Sharedresearch:「真のIR」をめざして
IRとは?
IRとは何か?日本IR協議会によれば「IR (インベスター・リレーションズ)とは、企業が株主や投資家に対し、投資判断に必要な企業情報を、適時、公平、継続して提供する活動のこと」と定義されている。一方、米国のNational Investor Relations Instituteの定義はもっと広い。すなわち、「 IRは、企業の株価が公正な評価を受けることを最終目標とするものであり、企業と金融市場参加者、その他ステークホルダーとの間に最も効果的な双方的コミュニケーションを実現するため、財務活動やコミュニケーション、マーケティング、そして関係法下でのコンプライアンス活動を統合した、戦略的な経営責務である」とされている。
米国における定義のようにIRは、「適正な株価水準の実現を支援する双方向のコミュニケーション」と捉えることが大切だと弊社は考えている。その実現のために、企業はそうしたコミュニケーションを自社のビジネス戦略の一部として採り入れる必要があるだろう。投資家に一方的に伝えるというアプローチでなく、投資家とコミュニケーションを図ることが、貴社の株価を公正価値で市場に評価してもらうための大事なステップとなる。
上手なコミュニケーションが株価を支える
市場環境によっては、企業の公正価値が必ずしも実現しないことがある。 しかし、多様な投資家に対し、公平かつタイムリーなコミュニケーションを一貫して行っている企業の株価は、下がっても下落幅は小さく、また回復も早い傾向がある。長期的にみれば、これは小幅な株価変動(ボラティリティが小さい)、つまりリスクが低いことを意味する。金融理論の観点からみると、リスクが低いことは企業価値向上に資する。なぜかといえば、投資家は、リスクの高低に見合ったリターンを求めるからである。(例として、3年間に50%のリターンを生む株が2銘柄あったと想定しよう。そのうちの1銘柄の株価が25%下落したのち倍になり、もう一つの銘柄の株価が単に50%上昇した場合、合理的な投資家ならば、株価変動が少ない方の株を買うだろう。
コミュニケーションが変動幅を小さくするのはなぜか?
その理由は、より多くの投資家が企業の真の長期的価値を理解すれば、株価が公正価値に近い水準で維持される確率が高くなるからである。つまり、コミュニケーションがうまく取れていれば、一部の投資家がその株を手放したとしても、別の投資家が現れ、その株を買うだろう。例えば、短期投資家が売った場合、本来の企業価値対比で割安と判断した長期投資家が買いに出る、という具合である。さらに、株価をなるべく公正価値に近い状態で保つことができれば、他社を買収・合併する際に不利な条件となる可能性は減り、同時に自らが本来の価値からディスカウントされた状態で買収の標的になるようなことも避けられよう。
投資家は貴社の情報を常に求めている
コミュニケーションは、家電製品のスイッチとは異なり、「オン」にしたり「オフ」にしたりすることはできない。すなわち、いいニュースだけを選んで伝達したり、株価が上がってほしい時だけニュースを発信するわけにはいかない。企業としては、貴社を投資家が「発見する」ための手助けをする必要がある。特にプロの投資家は、他の投資家を上回る成果を上げるような仕事をしなければ報酬を得られない。従って、株価が魅力的な(即ち、企業価値対比で安い)状態にある時こそ、情報を必要とする傾向にある。そのためにプロの投資家は、株価に割安感があったり、知名度が低かったり、市場参加者によって誤解されているような銘柄を見つけることに多くの時間を費やす。業績予想を上方修正して株価が倍になった後ではなく、その企業について「今すぐに」調べたいのだ。そして、即時に貴社の株に投資するか、「投資家予備軍」入りをするのある。
数ある銘柄(特に中小型銘柄)の中から、投資家はどうやって銘柄選別をするか。 多くの場合、ある株が魅力的かも知れないということは、スクリーニングの結果あるいは証券会社営業マンの連絡等からわかる。この段階において、投資家は、その銘柄をさらに分析しようとするか、調査をあきらめるかの選択をする。貴社の株を含めた何百という銘柄間で、一投資家の関心の獲得争いが行われているのだ。ある企業1社について調べようとするか、そこで調べるのをやめるかの決断に2、3分程度しか費やさない投資家は珍しくはない。例えば、外国人投資家の場合、形式がわかりやすく、かつ正しい英語で用意された情報を迅速に手に入れることは困難だと認識すれば、貴社のことを無視するだろう。
包括的な企業情報を探している投資家を手助けすることは、企業としての重要な事項であると弊社は考える。企業情報は、投資家が「欲しい時」、「欲しい場所」に用意されていないと意味がない。この点を鑑み、弊社では、独自のリサーチをウェブサイト上で公開するだけでなく、貴社ウェブサイトのIRページや、投資のプロ達に広く活用されている情報端末「ブルームバーグ」などから簡単にアクセスできるようにリンクを張っている。弊社はまた、企業が提供する情報は、読みやすく検索しやすいことが重要であると考えている。
一般的に投資家の関心度については以下のような異なるステージがあると思われる:
- 調査に着手した段階:投資家にとっては、基本的かつ重要な情報を素早く手に入れることが優先される段階である。例えば、「何をやっている企業か?」など基本的な投資家の疑問に対する情報が10分以内に入手できなければならない。
- 調査を継続するか否かの検討段階。:投資家は数字を理解するための手助けが必要な段階である。投資家は、貴社について情報を求めるとき、貴社の過去5~10年の事業についての簡単なモデルを入手または作成しようとしている。弊社のプラットフォームや市場に出回っているその他のツールを使えば、それは大抵10分以内でできる作業なのだ。投資家は次の30分に、数字に対する理解を試みる。そのためには、文章化された情報が必要となり、すぐに使え、理解しやすいことが肝要である。
- 詳細な調査段階:投資家は、貴社の担当者と直接面会するしないを問わず、下調べをして、過去の様々な出来事と現在がどう結びついているかを理解する必要がある。「なぜ?」「どうやって?」について把握しなければならない。つまり、前後関係を判明させる情報を必要としているということだ。
- 継続フォローの段階:投資家は貴社および貴社を取り巻く環境の変化を探ろうとする。
外国人投資家とのコミュニケーション
外国人投資家の場合、情報の入手段階での手助けは特に重要だ。外国人投資家の日本の取引所における売買シェアは高く、彼らが株価の方向性を左右することが多い。しかし、こういった投資家の多くは、日本に拠点を持たない場合が多く、日本企業についての知識は日本株投資に特化している投資家には遠く及ばない。そのため、外国人投資家に対応するうえで効果的な双方向コミュニケーション・チャネルを確立することは、重要である。
また、外国人投資家がこれまで念頭に置いていた投資区分は「日本」と「日本以外のアジア」であった。しかし、アジア諸国の台頭により、「アジア」という一つの投資対象から、企業を発掘する傾向に変わりつつある。こうした状況下で適切なコミュニケーションが図られなければ、投資家に無視、あるいは短期筋によって株が叩き売られる、といったことが起こりかねない。これは、国内を中心に展開している企業に特に言えることである。
外国人投資家が、重要な存在であるにもかかわらず、外国人投資家とのコミュニケーションを妨げる要因というのがいくつか存在する。そのうち最も重要だが解決が容易な要因は、言語、および日本企業の経営陣と欧米の投資家との間にみられる、プレゼンテーションスタイルの違いである(一方、日本以外のアジアの経営幹部の多くは欧米諸国で教育を受けており、同様の教育を受けた投資家への話し方を理解していることが多い。 これが、日本以外のアジアの企業と日本企業の間の投資家による選別を生むこともある)。
外国人投資家に効果的に働きかけるための最良の方法は、英語が話せるIR担当者を内部に置くことと、定期的かつ迅速に更新されるIR資料を一通り用意しておくこと、そして経営幹部が定期的に海外に赴き投資家と面会することである。しかし、こういったアプローチは高いコストと、経営幹部の多大な労力を伴う。さらに、資料は外国人投資家を念頭に置いて準備したものでなければならない。さもなければ、重要な事項やニュアンスが翻訳の過程で失われるリスクがあるからである。 一部の資料を英語で用意し、ある程度の頻度で更新するというのが、おそらくその次に望ましい方法である。この場合、企業のプレゼン資料を外国人投資家のニーズに合うように書き換えたりすることはより重要となる。タイムリーかつ包括的な情報発信は、コスト削減のために犠牲になることが多い。しかし実は、このことによって目に見えないコストが長期的には増加し、企業は、最終的な結果にがっかりすることになる。そして外国人投資家がさらに離れていき、お互い不満を抱くことにつながりかねない。英語によるコミュニケーションが完全に消滅してしまうこともある。
以前、投資家としてコンタクトを取った企業の中には、企業情報を伝達するのは証券会社の仕事と信じていたところもあった。確かに証券会社数社による安定したカバレッジがあることは、投資家に忘れずにいてもらうための効果的な方法の一つであることは事実である。しかし、証券会社のレポートは、企業発の効果的かつ積極的なコミュニケーションに取って代われるものではない。投資家にコンタクトするうえで非常に効果的でコスト効率の良い方法は、インターネットを活用し、一つの標準化された情報源から情報を伝達することであると、弊社は考えている。弊社が提供する日英2ヵ国語のリサーチレポート(www.sharedresearch.jp)がその一例である。 弊社は、投資家やその他ステークホルダーとの(双方向)コミュニケーションを図るための、革新的な手段を提供している。弊社のレポートにより、貴社と投資家との間に効果的で一貫性のある双方向コミュニケーションのチャネルがどのように構築されるのか、また、それがどのように貴社のコスト抑制につながるのかをお知りになりたい場合は、このリンクをクリックして頂きたい。
