月次売上高を開示しており、半期に一度決算説明会を開催している。






















